【実施例1】
【0014】
まず、本発明の全体構造について説明する。
図1は、廃棄物容器の斜視図である。
図2は、廃棄物容器の正面図である。
図3は、廃棄物容器の側面図である。
図4は、廃棄物容器の平面図である。
図5は、廃棄物容器の底面図である。
図1〜5に示すように、廃棄物容器100は、少なくとも、本体200と、蓋部300と、底部400とを有する。
【0015】
本体200は、放射性廃棄物等を収納する箱状の容器である。本体200の側面は4枚の側板で囲まれる。
図2に示すように、正面側及び背面側には側板201が配置され、
図3に示すように、左側面側及び右側面側には側板202が配置される。4枚の側板は、4枚の板材を矩形状に配置して角の位置で溶接等により連結しても良いし、1枚の板材を折り曲げる等して矩形状に成形しても良い。なお、4枚の側板は、主に金属の板材を用いるが、樹脂その他の材質にしても良い。また、
図4に示すように、側板201と側板202とを同じ幅にすることで、矩形状に配置したときの断面が正方形となる。
【0016】
図5に示すように、本体200の下面は底板203で塞ぐ。底板200は、容器の底であり、本体200の内部と本体200の下部に設ける底部400とを仕切る板材である。底板200は、底部400の上面に設けるため、矩形状に囲んだ4枚の側板の下面から若干上方の位置において4枚の側板に対して溶接等により接続される。なお、底板200も金属の板材であるが、樹脂その他の材質にしても良い。また、側板201と側板202とを同じ幅にした場合は、底板200は正方形状である。
【0017】
また、本体200の上面は空いた状態にし、4枚の側板の上縁からそれぞれ外側に突出する下フランジ210を設ける。下フランジ210は、本体200に蓋部300を被せた際の接合面である。
図5に示すように、下フランジ210は、蓋部300と固定するために、複数の貫通孔211やガイド孔212も空けられる。下フランジ210は、4枚の側板の上部を外側へ直角に折り曲げる等して枠状に成形しても良いし、4枚の側板の上端外周を囲う枠体を別途金属又は樹脂等で作成して4枚の側板の上部に嵌め込んでも良い。
【0018】
図1等に示すように、4枚の側板には、それぞれ上下方向の耐久性を向上させるために縦補強材220が2本ずつ取り付けられる。また、正面側及び背面側の側板201には、それぞれ本体200を吊り下げるためのフック230が2本ずつ取り付けられる。フック230には吊下げ時に廃棄物容器100全体の荷重が掛かるため、下フランジ210の下側に取り付けることにより、フック230を本体200に接合する箇所の強度を向上させている。なお、縦補強材220及びフック230を取り付ける面及び取り付ける本数は任意である。さらに、正面側の側板201には、収納物を認識するためのプレート240が取り付けられる。収納物が放射性廃棄物の場合は、プレート240又はその他の箇所に放射線マーク(放射能標識)等が付される。
【0019】
蓋部300は、本体200の空面を封止するものである。本体200と蓋部300を封止するまでは、本体200の内部に廃棄物を収納可能である。
図4に示すように、蓋部300の上面には、天板301を配置し、本体200の上面を塞ぐ。天板301は、金属の板材を用いるが、樹脂その他の材質にしても良い。本体200の側板201と側板202とを同じ幅にした場合は、天板301は正方形状である。
【0020】
また、天板301の四方の縁からは、外側に突出する上フランジ310を設ける。
図4に示すように、上フランジ310は、本体200の下フランジ210と合わせた形状であり、下フランジ210と同じ位置に、複数の貫通孔311やガイド孔312も空けられる。上フランジ310と下フランジ210とを接合させて固定することにより、本体200と蓋部300とを封止する。上フランジ310は、天板301の外周を囲う枠体を一体成形しても良いし、当該枠体を別途金属又は樹脂等で作成して天板301の外周に取り付けても良い。
【0021】
蓋部300にも本体200と同様に、吊り下げ用のフック320が、上フランジ310の正面側と背面側にそれぞれ2つずつ設けられる。なお、フック320を取り付ける面及び取り付ける本数は任意である。本体200や蓋部300を金属製にした場合は重量があるので、フック230やフック320に紐などを通してクレーン等で吊り下げて移動させる。
【0022】
底部400は、本体200の下部の物理的な強度を向上させるために介在させるものである。底部400は、本体200の底板203の下側に備え付ける。
