(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記脚部(4、14、24)は、前記収容凹部(4d、14d、24d)内に上方に向けて突出するように延びて形成される突出部(5)と前記突出部(5)を補強するための収容凹部リブ(4e)とを有し、
前記収容凹部リブ(4e)は、前記底面(4c、14c、24c)から垂直に上方に向けて延びて形成され、その上端(4f)の高さが前記パレット外壁を構成する壁面(14b、24b)の高さ(H)と同一であり、
前記突出部(5)は、前記底面(4c、14c、24c)から前記載置部(1)の上面(1a)と同一の高さまで前記重ね合わせ角度θで窄まりながら延びる壁面(5a)とこれらに接続してその上面側は前記載置部の上面(1a)を構成する蓋面(5b)とで構成される請求項1から3のいずれか1項記載のパレット。
前記脚部のうち少なくとも辺脚部(14)とコーナ脚部(24)は、ガイド片(10)とネスティングの際に対応する前記ガイド片を収納するガイド片受け部(11)を備え、 前記ガイド片(10)は、前記収容凹部(14d、24d)内の前記パレット外壁を構成しない壁面(14a、24a)上に前記底面(14c、24c)から前記載置部の上面(1a)と同一の高さまで前記重ね合わせ角度θで窄まる台形状の凸片であって、
前記ガイド片受け部(11)は、前記ガイド片(10)と前記パレット外壁を構成しない壁面(4a)において表裏の関係で設けられた凹状部である請求項1から7のいずれか1項に記載のパレット。
【背景技術】
【0002】
従来から、製品や資材などの運搬物を運搬したり保管したりするために用いる分解可能な組立式コンテナが知られている。たとえば、運搬用パレットの上に運搬物を載置し、運搬物を囲うスリーブをパレットに立て、スリーブの上にキャップ(蓋)を載せて閉止するものがある。このようなコンテナは、フォークリフト等で荷捌きされ、トラックやコンテナ船等に積み込まれて運搬される。
【0003】
このようにフォークリフト等でコンテナを荷捌きする際、フォークリフトのフォーク(爪)をコンテナの下部に差し込んでコンテナを持ち上げると便利である。このために、コンテナのパレットの底面側に複数の脚部を設けて部分的に嵩上げし、フォークリフトの爪を差し込むことのできる空間(以下、「フォーククリアランス」ということもある。)を確保することが行われている。フォークリフトは、荷捌きの際にコンテナを安定よく持ち上げて運搬するために通常2本の平行な爪を有している。このため、コンテナは、この2本の爪を差し込める空間ができるように、その脚部の配置を決めている。たとえば、脚部を3つの平行な凸条で構成すると、その凸条の間に爪が入るので、前後二方向から荷捌きができる(いわゆる2方差し)。また、脚部を島状にして、その脚部を格子状に配置すると、前後方向からのみならず、左右方向からも持ち上げることができる(いわゆる4方差し)。狭い場所等の荷捌きには4方差しが便利である。
【0004】
このような組立式コンテナに用いられるパレットは、パレットだけを積み重ねて使用の前後に保管したり、パレットだけを必要な積み出し地に運搬したりすることがある。このため、パレットのみを多段に積み重ねた際に嵩が小さくなるよう上下のパレットの凹凸部分(特に脚部)をお互いに収容するような入れ子構造(ネスティング可能構造)が採用されている(特許文献1、2、3)。このようなパレットは、保管・輸送・回収などの際に、占有スペースを節約することができ便利である。
【0005】
一方、組立式コンテナは、パレットのネスティングと同様に、実際の運搬物の運搬や倉庫保管の際などに占有スペースを節約するため、運搬物を収容した状態で多段に積み重ねられる場合がある(いわゆる段重ね)。積み重ねられた場合、上側のコンテナの荷重を下側のコンテナが受けることになるが、組立式コンテナの場合は、前述のように、運搬物を囲うスリーブをパレットに立て、 スリーブの上にキャップ(蓋)を載せて閉止することが多く、下側のコンテナでは、上側のコンテナからの荷重がキャップ、スリーブ、パレットの順に伝達され、パレットの脚部から床面またはさらに下側のコンテナに伝達される。したがって、このように段重ねをする際は、コンテナを構成するそれぞれの部材の剛性が高いことが求められるが、部材に関し選択できる素材や各部材の厚みなどにも制約がある。加えて、前述のようなネスティングの要請もあるため、構造に工夫を要することになる。
【0006】
このような構造の工夫の例として、フォークリフトの爪を差し込み可能であって、ネスティングが行えるようにし、スリーブをデッキ上に立設できるようにしたパレットについて、その耐久性向上を目的としたものがある(特許文献2)。スリーブをデッキコーナー部においても支持するため溝構成部をデッキコーナー部まで設けたのに伴い、デッキコーナー部における載置部に作用する曲げモーメントを低減するために、支脚部(脚部)をデッキの外周側に向けて載置部の直下方位置にまで膨出形成するようにしたものである。
【0007】
しかしながら、この場合でも、コンテナを段重ねした際にモーメント荷重の発生を防止するには至っていない。
このため、発明者らは、「パレットのネスティングが効率よく可能であり」、「4方差しができ(フォークリフトの爪が前後左右から入る空間をパレット底面に確保し)」、「このパレットを用いたコンテナの積載効率がよく」、かつ、「コンテナを段重ねした際に不要なモーメント荷重が発生しない脚部」を有するパレット及びコンテナを鋭意検討した。
発明者らの検討によると、ネスティングができるパレットを用いた組立式コンテナを段重ねする際、上側のコンテナの脚部から下側のコンテナのキャップ及びスリーブに伝達される荷重を考慮したパレットの構造設計が問題となることが認識された。
【0008】
(垂直荷重と積載効率の相反)
段重ねした際に不要なモーメント荷重を発生させないためには、部材間で荷重を垂直方向に直線的に受けることが望ましい。組立式コンテナの場合は、下側のコンテナの直立するスリーブの直上に上側のコンテナの脚部が乗るような構造がよいことになる。
しかしながら、ネスティングを前提とするパレットは、ネスティングを可能とするために一般に脚部がその底面に向かってテーパ状に絞られる形状を採用しており、このため、脚部底面の位置はコンテナの中央側によることになる。このようなパレットを用いた組立式コンテナを段重ねすると、コンテナの積載効率を考慮してスリーブをパレットの外周縁直近に直立させると、下側のコンテナのスリーブの直上に上側のコンテナの脚部を置くことが困難である。
