特許第5721116号(P5721116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721116
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】電気部品
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
   H01R13/631
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-525324(P2013-525324)
(86)(22)【出願日】2011年8月30日
(65)【公表番号】特表2013-536972(P2013-536972A)
(43)【公表日】2013年9月26日
(86)【国際出願番号】EP2011064902
(87)【国際公開番号】WO2012028612
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2013年3月18日
(31)【優先権主張番号】102010035868.1
(32)【優先日】2010年8月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594070612
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Phoenix Contact GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クローム、カーステン
(72)【発明者】
【氏名】タンカー、マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】アンダーセン、ジェンズ
(72)【発明者】
【氏名】フェルドナー、ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】フューラー、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】フランケ、ジェンズ
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−267019(JP,A)
【文献】 特開平07−267020(JP,A)
【文献】 特開平06−005349(JP,A)
【文献】 特開平09−130067(JP,A)
【文献】 特開2009−163990(JP,A)
【文献】 特開平07−211388(JP,A)
【文献】 米国特許第06431902(US,B1)
【文献】 米国特許第03521216(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 3/00 − 43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、少なくとも1つのプラグコンタクトとを備える電気部品であって、
前記プラグコンタクトは、コンタクトマウント上に浮いた状態で保持されており、
前記コンタクトマウントは、前記筐体上に浮いた状態で保持されており、
前記プラグコンタクトは、前記コンタクトマウントに対して横方向および縦方向の両方に調整することができる
電気部品。
【請求項2】
前記筐体上に前記コンタクトマウントを浮いた状態で保持するべく、少なくとも1つの補償デバイスが設けられている請求項1に記載の電気部品。
【請求項3】
前記補償デバイスは、前記筐体に取り付けられており、
前記コンタクトマウントは、前記補償デバイス上に保持されている請求項2に記載の電気部品。
【請求項4】
前記補償デバイスは、前記コンタクトマウントの開口に設けられている少なくとも1つのセンタリングコーンを有する請求項2または3に記載の電気部品。
【請求項5】
前記センタリングコーンは、前記センタリングコーンによって前記コンタクトマウントの角度および横方向の配向を決定できるように、前記開口において前記コンタクトマウントを保持する請求項4に記載の電気部品。
【請求項6】
一方の側において、前記開口に前記センタリングコーンが設けられており、他方の側において、円板が設けられている請求項4または5に記載の電気部品。
【請求項7】
前記補償デバイスを基本位置にプリロードするべく、少なくとも1つのプリロードデバイスが設けられている請求項2から6のいずれか一項に記載の電気部品。
【請求項8】
