(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。尚、各図において、実質的に同一又は等価な構成要素、部分には同一の参照符を付している。
【0012】
図2(a)は本発明の実施例に係る半導体発光装置1の斜視図、
図2(b)は半導体発光装置1の平面図である。
図3は、
図2(b)における3−3線に沿った断面図である。
図4は、半導体発光装置1の等価回路図である。
【0013】
半導体発光装置1は、基板10上に6つのLEDチップ20a〜20fが搭載された面実装型の発光装置である。基板10は、電極パッド形成面を有する第1セラミック層11と、素子搭載面を有する第2セラミック層12とを積層して構成されるものである。また、基板10上には第3セラミック層13を更に積層することにより形成される枠体130が設けられる。枠体130の側壁132によって囲まれる空間内にはLEDチップ20a〜20fを封止する封止樹脂60が充填される。第1乃至第3セラミック層は、例えばアルミナ・セラミックスにガラス成分を混ぜることで焼成温度を900℃程度としたLTCC(低温同時焼成セラミックス)からなり、各セラミック層は拘束焼結されて一体的な形態をなす積層セラミックパッケージを構成している。
【0014】
基板10の素子搭載面(第2セラミック層12の表面)には、6つのLEDチップ20a〜20fが環状配列をなして搭載されている。基板10は、素子搭載面内にLEDチップの環状配列の内側に配置された円形の凹部121を有する。凹部121の底面には、第1セラミック層11上に設けられた電極パッド32nおよび32pが延在している。電極パッド32nおよび32pは、それぞれ半円形状を有し、互いに隣接して設けられることにより略円形の電極パターンを形成している。凹部121の側壁は上記略円形の電極パターンを囲んでいる。電極パッド32pは、LEDチップ20a、20b、20cに共通の電極パッドであり、ボンディングワイヤ40を介してこれらのLEDチップのp電極に接続される。電極パッド32nは、LEDチップ20d、20e、20fに共通の電極パッドであり、ボンディングワイヤ40を介してこれらのLEDチップのn電極に接続される。
【0015】
基板10は、素子搭載面においてLEDチップの環状配列の外側に配置された複数の円形の凹部122を有する。凹部122の底面には、第1セラミック層11上に設けられた電極パッド31nまたは31pが延在している。電極パッド31nおよび31pは、各LEDチップ毎に独立に設けられている。電極パッド31nおよび31pの形状は例えば円形とすることができるが、これに限定されるものではない。電極パッド31nは、それぞれ、ボンディングワイヤ40を介してLEDチップ20a、20b、20cのn電極に接続される。電極パッド31pは、それぞれ、ボンディングワイヤ40を介してLEDチップ20d、20e、20fのp電極に接続される。電極パッド31n、31p、32n、32p、外部接続端子35p、35nは、例えばAg、Pd、Ni、Auを順次積層した多層金属膜によって構成される。
【0016】
このように、電極パッド31n、31p、32n、32pは、基板10の素子搭載面(第2セラミック層12の表面)に設けられた凹部121および122の底面(第1セラミック層11の表面)に形成されており、素子搭載面よりも低位置に配置されている。
【0017】
第1セラミック層11の裏面には、外部接続端子35nおよび35pが設けられている。外部接続端子35nは、コンタクトビア36n等を介して電極パッド31n、32nに電気的に接続される。一方、外部接続端子35pは、コンタクトビア36p等を介して電極パッド31p、32pに電気的に接続される。半導体発光装置1には、外部接続端子35p、35nを介して電力供給が行われ、LEDチップ20a〜20fが駆動される。上記の如き接続構成によってLEDチップ20a〜20fは、
図4に示すように、互いに並列接続される。
【0018】
尚、基板10の素子搭載面(第2セラミック層12の表面)は光反射層およびガラス層で覆われていてもよい。光反射層は、LEDチップから発せられる光に対して光反射性を有するAg等の金属により構成される。光反射層は、基板10の素子搭載面の略全域に延在していることが好ましい。ガラス層は、光反射層の上面及び側面を覆い、光反射層の劣化に伴う反射率の低下を防止する。例えば、光反射層がAgからなる場合、ガラス層は、Agの硫化を防止する。
