(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5720957
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20150430BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20150430BHJP
【FI】
H01L33/00 400
H01L33/00 440
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-183578(P2012-183578)
(22)【出願日】2012年8月22日
(65)【公開番号】特開2014-41934(P2014-41934A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2012年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】512218614
【氏名又は名称】復盛精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】朱振豊
(72)【発明者】
【氏名】陳原富
【審査官】
高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−235541(JP,A)
【文献】
特開2008−270822(JP,A)
【文献】
特開2006−294657(JP,A)
【文献】
特開平10−261821(JP,A)
【文献】
特開2010−192552(JP,A)
【文献】
特開2003−298173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)であって、
a)金属板材を準備し、
b)前記金属板材にリードフレームと、複数の金属フレームとを形成し、前記複数の金属フレーム上には第1の電極板、第2の電極板、および複数の連結部を備え、前記複数の連結部のうち、前記複数の金属フレームのうちの一つの金属フレームに備えられた複数の第2の連結部の各々は、前記第1の電極板および前記第2の電極板の各々を前記リードフレームに連結し、前記複数の金属フレームのうちの前記一つの金属フレームを除く金属フレームに備えられた複数の第1の連結部の各々は、前記第1の電極板および前記第2の電極板の各々を別の前記金属フレームまたは前記リードフレームに連結し、
c)前記金属フレーム上に樹脂ベースを成形し、成形後の前記樹脂ベースは正面に前記第1の電極板および前記第2の電極板を露出させる中空機能領域を備え、かつ前記樹脂ベースの一側辺の位置上には、前記複数の第2の連結部および前記リードフレームを露出させる退避空間を形成し、
d)露出した前記複数の第2の連結部の一部および前記リードフレームをダイシングして、前記複数の第2の連結部に接続された前記第1の電極板を電気的に独立させ、
e)前記樹脂ベースの前記中空機能領域内の前記第2の電極板上にLEDチップを実装し、
f)ワイヤで前記LEDチップと前記第1の電極板とを電気的に接続し、
g)蛍光粉末を添加した樹脂を前記中空機能領域に注入し、
h)前記樹脂が硬化する前に、前記複数の第2の連結部が切断された前記金属フレームの前記第1の電極板および前記第2の電極板に通電して前記LEDチップを点灯することで、前記LEDチップを点灯して生じた光と前記樹脂に混入されている蛍光粉末とで混色して決定される輝度および色度のコントラスト検査を行う、ことを含む、ことを特徴とする発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)。
【請求項2】
ステップbの前記リードフレーム上には間隔を空けて配列された複数の長穴と短穴とを有しており、二つの前記短穴の間には貫通穴を有している、ことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)。
【請求項3】
前記第1の連結部は長手方向または幅方向で前記金属フレームの各々を連結している、ことを特徴とする請求項2に記載の発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)。
【請求項4】
前記第1の電極板は長方形であるとともに、前記第2の電極板に隣接または対向する側辺上に対応する二つの切り欠きを有している、ことを特徴とする請求項3に記載の発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)。
【請求項5】
前記第2の電極板の二つの側辺上には対応する二つのトレンチを有しており、前記第2の電極板の他方の側辺は窪みを有している、ことを特徴とする請求項4に記載の発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)。
