(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の技術は、基板の停止位置を正確には検出できない。例えばストッパを用いる場合、ストッパに基板が跳ね返り、バウンドする等の問題がある。また、上記のように、搬送される基板が基板センサで検出されたことをトリガーとして基板を停止させる技術であっても、実際の基板の停止位置の情報は予測された(算出された)情報に過ぎない。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、正確に基板の停止位置を検出することができる部品実装装置、情報処理装置、基板の位置検出方法及び基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本技術に係る部品実装装置は、搬送ユニットと、実装ユニット、検出ユニットと、制御ユニットとを具備する。
前記搬送ユニットは、基板を搬送する。
前記実装ユニットは、部品を前記基板に実装する。
前記検出ユニットは、前記基板に設けられた第1及び第2の検出対象を検出可能である。前記第2の検出対象は、少なくとも搬送方向において前記第1の検出対象から前記基板上で所定の距離離れて設けられ、前記実装ユニットによる実装動作の基準位置となる。
前記制御ユニットは、前記検出ユニットによる前記第1の検出対象の検出に基づいて、前記基板の搬送を停止するための停止信号を前記搬送ユニットに出力し、停止した前記基板の前記第2の検出対象を前記検出ユニットにより検出させる。
【0009】
本技術では、第1の検出対象の検出に基づいて基板の搬送が停止され、実際に停止した基板の第2の検出対象が検出されるので、実装動作を開始するための第2の検出対象を容易に検出することができる。つまり、正確に基板の停止位置を検出することができる。
【0010】
前記検出ユニットは、カメラを有してもよい。その場合、前記制御ユニットは、前記カメラの撮像範囲内で前記基板が停止するように前記停止信号を出力し、停止した前記基板の前記第1の検出対象の位置に基づき、前記第2の検出対象の位置を算出する。減速開始から停止するまでの基板の前記第1の検出対象が、カメラの撮像範囲内に入っていることにより、基板の停止信号の出力のタイミング、及び、実際に停止した基板の第1の検出対象の位置の両方をカメラにより認識することができる。そして、実際に停止した基板の第1の検出対象の位置が認識されれば、そこから所定の距離離れた第2の検出対象を容易に検出することができる。
【0011】
前記検出ユニットは、前記基板の、搬送方向におけるエッジ部を前記第1の検出対象として検出してもよい。基板のエッジ部が第1の検出対象となるので、例えば検出ユニットが基板上に付されたマークを検出する場合に比べその検出が容易になる。
【0012】
前記制御ユニットは、前記基板の、搬送方向におけるエッジ部の形状の情報に基づき、前記基板の、搬送方向における下流側エッジ部及び上流側エッジ部のうちいずれか一方を前記検出ユニットにより検出させてもよい。基板の下流側エッジ部または上流側エッジ部の形状が異なる場合、制御ユニットは、それらのうち検出ユニットによる検出が容易な方を検出対象として選択することができる。
【0013】
前記検出ユニットは、前記制御ユニットが停止信号を出力する時点で、前記搬送される基板より下流側に配置された検出領域を有し、前記制御ユニットは、前記搬送される基板の前記第2の検出対象が前記検出ユニットの前記検出領域内で停止するようなタイミングで前記停止信号を出力してもよい。本技術は、第1の検出対象の検出による停止信号が出力されてから、搬送される基板が停止するまでに時間遅延が発生することを利用する。検出ユニットの検出領域内で基板の第2の検出対象が停止するようなタイミングで停止信号が出力されることにより、容易に第2の検出対象を検出することができる。
【0014】
前記検出ユニットは、前記基板の、搬送方向における下流側エッジ部を前記第1の検出対象として検出してもよい。基板のエッジ部が第1の検出対象となるので、例えば検出ユニットが基板上に付されたマークを検出する場合に比べその検出が容易になる。
【0015】
前記実装ユニットは、前記部品を保持するヘッドと、前記ヘッドを移動させる移動機構とを有してもよい。その場合、前記検出ユニットは、前記移動機構により前記ヘッドと一体的に移動可能に設けられてもよい。第2の検出対象の位置が算出された後は、検出ユニットは、第2の検出対象を検出可能な位置まで移動機構により移動し、この第2の検出対象の位置を基準位置として、検出ユニットとともに移動したヘッドが実装動作を開始することができる。
