(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721132
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】真空処理装置用シャワーヘッド・アセンブリ及び真空処理装置用シャワーヘッド・アセンブリを真空処理チャンバに締結する方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20150430BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/302 101L
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-275101(P2010-275101)
(22)【出願日】2010年12月9日
(65)【公開番号】特開2011-137228(P2011-137228A)
(43)【公開日】2011年7月14日
【審査請求日】2013年12月6日
(31)【優先権主張番号】61/285,505
(32)【優先日】2009年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509263179
【氏名又は名称】オルボテック エルティ ソラー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100106389
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100092820
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 勝
(72)【発明者】
【氏名】ブロニガン,ウエンデル トーマス
(72)【発明者】
【氏名】レンタ,マイケル アレン
【審査官】
浅野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−256172(JP,A)
【文献】
特開平06−128750(JP,A)
【文献】
特開2002−045683(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3151364(JP,U)
【文献】
特開2008−078095(JP,A)
【文献】
特開2000−119842(JP,A)
【文献】
特開2005−277074(JP,A)
【文献】
特開平11−323553(JP,A)
【文献】
特開2006−121057(JP,A)
【文献】
特開2001−284271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00〜16/56
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ・ボディと、
前記チャンバ・ボディの上部に結合されるシャワーヘッド・アセンブリと
を含む真空処理チャンバであって、
前記シャワーヘッド・アセンブリは、
前記チャンバ・ボディに堅固に取り付けられたバック・プレートと、
穿孔(perforated)されたシャワーヘッド・プレートと、
前記シャワーヘッド・プレートが前記バック・プレートの主平面に対して摺動するように、前記シャワーヘッド・プレートを前記バック・プレートに摺動可能に締結する複数の締結アセンブリと
を含み、
前記シャワーヘッド・プレートと前記バック・プレートとの間に設けられたOリングを含むガスシールが維持される
ことを特徴とする真空処理チャンバ。
【請求項2】
前記穿孔されたシャワーヘッド・プレートは、その周縁に複数の楕円形孔を有し、
前記複数の締結アセンブリは、前記複数の楕円形孔にそれぞれ挿入される
ことを特徴とする請求項1に記載の真空処理チャンバ。
【請求項3】
前記シャワーヘッド・アセンブリは、前記シャワーヘッド・プレートと前記バック・プレートとの間に設けられたスペーサをさらに含み、それにより、前記シャワーヘッド・プレートと前記バック・プレートとの間に小さい隙間を維持する
ことを特徴とする請求項1に記載の真空処理チャンバ。
【請求項4】
前記シャワーヘッド・プレートは、円形孔と、前記円形孔を貫通して前記シャワーヘッド・プレートを前記バック・プレートに固定的に締結するボルトとをさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の真空処理チャンバ。
【請求項5】
前記複数の楕円形孔のそれぞれは、その長軸が前記シャワーヘッド・プレートの中心から放射状に延びて当該楕円形孔を通る直線に沿って存在するように方向付けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の真空処理チャンバ。
【請求項6】
前記締結アセンブリのそれぞれは、前記締結アセンブリが前記楕円形孔の内部に着座されるときに唯一つの方向付けだけを可能とするキーを有する
