(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の実施形態を
図1および
図2を参照して説明する。
図1は照明装置全体の回路ブロック図であり、照明装置は、光源の照明ランプLSを点灯するために、点灯回路DOC、初期照度補正制御手段IIC、任意調光制御手段DIM、連係制御手段LCおよびタイマ駆動手段TMDを具備している。
【0012】
最初に、照明ランプLSについて説明する。照明ランプLSは、どのような光源であってもよいが、例えばLED照明ランプや蛍光ランプなどを用いることができる。なお、LED照明ランプは、LEDを光源として備えたランプである。LED照明ランプの場合、
図2のグラフから理解できるように、一般に寿命が40000時間で、蛍光ランプの12000時間より寿命が著しく長いとともに、寿命末期の光束減退が77%程度であり、蛍光ランプの70%程度に比較して寿命中の光束減退が少ないなどの利点を有している。
【0013】
したがって、このLED照明ランプを初期照度補正制御して、照度曲線に示すように照度を77%一定になるようにすることにより、省エネルギーを図ることが可能になる。なお、照度が寿命中一定にするには、調光制御量を点灯時間に応じて図中の調光制御値曲線に示すように徐々に100%に向けて変化させていけばよい。
【0014】
また、照明ランプLSがその内部にLEDを用いて構成されている場合、用いるLEDledの数は、特段限定されない。所要の光量を得るために、複数のLEDledを備えていることが許容される。この場合、複数のLEDledは、直列接続回路または直並列回路を形成していることができる。しかし、単一のLEDledからなるのであってもよい。
【0015】
また、照明ランプLSは、後述する点灯回路DOCの出力端に接続するために、受電端を備えていることが許容される。受電端は、口金の態様をなしていることが好ましいが、これに限定されない。なお、口金は、既知の各種構成を適宜採用することができる。要するに、上記出力端に接続するための手段であれば、その余の構成は特段限定されない。例えば、照明ランプLSの本体から導電線を経由して導出されたコネクタなどの態様をなしていてもよい。また、受電端が接続導体自体であってもよい。
【0016】
さらに、照明ランプLSは、その形態が多様であることを許容する。例えば、両端に口金を備えた直管状や一端にねじ口金を備えた片口金白熱電球のような形状をなしているなどの形態とすることができる。
【0017】
さらにまた、照明ランプLSは、後述する点灯回路DOCに対してその所望の数を直列および/または並列接続することができる。なお、並列接続する際には、並列回路のそれぞれに流れる負荷電流が均等化するように定電流回路を介在させるのが好ましい。
【0018】
点灯回路DOCについて説明する。点灯回路DOCは、照明ランプLSを点灯する手段であり、直流電源DCおよびコンバータCONV、例えばDC−DCコンバータを備えているのが好ましい形態である。そして、その入力端が交流電源ACに接続するとともに、LEDランプLSを接続する出力端を備えていて、その出力端を経由して照明ランプLSに電力を供給してこれを点灯する。
【0019】
上記出力端は、照明ランプLSの受電端に適合するように構成されていればよく、その余の構成については特段限定されない。例えば、ソケットの形態をなしているのが好ましいが、照明ランプLSの受電端がコネクタの形態をなしている場合には、コネクタ受けの形態をなしていることが許容される。また、受電端が接続導体の形態をなしている場合には、接続導体を受容する端子台などの形態をなしていてもよい。
【0020】
また、点灯回路DOCは、コンバータCONVおよびその直流電源DCを備えている場合、コンバータCONVとしては例えば各種チョッパが、変換効率が高く、しかも制御が容易であるので、好適である。コンバータCONVは、一般には入力直流電圧を異なる電圧の交流または直流に変換する。そして、出力電圧が照明ランプLSに印加される。コンバータCONVの出力を制御して出力を調節することにより、照明ランプLSを所望のレベルに調光点灯させることもできる。
【0021】
点灯回路DOCを上述のようにコンバータCONVを主体として構成する場合、その直流電源DCおよびコンバータCONVを1対1の関係にして配設することができる。また、直流電源DCを共通にしてコンバータCONVを1対複数の関係になるよう複数配設して、直流入力を複数のコンバータCONVに並列的に供給するように構成してもよい。なお、後者の場合、所望により各コンバータCONVを照明ランプLSに隣接する位置に配設し、共通の直流電源DCを照明ランプLSから離間した位置に配設することができる。
【0022】
さらに、点灯回路DOCは、LEDを備えた照明ランプを点灯する場合、その出力を定電流制御するように構成されるが、一部の領域、例えば照明ランプLSの点灯電力が低電力の領域、換言すれば深調光領域では定電圧制御を行い、その他の領域では定電流制御を行うように複合制御特性が付与されていることを許容する。
【0023】
