(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記相打ち防止手段は、前記対向配置された一対の洗浄用ロボットの加圧水噴出ガンが前記仮設機材の面に沿って移動する軌跡が重ならないように設定された移動軌跡プログラムを前記制御手段に組み込むことにより構成される請求項1に記載の仮設機材洗浄装置。
前記加圧水噴出ガンは、棒状のノズルヘッドの長手方向に沿って複数の噴出ノズルが設けられた棒状ガンであって、該ノズルヘッドの中心を回転軸として回転する請求項1〜4の何れか1項に記載の仮設機材洗浄装置。
前記搬送ラインの搬送方式はトロリーコンベア方式であり、前記仮設機材を保持する保持治具は吊下げ状態で移動する請求項1〜5の何れか1項に記載の仮設機材洗浄装置。
前記搬入・搬出ステージの近傍に、洗浄前の仮設機材を前記保持治具に保持させる動作と、洗浄後の仮設機材を前記保持治具から脱着させるハンドリング用ロボットが配設される請求項1〜6の何れか1項に記載の仮設機材洗浄装置。
前記相打ち防止手段は、前記対向配置された一対の洗浄用ロボットの加圧水噴出ガンが前記仮設機材の面に沿って移動する軌跡が重ならないように設定された移動軌跡プログラムを前記制御手段に組み込むことにより構成される請求項8に記載の仮設機材洗浄装置。
前記加圧水噴出ガンは、棒状のノズルヘッドの長手方向に沿って複数の噴出ノズルが設けられた棒状ガンであって、該ノズルヘッドの中心を回転軸として回転する請求項8〜11の何れか1項に記載の仮設機材洗浄装置。
前記搬送ラインの搬送方式はトロリーコンベア方式であり、前記仮設機材を保持する保持治具は吊下げ状態で移動する請求項8〜12の何れか1項に記載の仮設機材洗浄装置。
前記搬入・搬出ステージの近傍に、洗浄前の仮設機材を前記保持治具に保持させる動作と、洗浄後の仮設機材を前記保持治具から脱着させるハンドリング用ロボットが配設される請求項8〜13の何れか1項に記載の仮設機材洗浄装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の仮設機材洗浄装置のように、仮設機材を搬送コンベア上に平置き状態で載置し、仮設機材をひっくり返すことによって表面と裏面とを順番に洗浄する方法は洗浄効率が悪く、1枚の仮設機材を洗浄するための洗浄時間が長くなる。これにより、1日の操業時間内(7〜8時間)に洗浄できる仮設機材の枚数が限られてしまうという問題がある。
【0007】
1日の操業時間内に洗浄できる仮設機材の枚数を増加するには仮設機材洗浄装置を複数ライン設けなくてはならず、大掛かりな設備になってしまい、設備設置面積の小さな場所には導入できないという問題がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、コンパクトな装置構成にも関わらず洗浄効率を顕著に向上させることができる仮設機材洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明に係る仮設機材洗浄装置は、パイプ状又は板状の建設足場用の仮設機材を加圧水噴出ガンで洗浄する仮設機材洗浄装置において、前記仮設機材を搬入・搬出する搬入・搬出ステージと前記仮設機材を洗浄する洗浄ステージとの間に一対の搬送ラインが平行に配設され、前記仮設機材を前記搬入・搬出ステージと前記洗浄ステージとの間でシャトル搬送する搬送手段と、前記一対の搬送ラインにそれぞれ設けられ、前記搬送手段に前記仮設機材を縦向状態で着脱自在に保持する保持治具と、前記洗浄ステージの前記一対の搬送ラインの両側に対向配置され、前記縦向状態の仮設機材の面に沿って加圧水噴出ガンを移動させながら加圧水を前記仮設機材に吹き付けて洗浄する多関節アーム型又は直交座標系型の一対の洗浄用ロボットと、前記仮設機材が通過する入口を有して前記洗浄ステージを囲む洗浄室と、前記一対の洗浄用ロボットの前記加圧水噴出ガンから噴出した加圧水で前記洗浄用ロボット同士が相打ち状態になるのを防止する相打ち防止手段と、前記搬送手段及び前記洗浄用ロボットを少なくとも制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記一対の搬送ラインにそれぞれ設けられた保持治具のうち、一方の保持治具が前記洗浄ステージにあるときには他方の保持治具が前記搬入・搬出ステージにあるように前記搬送手段を制御するとともに、前記洗浄ステージに搬送された仮設機材の表面と裏面とを同時に洗浄するように前記一対の洗浄用ロボットを制御することを特徴とする。