ことを特徴とする請求項5に記載の真空処理チャンバ。
【請求項7】
前記締結アセンブリのそれぞれは、玉軸受けアセンブリと、前記玉軸受けアセンブリを貫通するボルトとを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の真空処理チャンバ。
【請求項8】
前記玉軸受けアセンブリは、
楕円形孔を有する挿入部材と、
複数の非円形孔を有する摺動プレートと、
それぞれが前記非円形孔の一つに対して設けられる複数の玉と、
円形の穴を有するカバー・プレートと
を含むことを特徴とする請求項7に記載の真空処理チャンバ。
【請求項9】
前記挿入部材は、前記シャワーヘッド・プレートの前記楕円形孔のうち一つの内部において前記挿入部材を方向付けるキーをさらに有する
ことを特徴とする請求項8に記載の真空処理チャンバ。
【請求項10】
前記挿入部材、前記摺動プレート、前記複数の玉、及び前記カバー・プレートの少なくとも一つがセラミックで形成される
ことを特徴とする請求項8に記載の真空処理チャンバ。
【請求項11】
前記締結アセンブリを覆う覆いプレートをさらに含む
ことを特徴とする請求項7に記載の真空処理チャンバ。
【請求項12】
前記締結アセンブリのそれぞれは、
楕円形孔及び摺動面を有する挿入部材と、
前記摺動面に対面する合わせ面を有するカバー・プレートと、
前記挿入部材及び前記カバー・プレートを貫通するボルトと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の真空処理チャンバ。
【請求項13】
前記締結アセンブリのそれぞれは、前記挿入部材と前記カバー・プレートとの間に挿入された摺動プレートをさらに含む
ことを特徴とする請求項12に記載の真空処理チャンバ。
【請求項14】
前記摺動プレートはTeflonのプレートを含む
ことを特徴とする請求項13に記載の真空処理チャンバ。
【請求項15】
シャワーヘッド・アセンブリを真空処理チャンバに締結する方法であって、
バック・プレートを前記真空処理チャンバに固定的に取り付け、
複数の締結アセンブリを使用して、穿孔されたシャワーヘッド・プレートを前記バック・プレートに結合することにより、前記穿孔されたシャワーヘッド・プレートを前記バック・プレートの主平面に対し摺動可能に取り付け、
前記穿孔されたシャワーヘッド・プレートと前記バック・プレートとの間にOリングを含むガスシールを提供する
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記摺動可能に取り付けることは、玉軸受けアセンブリを介して前記穿孔されたシャワーヘッド・プレートを前記バック・プレートに螺締すること含む
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
さらに、前記穿孔されたシャワーヘッド・プレートと前記バック・プレートとの間にスペーサを挿入する
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
さらに、前記玉軸受けアセンブリのそれぞれを、前記シャワーヘッド・プレートの中心から放射状に延びる仮想線と一直線になるように方向付ける
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
さらに、前記シャワーヘッド・プレートを前記バック・プレートに一箇所で固定的に取り付ける
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板もしくはその他のワークピースのエッチングもしくはそれらの上での薄膜形成に使用されるプラズマ・チャンバ等の真空処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、フラット・パネル・ディスプレイ、ソーラー・パネル等の分野における製造処理は、真空チャンバでの処理を含む。たとえば、薄膜を基板(ワークピース)上に形成し基板上の構造物をエッチングするためのプラズマ増強化学蒸着(PECVD)、プラズマ・エッチング、及びその他の多様な処理に真空チャンバは使用される。そのようなチャンバでは、噴射器(injector)又はシャワーヘッドを介してチャンバに多様なガスが流入される。大型のチャンバでプラズマ処理を均一に行うには、噴射器よりもシャワーヘッドが好ましい。一般的に、シャワーヘッドはチャンバの天井のほぼ全体を覆うので、均一な量のガスがチャンバ内のいずれの場所へも噴射される。
【0003】
ガスをチャンバに流入させながら、無線周波数又はマイクロ波エネルギーを使用してプラズマを点火し、維持する。これにより、チャンバが加熱される。また、多くの処理において能動的ヒーター(active heater)を使用して基板を加熱するので、チャンバがさらに加熱される。もちろん、処理済みの基板をチャンバから取り出して新しい基板をチャンバに搬入するときには、プラズマを再び点火するまではチャンバは冷たくなる。これらの温度変化によってチャンバの多様な部品が膨張・収縮する。異なる材料で形成された部品は、異なる速度で膨張・収縮する。また、大型チャンバの大型の部品は大幅に膨張する。このことは、特に、フラット・パネル・ディスプレイもしくは太陽電池の製造に使用されるチャンバ等の大型処理チャンバのシャワーヘッドについて当てはまる。
