特許第5721039号(P5721039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5721039
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】そり付き車椅子
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/00 20060101AFI20150430BHJP
   A61G 1/02 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   A61G5/00 511
   A61G1/02 502
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-48133(P2014-48133)
(22)【出願日】2014年2月21日
【審査請求日】2014年2月21日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514061049
【氏名又は名称】田村 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100082094
【弁理士】
【氏名又は名称】橋爪 英彌
(72)【発明者】
【氏名】田村 一義
【審査官】 岩田 洋一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−113969(JP,A)
【文献】 特開平11−169411(JP,A)
【文献】 特開2010−063593(JP,A)
【文献】 特開2013−216303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/00
A61G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスターと車輪の両者を有する車椅子において、キャスターでなく車輪について車椅子の躯体ではなくその車軸に回動自由に取り付けられたそりと、該そりの平らな部分の長さは階段の2段の角部間の距離より長くされると共にその両端の湾曲高さは階段の各段の高さより高くされたそり部と、からなるそり付き車椅子
【請求項2】
キャスターと車輪の両者を有する車椅子において、キャスターでなく車輪について車椅子の躯体ではなくその車軸に回動自由に取り付けられたそりと、該そりの平らな部分の長さは階段の2段の角部間の距離より長くされると共にその両端の湾曲高さは階段の各段の高さより高くされたそり部と、からなり前記そり本体が車椅子の躯体に対して選択的な所定の角度で固定可能にされたそり付き車椅子
【請求項3】
キャスターと車輪の両者を有する車椅子において、キャスターでなく車輪について車椅子の躯体ではなくその車軸に回動自由に取り付けられその中央部の長孔において車輪が下方に突出するそり、を有する請求項1または請求項2のそり付き車椅子
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は階段を容易に介護者、看護師が被介護者、病人を乗せたまま昇降移動させる、特に火事等の緊急時でも容易に昇降移動させる、ことが出来るそり付き車椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において階段を容易に介護者、看護師が被介護者、病人を乗せたまま昇降移動させる、特に火事等の緊急時でも容易に昇降移動させる、ことが出来るそり付き車椅子はなかった。
すなわち従来の車椅子は階段の昇降移動に適応した構造にはなっていないため平常時に介護施設、病院においてエレベーターを利用出来ても、例えば火事等の緊急時のエレベーター使用不能時に介護者、看護師は車椅子を2人乃至4人で持ち上げて階段を昇降するしかなかった。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上の従来の課題を解決し、階段を容易に介護者、看護師が被介護者、病人を乗せたまま昇降移動させる、特に火事等の緊急時でも介護者、看護師1人で容易に昇降移動させる、ことが出来るそり付き車椅子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は以上の目的達成のために、車椅子の躯体ではなくその車軸に回動自由に取り付けられたそりを有するそり付き車椅子を提案するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下本発明のそり付き車椅子を図面に示す実施例に従って説明する。
図1は本発明のそり付き車椅子(1)であり、該そり付き車椅子(1)は躯体(2)に回転自由に取り付けられた車輪(4)を有する。
躯体(2)の上部後方には介護者、看護師が持つための持ち手(3)が設けられている。
車輪(4)の車軸(4a)にはそり(6)が取り付けられ、すなわち該そり(6)は図2に示す様にそり本体(6a)の孔(6c)において車軸(4a)に回動自由に取り付けられる。
そり(6)は扇状のそり本体(6a)の下端にそり部(6b)が設けられたものであり、該そり部(6b)は両端が湾曲され、またその中央部に車輪(4)が下方に突出するための長孔(6e)が設けられる。
