特許第5721146号(P5721146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721146
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
   A63F5/04 512Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-204019(P2012-204019)
(22)【出願日】2012年9月18日
(65)【公開番号】特開2014-57703(P2014-57703A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2013年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390026620
【氏名又は名称】山佐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118315
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 博道
(72)【発明者】
【氏名】佐野 慎一
(72)【発明者】
【氏名】武尾 淳
【審査官】 中村 祐一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−034508(JP,A)
【文献】 特開2007−135714(JP,A)
【文献】 特開2011−245191(JP,A)
【文献】 特開2002−355407(JP,A)
【文献】 特開2014−033747(JP,A)
【文献】 特開2001−162006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主制御装置と補助制御装置との間で、通信可能となっている制御装置を用いた遊技機であって、
主制御装置から補助制御装置には、常に通信を行っている状態とし、
常に行っている通信中の特定の位置に常に特定信号を位置させ、補助制御装置がこの特定信号を受信しないときには、補助制御装置が、不正行為があったと判断するように形成したことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
主制御装置と補助制御装置との間で、主制御装置から補助制御装置に対してのみ通信可能となっている制御装置を用いた遊技機であって、
主制御装置から補助制御装置には、常に通信を行っている状態とし、
常に行っている通信中の特定の位置に常に特定信号を位置させ、補助制御装置がこの特定信号を受信しないときには、補助制御装置が、不正行為があったと判断するように形成したことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
主制御装置と補助制御装置との間で、主制御装置から補助制御装置に対してのみ通信可能となっている制御装置を用いた遊技機であって、
主制御装置から補助制御装置には、常に通信を行っている状態とし、
常に行っている通信中の1バイトの中の特定のビット、複数のバイトの中の特定のビットあるいは複数のバイトの中の特定のバイトを特定信号とし、補助制御装置がこの特定信号を受信しないときには、補助制御装置が、不正行為があったと判断するように形成したことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
主制御装置と補助制御装置との間で、主制御装置から補助制御装置に対してのみ通信可能となっている制御装置を用いた遊技機であって、
主制御装置から補助制御装置には、常に通信を行っている状態とし、
常に行っている通信中の1バイトの中の特定のビットあるいは複数のバイトの中の特定のビットを特定信号とし、その他のビットの一部または全部を通信すべきデータの格納領域にするか、あるいは複数のバイトの中の特定のバイトを特定信号としその他のバイトの一部または全部を通信すべきデータの格納領域にすることとし、補助制御装置では通信すべきデータの格納領域にある通信データにもとづいて制御を行うと共に、補助制御装置が前記特定信号を受信しないときには、補助制御装置が、不正行為があったと判断するように形成したことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の制御装置を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機、例えばスロットマシンにおいては、主制御装置と補助制御装置とを備えているものが多く提供されている。