前記電気部品を別の部品に接続する際に当該電気部品を誘導するための少なくとも1つの細長い誘導ピンを備え、
前記誘導ピンは、長手方向を横断するように、少なくとも1つの環状拡大外囲体を持つ請求項1に記載の電気部品。
【請求項9】
前記誘導ピンは、管状の形状を持ち、および/または、先端部が円すい形状である請求項8に記載の電気部品。
【請求項10】
前記環状拡大外囲体は、環状またはリング形状の外囲体を形成する複数の別箇の外向きに突出した突起部によって形成されている請求項8または9に記載の電気部品。
【請求項11】
2以上の環状拡大外囲体は、互いに離間して設けられており、少なくとも一の誘導ピンに設けられている請求項8から10のうちいずれか一項に記載の電気部品。
【請求項12】
前記誘導ピンは、前記環状拡大外囲体が設けられている箇所において、外径が10%未満増加している請求項8から11のいずれか一項に記載の電気部品。
【請求項13】
少なくとも1つの誘導ピンは、先端部が円すい形状または丸みを帯びた形状である請求項8から12のいずれか一項に記載の電気部品。
【請求項14】
前記電気部品は、接続筐体及び一の張力緩和装置有する接続プラグを備え、
前記接続筐体は、基礎本体と、コンタクト本体とを有し、
前記張力緩和装置は、前記基礎本体に埋設されている張力緩和部であって、一端側が前記コンタクト本体によって前記基礎本体内においてインターロックされ固定され、他端側がケーブル結合部に接続される張力緩和部を含む請求項1に記載の電気部品。
【請求項15】
前記張力緩和部は、長尺状の金属シート部を含む請求項14に記載の電気部品。
【請求項16】
前記基礎本体上に設けられている少なくとも1つの保持用留め金が、前記張力緩和部の一の開口と係合する請求項14または15に記載の電気部品。
【請求項17】
前記基礎本体は、中空である請求項14から16のいずれか一項に記載の電気部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体と、少なくとも1つのプラグコンタクトとを備える電気部品に関する。このような電気部品は、例えば、交換可能な電池パックまたは蓄電池パックを構成するとしてよい。
【背景技術】
【0002】
先行技術では、例えば、電気自動車、フォークリフト、バスまたは固定式の機械およびデバイス等で用いられる電池パックおよび/または蓄電池パックが公知である。所定の動作時間または駆動時間が経過すると、このような蓄電池パックは充電する必要がある。中断することなく動作させるためには、蓄電池パックを交換して離れた充電ステーションで充電するとしてよい。この間、車両等のデバイスは、別の蓄電池パックで動作し続けることができる。
【0003】
このような蓄電池パックを、例えば、バス等のデバイスで利用するべく充電する際、短時間で充電を完了させ早く動作を再開させるべく、高い充電電流を印加するのが一般的である。このため、このような蓄電池パックは、最高で400アンペア以上の電流で充電され、安全上の理由から、例えば、500アンペア以上での動作に耐える強度を実現できるような構成を持つ。境界抵抗が低い場合であっても、このような高電流が印加されると、熱負荷が非常に大きくなり、接触面が大きく摩耗または分断する可能性がある。多くの場合、このような接触面は、平坦なコンタクトとして形成され、充電ステーションにおいて接触性を出来る限り良好にするべく、対応する充電コンタクトに対して出来る限り平行に押し込まれる。
【0004】
しかし、例えば、電池パックをフォークリフトを用いてバスから取り外して、電池パックをフォークリフトで充電ステーションに持っていく場合、ミリメートル単位の正確さで操作することが難しく、電池パックを接続するためにはフォークリフトの操作者には非常に高精度の駆動スキルが求められる。蓄電池パックを充電ステーションに移動させている間に角度がずれると、境界抵抗が劣化し、摩耗および切断が大きくなるとともに加速される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、本発明は、接触性が改善されると同時に接続が容易になる電気部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載した特徴を持つ電気部品、および、請求項7に記載した特徴を持つ電気部品によって実現される。その他の好ましい実施形態に係る電気部品は、従属項に記載されている。本発明のその他の利点および特徴は、実施形態例から理解されるであろう。
【0007】