【0016】
前記制御ユニットは、前記基板が停止した時に検出された前記第1の検出対象の位置の情報に基づき、前記搬送ユニットによる基板の搬送速度を制御してもよい。これにより、搬送ユニットによる基板の搬送速度を、検出ユニットの検出能力に見合った適切な速度にすることができる。
【0017】
前記検出ユニットはカメラであってもよい。
【0018】
本技術に係る情報処理装置は、上記した、搬送ユニット、実装ユニット及び検出ユニットを備える部品実装装置に用いられる情報処理装置である。
この情報処理装置は、出力部と、検出制御部とを具備する。
前記出力部は、前記検出ユニットによる前記第1の検出対象の検出に基づいて、前記基板の搬送を停止するための停止信号を前記搬送ユニットに出力する。
前記検出制御部は、停止した前記基板の前記第2の検出対象を前記検出ユニットにより検出させる。
【0019】
本技術に係る位置検出方法は、部品の実装対象である基板を搬送ユニットにより搬送することを含む。
搬送される前記基板に設けられた第1の検出対象が検出ユニットにより検出される。
前記検出ユニットによる前記第1の検出対象の検出に基づいて、前記基板の搬送を停止するための停止信号が前記搬送ユニットに出力される。
少なくとも搬送方向において前記第1の検出対象から前記基板上で所定の距離離れて設けられた、停止した基板の第2の検出対象が前記検出ユニットにより検出される。前記第2の検出対象は、前記部品の実装動作の基準位置となる。
【0020】
本技術に係る基板製造方法は、部品の実装対象である基板を搬送ユニットにより搬送することを含む。
搬送される前記基板に設けられた第1の検出対象が検出ユニットにより検出される。
前記検出ユニットによる前記第1の検出対象の検出に基づいて、前記基板の搬送を停止するための停止信号が前記搬送ユニットに出力される。
少なくとも搬送方向において前記第1の検出対象から前記基板上で所定の距離離れて設けられた、停止した前記基板の第2の検出対象が前記検出ユニットにより検出される。
前記検出された第2の検出対象の位置を基準位置として、前記部品が前記基板に実装される。
【発明の効果】
【0021】
以上、本技術によれば、正確に基板の停止位置を検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[参考例]
上記のように、ストッパを用いて基板の搬送を停止させる場合、その衝撃力により、その基板に搭載されている背の高い部品は折れ曲がったり、外れてしまったりする等の問題がある。
また、例えば基板カメラ17が基板上のアライメントマークDを認識して実装動作が開始される場合、基板がストッパに跳ね返りバウンドすると、その跳ね返り量によっては、基板カメラ17はそのアライメントマークDを正確に認識できない。
さらに、ストッパを用いる場合、そのストッパは昇降動作を必要とし、その昇降動作の分、基板の位置決めに余計な時間がかかる。
以下に説明する本技術は、以上の問題を解決することができる。以下、図面を参照しながら、本技術の実施形態を説明する。
【0024】
[部品実装装置の構成]
図1は、本技術の一実施形態に係る部品実装装置を示す模式的な正面図である。
図2は、
図1に示す部品実装装置100の平面図であり、
図3はその側面図である。
【0025】
部品実装装置100は、フレーム10と、図示しない電子部品を保持しこれを実装対象である回路基板(以下、単に基板という)Wに実装する実装ヘッド30と、テープフィーダ90が搭載されるテープフィーダ搭載部20と、基板Wを保持して搬送する搬送ユニット16(
図2参照)とを備える。
【0026】
フレーム10は、底部に設けられたベース11と、ベース11に固定された複数の支柱12とを有する。複数の支柱12の上部には、図中X軸に沿って架け渡された例えば2本のXビーム13が設けられている。例えば2本のXビーム13の間には、Y軸に沿ってYビーム14が架け渡され、このYビーム14に実装ヘッド30が接続されている。Xビーム13及びYビーム14には、図示しないX軸移動機構及びY軸移動機構が備え付けられ、によって実装ヘッド30がX及びY軸に沿って移動可能とされている。X軸移動機構及びY軸移動機構は、典型的にはボールネジ駆動機構により構成されるが、ベルト駆動機構等の他の機構であってもよい。
【0027】