まず最初に、補助制御装置として、演出を担当する演出制御装置について説明する。
主制御装置は、スタートスイッチの操作に基づき当選か否かの役抽選を行うと共に、複数の回転リールの回転を開始させ、ストップスイッチの操作に基づき回転している回転リールを停止させ、回転リールが全て停止したときに表示される図柄組合せに応じて、メダルを払い出したり、更には特定の条件の達成により通常よりも有利な有利遊技状態に移行させたりするように制御するものである。
【0003】
また、演出制御装置は、主制御装置からの通信を受信するのみであり、主制御装置には通信できないこととなっている。またこの演出制御装置は、液晶画面等で行う種々の演出あるいは報知等の実行を制御している。
近年、ストップスイッチが特定の押し順である場合には有利な遊技結果となるように主制御装置で制御を行い、演出制御装置でその特定の押し順を報知するようなATあるいはARTと呼ばれる遊技が行われている。
このようなATあるいはART中において、特定の押し順をすべて知らせる場合もあるが、特定の押し順を知らせる場合と知らせない場合とを用意し、報知の有無を決定することとすることもある。このように報知の有無を決定した上で、特定の押し順を知らせる場合と知らせない場合とを使い分けるような時には、例えば50%の確率で抽選して特定の押し順を知らせるようなスロットマシンを想定してみる。このときには、主制御装置で特定の押し順を決定するものの、その特定の押し順通りに押せる場合としては、演出制御装置で特定の押し順を50%の確率で知らせる「0.5」と、特定の押し順を知らせない場合にたまたま特定の押し順となる確率が「50%の1/6」である「0.5×0.167=0.083」の合計である「0.583」となる。するとこのスロットマシンでは、主制御装置で特定の押し順を決定したときには、平均して0.58の割合で入賞するとして入賞率の計算が行われることとなっていた。
【0004】
一方、スロットマシン等において、CPU、ROM等の差し替えの違法行為があった。この場合は、CPU、ROM等を差し替えることによって、入賞し易いスロットマシンに変更して利益を得ることができるようになる。
このようなCPU、ROM等の差し替えに関しては、CPU、ROM等をケースに収納し、このケースを封印することによって防止することが可能となっている。
近年、前記主制御装置から演出制御装置への通信経路中に、不正基板を挿入する、いわゆる「ぶら下げゴト」が行われている。
このぶら下げゴトは、例えば、前記した、ATあるいはARTと呼ばれる遊技を行うスロットマシンの、主制御装置と演出制御装置との間に設けられ、不正基板での制御により演出制御装置で特定の押し順を知らせる確率を100%にしてしまうような不正基板を用いて行われる。
【0005】
このような不正基板を用いると、平均して0.58の割合で入賞するとして入賞率の計算が行われているものの、1.00の割合で入賞することとなり、不正に多くの利益が得られるスロットマシンとなってしまっていた。
更に、演出制御装置では、AT抽選あるいはAT上乗せ抽選が行われるものもあるが、このような抽選に当たりやすくする不正基板も存在していた。
更に、主制御装置からは補助制御装置としてのホッパー制御装置に対して信号を送信することができるようになっている。例えば、入賞した結果として、所定枚数のメダルを払い出す旨の信号である。
【0006】
この主制御装置とホッパー制御装置との間に不正基板を挿入し、この不正基板から払出信号が送信されるような不正が行われることもある。
この点は、パチンコ機における主制御装置と補助制御装置としての球払い出し制御装置との間でも同様である。
以上は、いわゆる「ぶら下げゴト」について説明したが、これ以外の不正も存在する。
例えば、「電波ゴト」がある。この「電波ゴト」は、主制御装置から補助制御装置に対して送信される信号を一部遮断して送信させないようにした不正であり、「コマンド飛ばしゴト」とも呼ばれている不正である。
【0007】
具体的には、リプレイが3回連続入賞したら特殊遊技状態に移行するようなスロットマシンがあったとする。このようなときに、各遊技の遊技結果が順次、リプレイ→リプレイ→ベルとなった場合、リプレイが3回連続しないので、特殊遊技に移行しないこととなっている。この場合、ベルの入賞コマンドを補助制御装置に送信しないこととし、次のリプレイ入賞時にリプレイの入賞コマンドを送信することによって、補助制御装置においてはリプレイが3連続入賞したと判断し、特殊遊技に移行させる不正である。