【発明の開示】
【0004】
以下の発明の開示は、本発明のいくつかの観点及び特徴について基本的な理解を得られるようにするべく含められている。本発明の開示は、本発明を広範囲に概観したものでなく、したがって本発明の主要もしくは重要な要素を詳細に特定し、本発明の範囲を詳細に記載することを意図していない。本発明の開示の唯一の目的は、以下に提示するより詳細な記載の前段階として、本発明のいくつかのコンセプトを簡易な形式で提示することである。
【0005】
本発明の実施形態は、熱膨張・収縮に対処した真空処理チャンバを提供する。本発明の特定の実施形態では、チャンバ・ボディに構造的応力を与えたり、ガスシールを破壊したりすることなく熱膨張・収縮することができるシャワーヘッドを備えるプラズマ処理チャンバを提供する。
【0006】
本発明の実施形態では、シャワーヘッド・アセンブリがシャワーヘッドを一箇所で固定し、その一方でその他の箇所ではシャワーヘッドを摺動させて熱膨張・収縮させるプラズマ・チャンバが提供される。別の実施形態では、固定をせず、シャワーヘッドはガスシールを維持しつつあらゆる方向に摺動し得る。
【0007】
本発明の実施形態では、チャンバ・ボディと、チャンバ・ボディの上部に結合されたシャワーヘッド・アセンブリとを含む真空処理チャンバが提供される。シャワーヘッド・アセンブリは、チャンバ・ボディに堅固に取り付けられたバック・プレートと、複数の楕円形孔を有する穿孔(perforated)されたシャワーヘッド・プレートと、シャワーヘッド・プレートをバック・プレートの
主平面に対し摺動可能に取り付け、それにより、シャワーヘッド・プレートとバック・プレートとの間にガスシールが維持されているときにシャワーヘッド・プレートをバック・プレートに対して摺動可能にする複数の締結アセンブリとを含む。一実施形態では、少なくとも一つのボルトにより、シャワーヘッド・プレートがバック・プレートに堅固に取り付けられる。
【0008】
本発明の実施形態では、シャワーヘッド・アセンブリを真空処理チャンバに締結する方法が提供される。方法は、バック・プレートを真空処理チャンバに固定的に取り付け、複数の締結アセンブリを使用して穿孔されたシャワーヘッド・プレートをバック・プレートに結合することにより穿孔されたシャワーヘッド・プレートをバック・プレートの
主平面に対し摺動可能に取り付け、穿孔されたシャワーヘッド・プレートとバック・プレートとの間にガスシールを提供する。一実施形態では、方法は、さらに、穿孔されたシャワーヘッド・プレートの少なくとも一箇所をバック・プレートに固定的に取り付ける。
【0009】
本発明のその他の観点や特徴は、本明細書に記載され、添付の特許請求の範囲において請求される本発明の範囲及び趣旨に含まれる多様な実施形態についての記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれその一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、記載とともに、本発明の原理を説明・解説する。図面は、図示により模範的実施形態の主要な特徴を示すよう意図される。図面は、実際の実施形態の全特徴や図示される要素の相対寸法を示すようには意図されておらず、一定の縮尺で示されていない。
【
図1】本発明の実施形態を実施したプラズマ処理チャンバの主要な要素を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る、シャワーヘッドの一方の側を固定する一例を示す断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る、シャワーヘッドの一方の側を浮遊させる一例を示す断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る浮遊機構を示す分解図である。
【
図5】組み立てられた浮遊取り付け部材の等角図である。
【
図6】カバー・プレート176の下面を示す下部正面図(lower elevation)である。
【
図7】本発明の別の実施形態に係る摺動締結機構を示す。
【
図8A】本発明の実施形態に係るバック・プレート及びシャワーヘッド・プレートの下部正面図(bottom elevation view)である。
【