【0010】
ここで、「洗浄用ロボット同士が相打ち状態になるのを防止する」とは、一方の洗浄用ロボットの加圧水噴出ガンからの加圧水が他方の洗浄用ロボットに当たらないようにすることのみならず、当たった場合でも洗浄用ロボットが破損しないようにプロテクタで保護する場合も含む。
また、加圧水噴出ガンの水圧力としては、30〜300MPaが好ましく、100〜300MPaがより好ましい。
【0011】
本発明の仮設機材洗浄装置によれば、一対の搬送ラインのうち一方の搬送ラインの搬入・搬出ステージにおいて保持治具に保持させた仮設機材Aを洗浄ステージに搬送し、対向配置された一対の洗浄用ロボットで仮設機材Aの両面(表面と裏面)を同時に洗浄する。
【0012】
また、洗浄ステージで仮設機材Aを洗浄している間、他方の搬送ラインの搬入・搬出ステージにおいて次に洗浄する仮設機材Bを保持治具に保持させて待機する。そして、仮設機材Aの洗浄が終了して搬入・搬出ステージに搬送し、搬送ラインから搬出する動作に並行して仮設機材Bを洗浄ステージに搬送し、一対の洗浄用ロボットで仮設機材Bの両面を同時に洗浄する。
【0013】
仮設機材Aと仮設機材Bとの上記動作を繰り返すことによって、仮設機材を次々に連続洗浄できるだけでなく、仮設機材の両面を同時に洗浄することができるので、洗浄効率を顕著に向上できる。しかも、相打ち防止手段を設けたので、互いの加圧水噴出ガンから噴出された加圧水が仮設機材の開口部を通過して互いの洗浄用ロボットに当たる、いわゆる相打ちを防止することができる。したがって、一対の洗浄用ロボットを対向配置させても洗浄用ロボットのアームや加圧水を供給するホース等が破損することもない。
【0014】
また、相打ち防止手段を設けることで、一対の洗浄用ロボットを対向配置できるので、洗浄ステージを囲む洗浄室をコンパクト化することができる。
これにより、本発明の仮設機材洗浄装置は、コンパクトな装置構成にも関わらず洗浄効率を顕著に向上させることができる。
【0015】
本発明の仮設機材洗浄装置の態様として、前記相打ち防止手段は、前記対向配置された一対の洗浄用ロボットの加圧水噴出ガンが前記仮設機材の面に沿って移動する軌跡が重ならないように設定された移動軌跡プログラムを前記制御手段に組み込むことにより構成されることが好ましい。
【0016】
これは、対向配置された一対の洗浄用ロボットの加圧水噴出ガンの移動軌跡プログラムを制御手段に組み込むことで相打ち防止を行うようにしたものである。
ここで、「移動する軌跡が重ならない」とは、一対の加圧水噴出ガンの軌跡が全く異なる場合の他、軌跡が同じで時間的ズレによって相打ちを防止する場合も含む。
【0017】
本発明の仮設機材洗浄装置の態様として、前記相打ち防止手段は、前記対向配置された一対の洗浄用ロボットの加圧水噴出ガンの噴出角度を調整する噴出角度調整手段であることが好ましい。
噴出角度調整手段によって加圧水の噴射向きを変えることにより、洗浄用ロボットに加圧水がまともに当たらないようにすることができる。これにより、加圧水が洗浄用ロボットに当たった時の水圧を弱めることができるので、洗浄用ロボット同士が相打ちするのを防止できる。
移動軌跡プログラムと噴出角度調整手段の両方を設ければ更に好ましい。
【0018】
本発明の仮設機材洗浄装置の態様として、前記相打ち防止手段は、前記一対の洗浄用ロボットの前記加圧水噴出ガンを除いて覆う耐圧性プロテクタであることが好ましい。
洗浄用ロボットのアームや耐圧ホース等の加圧水によって破損する可能性のある部分に耐圧性プロテクタを設けるようにすることで、洗浄用ロボット同士の相打ちを防止できる。
移動軌跡プログラムと噴出角度調整手段と耐圧性プロテクタの全てを設ければ一層良い。
【0019】
本発明の仮設機材洗浄装置の態様として、前記加圧水噴出ガンは、棒状のノズルヘッドの長手方向に沿って複数の噴出ノズルが設けられた棒状ガンであって、該ノズルヘッドの中心を回転軸として高速回転することが好ましい。
【0020】
これにより、従来の円周方向に複数のノズルが配設された加圧水噴出ガンに比べて仮設機材に噴出する加圧水の噴出面積密度を高密度化することができるので、洗浄能力を向上できる。したがって、一枚の仮設機材を洗浄する洗浄時間を更に短縮できるので、より効率的な洗浄を行うことができる。
【0021】
本発明の仮設機材洗浄装置の態様として、前記搬送ラインの搬送方式はトロリーコンベア方式であり、前記仮設機材を保持する保持治具は吊下げ状態で移動することが好ましい。