本発明に係る電気部品は、筐体と、少なくとも1つのプラグコンタクトとを備える。この場合、プラグコンタクトは、コンタクトマウント上に浮いた状態で保持され、コンタクトマウントは、筐体上に浮いた状態で保持される。特に、複数のプラグコンタクトは、コンタクトマウント上に浮いた状態で設けられている。
【0008】
本発明に係る電気部品には多くの利点がある。本発明に係る電気部品の大きな利点としては、二重浮遊実装が挙げられる。まず、コンタクトおよび/またはプラグコンタクトは、コンタクトマウント上に浮いた状態で設けられている。コンタクトマウントは、例えば、プレート状に形成され、プラグコンタクト用のマウントとして機能するとしてよい。そして、上にプラグコンタクトが設けられているコンタクトマウント全体が、浮いた状態で実装されている。
【0009】
これによって、コンタクトマウントを浮遊実装することにより、例えば、コンタクトマウントの粗調整が可能になり、さらに、各プラグコンタクトが、自身が浮いた状態で実装されているので、例えば、少なくなった残りの誤差を相殺するとしてよい。このようにして、接触性が非常に信頼性の高いものとなり、発生する境界抵抗は大きく低減されることとなる。損失が少なくなり、耐久性が高くなるとしてよい。利用可能な寿命が長くなるので、メンテナンスおよび組立時に必要な労力が少なくなり、総合的に見て、電気部品の動作が改善される。
【0010】
別の好ましい実施形態によると、コンタクトマウントを浮いた状態で保持するべく、少なくとも1つの補償デバイスが設けられている。補償デバイスは特に、横方向の調整および/または、さらに、角度の調整を実行する。コンタクトマウントの角度を調整することによって、特に有用性の高い電気部品が提供される。この場合、別の電気部品に接続される電気部品は、接続する際に必要な角度精度が低くなる。これによって、このような電気部品を電池パックに設ける際、または、電池パックとして設ける際の動作が大幅に容易になる。例えば、電池パックとして実現されている電気部品がフォークリフトによって充電ステーションに運ばれてくる場合、筐体に対して、つまり、電池パック全体に対してコンタクトマウントを角度を持たせて配向することが可能となるので、必要な駆動精度は大幅に低くなる。さらに、横方向および縦方向に浮いた状態で実装することにより、横方向および縦方向にジグザグに配置することが可能になる。
【0011】
補償デバイスまたは少なくとも1つの補償デバイスは、筐体上に特に強固に実装することが好ましい。コンタクトマウントは、補償デバイス上に保持されることが好ましい。このため、コンタクトマウントは、補償デバイスを介して、浮いた状態で保持される。
【0012】
補償デバイスは、コンタクトマウントの開口に配置される少なくとも1つのセンタリングコーンを備えることが有益である。具体的には、センタリングコーンは、当該コーンによってコンタクトマウントの角度方向および横方向の配向を決定できるように、開口においてコンタクトマウントを保持する。この場合、コンタクトマウントの開口は、孔または溝等の形状を持つように形成することができる。センタリングコーンは、コンタクトマウントの両側に設けることが可能である。しかし、コンタクトマウントの一方の側においてセンタリングコーンを設け、コンタクトマウントの他方の側に円板を設けることも好ましい。この場合、コンタクトマウントは、センタリングコーンと円板との間に安全に設けられる。
【0013】
補償デバイスは、基本位置においてプリロードを行う一のプリロード装置を有することが有益である。具体的には、プリロード装置は、バネとして実現されており、最低でも一のバネを含む。例えば、コイルバネは、センタリングコーンをコンタクトマウントの開口の方向に向かって押すとしてよい。
【0014】
本発明に係る別の電気部品は、筐体と、少なくとも1つのプラグコンタクトとを備える。少なくとも1つの細長い誘導ピンは、電気部品を別の電気部品に接続する際に電気部品を誘導するために設けられている。
【0015】
誘導ピンでは、少なくとも1つの環状拡大外囲体が長手方向に対して角度を持って設けられている。
【0016】
本発明に係るこの電気部品にも多くの利点がある。本発明に係るこの電気部品が持つ特に重要な利点として、環状拡大外囲体が挙げられる。センタリングピンは、全長にわたっては拡大外囲体を有しておらず、1以上の箇所においてのみ有している。このため、接触時に別の電気部品のブッシュまたは誘導ブッシュに誘導される誘導ピンは、環状拡大外囲体の位置では誤差が少なくなる。
【0017】