【0019】
基板10の素子搭載面に対して凹んでいる凹部121内には光反射性樹脂50が充填されている。すなわち、凹部121の底面に延在する電極パッド32n、32pは、光反射性樹脂50で覆われる。また、電極パッド32n、32pに接続されるボンディングワイヤ40の一部は光反射性樹脂50内に埋設される。光反射性樹脂50は、例えばシリコーン樹脂にアルミナ等の光散乱粒子を混合した白色の樹脂である。尚、アルミナ以外に酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等を光散乱粒子として用いることができる。光反射性樹脂50は電極パッド32n、32pよりも高い光反射性を有する。光吸収性を持つAu層を最表面に有する電極パッド32n、32pが反射率の高い光反射性樹脂50で被覆されることにより、半導体発光装置1の光出力の向上および輝度むらの低減を図ることが可能となる。光反射性樹脂50の被覆形状等については、後述する。
【0020】
基板10上には、第3セラミック層13によって構成される枠体130が設けられている。枠体130は、LEDチップ20a〜20fおよび電極パッド31n、31p、32n、32pを囲む円形に連なる側壁132を形成する。側壁132は、LEDチップ20a〜20fから発せられる光を半導体発光装置1の内側に向けて反射せしめるリフレクタとして機能する。封止樹脂60は、枠体130の側壁132で囲まれた凹状空間内に充填される。LEDチップ20a〜20f、電極パッド31n、31p、32n、32p、ボンディングワイヤ40および光反射性樹脂50は、封止樹脂60内に埋設される。封止樹脂60は、例えばシリコーン樹脂等の光透過性樹脂からなる。封止樹脂60内には、LEDチップから発せられる光の波長を変換せしめる蛍光体が分散されていてもよい。
【0021】
以下に光反射性樹脂50の被覆形状について詳細に説明する。
図5は、光反射性樹脂50の形成部における拡大断面図である。上記したように、光反射性樹脂50は、基板10の素子搭載面に設けられた凹部121を充填し、電極パッド32nおよび32pを被覆する。光反射性樹脂50は、凹部121の側壁121aから凹部121の中央に向けて反り上がった略錐状の被覆形状を有している。すなわち、光反射性樹脂50は、LEDチップ20a〜20fの環状配列の中央であってLEDチップの上面高さよりも高い位置(すなわち、投光方向前方)に頂部を有し、凹部121の側壁121aから頂部を結ぶ表面が下に凸の凹状曲面を呈する略錐状の被覆形状を有する。光反射性樹脂50がかかる被覆形状を有することにより、光反射性樹脂50はLEDチップ20a〜20fから発せられた光を光取り出し面に導くリフレクタとして有効に機能する。また、各LEDチップから光反射性樹脂50の頂部までの距離が略同一となるように光反射性樹脂50を成形することにより、均一な発光分布を得ることが可能となる。
【0022】
光反射性樹脂50の側壁121aと接触する部分における高さは、素子搭載面の高さ位置よりも低くなるように光反射性樹脂50の供給量が制御される。これにより、光反射性樹脂50がLEDチップ20a〜20fの搭載領域まで濡れ広がることを防止している。
【0023】
封止樹脂60の上面は、光反射性樹脂50の頂部から距離Tcをおいて離間している。これにより、発光色および発光輝度の均一性が向上する。すなわち、LEDチップ搭載領域Aと、光反射性樹脂50が充填される凹部領域Bにおける明暗差が低減され、封止樹脂60に蛍光体を含有させる場合には発光色の混色性が向上する。
【0024】
光反射性樹脂50の頂部の高さ位置は、ボンディングワイヤ40のループトップの高さ位置と概ね一致していることが好ましい。光反射性樹脂50を設けない場合や光反射性樹脂50の高さが低すぎる場合(例えば光反射性樹脂50の表面高さが素子搭載面の高さに一致している場合)、LEDチップ搭載領域Aに延在する封止樹脂60の体積と、凹部領域Bに延在する封止樹脂60の体積の差が過大となる。これにより、熱ストレス印加時において領域A−B間で封止樹脂60の厚さ方向における伸縮差が生じ、凹部領域Bにおいて封止樹脂60の剥離が生じるおそれがある。本実施例のように、凹部領域Bに、略錐状に成形され且つその頂部の高さ位置がボンディングワイヤ40のループトップの高さ位置と概ね一致するように光反射性樹脂50を形成することにより、LEDチップ搭載領域Aに延在する封止樹脂60の体積と、凹部領域Bに延在する封止樹脂60の体積とがほぼ等しくなる。これにより、熱応力による封止樹脂60の剥離を防止することが可能となる。尚、光反射性樹脂は、光反射性を得るために高い濃度で光散乱粒子を含有(例えばシリコーン樹脂にアルミナ粒子を70wt%で含有)しているため、光散乱粒子を含有していないものと比較して樹脂部分の体積は小さいものとなっている。
