特許第5721029号(P5721029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721029
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】健康データを管理するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20120101AFI20150430BHJP
   G06Q 50/24 20120101ALI20150430BHJP
【FI】
   G06Q50/22 130
   G06Q50/24 100
   G06Q50/24 120
【請求項の数】7
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2010-510343(P2010-510343)
(86)(22)【出願日】2008年5月29日
(65)【公表番号】特表2010-530568(P2010-530568A)
(43)【公表日】2010年9月9日
(86)【国際出願番号】US2008006812
(87)【国際公開番号】WO2008153825
(87)【国際公開日】20081218
【審査請求日】2011年5月25日
(31)【優先権主張番号】60/932,286
(32)【優先日】2007年5月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/012,721
(32)【優先日】2007年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/012,718
(32)【優先日】2007年12月10日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122736
【弁理士】
【氏名又は名称】小國 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122747
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100125106
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 隆
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ダーレン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ゴフマン,イゴール
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,スティーヴン・ビー
(72)【発明者】
【氏名】インマン,ポール・エル
(72)【発明者】
【氏名】ケイツ,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】リ,チョン
(72)【発明者】
【氏名】リーバー,ハリス
(72)【発明者】
【氏名】リプリー,ポール・エム
(72)【発明者】
【氏名】ステフコビッチ,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】スン,ホイ−チョン・スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ムゥ
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,シミン
【審査官】 阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−302406(JP,A)
【文献】 特開平10−021301(JP,A)
【文献】 特開2005−245669(JP,A)
【文献】 特開2001−217925(JP,A)
【文献】 特開2005−122402(JP,A)
【文献】 特開2003−070771(JP,A)
【文献】 特開2002−185840(JP,A)
【文献】 特開2000−152923(JP,A)
【文献】 特開2004−206660(JP,A)
【文献】 特開2006−155411(JP,A)
【文献】 特開2001−319193(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/009199(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康データを管理するためのシステムであって、
血糖測定器であって、血液試料から血糖濃度値を判定するように構成された測定システム、データ管理ソフトウェアを保存する第1メモリ装置及び前記測定システムにより判定された血糖濃度値を含む健康データを保存する、前記第1メモリ装置とは別個の第2メモリ装置を含むデータ保存システム、及び、データ通信インタフェースを含む血糖測定器と、
処理装置であって、当該処理装置が前記データ通信インタフェースを介して前記血糖測定器との間でデータ通信を確立するように構成された処理装置と、
前記処理装置に通信可能に接続されるように構成されたディスプレイと、を備え、
前記血糖測定器と前記処理装置との間のデータ通信の確立に応答して、前記処理装置が、前記第1メモリ装置から前記データ管理ソフトウェアを読み取り、前記第2メモリ装置から前記健康データを読み取り、前記データ管理ソフトウェアを実行することにより前記健康データの処理をし、処理された健康データを前記ディスプレイに表示し、
前記血糖測定器と前記処理装置との間でデータ通信が確立する前に、前記データ管理ソフトウェアのいかなるコンポーネントも前記処理装置に保存されず、
前記処理装置は、前記健康データを前記処理装置上に永久に保存することなく、前記健康データを処理し、
前記処理装置は、前記データ管理ソフトウェアの実行を終了する前に、前記データ管理ソフトウェアに関連するいかなるデータも除去し、
前記処理装置は、前記血糖測定器と前記処理装置との間のデータ通信が終了する時、前記処理及び前記ディスプレイへの健康データの表示を終了する、システム。
【請求項2】
前記データ保存システムは、前記データ保存システム内のメモリの領域のセキュリティレベルを示す、メモリマップに従って設定され、前記セキュリティレベルは、メモリの前記領域内に保存されたデータへのアクセスを決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1メモリ装置がEEPROMを含み、前記第2メモリ装置がフラッシュメモリを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記血糖測定器は、前記データ保存システム内に保存されるデータを検証する、データチェックシステムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理装置は、あるインタフェースプロトコル設定と互換性があり、これによって前記血糖測定器と前記処理装置との間のデータ通信が確立でき、
前記血糖測定器は、前記処理装置が前記データ保存システムから前記データ管理ソフトウェア及び前記健康データの読み取りを可能にするソフトウェア設定に再設定され、前記ソフトウェア設定は、前記インタフェースプロトコル設定とは異なっており、前記インタフェースプロトコル設定は、USB大容量携帯装置(MSD)設定である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記血糖測定器は、
前記健康データを表示するために操作することができるユーザインタフェースと、
ローカルプロセッサおよびローカルソフトウェアと、をさらに備え、
前記ローカルプロセッサが前記健康データを前記ユーザインタフェースを介して表示されるように処理する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
セキュリティコンポーネントは、前記処理装置による前記データ保存システム内の前記健康データへのアクセスを制御する、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2007年5月30日に出願された米国特許仮出願第60/932,286号、2007年12月10日に出願された米国特許仮出願第61/012,721号、および2007年12月10日に出願された米国特許仮出願第61/012,718号の優先権を主張し、これらの内容全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、概して、健康データを管理するための方法およびシステムに関する。より具体的には、本発明は、血液試料中のグルコースの測定値等、個人の健康に関連する情報を安全に管理および表示する、携帯システムに関する。
【背景技術】
【0003】
体液中の検体の定量化は、特定の生理的状態の診断および維持において、非常に重要である。例えば、糖尿病を有する個人は、体液中のグルコースレベルを頻繁に調べる。該試験の結果は、食事中のグルコース摂取量を調整するため、および/またはインスリンもしくは他の薬剤を投与する必要があるかを判断するために、使用することができる。
【0004】
血糖システム等の診断システムは、個人からの液体試料中のグルコース値を計算するために、測定器等の機器を採用してもよい。そのような機器は、試料中のグルコースとの反応からの電流または光等の出力を測定することによって動作する。試験結果は、一般的に、測定器によって表示され、保存される。基本的なシステムは、ユーザが、キーパッドまたは他の対話型コンポーネントを介して、測定器から直接試験結果にアクセスできるようにする。
【発明の概要】
【0005】
血液試料中のグルコースの測定値等、個人の健康に関連する情報を安全に管理し、表示するための携帯データ管理システムが提供される。
【0006】
一実施形態は、健康データを管理するためのシステムであって、健康データ、データ管理ソフトウェア、および初期化プログラムを保存する、データ保存システムであって、該初期化プログラムは、処理装置上で該データ管理ソフトウェアを起動し、該データ管理ソフトウェアは、該処理装置上で該健康データを処理する、データ保存システムと、該データ保存システムと該処理装置との間のデータ通信を提供する、データ通信インタフェースと、を備え、該データ保存システムと該処理装置との間の該データ通信が確立されると、該初期化プログラムは、該データ管理ソフトウェアに関連する追加プログラムコンポーネントを該処理装置上に事前にインストールすることを必要とせずに、該処理装置上で該データ管理ソフトウェアを起動する、システムを提供する。
【0007】