また、「電源ショートゴト」と呼ばれる不正もある。
この不正は、主制御装置、補助制御装置、電源ボックス等に瞬間的に金属線を触れさせることによって、基板等の変調を生じさせる不正である。
【0008】
このような不正は、主制御装置から補助制御装置等に不正行為を行うための信号を入力したり、あるいは入力しないようにして生じさせる不正である。
このような点に鑑み、主制御装置からゲームの進行に関係しない特定信号を補助制御装置に間隔を開けて出力し、補助制御装置がこの特定信号を受信しないときに不正があったものとして処理を行う技術があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−225360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記技術では、ある特定信号の受信から次の特定信号の受信までの間に不正信号を受信してしまうと、その不正信号通りの処理を行ってしまうことがあった。
そこで本発明は、主制御装置から補助制御装置に常に信号を出力することとし、更にこの出力されている信号中に特定信号を位置させ、不正基板からの信号が入力されることによって、その不正基板からの信号を受信すると、同一タイミングの特定信号を受信しないこととなるので、この特定信号を受信しないことをもって、不正行為があったと判断する遊技機を提供することを目的とする。
もちろん、特定信号以外の送信信号によって、補助制御装置での処理の指示を行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記した目的を達成するためになされたものである。
(請求項1)
請求項1記載の発明は、主制御装置と補助制御装置との間で、通信可能となっている制御装置を用いた遊技機であって、
主制御装置から補助制御装置には、常に通信を行っている状態とし、
常に行っている通信中の特定の位置に常に特定信号を位置させ、補助制御装置がこの特定信号を受信しないときには、補助制御装置が、不正行為があったと判断するように形成したことを特徴とする。
【0012】
ここで、「主制御装置」とは、遊技機の動作を制御する装置である。例えばスロットマシンであれば、当たり役の抽選の制御、リールの回転及び停止の制御等を行う部分である。また、パチンコ機であれば、当たり役の抽選の制御等を行う部分である。
「補助制御装置」とは、主制御装置から送信されるデータにもとづいて他の部分を制御する。スロットマシンにあっては、演出を制御する演出制御装置や、メダルの払い出しを制御するホッパー制御装置が該当する。またパチンコ機にあっては、演出制御装置や、球払い出し制御装置が該当する。
「常に通信を行っている」とは、間隔を開けてランダムに、あるいは間隔を開けて周期的に通信を行っているのではなく、連続して通信を行っている状態を指す。また、例えば補助制御装置が演出制御装置であった場合には、演出に関するデータを送信する時もあるが、演出に関するデータを送信しない時もある。このように演出に関するデータを送信しない場合であっても、特定の位置に特定信号を位置させたカラデータを送信することによって、常に送信を行っている状態としている。
【0013】
「通信中の特定の位置」とは、連続した通信の中で、通信時間で考えると一定時間間隔で設定された通信データ位置を指す。また、通信領域量で考えると、一定通信領域量間隔の位置を指す。いずれにしても、主制御装置からの出力における通信中の特定の位置が、補助制御装置での受信時にも通信中の特定の位置として認識される必要がある。「特定信号」とは、この特定位置にある信号のことである。
「補助制御装置がこの特定信号を受信しないとき」とは、不正基板からの不正信号を補助制御装置が受信している間は、主制御装置からの信号が受信できないこととなるので、この場合が特定信号を受信しないときに該当する。また、主制御装置から補助制御装置への信号を遮断しているときにも、主制御装置からの信号が受信できないこととなるので、この場合も特定信号を受信しないときに該当する。
【0014】
不正行為があったと判断する」とは、前記した不正信号の検出相当する。更に、不正行為があったと判断したときには、補助制御装置が演出制御装置である場合には、演出で不正行為があったことを報知することも可能である。また、補助制御装置が、演出制御装置、ホッパー制御装置あるいは球払い出し制御装置である場合には、不正行為があったと判断したときに、補助制御装置を停止させてしまうこともできる。