これら、実装ヘッド30、X軸移動機構及びY軸移動機構により実装ユニット40が構成される。この実装ユニット40は、主に生産性の向上のため複数設けられる場合もあり、その場合、複数の実装ヘッド30が独立してX及びY軸方向で駆動される。
【0028】
図2に示すように、テープフィーダ搭載部20は、部品実装装置100の前部側(
図2中下側)及び後部側(
図2中上側)の両方に配置されている。図中Y軸方向が部品実装装置100の前後方向となる。テープフィーダ搭載部20には、X軸方向に沿ってテープフィーダ90が複数配列されて搭載されるようになっている。例えば40〜70個のテープフィーダ90がこのテープフィーダ搭載部20に搭載可能である。本実施形態では、前部及び後部側でそれぞれ58個、合計116個のテープフィーダ90が搭載可能とされている。
【0029】
なお、テープフィーダ搭載部20が、部品実装装置100の前部側及び後部側の両方に設けられる構成としたが、これは、前部側及び後部側のいずれかに一方に設けられる構成であってもよい。
【0030】
テープフィーダ90は、Y軸方向に長く形成されている。テープフィーダ90の詳細は図示しないが、リールを備え、コンデンサ、抵抗、LED、ICパッケージング等の電子部品を収納したキャリアテープがそのリールに巻き付けられている。また、テープフィーダ90は、このキャリアテープをステップ送りで送り出すための機構を備えており、そのステップ送りごとに電子部品が1つずつ供給される。
図2に示すように、テープフィーダ90のカセットの端部の上面には供給窓91が形成され、この供給窓91を介して電子部品が供給される。複数のテープフィーダ90が配列されることによってX軸方向に沿って形成される、複数の供給窓91が配列された領域が、電子部品の供給領域Sとなる。
【0031】
なお、1つのテープフィーダ90のキャリアテープには、多数の同じ電子部品が収納される。テープフィーダ搭載部20に搭載されるテープフィーダ90のうち、複数のテープフィーダ90にまたがって同じ電子部品が収容される場合もある。
【0032】
部品実装装置100のY軸方向での中央部に上記搬送ユニット16が設けられ、この搬送ユニット16はX軸方向に沿って基板Wを搬送する。例えば、
図2に示すように、搬送ユニット16上の、X軸方向におけるほぼ中央位置で搬送ユニット16に支持されている基板W上の領域が、実装ヘッド30によりアクセスされて電子部品の実装が行われる実装領域Mとなる。
【0033】
後述するように、部品実装装置100は、実装領域Mまで搬送されて来た基板Wの正確な位置を基板カメラ17により検出する。基板Wの正確な位置が検出された後、実装ユニット40が電子部品の実装動作を開始する。
【0034】
実装ヘッド30は、Yビーム14のY軸移動機構に接続されたキャリッジ31と、キャリッジ31から斜め下方に延びるように設けられたターレット32と、ターレット32に周方向に沿って取り付けられた複数の吸着ノズル33とを備える。吸着ノズル33は、真空吸着の作用によりキャリアテープから電子部品を取り出して保持する。吸着ノズル33は、電子部品を基板Wに実装するために上下動可能となっている。吸着ノズル33は、例えば12本設けられている。
【0035】
実装ヘッド30は、上述のようにX及びY軸方向に移動可能とされており、それらの吸着ノズル33は、供給領域Sと実装領域Mとの間で移動し、また、実装領域M内で実装を実行するために実装領域M内でX及びY軸方向に移動する。
【0036】
ターレット32は、その斜め方向の軸を回転の中心軸として回転(自転)可能となっている。複数の吸着ノズル33のうち、その吸着ノズル33の長さ方向がZ軸方向に沿って配置されたものが、基板Wに電子部品を実装するために選択された吸着ノズル33である。ターレット32の回転により任意の1つの吸着ノズル33が選択される。選択された吸着ノズル33がテープフィーダ90の供給窓91にアクセスして電子部品を吸着して保持し、実装領域Mまで移動して下降することにより、電子部品が基板Wに実装される。
【0037】
実装ヘッド30は、ターレット32を回転させながら、複数の吸着ノズル33に、1工程で連続して複数の電子部品をそれぞれ保持させる。また、複数の吸着ノズル3に吸着された電子部品は、1工程で連続して1つの基板Wに実装される。
【0038】
図1に示すように、実装ヘッド30には、基板Wの位置を検出する基板カメラ17が取り付けられている。基板カメラ17は、実装ヘッド30と一体的に、X軸及びY軸移動機構により移動可能となっている。基板カメラ17は、基板Wの位置を検出する時は、搬送ユニット16の上部に配置され、上部側から基板Wの画像を撮影する。後述するように、基板カメラ17は、基板Wに設けられたアライメントマークを認識し、実装ユニット40は、このアライメントマークを基準位置として基板Wに電子部品を実装する。