さらに別の実施形態は、健康データを管理するためのシステムであって、健康データを処理するデータ管理ソフトウェアを含む携帯装置であって、該携帯装置は、インタフェースプロトコルに対応する第1のソフトウェア設定と、該データ管理ソフトウェアに特有の第2のソフトウェア設定と、を有する、携帯装置と、該携帯装置に接続された処理装置であって、該携帯装置と該処理装置との間が接続されると、該処理装置は、該インタフェースプロトコルに従って該携帯装置と通信し、該携帯装置が該第1の設定から該第2の設定に再設定された後、該処理装置は、該データ管理ソフトウェアを実行する、処理装置と、を備える、システムを提供する。
【0008】
さらなる実施形態は、健康データを管理するための方法であって、初回に、データ通信インタフェースを介して、データ保存システムと処理装置との間のデータ通信を確立するステップであって、該データ保存システムは、健康データ、データ管理ソフトウェア、および初期化プログラムを保存する、ステップと、該データ保存システムと該処理装置との間の該データ通信が確立すると、該データ管理ソフトウェアに関連する追加プログラムコンポーネントを該処理装置上に事前にインストールすることを必要とせずに、該処理装置上で、該初期化プログラムを実行するステップと、該初期化プログラムを用いて、該処理装置上で該データ管理ソフトウェアを起動するステップと、該データ管理ソフトウェアを用いて、該処理装置上で該健康データを処理するステップと、を含む、方法を提供する。
【0009】
別の実施形態は、健康データを管理するための方法であって、 携帯装置と処理装置との間の接続を検出するステップであって、データ管理ソフトウェアを含む該携帯装置は、健康データを処理し、インタフェースプロトコルに対応する第1のソフトウェア設定を有し、該携帯装置と該処理装置との間が接続されると、該処理装置は、該インタフェースプロトコルに従って該携帯装置と通信する、ステップと、該携帯装置を、該第1の設定から該ソフトウェアに特有の第2の設定に再設定するステップと、該再設定された携帯装置から該ソフトウェアを起動する、ステップと、を含む、方法を提供する。
【0010】
さらに他の実施形態は、健康データを管理するためのシステムであって、健康データ、データ管理ソフトウェア、および初期化プログラムを保存する、第1の装置と、該データ管理ソフトウェアを用いて該健康データを処理する、第2の装置と、該第1の装置と該第2の装置との間のデータ通信を提供する、データ通信インタフェースと、を備え、該データ保存システムと該処理装置との間の該データ通信が確立されると、該初期化プログラムは、該データ管理ソフトウェアに関連する追加プログラムコンポーネントを該処理装置上に事前にインストールすることを必要とせずに、該処理装置上で該データ管理ソフトウェアを起動する、システムを提供する。
【0011】
さらなる実施形態は、健康データを管理するための装置であって、健康データを保存するデータ保存システムを含む、第1の筐体部分と、該データ保存システムと処理装置との間のデータ通信を該処理装置と接続することによって提供する、データ通信要素を含む、第2の筐体部分であって、該処理装置がデータ管理ソフトウェアに従って該健康データを処理する、第2の筐体部分と、を備え、該第1の筐体部分および該第2の筐体部分は、該第1の筐体部分内の該データ通信要素と他のコンポーネントとの間で信号を通信するケーブルによって接続される、装置を提供する。
【0012】
さらに他の実施形態は、健康データを管理するための装置であって、健康データ管理システムと、該健康データ管理システムと外部処理装置との間のデータ通信を提供する、データ通信要素と、を含む第1の筐体部分と、該第1の筐体部分に取り外し可能に結合される、第2の筐体部分と、を備え、該第2の筐体部分は、該健康データ管理システムによって使用される、少なくとも1つのコンポーネントを含む、装置を提供する。
【0013】
本発明のさらに他の態様、機構、および利点は、本発明を実施する最良の形態を含む、数多くの例示的な実施形態および実施を説明することによって、次の詳細な説明から容易に理解できる。また、本発明は、他の、および異なる実施形態も可能であり、そのいくつかの詳細は、すべて本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な点において修正することができる。したがって、図面および説明は、本質的に説明のためのものであって、制限的なものではないと見なされる。本発明は、本発明の精神および範囲に入るすべての修正、同等物、および代替を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】処理装置に接続された携帯装置を含む、データ管理システムを示す。
図1B図1Aのデータ管理システムの実施例を示す。
図1C図1Aのデータ管理システムの表示の例を示す。
図1D図1Aのデータ管理システムの表示の別の例を示す。
図2】携帯装置からデータ管理アプリケーションを起動するためのフローチャートを示す。
図3】測定システムに接続された携帯装置を含む、データ管理システムを示す。
図4】同一の処理装置に接続された携帯装置および測定システムを含む、データ管理システムを示す。
図5】試験センサを受け入れ、処理装置のプロセッサおよびユーザインタフェースとともに動作する携帯装置を含む、データ管理システムを示す。
図6A】測定システムおよびユーザインタフェースを提供する統合装置を含む、データ管理システムを示す。
図6B】USBインタフェース要素を有する、図6Aの統合装置を示す。
図6C】試料を受け入れるための試験センサを受け入れる、図6Aの統合装置を示す。
図6D】無線で複数の処理装置に接続された、図6Aの統合装置を示す。
図7A】延長可能なケーブル上にUSBインタフェース要素を有する、携帯装置を示す。
図7B】処理装置に接続された、図7Aの携帯装置を有するシステムを示す。
図8A】電池パックが端部キャップ内に格納された、携帯装置の図を示す。
図8B図8Aの携帯装置の別の図を示す。
図9A】電池が第1の端部キャップ内に格納され、センサストリップが第2の端部キャップ内に格納された、携帯装置の図を示す。
図9B図9Aの携帯装置の別の図を示す。
図10A】温度センサが端部キャップ内に格納された、携帯装置の図を示す。
図10B図10Aの端部キャップ内に採用され得る、温度センサの図を示す。
【0015】
例示的な実施形態の説明
血液試料中のグルコースの測定値等、個人の健康に関連する情報を安全に管理し、表示するための携帯データ管理システムが提供される。データ管理システムは、血糖濃度および/または他の関心検体もしくは液体の監視ならびに記録に盛んに関わる個人に有利である。頻繁に試験する個人は、データ管理システムを用いて、試験結果、および他の健康データをより容易に管理することができる。データ管理システムは、本質的に、データ管理システムを操作するために、追加プログラム、エージェント、装置ドライバ、または他のソフトウェアコンポーネントを別個の処理装置上に事前にインストールする必要がないことから、様々な位置の異なる処理装置に採用され得る。携帯装置は、試験結果および他の健康データを受信し、処理する、データ管理アプリケーションのためのソフトウェアを保存する。携帯装置は、異なる種類の処理装置のオペレーティングシステムおよびハードウェア設定と互換性のあるインタフェースプロトコルを採用してもよい。いったん携帯装置が処理装置に接続されると、処理装置上でデータ管理アプリケーションが起動されてもよい。
【0016】
また、データ管理システムは、高度なデータ処理機能および表示機構を携帯装置と統合してもよい。そのため、ユーザは、別個の処理装置上でデータ管理アプリケーションを起動することなく、健康データのいくつかの高度な提示にアクセスすることができる。さらに、データ管理システムは、検体測定機能等の他の機能を携帯装置と統合してもよい。
【0017】
データ管理システムの携帯性により、また、データ管理システムは、個人の医療情報等のデータの安全性に関連する問題にも対処する。データ管理システムは、確実に、すべてのデータがユーザが所有する携帯装置上に保存され、いかなるデータも他の処理装置に転送も保存もされないようにする。したがって、ユーザは、携帯装置とインタフェースをとるために、公共のコンピュータを使用してもよく、データは、公共のコンピュータに残らず、誰にも見られない。また、データの安全性を向上するために、ユーザ認証手順等の他のセキュリティ機能が導入されてもよい。さらに、また、データ管理システムは、携帯装置と他の装置との間でのデータの転送中、データの完全性を保ち得る。
【0018】
図1Aは、処理装置100および携帯装置200を含む、データ管理システム10を示す。処理装置100は、デスクトップ型またはラップトップ型パーソナルコンピュータ(PC)、ハンドヘルド型またポケットパーソナルコンピュータ(HPC)、互換性のある携帯情報端末(PDA)、スマート携帯電話等であってもよい。さらに、処理装置100は、いかなるオペレーティングシステムおよび設定を採用してもよい。処理装置100がデスクトップ型またはラップトップ型パーソナルコンピュータである場合、オペレーティングシステムは、あるバージョンのMicrosoft(登録商標)Windows(登録商標)であってもよい。あるいは、処理装置100がPDAである場合、オペレーティングシステムは、Palm, Inc.,のPALM(登録商標)ハンドヘルド、またはResearch in Motion LimitedのBlackberry(登録商標)装置のものに対応してもよい。一般に、処理装置100は、いずれかの数のプログラムされた命令を受信し、実行することができる、プロセッサ110を含む。さらに、処理装置100は、典型的に、処理装置100の他のコンポーネントの外部であってもよく、またはそれと統合されてもよい、表示部120およびキーボード130、ならびに/または他の入力/出力要素を用いて操作される。
【0019】
以下により詳細に記載されるように、携帯装置200は、作業を実行することができるが、全機能搭載型処理装置ではない、ホストと組み合わせて採用されてもよい。そのようなホストは、プリンタ、表示装置、液状検体測定器(例えば、血糖測定器)等の特定の作業を行う装置を含んでもよい。一般に、データ管理システムの特定の構成が記載され得る一方、他のホスト、保存装置、および追加コンポーネントを採用するもの等を含む、他の構成が使用されてもよい。
【0020】
