特許第5721117号(P5721117)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5721117ガス流から固体及び/又は液体の粒子を遠心分離するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721117
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】ガス流から固体及び/又は液体の粒子を遠心分離するための装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 45/14 20060101AFI20150430BHJP
   B04B 1/02 20060101ALI20150430BHJP
   B04B 11/02 20060101ALI20150430BHJP
   B04B 7/02 20060101ALI20150430BHJP
   B04B 15/06 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   B01D45/14
   B04B1/02
   B04B11/02
   B04B7/02 Z
   B04B15/06
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-528720(P2013-528720)
(86)(22)【出願日】2011年9月20日
(65)【公表番号】特表2013-537106(P2013-537106A)
(43)【公表日】2013年9月30日
(86)【国際出願番号】EP2011066349
(87)【国際公開番号】WO2012052243
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2013年3月15日
(31)【優先権主張番号】1051092-3
(32)【優先日】2010年10月21日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】504466270
【氏名又は名称】3ナイン アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100121120
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男
(72)【発明者】
【氏名】クラエス インゲ
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル フランゼン
【審査官】 目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許第00534042(GB,B)
【文献】 国際公開第2009/051545(WO,A1)
【文献】 特表2012−516773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D45/00−45/18
B04B1/00−15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上のロータが、前記ロータにおいて分離された粒子の収集チャンバーを定めるステーショナリー筐体に回転自在に備えられ、前記ステーショナリー筐体が、粒子除去を行うガス流のための少なくとも1つの導入口と、前記ステーショナリー筐体にて分離、収集された粒子を排出するための少なくとも1つの粒子導出口とを有する、前記ガス流から固体及び/又は液体の粒子を遠心分離するための装置であって、
それぞれのロータは、内面が前記ロータの軸方向を向いている複数の隣接した円錐状の表面部材を有しており、前記ガスが前記表面部材間のフローギャップを半径内側方向に通過する間に、遠心力により前記ガス流中の前記粒子が前記表面部材上に捕捉可能であり、
それぞれのロータの前記表面部材は、前記ロータの中心部に少なくとも1つの軸状の排出シャフトを定めており、前記排出シャフトは、前記表面部材間の前記フローギャップとつながっており、
浄化されたガスは、それぞれのロータとともに回転し前記装置にガス流を発生させるファンにより、前記排出シャフトから前記ステーショナリー筐体外へと排出可能であり、
前記ファンは前記排出シャフトの排出端に隣接した位置に設けられ、前記ロータの全てのファンは、前記収集チャンバーを定める前記ステーショナリー筐体とは分離され隣接するように配置され前記ロータからの浄化されたガスを共通に排出するためのファンハウジング中に設けられている、装置。
【請求項2】