【0039】
基板カメラ17は、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等を有する。基板カメラ17は、主に可視光の波長領域を有する光を認識するものであってもよいし、主に赤外線の波長領域を有する光を認識するものであってもよい。
【0040】
搬送ユニット16は、典型的にはベルトタイプのコンベヤであるが、これに限られず、ローラタイプ、基板Wを支持する支持機構がスライドして移動するタイプ、あるいは非接触式等、何でもよい。搬送ユニットは、X軸方向に沿って敷設されたガイドレール16aを有する。これにより、搬送される基板WのY軸方向のずれが規制されながら搬送される。
【0041】
図4は、部品実装装置100の制御システムの構成を示すブロック図である。
【0042】
この制御システムはメインコントローラ21(あるいはホストコンピュータ)を有している。メインコントローラ21には、テープフィーダ90、基板カメラ17、搬送ユニット16、実装ユニット40、入力部18及び表示部19が電気的に接続されている。
【0043】
テープフィーダ90は図示しない内蔵メモリを有している。テープフィーダ90がテープフィーダ搭載部20にセットされることにより、その内蔵メモリがメインコントローラ21に電気的に接続される。内蔵メモリには、そのテープフィーダ90に収められている電子部品の情報が予め記憶されている。これにより、メインコントローラ21は、テープフィーダ搭載部20のどの位置に、どのような種類の電子部品を持つテープフィーダ90がセットされているかを認識する。電子部品の情報とは、電子部品の種類、そのテープフィーダ90の持つ電子部品の数等の情報である。
あるいは、テープフィーダ搭載部20のどの位置に、どのような種類の電子部品を持つテープフィーダ90がセットされているかの情報を、オペレータが手動によって、入力部18を介してメインコントローラ21に入力してもよい。
【0044】
実装ユニット40の、各移動機構及び実装ヘッド30には、これらに搭載された図示しないモータ、また、これらのモータをそれぞれ駆動するドライバが設けられている。メインコントローラ21はこれらのドライバに制御信号を出力することにより、ドライバがその制御信号に従って各移動機構及び実装ヘッド30を駆動する。
【0045】
入力部18は、例えばオペレータが、これから実装対象となる基板Wの種類等、実装処理に必要な情報をメインコントローラ21に入力するために、オペレータにより操作される機器である。表示部19は、例えばオペレータにより入力部18を介して入力された情報及びその他必要な情報を表示する機器である。
【0046】
メインコントローラ21は、例えばCPU、RAM及びROM等のコンピュータの機能を有し、制御ユニットとして機能する。メインコントローラ21は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)、その他ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスにより実現されてもよい。
【0047】
[第1の実施形態に係る基板の位置の検出方法]
図5は、基板Wの位置を検出する時の、主にメインコントローラ21の処理を示すフローチャートである。
図6A〜Dは、基板Wの位置の検出動作を説明するための模式的な図である。
【0048】
部品実装装置100が実装処理を開始する前に、オペレータは、入力部18を介してその実装処理に必要な情報、例えば基板種の情報等をメインコントローラ21に入力する。
【0049】
基板カメラ17は、一例として、搬送方向(
図6中、右側から左側への方向)における基板Wの下流側であって、かつ、その撮像範囲17a(検出領域)と実装領域Mとが重なるような位置に静止して待機している。また、基板カメラ17は、搬送方向に直交する方向(Y軸方向)での位置は、実装対象となる基板Wに設けられた第2の検出対象となるアライメントマークDの、Y軸方向における位置に実質的に一致している。典型的には、撮像範囲17aの中心位置のY座標が、アライメントマークDのY座標に実質的に一致している。このアライメントマークDは、第1の検出対象となる下流側エッジ部W1において、少なくとも搬送方向においてその下流側エッジ部W1から所定の距離離れて設けられている。