【0009】
すなわち、ネスティングを考慮したパレットでは、テーパ状に絞られた脚部の底面の位置に応じ荷重を垂直方向に直線的に受けることができるようコンテナの中央側にスリーブを寄せると、荷重は直線的になるが、スリーブを中央に寄せた分、載置面の載置可能面積は減少し、コンテナの積載効率が低下する(後述する
図11参照)。
一方、積載効率の低下を嫌って、スリーブをできるだけパレットの外周縁に近い位置に直立させるようにすると、ネスティングするためにテーパ状になった脚部の底面はスリーブより内側に入ることになる。この場合、スリーブ被せたキャップに上側のパレットの脚部の荷重を受けさせれば上側のコンテナの重量を支えることができる(特許文献3)。
しかしながら、この場合は、荷重を垂直方向に直線的に受けることができないため、下側のキャップとスリーブに、不要なせん断力や張力、モーメント荷重が発生する。
【0010】
図12を用いて、スリーブをできるだけパレットの外周縁に近い位置に直立させた4つ差しのネスティング可能なパレット(島状の脚部が9つある場合)においてキャップC1´にモーメント荷重が働く状態を説明する。
図12は、従来のパレットP1´(不図示)、P2´を用いた組立式コンテナA1´、A2´を段積みした場合の、概略要部断面図を示している。
図12(a)は、部材の撓みの発生がない場合を示している。同図に示すように、スリーブS1´、S2´は、できるだけパレットP1´、P2´の外周縁に近い位置に立て、パレットP1´、P2´の脚部14´(24´)もできるだけ、外周縁に近い位置になるようにしている。ネスティングを可能とするため、脚部14´(24´)はテーパ状に角度θ´で脚部底面14c´(24c´)に向かって窄まっている。このため、脚部14´(24´)の底面14c´(24c´)は、スリーブS1´、S2´よりも内側に位置し、スリーブS1´の直上におくことができない。そうすると、上側のコンテナA2´の荷重は脚部の底面14c´(24c´)を介して下側のコンテナA1´のキャップC1´が受けることになる。このような状態のキャップC1´には、せん断力と張力が働くとともに下側のスリーブS1´の上端を支点として曲げモーメントが発生する。したがって、これに耐えるキャップC1´の剛性が必要となるとともに、耐久性が問題となる。
【0011】
図12(b)は、キャップC1´の剛性が不足して部材の撓みが生じている場合を示している。同図に示すように、キャップC1´に撓みが生じて下側のコンテナA1´の内側への沈み込みが生じている。また、下側のスリーブS1´にも、せん断力が働くとともにコンテナA1´の外側方向にスリーブS1´の下端を支点として曲げモーメントが発生し、スリーブS1´が外側に撓みが生じる状態となっている。荷重がさらに大きい場合には、スリーブS1´やキャップC1´が破損して下側のコンテナA1´が壊れ、上側のコンテナA2´が下側のコンテナA1´内に落ち込むおそれがある。
このようなモーメント荷重の影響は、段重ねの段数が増えると、ますます大きくなる。3段重ねの場合は、最下段のコンテナは、上に載った2つ分のコンテナの荷重を受けることになり、2段重ねの場合の2倍の荷重に耐える必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明はこのような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ネスティング効率がよく、フォークリフトで取り扱いがしやすく、コンテナとして組み立てた際にコンテナの積載効率がよく、コンテナとして段積みした時のコンテナの耐久性を高くすることのできるパレットを提供することである。また、このようなパレットを用いた、積載効率がよく段積み時の耐久性が高いコンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、
組立式コンテナに用いられるネスティングが可能な運搬用のパレットであって、運搬物が載置される載置部と前記載置部を支える複数の脚部とを備え、前記載置部は、矩形状かつ板状であって、
前記載置部は、コンテナとして組み立てられた際にスリーブを支持するためのガイド溝をその上面の外周縁に沿って有し、前記脚部は、前記載置部の周縁に沿って少なくとも配置され、各脚部は、壁面と前記壁面に接続する底面とを備えて、前記載置部の下面側に突出するように延びて形成されるとともに前記載置部の上面側に開口を有してネスティングの際に対応する脚部を収容するための収容凹部が形成され、前記壁面のうち、パレット外壁を構成しない壁面は、前記底面と一定の重ね合わせ角度θをなして前記底面に向かって窄まるように延びて形成され、パレット外壁を構成する壁面は、前記底面から
前記パレットの外周縁に沿って垂直に
前記載置部より低い高さまで延びて形成され、前記脚部のうち少なくとも一つは前記パレット外壁を構成する壁面を有し、前記載置部の厚さは、前記パレット外壁を構成する壁面の高さより小さくなるように構成されている。
【0015】
ここで、「重ね合わせ角度」とは、脚部の底面と壁面が交わる角度θをいう(
図5等参照)。
また、「載置部の厚さT」は、載置部の上面(載置面)と載置部の最下端となる箇所の距離をいい、脚部を含まない(
図5等参照)。「パレット外壁」とは、パレットの側面部の外側の面をいう。なお、特に断わりがない限り、パレットの上面(載置面)側を上として、パレットの下面側を下として表記する(以下、同様である。)。
【0016】
このように構成されているため、パレットを上下に重ねてネスティングをさせると、脚部と収容凹部はいずれも表裏をなす関係であるので同形状で同じ角度θで窄まっているため、紙コップが重なるようにして脚部は収容凹部に収容される。ネスティングした際のパレット1枚当たりの高さの増分(以下、「ネスティング高さ」ということがある。)は、少なくともパレットの載置部の厚みT(すなわち、載置部の上面と前記載置部の載置面の最下端となる箇所の距離T)が必要になる。一方、パレット外壁を構成する壁面は脚部底面から垂直に高さHまで延びているため、この高さHで上下のパレットは干渉する。したがって、この高さHが必要な高さTより大きければ、干渉せずにネスティングが可能になる。この場合、このような関係を満たすようにθを決定すれば、能率的なパレットのネスティングを行うことができる。