【請求項6】
前記樹脂ベースの裏面は前記第1の電極板および前記第2の電極板を露出させるための二つの開口を有している、ことを特徴とする請求項5に記載の発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)。
【請求項7】
ステップbとcとの間には、前記支持構造を打ち抜きまたはエッチングした後、前記支持構造の前記金属フレームに電気メッキを施して金属膜を成膜する電気メッキのステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載の発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)。
【請求項8】
ステップcの前記退避空間が前記第2の連結部および前記リードフレーム上で熱硬化性樹脂がない箇所である、ことを特徴とする請求項7に記載の発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)。
【請求項9】
ステップeの前記LEDチップが単色または多色のチップである、ことを特徴とする請求項8に記載の発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)。
【請求項10】
ステップfの前記ワイヤが金線である、ことを特徴とする請求項9に記載の発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)。
【請求項11】
ステップgの前記樹脂がシリコーンである、ことを特徴とする請求項10に記載の発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光ダイオードに関し、とりわけ発光ダイオードの支持構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードはすでに各種電子機器、家電製品またはランプ器具などの製品に広く応用されており、しかも発光ダイオードは高輝度、多色光および放熱効果に優れた技術で研究開発および改善する方向にあるので、発光ダイオード製造コストが嵩んでいる。前述の要因が発光ダイオードの製造コストを上昇させている以外に、発光ダイオード製造での歩留りも製造コストに直接影響している。
【0003】
従来の発光ダイオードでは製造時において、まず金属板材を準備して、金属板材を打ち抜きまたはエッチングにて支持構造を製作した後、当該支持構造上には、アノード電極板およびカソード電極板を備えている複数の金属フレームが連結部を介して接続されているリードフレームを有しており、そしてさらに熱硬化性樹脂で当該金属フレーム上に樹脂ベースを成型し、当該樹脂ベースの製作が完了した後、当該樹脂ベースの中空機能領域にて露出しているアノード、カソード電極板上にLEDチップのダイボンディングおよびワイヤのボンディング工程を行い、ダイボンディングおよびワイヤボンディング工程の後に、蛍光粉末を混入したシリコーンを当該中空機能領域中に注入し、樹脂モールド工程の後、さらに金属フレームをダイシングおよび検品を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の発光ダイオードでは製造が完了しなければ輝度および色度のコントラストの検査はできないことから、発光ダイオードの輝度および色度のコントラストが要求を満たさなくなると、発光ダイオードの歩留りはわずかに50%前後に止まる。それは主に、当該金属フレーム上に樹脂ベースを成型した後、金属フレームのアノード電極板およびカソード電極板の連結部にダイシングを行っていないことから、当該金属フレームのアノード電極板およびカソード電極板はまだ繋がっており、樹脂ベースの中空機能領域は樹脂モールド後に直ちに発光ダイオードの輝度および色度のコントラストの正否を試験できず、全工程完了後でなければ品質を確認できないため、不良品の発光ダイオードをその場で検査できないというところに原因がある。
【0005】
本発明の目的は従来の欠点を解決するところにあり、本発明では発光ダイオードの支持構造である金属フレーム上の樹脂ベース成型後、金属フレームの連結部をダイシングした後、後続のダイボンディング、ワイヤボンディングおよび樹脂モールドの工程において、樹脂が硬化する前に、前検査作業を行って、発光ダイオードの輝度および色度のコントラストの正否を検査することで、発光ダイオードの製造後の歩留りを90%以上にまで改善して、ひいては製造コストを大幅に削減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)を提供するものであって、
金属板材を準備し、