前記ファンのそれぞれには、前記ロータからの浄化されたガスを排出するためのらせん状カバーがそれぞれ備えられている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記収集チャンバーの中心に前記表面部材を洗い流すためのユニットを備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記導入口中に前記表面部材を洗い流すためのユニットを備える、請求項1又は2に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流から固体及び/又は液体の粒子を遠心分離するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス流から固体及び/又は液体の粒子を分離する際、ロータを備えた分離器が用いられる。この分離器において、ロータは、ステーショナリー(stationary)筐体中に回転自在に取り付けられている。また、ロータは、狭い間隔で配置された複数の円錐板形状の表面部材を備えている。
このようなロータにおいて、ガス流は、表面部材の間を通過できる。そして、粒子は、粒子に働く遠心力により、ロータの中心軸方向を向いている内面上に捕捉され、周囲筐体の内部へと飛ばされ、最終的に少なくとも1つの粒子導出口を介して筐体から排出される。
【0003】
このような遠心分離器を用いて、例えば、1000m/h程度かそれ以上の非常に大きな流量を有するガスから粒子を取り除くためには、非常に大きな遠心分離器を製造するか、又は、上記のような分離器を、複数個並列に設置しなくてはならない。この場合、このような遠心分離機に対する投資や製造コストが非常に高くなる。また、このような遠心分離器は、大面積の設置スペースを必要とする。
【0004】
特許文献1には、2以上の分離ロータが共通の周囲筐体中に設けられた、ガス流から粒子を遠心分離するための装置が開示されている。この装置は、軸周辺の羽根を有するドラム形状の分離ロータを備えている。このような分離ロータの分離能力は、円錐放射形状の表面部材を有するロータよりもはるかに低い。さらに、この装置は、分離ユニットから見て導出パイプの下流側に、外部ファンが設けられている。その結果、ガスの流通やそれぞれのロータの分離能力がより悪くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】英国特許第534042号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、大流量のガスを浄化する遠心分離器の製造コスト及び設置スペースを大幅に減少させること、及び、同時に、それぞれのロータのガスの流通及び分離能力を改善することができる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のため、本発明は、独立クレーム1に示した特徴により特徴付けられている、ガス流から固体及び/又は液体の粒子を遠心分離する装置を提供する。このような、大きな分離能力を有し、カウンターカレント(counter−current)分離方式にて動作する装置は、共通の周囲筐体中に、2又は好ましくはそれ以上のロータを含む。当該ロータは、それ自体は、円錐形状の表面部材を有するロータとして知られているものである。この装置においては、当該装置中を貫通するガス流を発生させ、それぞれのロータと一緒に回転するファンにより、浄化されたガスは筐体から排出される。当該装置では、収集チャンバーを定める筐体とは分離され隣接した、ロータからの浄化されたガスを共通に排出するための共通のファンハウジング中に、ロータのファンが設けられている。
これにより、1台の大規模な遠心分離器、又は、同程度の筐体を有する個別の小規模な遠心分離器を並列に複数設置し、合計して同程度の浄化能力を持たせた遠心分離器と比較して、必要な設置スペースを節約すると同時に、材料を節約し、それにより製造コストを節約できる。さらに、個別のロータのガスの流通及び分離能力も改善される。
本発明のもう1つの有利な点は、基本筐体モジュールを一緒に取り付けることにより、所望の最終サイズ、配置及び分離能力となるように、分離器を簡単に組み立てることができることである。
本発明の装置の他の有利な構造の詳細は、従属クレームに示されている。
【0008】
以下に、本発明について、図を参照しながらさらに詳しく記載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】カウンターカレント(counter−current)分離方式にて動作する本発明の装置の対角断面斜視図
図2図1の装置全体を下から見た斜視図