図8B】本発明の実施形態に係るバック・プレート及びシャワーヘッド・プレートの下部正面図(bottom elevation view)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態を実施したプラズマ処理チャンバ100の主要な要素を示す図である。チャンバ100は、全体的にアルミニウム、ステンレス鋼等の金属で形成されたチャンバ・ボディ102を含む。一枚以上の基板を保持するために台座105が設けられる。台座105は、サセプタ、チャック、及び/又はヒーターを支持してよい。台座はリフト機構115に装着されてよく、それにより台座は図示の位置に下降されてバルブ110を介して基板をロードされ、その後、処理のために上昇される。チャンバは、バック・プレート125に取り付けられたシャワーヘッド・プレート120を含むシャワーヘッド・アセンブリを、その上部に有する。バック・プレート125は、チャンバ・ボディ102に密着されている。ソース130から導管135を通じてガスがシャワーヘッドに供給される。シャワーヘッド・プレート120は、ガスをチャンバへと分散可能にする多数の孔(perforations)を有する。
【0012】
図2は、本発明の実施形態に係る、シャワーヘッド・プレート120の一箇所をバック・プレート125に固定する一例を示す断面図である。本発明の実施形態によると、シャワーヘッド・プレート120の少なくとも一箇所がバック・プレート125に固定され、ガス漏洩を回避するべくシャワーヘッド・プレート120はバック・プレート125に密閉され、当該箇所においてシャワーヘッド・プレート120はバック・プレート125に対して移動不可能となっている。この箇所は、たとえば、シャワーヘッド・プレートの角の1つ又はシャワーヘッド・プレートの中心であってよい。
図2は、シャワーヘッド・プレートの1つの角において固定する例を示している。
【0013】
他方、
図3は、本発明の実施形態に係る、シャワーヘッドをバック・プレートに摺動可能に取り付けるべく使用される摺動締結アセンブリの例を示す。つまり、この実施形態では、シャワーヘッド・プレート120の少なくとも直径方向の正反対の側がバック・プレート125に浮遊するように取り付けられ、シャワーヘッド・プレート120はバック・プレート125に密閉されるが、その箇所においてバック・プレート125に対して摺動可能となっている。このようにすることで、シャワーヘッド・プレート120の膨張・収縮が可能となる。なぜなら、シャワーヘッド・プレート120は、バック・プレート125に対する密閉を維持してシャワーヘッド・プレートとバック・プレートとの間からの処理ガスの漏洩を回避する一方で、なおかつバック・プレート125に対して摺動自在であるからである。
【0014】
図2及び
図3に示すように、シャワーヘッド・プレート120とバック・プレート125との間にOリング140が設けられており、シャワーヘッド・プレート120とバック・プレート125との間にガスシールが提供されている。また、シャワーヘッド・プレート120とバック・プレート125との間にはTeflonブロック(Teflonは登録商標)もしくはスペーサ145が設けられており、これによりシャワーヘッド・プレート120とバック・プレート125との間に小さい隙間が維持され、これらが互いに摺動可能となっている。
図2では、シャワーヘッド・プレート120は、ボルト150と座金155を使用してバック・プレート125にしっかりと螺締されている。ボルト150を覆うカバー160が設けられている。
【0015】
図3は、ガスは密閉可能とする一方で熱膨張・収縮が生じた場合にシャワーヘッド・プレート120を摺動させることができるようにシャワーヘッド・プレート120をバック・プレート125に取り付けるべく使用される摺動締結アセンブリを示す。
図2では、ボルト150を収容するのに十分なだけの直径を有する孔152がシャワーヘッド・プレートに形成されている。一方、
図3に示す摺動締結アセンブリのためには、孔154は楕円形とされ、段差156を有している。挿入部材170が孔154には挿入されており、段差156に着座されている。挿入部材はセラミックもしくはその他の材料で形成されてよい。
【0016】
図4は、本発明の一実施形態に係る摺動締結機構の分解図である。
図4に示すように、挿入部材170は、直径がボルト150の直径よりもわずかに大きく、形状が楕円形である孔172を有する。また、
図4に示すように、挿入部材170はキー171を有しており、これにより挿入部材170を孔154に挿入し得る方向が一つだけとなり、楕円形孔172の長軸が当該箇所でのシャワーヘッド・プレート120の膨張の方向となるようになっている。
【0017】