図5に示すように、底部400として、底板203の裏側に2本のU字補強材410、本体200の下部四隅にコーナー補強材420、本体200の下部四辺に枠補強材430、431を設置することにより、本体200の下部を補強する。
【0023】
次に、本発明の補強構造について説明する。
図6は、廃棄物容器の一部を分解した正面図であり、(a)は本体、(b)は蓋部、(c)は底部、(d)は縦補強材である。なお、
図6(d)には縦補強材の正面図の上に平面図も示す。蓋部300については、密閉前は本体200と分離可能であるが、底部400と複数の縦補強材220については、本体200加工時に接着される。なお、接着は、接合して固着することであり、溶剤を用いて熱又は圧力により溶接する場合や、接着剤を用いて固定する場合など、一の部材を他の部材に一体的に取り付けることを含む。
【0024】
蓋部300の上には、パレット等を介して別の廃棄物容器100を積み重ねる場合もあることから、蓋部300の強度を向上させる。また、底部400には、廃棄物容器100を床に置いたときに全体の荷重が掛かっており、廃棄物容器100の移動時に廃棄物容器100の底部400を他の物に衝突させる場合や、フォークリフトを操作時にフォークを廃棄物容器100の底部400に衝突させる場合もあることから、底部400の強度も向上させる。
【0025】
さらに、本体200についても、複数の廃棄物容器100を積み重ねる場合もあることから、縦方向の強度を向上させる。また、本体200の側面に他の物を衝突させる場合もあることから、横方向の強度も向上させる。なお、本体200の補強は、複数の縦補強材220を取り付けることによって行う。
【0026】
縦補強材220は、本体200の4枚の側板の表面に上端から下端まで渡すように取り付ける補強材である。
図6(d)に示すように、縦補強材220は、断面形状が矩形状の角材であり、内部は上端から下端まで貫通する中空部222である。縦補強材220の接着は、取付け対象の側板に対して、縦補強材220の背面側の全面を溶接等することにより行う。なお、接着強度を担保できれば間欠的な接着でも良い。
【0027】
縦補強材220は、4枚の側面に複数本取り付ける場合もあるので、内部に中空部222を設けることにより軽量化する。縦補強材220は、金属等の板材を折り曲げて矩形状に成形しても良いし、樹脂等を内部が中空の角材に成形しても良い。縦補強材220を、内部に中空部222を有する角材にすることで、他の物と接触した際に、他の物から受ける衝撃を吸収し、本体200が受ける損傷も緩和する。
【0028】
また、縦補強材220の下部は、取付け対象の側板に向かって斜めに切り取った傾斜部221を設ける。本体200の下部は底部400により補強していることもあり、本体200から突出した縦補強材220の下部が他の物を衝突する可能性を低減する。なお、縦補強材220の上面は、本体200の下フランジ210により塞がれるので、傾斜部221における中空部222により空いた下面は蓋をする等して塞いでも良い。
【0029】
図6(a)に示すように、正面側の側板201には、中央から左寄りに1本、右寄りに1本、それぞれ縦補強材220を取り付ける。その他に、2本の縦補強材220を利用してプレート240を設置しても良い。また、左側の縦補強材220のさらに左方に1本、右側の縦補強材220のさらに右方に1本、それぞれフック230を取り付けても良い。そして、背面側の側板201には、正面側と同様に、縦補強材220及びフック230を取り付ければ良い。左右側の側板202には、正面側と同様に、縦補強材220を取り付ければ良い。
【0030】
図7は、
図6(b)の廃棄物容器の蓋部を示す図であり、(a)は蓋部の底面図、(b)は蓋部の底面図において中央を横方向に切断した断面図、(c)はU字補強材の斜視図である。蓋部300は、天板301の縁から上フランジ310の間に側板302を介すことにより高さを設ける。側板302によって確保された空間にU字補強材330を配置することにより蓋部300を補強する。
【0031】
U字補強材330は、天板301の上に載せた物により天板301が変形等しないように補強する板材である。
図7(a)に示すように、U字補強材330は、天板301の中央から左寄りに1本、右寄りに1本、縦方向にお互い平行に配置する。なお、U字補強材330を配置する本数は任意であり、横方向に配置しても良い。
図7(b)に示すように、U字補強材330は、天板301の裏側に、U字の空いた面を溶接等により接着する。なお、U字の背面側を接着しても良い。