携帯装置200は、個人が容易に持ち運ぶ、搬送する、および保管することができるように寸法化されてもよい。携帯装置200は、フラッシュメモリ、電気的に消去可能なプログラム可能ROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)(EEPROM)等のメモリまたはデータ保存装置220を含んでもよい。メモリ220は、保存技術の組合せを含むように構成されてもよい。メモリ220は、データ管理システム10に関連するデータ管理ソフトウェア210を保存する。データ管理ソフトウェア210は、測定されたデータおよび/または他の入力を受信し、処理する、プログラムもしくはコンピュータコードの集まりであってもよい。データ管理ソフトウェア210は、ユーザもしくは他の個人が所望する、または選択する方法で、この入力を処理および/または表示する。この情報は、ユーザ、在宅ヘルスケア提供者(HCP)、医師、および/または他の個人によって使用されてもよい。前述のとおり、測定されたデータは、人の血液もしくは他の液体中のグルコースおよび/または他の検体の濃度を含む、検体の試験からの情報を含んでもよい。ソフトウェア210は、1日に何度も(例えば、1日に約6回〜約10回)試験するユーザによって要求され得る、高度な表示およびデータ処理を提供することができる。例えば、ソフトウェア210は、Bayer HealthCare LLC(Tarrytown, New York)から入手可能なWINGLUCOFACTS(登録商標)糖尿病管理ソフトウェアと類似する製品を含んでもよい。そのため、ソフトウェア210は、血糖測定システムから試験結果を受信して保存し、試験回数および食事指標等の他の試験情報を受信して保存し、電子記録日誌に試験結果を追跡記録し、平均を計算して他の統計分析を提供し、試験結果を要約してフィードバックを提供し、カスタマイズ可能なグラフィカルユーザインタフェースを提供し、試験結果の分かりやすいチャートおよびグラフを表示し、ユーザ固有の目標範囲に対する試験結果を追跡記録し、予測分析を提供し、および/またはファックス、電子メール等を介してデータをヘルスケア専門家に送信する、完全なツールキットを提供し得る。図1Cは、電子記録日誌形式で血糖測定システムからの試験結果を提示する、例示的な表示部120Aを示し、一方、図1Dは、同様のデータを図式的な傾向分析として提示する、例示的な表示部120Bを示す。また、メモリ220は、ソフトウェア210に加えて、他のソフトウェアを含んでもよい。
【0021】
データ管理システム10は、血糖等の検体の試験からの情報を受信し、管理することだけに制限されない。実際には、データ管理システム10は、健康データを測定および/または記録する、他のシステムもしくは装置からデータを受信してもよく、体温測定、血圧測定、心拍数測定、血中酸素含有量測定、慢性閉塞性肺疾患(COPD)分析のための呼吸測定、Lasix使用を分析するための体重測定等の検体試験を必要としない。
【0022】
データ管理ソフトウェア210は、ソフトウェアプログラムまたはコンポーネントの組合せを含んでもよい。図1Aにおいては、データ管理ソフトウェア210は、データ管理アプリケーションを開始する、スタートアップまたは初期化プログラム212を含む。スタートアッププログラム212は、処理装置100上での実行で、プラットフォームと互換性のあるアプリケーションが選択され、起動され得るように、処理装置100の関連性能およびプラットフォームを特定することができる。そのため、ソフトウェア210は、1つ以上のプラットフォーム/オペレーティングシステムと互換性があってもよい。ソフトウェア210のより優れた互換性は、データ管理システム10の携帯性を向上する。
【0023】
さらに、ソフトウェア210は、試験結果を受信し、保存するために、組み込みデータベース等のデータ保存装置214を採用してもよい。データ管理システム10は、確実に、(1)本質的にすべてのデータは、依然としてユーザが所有する、携帯装置200上に保存され、処理される、および(2)読み取り可能なデータは、データ保存装置214から、他の個人がアクセスし得る処理装置100に永久に転送されないようにすることによって、個人の医療情報等のデータの安全性に関する問題に対処する。したがって、ユーザは、データ管理システム10とインタフェースをとるために、公共のコンピュータを使用してもよく、データは、公共のコンピュータに残らず、誰にも見られない。データ管理システム10は、処理装置100上のRAMまたは他の同様の保存装置にデータを一時的に転送してもよいが、ソフトウェア210内のクリーンアップまたは終了手順は、確実に、ソフトウェア210の実行が終了される際、いかなるそのような転送されたデータも処理装置100から除去されるようにする。しかしながら、以下にさらに記載されるように、ソフトウェア210は、処理装置100上のメモリ、例えばRAMが、たとえ一時的にも、いかなるデータを保持するためにも使用されないように、携帯装置200から直接実行されてもよい。
【0024】
特定の処理装置100がユーザによって信頼される場合、および/またはユーザによって頻繁に採用される場合、ユーザは、処理装置100を携帯装置200に登録し、データを処理装置100に転送できるようにしてもよい。携帯装置200が、処理装置100を認識し、処理装置100へのデータ転送を許可できるように、処理装置100の装置固有の識別子が、携帯装置200上に記録されてもよい。
【0025】
また、データ管理ソフトウェア210によってのみアクセスする、または復号化することができる、データ保存装置214(例えば、組み込みデータベース)を採用することによって、データの安全性が向上され得る。さらに、また、ソフトウェア210は、データの完全性および安全性を保護する、ユーザ認証ルーチン等のプログラムまたはコンポーネントを含んでもよい。データ管理ソフトウェア210が起動する際、これは、ユーザにユーザIDおよびパスワード、暗証番号(PIN)、ならびに/または他の認証情報を即座に促してもよい。ユーザは、セキュリティプロンプトへの応答が、データ管理システム10の保存された認証情報と一致する場合にのみ、携帯装置200上のデータにアクセスすることができる。また、ユーザ認証ルーチンを採用して、携帯装置200から処理装置100へのデータの転送を許可してもよい。
【0026】
さらに、メモリ220が複数のセキュリティレベルを有するように構成される場合、メモリマップが採用されてもよい。換言すれば、メモリ220の領域は、異なるレベルのアクセスおよび操作に指定され、例えば、いくつかの領域は、他のものより制限されてもよい。例えば、第1の層は、データの書き込み、削除、および変更に対するオープンアクセスを許可してもよく、一方、第2の層は、完全に変更不可であってもよい。そのため、ソフトウェアカーネル、コアプログラム、非常に重要な永久データ等は、ソフトウェアおよびデータが破損する、または削除されることから保護するために、第2の層上に保存されてもよい。
【0027】
前述のとおり、メモリ220は、保存技術の組合せを含むように構成されてもよい。したがって、ソフトウェアカーネル、データ管理ソフトウェア210等は、EEPROMまたは他の一次装置上に保存されてもよい。データ管理ソフトウェア210は、EEPROMから処理装置100上で起動される。その一方で、データ管理ソフトウェア210によって処理されたデータは、携帯装置200上の別個のフラッシュメモリまたは他の記憶装置上に保存される。
【0028】
前述のとおり、携帯装置200は、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ、またはメモリカード等のフラッシュ記憶装置等を含んでもよい。USBフラッシュドライブは、サムドライブ、ハンディドライブ、フラッシュスティック、またはジャンプドライブとしても既知である。メモリカードは、PC Card(PCMCIA)、CompactFlash(CF)、SmartMedia(SM/SMC)、Memory Stick(MS)、Multimedia Card(MMC)、Secure Digital Card(SD)、xD−Picture Card(xD)、Intelligent Stick(iStick)、ExpressCard、これらのいくつかの変形物等を含む、様々な形式を有し得る。フラッシュ記憶装置は、携帯装置200が電力を受信していないときにも、データ管理ソフトウェア210と関連するソフトウェアが、携帯装置200内に保持され得るように、非揮発性メモリを採用してもよい。携帯装置200は、フロッピーディスクまたは光ディスク(CD、DVD、ブルーレイディスク)等の他の保存メディアを採用してもよい。
【0029】
いくつかの実施形態においては、携帯装置200内のメモリ220は、メモリ220上に保存されたデータ管理ソフトウェア210を、それらを処理装置100上のRAMにコピーすることを必要とせずに、直接実行できるように、NOR(NORデジタル論理ゲート)フラッシュメモリ等のプログラムコード直接実行(execute−in−place)(XIP)メモリを含んでもよい。したがって、データ管理システム10は、確実に、本質的にすべてのデータが、ユーザが所有する携帯装置上で実行されるデータ管理システム10によって保存および処理され、本質的にデータが他の処理装置に転送されないようにすることによって、データを保護することができる。したがって、ユーザは、システムとインタフェースをとるために、公共のコンピュータを使用してもよく、データは、公共のコンピュータに残らず、誰にも見られない。
【0030】
携帯装置200は、便利なプラグアンドプレイ(PnP)アプローチで処理装置100とインタフェースをとってもよい。インタフェースは、携帯装置200といかなる処理装置100との間のデータ通信をも可能にし、処理装置100がデータ管理ソフトウェアを使用できるようにする。特に、携帯装置200は、処理装置100上のインタフェース要素150と互換性のある、インタフェース要素250を有する。携帯装置インタフェース要素250は、処理装置インタフェース要素150と物理的に嵌合し、ハードウェアインタフェースを形成してもよい。換言すると、処理装置100と携帯装置200との間に物理接続または有線接続が採用されてもよい。図1Bは、インタフェース要素150/250を介して、表示画面120およびキーボード130を有するラップトップ型PCである、処理装置100Aに物理的に接続された、例えば、プラグインされた、携帯装置200Aを示す。携帯装置200は、USBフラッシュドライブであってもよく、処理装置インタフェース要素250は、処理装置100上の処理装置インタフェース要素150として機能する、USBポートに受け入れられる、USBコネクタであってもよい。したがって、携帯装置200は、標準コンピュータ通信プロトコルのセットに従って、処理装置100と携帯装置200との間の通信を可能にする、USB大容量携帯装置(USB MSD)構成を採用してもよい。携帯装置200上のUSBコネクタは、処理装置100上のUSBポートに容易に挿入され、それから取り外される。さらに、例えば、携帯装置200と、ミニUSB、マイクロUSB等を採用する処理装置100との間を接続できるようにするために、アダプタが必要となる場合がある。図1Aが、単一インタフェース要素250を示す一方、携帯装置200は、2つ以上のインタフェース技術に従って接続できるようにするために、2つ以上のインタフェース要素250を含んでもよい。