【0017】
前記脚部のうちのひとつが前記載置部の中心に配置されるように備えられ、各脚部は、全体として格子状に並ぶように配置されることが好ましい。
【0018】
ここで、「載置部の中心」とは、矩形状かつ板状のパレットの四隅から引かれた対角線の交点およびその付近をいう。
【0019】
このように構成されているため、パレット下面の格子状に並んだ脚部と脚部の間にパレットの各辺から見てそれぞれ2か所に空間(以下、「フォークリフトクラリアランス」ということがある。)が形成され、この空間はパレット下面に水平方向(パレット載置面と平行な面)に貫通するため、この空間にフォークリフトのフォークを差し入れて、パレット(パレットに積載された運搬物がある場合は運搬物も含むパレット)を持ち上げることができ、フォークリフトを用いたパレットのハンドリングが簡単にできる。
そして、脚部は格子状に並んでいるから、前後2方向のみならず左右2方向の計4方向からパレットをフォークリフトで持ち上げることができる(いわゆる4つ差し可能)。したがって、荷捌きのためのスペースの制約が厳しい場合でも、パレット、延いてはこれを用いたコンテナを能率的に取り扱うことができる。
【0020】
また、前記パレットは、正方形状であることが好ましい。
【0021】
このように構成されているため、パレットが正方形状であるので、パレットを上下に重ねてネスティングをさせた際に、前後方向でも左右方向でも脚部はパレット中心に対し点対称の関係になっているから、前後方向のみならず左右方向にも方向を問うことなく積み重ねることができ、しかも、同じネスティング高さとすることができる。
【0022】
また、前記脚部は、前記収容凹部内に上方に向けて突出するように延びて形成される突出部と前記突出部を補強するための収容凹部リブとを有し、前記収容凹部リブは、前記底面から垂直に上方に向けて延びて形成され、その上端の高さが前記パレット外壁を構成する壁面の高さHと同一であり、前記突出部は、前記底面から前記載置部の上面と同一の高さまで前記重ね合わせ角度θで窄まりながら延びる壁面とこれらに接続してその上面側は前記載置部の上面を構成する蓋面とで構成されることが好ましい。
【0023】
このように構成されているため、突出部の蓋面の上面が載置部の上面と同一の高さとなって載置面を構成することになり、運搬物の底面と載置部の上面が接触する面積が増加するため、運搬物をより安定してパレット上に載置することができる。
また、パレットを上下に重ねてネスティングをさせた際、下側のパレットの収容凹部に上側のパレットの脚部が収容されるのみならず、同一のネスティング高さHで下側のパレットの脚突出部が上側のパレットの脚凹部に収容することができる。
加えて、上側のパレットの脚部の底面に下側のパレットの収容凹部リブの上端が当接するので、ネスティングをする際、パレット外壁を構成する壁面のみならず、収容凹部リブにおいても当接するため、上側のパレットの重量により生じる荷重について、接触面積を増加させることができるので分散して受けることができるため、パレットにねじりやたわみを生じさせるような片荷重を受けることを防止できる。
【0024】
また、前記突出部は、その内部に前記載置部の下面側に開口を有する脚凹部を形成して、前記脚凹部内に補強のための脚凹部リブを有し、前記脚凹部リブは、突出部載置面から前記脚凹部リブの最下端までの長さが前記パレット外壁を構成する壁面の高さHと同一であることが好ましい。
【0025】
このように構成されているために、ネスティングをさせた際、下側のパレットの収容凹部に上側のパレットの脚部が収容されるのみならず、同一のネスティング高さHで下側のパレットの脚突出部が上側のパレットの脚凹部に収容することができる。
加えて、下側のパレットの突出部載置面と上側のパレットの脚凹部リブの最下端が当接するので、収容凹部リブのみならず脚凹部リブにおいても当接するため、特に多段のネスティングをする際に、上側のパレットの重量により生じる荷重について、上側のパレットと下側のパレットとの接触面積をさらに増加させることができるのでさらに荷重を分散できるため、多段にネスティングをしてもパレットにねじりやたわみを生じさせるような片荷重を受けることを防止できる。
【0026】
前記ガイド溝は、前記パレット外壁を構成する外壁部と前記外壁部に対向して前記載置部の上面に接続する内壁部と前記外壁部と前記内壁部を接続する溝底部とを備えて上方に開口を有するように形成され、前記外壁部の最上端の前記載置面からの高さWHは、前記載置部の厚さTから前記パレット外壁を構成する壁面の高さHを引いた値(ネスティングクリアランスNC=H−T)より小さく、前記内壁部と前記載置部の上面との接続部分に傾斜面を有して前記開口が拡げられていることが望ましい。
【0027】
このように構成されているために、このパレットのガイド溝に立てて設けられたスリーブを安定して支持することができる。
また、載置部の外周縁に沿う形状を有するスリーブを立てた場合は、脚部においてスリーブの下端がその底面部まで下りることができるので、脚部においては、さらに安定してスリーブを支持することができる。
加えて、パレット外壁を構成する壁面の高さHから前記載置部の厚さTを引いた値(ネスティングクリアランスNC)より小さい値(WH<(H−T)=NC)であるので、ネスティングをさせても外壁部上端は載置面より高く、かつ、ネスティングのクリアランスNCの範囲内でありネスティングの障害とならない。さらに、内壁部と載置面が接続されている箇所が傾斜面になっているため、ガイド溝の開口が拡げられており、コンテナを組み立てるためにスリーブをガイド溝に差し込む際、差し込みやすくなり、組み立ての作業性が向上する。
【0028】
また、前記外壁部の中央部上端の高さは前記内壁部と前記傾斜面の接続部の位置より低く、外壁部の下端の高さは、前記載置部の最下端より高く、前記載置部は、その下面側に補強のためのリブを有し、前記リブのうち前記外壁部に連なるリブは、前記外壁部の下端に接続するように上方に向けて傾斜を有するとともに、前記内壁部と前記載置部の上面との接続部分に傾斜面を有してフォーク挿入口が拡げられていることが好ましい。
【0029】