さらにまた、点灯回路DOCは、照明ランプLSの動作状態を変化させるために、照明ランプLSに供給する電力を出力制御信号に応じて変化させるように電源回路DOCの出力を可変に構成することができる。すなわち、調光信号に応じて照明ランプLSを調光点灯させることができる。
【0024】
コンバータCONVは、直流電源DCから供給される直流入力を変換して所望の電圧を出力し、照明ランプLSを付勢して点灯させるが、その余の構成については特段限定されない。なお、コンバータがDC-DCコンバータの場合、直流電力を異なる直流電力に変換する装置であって、順変換装置とも称される変換装置であり、各種チョッパの他にフライバックコンバータ、フォワードコンバータおよびスイッチングレギュレータなどが含まれる。
【0025】
コンバータCONVに入力を供給する直流電源DCは、その構成が特段限定されない。例えば、整流回路および平滑化回路を備えた構成を用いることができる。平滑化回路としては、電解コンデンサを用いたり、昇圧チョッパを用いたりすることができる。なお、昇圧チョッパを用いることにより、高調波を効果的に低減することもできる。
【0026】
初期照度補正制御手段IICについて説明する。初期照度補正制御手段IICは、これを累積点灯時間タイマTMおよび光束補正装置を備えて構成することができる。累積点灯時間タイマTMは、照明ランプLSの点灯時間を、それが初期照度補正制御および任意調光点灯のいずれであるか否かにかかわらず照明ランプLSの点灯中は常時累積点灯時間を計時する。すなわち、照明ランプLSを点灯する都度、その点灯時間を計時するとともに、前回までの累積点灯時間を新しい点灯時間に加算して点灯初期からの累積点灯時間を求める。また、累積点灯時間は、使用する照明ランプLSを新品に交換した際には後述するリセット手段RSを配設することによってリセットすることが可能になる。
【0027】
光束補正装置は、初期照度補正制御および任意調光点灯のいずれであっても照明ランプLSの累積点灯時間に対して予め設定された初期照度制御値に達するまでの所要の調光度を示す調光信号を生成する。なお、累積点灯時間タイマTMおよび光束補正装置は、タイマ、演算装置、メモリおよびプログラムを主体とする例えばマイコンにより構成することができる。演算装置は、メモリからまずプログラムを読み出し、次に読み出したプログラムに基づいて前回までの累積点灯時間に対応する調光度のテーブルデータを読み出し、調光信号を作成して調光制御回路へ出力する。また、前回までの累積点灯時間を読み出して、これに累積点灯時間タイマによって計時した新たな点灯時間を加算し、更新された累積点灯時間のデータをメモリに記憶させて、次の点灯に備える。メモリは、プログラムおよび累積点灯時間ごとの調光度からなるテーブルデータを予め記憶するとともに、照明ランプLSの累積点灯時間を都度データ更新しながら記憶する。プログラムは、以上の演算手順を内容としている。なお、以上の構成は、ICなどの個別のものを用いるだけでなく、照明ランプ点灯装置全体を制御するマイコンのタイマ機能、メモリ機能および演算機能を利用して初期照度補正制御回路を構成することができる。
【0028】
また、累積点灯時間データを保存するメモリを主メモリとバックアップ用メモリとで構成することができる。これにより、主メモリの累積点灯時間タイマを誤ってリセットしてしまったような場合であっても、バックアップ用メモリから記憶している累積点灯時間データを読み出せば、復活させることが可能になる。なお、バックアップ用メモリは、主メモリのICやマイコン中にこれを設定することができるが、要すれば別体のICやマイコンを用いることもできる。
【0029】
リセット手段RSについて説明する。リセット手段RSは、所望によりこれを付設することができる。この手段は、初期照度補正制御の累積点灯時間タイマTMの累積点灯時間を初期設定状態すなわち初期化状態に戻すための手段であり、照明ランプLSを新品に交換した際に初期照度補正制御手段IICの累積点灯時間をリセットして初期化し、初期照度補正制御を再度最初から行えるように構成される。リセット手段RSは、例えば操作スイッチ、無負荷状態検出手段に応動する構成、電源スイッチを所定手順でオン、オフするのに応動する構成など既知の各種構成を適宜選択して採用することができる。しかし、リセット手段RSは、所望により以下の構成に代えるか、あるいは以下の構成の一つまたは複数を操作スイッチに付加することができる。
【0030】
1.ランプ装着検出回路を配設して、当該回路を所定回数繰り返し機能させることによりリセットを行うように構成する。ランプ装着検出回路は、本来照明ランプLSが装着されていないときには点灯回路DOCを作動させないようにして点灯回路DOCを高電圧から保護するために採用される回路手段であり、無負荷状態を検出する手段と同様な手段であることを許容する。
【0031】
2.内蔵電池を用いて累積点灯時間のリセットを照明ランプ点灯装置の電源が遮断状態でも行えるように構成する。これにより通例のように電源をオフ状態にして照明ランプLSの交換を安全に行うと同時に、併せてリセット作業を行うことができるので、作業が容易になる。
【0032】
3.複数の照明ランプ点灯装置を統括的に制御する外部の照明制御装置による統括下にある照明ランプ点灯装置のリセット手段RSを照明制御装置からの遠隔制御によってリセットさせるように構成する。