加圧水噴出ガンから噴出され仮設機材を洗浄した後の汚れた洗浄水は、仮設機材洗浄装置の床に落下する。したがって、トロリーコンベア方式とすることで、汚れた洗浄水で搬送手段の駆動部が故障することを抑制できる。
【0022】
本発明の仮設機材洗浄装置の態様として、前記搬入・搬出ステージの近傍に、洗浄前の仮設機材を前記保持治具に保持させる動作と、洗浄後の仮設機材を前記保持治具から脱着させるハンドリング用ロボットが配設されることが好ましい。これにより、仮設機材洗浄装置を全自動化することができる。
【0023】
本発明の仮設機材洗浄装置の態様として、パイプ状又は板状の建設足場用の仮設機材を加圧水噴出ガンで洗浄する仮設機材洗浄装置において、前記仮設機材を搬入する搬入ステージと、前記仮設機材を搬出する搬出ステージと、前記搬入ステージと前記搬出ステージとに挟まれた位置に設置された前記仮設機材を洗浄する洗浄ステージと、前記搬入ステージと前記洗浄ステージと前記搬出ステージとをつないで配設された前記仮設機材を搬送するための搬送ラインと、前記仮設機材を前記搬入ステージと前記洗浄ステージと、前記搬出ステージとの間で搬送する搬送手段と、前記搬送ラインに設けられ、前記搬送手段に前記仮設機材を縦向状態で着脱自在に保持する保持治具と、前記洗浄ステージの搬送ラインの両側に対向配置され、前記縦向状態の仮設機材の面に沿って加圧水噴出ガンを移動させながら加圧水を前記仮設機材に吹き付けて洗浄する多関節アーム型又は直交座標系型の一対の洗浄用ロボットと、前記仮設機材が通過する出入り口を有して前記洗浄ステージを囲む洗浄室と、前記一対の洗浄用ロボットの前記加圧水噴出ガンから噴出した加圧水で前記洗浄用ロボット同士が相打ち状態になるのを防止する相打ち防止手段と、前記搬送手段及び前記洗浄用ロボットを少なくとも制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記洗浄ステージに搬送された仮設機材の表面と裏面とを同時に洗浄するように前記一対の洗浄用ロボットを制御することを特徴とする。
これにより、仮設機材は、一方向にのみ移動するので、制御が簡単になると共に、装置全体の構造も簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の仮設機材洗浄装置によれば、コンパクトな装置構成にも関わらず洗浄効率を顕著に向上させることができる。
したがって、設備設置面積の小さな場所にも導入でき、しかも1日の操業時間内(7〜8時間)に500枚程度の仮設機材を洗浄することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下添付図面に従って、本発明に係る仮設機材洗浄装置の好ましい実施の形態について詳述する。
【0027】
<構成>
図1は仮設機材洗浄装置10の全体構成を示す図であり、洗浄室12を一部切り欠いて内部が見えるようにした斜視図である。
図2は、仮設機材洗浄装置10を上から見た模式図である。
【0028】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施の形態の仮設機材洗浄装置10は、主として、洗浄対象物である仮設機材14を、搬入・搬出ステージ16と洗浄ステージ18との間でシャトル搬送する搬送手段20と、搬送手段20に仮設機材14を縦向状態で着脱自在に保持する保持治具22と、洗浄ステージ18内に対向配置されるとともに加圧水噴出ガン24を具備した一対の洗浄用ロボット26,26と、洗浄ステージ18を囲む洗浄室12と、洗浄用ロボット26,26同士が相打ち状態になるのを防止する相打ち防止手段28(
図2参照)と、搬入・搬出ステージ16に設けられたハンドリング用ロボット30と、搬送手段20、洗浄用及びハンドリング用ロボット26,30を少なくとも制御する制御手段32(
図2参照)と、で構成される。
【0029】
図1及び
図2においては、仮設機材14の搬入と搬出とが同じ場所である搬入・搬出ステージ16で行われるシャトルタイプの構成を示し、以下においてもシャトルタイプを例にとって説明するが、仮設機材14を搬入する搬入ステージと、仮設機材14を搬出する搬出ステージとがそれぞれ別の場所に配置された一方通行タイプであっても良い(不図示)。
【0030】