このように構成されているために、パレットを上下に重ねてネスティングをさせた際に、上側のパレットの載置部の最下端と下側のパレットの載置部の上面(載置面)との間には大きさH−T(ネスティングクリアランスNC)の隙間(フォーク挿入口)が生じる。フォークリフトの爪の先端をこの隙間に挿入することにより、ネスティングさせたパレットを任意の段数フォークリフトの爪に乗せることができ、ネスティングさせたパレットのハンドリングの作業性が向上する。
加えて、外壁部に連なるリブは傾斜を有するとともに、内壁部と載置部の上面との接続部分に傾斜面を有しているため、ネスティングされているパレットのフォーク挿入口がさらに広げられている。このため、フォークリフトの先端が差し込みやすくなり、ネスティングさせたパレットのハンドリングの作業性がさらに向上する。
【0030】
また、前記脚部のうち少なくとも辺脚部とコーナー脚部は、ガイド片とネスティングの際に対応する前記ガイド片を収納するガイド片受け部を備え、前記ガイド片は、前記収容凹部内の前記パレット外壁を構成しない壁面上に前記底面から前記載置部の上面と同一の高さまで前記重ね合わせ角度θで窄まる台形状の凸片であって、前記ガイド片受け部は、前記ガイド片と前記パレット外壁を構成しない壁面において表裏の関係で設けられた凹状部であることが好ましい。
【0031】
このように構成されているために、パレットをネスティングさせて下側のパレットの収容凹部に上側のパレットの脚部が収容される際に、上側のパレットのガイド片受けに下側のパレットのガイド片がガイドされるので、滑らかにパレットをネスティングさせることができ、作業性が向上する。加えて、ネスティングさせた際の水平方向のガタを減少させることができる。
【0032】
本発明は、上記目的を実現するために、
上記記載のパレットと、前記パレットにその下端が支持されて直立してコンテナの側壁を構成するスリーブと、前記スリーブの上面開口を塞ぐキャップと、を備え、前記スリーブは、その下端が前記パレットの脚収容部内の各底面と前記ガイド溝の溝底部とに当接するように延びている組立式コンテナである。
【0033】
このように構成されているために、キャップと脚部の底面を介して上下のコンテナのスリーブが上下に直線的に並ぶので、組み立て式コンテナとして段重ねをした場合に、各部材が直線的に積み重ねられるため、キャップ、スリーブ、脚部のいずれの部材においても不要なせん断力やモーメントが発生することを防止できる。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明は、ネスティング効率がよく、フォークリフトで取り扱いがしやすく、コンテナとして組み立てた際にコンテナの積載効率がよく、コンテナとして段積みした時のコンテナの耐久性を高くすることのできるパレットを提供することができる。また、このようなパレットを用いた、積載効率がよく段積み時の耐久性が高いコンテナを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明のパレットとコンテナの実施の形態について図面を参照して説明する。特に断わりがない限り、パレットの上面(載置面)側を上として、パレットの下面側を下として表記する。
図1から
図5は、本発明の実施形態の一例であるパレットPを示す。
図1は、本発明に係るパレットの実施形態の一例を示す斜め上方からの斜視図である。
図2は同じく下方からの斜視図、
図3は、同じく正面図、
図4は同じく背面図である。
図5は
図3の中央断面V−Vの端面図である。
【0036】
図1〜
図4に示すように、本実施形態のパレットPは、矩形板状で下面に突出した脚部を有する運搬用パレットであり、後述のようにネスティングが可能である。パレットPは、運搬物(不図示)が載置される載置部1と、載置部1の周縁に沿って配置されて載置部1を支える脚部14、24とパレットPの中心に配置されて載置部1を支える脚部4を備えている。
パレットPは、載置面1aの上方から見た形状はほぼ正方形であり、ポリプロピレン樹脂をインジェクション成型加工して一体的に形成されている。形状は必ずしも正方形でなく矩形であってよいが、パレットPを積み重ねる(ネスティングさせる)場合、正方形であると、パレットの向きを考慮せずに積み重ねることができ、パレットをハンドリングする際に便利である。なお、ポリプロピレン樹脂のほか、ポリエチレン樹脂等ポリオレフィン系の樹脂を好適に用いることができる。
【0037】
(載置部、載置面)
載置部1は、その上面1aに運搬物を載置する載置面1aを形成している。載置部1の上面1aは、脚部4、14、24のある箇所は凹部4d、14d、24dが形成されているため不連続ではあるが、基本的に同一高さ(面一)に形成されている。
【0038】
(ガイド溝)
載置部1は、その上面の外周縁に沿ってガイド溝7を有する。後述のようにパレットPが組立式コンテナAの部材として用いられる際は、運搬物を囲むようにパレットP上にスリーブSを立てるのであるが、スリーブSの下端がこのガイド溝7に差し込まれてパレットP上のスリーブSの設置位置が決められる。
【0039】
(載置部下面)
図2および
図4に示すように、載置部1の下面1bには、脚部4、14、24がそれぞれ突出するとともに、それら以外の箇所は載置部1の剛性を高めるために、適宜の間隔で矩形形状の載置部1の二辺に平行に載置部下面1bから延びて形成されるリブ1cが設けられている。縦横二辺に平行に形成されているため、リブ1cは、互いに90°の角度で交差して相互に接続されているので、載置部1の剛性は強化されている。
リブ1cの高さは、後述のように、載置部の厚さTを決めることになるため、所定のネスティング高さHを超えないように制限されている。
また、リブ1cは、辺脚部14とコーナ脚部24の間の載置部下面1bの周縁付近(フォークリフトの爪が入るフォークリフト挿入口6a付近)においては、上方に向かって徐々に傾斜するように高さが低くなってガイド溝7の外壁部7aの下端7gに接続されており、フォークリフトの爪の先端が差し込みやすくなるようガイド構造を形成している(後述)。
【0040】
(脚部、中央脚部・辺脚部・コーナ脚部)
脚部4,14,24は形状の一部が互いに異なる中央脚部4と辺脚部14とコーナ脚部24があり、いずれの脚部も脚部底面4c、14c、24cと脚部底面に接続する4つの壁面4a、14a、14b、24a、24bを有している点は共通している。
