【実施例】
【0050】
本発明を実施例及び比較例を挙げてより詳しく説明する。なお、以下に挙げる各実施例及び比較例における浸透液の分離温度並びに引火点の各測定並びに浸透探傷性能評価は、それぞれ次の方法によって行ったものである。
【0051】
分離温度の測定:測定検出対象浸透液をガラスビーカーに入れ、室温(約20℃)より徐々に加温しながら、目視にて観察し、当該浸透液が明確に二相分離し始めた時点の温度を測定した。
【0052】
引火点の測定:測定検出対象浸透液の引火点と引火点の有無をJIS K 2265−4に準拠して測定した。
【0053】
性能評価:表面に長さ6mm、幅20μmで深さが夫々100μm、150μm、200μmの人工キズ(開口欠陥部)が設けられているステンレス製試験片を使用し、室温(約20℃)において、測定検出対象浸透液を試験片表面に塗布して付着させ、5分間静置させた後、各温度での洗浄水を水圧0.3MPa・流量1L/minにて試験片表面に吹き付けて洗浄し、次いで、エアブローによって試験片表面の水滴を除いた後、熱風循環式乾燥機を使用して約70℃の熱風によって当該試験片を5分間乾燥し、評価検出対象浸透液が油溶性赤色染料を用いたものである場合には、当該各試験片表面に市販の染色浸透探傷用現像剤(スーパーチェック現像剤:商品名:主成分は無機質白色微粉末:マークテック株式会社)を用いて無機質白色微粉末の薄層を形成し、白色光の下で目視にて当該薄層表面を観察して評価し、評価検出対象浸透液が油溶性蛍光染料を用いたものである場合には、現像剤を使用することなく、暗室において紫外線照射灯の照射下で目視により当該各試験片表面を観察にて評価した。
【0054】
評価基準は、人工キズの深さに対応した明瞭な欠陥指示模様が視認できた場合を「○」とし(注:浸透液が油溶性赤色染料を用いたものである場合には、キズが深いほど欠陥指示模様の色彩が濃く、かつ、大きくなり、浸透液が油溶性蛍光染料を用いたものである場合には、キズが深いほど欠陥指示模様の輝度が高くなる)、視認できた欠陥指示模様が、一部途切れていたり、色彩が薄いか、或いは輝度が低く、明瞭さを欠く場合を「△」とし、欠陥指示模様を視認できない(注:欠陥指示模様が出ない)場合を「×」とした。
【0055】
また、洗浄処理に用いた洗浄水量(排水量)は0.58Lであった。
【0056】
(実施例1)
ノニオン系界面活性剤(商品名:ノイゲンNL−Dash410(HLB:12.5,曇点測定・曇点:66℃(1%水溶液)),第一工業製薬株式会社製)25重量%、油溶性蛍光染料(商品名:Fluoro17GA,GAF社)1.0重量%、水74重量%の処方となるように各材料を秤取し、秤取した各材料をステンレス製タンクに投入し、室温(約20℃)において電動ミキサーを使用して、30分間攪拌することにより、当該各材料が混和・溶解して単一相の状態となっている水洗性水ベース蛍光浸透液を調製した。
【0057】
ここに得られた水洗性水ベース蛍光浸透液の曇点(分離温度)は66℃であり、引火点はなかった。
洗浄水温度70℃での探傷性能評価は、キズ深さ100μmで「×」、キズ深さ150μmで「△」、キズ深さ200μmで「○」であった。
【0058】
(実施例2)
ノニオン系界面活性剤1(商品名:ノイゲンTDX-80D (HLB:13.1,曇点測定・曇点:56℃(1%水溶液)),第一工業製薬株式会社製)10重量%、ノニオン系界面活性剤2(商品名:ノイゲンXL−80(HLB:13.8,曇点測定・曇点:55℃(1%水溶液)),第一工業製薬株式会社製)15重量%、油溶性蛍光染料(商品名:Fluoro17GA,GAF社)1.0重量%、水74重量%の処方となるように各材料を秤取し、実施例1と同一条件にて、当該各材料が混和・溶解して単一相の状態となっている水洗性水ベース蛍光浸透液を調製した。
【0059】
