特許第5720977号(P5720977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5720977
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】マトリクスコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 5/297 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
   H02M5/297
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-163131(P2010-163131)
(22)【出願日】2010年7月20日
(65)【公開番号】特開2012-29372(P2012-29372A)
(43)【公開日】2012年2月9日
【審査請求日】2012年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】岸本 一孝
(72)【発明者】
【氏名】古城 眞人
(72)【発明者】
【氏名】内野 貴裕
【審査官】 神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−148333(JP,A)
【文献】 特開2006−200860(JP,A)
【文献】 特開2008−091592(JP,A)
【文献】 特開2010−147131(JP,A)
【文献】 特開2006−333590(JP,A)
【文献】 特開2007−221858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 5/00〜5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相交流電源の第1〜第3の相の出力に対して直列にそれぞれ接続される第1〜第3のACリアクトルと、
前記第1〜第3のACリアクトルを冷却するための冷却風を発生させる第1の冷却ファンと、
平面視して前記第1〜第3のACリアクトルの入出力端子が突出する側に設けられ、複数のACコンデンサをそれぞれ内部に有する複数のACコンデンサモジュールと、
半導体双方向スイッチをそれぞれ有する複数の半導体スイッチモジュールと、を備え、
前記第1〜第3のACリアクトルが、前記冷却風の流れる方向と交差する方向に並んで配置され、
前記ACコンデンサモジュールの端子及び該端子と接続される前記半導体スイッチモジュールの端子が、実質的に同一の高さ位置にあり、厚み方向に折り曲げられていない銅バーにより互いに接続されるマトリクスコンバータ。
【請求項2】
請求項1記載のマトリクスコンバータにおいて、
前記第1〜第3のACリアクトル、及び前記複数のACコンデンサモジュールが収められた筐体内に、前記第1〜第3のACリアクトルが固定される第1の固定部材と、
前記複数のACコンデンサモジュールが固定される第2の固定部材と、
前記複数の半導体スイッチモジュールが固定される第3の固定部材と、を備え、
前記第2の固定部材は、前記第3の固定部材よりも高さ位置が低いマトリクスコンバータ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のマトリクスコンバータにおいて、
前記第1〜第3のACリアクトルの出力側にて、前記複数のACコンデンサモジュールによって構成された3つのコンデンサによりY結線されるマトリクスコンバータ。
【請求項4】
請求項1又は2記載のマトリクスコンバータにおいて、
前記複数のACコンデンサモジュールは、9個であり、
前記複数のACコンデンサモジュールによって構成された3つのコンデンサの一方の側の端子が共に中性点に接続され、他方の側の端子が前記第1〜第3のACリアクトルの出力端子にそれぞれ接続されるマトリクスコンバータ。
【請求項5】
請求項記載のマトリクスコンバータにおいて、
前記複数のACコンデンサモジュールは、9個であり、
前記複数のACコンデンサモジュールによって構成された3つのコンデンサの一方の側の端子が共に中性点に接続され、他方の側の端子が前記第1〜第3のACリアクトルの出力端子にそれぞれ接続され、
前記第2の固定部材は、前記第1の固定部材よりも高さ位置が低く、
前記ACコンデンサモジュールの上方かつ前記第1〜第3のACリアクトルの入出力端子が突出する側に形成される空間に、該第1〜第3のACリアクトルを冷却する第2の冷却ファンを更に備えるマトリクスコンバータ。
【請求項6】
請求項5記載のマトリクスコンバータにおいて、
前記ACコンデンサモジュールの上方に、前記第2の冷却ファンが固定される第4の固定部材を備え、
該第4の固定部材の両端部が、それぞれ前記筐体を形成する対向した両側の板に固定されるマトリクスコンバータ。
【請求項7】
請求項6記載のマトリクスコンバータにおいて、
前記第2の冷却ファンを下側に支持する支持部材を更に備え、