【0025】
図6(a)〜(c)は、凹部121の側壁121aの傾斜角度と光反射性樹脂50の被覆形状との関係を示す断面図である。光反射性樹脂50をリフレクタとして有効に機能させるためには、光反射性樹脂50がその周縁部から中央部に向けて反り上がった反り上がり形状を有していること、すなわち、光反射性樹脂50の表面が凹状曲面を有していることが好ましい。
【0026】
光反射性樹脂50において反り上がり形状(凹状曲面)を再現性よく形成するためには、
図6(a)に示すように、凹部の側壁121aが凹部121の底面に対して垂直であることが好ましく、
図6(b)に示すように、側壁121aと凹部121の底面とのなす角が鈍角となるように側壁121aが傾斜していること、換言すれば、光反射性樹脂50が充填される凹部121の開口径が上方(素子搭載面側)に向けて広がる方向に側壁121aが傾斜していることがより好ましい。その理由は、以下のとおりである。すなわち、光反射性樹脂50は、例えば、ディスペンス法によって塗布形成され、凹部121の中央に配置されたディスペンサのノズルから吐出される(
図9参照)。光反射性樹脂50の被覆形状は、ノズルに吸着する方向に作用する表面張力hと凹部の側壁121aを這い上がる方向に作用する表面張力gによって定まる。
図6(a)に示すように、凹部の側壁121aが凹部121の底面に対して垂直である場合、または
図6(b)に示すように、側壁121aと凹部121の底面とのなす角が鈍角となるように側壁121aが傾斜している場合、表面張力hの作用方向と表面張力gの作用方向のなす角を大きくすることができる。これにより、光反射性樹脂50と側壁121aとの接触部における上端点Tと、光反射性樹脂50の反り上がり開始点Sとの高低差が大きくなり、光反射性樹脂50の反り上がり形状を再現性よく形成することが可能となる。
図6(b)に示すように、側壁121aと凹部121の底面とのなす角が鈍角となるように側壁121aが傾斜している場合には、光反射性樹脂50と側壁121aとの接触部における上端点Tと、光反射性樹脂50の反り上がり開始点Sとの高低差がより大きくなり、光反射性樹脂50の反り上がり形状の再現性をより高めることが可能となる。
【0027】
一方、
図6(c)は、凹部の側壁121aと凹部121の底面とのなす角が鋭角となるように側壁121aが傾斜している場合を示している。この場合、ノズルに吸着する方向に作用する表面張力hと凹部の側壁121aを這い上がる方向に作用する表面張力gのなす角が
図6(a)および
図6(b)の場合と比較して小さくなる。これにより、光反射性樹脂50と側壁121aとの接触部における上端点Tと、光反射性樹脂50の反り上がり開始点Sとの高低差が小さくなり、光反射性樹脂50の反り上がり形状を形成することが困難となる。すなわち、この場合、光反射性樹脂50の表面が凸状曲面(ドーム状)となりやすい。光反射性樹脂50の表面が凸状曲面となると、LEDチップから発せられた光を光取り出し面側に導く効果が損なわれ、光反射性樹脂50によるリフレクタとしての機能が低下する。
【0028】
以上より、光反射性樹脂50の反り上がり形状を樹脂の充填と硬化により再現性よく形成するためには、凹部121の側壁121aと凹部121の底面とのなす角が直角または鈍角となるように側壁121aが傾斜していることが好ましい。
【0029】
次に、上記した構成を有する半導体発光装置1の製造方法について説明する。
図7(a)〜(c)および
図8(a)〜(d)は、半導体発光装置1の製造工程におけるプロセスステップ毎の断面図である。
【0030】
(グリーンシートの作製)
第1乃至第3セラミック層11、12、13の材料であるグリーンシート11A、12A、13Aを作製する(