【0032】
図7(c)に示すように、U字補強材330は、使用する板材自体の物理的な強度を必要とするため、板材をU字状にすることで、板材の強度を大幅に向上させる。U字補強材330は、金属等の板材の左右両端を同じ側に直角に折り曲げてU字状に成形しても良いし、樹脂等をU字状に成形しても良い。なお、U字補強材330の左右に折り曲げたときの高さは、側板302と同じか側板302より低くする。
【0033】
図8は、
図6(c)の廃棄物容器の底部を示す図であり、(a)は底部の平面図、(b)は底部の平面図において中央を縦方向に切断した断面図、(c)はコーナー補強材の斜視図、(d)は枠補強材の斜視図である。底部400は、本体200の底板203から4枚の側板の下端までの間に設ける。底部400として確保した空間に、U字補強材410、コーナー補強材420、枠補強材430、枠補強材431を配置することにより、本体200の下部を補強する。
【0034】
U字補強材410は、蓋部300のU字補強材330と同様の板材である。
図8(a)に示すように、U字補強材410は、中央から上寄りに1本、下寄りに1本、横方向にお互い平行に配置する。なお、U字補強材410を配置する本数は任意である。
図8(b)に示すように、U字補強材410は、本体200の底板203に、U字の背面側を溶接等により接着する。なお、U字の空いた面を接着しても良い。
【0035】
蓋部300のU字補強材330を縦方向に配置した場合は、U字補強材410を横方向に配置するが、蓋部300のU字補強材330を横方向に配置した場合は、U字補強材410を縦方向に配置する。このように、蓋部300のU字補強材330と、底部400のU字補強材410とを、お互いに交差する向きとなるように配置して、複数の廃棄物容器100を上下に積み重ねたときの強度を向上させる。
【0036】
コーナー補強材420は、本体200の下部四隅を補強する板材である。
図8(c)に示すように、コーナー補強材420は、金属等の正方形状の板材の四辺のうち一辺とそれに隣接する他辺から直角方向に枠板421を突出させる。なお、樹脂等を当該形状で成形しても良い。コーナー補強材420は、本体200の四隅の内側に、コーナー補強材420の枠板421のない角側を当てるように配置し、底板203に枠板421を突出させた側を溶接等により接着する。なお、枠板421を突出させる辺は任意であり、四辺全てから突出させても良い。
【0037】
枠補強材430、431は、本体200の下部四辺を補強する板材である。枠補強材430、431は、金属等の板材をL字状に折り曲げる等して成形する。なお、樹脂等を当該形状で成形しても良い。枠補強材430は、四辺のうちU字補強材410の端と接触しない辺に配置する。また、
図8(d)に示すように、枠補強材431は、四辺のうちU字補強材410の端と接触する辺に配置するので、U字補強材410と重なる部分に切欠き432を設ける。U字補強材410を2本配置する場合は、切欠き432も2つ設ける。
【0038】
次に、本発明の密閉構造について説明する。
図9は、
図6(a)の廃棄物容器の本体を示す図であり、(a)は本体の平面図、(b)はシール材の平面図である。本体200の下フランジ210と、蓋部300の上フランジ310とを合わせて、廃棄物容器100を密閉するが、上フランジ310と下フランジ210の間に4本のシール材500を介すことにより、密封性を向上させる。
【0039】
シール材500は、ロール状に巻くことが可能な軟質樹脂などの帯材を、所定の長さで切断し、貫通孔501及びガイド孔502を空ける。
図9(a)に示すように、シール材500の長さは、下フランジ210の一辺の長さに相当し、下フランジ210の四辺に沿って、矩形状に4つのシール材500を配置する。貫通孔501及びガイド孔502も、本体200の下フランジ210に空けた貫通孔211及びガイド孔212、並びに蓋部300の上フランジ310に空けた貫通孔311及びガイド孔312の位置に合わせて空けられる。
【0040】
図9(b)に示すように、4本のシール材500を組み合わせて、下フランジ210の上に配置するので、一のシール材500の先端に半孔503を空け、それに隣接する他のシール材500に半孔503に合わせて半孔504を空ける。半孔503及び半孔504は、貫通孔501を半分切った形状であり、半孔503と半孔504を合わせることにより、貫通孔501と同じ形状となる。
【0041】