前記金属板材にはリードフレームと、複数の金属フレームとが形成されており、前記金属フレーム上には第1の電極板と、第2の電極板と、前記第1の電極板、第2の電極板およびリードフレームを連結する第1の連結部を備えており、かつその一つの金属フレームの第1の電極板および第2の電極板のうち一つの側辺のみに前記リードフレームに連結する第2の連結部を有しており、
前記金属フレーム上には樹脂ベースが成形されており、成形後の前記樹脂ベースは正面に前記第1の電極板および前記第2の電極板を露出させる中空機能領域を備えており、かつ樹脂ベースの一側辺の位置上には、前記第2の連結部および前記リードフレームを露出させる退避空間が形成されており、
露出した前記第2の連結部の一部およびリードフレームをダイシングし、
前記樹脂ベースの中空機能領域内の第2の電極板上にはLEDチップが実装されており、
ワイヤで前記LEDチップと前記第1の電極板とを電気的に接続し、
樹脂を前記中空機能領域に注入し、
切断された金属フレームの第2の連結部に電源を印加して、前記第1の電極板および前記第2の電極板に通電して前記LEDチップを点灯することで、輝度および色度のコントラスト検査を行う、ことを含む。
【0007】
このうち、前記リードフレーム上には間隔を空けて配列された複数の長穴と短穴とを有しており、二つの前記短穴の間には貫通穴を有している。
【0008】
このうち、前記連結部は長手方向または幅方向で金属フレームの各々を連結している。
【0009】
このうち、前記電極板は長方形であるとともに、前記第2の電極板に隣接または対向する側辺上に対応する二つの切り欠きを有している。
【0010】
このうち、前記第2の電極板の二つの側辺上には対応する二つのトレンチを有しており、前記第2の電極板の他方の側辺は窪みを有している。
【0011】
このうち、前記樹脂ベースの裏面は前記第1の電極板および前記第2の電極板を露出させるための二つの開口を有している。
【0012】
このうち、支持構造を打ち抜きまたはエッチングした後、前記支持構造の金属フレームに電気メッキを施して金属膜を成膜する。
【0013】
このうち、前記退避空間が前記第2の連結部および前記リードフレーム上で熱硬化性樹脂がない箇所である。
【0014】
このうち、前記LEDチップが単色または多色のチップである。
【0015】
このうち、前記ワイヤが金線である。
【0016】
前記樹脂がシリコーンである。
【0017】
前記樹脂には蛍光粉末が添加されている。
【発明の効果】
【0018】
上記した金属フレームは樹脂ベースの製作が完了した後に前記金属フレームの第2の連結部のダイシングを行って、発光ダイオードは樹脂モールド後に前検査作業が行えるようになることで、発光ダイオードの歩留りを90%以上にまで改善することができ、不良率の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】本発明の発光ダイオードの支持構造の概略図。
【
図4】本発明の発光ダイオードの支持構造上に樹脂ベースが成型された正面概略図。
【
図5】本発明の発光ダイオードの支持構造上に樹脂ベースが成型された裏面概略図。
【
図6】
図3、4のリードフレームおよび連結部がダイシングされる概略図。
【
図7】本発明の発光ダイオードの支持構造の平面概略図。
【
図8】本発明の発光ダイオードの支持構造の側面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここに本発明の技術内容および詳細な説明に関して、図面を合せて以下のとおり説明する。
【0021】
本発明の製造手順、発光ダイオードの支持構造および
図2の一部拡大概略図である
図1、2、3を参照されたい。図示するように、本発明の発光ダイオードの支持構造の製造方法(二)は、まず、ステップ100のように金属板材を準備する。
【0022】
ステップ102にて、前記金属板材を打ち抜きまたはエッチングにて支持構造を製作する。前記支持構造10は、リードフレーム1と、複数の金属フレーム2とを含む。前記リードフレーム1は、その上に間隔を空けて配列された複数の長穴11と短穴12とを有しており、二つの前記短穴12の間には貫通穴13を有している。前記金属フレーム2上には第1の電極板21と、第2の電極板22と、前記第1の電極板21、第2の電極板22およびリードフレーム1を連結する第1の連結部(bar)23を備えており、前記第1の電極板21は長方形であるとともに、前記第2の電極板22に隣接または対向する側辺上に対応する二つの切り欠き211を有しており、前記第2の電極板22の二つの側辺上には対応する二つのトレンチ221を有しており、前記第2の電極板22の他方の側辺は窪み222を有しており、前記側辺のトレンチ221および前記窪み222により前記第2の電極板22を衣服のような形状としている。前記したいずれかの金属フレーム2の第1の電極板21および第2の電極板22の二つの側辺にはその他の第1の電極板21および第2の電極板22に連結する第1の連結部23を有しておらず、わずかに一側辺上に前記リードフレーム1に連結する第2の連結部24を有しているのみである。