【0031】
USBポートは、例えば、最も標準的なデスクトップ型およびラップトップ型PC上に見られ、USB大容量記憶標準は、Microsoft(登録商標)Windows(登録商標)、Mac OS(登録商標)、Linux、および他のUnixのようなシステム等、現代のオペレーティングシステムによってネイティブサポートされる。幅広い装置によってUSB通信がネイティブサポートされることから、追加プログラム、エージェント、装置ドライバ、または他のソフトウェアコンポーネントは、携帯装置200の大容量携帯装置(USB MSD)構成との通信を可能にするために、処理装置100上にローカルにインストールされなくてもよい。
【0032】
また、携帯装置200は、インタフェース要素250として機能する、一連の接点を有する、セキュアデジタル(SD)メモリカードであってもよい。処理装置インタフェース要素150は、メモリカードの接点を受け入れる、拡張スロットであってもよい。処理装置100および携帯装置200は、SDIO(Secure Digital Input Output)インタフェース規格に準拠してもよい。異なるインタフェース規格を有する他のメモリカード形式が採用されてもよい。しかしながら、PDA、HPC、およびスマート携帯電話等の多くの処理装置は、SDIOと互換性のある拡張スロットを含むため、SDIOを有することが有利である。
【0033】
追加として、または代替として、インタフェース要素150および250は、また、Bluetooth(登録商標)無線技術、Zigbee、Z−Sense(商標)技術、FitSense、BodyLAN(商標)システム、および他のRF技術等の無線周波数(RF)リンク(例えば、短距離RFテレメトリ)を介して、処理装置100および携帯装置200が通信できるようにしてもよい。Bluetooth(登録商標)等のRF技術は、外部装置が、例えば、ラップトップ型パーソナルコンピュータおよび携帯電話と無線で通信できるようにする。また、赤外線(IR)リンク等の他の無線または非物理的通信技術が採用されてもよい。
【0034】
好ましくは、保存サービス200は、少なくとも1つのインタフェース技術、またはUSB、SD、もしくはBluetooth(登録商標)技術等のプロトコルと互換性のあるインタフェース要素250を採用する。幅広く使用されるインタフェース技術が使用される場合、処理装置100は、保存サービス200とのインタフェースのネイティブサポートを提供する可能性が高い。この方法では、携帯装置200上のデータ管理ソフトウェア210は、様々なオペレーティングシステムおよびハードウェア設定を有する、異なる種類の処理装置100上で即座に実行されてもよく、データ管理システム10の携帯性をより高める。
【0035】
図2のフローチャートは、どのように携帯装置200上のデータ管理ソフトウェア210が処理装置100上に実装され得るかを示す。行為302において、処理装置100は、最初に、携帯装置200に接続される。前述のとおり、処理装置インタフェース要素150および携帯装置インタフェース要素250は、インタフェース技術に従って、この接続を確立してもよい。例えば、ユーザは、携帯装置200上のUSBコネクタを処理装置100上のUSBポートに挿入してもよい。
【0036】
また、前述のとおり、処理装置100は、携帯装置200によって採用されるインタフェース技術のネイティブサポートを提供してもよい。したがって、処理装置100は、行為304において、携帯装置200の既存の設定に従って即座に通信することができる。携帯装置200がUSB MSD設定を採用し、処理装置100がこの設定をサポートする場合、処理装置100と携帯装置200との間に、通信が自動的に確立される。USBインタフェースは幅広く使用されているため、一般に、処理装置100に、携帯装置200上のUSB MSD設定との互換性を持たせるために、追加プログラム、エージェント、装置ドライバ、または他のソフトウェアコンポーネントを処理装置100上に事前にインストールする必要はない。
【0037】
行為306において、処理装置100が、携帯装置200を検出する。図1Aにおいては、データ管理ソフトウェア210は、スタートアッププログラム212を含む。行為308において、いったん処理装置100が携帯装置200を検出すると、スタートアッププログラム212が起動されてもよい。スタートアッププログラム212は、自動的に、またはユーザ、別の人物、もしくは別のコンポーネントからの入力を受けて、起動されてもよい。多くのオペレーティングシステムは、CD−ROM、DVD−ROM、またはフラッシュメディア等の取り外し可能なメディアが挿入されると、システムがいくつかの動作を即座に行えるようにする、自動起動機構を提供する。処理装置100は、スタートアッププログラム212を自動的に起動する機構、AutoRunまたはAutoPlayを提供する、あるバージョンのMicrosoft(登録商標)Windows(登録商標)オペレーティングシステムを採用してもよい。Microsoft(登録商標)Windows(登録商標)オペレーティングシステムを採用するもの等、いくつかの処理装置100では、携帯装置200は、オペレーティングシステムの自動起動機構がスタートアッププログラム212を実行するようにトリガする前に、最初に、取り外し不可能な装置であることを処理装置100に知らせなければならない場合がある。
【0038】
行為310において、スタートアッププログラム212は、携帯装置200を、初期のUSB MSD設定から、データ管理ソフトウェア210に特有の新しい設定に再設定する。新しいデータ管理設定は、行為312において、データ管理アプリケーションを起動し、処理装置100と組み合わせて動作できるようにする。また、データ管理設定は、データ保存装置214への更新の管理等の関連機能もサポートする。
【0039】
携帯装置200を、より汎用のUSB MSD設定から特有データ管理設定に再設定することによって、処理装置100上の他のアプリケーションが、携帯装置200上のファイルおよびデータにアクセスするのを防止する、または阻止することができ、それによって、データ管理システム10の安全性を高める。処理装置100がMicrosoft(登録商標)Windows(登録商標)オペレーティングシステムを採用する場合、携帯装置200がデータ管理アプリケーション用に再設定されている場合、ファイルシステムにアクセスするためのグラフィカルユーザインタフェースを提供するWindows(登録商標)Explorerプログラムは、携帯装置200上のファイルにアクセスすることができない。この再設定は、携帯装置200と処理装置100との間が接続されるのを受けて、自動的に生じてもよく、それによって、処理装置100上の指定されていないアプリケーションが、携帯装置200上のいかなるデータにもアクセスするのを防止する。
【0040】
処理装置100と携帯装置200との間のインタフェースのプラグアンドプレイ態様により、ユーザは、いつでも処理装置100および携帯装置200を接続または切断することができる。そのため、また、データ管理システム10は、携帯装置200が処理装置100に接続される、またはそれから切断される際、確実に、携帯装置200上のデータまたはソフトウェアが破損されないようにする。確実にデータが正常に転送され、保存されるようにするために、チェックサムおよび/またはデータコミットルーチンが採用されてもよく、したがってデータの完全性の維持を促進する。さらに、前述のとおり、携帯装置200が切断される際、データ管理ソフトウェア210は、処理装置100、例えば、RAM上に一時的に保存されたいかなるデータも除去し、正常に終了するために、クリーンアップまたは終了手順を実施してもよい。
【0041】
携帯装置200およびその上に保存されたデータ管理ソフトウェア210は、異なるオペレーティングシステムを有する様々な処理装置100と互換性を有し得るが、また、データ管理システム10は、基地局として機能する、別の処理装置100を採用してもよい。携帯装置200は、本明細書に記載されるインタフェース技術を使用して、基地局処理装置と接続してもよい。基地局処理装置は、携帯装置200からダウンロードされたデータを長期的に保存するための保存場所を提供してもよい。さらに、基地局処理装置を用いて、携帯装置200からデータ管理アプリケーションのマスタバージョンが起動されてもよい。例えば、基地局処理装置は、個人の家庭用PCであってもよい。
【0042】
さらに、携帯装置200に、SDメモリカード等の追加装置を受け入れることができる拡張ポートが提供されてもよい。この拡張ポートのインタフェースは、本明細書に記載される他のインタフェースと同様に動作する。特に、インタフェースは、SDカードに対応するために、SDIOインタフェースを採用してもよい。SDカード上の追加メモリは、試験結果のより大きなデータベースを保存するために使用することができる。
【0043】
血糖測定システムの試験結果、およびデータ管理ソフトウェア210によって処理される他の健康データ等のデータを保存することに加え、携帯医療記録装置の機能を組み込むために、携帯性および互換性から、携帯装置200が採用されてもよい。そのため、携帯装置200は、救命士(EMT)、医者、他のヘルスケア提供者等との重要な情報の共有を促進するために、使用されてもよい。
【0044】
特定の実施形態においては、携帯装置200は、緊急事態中に、重要な情報を提供し得る。ユーザが意識不明である、または別の理由で介護人と意思疎通ができない場合、介護人は、インタフェース要素250を介して、携帯装置200と処理装置100を接続してもよく、いったんデータ管理ソフトウェア210が起動されると、スプラッシュ画面または初期画面に、重要な情報が表示されてもよい。携帯装置200は、様々な処理装置100との互換性が高く、介護人は、ソフトウェア210を起動するために、ソフトウェアコンポーネントを処理装置100上に事前にインストールする必要がないことから、この種の機能が可能である。
【0045】