【0050】
メインコントローラ21は、上記のように基板種の情報を持っている。したがって、基板カメラ17は、実装対象となる基板Wが持つアライメントマークDの位置(ここでは、Y座標の位置)を記憶しており、このアライメントマークDの位置に応じたY軸方向の位置で待機していればよい。
【0051】
なお、搬送ユニット16は、上記したようにガイドレール16aによって、基板WをY軸方向の位置のずれを実質的に発生させないようにしている。したがって、基板カメラ17は、予め決められた(アライメントマークDの位置に応じた)Y座標の位置に待機していればよい。
【0052】
図6Aに示すように、基板Wが部品実装装置100に搬入されてくる(ステップ101)。そして、
図6Bに示すように、基板カメラ17が、基板Wの第1の検出対象となる下流側エッジ部W1を検出する(ステップ102)。ここでは公知の画像処理技術によって、その基板Wが認識される。例えば、基板Wの輝度と、その基板WよりZ軸方向で下側の背景の輝度とが異なることによって、基板Wを認識することができる。
【0053】
基板カメラ17により基板Wの下流側エッジ部W1が検出されると、メインコントローラ21は、搬送ユニット16に基板Wの搬送を停止するための停止信号を出力する(ステップ103)。この時、少なくともメインコントローラ21は、情報処理装置の出力部として機能する。
【0054】
搬送ユニット16は停止信号を受け、その搬送を停止することにより、基板Wが実際に停止する。
図6Bに示すように基板カメラ17により基板Wの下流側エッジ部W1が検出されてから、実際に基板Wが停止するまでに時間遅延があるので、
図6Cに示すように、その時間遅延の間に基板Wが所定の距離移動する。あるいは、この時間遅延が十分に短いとしても、基板Wが搬送ベルト上で慣性によってスリップを起こしたりもする。以下、この時間遅延等の間に基板Wが移動する距離を余分移動距離Lという。
【0055】
この余分移動距離Lは、予め基板カメラ17の撮像範囲17a内に収まるように設定されている。撮像範囲17aのサイズは、例えば4mm×4mmであるが、これに限られない。
【0056】
メインコントローラ21は、基板カメラ17を介して得られる、実際に基板Wが停止した時の、基板Wの下流側エッジ部W1の画像情報に基づき、その下流側エッジ部W1の座標(ここではX座標)を算出する(ステップ104)。
【0057】
メインコントローラ21は、下流側エッジ部W1の座標に基づき、アライメントマークDの位置を算出する(ステップ105)。アライメントマークDは、例えば基板の種類に応じて、基板の所定の位置に設けられている。メインコントローラ21は、最初に基板種の情報を取得しているので、その基板種の情報に含まれる、アライメントマークDの基板W内での座標の情報を有している。したがって、メインコントローラ21は、その下流側エッジ部W1から所定距離離れた位置にあるアライメントマークDの座標を算出することができる。
【0058】
メインコントローラ21がアライメントマークDを算出すると、
図6Dに示すように、撮像範囲17a内にそのアライメントマークDが入るように、基板カメラ17を移動させる。典型的には、撮像範囲17aの中心位置にアライメントマークDの中心位置が一致するように、基板カメラ17が移動する。これにより、基板カメラ17がアライメントマークDを認識する(ステップ106)。そして、このアライメントマークDの座標を基準として、メインコントローラ21は、実装ヘッド30により実装動作を開始する(ステップ107)。
【0059】
なお、
図6Cでは、基板Wが余分移動距離Lを動いて停止した時に、撮像範囲17a内にアライメントマークDの一部が入っている。これは、撮像範囲17a及びアライメントマークDのサイズを、基板Wのサイズに対して大きく模式的に示しているためである。したがって、もちろん、基板Wが停止した時に撮像範囲17a内にアライメントマークDが入らない場合もある。
【0060】
アライメントマークDの形状は、
図6では十字状となっているが、円、四角、星型など、何でもよい。
【0061】
以上のように、本実施形態では、基板Wの下流側エッジ部W1が検出された時(検出されたことに基づいて)、基板Wの搬送が停止信号が出力され、その後、実際に停止した基板WのアライメントマークDが検出される。したがって、実装ヘッド30が実装動作を開始するためのアライメントマークDを容易に検出することができる。つまり、正確に基板Wの停止位置を検出することができ、アライメントマークDが撮像範囲17a内に入るような適切な位置に基板カメラ17を移動させることができる。