前記第2の冷却ファンが、前記第4の固定部材に形成された孔に上方から挿入され、前記支持部材を介して該第4の固定部材に固定されるマトリクスコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリクスコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電力変換器が記載されている。この電力変換器の筐体には、IGBTモジュールの入力側に、ACフィルタを構成する3個のACリアクトルが設けられている。また、筐体には、筐体内部の熱を外部に排出する冷却ファンが設けられている。
3個のACリアクトルは、冷却ファンによって発生する冷却風の流れ方向に沿って、順番に並べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−77518号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、3個のACリアクトルを、冷却風の流れ方向に沿って順番に並べると、より下流側のACリアクトルの冷却効率が悪くなり、その温度が上昇する。ここで、ACリアクトルのインダクタンスは、ある一定の温度Tを超えると極端に小さくなる温度特性を有している。そのため、電力変換器においては、この温度Tを超えないようにするために、温度的に余裕のあるサイズの大きなACリアクトルが選定されている。
本発明は、ACリアクトルのサイズを小型化したマトリクスコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う発明に係るマトリクスコンバータは、3相交流電源の第1〜第3の相の出力に対して直列にそれぞれ接続される第1〜第3のACリアクトルと、
前記第1〜第3のACリアクトルを冷却するための冷却風を発生させる第1の冷却ファンと、
平面視して前記第1〜第3のACリアクトルの入出力端子が突出する側に設けられ、複数のACコンデンサをそれぞれ内部に有する複数のACコンデンサモジュールと、
半導体双方向スイッチをそれぞれ有する複数の半導体スイッチモジュールと、を備え、
前記第1〜第3のACリアクトルが、前記冷却風の流れる方向と交差する方向に並んで配置され、
前記ACコンデンサモジュールの端子及び該端子と接続される前記半導体スイッチモジュールの端子が、実質的に同一の高さ位置にあり、厚み方向に折り曲げられていない銅バーにより互いに接続される。
発明に係るマトリクスコンバータにおいて、前記第1〜第3のACリアクトル、及び前記複数のACコンデンサモジュールが収められた筐体内に、前記第1〜第3のACリアクトルが固定される第1の固定部材と、
前記複数のACコンデンサモジュールを固定する第2の固定部材と、
前記複数の半導体スイッチモジュールを固定する第3の固定部材と、を備え、
前記第2の固定部材は、前記第3の固定部材よりも高さ位置が低いことが好ましい。
【0006】
発明に係るマトリクスコンバータにおいて、前記第1〜第3のACリアクトルの出力側にて、前記複数のACコンデンサモジュールによって構成された3つのコンデンサによりY結線されることが好ましい。
【0007】
発明に係るマトリクスコンバータにおいて、前記複数のACコンデンサモジュールは、9個であり、
前記複数のACコンデンサモジュールによって構成された3つのコンデンサの一方の側の端子が共に中性点に接続され、他方の側の端子が前記第1〜第3のACリアクトルの出力端子にそれぞれ接続されることが好ましい。
【0008】
【0009】
発明に係るマトリクスコンバータにおいて、前記複数のACコンデンサモジュールは、9個であり、
前記複数のACコンデンサモジュールによって構成された3つのコンデンサの一方の側の端子が共に中性点に接続され、他方の側の端子が前記第1〜第3のACリアクトルの出力端子にそれぞれ接続され、
前記第2の固定部材は、前記第1の固定部材よりも高さ位置が低く、
前記ACコンデンサモジュールの上方かつ前記第1〜第3のACリアクトルの入出力端子が突出する側に形成される空間に、該第1〜第3のACリアクトルを冷却する第2の冷却ファンを更に備えることができる。
【0010】
発明に係るマトリクスコンバータにおいて、前記ACコンデンサモジュールの上方に、前記第2の冷却ファンが固定される第4の固定部材を備え、
該第4の固定部材の両端部が、それぞれ前記筐体を形成する対向した両側の板に固定されてもよい。
【0011】
発明に係るマトリクスコンバータにおいて、前記第2の冷却ファンを下側に支持する支持部材を更に備え、
前記第2の冷却ファンが、前記第4の固定部材に形成された孔に上方から挿入され、前記支持部材を介して該第4の固定部材に固定されることが好ましい
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜7記載のマトリクスコンバータにおいては、本発明の構成をとらない場合に比べ、ACリアクトルを小型化することが可能である。また、銅バーのインダクタンスを小さくすることが可能である。