ここに得られた水洗性水ベース蛍光浸透液の曇点(分離温度)は55℃であり、引火点はなかった。
洗浄水温度70℃での探傷性能評価は、キズ深さ100μmで「△」、キズ深さ150μmで「○」、キズ深さ200μmで「○」であった。
【0060】
(実施例3)
ノニオン系界面活性剤(商品名:ノイゲンDKS NL−60 (HLB:11.5,曇点測定・曇点:43℃(1%水溶液)),第一工業製薬株式会社製)25重量%、油溶性蛍光染料(商品名:Fluoro17GA,GAF社)1.0重量%、水74重量%の処方となるように各材料を秤取し、実施例1と同一条件にて、当該各材料が混和・溶解して単一相の状態となっている水洗性水ベース蛍光浸透液を調製した。
【0061】
ここに得られた水洗性水ベース蛍光浸透液の曇点(分離温度)は43℃であり引火点はなかった。
洗浄水温度70℃での探傷性能評価は、キズ深さ100μmで「○」、キズ深さ150μmで「○」、キズ深さ200μmで「○」であった。
【0062】
(実施例4)
ノニオン系界面活性剤(商品名:ノイゲンXL−70 (HLB:13.2,曇点測定・曇点:40℃(1%水溶液)),第一工業製薬株式会社製)20重量%、油溶性赤色染料(商品名:オイルレッド5B オリエント株式会社製)2.0重量%、DPGM10重量%、水68重量%の処方となるように各材料を秤取し、実施例1と同一条件にて、当該各材料が混和・溶解して単一相の状態となっている水洗性水ベース赤色浸透液を調製した。
【0063】
ここに得られた水洗性水ベース赤色浸透液の曇点(分離温度)は65℃であり、引火点はなかった。
洗浄水温度70℃での探傷性能評価は、キズ深さ100μmで「×」、キズ深さ150μmで「△」、キズ深さ200μmで「○」であった。
【0064】
(実施例5)
ノニオン系界面活性剤(商品名:ノイゲンXL−40 (HLB:10.5,曇点測定・曇点:53℃(10%水溶液、なお、10%水溶液中にBDG25%を含む)),第一工業製薬株式会社製)10重量%、油溶性赤色染料(商品名:オイルレッド5B オリエント株式会社製)2.0重量%、BDG25重量%、水63重量%の処方となるように各材料を秤取し、実施例1と同一条件にて、当該各材料が混和・溶解して単一相の状態となっている水洗性水ベース赤色浸透液を調製した。
【0065】
ここに得られた水洗性水ベース赤色浸透液の曇点(分離温度)は53℃であり、引火点はなかった。
洗浄水温度70℃での探傷性能評価は、キズ深さ100μmで「△」、キズ深さ150μmで「○」、キズ深さ200μmで「○」であった。
【0066】
(実施例6)
ノニオン系界面活性剤(商品名:ノイゲンXL−70 (HLB:13.2,曇点測定・曇点:40℃(1%水溶液)),第一工業製薬株式会社製)15重量%、油溶性赤色染料(商品名:オイルレッド5B オリエント株式会社製)2.0重量%、BG15重量%、水68重量%の処方となるように各材料を秤取し、実施例1と同一条件にて、当該各材料が混和・溶解して単一相の状態となっている水洗性水ベース赤色浸透液を調製した。
【0067】
ここに得られた水洗性水ベース赤色浸透液の曇点(分離温度)は46℃であり、引火点はなかった。
洗浄水温度70℃での探傷性能評価は、キズ深さ100μmで「○」、キズ深さ150μmで「○」、キズ深さ200μmで「○」であった。
【0068】
(実施例7)
ノニオン系界面活性剤(商品名:ノイゲンLF−30X (HLB:9.4,曇点測定・曇点:42℃(10%水溶液、なお、10%水溶液中にBDG25%を含む)),第一工業製薬株式会社製)10重量%、油溶性蛍光染料(商品名:Fluoro17GA,GAF社)1.0重量%、BDG25重量%、水64重量%の処方となるように各材料を秤取し、実施例1と同一条件にて、当該各材料が混和・溶解して単一相の状態となっている水洗性水ベース蛍光浸透液を調製した。
【0069】
