特許第5720937号(P5720937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5720937-永久磁石を使用した熱風発生装置。 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5720937
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】永久磁石を使用した熱風発生装置。
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/02 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
   H05B6/02 A
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-40781(P2011-40781)
(22)【出願日】2011年2月7日
(65)【公開番号】特開2012-164621(P2012-164621A)
(43)【公開日】2012年8月30日
【審査請求日】2014年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】594103862
【氏名又は名称】松井 嗣光
(72)【発明者】
【氏名】松井 嗣光
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/048049(WO,A1)
【文献】 特表2008−545243(JP,A)
【文献】 特開2000−231982(JP,A)
【文献】 特開2000−123962(JP,A)
【文献】 特開平06−123486(JP,A)
【文献】 特開2000−280728(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/053103(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に永久磁石が配置され、回転可能に設けられた良導電体金属製の平盤状回転体と、前記平盤状回転体の上方かつ近傍に、前記永久磁石による磁界中に配置された導電材を含む発熱部と、該発熱部上に立設された複数の熱風流通管からなる熱風捕捉板とからなり、該熱風捕捉板には複数の熱風流通孔が螺旋状又はインボリュート曲線状に配置穿孔され、前記複数の熱風流通管に連通させると共に、当該熱風捕捉板を、熱風排気筒を有する略円筒形状のカバーで被覆し、前記発熱部で発生したジュール熱を熱風として捕集することを特徴とする永久磁石を利用した熱風発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石を用いて渦電流を発生させて得たジュール熱により熱風を発生させ、とくに、発生した熱風をハウス栽培の加温、家屋の暖房や積雪溶解に使用して好適な熱風発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から交流電流により交流磁界を発生させて行う誘導加熱の手法を用いた電磁誘導式加熱装置が種々提案されている。例えば、導電性の被加熱体と交流磁場発生手段から構成される誘導加熱装置において、直流磁場発生手段を永久磁石とし、この直流磁場に交流磁場を作用させることにより、被加熱体を急速に加熱するようにした誘導加熱装置(特許文献1参照)や渦電流が発生可能なロータリーの外周に複数の永久磁石を配置した加熱装置(特許文献2参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−343541号公報
【特許文献2】再公表WO2003/053103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の装置は、複写機におけるトナーの定着や工業用材料の乾燥・加熱に応用したものであり、一般家庭における熱原や農業分野における加温装置としての応用例はほとんど無いのが実情である。
本発明は上記のような従来技術の課題に鑑み、簡単な構成で、一般家庭や農業分野において、高効率で、安全且つ経済的な熱源として有用な永久磁石を用いた熱風発生装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するため、本発明の熱風発生装置は、内部に永久磁石が配置され、回転可能に設けられた良導電体金属製の平盤状回転体と、前記平盤状回転体の上方かつ近傍に、前記永久磁石による磁界中に配置された導電材を含む発熱部と、該発熱部上に立設された複数の熱風流通管からなる熱風捕捉板とからなり、該熱風捕捉板には複数の熱風流通孔が螺旋状又はインボリュート曲線状に配置穿孔され、前記複数の熱風流通管に連通させると共に、当該熱風捕捉板を、熱風排気筒を有する略円筒形状のカバーで被覆し、前記発熱部で発生したジュール熱を熱風として捕集することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の熱風装置は、以下の優れた効果がある。