【0013】
特に、請求項3、4記載のマトリクスコンバータにおいては、本発明の構成をとらない場合に比べ、コンデンサの容量を容易に変更することが可能である。
【0014】
【0015】
請求項5記載のマトリクスコンバータにおいては、本発明の構成をとらない場合に比べ、
ACリアクトルの冷却効率を向上させることが可能である。
【0016】
請求項6記載のマトリクスコンバータにおいては、本発明の構成をとらない場合に比べ、筐体の剛性を向上させることが可能である。
【0017】
請求項7記載のマトリクスコンバータにおいては、本発明の構成をとらない場合に比べ、第2の冷却ファンを容易に着脱することが可能である
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の第1の実施の形態に係るマトリクスコンバータの内部接続図、同図(A)に示す一部のIGBTモジュールの詳細な接続図である。
図2】同マトリクスコンバータの内部構造を示す斜視図である。
図3】同マトリクスコンバータの内部を図2とは異なる角度から見た斜視図である。
図4】同マトリクスコンバータの内部構造を示す平面図である。
図5】同マトリクスコンバータの内部構造を示す側断面図である。
図6】同マトリクスコンバータの内部構造を示す前部断面図である。
図7】本発明の第2の実施の形態に係るマトリクスコンバータが有する第2の冷却ファンの取り付けを示す斜視図である。
図8】同マトリクスコンバータの内部構造を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、説明の便宜上、図2図8に示す上下方向、左右方向、及び前後方向を定義する。但し、マトリクスコンバータの実際の使用状態によっては、設置方法が各図とは異なり、例えば、図2図8に示した上方向が前方向に、下方向が後方向に、前方向が下方向に、後方向が上方向となる場合がある。また、各図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0020】
本発明の第1の実施の形態に係るマトリクスコンバータ10は、入力された3相交流電力を周波数や電圧が異なる交流電力に変換することができる。マトリクスコンバータ10の容量は、例えば、160kWである。
図1(A)に示すように、マトリクスコンバータ10は、第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3と、コンデンサC1、C2、C3と、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュール(半導体スイッチモジュールの一例)Q1〜Q9とを備え、モータMを駆動することができる。
【0021】
第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3は、それぞれ、3相交流電源11のR相、S相、及びT相の出力に対して直列に接続される。
【0022】
コンデンサC1、C2、C3は、第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3の出力側にて、R相、S相及びT相に対してY結線(スター結線)される。第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3及びコンデンサC1、C2、C3により、入力フィルタが構成される。
コンデンサC1、C2、C3は、実際には、それぞれ複数のACコンデンサが並列に接続されて構成される(図1(A)においては詳細に示していない)。
【0023】
IGBTモジュールQ1〜Q9は、第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3の出力側に接続される。各IGBTモジュールQ1〜Q9は、例えば、樹脂モールドされた半導体双方向スイッチと、上部に設けられた周辺回路基板とを有している。IGBTモジュールQ1〜Q9の半導体双方向スイッチは、図示しない制御回路によってオン、オフが制御され、U相、V相、及びW相の電圧が出力される。図1(B)に示すように、IGBTモジュールQ1〜Q9には、スナバモジュールSMが接続されている。スナバモジュールSMの内部には、半導体双方向スイッチのスイッチングにより発生するサージ電圧を吸収するスナバ回路を構成するためのダイオード及びコンデンサが複数設けられている。なお、スナバモジュールSMには、外部の放電回路14が接続される。
【0024】
図2図5に示すように、マトリクスコンバータ10の筐体15内には、第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3、複数のACコンデンサモジュールCM11、CM12、CM13、CM21、CM22、CM23、CM31、CM32、CM33、複数のIGBTモジュールQ1〜Q9、複数のスナバモジュールSM、及び冷却ファン17、18(それぞれ、第1及び第3の冷却ファンの一例)が設けられている。第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3、ACコンデンサモジュールCM11〜CM33、及びIGBTモジュールQ1〜Q9は銅バーによって、電気的に接続される。