挿入部材170の上には摺動プレート173が設けられている。摺動プレート173は4つの楕円形孔174を有しており、これらも摺動方向に方向付けられている。各孔には玉175が挿入されている。各玉175は各々の楕円形孔174の中を自由に走行可能である。摺動プレート173及び玉175のアセンブリを覆うようにカバー・プレート176が設けられている。本質として、挿入部材170、摺動プレート173、玉175、及びカバー・プレート176により「線形」の玉軸受け構成が形成されることは理解されよう。任意に2つの座金177、178がカバー・プレート176を覆うように設けられており、ボルト150によりこれら全アセンブリがバック・プレート125に締め付けられている。理解され得るように、ボルト150が正常に締められている状態では、シャワーヘッド・プレート120はバック・プレート125に密閉されることが可能であるが、バック・プレート125に対して摺動することにより膨張することも可能である。この状態にあるとき、シャワーヘッド・プレート120及び挿入部材170のアセンブリは玉175に「乗って」いる。なぜなら挿入部材170に設けられる孔172が膨張運動方向に楕円形であるからである。この実施形態では、ボルト150以外の全部品はセラミックで形成されるが、アルミニウム、陽極酸化アルミ、Teflon(登録商標)等、その他の材料を多様な部品に使用してよい。
【0018】
図5は、ボルト150が座金177/178、カバー・プレート176、摺動プレート173、及び挿入部材170に挿入された状態の摺動締結構成の全体を示す。このアセンブリの全体が
図3に示す孔154に挿入され、ボルトが締められてOリング140とともにシールを形成するが、Teflonブロックによりシャワーヘッド・プレート120の摺動が可能となっている。
【0019】
図6は、カバー・プレート176の下面を示す下部正面図(lower elevation)である。
図6に示すように、一実施形態において、カバー・プレートの下面には4つの案内溝が設けられており、玉175が案内溝に規定される一つの直線方向に自由に転がることができる。
【0020】
図7は、本発明の別の実施形態に係る摺動締結機構を示す。この実施形態に係る摺動締結機構は、玉175が取り除かれ摺動が単純な摩擦により可能となる点以外は
図3及び
図4に示すものに類似している。一実施形態では、カバー176は挿入部材170に「乗って」おり、それらの互いに対する摺動は界面175’で発生する。別の実施形態では、界面175’を形成するカバー176及び挿入部材170それぞれの面は、摩擦を低減させ、摺動により生じる粒子の発生を回避もしくは低減させるべく処理される。これは、たとえばこれらの面に、たとえばTeflon(登録商標)を塗布したり、陽極酸化を施したりすること等により実行できる。さらに別の実施形態では、Teflon等の平滑な材料で形成されるディスクが界面175’に設けられる。
【0021】
別の実施形態では、シャワーヘッド・プレートはバック・プレートに固定的に取り付けられない。むしろ、複数の摺動締結アセンブリを使用してシャワーヘッド・プレートをバック・プレートに取り付け、シャワーヘッド・プレートがあらゆる方向に膨張自在とされる。しかし、複数の摺動締結アセンブリは、シャワーヘッド・プレートの膨張又は収縮にも拘わらずシャワーヘッド・プレートの中心が同一の位置に存続するように方向付けられる。これは、
図8A及び
図8Bに示される。
【0022】
図8A及び
図8Bは、本発明の実施形態に係るバック・プレート125(破線により示される)及びシャワーヘッド・プレート120の下部正面図(bottom elevation views)である。破線矢印は、シャワーヘッド・プレートの中心から放射状に延び、締結アセンブリが設けられる各箇所の中心を通る直線方向を示す。図示されるように、締結アセンブリの各楕円形孔154は、その長軸が、シャワーヘッド・プレートの中心から放射状に延びる直線に沿って存在するように方向付けられる。上記したように、各挿入部材170はキーを有しており、挿入部材170が孔154に挿入されたときにその楕円形孔172の長軸もがシャワーヘッド・プレートの中心から放射状に延びる直線に沿って方向付けられるような方向付けとされる。このようにすれば、締結アセンブリが設けられる各箇所において、シャワーヘッドは、シャワーヘッド・プレートの中心から放射状に延びて当該箇所を通る直線の方向に沿ってのみ摺動可能となる。したがって、シャワーヘッドは摺動することもしくは締結アセンブリに乗ることによりあらゆる方向に膨張・収縮することができるが、締結アセンブリの方向付けにより、シャワーヘッド・プレートの膨張・収縮にも拘わらずシャワーヘッドの中心は同一の位置に存続することが理解されよう。つまり、締結機構の方向付けにより、シャワーヘッド・プレートの、放射状の膨張・収縮以外の回転もしくは平行移動が防止される。
【0023】
図8Aは、膨張位置にあるシャワーヘッド・プレートを示す。図示されるように、ボルト150が楕円形孔154の放射方向内側に位置するまでにシャワーヘッド・プレートは膨張している。反対に、収縮位置を示す
図8Bでは、ボルト150は楕円形孔154の放射方向外側に示されている。
【0024】
本発明をその特定的実施形態を参照して記載したが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。特に、多様な変更及び改良が、当業者により、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実施され得る。また、上に引用した従来技術文献の全てを参照として本明細書に取り込む。