基板Wの下流側エッジ部W1が検出されたことに基づいて、とは、それが検出された(「瞬間」に限られない。それが検出されたことをトリガーとして停止信号が出力されるまでの時間遅延が存在する、という概念も、「基づいて」の意味に含まれる。
【0062】
本実施形態では、下流側エッジ部W1の検出には基板カメラ17が用いられる。特に、減速開始から停止するまでの基板Wの下流側エッジ部W1が、基板カメラ17の撮像範囲17a内に入っていることにより、基板Wの停止信号の出力のタイミング、及び、実際に停止した下流側エッジ部W1の位置の両方を基板カメラ17により認識することができる。実際に停止した基板Wの下流側エッジ部W1の位置が認識されれば、そこから所定の距離離れたアライメントマークDを容易に検出することができる。
【0063】
本実施形態では、基板Wの下流側エッジ部W1が検出されるので、例えば基板W上に付されたマーク等が検出される場合に比べ、その検出が容易になる。
【0064】
[第2の実施形態に係る基板の位置の検出方法]
図7A〜Dは、本技術の第2の実施形態に係る、基板位置の検出動作を説明するための模式的な図である。これ以降の説明では、上記の実施形態に係る部品実装装置100が含む部材及び機能、また、
図5及び
図6A〜Dで示した動作等について同様のものは説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
【0065】
この実施形態に係る基板W’の下流側エッジ部W2の形状が、通常の基板W(
図6参照)のエッジ部の形状と異なり、凹形状(切り欠き形状)となっており、上流側エッジ部W3は通常の基板と同様の直線状となっている。すなわち、この基板W’は、いわゆる異形基板である。
【0066】
基板W’が搬送される場合、
図7Aに示すように、基板カメラ17は、搬送ユニット16上のY軸方向で手前側(
図7A中、下側)に位置して待機している。基板W’は、下流側エッジ部W2付近に設けられたアライメントマークDと、上流側エッジ部W3付近に設けられたアライメントマークDとが、Y軸方向で異なる座標にある。この例では、基板カメラ17は、上流側エッジ部W3付近に設けられたアライメントマークDを検出しようとしている。なお、
図6A〜Dに示した通常の基板Wも、この基板W’のように2つのアライメントマークDを有する場合もある。
【0067】
図7Bに示すように、基板カメラ17の撮像範囲17aを、基板W’の下流側エッジ部W2が通り過ぎる。基板W’の上流側エッジ部W3が撮像範囲17a内に入ると、メインコントローラ21は、搬送ユニット16に停止信号を出力する。
【0068】
図7Cに示すように、基板W’が余分移動距離を移動して停止する。メインコントローラ21は、停止した基板W’の上流側エッジ部W3の座標(ここではX座標)を認識する。
【0069】
メインコントローラ21は、上流側エッジ部W3の座標、また、基板の情報に基づき、上流側のアライメントマークDの位置を算出し、
図7Dに示すように基板カメラ17をそのアライメントマークDの座標に移動させる。そして、そのアライメントマークDの位置を基準として、実装ヘッド30が実装動作を開始する。
【0070】
このように本実施形態では、基板の下流側エッジ部W2の形状が通常と異なる場合、メインコントローラ21は、それらのうち、基板カメラ17による検出が容易な方である上流側エッジ部W3を検出対象として選択することができる。
【0071】
この実施形態では、下流側エッジ部W1の形状が通常とは異なる形状を持つ基板が実装対象の基板として用いられた。しかし、上流側エッジ部の形状が通常とは異なる形状の基板が実装対象の基板として用いられてもよい。その場合、メインコントローラ21は、上記第1の実施形態のように、下流側エッジ部W1を検出し、それに基づきアライメントマークDを検出する。
【0072】
異形基板として、エッジ部が凹形状の基板のほか、そのエッジ部が凸、斜め、曲線、またはこれらの組み合わせの形状を持つ基板が用いられる場合もある。
【0073】
[第3の実施形態に係る基板の位置の検出方法]
図8A〜Cは、本技術の第2の実施形態に係る、基板位置の検出動作を説明するための模式的な図である。
【0074】
図8Aに示すように基板Wが搬送されている。基板カメラ17の検出領域である撮像範囲17aは、基板Wより下流側に配置されている。
【0075】