(請求項2)
請求項2記載の発明は、主制御装置と補助制御装置との間で、主制御装置から補助制御装置に対してのみ通信可能となっている制御装置を用いた遊技機であって、
主制御装置から補助制御装置には、常に通信を行っている状態とし、
常に行っている通信中の特定の位置に常に特定信号を位置させ、補助制御装置がこの特定信号を受信しないときには、補助制御装置が、不正行為があったと判断するように形成したことを特徴とする。
【0015】
「主制御装置から補助制御装置に対してのみ通信可能」とは、主制御装置から補助制御装置に対して通信可能であるものの、補助制御装置から主制御装置に対しては通信不能である状態をいう。
このように、補助制御装置から主制御装置に通信できないような場合であっても、本発明では、不正行為の検知が可能となっている。
(請求項3)
請求項3記載の発明は、主制御装置と補助制御装置との間で、主制御装置から補助制御装置に対してのみ通信可能となっている制御装置を用いた遊技機であって、
主制御装置から補助制御装置には、常に通信を行っている状態とし、
常に行っている通信中の1バイトの中の特定のビット、複数のバイトの中の特定のビットあるいは複数のバイトの中の特定のバイトを特定信号とし、補助制御装置がこの特定信号を受信しないときには、補助制御装置が、不正行為があったと判断するように形成したことを特徴とする。
【0016】
この請求項では、特定信号の位置のさせ方を3通り示している。
第1の特定信号の位置づけとしては、「1バイトの中の特定のビットを特定信号とする」という位置づけであり、第2の特定信号の位置づけとしては、「複数のバイトの中の特定のビットを特定信号とする」という位置づけであり、第3の特定信号の位置づけとしては、「複数のバイトの中の特定のバイトを特定信号とする」という位置づけである。
「1バイトの中の特定のビットを特定信号とする」とは、8ビットからなる1バイト中の、例えば最初のビットを特定信号とするような場合である。このときには、8ビットからなる信号であり、最初のビットを特定信号とした信号を主制御装置から補助制御装置に送信し続けることとなる。
【0017】
「複数のバイトの中の特定のビットを特定信号とする」とは、8ビットからなる1バイトがn(2以上の正の整数)バイトで1組と考え、その8nビット中のいずれかの位置に特定信号を位置させるものである。例えば、2バイトで1組と考え、その最初のビットに特定信号を位置させると、前記した「1バイトの中の特定のビットを特定信号とする」に比べて、特定信号間隔が倍となる。
「複数のバイトの中の特定のバイトを特定信号とする」とは、m(2以上の正の整数)バイトで1組と考え、そのうちの特定のバイトを特定信号とするものである。例えば、特定のバイトは、全ビット「1」を立てておくようにして、そのバイト全体が特定信号であるとすることもできる。このときには、一部のビットであっても補助制御装置で受信できなかった場合には、不正行為があったとして扱うこととなる。
(請求項4)
請求項4記載の発明は、主制御装置と補助制御装置との間で、主制御装置から補助制御装置に対してのみ通信可能となっている制御装置を用いた遊技機であって、
主制御装置から補助制御装置には、常に通信を行っている状態とし、
常に行っている通信中の1バイトの中の特定のビットあるいは複数のバイトの中の特定のビットを特定信号とし、その他のビットの一部または全部を通信すべきデータの格納領域にするか、あるいは複数のバイトの中の特定のバイトを特定信号としその他のバイトの一部または全部を通信すべきデータの格納領域にすることとし、補助制御装置では通信すべきデータの格納領域にある通信データにもとづいて制御を行うと共に、補助制御装置が前記特定信号を受信しないときには、補助制御装置が、不正行為があったと判断するように形成したことを特徴とする。
【0018】
ここで、「1バイトの中の特定のビットを特定信号とし、その他のビットの一部または全部を通信すべきデータの格納領域にする」とは、特定信号を1ビットとすると、1バイト中に7ビットが残る。この残った7ビットをデータの格領域にしようとするものである。このとき、7ビットの全てをデータの収納領域とすることも可能であるが、例えば、最初のビットを特定信号とし、2番目のビットをデータの有無に関するビットとし、データがある場合には残りの6ビットを使用することも可能である。
このときには、最初のビットが特定信号として「1」が立っており、2番目のビットに「1」が立っていればこのバイトに補助制御装置で使用すべきデータが入っているとして補助制御装置では残りのデータを読むこととなる。