(1)渦電流により導電材料を発熱させる自己発熱なので、熱効率がよく、また二酸化炭素の発生がなく、エコロジーな熱源である。また、使用する電力消費量は少なく、ランニングコストを低く抑えることができる。
(2)ロータ内に永久磁石を配置し、導電材料の近傍で回転させるだけの簡単な構造なので、故障しにくく、メンテナンスもし易い。
(3)温度調整は、ロータの回転数の調整だけで済むので、容易である。
(4)複数の熱風流通管が配置され、熱風捕捉板により、発熱部で発生したジュール熱を効率良く捕集し使用できるので、さらに効率が増大する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る永久磁石を用いた熱風発生装置の一実施例を示す斜視図である。
図2】回転体内の永久磁石の配置図である。
図3】熱風捕捉部を模式的に示す側面図である。
図4】本装置にプロアーを接続した状態を示す斜視図である。
図5】発熱部内に熱媒体流通管路の配置例を示す平面図である。
図6】発熱部内に熱媒体流通管路の配置例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明では、金属板等の導電材の近傍に、強力な磁力を有する永久磁石を内部に配置した平盤状ロータを高速回転させることによって、導電材にN,Sの磁極が交互に横切り、その結果、電磁誘導現象により導電材自体には渦電流が発生し、この渦電流が熱エネルギーに変換されて導電材が発熱する。
【0009】
導電材としては、磁力により渦電流が発生し易い、銅、銀、アルミニウム、ステンレスなどの良導電体の金属を選択するのが好ましい。
【0010】
永久磁石としては、例えば、ネオジウム系磁石、サマリウム系磁石などの表面3000ガウス以上の永久磁石を使用するのが好ましい。永久磁石の磁力の強さが強いほど導電材は高温に発熱する。永久磁石は導電材の周りを数100rpm以上で回転させる。必要発熱量や用途にあわせて、永久磁石の強さや極数、回転数は決定される。発熱温度調整はロータの回転数の調整により容易に行うことができる。
【0011】
熱風捕捉板の材質としては、導電材と同様に、銅、銀、アルミニウム、ステンレスなどの良導電体の金属を選択するのが好ましい。また、熱風流通孔の数及び穿孔位置は任意であるが、螺旋状やインボリュート曲線状に配置するのが望ましい。
【実施例】
【0012】
図1に示すように、本発明の電磁誘導式熱風発生装置は、複数の永久磁石1aが任意の間隔をおいて固定された平盤状回転体1の上方かつ近傍に、発熱部としてのアルミニウム製の矩形板と、この板上に立設された複数の熱風流通管2からなる熱風捕捉板6が脚立部2aにより架台4上に立設固定配置されている。
【0013】
熱風捕捉部6のカバー7には、熱風排出筒7aが設けられると共に、その周縁から突出して各々4箇所の鍔部7bが一体に形成され、この鍔部7bに脚立部2aの先端を挿通させてナット締めして固定される。
【0014】
図2に示すように、永久磁石1aは回転体1の円周に沿って等間隔に配置する。磁石1aは、それぞれN極とS極とが交互に位置するように配置しても良いし、同極同士が隣接するように配置しても良い。配置する個数も任意である。回転体1は、モータ3に連結された回転軸3cにより高速回転する。尚、本実施例においてモータ3の電源は商用電源5としたが、太陽光、水力、風力等の自然界のエネルギーを用いて電源とすることが有益なことは言うまでもない。
【0015】
図3に示すように、熱風捕捉部10は、発熱部2で発生したジュール熱を捕捉収集する装置であり、図2に示すように、複数の熱風流通孔6aが穿孔され、これに連通して立設された複数の熱風流通管2を有するアルミ製の熱風捕捉板6の上面に熱風排気筒7aを有する略円筒状のカバー7で被覆して設けられる。
図4に示すように、熱風排気筒7aにはダクト8を介してブロアーPが連結されており、引圧して発熱部2で発生したジュール熱を熱風として捕集して送風するようにされている。
【0016】
尚、熱風流通孔及び熱風流通管の数、形状及び穿孔位置は任意であり、本実施例に限定されないことは言うまでもない。また、発熱部2と熱風捕捉部10を同一部材とし、双方の機能を兼ねる構成にしても良い。
【0017】
さらに、図5及び図6に示すように、本装置の発熱部2内に熱媒体流通管路9を設け、水、油、シリコン等の熱媒体を流通させることで、例えば、融雪装置としても使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明装置は、農業分野での温室ハウス栽培における加温装置として、また、家屋の暖房や積雪溶解用の熱原として使用でき実用性が高く極めて有用である。
【符号の説明】
【0019】
1 回転体
1a永久磁石
2 熱風流通管(発熱部)
2a脚立部
3 モータ
3aモータの回転軸
4 架台
5 商用電源
6 熱風捕捉板
6a熱風流入孔
7 熱風捕捉板のカバー
7a熱風排出筒
7b熱風捕捉板のカバーの鍔部
8 ダクト
9 熱媒体流通管路
10熱風捕捉部
P ブロアー
図1
図2
図3
図4
図5
図6