中央脚部4は、パレットPの中心に配置されており、4つの壁面4aとも、載置部1からその下面側に延びて形成され、これらにより、載置部1の下面側に延びる四角錐台の形状を有する突状部を形成し、これと表裏の関係で、載置部1の上面側に開口する収容凹部4dを形成する。中央脚部4を構成するいずれの壁面もパレット側面の外壁の一部ではないので、以下、「パレット外壁を構成しない壁面」という。いずれの壁面も底面に向かって窄まるように一定角度θをなしている。
【0041】
辺脚部14は、載置部1の周縁の各辺の中央部に配置されており、4つの壁面のうち3つは、載置部1からその下面側に延びて形成されて底面14cに接続しており、中央脚部4と同様、これらの壁面14aは「パレット外壁を構成しない壁面」である。これらの壁面は、底面に向かって窄まるように一定角度θをなしている。一方、残りの一つの壁面14bは、底面14cから載置部上面側に垂直に一定高さHまで延びており、パレット外壁を構成するように設けられている(以下、これらの壁面14bを「パレット外壁を構成する壁面14b」という。)。
【0042】
コーナ脚部24は、載置部1の周縁の各コーナ部に配置されており、4つの壁面のうち2つは、互いに隣り合って底面24cと底面に接続し載置部1からその下面側に延びて底面24cに接続するように形成されている。いずれの壁面24aともパレット側面の外壁の一部ではないので、以下、「パレット外壁を構成しない壁面」という。これらの壁面24aは、底面24cに向かって窄まるように一定角度θをなしている。一方、そのほかの2つの壁面24bは、互いに隣り合っており、底面24cから載置部上面側に垂直に一定高さHまで延びて、パレット外壁を構成するように設けられている(以下、これらの壁面24bを「パレット外壁を構成する壁面24b」という。)。
【0043】
(脚部、個数・配置)
脚部4,14,24は、本実施形態では、9つ設けられている。コーナ脚部24は載置部1の四隅に各1個計4個設けられ、辺脚部14は載置部1の4つの辺の中央部に各1個計4個設けられ、中央脚部4は載置部1の中心部に1個設けられている。
本実施形態の各脚部4、14、24は、パレット下面から凸状または島状に突出しており、これらが格子状に配置されているため、これらの脚部4,14,24の間をフォークリフトのフォーク(爪)が貫通できる空間(以下、「フォーククリアランス」ということがある。)6とすることができる。特に、本実施形態は、9つの脚部が格子状に配置されているため、いわゆる2つ差しといわれるパレットに対し前後方向から爪が差し込めるだけではなく、いわゆる4つ差しといわれるパレットの前後方向および左右方向のいずれからも爪が差し込める。
【0044】
本実施形態では、パレットPは正方形状であるため、脚部4、14、24は全体としてパレットPの中心に対して対称になるように格子状に配置されている。このため、パレットPをネスティングする際にパレットの向きを考慮せずに重ねることができる。
なお、本実施形態では、脚部4、14、24は計9つ設けられているが、少なくともコーナ脚部24が四隅にあればパレットを支える点では足りる。中央脚部4、辺脚部14があると、ネスティングする際、各脚部に荷重が分散されるので、パレット自体もたわみが減少し、また、各脚部を通して床面等に伝達される荷重も分散されるので、好ましい。
【0045】
(脚部、ネスティング可能構造)
本実施形態では脚部4、14、24は、載置面1aに対し表裏の関係となる載置部1の上面側に開口する収容凹部4d、14d、24dをそれぞれ形成している。収容凹部4d、14d、24dは、積み重ねた他のパレットの脚部を収納することができ、パレットを単純に積み重ねたときよりも嵩が小さくなるような入れ子構造(ネスティング可能構造)を構成している。
ネスティングができると、パレットPの使用の前後にパレットPだけを積み重ねて保管したり、パレットPだけを必要な積み出し地に運搬したりする際に便利である。このネスティング可能構造は、同一の大きさの紙コップが多数積み重ねられる状態に例えられる。このような構造のパレットPは、パレットPの保管・輸送・回収などの際に、パレットPの占有スペースを節約することができる。
【0046】
(脚部のパレット外壁を構成しない壁面と構成する壁面)
このようなネスティング可能構造を実現するため本実施形態では、脚部4、14、24の壁面のうちパレット外壁を構成しない壁面4a、14a、24aは、脚部の底面から上方に向かって重ね合わせ角度θで広がるように載置部1まで形成されるとともに、脚部4、14、24の壁面のうちパレット外壁を構成する壁面14b、24bは、脚部の底面14c、24からそれぞれ同一の高さHまで脚部の底面14c、24cに垂直に形成されている。以下、
図1〜
図8を用いてこの点を詳述する。
【0047】
図5は
図3で示すパレットPの中央断面V−Vの端面図であり、
図6は、ネスティングをした際の状態を説明するための図で、パレットを2枚重ねたパレットP1、P2の同じ断面での端面図である。
図7は、
図6の要部拡大図であり主にパレット周縁部に配置される辺脚部14を示し、併せてコーナ脚部24を示している。
図8は、同じく
図6の要部拡大図であり主にパレット中央部に配置される中央脚部4を示している。
【0048】
(中央脚部)
図1〜
図5に示すように、中央脚部4は、載置部1からその下面側に延びる4つの壁面4aとこれらに接続する底面4cとを有している。この4つの壁面4aは、パレット外壁を構成しない壁面4aである。ここでいう「パレットの外壁」とは、パレットPの載置面1aを正面としたときのパレットPの側面部をいい、パレット外壁を構成する壁面14b、24b、ガイド溝7の外壁部7aなどで構成する箇所をいう(以下、同じ。
図1、
図2、
図5など参照)。
【0049】
図8に示すように、このパレット外壁を構成しない壁面4aは、中央脚部4の底面4cから上方に向かって重ね合わせ角度θをもって広がるように一定の板厚tで載置部上面1aまで延びて形成されている。中央脚部4は、このような4つの壁面4aとこれらに接続する底面4cとで、四角錐台を構成してパレットPの下面側に突出した脚部4を構成する(
図1、
図2など参照)。
一方、パレットPの上面側は、下面側に突出した脚部4を形成した結果、この四角錐台の内部を凹部として表裏一体で載置部1の上面側に開口する収容凹部4dが形成される。
【0050】
このように形成された壁面4aは、いずれも底面4cから壁面4aの外側および内側とも同一の角度θで上方に向かって開く形状としているために、