この一方通行タイプにおいては、搬入ステージと搬出ステージとに挟まれた位置に洗浄ステージ18が配置され、それぞれが搬送手段20で接続されている。ここで搬送ステージと搬出ステージとに挟まれた位置に洗浄ステージ18が配置されるとは、必ずしも幾何的に挟まれた位置のみを指すのでは無く、搬送手段20の経路において搬入ステージと搬出ステージとの間に配置されること全体を含むものとする。
【0031】
仮設機材洗浄装置10で洗浄するパイプ状及び平板状の仮設機材14は、軽量化の目的でアルミニウム製のものが一般的である。
なお、本実施の形態では、全自動化が可能なハンドリング用ロボット30を設けた例で説明するが、ハンドリングを人の力で行う半自動方式であっても良い。
【0032】
搬送手段20は、搬入・搬出ステージ16と洗浄ステージ18との間に、第1搬送ライン34と第2搬送ライン36とからなる一対の搬送ラインが平行に配設される。搬送ラインの搬送方式としてはトロリーコンベア方式であることが好ましい。
【0033】
加圧水噴出ガン24から噴出され仮設機材14を洗浄した後の汚れた洗浄水は、仮設機材洗浄装置10の床に落下する。したがって、トロリーコンベア方式とすることで、汚れた洗浄水で搬送手段20の駆動部が故障することを抑制できる。
【0034】
トロリーコンベア方式は、仮設機材14が搬送される搬送方向から見て、搬入・搬出ステージ16の端部位置、搬入・搬出ステージ16と洗浄ステージ18との境界位置、洗浄ステージ18の端部位置に、それぞれ門型支柱38,38…が立設される。そして、門型支柱38の上梁38A下側に仮設機材14の搬送方向に沿って2本の搬送用レール40,40が平行に固定される。この2本の搬送用レール40,40には、レール上を自動走行する複数(
図1では2個)のトロリ42,42が移動自在に設けられる。また、この2個のトロリ42,42に仮設機材14を保持する保持治具22が吊設される。
なお、
図1では、2本の搬送用レール40,40のうち手前側の搬送用レール40のみにトロリ42と保持治具22を記載し、奥側の搬送用レール40では図示するのを省略している。
【0035】
また、門型支柱38の下梁38B上側に仮設機材14の搬送方向に沿って2本のガイド用レール44,44が平行に固定される。このガイド用レール44,44に保持治具22の下端部がスライド自在に係合する。これにより、保持治具22の上端部が搬送用レール40に2個のトロリ42,42を介して支持され、保持治具22の下端部がガイド用レール44に支持される。したがって、保持治具22に保持された仮設機材14は、洗浄ステージ18において洗浄用ロボット26の加圧水噴出ガン24から加圧水が吹き付けられても仮設機材14は揺れることなくしっかりと縦向状態を維持する。
【0036】
また、搬入・搬出ステージ16の近傍には、洗浄前の仮設機材14をハンドリング用ロボット30に対して位置決めする位置決めコンベア46と、洗浄後の仮設機材14を段積みする段積用リフト48と、段積みされた洗浄後の仮設機材14を排出する排出用コンベア50(
図2参照)とが配設される。ハンドリング用ロボット30としては、多関節アーム型又は直交座標系型の産業用ロボットを好適に採用することができる。
【0037】
保持治具22は、上下に対向する2本の棒状部材と、左右に対向する2本の棒状部材により額縁形状に形成される。また、保持治具22には、仮設機材14を着脱自在に保持するための保持手段(図示せず)が設けられる。保持手段としては、特に限定されないが、仮設機材14をチャック(把持)するチャック機構や、パイプ状の仮設機材14のパイプ孔に挿入する突起を複数形成する突起挿入機構等を好適に採用することができる。
【0038】
一対の洗浄用ロボット26,26は、洗浄ステージ18の一対の搬送ライン34,36の両側(2本の搬送用レール40,40及びガイド用レール44,44の外側)に対向配置される。洗浄用ロボット26としては、多関節アーム型又は直交座標系型の産業用ロボットを好適に採用することができる。
【0039】
洗浄用ロボット26は、アーム26Aの先端部に加圧水噴出ガン24を具備し、加圧水噴出ガン24には、加圧水ポンプ51(例えば超高圧プランジャポンプ)により給水タンク52から耐圧ホース54を介して加圧水が供給される(
図2参照)。そして、一対の洗浄用ロボット26,26は、制御手段32の指示により、縦向状態の仮設機材14の面に沿って加圧水噴出ガン24を移動させながら仮設機材14の面に加圧水を吹き付けて仮設機材14の両面を同時に洗浄する。
【0040】
加圧水噴出ガン24は、