図7(a))。具体的には、セラミック粉末とガラスを一定比率で配合し、混合する。続いて、混合された原料に有機系のバインダと溶剤を加え、均一になるまで分散させ、スラリーを得る。スラリーは、製膜装置でPETフィルム上に一定の厚さで塗布され、乾燥工程を経てシート状のグリーンシート11A、12B、13Cが形成される。
【0031】
(グリーンシートの加工)
グリーンシート11A、12A、13Aを所望の大きさに切断する。続いて第1セラミック層11の材料であるグリーンシート11Aにコンタクトビア36n、36pを形成するための貫通孔36hを形成する。また、第2セラミック層12の材料であるグリーンシート12Aに凹部121、122を形成するための円形の貫通孔121h、122hを形成する。また、枠体130を構成する第3セラミック層13の材料であるグリーンシート13Aに円形の貫通孔131hを形成する(
図7(b))。
【0032】
(電極パッド、外部接続端子の形成)
次に、グリーンシート11Aの表面にスクリーン印刷法によってAg−Pdペーストを印刷して電極パッド31n、31p、32n、32pを形成する。また、グリーンシート11Aの裏面にスクリーン印刷法によってAg−Pdペーストを印刷して外部接続端子35n、35pを形成する。また、貫通孔36hにAg−Pdペーストを充填してコンタクトビア36n、36pを形成する(
図7(c))。
【0033】
(焼成およびめっき処理)
次に、グリーンシート11A、12A、13Aを位置合わせして熱と圧力を加えた状態で積層する。その後、グリーンシートに含まれる有機系バインダを飛散させながら、グリーンシート、Ag−Pdペーストを同時焼成する。次に、電解めっき法により、電極パッド31n、31p、32n、32pおよび外部接続端子35n、35pにNiめっき処理およびAuめっき処理を施す。第1セラミック層11と第2セラミック層12が積層されることにより、素子搭載面に凹部121および122を有し、凹部121の底面において電極パッド32n、32pが露出し、凹部122の底面において電極パッド31n、31pが露出した基板10が形成される。そして、第1乃至第3セラミック層の積層体である積層セラミックパッケージが完成する(
図8(a))。
【0034】
(チップマウントおよびワイヤーボンディング)
基板10の素子搭載面(第2セラミック層12の表面)上のLEDチップ搭載位置にシリコーン樹脂等からなる接着材を塗布し、この接着剤の上にLEDチップ20a〜20fをマウントする。LEDチップ20a〜20fは、素子搭載面に設けられた凹部121を囲む環状配列をなすように配置される。その後、熱処理によって接着剤を硬化させ、LEDチップ20a〜20fを基板10上に固着する。次にLEDチップ20a〜20fのn電極およびp電極と、電極パッド31n、31p、32n、32pとをボンディングワイヤ40で接続する(
図8(b))。
【0035】
(光反射性樹脂の形成)
次に、LEDチップの環状配列の内側に配置された凹部121内に光反射性樹脂50を充填して電極パッド32n、32pを被覆する。光反射性樹脂50は、シリコーン樹脂に光散乱粒子であるアルミナ粒子を含有させたものを用いることができる。アルミナ粒子の配合比率は例えば70重量パーセント、光反射性樹脂50の粘度は約70Pa・sである。光散乱粒子としてはアルミナ以外に酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等を使用することができる(
図8(c))。
【0036】
ここで、光反射性樹脂50の被覆形状を光取り出しに有利な反り上がり形状とするための塗布方法を
図9(a)〜(c)を参照しつつ説明する。尚、
図9(a)および
図9(c)において、ブロック矢印はディスペンサ200の移動方向、破線矢印はディスペンサ200内に生ずる圧力方向を示している。
【0037】
光反射性樹脂50は、ディスペンス法により塗布される。光反射性樹脂50を封入したディスペンサ200が凹部121の中央上方に位置するように位置合わせを行う。次に、ディスペンサ200に圧縮空気を供給しつつこれを降下させる。ディスペンスノズル内には下向き(吐出方向)の圧力が生じ、ディスペンスノズルの先端からは光反射性樹脂50が吐出される(
図9(a))。
【0038】