図8に示すように、2つのパレットP1、P2を重ね合わせた際は、上側のパレットP2の脚部4は、下側のパレットP1の収容凹部4dに、紙コップを重ね合わせたのと同様に、一定の深さまで重ね合わせることができる。このため、角度θを変えるとパレットを重ね合わせた際に増加する高さ(ネスティング高さH)を変えることができ、したがって、角度θを選択することにより必要な深さで能率的な重ね合わせ(ネスティング)をすることができる。この角度θは、板厚t、フォーク差込用空間(フォーククリアランス)6に必要な高さ、ネスティング高さHなどを考慮して決めることになる。
【0051】
(辺脚部)
図1〜
図5に示すように、パレットPの辺であるパレット周縁に沿って配置された辺脚部14は、載置部1からその下面側に延びる3つのパレット外壁を構成しない壁面14aと、一つのパレット外壁を構成する壁面14bと、これらの壁面14a、14bに接続する底面14cとを有している。
【0052】
図7に示すように、このパレット外壁を構成する壁面14bは、底面14cから一定の高さHまで前記脚部の底面14cに垂直に形成され、パレットPの周縁に沿って下面側に突出する脚部14を構成する。
一方、パレットPの上面側は、逆に、この四角錐台の内部を凹部として表裏一体で形成することができるので、下面側に突出した脚部14を形成した結果、載置部1の上面側に開口する収容凹部14dが形成される。
【0053】
このように形成された脚部14のパレット外壁を構成する壁面14b以外の3つの壁面14aは、同一の角度θで上側に向かって開いているので、中央脚部4と同様、重ね合わせができるが、パレット外壁を構成する壁面14bは底面14cに垂直としたため、その高さHの箇所で上下のパレットで干渉が生じ、それ以上の重ね合わせをすることができない。もともと、ネスティングをする際には、パレットの載置部1の厚みTは少なくとも必要になるから、最適なネスティング高さHを設定するためには、ネスティング高さHは厚みTより大きくする必要がある。
この場合、パレット外壁を構成する壁面14bは、載置部1の厚みT、すなわち、載置部1の上面1aと載置部1の下面に設けたリブ1cの最下端部1eとの距離T、がパレット外壁を構成する壁面14bの脚部の底面14cからの高さHより小さくなるようにすればよく、すなわち、
H−T>0 (式1)
とするとよい。このようにすると、辺脚部14において、中央脚部4と同様の重ね合わせ深さ(ネスティング高さH)を確保することができる。このH−Tの値は、ネスティングさせた際の上下のパレットの間隔という意味で本明細書内で「ネスティングクリアランスNC」ということがある。
【0054】
(コーナ脚部)
図1〜
図5に示すように、パレットPのコーナ部(隅部)であるパレット周縁に沿って配置されたコーナ脚部24は、載置部1からその下面側に延びる2つの隣り合うパレット外壁を構成しない壁面24aと、パレット外壁を構成する2つの隣り合う壁面24bと、これらの壁面24a、24bに接続する底面24cとを有している。
【0055】
図7に示すように、このパレット外壁を構成する壁面24bは、前述の辺脚部14と同様に、脚部の底面24cから一定の高さHまで前記脚部の底面24cに垂直に形成され、パレットPのコーナ部で下面側に突出する脚部24を構成する。
一方、パレットPの上面側は、逆に、この四角錐台の内部を凹部として表裏一体で形成することができるので、中央脚部4および辺脚部14と同様に、下面側に突出する脚部24を形成した結果、載置部1の上面側に開口する収容凹部24dが形成される。
【0056】
このように形成された脚部24のパレット外壁を構成する壁面24b以外の2つの壁面24aは、同一の角度θで上側に向かって開いているので、中央脚部4と同様、重ね合わせができるが、パレット外壁を構成する他の2つの壁面24bは底面24cに垂直であるため、辺脚部14と同様、その高さHの箇所で上下のパレットで干渉が生じ、それ以上の重ね合わせをすることができない。この事情は、辺脚部14と同じであるため、必要な重ね合わせ深さ(ネスティング高さH)まで重ね合わせすることができるよう、パレット外壁を構成する壁面24bは、載置部1の上面と載置部1の下面に設けたリブ1cの最下端部1eとの距離Tがパレット外壁を構成する壁面24bの脚部の底面24cからの高さHより小さくなるよう、(式1)と同様の関係になるようにすればよい。このようにすると、コーナ脚部24においても、辺脚部14と同一の重ね合わせ深さ(ネスティング高さH)が確保できる。
【0057】
このように、パレットの中央部、辺部、コーナ部における各脚部4,14,24の重ね合わせ角度θを同一に決定することにより、
図6に示すようにネスティング高さHを最適にすることができ、効率的にネスティングすることができる。
本実施形態の場合、パレットの大きさは1130×1130mm、パレットの高さhは135mm、θ=96.3°として、1枚ネスティングしたときに増加する高さ(ネスティング高さH)は50mmとすることができた。
【0058】
図9に、本実施形態のパレットPをパレットP1からパレットP20まで20段にわたって重ねた状態を示す。パレットの高さhは135mmで、ネスティング高さは50mmであるため、ネスティングができないと、135mm×20段=2700mmの高さになるところ、ネスティングが可能な構造としたために、135mm+50mm×19段=1085mmとなり、40%(1085/2700=0.40)に嵩を減少させることができた。なお、フォーク差込用空間6は、88mm、フォーク挿入用空間6aは、6mmである。
【0059】
(突出部&脚凹部リブ)
図1〜4に示すように、収容凹部4d、14d、24dの内部に、収容凹部4d、14d、24dの底面から載置部1の上面(載置面1a)と同一の高さまで重ね合わせ角度θで窄まりながら突出する突出部5がそれぞれ設けられている。突出部5は、脚部4、14、24の剛性を高めるとともに、収容凹部4d、14d、24dにより減少した載置面1aの実質的な面積を補填している。