図3に示すように、棒状のノズルヘッド56の長手方向に沿って複数の噴出ノズル58,58,…が設けられた棒状ガンとして構成される。ノズルヘッド56の回転中心Xには中空な回転軸60の一方端が接続され、他方端が継手(ジョイント)61を介して耐圧ホース54に接続される。ノズルヘッド56の内部には、複数の噴出ノズル58に連通する流路が形成され、耐圧ホース54から回転軸60を介してノズルヘッド56に加圧水が供給される。これにより、複数の噴出ノズル58,58…から30〜300MPaの加圧水が噴出される。ここで、本発明において加圧水とは、30MPa以上の圧力で噴出される水のことをいうが、圧力としては、30〜300MPaが好ましく、100〜300MPaがより好ましい。
【0041】
また、回転軸60は上下一対の軸受62,62(玉軸受け、流体軸受け、空気軸受け等一般に用いられる軸受けを使用することができる)により回転自在に支持されるとともに、軸受62と軸受62との間には第1プーリ64が設けられる。また、一対の軸受62,62の近傍には高速回転のモータ66が設けられ、モータ66の回転軸68に第2プーリ70が設けられる。そして、第1プーリ64と第2プーリ70との間に無端状ベルト72が架け渡される。これにより、モータ66を高速回転することにより、ノズルヘッド56が高速回転する。加圧水噴出ガン24のノズルヘッド56は、2000〜2500rpmの回転数で回転する。この場合、軸受として空気静圧軸受を採用することで、高速回転しても安定した回転を行うことができる。また、加圧水噴出ガン24から噴出される加圧水の水量は15〜25リットル/分の範囲、より好ましく20リットル/分である。
【0042】
モータ66としては、電動モータを採用することができるが、
図3に示すような軽量な棒状のノズルヘッド56を採用することにより、空気圧モータを採用することができる。棒状のノズルヘッド56は、構造が簡単なため棒状では無い従来のノズルヘッドよりも軽量である。
【0043】
また、空気圧モータは電動モータと比較して出力/重量比が大きいため電動モータよりも軽量である。よって、空気圧モータと棒状のノズルヘッドを採用することにより、加圧水噴出ガン24の重量を軽量化することできる。これにより、洗浄用ロボット26の負荷が小さくなるので、高価な高出力の産業用ロボットを使用する必要がなくなるとともに、加圧水噴出ガン24の高速かつ高精度な移動を可能とすることができる。
【0044】
なお、継手61、一対の軸受62,62、及びモータ66は、図示しない支持ブロックを介して洗浄用ロボット26のアーム26A先端部に支持される。
また、棒状のノズルヘッド56の回転中心Xから左右に配置された複数の噴出ノズル58,58…は、回転中心Xからの距離が左右で異なるように配置されることが好ましい。
【0045】
図3は、棒状のノズルヘッド56の左右両端の噴出ノズル58,58の距離が240mmの場合の例を示すものである。
図3のように、回転中心Xから
図2の左側に配置された4本の噴出ノズル58までの距離は、例えばL1が30mm,L2が50mm,L3が80mm,L4が110mmに設定される。これに対して、回転中心Xから
図2の右側に配置された4本の噴出ノズル58までの距離は、R1が40mm,R2が60mm,R3が90mm,R4が130mmに設定される。回転中心Xからの噴出ノズル58の距離が左右で異なる場合でも、上記程度の違いであれば、カウンターバランス部材をノズルヘッド56に設ける必要はなく、重心位置を回転中心Xにすれば、確実にカウンターバランス部材は不要になる。
【0046】
このように、複数の噴出ノズル58,58…が、回転中心Xからの距離が左右で異なるように配置されることで、加圧水噴出ガン24から噴出する加圧水の噴出面積密度を大きくすることができる。更に説明すると、ノズルヘッド56の左右の噴出ノズル58が、回転中心Xに対して対象に配置されている場合は、ノズルヘッド56が回転したとき、左右の噴出ノズル58から噴出した水は、同じ軌跡を描き、同じ場所を洗浄することになる。これに対して、ノズルヘッド56の左右の噴出ノズル58が、回転中心Xに対して非対象に配置されている場合は、ノズルヘッド56が回転したとき、左右の噴出ノズル58から噴出した水は、異なる軌跡を描き、異なる場所を洗浄することになるので、洗浄エリアを広くすることができる。
【0047】
これにより、加圧水噴出ガン24を高速回転させながら仮設機材14の長手方向に移動させることによって、加圧水が万遍なく仮設機材14に吹き付けられるので、仮設機材14を洗浄する洗浄能力が向上する。
【0048】