図10は、
図9(a)の廃棄物容器の本体の一部(点線部分)を拡大した図であり、(a)はガイド孔周辺の平面図であり、(b)はガイド孔周辺を縦方向に切断した断面図である。一のシール材500と、それに隣接する他のシール材500との間に、できるだけ隙間が生じないようにし、本体200と蓋部300との間の密封性を向上させる。
【0042】
図10(a)に示すように、一のシール材500に空けた半孔503と、それに隣接する他のシール材500に空けた半孔504とを合わせた孔に、シール材500に貫通孔501を空けた際に切り取った抜材510を嵌め込む。一のシール材500と、それに隣接する他のシール材500との間が一直線上でなくなり、密封性が向上する。このように、シール材500の先端における封止を、下フランジ210の四隅において同様に行う。
【0043】
本体200の下フランジ210上に4本のシール材500を配置したら、蓋部300の上フランジ310を被せて、廃棄物容器100を密閉する。
図10(b)に示すように、まず、ガイドピン610をガイド孔312、502、212に挿入する。蓋部300のガイド孔312、シール材500のガイド孔502、本体200のガイド孔212が貫通しない場合は、蓋部300と本体200の向きや位置が合っていないこととなる。なお、蓋部300のガイド孔312と、本体200のガイド孔212の直径や形状を変えることにより、ガイドピン610が落下しないようにしても良い。
【0044】
ガイドピン610により、蓋部300と本体200の向きや位置が確認できたら、蓋部300の貫通孔311、シール材500の貫通孔501、本体200の貫通孔211にボルト600を通し、ナット601で締結する。複数ある貫通孔311、501、211を全て締結することにより、廃棄物容器100が密閉される。
【0045】
次に、本発明による廃棄物の収納について説明する。廃棄物容器100に放射性廃棄物を収納するまでは、蓋部300を開けておき、放射性廃棄物の収納が完了した後は、本体200に蓋部300を被せて、放射線が外部に漏れないように廃棄物容器100を密閉する。本体200と蓋部300とのボルト600及びナット601による締結には、ガイド孔312、502、212とガイドピン600を利用する。
【0046】
図9(a)に示すように、ガイド孔312、502、212は、上下フランジ210、310のうち、左側の一辺上に1つ空けられ、それに対向する他辺上に1つ空けられる。なお、一辺における一端から当該一辺上に空けたガイド孔312、502、212までの距離と、他辺における一端から当該他辺上に空けたガイド孔312、502、212までの距離とを異ならせる。これにより、蓋部300と本体200の向きや位置が合わないと、2つのガイド孔312、502、212は貫通しない。
【0047】
なお、蓋部300と本体200の向きや位置が合わないと、締結用に空けた複数の貫通孔311、501、211も位置がずれ、貫通孔311、501、211にボルト600及びナット601が通りにくくなる。蓋部300と本体200の向きや位置を合わせることにより、ボルト600及びナット601を完全に締めることができ、蓋部300と本体200の密封性も向上する。
【0048】
以上のように、廃棄物容器100は、物理的な強度も補強され、密封性も確保される。複数の廃棄物容器100を、パレット等を介して積み上げた場合でも転倒することなく保管することが可能である。すなわち、廃棄物容器100は、震災などの災害が発生しても転倒を防止することができ、運搬など作業時に事故が発生しても損傷を防止することができる。
【0049】
本発明では、廃棄物容器100を完全に密封すると共に、密封された廃棄物容器100が衝撃等により損傷しないように補強することによって安全性を確保することができる。
【0050】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。例えば、本体200は矩形状の容器に限らず、筒状や柱状の容器でも良い。また、本体200の4枚の側板について、一の側板とそれに隣接する側板との連結部に対し、板材を直角に折り曲げる等して成形したL字状の補強材を当てて、本体200の各角を補強しても良い。
【0051】
蓋部300のU字補強材330又は底部400のU字補強材410は、縦方向又は横方向に配置したが、蓋部300又は底部400の四隅において斜め方向、すなわち一辺から隣接する他辺に介すように配置しても良いし、一角から対向する他角に対角状に配置しても良い。