【0033】
ランプ要交換判定回路LCJについて説明する。ランプ要交換判定回路LCJは、所望によりこれを付設することができる。この回路は、照明ランプLSの正常時における作動状態を検出して、その検出値が所定の閾値範囲から外れたときにランプ交換の必要を判定する。上記の作動状態は、電気的検出および光学的検出のいずれであってもよい。なお、本実施形態においては、例えば負荷電流検出回路IfDを経由して制御入力する寿命中の負荷電流の変化を元に判定する。
【0034】
任意調光制御手段DIMについて説明する。任意調光制御手段DIMは、初期照度補正制御の場合と異なって、任意所望時に照明ランプLSを調光点灯させるための手段である。この場合、任意調光制御手段DIMは、調光信号を発生してこれを後述する連係手段LCおよび出力制御手段OCCを経由して点灯回路DOCの動作を制御することで、照明ランプLSの点灯による照度を変化させる。すなわち、調光信号に応じて照明ランプLSを調光点灯させる手段である。このために、任意調光制御手段DIMは、その調光信号を適当な方式、例えばPWM変調方式により発生させる。また、任意調光制御手段DIMは、照明ランプ点灯装置から独立していて、しかもLEDランプ点灯装置から離間した位置に配設してもよいし、照明ランプ点灯装置に内蔵してもよい。
【0035】
任意調光制御手段DIMから出力制御手段OCCへ送出される調光信号は、出力制御手段OCC内で復調される。そして、調光度に応じてコンバータCONV内の図示しない駆動信号発生回路から出力する駆動信号を断続させる。なお、調光は、LEDランプLSの光出力が連続的に変化するに連続調光でもよいし、段階的に変化する断続調光でもよい。
【0036】
連係制御手段LCは、初期照度補正制御手段IICと任意調光制御手段DIMとの連係を所要に行い、所望の出力特性で照明ランプLSを点灯させる手段である。第1の実施形態においては、任意調光制御手段DIMから送出される調光信号の調光度が初期照度補正値の77%に達するまでは調光信号が連係制御手段LCを通過して出力制御手段OCCを制御する。また、調光度が78〜100%の間は、もはや実行される調光度が変化しないで77%一定にクリップされる。
【0037】
本実施形態において、
図1の点線で囲んだ範囲の構成を単一のマイコンで構成することができる。この場合、マイコンは、点灯回路DOCの制御、初期照度補正制御、任意調光制御およびこれらの連係制御を一括して行うことができる。
【0038】
タイマ駆動手段TMDについて説明する。タイマ駆動手段TMDは、累積点灯時間タイマTMを駆動する手段である。そして、どの制御による点灯であるかの区別なしに照明ランプLSの点灯中に常時累積点灯時間タイマTMを駆動することができればその余の構成が特段限定されない。例えば、点灯回路DOCに交流電源ACを接続して付勢すれば、照明ランプLSが点灯する関係にあるとすることに概ねにおいて問題ないので、交流電源ACが投入されているときに累積点灯時間タイマTMを駆動するように構成することができる。
【0039】
図3は、第1の実施形態における任意調光制御手段DIMの調光特性を示している。すなわち、制御可能な調光度は、0〜77%の間である。なお、
図3ないし
図5において、横軸は調光度(%)、縦軸は相対照度(%)である。
【0040】
第1の実施形態によれば、相対照度77%を全光点灯として、調光度0〜77%までの間任意調光を行うことができるとともに、任意調光時においても初期照度補正制御を行えるから、使用者に対する違和感が少なくなる。ただし、調光度78〜100%の間は相対照度が上限値77%一定にクリップされる。
【0041】
本発明の第2の実施形態について
図4を参照して説明する。本実施形態における調光特性は、
図4に示すとおりである。すなわち、調光度0〜100%の間において、相対照度0〜77%の間任意調光を行
うことができる。このために、連係制御手段LCは、初期照度補正制御手段IICによる
初期照度補正制御を行うと同時に任意調光制御をこれに加えて行うように機能する。
【0042】
第2の実施形態によれば、相対照度77%を全光点灯として、調光度0〜100%の範囲で連続した任意調光を行うことができるから、使用者に対する違和感が一層少なくなる。
【0043】
本発明の第3の実施形態について
図5を参照して説明する。本実施形態における調光特性は、
図5に示すとおりである。すなわち、調光度0〜99%の間において、相対照度0〜99%の調光を行
うことができる。このために、連係制御手段LCは、調光度0〜99%の間において、任意調光制御手段DIMだけを調光制御の対象として初期照度補正制御手段IICによる
初期照度補正制御を行わないようにする。
【0044】
第3の実施形態によれば、任意調光制御時には初期照度補正制御手段IICによる
初期照度補正値を超えた相対照度77〜
99%の高い照度範囲での照明が可能になる。すなわち、高照度状態での照明を
行うことができ、調光可能な照度範囲が広くなって多様な照明を行うことが可能になる。また、調光信号を発生させる際の操作においては、例えば操作摘みを調光度99%からわずか1%変位させるだけで、
初期照度補正制御に切り替えることができるので、操作が容易になる。