ここで、噴出面積密度とは、
図4に示すように、高速回転する加圧水噴出ガン24のそれぞれ(
図3は8個)の噴出ノズル58から噴出される加圧水のそれぞれの洗浄軌跡Mで示した洗浄軌跡M同士が密状態で重なっていることを意味する。噴出ノズル58は仮設機材14に対して加圧水の円形な洗浄軌跡Mを描く。
【0049】
なお、
図3では、全ての噴出ノズル58の向きを棒状のノズルヘッド56に対して垂直方向に配置したが、左右両端位置の噴出ノズル58,58については斜め内向き(例えば内向き角度が45度)になるようにすることが好ましい。これにより、パイプ状の仮設機材14のパイプ湾曲面についても洗浄効果が向上する。
【0050】
洗浄室12は、搬送手段20によって搬送される仮設機材14が通過する入口12A(
図2参照)を有して洗浄ステージ18を囲む箱型形状に形成され、入口12A以外の部分は密閉される。また、
図2に示すように、洗浄室12の近傍には、仮設機材14を洗浄した後の汚れた洗浄水を仮設機材洗浄装置10の装置外に排出するための排出管74、排出ポンプ76及び貯留タンク78が設けられる。これにより、仮設機材14を洗浄し、洗浄室12の床面に落下した汚れた洗浄水は貯留タンク78に貯留される。
【0051】
相打ち防止手段28は、対向配置された一対の加圧水噴出ガン24,24が仮設機材14の面に沿って移動する軌跡が重ならないように設定された移動軌跡プログラムを制御手段32に組み込むことにより構成される。
【0052】
ここで、「移動する軌跡が重ならない」とは、一対の加圧水噴出ガン24,24の移動軌跡が全く異なる場合の他、移動軌跡が同じで時間的ズレを有する場合も含む。同じ移動軌跡の時間的ズレとは、一対の加圧水噴出ガン24,24のうちの一方の加圧水噴出ガン24を他方の加圧水噴出ガン24よりも時間的に遅らせて同じ移動軌跡をたどるようにすることを言う。いずれにしても、同一時点において同じ場所を両側から洗浄することが無いようにすることにより、一対の加圧水噴出ガン24,24同士の相打ちを防ぐことが重要である。相打ちすることにより、加圧水の力で破損してしまうからである。
【0053】
移動軌跡プログラムは、仮設機材14の形状(例えばパイプ状、平板状等)に合わせて、対向する洗浄用ロボット26,26同士が相打ちしないための動きを予めコンピュータでシミュレートすることにより得ることができる。
【0054】
上記した相打ち防止のためのシミュレーション方法としては、仮設機材14の形状(例えばパイプ形状、平板形状等)及びサイズの数値データを基に、洗浄用ロボット26が仮設機材14を洗浄するのに最も効果的な加圧水噴出ガン24の移動軌跡をコンピュータで描く。
【0055】
次に、描いた移動軌跡のうち、対向する洗浄用ロボット26,26が相打ちする移動軌跡位置を特定し、洗浄速度及び洗浄効果を低下しないで移動軌跡が変更可能なように洗浄用ロボット26,26の動作シーケンスを変更する。
【0056】
そして、洗浄用ロボット26の動作シーケンスを変更することで洗浄速度及び洗浄効果が低下せざるをえない場合には、洗浄用ロボット26の相打ち部分箇所に耐圧性プロテクタ(図示せず)を設けて保護する。
【0057】
また、特に図示しないが、相打ち防止手段28の別の態様としては、対向配置された一対の加圧水噴出ガン24,24の噴出角度を調整する噴出角度調整手段(図示せず)を設けることによって構成しても良い。
【0058】
相打ち防止手段28の更に別の態様としては、一対の洗浄用ロボット26,26の加圧水噴出ガン24を除いて覆う耐圧性プロテクタ(図示せず)で構成しても良い。耐圧性プロテクタとしては、例えば蛇腹状の耐圧性筒部材のように、洗浄用ロボット26のアーム26Aの動きを阻害しないことが必要である。
【0059】
相打ち防止手段28としては、上記の移動軌跡プログラム、噴出角度調整手段、耐圧性プロテクタの少なくとも一つを設けることが必要であり、全てを設けることが一層好ましい。移動軌跡プログラムと耐圧性プロテクタとを組み合わせることにより、上記したように移動軌跡プログラムだけではどうしても相打ちする洗浄用ロボット26の箇所にのみ耐圧性プロテクタを取り付けることができる。
ここで、ノズルヘッド56には、耐圧性プロテクタを装着することができないので、ノズルヘッド56部分同士は、相打ちにならないような動作シーケンスを組み込むことが極めて望ましい。
【0060】
ハンドリング用ロボット30は、アーム30Aの先端部に仮設機材14を着脱自在に把持する四角形状の把持盤80(