筐体15の前後方向、左右方向及び上下方向の寸法は、それぞれ例えば、1100〜1300mm、680〜710mm、及び350〜400mmである。
筐体15内の後部には、第1の仕切り板(第1の固定部材の一例)21が略水平に設けられている。筐体15内の後部を除いた部分には、第2の仕切り板(第2の固定部材の一例)22及び第2の仕切り板22の右側に位置する第3の仕切り板(第3の固定部材の一例)23が設けられている。第1〜3の仕切り板21、22、23により、筐体15の内部の空間は、部分的に上下に仕切られる。第1及び第3の仕切り板21、23と第2の仕切り板22とは、それぞれ上下方向の位置が異なって設けられており、第1の仕切り板21は、第1の上下方向位置H1に設けられている(図5参照)。第2の仕切り板22は、第1の上下方向位置H1よりも低い第2の上下方向位置H2に設けられている。第3の仕切り板23は、第1の上下方向位置H1に設けられている(図6参照)。なお、第3の仕切り板23は、第2の上下方向位置H2より高い位置であれば第1の上下方向位置H1とは異なる位置に設けられていてもよい。
更に、筐体15内の後部を除いた部分には、筐体15の底板25から上方向に延び、筐体15の内部の空間を部分的に左右に仕切る第4の仕切り板24が設けられている(図3及び図6参照)。第4の仕切り板24には、第2の仕切り板22の右端部及び第3の仕切り板23の左端部が結合されている。
【0025】
次に、筐体15内に収容された冷却ファン17、18、第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3、ACコンデンサモジュールCM11〜CM33、及びIGBTモジュールQ1〜Q9について詳細に説明する。
【0026】
冷却ファン17、18は、筐体15の内部を冷却するための冷却風を発生することができる。発生した冷却風により、筐体15内の熱は筐体15の後方へ排出される。付言すると、マトリクスコンバータ10の使用状態によっては、熱は上方向に排出される場合がある。図5に示すように、冷却ファン17は、筐体15内の後端部の上側に配置され、冷却ファン18は、冷却ファン17の下側に配置される。
【0027】
第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3は、第1の仕切り板21に固定され、筐体15の前後方向中央よりも後寄りに配置されている。また、図4に示すように、第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3は、冷却ファン17により発生する冷却風の流れ方向に対して、例えば70〜110度の範囲で交差する方向に並んで配置されている。従って、第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3には、冷却風が実質的に均等に当たるため、冷却効率が良好に維持される。なお、冷却風の流れ方向と、第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3の配置方向は、冷却効率が悪化して、温度的に余裕のあるより大きいサイズのACリアクトルを選定しなくてもよい程度に交差していればよい。
【0028】
第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3は一体に構成されており、その前後方向、左右方向及び上下方向の寸法(端子部を除いた寸法)は、例えば、120〜130mm、350〜370mm、及び180〜210mmである。
第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3には、前側に突出し、それぞれ上下に設けられた1番端子及び2番端子を有している(図4参照)。1番端子及び2番端子の先端には、それぞれ銅バーを接続するための孔が形成されている。1番端子(入力端子)には、入力側(電源側)につながる銅バーが接続される。2番端子(出力端子)には、ACコンデンサモジュールCM11〜CM33につながる銅バーが接続される。
【0029】
図1(A)に示したコンデンサC1、C2、C3は、例えば図2図4に示すような9個のACコンデンサモジュールCM11、CM12、CM13、CM21、CM22、CM23、CM31、CM32、CM33により実現される。
各ACコンデンサモジュールCM11〜CM33の内部には、それぞれ、例えば3個のACコンデンサが設けられている。このように、図1(A)に示すコンデンサC1、C2、C3は、複数個のACコンデンサモジュールCM11〜CM33に分割されて構成されているため、コンデンサの容量変更が容易である。例えば、コンデンサC1、C2、C3の容量をそれぞれ減らしたい場合には、対応するACコンデンサモジュールが取り外される。