場合によっては、権限が与えられている場合に、ヘルスケア提供者の処理装置100、例えばPC上にインストールされたデータ管理システムソフトウェア210を用いて、携帯装置200上のデータにアクセスできるように、データ管理システムソフトウェア210は、ヘルスケア団体に分散されてもよい。安全性目的のため、データは、復号キーを用いてヘルスケア提供者の処理装置上でのみ読むことができるように、暗号化されてもよい。ソフトウェア210のあるインスタンスが処理装置100上ですでに実行されている場合、ソフトウェア210の2つのインスタンスが実行されることがないように、携帯装置200上のソフトウェア210の起動を阻止してもよい。携帯装置200および処理装置100は、異なるバージョンのデータ管理システムソフトウェア210を有する場合があるため、異なるバージョンを調整するために、手順が必要となる場合がある。異なるバージョンのソフトウェアは、データを異なる形で整理および保存する、ならびに/または異なる種類のデータを収集する場合がある。換言すると、データ保存装置214の構造およびそこに保存されるデータの種類は、ソフトウェア210のバージョンに依存し得る。例えば、ヘルスケア提供者の処理装置が、より新しいバージョンのソフトウェア210を有する場合、より新しいバージョンは、より古いバージョンのソフトウェア210との下位互換性を有し、携帯装置200上のデータ上で動作することができるように開発されてもよい。しかしながら、ヘルスケア提供者の処理装置100が、より古いバージョンのソフトウェア210を有する場合、より古いバージョン210が終了され、より新しいバージョンの携帯装置200上が、ヘルスケア提供者の処理装置100上で起動されてもよい。異なるバージョンを調整するための他の技術が採用されてもよい。例えば、ソフトウェア210は、ソフトウェア210の少なくともいくつかの態様は変わらず、したがって上位および下位互換性を有するように、常に同じ方法で動作する基本的な機能一式を提供し、特定の基本的な種類のデータ、例えば、液状検体測定値を同じ方法で構造化するように開発されてもよい。
【0046】
一般に、保存し、ヘルスケア提供者等の他の個人と共有することができるデータの種類には、名前および住所情報、病状を追跡記録したデータ(記録日誌情報、慢性疾患および測定可能指標の毎日の追跡記録、この12時間にわたって収集された測定値等)、併存疾患データ、前回のインスリンまたは他の薬剤の投与、主治医の名前および連絡情報、過去の医者の訪問に関する情報、遺言状、治療上の選択委任状(health care proxy)に関する情報、保険情報、アレルギー情報、ならびにユーザから提供された他の情報が挙げられるが、これらに限定されない。代替として、または追加として、携帯装置200に貼られたステッカーまたは他のラベルに、情報を提供することができる。
【0047】
ユーザのプライバシーを保護するために、携帯装置200によって共有される情報は、ユーザによって厳密に制御される。共有データを制御するためのさらなる技術として、データ管理ソフトウェア210は、特定の種類のデータが、特定の個人/組織によってのみアクセス可能となるように、複数レベルのアクセスを提供してもよい。例えば、EMTは、医者の情報および一般に医療ブレスレットから得られるデータ等の情報にのみアクセス可能であってもよい。換言すると、ソフトウェアは、非常に基本的な機能、例えば、それほど機密ではない個人情報を、高い権限を有しない人物に提示するために、単一のスプラッシュ画面を表示する機能を提供する。一方では、医者は、より機密な健康関連情報にアクセス可能であってもよい。さらに、身内または身近な介護人、例えば、糖尿病を有する子供の両親に、より高位のアクセスが提供されてもよい。
【0048】
前述のとおり、携帯装置200は、様々な装置と接続し、通信するために、様々なインタフェース250を含んでもよい。前述のようにデータ管理ソフトウェア210を起動するために処理装置100と接続することに加え、携帯装置200は、ユーザに幅広い機能および機構を提供するために、例えば、ネットワーク上で、外部システムと遠隔接続する通信機能を採用してもよい。いくつかの実施形態においては、これらの外部システムは、携帯装置200とこれらの外部システムとの間の通信を管理する、ホスト機能を提供してもよい。これらの外部システムは、携帯装置200と外部システムとの間の通信を可能にするために、携帯装置200上の保存されたデータ管理ソフトウェア210または他のソフトウェアコンポーネントの態様を実行してもよい。あるいは、これらの外部システムは、必要なソフトウェアコンポーネントをローカルに保存してもよい。
【0049】
したがって、携帯装置200は、データを遠隔から他の個人、例えば、ヘルスケア提供者に伝送するために、インターネットへのアクセスを有するPC、またはセルラーネットワークへのアクセスを有する携帯通信装置等の媒介装置に接続してもよい。そのため、ユーザは、データを共有するために、携帯装置200と他の個人の処理装置100を直接接続する必要がない。したがって、携帯装置200上に保存された健康データは、遠くまたは離れた場所に居る場合がある、ヘルスケア専門家を含む他の個人に容易に共有される。この機構は、健康上の問題、距離、費用等により、ヘルスケア提供者の施設に行くことのできないユーザに特に有利であり得る。さらに、この機構は、ヘルスケア提供者が、より頻繁に、かつ即座にユーザの健康データを監視する能力を向上する。データの伝送は、媒介装置上または携帯装置200上に保存された適切なソフトウェアコンポーネントを実行するためのプロセッサを含んでもよい、媒介装置によって管理されてもよい。
【0050】
さらに、携帯装置200は、携帯装置200上に保存されたデータおよび/またはソフトウェアのフィールドアップグレードを受信するために、媒介装置に接続してもよい。例えば、携帯装置200は、ネットワークPCまたは携帯通信装置を通じて遠隔ダウンロードサーバに接続することによって、データ管理ソフトウェア210の更新された/パッチされたバージョン、またはさらには完全に新しいバージョンを簡便に受信してもよい。さらなる実施例として、携帯装置200は、携帯装置200上でソフトウェアを実行するための、新しい、または更新されたパラメータを受信してもよい。いくつかの実施形態においては、データ管理システム10の新しいプログラムまたは機構は、遠隔ダウンロードサーバから、受信、例えば、購入されてもよい。データ管理アプリケーションのグラフィカルユーザインタフェースをカスタマイズまたは個人化し得る任意の機構は、インターネットを介してアクセスすることができるシステムを通じて、入手可能であり得る。携帯装置200上のデータおよびソフトウェアの完全性を維持するために、フィールドアップグレードを介してダウンロードされたデータまたはソフトウェアは、携帯装置200に採用される前に、検証されてもよい。例えば、データまたはソフトウェア全体が正常にダウンロードされたことを確認するために、チェックサムルーチンが採用されてもよい。フィールドアップグレードは、媒介装置上または携帯装置200上に保存された、適切なソフトウェアコンポーネントを実行するためのプロセッサを含んでもよい、媒介装置によって管理されてもよい。追加として、または代替として、携帯装置200は、ソフトウェアコンポーネントをローカルで実行し、フィールドアップグレードの態様を管理することができる、プロセッサを含んでもよい。例えば、携帯装置200上のプロセッサは、データ更新ファイル(DUF)またはソフトウェアが正常にダウンロードされたことを保証する、他のコンポーネントに従って、携帯装置200上のデータの完全性を保ち得る。さらなるデータの安全性のために、データの暗号化/復号化にDUFを採用してもよい。
【0051】
前述のとおり、携帯装置200の実施形態は、様々な装置に接続するために、USBインタフェースを採用してもよい。従来のシステムにおいては、標準USBは、処理装置がホストとして機能し、USB対応周辺装置がスレーブとして機能する、処理装置と周辺装置との間に接続性を提供するように設計される。一般に、標準USBを用いて、USBホストのみが、接続されたUSB周辺装置へのデータ転送を開始することができ、USB周辺装置は、ホストによって与えられる命令に応答することしかできない。したがって、USB対応周辺装置は、ピアツーピア通信チャネル上の他のUSB対応周辺装置と接続することができない。処理装置100がラップトップ型PCである図1Bにおいては、ラップトップ型PCをホスト、携帯装置200を周辺装置と見なしてもよい。いったんソフトウェア210が処理装置100上で起動されると、処理装置100は、ソフトウェア210を介して、プログラム命令の実行、および携帯装置200とのいかなるデータ転送をも制御してもよい。
【0052】
しかしながら、他の実施形態においては、携帯装置200は、ホストとして機能するための処理機能を含んでもよい。したがって、携帯装置200は、標準USBに従う周辺装置としてのスレーブの役割に限定されない。換言すると、携帯装置200は、ピアツーピア通信を介して、従来的に周辺装置と見なされる装置を含む、より様々な装置と通信することができる。
【0053】
例えば、携帯装置200は、USB2.0規格およびUSB2.0規格の追加仕様である、USBオンザゴー(USBOTG)を採用してもよい。USBOTG機能は、携帯装置200が、USBOTGを採用する他の装置と通信できるようにする。USBOTG機能を有する2つの装置が互いに直接接続する際、ホストネゴシエーションプロトコル(Host Negotiation Protocol)(NHP)は、2つの装置のうちのいずれか1つがホストとなるようにする。また、NHPは、2つの装置が、ホスト/スレーブ役割を交換できるようにする。USBOTGを有する2つの装置間の物理接続が確立される際、装置のうちの1つがホストの役割を担い、2つの接続された装置間のUSBデータ通信が実現されるように8mAの電流でUSBVBUSの電源を入れる。ホストがUSBVBUSを作動させるのを促すために、セッションリクエストプロトコル(Session Request Protocol)(SRP)が使用されてもよい。2つの装置間の通信は、2つの装置間でデータを交換できるように、双方向または二重である。通信は、低速転送(例えば、約1.5Mビット/秒)、全速転送(例えば、約12Mビット/秒)、または高速転送(例えば、約480Mビット/秒)のいずれかを提供することができる。有利に、USBOTG機能は、電池式装置で使用するように構成され、電力消費を最小限にするよう試みる。その際、SRPを使用して、ホストによってUSBVBUSをオンおよびオフにすることができる。
【0054】
また、図1Aの携帯装置200が、USBOTG機能を含み、処理装置100(USBOTGのない)に接続する場合、処理装置100および携帯装置200は、標準USBを介して通信することができ、処理装置100は、前述のとおり、一般に、ホストとして動作することにも留意されたい。他の携帯装置は、USBOTGと同様の利点を提供する通信プロトコルを採用してもよい。
【0055】
USBOTGの一実施において、携帯装置200は、USB対応プリンタに直接接続されてもよく、携帯装置200からのデータを、自動的に印刷することができる。携帯装置200は、印刷できる状態の、または印刷可能なファイルを動的に生成してもよく、USB接続を介してファイルをプリンタに送信してもよい。
【0056】