突出部5は、脚部底面4c、14c、24cからその上側に延びる壁面5aとこれらに接続する蓋面5bとで構成され、載置部1の下面側に開口する脚凹部5dをその内部に形成する。脚凹部5d内に脚凹部リブ5eが設けられている。脚凹部リブ5eは、突出部蓋面5bから一体的に垂直にパレット下面方向に延びて形成され、突出部壁面5aに接続されている。脚凹部リブ5eの高さは、突出部載置面5cから脚凹部リブ5eの最下端5fまでの長さが前述のネスティング高さHと同一に形成され、パレットPをネスティングさせた際に下側のパレットの突出部載置面5cと上側のパレットの脚凹部リブ5eの最下端5fが当接するようになっている(
図5、7)。
このため、ネスティングをさせた際、脚部14、24において上下のパレットの外壁を構成する壁面14b、24bの上端部と下端部が当接するのみならず、脚凹部リブ5eの最下端5fが下側のパレットの突出部蓋面5bに当接し、また、脚部4においても、脚部14,24と同様に、脚凹部リブ5eの最下端5fが下側のパレットの突出部蓋面5bに当接する。このため、上側のパレットの荷重がこれらの当接箇所に平均的に分散されるので、パレット内に不要な応力が働かず、これに伴う変形を防止できる。
【0060】
(ガイド溝)
前述のようにスリーブSをパレットPの載置面1aに立てる際に、スリーブSを支持するとともにスリーブSの位置決めをするガイド溝7が載置部1の上面の外周縁に沿って設けられている(
図1、2、7参照)。
このガイド溝7は、
図7、
図13に示すように、載置部1の外周縁に沿って設けられた外壁部7aとこれに対向する内壁部7bとこれらを接続する溝底部7cとを備えて上方に開口を有している。脚部14,24のある箇所は、それぞれパレットの外壁を構成する壁面14b、24bの高さが、載置面1より低いため、ガイド溝7はない。本実施形態では、パレットPの各脚部14,24の間に2カ所ずつガイド溝7が設けられている。ガイド溝7の外壁部7aは、パレットPの周縁に沿った方向である左右の両端部の高さが載置面1aの高さより高くなっており、その中央部7a1の高さが載置面1aより低くなっている。外壁部7aの左右両端部の最上端7fの載置面1aからの高さWHは、載置部1の厚さTからパレット外壁を構成する壁面24bの高さHを引いた値(ネスティングクリアランスNC=H−T)より小さい値とした。このため、ネスティングさせた際も、外壁部7aにおいて上下のパレットが干渉することを防止できる。
【0061】
また、
図7に示すように、内壁部7bは、載置部の上面1aとの接続部分に傾斜面7dを有している。このため、ガイド溝7の開口が溝底部7cより拡げられている。
したがって、スリーブSをガイド溝7に立てる際に、スリーブSがガイド溝7の底溝部7cに入れやすくなるので、コンテナCを組み立てる際の作業性が改善する。傾斜面7dは、曲面であっても複数の斜面を組み合わせたものでもよい。
【0062】
(フォーク挿入口)
図1、
図13に示すように、外壁部7aはパレットPの各側面において辺脚部14およびコーナ脚部24の間に計2か所設けられており、辺脚部14およびコーナ脚部24のパレット外壁を構成する壁面14b、24bと連なっている。この外壁部7aは、パレットPがコンテナとして組み立てられるときにスリーブSをガイドするガイド溝7を構成するものであるとともに、パレットPをネスティングさせたときに、任意の箇所でフォークリフトの爪が挿入しやすくなるように形成されている。すなわち、
図13に示すように、外壁部7aの両端部は載置面1より高くなるように形成され、これらに挟まれた外壁部7aの中央部は載置面1aより低くなるように形成されている。詳細には、外壁部7aの中央部上端7a1の位置は、載置面1aより低い位置になるように形成されているのみならず、内壁部7bと傾斜面7dが接続している接続部7b1の位置より低くなるように形成されている。もっとも、接続部7b1より高くても差し支えない。
また、外壁部下端7gの高さは、載置部1の最下端であるリブ1cの最下端1eより高い位置にある。リブ1cのうち外壁部7aに連なるリブは、外壁部下端7gに接続するように上方に向けて傾斜を有する。併せて、内壁部7bと載置部1の上面との接続する箇所に傾斜面1dが設けられているため、フォークリフトクリアランスNCより、フォーク挿入口6aが拡げられている。
外壁部7aはこのような形状に形成されているため、
図6、
図9に示すように、傾斜面1dとともに、フォーク挿入口6aを形成しており、フォークリフトを用いて任意の箇所からネスティングされたパレットを取り出す際に、ネスティングクリアランスNCより大きい開口のフォーク挿入口6aが確保され、フォークリフトの爪をパレットの間に挿入することが容易になる。より詳細な外壁部7aの形状は、フォークリフトの爪の間隔と大きさに合わせて、決めることができる。
【0063】
(脚部誘導ガイド)
図3および
図4に示すように、脚部14、24は、ネスティングをする際に、パレットが円滑に重なるようガイド片10とこれに対応するガイド片10を収納するガイド片受け部11を備えている。
ガイド片10は、収容凹部14d、24d内のパレット外壁を構成しない壁面14a、24aの上に底面14c、24cから載置部の上面1aと同一の高さまで重ね合わせ角度θで窄まる台形状の凸片として形成されている。ガイド片受け部11は、ガイド片10が設けられたパレット外壁を構成しない壁面4aにおいて表裏の関係で設けられた凹状部である。
このように設けられているため、ネスティングの際に、下側のパレットのガイド片受け部11に上側のパレットのガイド片10が受けられてガイドされる。したがって、円滑にパレットを重ねることができる。
【0064】
(コンテナ)
図10に示すように、組立式コンテナAとして用いられる際は、運搬物を囲むようにパレットP上にスリーブSを立てて設ける。スリーブは、パレットP上のガイド溝7に差し込まれて、スリーブSの設置位置が決められる。スリーブSの上側に形成された開口SaをキャップCで閉止して、コンテナとして組み立てられる。
【0065】
(載置面カバー)
パレットPの載置面1aには、上記のように凹部4d、14d、24dが形成されているため、運搬物を載置する際に載置面1a全体を覆うシート状のカバー(不図示)を設けてもよい。このようなカバーを置いて凹部を覆うと、運搬物をパレットP上に載置する際など運搬物を載置面1a上で載置面1aに沿って移動する際に凹凸が吸収され、凹部4d、14d、24dに引っかかることが防止できる。また、カバーについて、適切な材料を採用し適切な表面状態とすることで、滑り止めとすることもできる。
【0066】
(スリーブ)
立てられたスリーブSはコンテナAの側壁を構成する。