【0030】
ACコンデンサモジュールCM11、CM12、CM13は、第2の仕切り板22に固定され、筐体15の前側に配置されている。ACコンデンサモジュールCM21、CM22、CM23は、第2の仕切り板22に固定され、それぞれ、ACコンデンサモジュールCM11、CM12、CM13の後側に配置されている。ACコンデンサモジュールCM31、CM32、CM33は、第2の仕切り板22に固定され、それぞれ、ACコンデンサモジュールCM21、CM22、CM23の後側に配置されている。また、ACコンデンサモジュールCM31、CM32、CM33は、それぞれ、平面視して、第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3の前側に配置されている。
ACコンデンサモジュールCM11〜CM33はそれぞれ第2の仕切り板22に固定されているため、第1の仕切り板21に固定された第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3よりも低い位置に固定されている。そのため、第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3の前方(入出力端子が突出する側)かつACコンデンサモジュールCM11〜CM33の上方には空間が形成されている。
【0031】
各ACコンデンサモジュールCM11〜CM33の前後方向、左右方向及び上下方向の寸法(端子部を除いた本体部の寸法)は、それぞれ例えば、170〜200mm、90〜110mm、及び65〜70mmである。
各ACコンデンサモジュールCM11〜CM33は、上側に突出した1〜4番端子を有している(図4参照)。これら4つの端子のうち、1番端子は左側に設けられ、コンデンサの中性点N(図1(A)参照)に接続される。2〜4番端子は右側に設けられ、それぞれ第1のACリアクトルL1の2番端子(R相)、第2のACリアクトルL2の2番端子(S相)、及び第3のACリアクトルL3の2番端子(T相)に接続される。前述の各ACコンデンサモジュールCM11〜CM33の内部に設けられた3個のACコンデンサは、一方の端子が共にACコンデンサモジュールの1番端子に内部接続されており、他方の端子がそれぞれ2番端子、3番端子、及び4番端子に内部接続されている。
1〜4番端子の先端は内向きに折り曲げられ、それぞれ銅バーを接続するためのねじ孔が形成されている。
【0032】
IGBTモジュールQ1〜Q9は、第3の仕切り板23に固定され、ACコンデンサモジュールCM11〜CM33の右側に、前後方向に並んで配置されている。
IGBTモジュールQ1〜Q9はそれぞれ第3の仕切り板23に固定されているため、第2の仕切り板22に固定されたACコンデンサモジュールCM11〜CM33の端子を除いた本体部よりも高い位置に固定されている。
【0033】
IGBTモジュールQ1〜Q9の前後方向、左右方向及び上下方向の寸法は、それぞれ例えば、60〜65mm、140〜150mm、及び15〜30mmである。
各IGBTモジュールQ1〜Q9は、平面視して、右側に1番端子及び2番端子、左側に3番端子及び4番端子を有している(図4参照)。1番〜4番端子は、端子固定用ねじが上方から挿入されるねじ端子である。各IGBTモジュールQ1〜Q9の2番端子には、負荷側につながる銅バー29及びスナバモジュールSMの端子が共締めされて接続される。4番端子には、ACコンデンサモジュールの端子から延びる銅バー30及びスナバモジュールSMの端子が共締めされて接続される。なお、1番端子と3番端子は、スナバモジュールSMにのみ接続される。
ここで、前述のように、ACコンデンサモジュールCM11〜CM33及びIGBTモジュールQ1〜Q9は、それぞれ第2の仕切り板22及び第3の仕切り板23に設けられている。そのため、ACコンデンサモジュールCM11〜CM33の端子の先端部と接続されるIGBTモジュールQ1〜Q9の端子は、それぞれ実質的に同一の高さ位置にある。その結果、図6に示すように、ACコンデンサモジュールの端子とIGBTモジュールの4番端子とを接続する銅バー30は、前方向から見ると直線状となっている、この直線状の銅バー30は、途中が厚み方向に折り曲げられていないため、インダクタンスが小さい。そのため、サージ電圧が抑制される。なお、「実質的に同一の高さ位置」とは、途中が厚み方向に折り曲げられていない直線状の銅バーにより、ACコンデンサモジュールの端子及びIGBTモジュールの端子を接続できる程度のずれは許容される趣旨である。従って、例えば、5mm以下のずれは許容される。
【0034】
IGBTモジュールQ1〜Q9の反対側となる第3の仕切り板23の下側の面には、ヒートシンク32が設けられている(図2図6及び図7参照)。ヒートシンク32により、IGBTモジュールQ1〜Q9から発生した熱が放出される。ヒートシンク32は、主として、冷却ファン18によって冷却される。