図1参照)が設けられる。そして、位置決めコンベア46に載置された洗浄前の仮設機材14を把持盤80で把持して搬送手段20の保持治具22に取り付けるとともに、洗浄後の仮設機材14を保持治具22から取り外して段積用リフト48に段積みする。
【0061】
把持盤80の把持機構としては、仮設機材14を着脱できる方式であれば特に限定はなく、チャック方式、吸着方式等を好適に採用できる。
制御手段32は、搬送手段20、洗浄用ロボット26,26、及びハンドリング用ロボット30を少なくとも制御する。なお、半自動方式の場合には、制御手段32は、搬送手段20、及び洗浄用ロボット26,26を少なくとも制御する。
【0062】
図2に示すように、制御手段32は、搬送手段20を制御するライン用制御盤32A、ハンドリング用ロボット30を制御するHD制御盤32Bと、一対の洗浄用ロボット26,26のうちの一方の洗浄用ロボット26を制御する第1RC制御盤32Cと、他方の洗浄用ロボット26を制御する第2RC制御盤32Dとで構成される。
なお、本実施の形態では、制御手段32を4個の制御盤に分けたが1個の制御盤でも5個以上の制御盤でもよい。
【0063】
HD制御盤32Bは、一対の搬送ライン34,36にそれぞれ設けられた保持治具22のうち、一方の保持治具22が洗浄ステージ18にあるときには他方の保持治具22が搬入・搬出ステージ16にあるように搬送手段20を制御する。また、上記した位置決めコンベア46と、段積用リフト48と、排出用コンベア50の制御をHD制御盤32Bで一緒に制御しても良く、別の制御盤を設けても良い。
【0064】
第1RC制御盤32Cと第2RC制御盤32Dには、洗浄ステージ18に搬送された仮設機材14の表面と裏面との両面を同時に洗浄するように洗浄プログラムが組み込まれているとともに、仮設機材14の両面を同時洗浄する際に相打ちにならないための移動軌跡プログラムが組み込まれている。
【0065】
また、加圧水噴出ガン24に加圧水を供給する加圧水ポンプ51、加圧水噴出ガン24の回転数制御も、第1RC制御盤32C及び第2RC制御盤32Dで一緒に制御しても良く別の制御盤を設けても良い。この場合、加圧水ポンプ51を2台配設し、加圧水ポンプ51の給水量制御及び加圧水噴出ガン24の回転数制御を第1RC制御盤32Cと第2RC制御盤32Dとで独立して制御できるようにすることが一層好ましい。
【0066】
これにより例えば、平板状の仮設機材14である足場板(布板ともいう)は、足場が組まれた状態の上面は汚れるが、下面の汚れは少ない。したがって、仮設機材洗浄装置10で足場板を縦向状態で洗浄する場合、足場板の表面は洗浄力を大きくする必要があるが、裏面は小さな洗浄力で洗浄できる。したがって、加圧水ポンプ51及び加圧水噴出ガン24を第1RC制御盤32Cと第2RC制御盤32Dとで独立して制御できるようにすることできめ細かな洗浄を行うことができる。
【0067】
<動作>
次に
図1、
図2及び
図5により、上記の如く構成された仮設機材洗浄装置10を用いて仮設機材14を洗浄するステップを説明する。なお、各ステップにおける各機器(洗浄用ロボット26等)の制御は制御手段32からの指示で行うが、各ステップの説明では制御手段32を省略して説明する。
【0068】
図2に示すように、先ず作業者Yが洗浄前の仮設機材14A(
図2には不図示)を位置決めコンベア46に載せる。これにより、仮設機材14Aがハンドリング用ロボット30の正しいハンドリング位置に位置決めされる(仮設機材14Aの位置決めステップ)。
【0069】
次に、ハンドリング用ロボット30は、仮設機材14Aを把持盤80(
図1参照)に把持するとともに、把持した仮設機材14Aを位置決めコンベア46から搬入・搬出ステージ16に運搬し、第1搬送ライン34の保持治具22に仮設機材14Aを保持させる(仮設機材14Aの搬入ステップ)。
【0070】
次に、第1搬送ライン34のトロリ42(
図1参照)が保持治具22に保持された仮設機材14Aを搬入・搬出ステージ16から洗浄ステージ18に搬送する(仮設機材14Aの往路搬送ステップ)。
【0071】
次に、対向する一対の洗浄用ロボット26,26に具備された加圧水噴出ガン24から加圧水を噴出させて仮設機材14Aの面に吹き付けることによって、仮設機材14Aの両面(表面及び裏面)を同時に洗浄する(仮設機材14Aの洗浄ステップ)。
【0072】
また、仮設機材14Aを洗浄ステージ18で洗浄中に、作業者Yは次に洗浄する仮設機材14Bを位置決めコンベア46に載せる(仮設機材14Bの位置決めステップ)。