図8Bに示すように、撮像範囲17a内に基板Wの下流側エッジ部W1が検出されたことに基づいて、メインコントローラ21は停止信号を出力する。この時、メインコントローラ21は、搬送される基板WのアライメントマークDが撮像範囲17a内で停止するようなタイミングで、その停止信号を出力する。メインコントローラ21が、基板Wの情報及び上記余分移動距離Lに関する情報を記憶していることにより、このような動作を実現することができる。これにより、
図8Cに示すように、その停止信号の出力タイミングより少し遅れて、基板Wが実際に停止するタイミングで、アライメントマークDが撮像範囲17a内に入る。
【0076】
このように、本実施形態は、下流側エッジ部W1の検出による停止信号が出力されてから、搬送される基板Wが実際に停止するまでに時間遅延が発生することを利用する。基板カメラ17の撮像範囲17a内で基板WのアライメントマークDが停止するようなタイミングで停止信号が出力されることにより、容易にそのアライメントマークDを検出することができる。
【0077】
[その他の実施形態]
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態が実現される。
【0078】
上記実施形態では、検出ユニットとして基板カメラ17を例に挙げた。しかし、第1の検出対象(例えば基板のエッジ部)を検出するユニットとして、カメラ以外のセンサ、例えばラインセンサが用いられてもよい。ラインセンサとして例えば光センサを用いることができる。ラインセンサである第1のセンサが基板Wの下流側エッジ部W1を検出し、メインコントローラ21が停止信号を出力し、さらに第2のセンサが、実際に停止した基板Wの下流側エッジ部W1を検出する。そして、メインコントローラ21は、その下流側エッジ部W1の位置に基づきアライメントマークDの位置を算出し、上記第2のセンサまたは別の第3のセンサがそのアライメントマークDを検出する。上記第2のセンサは、ラインセンサでもよいし、カメラでもよい。第3のセンサとしてはカメラが用いられる。
【0079】
基板カメラ17が有する各画素の、X軸方向に沿った複数のラインのうち一部を用いることにより、ラインセンサに近いセンサとしてこの基板カメラ17が使用されてもよい。
【0080】
基板カメラ17は、実装ヘッド30と一体的に設けられていなくてもよい。すなわち、基板カメラ17と実装ヘッド30とが別個独立して移動する形態でもよい。これは、基板カメラ17に代えて、ラインセンサまたはその他のセンサが用いられる場合にも同様である。
【0081】
メインコントローラ21は、基板が停止した時に検出された基板のエッジ部の座標に基づき、搬送ユニット16による基板の搬送速度を制御してもよい。例えば、実際に停止した基板のエッジ部が、撮像範囲17a内から外れたり、または外れるに近い状態となったりした場合、メインコントローラ21は、次回に実装対象となる基板の搬送速度を所定速度分低くなるように設定することができる。これにより、搬送ユニット16による基板の搬送速度を、基板カメラ17の検出能力に見合った適切な速度にすることができる。
【0082】
上記では、実装処理前にメインコントローラ21が、実装対象となる基板の種類の情報を記憶するようにした。しかし例えば、実装対象とされる第1の基板の次の実装対象とされる第2の基板が、実装領域Mの上流側で待機している時に、その第2の基板がカメラ等のセンサにより基板の種類(形状等)が識別されてもよい。
【0083】
上記実施形態では、基板の停止信号の出力のために、基板カメラ17は基板のエッジ部を第1の検出対象として検出した。しかし、第1の検出対象はエッジ部ではなく、基板上上の、アライメントマークDとは搬送方向において異なる位置に設けられた、基板カメラ17(あるいは上記その他のセンサ)が認識可能なマークであってもよい。そのマークとは、例えばミシン目、導線、その他の識別可能なマークである。
【0084】
実装ヘッド30は、回転するターレット32及び複数の吸着ノズル33を備えていた。しかし、実装ヘッドは1つのみの吸着ノズルを有していてもよい。あるいは、実装ヘッドは、回転するターレットではなく、リニアに配列された複数の吸着ノズルを有しているリニアタイプ(インラインタイプ)であってもよい。
【0085】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。
【0086】
本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)基板を搬送する搬送ユニットと、