別の装置と対話するために、携帯装置200に装置ドライバおよび/または他のソフトウェアコンポーネントが必要となる場合がある。例えば、プリンタにアップロードされたデータを印刷するために、プリンタドライバが必要となる場合がある。したがって、ファイルを印刷するために、携帯装置200がプリンタに接続してデータをプリントする際、携帯装置200は、プリンタドライバを保存し、それにアクセスしてもよい。携帯装置200が製造された後、USBOTGを有する携帯装置200に、追加装置ドライバおよび/または他のソフトウェアコンポーネントをインストールすることが不可能である場合があるため、携帯装置200は、ドライバが製造中に携帯装置200上にインストールされた、事前に選択された装置一式としか互換性を有しない場合がある。携帯装置200が任意の装置と互換性があるかを判断することができるように、互換性のある装置の一覧が、携帯装置200上に保存されてもよい。
【0057】
別の実施例においては、USBOTGを有する第1の携帯装置200は、第2の携帯装置200と直接通信することができ、携帯装置のうちの1つが、ホストとしての責任を担う。そのため、一適用においては、ユーザが古い携帯装置を新しい携帯装置と交換したい場合、古い携帯装置のデータおよび設定は、新しい携帯装置に容易に、直接転送することができる。別の適用においては、第1の携帯装置200で使用することができる機能は、第2の携帯装置200と共有されてもよく、またはその逆も同様である。例えば、第2の携帯装置200は、USB、ならびに第1の携帯装置200では使用することができないRF無線プロトコルを採用する、インタフェース要素を含んでもよい。しかしながら、第1の携帯装置200がUSBを介して第2の携帯装置200に接続する場合、第1の携帯装置200は、第2の携帯装置200上のRF無線プロトコルへのアクセスを有してもよい。
【0058】
血糖測定システムからの試験結果等のデータは、様々な技術に従って、データ管理システム10によって受信されてもよい。USBOTGの前述が示すように、携帯装置200は、ソフトウェアを起動するために処理装置とのインタフェースをとるだけに限定されない。したがって、図3では、携帯装置200は、測定システム20から携帯装置200上へデータを直接ダウンロードできるようにするために、測定システム20と直接接続してもよい。
【0059】
図3は、試験センサ400を受け入れ、その上の液体試料を分析するためのポート502を有する測定器500を含む、例示的な測定システム20を示す。試験センサ400は、測定器500を使用して分析される液体試料を受け入れるように構成される。分析され得る検体は、グルコース、脂質状態(例えば、コレステロール、トリグリセリド、LDL、およびHDL)、微量アルブミン、ヘモグロビンAC、フルクトース、乳酸塩、またはビリルビンを含む。検体濃度等の検体情報が判断されてもよい。検体は、全血試料、血清試料、血漿試料、ISF(間質液)および尿のような他の体液、ならびに非体液の中にあってもよい。
【0060】
試験センサ400は、液体試料を受け入れるための液体受け入れ領域(図示せず)を含む。ユーザは、指または体の他の領域に刺し、皮膚表面で液体試料を得るための穿刺器または穿刺装置を採用してもよい。次いでユーザは、試験センサ400を試料と接触させて置くことによって、この試料(例えば、血液試料)を採取してもよい。液体受け入れ領域は、試料と反応し、検体濃度等の試料中の検体に関連する情報を示す、試薬を含んでもよい。
【0061】
試験センサ400は、電気化学試験センサであってもよい。電気化学試験センサは、典型的に、複数の電極と、酵素を含む液体受け入れ領域と、を含む。液体受け入れ領域は、液体試料(例えば、血液)中の関心検体(例えば、グルコース)を、電気化学的に測定可能な化学種に変換するための試薬を含む。試薬は、典型的に、検体、およびフェリシアン化物塩等の電子受容体と反応し、電極によって検出することができる、電気化学的に測定可能な種を生成する、グルコース酸化酵素等の酵素を含む。グルコース脱水素酵素等の他の酵素を用いてグルコースと反応させてもよい。一般に、酵素は、液体試料の検体濃度を判断するのを補助するために、試験されるべき1つまたは複数の所望の検体と反応するように選択される。別の検体の濃度が判断される場合、その検体と反応させるのに適切な酵素が選択される。
【0062】
あるいは、試験センサ400は、光学試験センサであってもよい。光学試験センサシステムは、透過分光法、吸光光度法、拡散反射法、蛍光分光法、蛍光共鳴エネルギー移動、これらの組合せ、および検体濃度を測定するための他の方法等の技術を使用してもよい。指示試薬システムおよび体液の試料中の検体は、反応して、センサ400に向けられる光を変化させる。光の変化の度合いが、体液中の検体濃度を示す。
【0063】
使用され得る、いくつかの市販される試験センサには、Bayer HealthCare LLC(Tarrytown, New York)から市販されるものが挙げられる。これらの試験センサには、Ascensia(登録商標)CONTOUR(登録商標)血糖監視システム、Ascensia(登録商標)BREEZE(登録商標)およびBREEZE(登録商標)2血糖監視システム、ならびにAscensia(登録商標)Elite(登録商標)およびElite(登録商標)XL血糖監視システムで使用されるものが挙げられるが、これらに限定されない。上記に掲載されるものに加え、他の試験センサが、本発明の方法およびシステムに組み込まれてもよい。
【0064】
図3では、測定器500は、試験センサ400を受け入れ、嵌合する。測定器500は、試験センサ400によって採取された試料の検体の濃度を測定する。測定器500は、電気化学試験センサの電気化学反応を検出するための電極との接点を含んでもよい。あるいは、測定器500は、光学試験センサへの光変化の度合いを検出するための光検出器を含んでもよい。測定器500によって測定された電気化学または光反応から検体の実際の濃度を計算するため、および概して、試料を試験するための手順を制御するために、測定器500は、測定アルゴリズムに従ってプログラムされた命令を実行し得る、少なくとも1つのプロセッサ510を採用する。プロセッサ510によって処理されたデータは、メモリ520に保存されてもよい。さらに、測定器は、表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を含む、ユーザインタフェース570を有してもよい。また、ユーザが測定器500と対話できるようにするために、押しボタン、スクロールホイール、タッチ画面、またはこれらの組合せも、ユーザインタフェース570の一部として提供されてもよい。表示部は、典型的に、試験結果に関する情報、試験手順、および/またはユーザによって入力された信号に応える情報を示す。
【0065】
測定器500は、試験結果を保存し、試験結果を表示するためのユーザインタフェース570を提供することができるが、携帯装置200上のデータ管理ソフトウェア210は、試験結果および関連情報を管理、処理、ならびに表示するためのより高度な機能を提供する。したがって、測定器500によって収集された試験関連データは、データ管理ソフトウェア210で使用するために、携帯装置200にダウンロードされてもよい。図3では、測定器500は、携帯装置インタフェース要素250を介して、測定器500を携帯装置200に接続できるようにする、インタフェース要素550を含む。
【0066】
測定器インタフェース要素550および携帯装置インタフェース要素250は、前述されるインタフェース技術を採用してもよい。USBインタフェースは、携帯装置200と測定器500を接続してもよい。測定器500と携帯装置200との間のデータの転送は、プロセッサ510を含む、携帯装置または測定器500上に、USBホスト機能等のホスト機能を採用する必要がある場合がある。そのため、データのダウンロードは、携帯装置200または測定器500によって、測定器500上または携帯装置200上に保存された適切なソフトウェアコンポーネントを実行するように管理される。携帯装置200による適切なデータ保存および分析を確実にするために、転送されるデータ、例えば、一連の血糖読取値は、タイムスタンプまたは連続番号を用いて整理することができる。
【0067】
前述されるインタフェースに加え、インタフェース要素250および550を介してデータを転送するための他の通信プロトコルが採用されてもよい。例えば、無線自動識別(RFID)技術は、測定器500から携帯装置200にデータを転送するためのインタフェースを提供することができる。特に、携帯装置200上のインタフェース要素250は、RFIDアンテナおよびRFID回路を含んでもよい。その一方で、測定器500上のインタフェース要素550は、血糖読取値等のデータを携帯装置200に転送するために、携帯装置200に測定器500を通す、または携帯装置200で測定器500を読み取ることができるように、対応するRFID回路を含んでもよい。このRFIDインタフェースを採用するために、送信器、例えば、測定器500は、より少ない電力を必要とし、受信器、例えば、携帯装置200は、より多い電力を必要とする。いくつかの実施形態においては、例えば約100の血糖読取値に対応し得る、約56K〜約256Kの範囲のデータは、一度に転送することができる。
【0068】
データを転送するためのRFID技術は、携帯装置200と、処理装置100等のいかなる他の装置との間に採用されてもよい。前述のとおり、処理装置100は、基地局処理装置またはヘルスケア提供者の処理装置であってもよい。これらの処理装置は、すでにデータ管理ソフトウェア210を含み得るため、ソフトウェア210は、携帯装置200から起動される必要がなく、血糖読取値に関連するデータ等の保存されたデータのみ、処理装置100に転送する必要がある。この実施形態においては、処理装置100が、受信器として機能し、一方、携帯装置200が、送信器として機能するため、処理装置100上のインタフェース要素150は、RFIDアンテナを含む。この実施形態においては、有利に、携帯装置200により少ない電力が必要とされる。
【0069】
携帯装置200は、処理装置100、または電源を有する別の外部装置との接続を介して、充電することができる、充電式電池260等の電源を有してもよい。例えば、電力は、処理装置100と携帯装置200との間のUSB接続を介して、伝達されてもよい。携帯装置200および測定器500が接続される場合、電池260は、測定器500に電力を供給する、充電式電池560を再充電するために使用することができ、またはその逆も同様である。
【0070】
前述のとおり、携帯装置200は、携帯装置200上に保存されるデータおよび/またはソフトウェアのフィールドアップグレードを受信するために、媒介装置に接続してもよい。また、携帯装置200は、ソフトウェアを更新する、または測定器500に追加するために、使用されてもよい。例示的な実施形態においては、測定器500のためのソフトウェアの新しい、または更新されたバージョンが、携帯装置200にダウンロードされてもよい。これは、携帯装置200が、ネットワークPCまたは携帯通信装置を通じて遠隔ダウンロードサーバに接続した後に、達成され得る。測定器500が携帯装置100に接続された後、次いでソフトウェアの新しい、または更新されたバージョンが、測定器500にダウンロードされてもよい。このダウンロードプロセスは、携帯装置200または測定器500によって管理されてもよい。