環状拡大外囲体が誘導ブッシュおよび/またはブッシュに到達する前には、大きな誤差があるが、外囲体がブッシュに到達すると大幅に減少するので、信頼性および精度の高い接続が可能となる。
【0018】
実施形態およびその条件に応じて、誘導ピンの外径はさまざまであるとしてよい。例えば、電気部品が、重量が50kg、100kg、150kgまたは200kg以上になる電池パックと共に利用される場合、外径は、10mmを超える値とすることが好ましく、特に15mmが好ましく、または、外径として20mmが好ましい。これより大きい25mm、30mm、40mmまたは50mmといった外径も可能である。電気部品の重量が特定の値である場合、安全に誘導動作を実行するべく、誘導ピンにも対応する安定性が求められる。
【0019】
しかし、重量および電気部品のセンタリングに必要な力が小さくなると、外径は非常に小さくなり、例えば、5mmまたは2mmまたはこれよりも小さい外径となり、誘導ピンは、例えば、リードピンとも呼ばれるとしてよい。
【0020】
全ての実施形態において、誘導ピンの形状は、管状または円筒形状であることが好ましい。特に、先端部が円すい形状または同様の形状を持つことが好ましい。先端部は、丸みを帯びた形状にするとしてもよいし、階段状であるとしてもよい。
【0021】
環状拡大外囲体は、壁形状の肥厚部等であることが好ましい。しかし、環状拡大外囲体は、外周から外向きに突出して環状またはリング形状の外囲体を全体として形成する複数の別箇の突起部によって形成されるとしてもよい。
【0022】
少なくとも1つの誘導ピンに、2以上の環状拡大外囲体を互いに離間させて設けることが有益である。この場合、環状拡大外囲体同士の距離は、所定距離を保つことが好ましい。
【0023】
全ての実施形態において、2以上の誘導ピンが設けられている。
【0024】
誘導ピンは、環状拡大外囲体がある箇所において、外径が10%未満大きくなっていることが好ましい。外径の差分は、10%未満であることが好ましく、特に5%未満であることが好ましい。外径の差分は、2%未満であることが好ましく、外径の差分は特に、0.03%と1.5%との間の範囲内にあることが好ましい。例えば、外径が20mmから25mmである場合、環状拡大外囲体がある箇所での外径は、0.1mmから3mmだけ大きくなっているとしてよい。このため、通常の外囲体から0.1mmから3mmの範囲で電気部品を調整することができる。環状拡大外囲体がブッシュおよび/または誘導ブッシュに到達すると、誤差は大幅に小さくなるので、電気部品の配向が何度も改善される。
【0025】
全ての実施形態において、少なくとも1つの誘導ピンは、先端部が円すい状になっているか、または、丸みを帯びている。特に、誘導ピンは、全長にわたって、実質的に丸いか、丸みを帯びている形状を持っていることが好ましく、または、断面が丸いことが好ましい。
【0026】
別の側面によると、本発明は、実装が容易な信頼性の高い張力緩和装置を持つ接続プラグを提供することを目的とする。
【0027】
この目的は、請求項13に記載した特徴を持つ接続プラグによって実現される。更なる好ましい実施形態および実施例は、従属項に記載されている。
【0028】
本発明に係る接続プラグは、接続筐体と、少なくとも1つのコンタクトプラグと、少なくとも1つの張力緩和装置とを備える。この場合、接続筐体は、基礎本体と、コンタクト本体とを有する。張力緩和装置は、基礎本体に埋設されている張力緩和部であって、コンタクト本体を用いて、基礎本体においてインターロックされ固定されている張力緩和部を含む。
【0029】
本発明に係る接続プラグもまた、多くの利点を持つ。本発明に係る接続プラグの利点のうち特別なものとしては、実装が容易である点と、操作が安全に行える点が挙げられる。張力緩和部を基礎本体に埋設した後、コンタクト本体を基礎本体に組み込むことによって、コンタクト本体のおかげで、基礎本体から張力緩和部が取り外されないようになる。コンタクト本体により基礎本体内にインターロックされ固定されるので、張力緩和部は、高い信頼性を得る。
【0030】
張力緩和部は、長尺状の金属シート部であることが好ましい。このような長尺状の金属シート部は特に、製造が簡単で、本発明に係る好ましい実施例では破棄部分がわずかに過ぎない。
【0031】
少なくとも1つの保持用留め金は、張力緩和部の開口に係合し、インターロック接続を実現するという利点を持つ。この場合、張力緩和部は、接続を実現するべく、基礎本体内に組み込まれるとしてよい。保持用留め金は、周縁部に対して配置されるので、張力緩和部の開口を通して誘導される。この後でコンタクト本体を基礎本体内に組み込むことによって、張力緩和部が回転することはなくなり、基礎本体から取り外されることが無くなるので、接続プラグから取り外されることもない。
