(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721057
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】オーブントースタの焼網
(51)【国際特許分類】
F24C 15/16 20060101AFI20150430BHJP
B21D 31/04 20060101ALI20150430BHJP
B21D 53/00 20060101ALI20150430BHJP
F24C 7/04 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
F24C15/16 B
B21D31/04 Z
B21D53/00 Z
F24C7/04 A
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-229256(P2011-229256)
(22)【出願日】2011年9月28日
(65)【公開番号】特開2013-72641(P2013-72641A)
(43)【公開日】2013年4月22日
【審査請求日】2014年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】592044499
【氏名又は名称】株式会社千石
(74)【代理人】
【識別番号】100064861
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 文雄
(72)【発明者】
【氏名】千石 唯司
(72)【発明者】
【氏名】千石 剛平
【審査官】
長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】
実公第007302(大正12年)(JP,Y1T)
【文献】
特開2008−116185(JP,A)
【文献】
特開平09−184646(JP,A)
【文献】
特開2011−179691(JP,A)
【文献】
実開平01−109706(JP,U)
【文献】
実開平04−041711(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/16
B21D 31/04
B21D 53/00
F24C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属平板のプレス加工により網目が形成された網目部と、
周縁部の両側部の一部に形成した複数個の筒状突起部と、
周縁部に、前記筒状突起部の存在する箇所を除いて、縁巻加工により形成された縁巻部と、
を有することを特徴とする、オーブントースタの焼網。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、オーブントースタの焼網に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のオーブントースタの焼網に関して、従来の線材を平行配列されたものに代えて、網目構造としたものが公知である。
例えば、特許第3760408号特許公報(特許文献1)「オーブントースタ」の
図1に示される網目部と枠部とよりなる網目構造の焼網が存在する。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3760408号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の網目構造の焼網は、網目部の周縁に枠部を融着して一体化することで構成して、網目部の周縁を保護している。すなわち、網目部と2部品以上の枠部とで構成していることで、二部品以上を必要とするとともに、二部品以上の固定作業を必要として製品コストが増加している問題点かある。
図15に示す公知のオーブントースタにおいては、焼網10を従来の複数本の線材を平行配列された構成で、更に、オーブントースタの扉開閉機構と連動して焼網を前後動させるべく、左右方向に突出する固定用突起11を、焼網10に固定して一体化している。固定用突起11の後方側11aをばね12を介して機体に固定し、筒状突起部11の前方側11bを連桿13を介して扉15に固定し、固定用突起11の後方側11aおよび固定用突起11の前方側11bを、機体内部側壁に形成した前後方向長孔を貫通することで、焼網10をほぼ水平状態に支持している。
本発明は、上記の焼網構造を単一構成部品とするとともに、固定式の焼網において、前記固定用突起11を焼網と一体構成とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、オーブントースタの焼網において、金属平板のプレス加工により網目が形成された網目部と、周縁部の両側部の一部に形成した複数個の筒状突起部と、周縁部に、前記筒状突起部の存在する箇所を除いて、縁巻加工により形成された縁巻部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本願発明は、焼網の網目部を、金属平板のプレス加工により製作し、網目部の周縁部を縁巻加工により形成された縁巻部を枠部として機能させるものであるから、単一の金属平板のプレス加工および縁巻加工により製品を完成させることで、従来工程の二部品の固定作業を無くして、製品製作コストを低減する効果を有する。
更に、固定式の焼網において、前記固定用突起に代えて、筒状突起部を網目部と一体構成とすることで、公知の焼網における前記固定用突起を装備のための、二部品の固定作業を無くして、製品製作コストを低減する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本願発明の第1実施例を示すオーブントースタの焼網の斜視図。
【
図7】
図2のS2−S2切断線による部分拡大縦断面図。
【
図9】素材の金属平板を示し、a図は平面図、b図は縦断面図。
【
図11】本願発明の第2実施例を示し、周辺段部を有する焼網の断面図。
【
図12】本願発明の第3実施例のリブ状突起部を有する焼網の縦断面図。
【
図13】本願発明の焼網の使用状態を縦断面で示す略図。
【
図14】公知のオーブントースタの焼網を示す斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1ないし
図13に示す実施例にもとづいて、本願発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明の焼網Aは、
図1ないし
図8を参照して、平面視で長方形状の網目部1と、網目部1の周縁に隣接する縁巻部2と、縁巻部2の一部を切除して形成した複数個の筒状突起部3とで、構成されている。
【0010】
つぎに、本願発明の焼網の製造方法を説明する。
図9に示す素材の金属平板Bを、その周縁部bを除く中央部分に、網目wを打抜きプレス工程により、網目部1を形成するとともに、両側部の一部Cを切除することで、
図10に示す、中間素材の金属平板B1とする。
【0011】
中間素材の金属平板B1は、周縁部bについて、その左右に平板帯状部bbを有する形状であり、周縁部bの外側端部cを切除することで、平板帯状部bbの先端は、側部周縁部bL、bRの端縁よりも突出している。
【0012】
つぎに、金属平板Bの周縁部bについて、一部区間(平板帯状部bb)を除いて、縁巻加工(カーリング加工)することで、縁巻部2を形成するとともに、
更に、金属平板Bの周縁部bの平板帯状部bbについて、カーリング加工することで、筒状とすることにより、網目部1の周縁より左右側方へ突出する筒状突起部3を形成する。
【0013】
かくして、単一素材である金属平板Bにより、焼網Aを完成する。
よって、従来製品の焼網における、複数部材およびこれらの固定作業を不要とする。
【0014】
縁巻部2は、網目部の端縁の露出を無くして、使用者が不用意に接触して手指が損傷する事故を防ぐとともに、焼網Aの強度を高める。
【0015】
実施例において、網目部について、金属平板Bの厚さtを0.6mmとし、網目wについて、一辺a=7mmの正方形とし、網目部1の線状部の巾dを1mmとした。
【0016】
網目wは、実施例では正方形としたが、長方形、菱形、六角形(亀甲型)、丸形等としてもよいものである。さらに、中央部と周辺部とで異なる形状とするがごとく、数種類の形状の網目を混在させてもよいものである。
【0017】
実施例では、背面側の折曲工程を追加して垂直部4を形成しているが、省いてもよいものである。
【0018】
図13は、本発明の焼網Aの使用状態を示し、オーブントースタの加熱室内に位置して、筒状突起部3の後方側3aをばね12と連結し、筒状突起部3の前方側3bを連桿13を介して扉15に連結している。
【0019】
図11は、段押し加工により、網目部1の周辺に周辺段部5を形成したことを特徴とする第2実施例の焼網を示す。
【0020】
図12は、プレス加工またはリブ出し加工により、網目部1の中央部にリブ状突起6を前後方向きたは左右方向に複数本形成したことを特徴とする第3実施例の焼網を示す。
【0021】
前記周辺段部5、リブ状突起6は、平板状の焼網Aの強度を高める効果を有する。
【0022】
アルミメッキ鋼板をそのまま使用、鋼板に耐熱塗装(黒、褐色、グレーなど)、鋼板にクロームメッキ等の表面処理が適当である。耐熱塗装は熱吸収がよいのでパンがよく焼ける効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本願発明は、安価な焼網を提供することで、オーブントースタの販売増進に寄与するものである。
【符号の説明】
【0024】
1 網目部
2 縁巻部
3 筒状突起部
A 焼網
B 金属平板
w 網目