ディスペンスノズルから吐出された光反射性樹脂50が凹部121の底面に接触するタイミングでディスペンサ200の降下を停止させる。ディスペンサ200を静止状態に保持したまま光反射性樹脂50の供給を継続する。光反射性樹脂50は、凹部121の底面を濡れ広がって凹部の側壁121aに達する。凹部121を充填する光反射性樹脂50の供給量が所定量に達したら、圧縮空気の供給を停止して光反射性樹脂50の供給を停止させる。光反射性樹脂50が凹部121の側壁121aを超えて素子搭載面にまで横溢しないように供給量が制御される。光反射性樹脂50は、凹部121を充填している部分からディスペンスノズルの先端まで連なった状態となる(
図9(b))。
【0039】
次に、ディスペンサ200に負圧を印加することによりディスペンスノズル内において上向き(吸引方向)の圧力を発生させつつディスペンスノズル200を上方に引き上げる。これにより、光反射性樹脂50は凹部121を充填する部分と、ディスペンスノズル先端に付着する部分とに引き裂かれて分離する。このとき、光反射性樹脂50には、凹部の側壁121aを這い上がる方向に作用する表面張力と、ディスペンスノズルの方向に作用する表面張力によって、光反射性樹脂50の側面は凹状曲面となる(
図9(c))。
【0040】
光反射性樹脂の塗布工程において以上のような手順で光反射性樹脂50を塗布することにより、光反射性樹脂50の形状を光取り出しに有利な反り上がり形状とすることができる。光反射性樹脂50の塗布が完了したら、熱処理を行って光反射性樹脂50を硬化させる。
【0041】
(封止樹脂の形成)
枠体130の側壁131の内側に形成された空間にシリコーン樹脂等の光透過性樹脂からなる封止樹脂60を充填する。LEDチップ20a〜20f、ボンディングワイヤ40および光反射性樹脂50は封止樹脂60内に埋設される。封止樹脂60は、その上面の高さ位置が光反射性樹脂50の頂部の高さ位置よりも高くなるように形成される。封止樹脂60内には、LEDから発せられる光の波長を変換せしめる蛍光体が分散されていてもよい(
図8(d))。以上の各工程を経ることにより半導体発光装置1が完成する。
【0042】
以上の説明から明らかなように、本発明の実施例に係る半導体発光装置によれば、光吸収性を示す電極パッド32n、32pは反射率の高い光反射性樹脂50で被覆される故、半導体発光装置の光束および光度を向上させることが可能となる。また、これに伴って、光取り出し面内における明暗差(輝度むら)を低減することが可能となる。
【0043】
更に、光反射性樹脂50は、LEDチップの表面高さよりも投光方向前方に頂部を有し且つその表面が凹状曲面を呈する故、光反射性樹脂50をリフレクタとして有効に機能させることが可能となる。これにより、上記した光出力を向上させ輝度むらを低減させる効果がより顕著となる。具体的には、光反射性樹脂50の被覆形状を反り上がり形状とすることで、電極パッド32n、32pを光反射性樹脂で被覆しない場合と比較して、光束および光度が5〜20%増加した。尚、比較例として、凹部121内に光反射性樹脂を水平形状(すなわち、光反射性樹脂は反り上がり形状を有さず、上面が平坦)に充填した半導体発光装置を作製し、同様の評価を行ったところ、光束および光度の増加は3〜5%にとどまった。
【0044】
また、光反射性樹脂50が、LEDチップの上面高さよりも高い位置に頂部を有する反り上がり形状を有する故、封止樹脂60の体積分布が均一化され、封止樹脂60の剥離を防止することが可能となる。
【0045】
また、光反射性樹脂50は、基板10に設けられた凹部121内に形成される故、反り上がり形状を再現性よく形成することが可能となる。
【0046】
尚、上記した実施例においては、6つのLEDチップを搭載する場合を例示したが、LEDチップの数量は適宜変更する可能である。また、上記した実施例においては、LEDチップを環状に配列し、円形の外縁を有する凹部121をこの環状配列の内側に配置することとしたが、LEDチップの配列形態や凹部121の形状および配置は適宜変更することが可能である。また、上記した実施例においては、LEDチップの環状配列の中央に光反射性樹脂50の頂部を設ける構成としたが、光反射性樹脂50の頂部を特定のLEDチップ側に偏倚させてもよい。例えば、主にチップ側面から光を放射するタイプのLEDチップと、主にチップ主面から光を放射するタイプのLEDチップが混在する場合、光反射性樹脂50の頂部を後者側に偏倚させることにより、効率よく光を取り出すことができる。