【0032】
特に好ましい実施形態によると、基礎本体は、張力緩和部およびコンタクト本体を収容するべく中空である。
【0033】
全ての実施形態では、コンタクト本体上に複数の別箇のコンタクトが設けられている。この場合、コンタクトは、データの送信および/または出力の送信のために設けられているとしてよい。
【0034】
本発明に係る電気部品は、複数のプラグコンタクトと、少なくとも1つの接続プラグをその範囲に含むことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明のさらなる利点および特徴は、添付図面を参照しつつ以下で説明する実施形態例の説明から明らかになる。図面は以下の通りである。
図1】電気部品として蓄電池パックを備える車両を示す非常に簡略化された図である。
図2】本発明に係る電気部品を示す斜視図である。
図3】別の電気部品を示す斜視図である。
図4図2に示す電気部品の基本位置での様子を示す上面図である。
図5図2に示す電気部品の回転位置での様子を示す上面図である。
図6】電気部品の誘導ピンを示す概略図である。
図7図4のAA線に沿った断面図である。
図8】本発明に係る接続プラグを示す分解図である。
図9図8に係る接続プラグを示す側面図である。
図10図8に係る接続プラグを示す上面図である。
図11図9に係る接続プラグの張力緩和部を示す概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、添付した図1から図11を参照しつつ、本発明の実施形態例を説明する。
【0037】
図1は、車両70と、充電ステーション60とを示す、非常に簡略化した図である。車両70は、車両70に交換可能に設けられている電池パック50を有する。可能であれば、幾つかの電池パック50を車両に設けているとしてよい。
【0038】
ここで、電池パック50は、筐体2と、コンタクトマウント7上に設けられているプラグコンタクト3とを有する電気部品1である。
【0039】
本発明に係る電気部品1は、車両で利用することに加えて、固定デバイスまたは車両以外のモバイルデバイス、または、設備での利用も可能である。
【0040】
実施形態例によると、電気部品1としての電池パック50は、重量が100kg、150kgまたは200kgと大きいとしてよい。電池パック50を交換するためには、電池パック50を車両70から取り外して充電ステーション60に運搬するフォークリフト(不図示)を利用するとしてよい。充電ステーション60は、例えば、棚のような構造として実現されるとしてよく、電池パック50用のさまざまな充電位置を持つ。
【0041】
フォークリフトまたはコンベヤベルトまたは輸送ベルトまたは同様のデバイスによって、電池パック50を空いている充電位置へと輸送して、電池パック50をプラグコンタクト3−6を用いて充電ステーション60に接続する。
【0042】
このため、電気部品1は、充電ステーション60に確実に接続される。これは、電気部品1の筐体2上にコンタクトマウント7を設けてその上にプラグコンタクト3−6が設けられるという二重浮遊構造によって、保証される。
【0043】
図2は、電気部品1の接続領域を示す図である。プラグコンタクト3および5は、直流の場合、陽極または陰極として機能し、プラグコンタクト4は、PEコンタクトとして機能することが好ましい。また、プラグコンタクトを追加することも可能である。本実施形態例によると、複数の極を持ち、接続プラグ28として実現されている追加のプラグコンタクト6を設ける。
【0044】
筐体2に対向して、プレート形状で実現されているコンタクトマウント7が、実施形態例によると、合計4つの補償デバイス8を用いて浮いた状態で保持される。補償デバイス8は、ネジ14を用いて固く強固に筐体2に接続されている。補償デバイス8の円板13によって、コンタクトマウント7が偶発的に筐体2から外れないようになっている。
【0045】
電気部品1には、ブッシュ39が、誘導ブッシュとして、設けられている。ブッシュ39を用いることで、電気部品1を電気部品1aに接続する際に、電気部品を少なくとも大まかに誘導することができる。
【0046】
電気部品1aは、図3に図示しており、誘導ピン18を有している。この実施形態例では、2つの誘導ピン18が設けられている。また、電気部品1または1aに設ける誘導ピン18は1個のみとするか、または、3個または4個の誘導ピン18を設けることも可能である。