図3】6個の部分円筒形状の筐体を有する分離器モジュールを組み立てて共通の筐体とした、本発明の装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1において、10は、一般的には、ガス流から固体及び/又は液体の粒子を遠心分離するための本発明の装置の第1実施形態を示す。当該装置は、4個の垂直配置されたロータ12(3個のみが示されている)を備えている。4個の垂直配置されたロータ12は、粒子収集チャンバー15を定める共通のステーショナリー(stationary)筐体14に、回転自在にシーリングされて取り付けられている。ロータ12は、従来どおり、多数の表面部材16により組み上げられている。表面部材16上には、ガス流中の粒子が捕捉される。この場合、円錐板形状の部材は、隣接した円板部材間に狭い半径方向のフローギャップを生ずるように互いに積み重ねられており、上部及び下部エンドプレート(end plate)18及び20間に、クランプ固定(clamp)されている。表面部材16は、それぞれのロータ12の中心部に排出シャフト22を定めている。筐体14の導入口24から吸入された浄化されていないガス流は、表面部材16間のフローギャップを通過して、当該排出シャフト22へと流れ込む。ロータ12と共に回転し、シャフト22の上部排出端と近接して接続されるような位置に配置されたそれぞれのファン26により、浄化されていないガスを筐体14中へ、そしてロータ12のシャフト22へ取り込むことが好ましい。図1に示す実施形態においては、ファン26は、それぞれらせん形状のカバー28中に収容されており、収集チャンバー15を定める筐体14とは分離し隣接して配置され、ロータからのガスを共通して排出するための共通のファンハウジング30に配置されている。浄化されたガスは、場合により、Hepaフィルタのようなフィルタユニットを介して、環境中に排出可能である。図1において、Hepaフィルタ(図示せず)は、ハウジング30を覆い、浄化されたガスが環境中へ排出可能なように、ファンハウジング30上部の内向きフランジ31に備え付けられる。
【0011】
装置を下部から見た様子を示す図2に示されているように、ロータ12は、モータ32のプーリー36、テンションプーリー38、ロータシャフトのプーリー39、及びガイドプーリー40に張られたエンドレスベルト34を介して、電気モータ32により駆動される。図2には、導入口24に接続され、浄化されていないガス流を導入する導入パイプ42、及び、土台上にて当該装置を支持するためのスタンド部材44も示されている。図1及び2において、46は、筐体14のチャンバー15に収集された粒子や浮遊スラリーを排出するための導出口を示している。
【0012】
さらに、装置10は、収集チャンバー15のロータ12の表面部材16を洗浄するための、少なくとも1つのユニット48を備えることが好ましい。ユニット48は、チャンバー15の中心に配置され、それぞれのノズル54をそれぞれのロータ12に向けたノズルユニット52を備えた、液体供給パイプ50を有していてもよい。あるいは、ノズルユニットは筐体14のガス導入口24中に備えられていてもよい。
【0013】
図1に示す実施形態において、本発明の装置10は、共通の筐体14中に4個のロータ12を有している。しかしながら、1台の大規模な遠心分離器、又は、多数の個別の分離器を並列に接続することにより合計して同程度の分離能力を有するようにした分離器と比較して、重量、サイズ、そして製造コストを節約するため、装置は、共通の周囲筐体中により多くのロータを有していてもよい。その場合、筐体に含めるロータ数や型に従って、すなわち、浄化予定のガスの流量(すなわち、所望の分離器の浄化能力)に従って、所望の分離器の最終的なサイズや配置に適応可能な比較的小規模の基本筐体モジュールにより、分離器の最終的な共通の筐体が組み立てられる。そのため、装置10は、同一の筐体に、少なくとも2個、しかし好ましくは数個のロータを有する。よって、モジュールの外部筐体部及び下部をさらに接続し一体化することにより、図1及び2に示す装置10は、例えば、6又は8、さらにより多くのロータを有するように組み立てられていてもよい。
【0014】
図3は、モジュールにより組み立てられた本発明の装置10’の他の実施形態を開示している。ここで、装置10’は6個のロータ(図示せず)を有しており、共通の筐体14’は、6個の組み立てられた部分円筒形状の外壁56により形成されている。場合により、7個目のロータが、6個の外部ロータの間の中心スペースに備えられていてもよい。
【0015】
上記の装置は、以下のように動作する。
【0016】
ロータ17が適切な動作スピードに達すると、ファンハウジング30中のファン26が負圧を生じる。その負圧により、固体及び/又は液体の粒子を含む浄化されていないガスが、導入パイプ42と導入口24を介して、筐体14のチャンバー15内に吸引される。その後、ガスは、表面部材16間の狭いフローギャップを通り、ロータのシャフト22へと、半径内側方向に流れ込む。ガスがフローギャップを半径内側方向に通過する間に、ガス流中の粒子が、粒子に働く遠心力により、ロータの中心軸を向いた表面部材16の内面上にトラップ又は捕捉される。これにより、粒子は凝集体を形成し、凝集体は表面部材の外側面へと滑り落ちる。その後、表面部材の外側面へと滑り落ちた凝集体は、筐体14の内壁へと投げ飛ばされ、粒子導出口46から流出する。
このように、この装置は、カウンターカレント(counter−current)分離方式に従って動作している。なぜなら、ガス流の方向が、適切なロータの回転により生み出されるポンピング(pump)又は流れ方向とは反対だからである。
図1
図2
図3