【0073】
そして、ハンドリング用ロボット30は仮設機材14Bを位置決めコンベア46から搬入・搬出ステージ16に運搬し、第2搬送ライン36の保持治具22に仮設機材14Bを保持させる(仮設機材14Bの搬入ステップ)。
【0074】
図5(A)は、洗浄ステージ18で仮設機材14Aを洗浄する洗浄ステップと、搬入・搬出ステージ16に仮設機材14Bを搬入する搬入ステップとを並行して実施している図である。
【0075】
次に、洗浄ステージ18で洗浄の終了した仮設機材14Aは第1搬送ライン34のトロリ42により洗浄ステージ18から搬入・搬出ステージ16に搬送される(仮設機材14Aの復路搬送ステップ)。そして、ハンドリング用ロボット30で第1搬送ライン34から搬出されて段積用リフト48に段積みされる(仮設機材14Aの搬出ステップ)。
【0076】
この仮設機材14Aの復路搬送ステップ〜搬出ステップに並行して、搬入・搬出ステージ16の仮設機材14Bが第2搬送ライン36のトロリ42によって搬入・搬出ステージ16から洗浄ステージ18に搬送される(仮設機材14Bの往路搬送ステップ)。
【0077】
そして、仮設機材14Bは、対向する一対の洗浄用ロボット26,26に具備された加圧水噴出ガン24から加圧水を噴出させて仮設機材14Bの面に吹き付けることによって、仮設機材14Bの両面(表面及び裏面)を同時に洗浄する(仮設機材14Bの洗浄ステップ)。
図5(B)は、洗浄ステージ18で仮設機材14Bを洗浄する洗浄ステップと、搬入・搬出ステージ16に仮設機材14Aを搬送する復路搬送ステップを並行して実施している図である。
【0078】
次に、洗浄ステージ18で洗浄の終了した仮設機材14Bは第2搬送ライン36のトロリ42により洗浄ステージ18から搬入・搬出ステージ16に搬送される(仮設機材14Bの復路搬送ステップ)。そして、ハンドリング用ロボット30で第2搬送ライン36から搬出されて段積用リフト48に段積みされる(仮設機材14Bの搬出ステップ)。
【0079】
このように、仮設機材14Aと仮設機材14Bとの上記動作を繰り返すことによって、仮設機材14を次々に連続洗浄できるだけでなく、仮設機材14の両面を同時に洗浄するので、表面と裏面とを順番に洗浄する従来の仮設機材洗浄装置に比べて一枚の仮設機材14を洗浄する時間を半分に短縮することができる。
【0080】
また、洗浄ステージ18において、対向配置された一対の洗浄用ロボット26,26の加圧水噴出ガン24からは30〜300MPaの極めて高圧な加圧水を噴出する。したがって、互いの加圧水噴出ガン24,24から噴出された加圧水が仮設機材14の開口部を通過して互いの洗浄用ロボット26のアーム26Aや加圧水を供給する耐圧ホース54等に当たる、いわゆる相打ちになると、アーム26Aや耐圧ホース54が破損する恐れがある。
【0081】
そこで、本発明では相打ちの対策として、噴出した加圧水で洗浄用ロボット26,26同士が相打ち状態になるのを防止する相打ち防止手段28を設けたので、アーム26Aや耐圧ホース54が破損する恐れがない。
【0082】
更に、本発明では、仮設機材14が通過する入口12Aを有して洗浄ステージ18を囲む洗浄室12を設けたので、加圧水が仮設機材洗浄装置10の外側に噴出することがなく、仮設機材洗浄装置10を操作する作業者Yの安全も確保できる。しかも、相打ち防止手段28を設けることで、一対の洗浄用ロボット26,26を対向配置できるので、洗浄ステージ18を囲む洗浄室12をコンパクト化することができる。
【0083】
これにより、本発明の仮設機材洗浄装置10は、コンパクトな装置構成にも関わらず洗浄効率を顕著に向上させることができる。実際に試験装置で7時間の試験操業を行った結果、パイプ状の仮設機材14を500枚程度洗浄することができた。
【解決手段】仮設機材14を、搬入・搬出ステージ16と洗浄ステージ18との間でシャトル搬送する搬送手段20と、搬送手段20に仮設機材14を縦向状態で着脱自在に保持する保持治具22と、洗浄ステージ18内に対向配置されるとともに加圧水噴出ガン24を具備した一対の洗浄用ロボット26,26と、洗浄ステージ18を囲む洗浄室12と、洗浄用ロボット26,26同士が相打ち状態になるのを防止する相打ち防止手段28と、搬入・搬出ステージ16に設けられたハンドリング用ロボット30と、搬送手段20、洗浄用及びハンドリング用ロボット26,30を少なくとも制御する制御手段32(