【0047】
電気部品1aもまた、差し込むことで電気部品1の対応するプラグコンタクトと接続されるプラグコンタクト3−6を有する。可能であれば、電気部品1aもまた、電気部品1aの筐体2に対向して浮いた状態で保持されるコンタクトマウント7を有するとしてよい。
【0048】
誘導ピン18は、略全長にわたって管状に形成されており、ここでは3つの環状の肥厚部20が設けられている。それぞれの肥厚部では、外径27がその他の部分の外径26よりも大幅に大きくなっている。誘導ピン18の先端部において、先端部23は、丸みを帯びた形状か、円すい形状か、または、同様の形状を持つとしてよく、このような先端部23によって、ブッシュ39を持つ電気部品1を誘導ピン18の先端部23に滑動可能に設ける場合に、電気部品1は最初に簡単にセンタリングされる。環状の肥厚部20は、外径27と環状の肥厚部20とブッシュ39の内径との間の誤差が小さいので、電気部品1を高精度で繰り返し接触させることが可能となる。
【0049】
外径27は環状の肥厚部20にのみ存在するので、電気部品1が接触時に傾斜することが無くなる。このため、実装の際に必要となる力は小さいままである。
【0050】
図4は、筐体2が基本位置16にある場合の、電気部品1の接触領域を示す上面図である。基本位置16において、コンタクトマウントは筐体2に対して静止位置にある。これは、補償デバイス8がずれていないことを意味する。
【0051】
プラグコンタクト3、4、5および6はそれぞれ、コンタクトマウント7に対して浮いた状態で配置される。少なくとも一の方向、本実施形態では、横方向および縦方向の両方において、コンタクトマウント7に対してプラグコンタクト3−6をある程度調整することができる。上述したように調整できる範囲は、例えば、0.1mmと0.5mmとの間の範囲内であるとしてよい。このため、誘導ピン18によってコンタクトマウント7の配向を決定した後であっても、プラグコンタクト3−6をそれぞれ正確に調整することが可能であり、接触時に非常に大きな力で実装しなくてもよい。しかし、コンタクトマウント7は、数ミリメートルずらすことが好ましいとしてよい。
【0052】
図5は、コンタクトマウント7が静止位置16に対してずれた、ずれ位置17を示す図である。この場合、最高で例えば5mmとなる距離38だけ、縦方向および横方向の両方に調整を行った。他の具体的な実施形態によると、調整のための移動は、これより小さくしてもよいし、および/または、大きくするとしてもよい。
【0053】
図6は、環状外囲体20および25を持つ誘導ピン18を示す概略側面図である。
【0054】
この場合、このような外囲体20および/または25は、環状肥厚部によって形成されるとしてよいが、断面形状で概略的に図示している円周に沿って分散して設けられる複数の別箇の突起部24によって形成されるとしてもよい。重要な点は、環状拡大外囲体20および25がある位置では、例えば、誘導ピン18の実際の外面の外径26より0.1mmから0.5mm大きい拡大外径27が見られる。誘導ピン18の長手方向19において、所定の距離を空けて、環状拡大外囲体20および/または25が設けられている。
【0055】
具体的には、最初の、または、環状拡大外囲体20および/または25は、プラグコンタクト3−6を簡単に接触させることができるように設けられている。プラグコンタクトが接触を確立すると、環状拡大外囲体20および/または25は、ブッシュ39において、より密接に嵌合するようになる。
【0056】
図7は、図5のA−A線に沿った断面図である。同図では、コンタクトマウント7が横方向に距離38だけ移動して、図7で見られるように、コンタクトマウント7が筐体2に対して角度37だけずれているずれ位置17が図示されている。電気部品1を、例えば、充電ステーション60に接続する際、例えば、1度または5度、または、同様の大きさの角度27で角度方向にずらすことが可能となる。これによって、はるかに柔軟に電気部品1を接触させることが可能となり、特に大型且つ重い電気部品、例えば、電池パック50等の場合には、接触手順を大幅に簡略化することができる。
【0057】
図7から分かるように、各補償デバイス8は、コンタクトマウント7の一方の側11に一のセンタリングコーン9が配置されている。他方の側12には、コンタクトマウント7に形成されている開口10を被覆し、コンタクトマウントをしっかりと筐体2に対して保持している円板13が設けられている。しかし、角度方向および横方向の配向を変更することは可能である。コイルバネとして実現されているプリロード装置15は、補償デバイスを基本位置16にプリロードする機能を持つ。