【0019】
一方、最初のビットが特定信号として「1」が立っており、2番目のビットに「0」が立っていれば、この信号は単に特定信号を送信するだけの信号であり、補助制御装置で使用するデータに関してはカラ信号であるとして補助制御装置が認識することができる。このようにすると、補助制御装置で全てのデータを読む必要がなくなってくる。
なお、このような手段をとったとしても、補助制御装置で使用する処理データとして1バイトのデータということはあり得ないので、補助制御装置で制御に使用するデータを送信する場合には、最初のビットが特定信号として「1」が立っており、2番目のビットに「1」が立っているバイトが、複数個連続して送信されることによって、副制御装置での制御が可能となる。
【0020】
この点は、「複数のバイトの中の特定のビットを特定信号とし、その他のビットの一部または全部を通信すべきデータの格納領域にする」にあっても、その他のビットの全部を補助制御装置で使用するデータとすることもできるし、その他のビットの一部に、カラデータなのかあるいは補助制御装置で使用するデータが含まれているのかということを示すビットを設けて用いることもできる。
また、「複数のバイトの中の特定のバイトを特定信号としその他のバイトの一部または全部を通信すべきデータの格納領域にする」にあっても、その他のバイトの全部を補助制御装置で使用するデータとすることもできるし、その他のバイトの一部のビットに、カラデータなのかあるいは補助制御装置で使用するデータが含まれているのかということを示すビットを設けて用いることもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上のように構成されているので、不正基板からの信号が入力されることによって、その不正基板からの信号を受信すると、同一タイミングの特定信号を受信しないこととなるので、この特定信号を受信しないことをもって、不正行為があったと判断することが可能となる。
もちろん、特定信号以外の送信信号によって、補助制御装置での処理の指示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明を示すブロック図である。
図2】本発明の第一の実施の形態に関する特定信号を示す説明図である。
図3】本発明の第二の実施の形態に関する特定信号を示す説明図である。
図4】本発明の第三の実施の形態に関する特定信号を示す説明図である。
図5】本発明の第一の実施の形態であって、1バイトを記した説明図である。
図6】本発明の第一の実施の形態であって、1バイトを記した他の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。
本発明に係る遊技機は、周知なスロットマシンあるいはパチンコ機に関するものである。ここで、スロットマシンの種々の構成あるいはパチンコ機の種々の構成に関しては周知なので、これを省略する。また、以下、遊技機としてスロットマシンを用いて説明する。
このスロットマシンは、主制御装置10と、補助制御装置20としての演出制御装置21と、ホッパー制御装置22とを備えている。
主制御装置10は、スタートスイッチの操作に基づき当選か否かの役抽選を行うと共に、複数の回転リールの回転を開始させ、ストップスイッチの操作に基づき回転している回転リールを停止させ、回転リールが全て停止したときに表示される図柄組合せに応じて、メダルを払い出したり、更には特定の条件の達成により通常よりも有利な有利遊技状態に移行させたりするように制御するものである。
【0024】
また、演出制御装置21は、主制御装置10からの通信を受信するのみであり、主制御装置10には通信できないこととなっている。またこの演出制御装置21は、液晶画面等で行う種々の演出あるいは報知等の実行を制御している。
近年、ストップスイッチが特定の押し順である場合には有利な遊技結果となるように主制御装置で制御を行い、演出制御装置でその特定の押し順を報知するようなATあるいはARTと呼ばれる遊技が行われている。
また、主制御装置10で行う抽選において、当選役として、押し順と対応した当選役を設ける場合がある。
【0025】
例えば、停止スイッチの操作の順と当選役とを対応させると、左中右の場合の当選役1,左右中の場合当選役2,中左右の場合の当選役3,中右左の場合の当選役4,右左中の場合の当選役5,右中左の当選役6として当選役を設けることがある。この場合には、例えば、当選役1が当選した場合、左中右の順で停止スイッチを操作したときには入賞するものの、それ以外の順で操作したときには入賞しないこととなっている。