図10に示すように、スリーブSの下端Saは、パレットPの形状に沿って形成される。すなわち、スリーブSの下端Saは、スリーブSがパレットPのガイド溝7に差し込まれた際に、パレットの辺脚部14およびコーナ脚部24では収容凹部14d、24dの底面に当接するように形成される。この場合、スリーブ下端Saの形状は、なるべく接触面積が多くなるように底面の形状に沿うものであることが望ましい。
【0067】
このように形成されてパレットP上に組み立てられたスリーブSは、パレットPの周縁上に垂直に立てられて辺脚部14およびコーナー脚部24の底面にスリーブ下端Saが当接するので、
図11に示すように段積みをされた場合であっても、上下のスリーブS1、S2がキャップC1および脚部14(24)を介して上下に直線状に並ぶ。このため、組立式コンテナA1の部材に不要な曲げモーメントが働くことはない。したがって、段積みの際に耐久性の高いコンテナを提供することができる。
なお、パレットP上にスリーブSを立てる際、スリーブSをパレットPに留める留め具(不図示)を用いてもよい。また、キャップCをかぶせる場合にキャップCを留める留め具を用いてもよい。このように留め具を用いると、スリーブSを確実にパレットPに留めることができ、また、キャップCも同様にスリーブSに確実に留めることができる。留め具は脱着可能であると、コンテナAを分解する際にコンテナAを構成する部材の分別に便利である。
【0068】
図11を用いて、段積みをされた場合に上下のスリーブが脚部およびキャップを介して直線状に並ぶことの利点をさらに詳しく説明する。
図11は、本実施形態の組立式コンテナAを2段積みした場合の概略要部断面(
図7と同じ断面)であり、従来の組立式コンテナとの違いを示している。
コンテナAを段積みした場合に伝達される荷重を考える。コンテナが下から、コンテナA1、コンテナA2、コンテナA3、…、コンテナAnまで段積みされ、
図11は下から2つのコンテナA1、A2について示しているものとする。コンテナA1が受ける荷重は、コンテナA2が寄与するものとコンテナA2より上に積まれているコンテナA3、…、Anが寄与するものとに分けられる。
【0069】
まず、コンテナA2が寄与するものを考えると、コンテナA2自体の自重とコンテナA2の運搬物の重量が支配的である。これらはコンテナA2の脚部14(24)を通して下側のコンテナA1に伝達される。本実施形態の場合、載置部1周縁に配した脚部14(24)の底面14C(24C)は、下側のコンテナA1のキャップC1の厚みを介して下側のコンテナA1のスリーブS1上に乗っている。このため、コンテナA2が寄与する荷重は、コンテナA2の脚部底面14C(24C)および下側コンテナのキャップC1などの部材を介してスリーブS1に直線的に伝達され、下側のコンテナA1に不要なモーメント荷重が発生しない。
【0070】
次に、コンテナA2に積まれているコンテナA3、…、Anの寄与するものは、コンテナA2のスリーブS2を介してコンテナA1に伝達される荷重である。
図11を参照すると、上側のコンテナA2は下側のコンテナA1の上に積まれている。上側のコンテナA2の脚部14(24)において、上側のコンテナA2のスリーブS2の下端部は脚部14(24)の底面14C(24C)まで延びて当接している。そして、スリーブS2は、脚部底面14C(24C)と下側のコンテナA1のキャップの厚みを介してスリーブS1に対し垂直方向に直線的な位置関係になっている。したがって、スリーブS2からスリーブS1が受ける荷重、すなわち、スリーブS2を介して伝えられるコンテナA2より上に段積みされたコンテナA3、…、Anの荷重は、上側コンテナA2の脚部底面14C(24C)および下側コンテナA1のキャップC1などの部材を介するものの、スリーブS1に直線的に伝達され、下側のコンテナA1に不要なモーメント荷重が発生しない。
【0071】
したがって、いずれの場合も下側のコンテナA1に不要なモーメント荷重が発生しない。
以上のように、本実施形態のコンテナAを段積みした場合、ネスティング可能な構造を保持しながら上側の脚部底面14c、24cが下側のスリーブS1の上に乗るように配置され、上側のスリーブS2と下側のスリーブS1は上下に直線的になるように配置されている。このため、下側のコンテナA1に不要なモーメント荷重が発生しない。したがって、ネスティングを前提としたテーパ状の脚部を有するパレットを用いたコンテナを段積みする際に発生する不具合(
図12参照)は解消できる。特に、3段以上の多段積みをする場合は、本実施形態の利点は明らかであろう。
【0072】
(積載効率改善状況)
さらに、本実施形態のコンテナAについて積載効率を犠牲にしていない点について説明する。
図11において積載効率を犠牲にした従来例を2点鎖線で示している。このようにパレット外壁を構成する側壁をテーパ状にして上下のスリーブが直線的になるような構造をとるとすると、ネスティングは可能になるが、コンテナの外周にわたり水平方向外側にΔdだけはみ出すことになる。この部分を本例のパレットで計算してみると、1130mm、Δd=14.6mm(θ=96.3°)であるので、
(1130×1130)/(1130+14.6×2)×(1130+14.6×2)
=0.957
となる。
したがって、本例のパレットPは、このような従来例に比べ、約4.3%占有面積を小さくすることができ、積載効率が改善したといえる。また、コンテナ船などでコンテナを運搬する場合は、わずかの違いであっても1列分多く並べられるようになる場合もあるため、実質的には、さらに積載率は改善されることが見込まれる。
【課題】ネスティング効率がよく、フォークリフトで取り扱いがしやすく、コンテナとして組み立てた際にコンテナの積載効率がよく、コンテナとして段積みした時のコンテナの耐久性を高くすることのできるパレットを提供する。
【解決手段】各脚部4、14、24は、壁面4a、14a、14b、24a、24bと前記壁面に接続する底面4c、14c、24cとを備えて、前記壁面のうち、パレット外壁を構成しない壁面4a、14a、24aは、前記底面4c、14c、24cと一定の重ね合わせ角度θをなして前記底面に向かって窄まるように延びて形成され、パレット外壁を構成する壁面14b、24bは、前記底面14c、24cから垂直に一定高さHまで延びて形成され、載置部1の厚さTは、前記パレット外壁を構成する壁面の高さHより小さく(T<H)なるように構成されている。