【0023】
ステップ104にて、支持構造10を打ち抜きまたはエッチングした後、前記支持構造10の金属フレーム2に電気メッキを施して、前記金属フレーム2に金属膜を成膜する。
【0024】
ステップ106にて、上記した支持構造10の電気メッキが完了した後、熱硬化性樹脂で熱硬化成型技術を経て、前記金属フレーム2上に樹脂ベース3を成型するが、前記樹脂ベース3の成型後には前記第1の電極板21、第2の電極板22および第1の連結部23を被覆することになる。前記樹脂ベース3の正面は中空機能領域31を備えており、前記中空機能領域31は前記第1の電極板21および前記第2の電極板22を露出させる(
図4)。同様に。樹脂ベース3の裏面は第1の電極板21および第2の電極板22を露出させるための二つの開口32、33を有しており、前記第1の電極板21および前記第2の電極板22が導通してLEDチップ(図示しない)が点灯したとき、前記開口32、33は前記第1の電極板21および第2の電極板22に放熱作用をもたらす(
図5)。樹脂ベース3が熱硬化した後、樹脂ベース3位置の一側辺上に前記第2の連結部24およびリードフレーム1を露出状態とする退避空間(熱硬化性樹脂がない)34が形成される(
図4、
図5)。
【0025】
ステップ108にて、前記支持構造10上の金属フレーム2の樹脂ベース3が熱硬化した後、退避空間34上で露出している前記第2の連結部24の一部およびリードフレーム1をダイシングするが、前記第2の連結部24が切断された後、前記樹脂ベース3がその他樹脂ベース3と繋がる(
図6、7)。
【0026】
ステップ110にて、露出している前記第2の連結部24の一部およびリードフレーム1が切断された後、前記樹脂ベース3の中空機能領域31にて露出している第2の電極板22上にはLEDチップ4が実装されている。本図面において、前記LEDチップ4は単色または多色のチップである(
図7、8)。
【0027】
ステップ112にて、前記LEDチップ4にてワイヤ5を前記中空機能領域31にて露出している第1の電極板21上に接続する。本図面において、前記ワイヤ5は金線である。
【0028】
ステップ114にて、ダイボンディングおよびワイヤボンディング製作が完了した後、樹脂ベース3の中空機能領域31内に樹脂モールド製作を行って、樹脂6を前記中空機能領域31に注入する(
図8)。本図面において、前記樹脂はシリコーンである。
【0029】
ステップ116にて、樹脂モールドの後、発光ダイオードに前検査作業を行うことができるが、いわゆる前検査作業とは樹脂モールドの後、前記樹脂6が硬化する前に、検査者が、第2の連結部24が切断された単一の金属フレーム2の前記第1の電極板21および第2の電極板22上に電圧を印加することで、前記LEDチップ4を点灯して生じた光と前記樹脂6に混入されている蛍光粉末とで混色した後に、形成される色度および輝度が予め設計されている色度および輝度のコントラストの要求に達しているかを検査するというものである。
【0030】
もし、白色光の発光ダイオードを製造したい場合には、前記LEDチップは青色光で、さらに中空機能領域31に注入される樹脂6は黄色が混合された蛍光粉末であって、そして樹脂6注入後でまだ硬化していないときに、検査者は前記第2の連結部24が切断された単一の金属フレーム2の前記第1の電極板21および第2の電極板22上に電源を印加することで、LEDチップ4と黄色の蛍光粉末が混入された樹脂6の輝度および色度のコントラストが正確であるかの検査を行う。
【0031】
上記した金属フレーム2は樹脂ベース3の製作が完了した後に前記金属フレーム2の第2の連結部24のダイシングを行って、発光ダイオードは樹脂モールド後に前検査作業が行えるようになることで、発光ダイオードの歩留りを90%以上にまで改善ことができ、不良率の発生を低減することができる。
【0032】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の実施範囲を限定するためのものではない。およそ本発明の特許請求の範囲によりなされた均等変化および付加は、いずれも本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
100〜116ステップ
10支持構造
1リードフレーム
11長穴
12短穴
13貫通穴
2金属フレーム
21第1の電極板
211切り欠き
22第2の電極板
221トレンチ
222窪み
23第1の連結部
24第2の連結部
3樹脂ベース
31中空機能領域
32、33開口
34退避空間
4LEDチップ
5ワイヤ
6樹脂