【0071】
図4では、図3の測定システム20によって収集されたデータは、処理装置インタフェース要素155を通じて、測定システム20を処理装置100に接続することによって、ダウンロードされてもよく、一方、また携帯装置200も、処理装置100に接続される。次いで、処理装置100を介して、データを携帯装置200に読み込むことができる。測定システム20と処理装置100との間の接続は、前述される通信インタフェース技術を採用してもよい。例えば、測定システム20は、処理装置100上の第2のUSBポートに受け入れられてもよい。さらに、処理装置100上で実行されるデータ管理ソフトウェア210は、測定システム20からデータを転送できるようにするため、またはそれを促進するために、使用されてもよい。
【0072】
図5は、携帯装置200のコンポーネントおよび機能と、測定器500のコンポーネントおよび機能を組み合わせる、別の携帯装置1100を示す。特に、携帯装置1100は、処理装置100上にソフトウェアコンポーネントを事前にインストールすることを必要とせずに、処理装置100上で起動され得るソフトウェア1110を保存する、メモリ220を含む。ソフトウェア1110は、上述の方法で、処理装置100上でソフトウェア1110を起動する、スタートアッププログラム1111を含む。さらに、メモリ220は、収集された、またはソフトウェア1110で処理されたデータを保存する、データベース等のデータ保存装置1112を含んでもよい。メモリ220は、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ、メモリカード等を含んでもよい。また、携帯装置1100は、USB技術、RF技術等を介して、処理装置100のインタフェース要素150に接続し得る、インタフェース要素250も有する。
【0073】
さらに、携帯装置1100は、検体試験センサ400を受け入れるためのポート502を含んでもよい。血液試料等の試料は、試験センサ400によって採取されてもよく、血糖濃度等の検体濃度を判断するために、前述のとおり分析されてもよい。ソフトウェア1110は、検体試験センサ400によって受け入れられた試料を分析するためのプログラムされた命令を含む。そのため、ソフトウェア1110が処理装置100上で起動される際、処理装置100上のプロセッサ110は、試験センサ400上で試料が試薬と反応する際の電気化学または光反応の検出からの情報を収集し、分析するために、ソフトウェア1110を実行する。いったんプロセッサ110が試験センサ400上の試料の分析から試験結果を判断すると、処理装置100は、処理装置100に付随する表示部120に試験結果を表示してもよい。したがって、携帯装置1100が、試験センサ400上の反応を検出するために、ポート502を提供し、処理装置100が、携帯装置1100からのソフトウェア1110を用いて反応を分析し、試験結果を表示する、血糖測定器等の測定システムを提供するために、携帯装置1100および処理装置100が組み合わせられる。さらに、ソフトウェア1110は、処理装置100の向上したデータ処理および表示機構を提供するために、前述される、データ管理ソフトウェア210の機構を含んでもよい。
【0074】
携帯装置1100のメモリ220は、セキュアデジタル(SD)カードを含んでもよく、携帯装置1100は、SDIO(Secure Digital Input Output)インタフェース規格を介して、PALM(登録商標)ハンドヘルドまたはBlackberry(登録商標)装置等の処理装置100と接続してもよい。したがって、携帯装置1100は、試験センサ400を受け入れるためのポート502を有する、SDカードの形状を有してもよく、SDカードは、測定システムを提供するために、処理装置100に差し込むことができる。あるいは、携帯装置1100は、他の種類のメモリを含んでもよく、Bluetooth(登録商標)無線技術等の他の技術を介して、処理装置に接続してもよい。
【0075】
さらに、ソフトウェア1110は、携帯装置1100が、HTMLを介して、ソフトウェア1110のフロントエンドユーザインタフェースをレンダリングするために、大部分のオペレーティングシステム上で一般的に使用できるウェブブラウザを使用することができるように、Javaベースであってもよい。有利に、Javaベースのソフトウェア1100は、概して、オペレーティングシステムの種類に依存せず、PALM(登録商標)ハンドヘルドまたはBlackberry(登録商標)装置等の多くの装置は、ウェブブラウザを採用する。したがって、携帯装置1100は、多くの装置を血糖測定器等の測定システムに変換するための、互換性および携帯性の高いアプローチを提供する。広くは、また、本明細書に記載される携帯装置によって起動されるソフトウェアも、ウェブブラウザ上および類似するレンダリングアプリケーション上で実行することができる、Javaベースのプログラムであってもよい。
【0076】
図5の携帯装置1100のように、図6A図6Dの統合装置600は、携帯装置200のコンポーネントおよび機能と、測定器500のコンポーネントおよび機能を組み合わせる。したがって、統合装置600は、ポート502を介して、検体試験センサ400を受け入れてもよい。しかしながら、また、統合装置600は、試験センサ400によって採取された試料中の検体の濃度を計算し得る、プロセッサ610も含む。携帯装置1100とは異なり、統合装置600は、検体の計算を別個の処理装置100のプロセッサ110によって取り扱う必要がない。そうではなく、統合装置600中のプロセッサ610が、試験センサ400上の試料と試薬との間の反応の検出からの情報を処理する。試験結果は、統合装置600のメモリ220に保存される。そのため、メモリ220は、約500MB〜約2GBの範囲の容量を有してもよい。
【0077】
さらに、統合装置600は、試験結果を表示し、様々な表示オプションに入力を行うために使用されてもよい、ユーザインタフェース670を含む。特に、ユーザインタフェース670は、携帯装置200の機能と高度なデータ処理および表示機構を統合することによって、データ管理システム10にさらなる利便性および携帯性を提供し得る。つまり、統合装置600は、測定器500のコンポーネントおよび機能に加えて、携帯装置200とユーザインタフェース670を統合する。
【0078】
したがって、図6Bおよび図6Cに示されるように、統合装置600は、データ処理および表示機構を提供する、携帯血糖測定器であってもよい。ユーザは、試験センサ400を介して血液試料を提供するために統合装置600を採用し、別個の処理装置100上でデータ管理アプリケーションを起動することなく、統合装置600から、血糖試験データのより高性能な提示にアクセスしてもよい。
【0079】
しかしながら、ハードウェアの制限が、すべての所望の機能を統合装置600に組み込むことを依然として妨げる場合があるため、統合装置600は、より大きな処理装置100上でデータ管理アプリケーションを起動し、ユーザに、統合装置上では使用できない機能を提供する能力を維持する。図6Dは、ラップトップ型PCおよび携帯通信装置を含む、2つ以上の処理装置100に無線で接続された、統合装置600を示す。
【0080】
上述されるように、統合装置600は、ソフトウェア210を起動することを必要とせずに、処理装置100と通信し、それにデータを転送してもよい。実際には、処理装置100は、データ管理ソフトウェア210をすでに含んでいてもよい。特に、データを転送するためのRFID技術を、統合装置600と処理装置100との間に採用することができる。処理装置100は、受信器として機能し、一方、統合装置600は、送信器として機能するため、処理装置100のインタフェース要素150は、RFIDアンテナを含む。血糖読取値等のデータを処理装置100に転送するために、統合装置600は、処理装置100に通される、または処理装置100で読み取られてもよい。統合装置600は、より少ない電力を必要とし、処理装置100は、より多い電力を必要とする。転送されるデータ、例えば一連の血糖読取値は、処理装置100による適切なデータ保存および分析を確実にするために、タイムスタンプまたは連続番号を用いて整理することができる。
【0081】
さらなる適用においては、統合装置600は、ネットワーク上の離れた位置にある処理装置100にデータを伝送してもよい。前述のとおり、ネットワーク通信を提供するために、様々なアプローチを導入することができる。例えば、統合装置600は、遠隔でデータを他のシステムまたは装置に伝送するために、インターネットへのアクセスを有するPC、またはセルラーネットワークへのアクセスを有する携帯通信装置等の媒介装置に接続してもよい。他の実施形態においては、統合装置600は、遠隔システムまたは装置とより直接的に通信してもよい。例えば、遠隔処理装置100は、統合装置600によって収集されたデータのさらなる処理または保存を提供する、集中ヘルスケアシステム内のサーバであってもよい。集中ヘルスケアシステムは、遠隔処理装置200上で実行されるデータ管理ソフトウェア210に、ウェブベースの、またはクライアントサーバベースのフロントエンドを提供してもよい。追加として、または代替として、データは、ヘルスケア専門家に共有されてもよい。したがって、統合装置600から遠隔処理装置100にデータを転送するために、統合装置600は、インタフェース要素250を介して、例えば、無線ネットワークまたはWi−Fiホットスポットに直接接続してもよい。データの安全性を確保するために、データ暗号化および認証手順が採用されてもよい。一実施形態においては、統合装置600は、無線ネットワークまたはWi−Fiホットスポットの存在を検出し、バックグラウンドプロセスによって、データを遠隔処理装置100に自動的に転送する。あるいは、統合装置600は、ユーザインタフェース670を介して、遠隔処理装置100にアクセスできることをユーザに通知してもよく、ユーザは、所望により、データ転送を開始することができる。
【0082】
統合装置600は、ユーザインタフェース670の表示状態を保存してもよい。例えば、試験情報を記録するための機能が、統合装置600上で使用可能であってもよく、ユーザインタフェース670の表示部に記録日誌が表示されてもよい。記録日誌機能は、画面上のショートカットアイコンを選択することによって、またはメニューから機能を選択することによって、アクセスされてもよい。しかしながら、便宜上、記録日誌機能中に装置600が電源オフになるか、スタンバイモードに入るか、または別の方法で動作が停止される場合、装置600が再び始動される際に、記録日誌機能および表示が自動的に開始されるように、ユーザが記録日誌を表示する際には、統合装置600は、表示の状態を追跡記録する。もちろん、また、表示状態は、表示部に表示されるいかなる他の機能にも使用されてよい。