【0058】
図8は、図1から図7でプラグコンタクト6として図示されていた接続プラグ28を示す図である。接続プラグ28は、複数のプラグコンタクトを挿入するべく、基礎本体31と、コンタクト本体32とを備える。さらに、張力緩和装置30は、張力緩和部33と、基礎本体31上の保持用留め金とを含むものとして提供されている。
【0059】
張力緩和部33は、長尺状の平坦な金属シート部34として実現されており、廃棄分の少ない簡単なスタンピング製造プロセスで製造可能である。
【0060】
張力緩和部33の一端の近くには、開口36が張力緩和部33に設けられている。当該開口36は、基礎本体31の保持用留め金35と協働して、張力緩和部33と、基礎本体31および/またはコンタクト筐体29との間にインターロック接続を形成する。
【0061】
接続プラグ28は、図9の側面図および図10の上面図に図示されている。接続プラグ28は、相対的に大きく図示されている電力出力接続に加えて、複数のデータ接続プラグをさらに有するとしてよい。これによって、電子デバイスまたは小型コンピュータまたはロード装置または同様のものに必要なエネルギーを供給すると同時に生成または処理されたデータを交換することが可能になるとしてよい。
【0062】
実装状態では、保持用留め金35が基礎本体31の内部および/または上部において開口36内に設けられている一方、張力緩和部33の他端が基礎本体31から突出している。他端において、ケーブル結合部または他の構成要素を接続するべく、溝40が設けられているとしてよい。組立時には、開口36を持つ張力緩和部が最初に、接続プラグ28の基礎本体31内に挿入される。この後、開口36が基礎本体31の内部において保持用留め金35に位置決めされ、張力緩和部33は基礎本体31の内壁に載置される。この後、同図には図示していないがコンタクト筐体を持つコンタクト本体32は、中空の基礎本体31内に導入されるとしてよく、コンタクト本体32および張力緩和部33は、基礎本体31においてインターロック方式に挿入される。接続プラグ28を回路基板またはコンタクトマウント7に実装することによって、コンタクト本体32も基礎本体31上に安全に載置できる。
【0063】
要約すると、本発明によれば、電気部品1を、例えば、電池パックまたは蓄電池パック50または他の電気部品として利用することが可能となる。この場合、境界抵抗を低く抑えつつ、接触動作を確実かつ安全に実行することができる。コンタクトマウント7およびプラグコンタクト3−6のそれぞれは浮いた状態で保持されているので、プラグ接続を構築する際の誤差は比較的小さい。このため、接続を形成する際に必要となる実装するための力、および、接続プラグを離す際に必要となる取り外すための力は、大幅に低減されると同時に、コンタクト面の伝導率は高くなる。
【0064】
互いに接触するプラグコンタクトの誤差は、例えば、約1/10mmまたは1/100mmであり、接続を構築する際に選択される誤差はこれよりも大幅に大きく、例えば、横方向の5mm等のずれを補償するとしてよい。
【0065】
プラグコンタクト3から6はそれぞれ、例えば、オーバーサイズの孔に配置されるので、ある程度全ての横方向に移動する。
【0066】
本発明に係る接続プラグは、構造が簡単であり、組立および解体が容易である。このため、組み立て時の労力を減らしつつ信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 接続端末、1 電気部品、2 筐体、3−6 プラグコンタクト、7 コンタクトマウント、8 補償デバイス、9 センタリングコーン、10 開口、11 一方の側、12 他方の側、13 円板、14 ネジ、15 プリロード装置、16 基本位置、17 ずれ位置、18 誘導ピン、19 長手方向、20 環状外囲体、21 円筒部、22 管部、23 先端部、24 突起部、25 環状外囲体、26 外径、27 外径、28 接続プラグ、29 接続筐体、30 張力緩和装置、31 基礎本体、32コンタクト本体、33 張力緩和部、34 長尺状金属シート部、35 保持用留め金、36 開口、37 角度、38 横方向のずれ、39 ブッシュ、40 溝、50 電池パック、60 ロードステーション、70 車両
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