ここに得られた水洗性水ベース蛍光浸透液の曇点(分離温度)は42℃であり引火点はなかった。
洗浄水温度20℃での探傷性能評価は、キズ深さ100μmで「×」、キズ深さ150μmで「×」、キズ深さ200μmで「△」であった(参考例)。
洗浄水温度50℃での探傷性能評価は、キズ深さ100μmで「×」、キズ深さ150μmで「△」、キズ深さ200μmで「○」であった。
洗浄水温度60℃での探傷性能評価は、キズ深さ100μmで「△」、キズ深さ150μmで「○」、キズ深さ200μmで「○」であった。
洗浄水温度70℃での探傷性能評価は、キズ深さ100μmで「○」、キズ深さ150μmで「○」、キズ深さ200μmで「○」であった。
【0070】
(比較例1)
ポリオキシエチレントリデシルエーテル(商品名:ノイゲンTDS−200D (HLB:16.3,曇点測定・曇点:80℃以上(1%水溶液)),第一工業製薬株式会社製)25重量%、油溶性赤色染料(商品名:オイルレッド5B オリエント株式会社製)1.0重量%、水74重量%の処方となるように各材料を秤取し、実施例1と同一条件にて、当該各材料が混和・溶解して単一相の状態となっている水洗性水ベース赤色浸透液を調製した。
【0071】
ここに得られた水洗性水ベース赤色浸透液の曇点(分離温度)は80℃以上であり、引火点はなかった。
洗浄水温度70℃での探傷性能評価は、キズ深さ100μmで「×」、キズ深さ150μmで「×」、キズ深さ200μmで「×」であった。
【0072】
(比較例2)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン分岐デシルエーテル(商品名:ノイゲンXL−60 (HLB:12.5,曇点測定・曇点:28℃(1%水溶液)),第一工業製薬株式会社製)25重量%、油溶性蛍光染料(商品名:Fluoro17GA,GAF社)1.0重量%、水74重量%の処方となるように各材料を秤取し、実施例1と同一条件にて、当該各材料が混和・溶解して単一相の状態となっている水洗性水ベース蛍光浸透液を調製した。
【0073】
ここに得られた水洗性水ベース蛍光浸透液の曇点(分離温度)は28℃であり引火点はなかった。
洗浄水温度70℃での探傷性能評価は、キズ深さ100μmで「○」、キズ深さ150μmで「○」、キズ深さ200μmで「○」であったが、洗浄性が悪く余剰浸透液の除去が困難であったため、バックグラウンドの残光が多く、欠陥指示模様との識別性が悪くなってしまった。
【0074】
(比較例3)
陰イオン系界面活性剤(商品名:アントックスEHD−PNA (HLB:なし),日本乳化剤株式会社製)10重量%、油溶性赤色染料(商品名:オイルレッド5B オリエント株式会社製)1.0重量%、BDG15重量%、水74重量%の処方となるように各材料を秤取し、実施例1と同一条件にて、当該各材料が混和・溶解して単一相の状態となっている水洗性水ベース赤色浸透液を調製した。
【0075】
ここに得られた水洗性水ベース赤色浸透液の曇点(分離温度)は確認されず、引火点はなかった。
洗浄水温度70℃での探傷性能評価は、キズ深さ100μmで「×」、キズ深さ150μmで「×」、キズ深さ200μmで「×」であった。
【0076】
(比較例4:洗浄水量)
水洗性水ベース浸透液スーパーチェックP−LK(商品名)を用い、水温20℃において洗浄を行い、探傷性評価が下記(1)〜(3)のとおりになるように洗浄した時に要した洗浄水の量は夫々、(1)0.58L、(2)0.97L、(3)1.50Lであった。
(1)探傷性評価が、キズ深さ100μmで「○」、キズ深さ150μmで「○」、キズ深さ200μmで「○」
(2)探傷性評価が、キズ深さ100μmで「△」、キズ深さ150μmで「○」、キズ深さ200μmで「○」
(3)探傷性評価が、キズ深さ100μmで「×」、キズ深さ150μmで「△」、キズ深さ200μmで「○」