部品を前記基板に実装する実装ユニットと、
前記基板に設けられた第1の検出対象と、少なくとも搬送方向において前記第1の検出対象から前記基板上で所定の距離離れて設けられた、前記実装ユニットによる実装動作の基準位置となる第2の検出対象とを検出可能な検出ユニットと、
前記検出ユニットによる前記第1の検出対象の検出に基づいて、前記基板の搬送を停止するための停止信号を前記搬送ユニットに出力し、停止した前記基板の前記第2の検出対象を前記検出ユニットにより検出させる制御ユニットと
を具備する部品実装装置。
(2)(1)に記載の部品実装装置であって、
前記検出ユニットは、カメラを有し、
前記制御ユニットは、前記カメラの撮像範囲内で前記基板が停止するように前記停止信号を出力し、停止した前記基板の前記第1の検出対象の位置に基づき、前記第2の検出対象の位置を算出する
部品実装装置。
(3)(1)または(2)に記載の部品実装装置であって、
前記検出ユニットは、前記基板の、搬送方向におけるエッジ部を前記第1の検出対象として検出する
部品実装装置。
(4)(1)から(3)のうちいずれか1つに記載の部品実装装置であって、
前記制御ユニットは、前記基板の、搬送方向におけるエッジ部の形状の情報に基づき、前記基板の、搬送方向における下流側エッジ部及び上流側エッジ部のうちいずれか一方を前記検出ユニットにより検出させる
部品実装装置。
(5)(1)に記載の部品実装装置であって、
前記検出ユニットは、前記制御ユニットが停止信号を出力する時点で、前記搬送される基板より下流側に配置された検出領域を有し、
前記制御ユニットは、前記搬送される基板の前記第2の検出対象が前記検出ユニットの前記検出領域内で停止するようなタイミングで前記停止信号を出力する
部品実装装置。
(6)(5)に記載の部品実装装置であって、
前記検出ユニットは、前記基板の、搬送方向における下流側エッジ部を前記第1の検出対象として検出する
部品実装装置。
(7)(1)から(6)のうちいずれか1つに記載の部品実装装置であって、
前記実装ユニットは、前記部品を保持するヘッドと、前記ヘッドを移動させる移動機構とを有し、
前記検出ユニットは、前記移動機構により前記ヘッドと一体的に移動可能に設けられている
部品実装装置。
(8)(1)から(7)のうちいずれか1つに記載の部品実装装置であって、
前記制御ユニットは、前記基板が停止した時に検出された前記第1の検出対象の位置の情報に基づき、前記搬送ユニットによる基板の搬送速度を制御する
部品実装装置。
(9)(1)または(5)に記載の部品実装装置であって、
前記検出ユニットはカメラである
部品実装装置。
(10)基板を搬送する搬送ユニットと、
部品を前記基板に実装する実装ユニットと、
前記基板に設けられた第1の検出対象と、少なくとも搬送方向において前記第1の検出対象から前記基板上で所定の距離離れて設けられた、前記実装ユニットによる実装動作の基準位置となる第2の検出対象とを検出可能な検出ユニットとを備える部品実装装置に用いられる情報処理装置であって、
前記検出ユニットによる前記第1の検出対象の検出に基づいて、前記基板の搬送を停止するための停止信号を前記搬送ユニットに出力する出力部と、
停止した前記基板の前記第2の検出対象を前記検出ユニットにより検出させる検出制御部と
を具備する情報処理装置。
(11)部品の実装対象である基板を搬送ユニットにより搬送し、
搬送される前記基板に設けられた第1の検出対象を検出ユニットにより検出し、
前記検出ユニットによる前記第1の検出対象の検出に基づいて、前記基板の搬送を停止するための停止信号を前記搬送ユニットに出力し、
少なくとも搬送方向において前記第1の検出対象から前記基板上で所定の距離離れて設けられた第2の検出対象であって、前記部品の実装動作の基準位置となる、停止した前記基板の第2の検出対象を、前記検出ユニットにより検出する
位置検出方法。
(12)部品の実装対象である基板を搬送ユニットにより搬送し、
搬送される前記基板に設けられた第1の検出対象を検出ユニットにより検出し、
前記検出ユニットによる前記第1の検出対象の検出に基づいて、前記基板の搬送を停止するための停止信号を前記搬送ユニットに出力し、
少なくとも搬送方向において前記第1の検出対象から前記基板上で所定の距離離れて設けられた、停止した前記基板の第2の検出対象を、前記検出ユニットにより検出し、
前記検出された第2の検出対象の位置を基準位置として、前記部品を前記基板に実装する
基板製造方法。