【0083】
さらに、統合装置600によって保存される表示状態は、処理装置100上で実行されるデータ管理ソフトウェア210によって使用されてもよい。特に、ユーザは、統合装置600のユーザインタフェース270を通じて、試験結果の要約等、ある情報を表示することができる。この特定の表示が該表示状態に維持されている場合、装置600上に最後に示された表示に対応するデータ管理ソフトウェア210内の機能が、自動的に開始されるように、統合装置600に接続される際には、該表示状態が、処理装置100上のデータ管理ソフトウェア210に通信されてもよい。データ管理ソフトウェア210は、統合装置600上に表示された試験結果の要約に関する詳細なデータを提供する画面を自動的に開始してもよい。
【0084】
一般に、携帯装置200に、ユーザインタフェース機構および測定システム能力等、様々なレベルの機能が統合され得る。しかしながら、携帯装置200のコンポーネントおよび機能を採用するいかなる装置も、それが測定器500のコンポーネントおよび機能を組み込まないとしても、ユーザインタフェースを含んでもよい。
【0085】
図7A図10Bは、前述される例示的な実施形態によって採用され得る、追加機構を示す。これらの機構は、USBインタフェース要素250を有する実施形態に関して記載されるが、前述のとおり、機構は、インタフェース要素250に他の通信プロトコルを採用する実施形態に適用されてもよい。
【0086】
図7Aおよび図7Bは、多くの点で、前述される携帯装置200と類似し得る、携帯装置700を示す。携帯装置700は、本体が、インタフェース要素250Aを処理装置100のUSBポートに挿入するのを物理的に妨害することを避けるために、携帯装置700の本体または筐体部分から延在してもよい、USBインタフェース要素250Aを含む。特に、便利な長さの導電性ケーブル252は、携帯装置700のインタフェース要素250Aと本体201との間に延在する。導電性ケーブル252は、インタフェース要素250Aが、携帯装置700の他のコンポーネントに電気信号を通信できるようにし、一方、インタフェース要素250Aは、携帯装置700の本体201から離間する。不要な長さの導電性ケーブル252を簡便に格納するために、インタフェース要素250Aの一部は、格納チャンバ251を含む。図7Aの格納チャンバ251は、いかなる導電性ケーブル252のたるみも格納チャンバ251に引き込む、クラッチのある、ばね仕掛けケーブル巻き取り部(spring‐loaded cable recoil)を含む。導電性ケーブル252は、適切な張力を維持し、余長が必要な場合、導電性ケーブル252の追加の長さを、格納チャンバ251から容易に引き出すことができる。インタフェース要素250Aが使用されていない場合、これは、携帯装置700の本体201内の格納空洞253に簡便に格納することができる。図7Bは、導電性ケーブル252を介して、ラップトップ型PCである処理装置100Bに接続された、携帯装置700を示す。
【0087】
図8Aおよび図8Bは、多くの点で統合装置600と類似し得る、統合装置800を示す。統合装置800は、USBインタフェース要素250を有する。統合装置800は、PC等の処理装置100または電池パック260のいずれかとのUSBインタフェース要素250を介した接続によって電力が供給されてもよい。図8Aおよび図8Bでは、USBインタフェース要素250上に係合する、キャップ202内に電池パック260が配置されている。したがって、審美的に、電池パック260は、USBインタフェース要素250のキャップのように見える。電池パック260は、キャップ202がUSBインタフェース要素250上に取り付けられる際、電池パック260がUSBインタフェース要素250と接続し、統合装置800に電力を提供するように、第1の配向に従って、キャップ202内に置かれてもよい。図8Bは、電池パック260およびUSBインタフェース要素250が整列しないように、電池パック260がオフセット位置に配置される、第2の配向のキャップ202を示す。したがって、第2の配向にある場合、電池パック260は、USBインタフェース要素250に接続せず、電池電力を節約し、電池寿命を延ばすことを可能にする。キャップ202は、キャップ202を取り外し、キャップ202を180度回転し、キャップ202をインタフェース要素250上に戻すことによって、第1の配向と第2の配向との間を移行されてもよい。電池パック260は、1つ以上の交換可能な電池を含んでもよい。あるいは、電池は、交換可能でなく、キャップ202に固定され、したがって、新しい電池を採用するために、キャップ202全体を交換しなければならない。
【0088】
図9Aおよび図9Bは、多くの点で前述される統合装置800と類似し得る、別の統合装置900を示す。統合装置900の一方の端部は、キャップ202を有するUSBインタフェース要素250を含む。その一方で、統合装置900のもう一方の端部は、試験センサ400を格納する別のキャップ203を含む。キャップ202および203は、交換可能である。したがって、動作中、電池パック260を接続して電力を供給するために、キャップ202は、USBインタフェース要素250上に取り付けられ、試料を採取するためのセンサストリップ400へのアクセスを提供するために、キャップ203は、取り外される。例えば、キャップ203は、試料を採取するために使用され得る、複数の試験センサ400を保持してもよく、次いで試験センサ400は、試料データを捕捉するために、統合装置800とインタフェースをとってもよい。しかしながら、統合装置800が使用中でない場合、キャップ203は、USBインタフェース要素250上に取り付けられてもよく、キャップ202は、統合装置800のもう一方の端部に取り付けられてもよい。キャップ203は、試験センサ400の適切な格納を促すために、統合装置800の端部上に密封係合を提供してもよい。
【0089】
図10Aは、多くの点で統合装置600と類似し得る、さらに別の統合装置1000を示す。統合装置1000は、主本体201内にUSBインタフェース要素250を含む。キャップ209は、主本体201に取り外し可能に結合され、USBインタフェース要素250上に取り付けられてもよい。キャップ209は、温度センサ280および対応する回路281を含む。温度センサ280は、熱電対、サーミスタ、サーモクロミックセンサ等を含んでもよい。温度センサ280は、キャップ209の外側表面204で、またはその近くで、温度を測定する。キャップ209がUSBインタフェース要素250上に取り付けられる際、温度センサ280は、インタフェース要素250に接続され、対応する温度データは、統合装置1000のプロセッサに転送される。一般に、主本体201は、統合装置1000が動作することによって生成される熱を保持し得るため、主本体201の温度は、周囲温度を反映しない可能性がある。また、主本体201の温度は、それに近接する、他の暖かい、または冷たい人体の影響を受ける可能性がある。例えば、統合装置1000がユーザの手の中に保持される際、または別の方法でユーザの体に近接して携行される際に、体温が主本体201に伝達される可能性がある。主本体201の熱質量のため、主本体201は、非常にゆっくり周囲との平衡に達する可能性がある。しかしながら、キャップ209の外側表面204は、主本体201との弱い熱的結合を有するため、外側表面204で、またはその近くで測定される温度は、実質的に主本体201の影響を受けない。さらに、温度センサ280の温度は、主本体201より早く、周囲との平衡に達する。外側表面204の周囲温度への移行を促進するために、ヒートシンクが採用されてもよい。結果として、温度センサ280は、周囲温度をより正確に反映する。試験センサ400上の試薬との反応に従って、液体試料中の検体の濃度(例えば、血糖濃度)を判断するために、温度センサからの温度データが採用されてもよい。反応のレベルは、試薬の温度の変化に影響を受ける可能性があるため、試薬の温度を推定するために、周囲温度を測定することができる。そのため、統合装置1000は、試薬の温度に対する感受性を考慮し、したがって、試料中の検体の濃度のより正確な計算を得ることができる。
【0090】
図10Bは、図10Aの統合装置1000によって採用され得る、温度センサ280を有する、キャップ209の断面を示す。特に、温度センサ280は、キャップ209の外壁部分206の一部に、薄膜205を含む。薄膜205は、低熱質量、および薄膜が周囲との平衡により早く達するのを助長する、大きな領域対厚さ比を有する。そのため、温度センサ280は、周囲温度のより正確な判断を達成するために、薄膜205の温度を測定する。薄膜205への熱伝導を最小限にするために、薄膜205は、プラスチック等から形成されてもよく、外壁部分206とキャップ209の残りの部分との間に、少なくとも1つの空隙207が存在するように、外壁部分206がキャップ209の残りの部分に結合されてもよい。空隙207は、周囲空気が薄膜205の周りを流動し、薄膜が周囲温度に移行するのを促進できるようにする。あるいは、外壁部分206は、空隙207を含む、非常にゆるい相互係止接続を提供し、薄膜205の周りで周囲空気が流動できるようにしてもよい。薄膜205または外壁部分206は、いずれかがいくらかの損傷を受けた場合、交換されてもよい。温度センサ回路281は、薄膜205の温度を測定するために、赤外線(IR)センサを含んでもよい。あるいは、薄膜205は、温度とともに色が変化する、サーモクロミック材料を含んでもよい。この場合、温度センサ280は、1つ以上のレーザーLED等の光源、および1つ以上のフォトダイオード等の検出器を含んでもよい。光源は、サーモクロミック材料に光子を伝送し、検出器は、サーモクロミック材料の色を示す、サーモクロミック材料から反射される光子を受け取る。いくつかの実施形態においては、回路281は、キャップ209ではなく、主本体281内に収容されてもよく、一方、薄膜205または他の温度センサ構造は、依然としてキャップ209内にある。
【0091】
本発明は、様々な修正および代替形状が可能であるが、その特定の実施形態および方法が一例として図面に示され、本明細書において詳細に説明されてきた。しかしながら、本発明を、開示される特定の形状または方法に制限することは意図されず、また、それとは反対に、本発明の精神および範囲に含まれるすべての修正、同等物、ならびに代替を対象とすることを意図することが理解されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B