またそり(6)の材質はそり部(6b)の滑りをよくするために摩擦係数の少ない合成樹脂を用いることが望ましい。
また図示の実施例では車椅子(1)の躯体(2)に対して必要な場合に、そり(6)の回動を停止させるため又はそり本体(6a)を躯体(2)に所定の角度で固定するため、ピン(8)が躯体(2)とそり本体(6a)を貫通可能に設けられる。
すなわちピン(8)をそり本体(6a)の複数の孔(6d)(図2に図示、図1にはそり本体の孔の図示を省略)に選択的に挿入することによりそり本体(6a)が躯体(2)に所定の角度で固定されることになる。
【0006】
以上の実施例に示したそり付き車椅子(1)の使用方法を以下に説明する。
すなわち平常時に平らな床または地面を移動する場合には図1に示す様にそり(6)は床または地面に平行な状態に例えばピン(8)で固定され、介護者、看護師(図示せず)は持ち手(3)を持ってそり付き車椅子(1)を移動させることになる。
その場合にそり(6)のそり部(6b)はその長孔(6e)から突出している車輪(4)の下端より僅かに浮いた状態に設定されているため、そり(6)は車輪(4)の回転の邪魔にはならず、従ってそり(6)はそり付き車椅子(1)の移動の障害にならない。
【0007】
次に図3に示す様にそり付き車椅子(1)を階段(9)において介護者、看護師(図示せず)が持ち手(3)を持って昇降する場合においても、そり(6)は平常時のままでよい。
すなわち被介護者、病人を乗せたそり付き車椅子(1)はそり(6)において階段(9)を滑ることになり、介護者、看護師は1人でそり付き車椅子(1)を階段(9)で昇降移動させることが可能である。
前述の様にそり本体(6a)が車椅子(1)の躯体(2)に対して選択的な所定の角度で固定可能にされている場合には、介護者、看護師はそり本体(6a)を躯体(2)に所定の角度で固定し持ち手(3)の位置を持ち易くして階段(9)を昇降させることが出来る。
例えばそり付き車椅子(1)の前輪のキャスター(7)が階段(9)に当たるのを防止したい場合には、持ち手(3)の位置が下がる(キャスター(7)の位置が上がる)様に躯体(2)に対するそり(6)の傾斜角度を調整すればよい。
【0008】
また車輪(4)はそり(6)の長孔(6e)から突出しているため階段(9)の昇降の際に車輪(4)は階段(9)に(その角部に当たる毎に)接触するから車輪(4)に備えられているブレーキ(図示せず)をかければそり付き車椅子(1)の昇降時ブレーキとして機能する。
また床、地面、階段が非常時に地震等で凹凸が生じていてもそり(6)から下方に突出した車輪(4)がそれを吸収乃至対応することが出来る。
また車輪(4)にラチェットギア等の逆転防止機構を設ければ階段(9)を昇る際に昇る方向には車輪(4)が回転し降る方向には車輪(4)の回転が防止されブレーキとして作用することになる。
また図4に示す様にそり部(6b)の平らな部分の長さDは階段(9)の2段の角部間の距離Fより長くすることが望ましく、そり部(6b)の湾曲高さEは階段(9)の各段の高さGより長くすることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のそり付き車椅子の効果を次に列挙する。
1.本発明のそり付き車椅子は躯体の車軸にそりが取り付けられているため車輪での移動と階段でのそりによる移動の両者の重量バランスに差異が無く、すなわち平坦な床または地面と階段の両者の移動時の重量バランスの差異がなく、従って階段を容易に介護者が被介護者を乗せたまま昇降移動させる、特に火事等の緊急時でも介護者1人で容易に昇降移動させる、ことが出来る。
2.本発明のそり付き車椅子は、そのそり部として平らな部分の長さは階段の2段の角部間の距離より長くされると共にその両端の湾曲高さは階段の各段の高さより高くされているため介護者、看護師が車椅子と共に階段を上る際も降りる際もいずれにおいても、車椅子のそりは床または地面からスムーズに階段へと移行することが可能になった。
3.発明のそり付き車椅子はそり本体が車椅子の躯体に対して選択的な所定の角度で固定可能にされている場合には、介護者はそり本体を躯体に所定の角度で固定して階段を昇降させることが出来てより容易に階段の昇降が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のそり付き車椅子の側面図
図2】本発明のそりの斜視図
図3】本発明のそり付き車椅子の階段での昇降状態の側面図
図4】本発明のそり付き車椅子のそりと階段の寸法関係を示す概念図
【符号の説明】
【0011】
1 そり付き車椅子
2 躯体
3 持ち手
4 車輪
4a 車軸
6 そり
6a そり本体
6b そり部
6c 孔
6d 孔
6e 長孔
7 キャスター
8 ピン
9 階段
【要約】
【課題】本発明は階段を容易に介護者、看護師が被介護者、病人を乗せたまま昇降移動させる、特に火事等の緊急時でも介護者、看護師1人で容易に昇降移動させる、ことが出来るそり付き車椅子の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は以上の目的達成のために、車椅子の躯体ではなくその車軸に回動自由に取り付けられたそりを有するそり付き車椅子を提案するものである。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4