【0035】
続いて、本発明の第2の実施の形態に係るマトリクスコンバータ50について説明する。第1の実施の形態に係るマトリクスコンバータ10と同一の構成要素については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0036】
まず、図7に示す、第1の実施の形態において説明を省略した取り付け板(第4の固定部材の一例)54について説明する。取り付け板54は、ACコンデンサモジュールCM11〜CM33の上方で、平面視して、前後方向中央部に設けられている。取り付け板54の左右の両端は、筐体15の左右の板(筐体15を形成する対向した両側の板)56、57に固定されている。従って、この取り付け板54は、筐体15の強度メンバーとして機能することができるので、筐体15の剛性が向上する。
取り付け板54の上面には、IGBTモジュールQ1〜Q9に設けられた各半導体双方向スイッチを制御する制御回路基板60と、ユーザがマトリクスコンバータ50の各種設定をするための操作ユニット61、並びに制御回路基板60及び操作ユニット61に電源を供給するための電源基板62とが設けられている。
【0037】
マトリクスコンバータ50は、第1の実施の形態に係るマトリクスコンバータ10と比べて、更に、冷却ファン(第2の冷却ファン)65を備えている。前述のように、第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3とACコンデンサモジュールCM11〜CM33は、上下方向位置が異なって配置されているため、第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3の前方(入出力端子が突出する側)かつACコンデンサモジュールCM11〜CM33の上方に空間が生じている。冷却ファン65は、この空間に配置される。
具体的には、図8に示すように、冷却ファン65は、支持部材66の下側に支持され、筐体15の上部に設けられた取り付け板54にこの支持部材66を介して固定される。取り付け板54には、冷却ファン65の外形よりも大きい矩形状の孔67が形成されている。この孔67は、平面視して、ACリアクトルL2の前側に形成されている。冷却ファン65は、上方から孔67に挿入され(図7に示す矢印参照)、支持部材66を介して取り付け板54に固定される。
このように、第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3の前側に冷却ファン65が設けられているので、第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3の冷却効率が更に向上する。
【0038】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能である。例えば、前述のそれぞれ実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明を構成する場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0039】
第1〜第3のACリアクトルL1、L2、L3が配置される方向と交差する方向に冷却風が流れるように構成されるのであれば、冷却ファン17の配置位置は任意でよい。
図1(A)に示すコンデンサC1、C2、C3は、9個のACコンデンサモジュールCM11〜CM33に分割されて構成されているが、9個に限定されるものではない。また、各ACコンデンサモジュールCM11〜CM33の内部には、それぞれ3個のACコンデンサが設けられているが、3個に限定されるものではない。コンデンサC1、C2、C3は、複数のACコンデンサにより構成され、仕様に応じて取り外されて、容量が調整できればよい。
【符号の説明】
【0040】
10:マトリクスコンバータ、11:3相交流電源、14:放電回路、15:筐体、17:冷却ファン、18:冷却ファン、21:第1の仕切り板、22:第2の仕切り板、23:第3の仕切り板、24:第4の仕切り板、25:底板、29、30:銅バー、32:ヒートシンク、50:マトリクスコンバータ、54:取り付け板、56、57:板、60:制御回路基板、61:操作ユニット、62:電源基板、65:冷却ファン、66:支持部材、67:孔、M:モータ、L1、L2、L3:ACリアクトル、C1、C2、C3:コンデンサ、CM11、CM12、CM13、CM21、CM22、CM23、CM31、CM32、CM33:ACコンデンサモジュール、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7、Q8、Q9:IGBTモジュール、SM:スナバモジュール
図1
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図8