更にこのような場合、主制御装置10で抽選を行い、例えば当選役1が当選したとすると、その当選役1が当選した旨が演出制御装置21へ送信される。
このとき、主制御装置10から当選役1が当選した旨を受信した演出制御装置21で、当選役1に対応した左中右の順で停止スイッチを操作すれば入賞する旨の報知を行ったとすると、その報知通りに操作をすることで、必ず入賞となる。
【0026】
一方、主制御装置10から当選役1が当選した旨を演出制御装置21が受信したとしても、演出制御装置21で停止スイッチの操作順序に関する報知を行わなかったとすると、停止スイッチの操作順である6通りの操作順のうち、どの操作順とすれば入賞するのかということがわからないので、入賞の可能性が1/6となる。
ここで、主制御装置10と演出制御装置21との間に不正基板を介在させ、この不正基板からの制御によって主制御装置10からの当選役をすべて演出制御装置21で報知するようにすると、本来1/6の確率でしか入賞できない当選役が必ず当選してしまうこととなっていた。
【0027】
そこで、本発明は、主制御装置10から補助制御装置20、例えば演出制御装置21に、常に通信を行っている状態とし、常に行っている通信中に特定信号を入れ、補助制御装置がこの特定信号を受信しないときには、補助制御装置が、不正行為があったと判断するように形成したものである。
特定信号の入れ方としては、3つのパターンが考えられる。
第1のパターンは、図2に示したようなものである。
即ち、図2は、1バイトが繰り返されている連続した信号を示したものであり、この1バイト中の最初のビットを特定信号としたものである。
【0028】
主制御装置10は、このような信号を演出制御装置21に連続して発信し続けているものである。
ここで、演出データとしての信号の入れ方としては、例えば、特定信号を位置させた最初のビットの次のビットから、演出データがあるときは演出データを書き込み、演出データがないときにはカラデータとして全て「0」を書き込むようにすることもできる。
このようにすると、特定信号を格納する領域以外の領域である7ビットを演出データの書き込み領域とすることができる。しかしながら、このようにすると、演出制御装置21では、主制御装置10から送信される全てのデータを読み取ることが必要とされる。
【0029】
一方、特定信号を位置させた最初のビットの次のビットを演出信号の有無を書き込んだ有無信号を格納するビットとし、「1」が立っているときには、その後が演出データであり、「0」が立っているときにはカラデータであるとすることもできる。
このときには、演出制御装置では、最初のビットの特定信号を読み取った後に、次のビットが「1」であればその後の6ビットに書き込まれた演出データを読み取るものの、「0」であれば、次の特定信号まで、データの読み取りを不要とすることができる。一方でこのようにすると、データの書き込み領域が小さくなる。
この例として、図5に、特定信号とカラデータを示す有無信号から構成される1バイト信号を示し、図6に、特定信号と有無信号及び演出データから構成される1バイト信号を示した。
【0030】
また、通常の演出データは、1バイトに収まらないと考えられ、数バイトに及ぶものである。
従って、不正基板から不正信号を演出制御装置に入力しようとすると、数バイトに亘った不正信号を送信することとなる。この不正信号を受信している間は、正規の連続信号中の特定信号が演出制御装置で受信されないこととなるので、演出制御装置でこの受信しないことをもって不正行為があったと判断することができる。
不正行為があったと判断した後は、その旨を報知したり、演出制御装置を使用不可の状態とすることが考えられる。更には、前記したような、主制御装置10からの送信に対応する報知を行わないようにすることも可能である。
【0031】
第2のパターンは、図3に示したようなものである。
ここでは、複数のバイトの中の特定のビットを特定信号とするものである。
図3では、2バイトを示してあるが、3バイト以上であっても良い。即ち、このような複数バイトに亘ったデータの特定のビット、例えば複数バイトに亘ったデータの最初のビットを特定信号の格納場所とするものである。
このようにすると、第1のパターンに比べて、演出データの格納場所が広がることとなる。
またこのようにした場合には、不正基板からの不正信号の長さよりも、短い複数バイトとしたい。例えば、不正信号が4バイト必要である場合には、3バイトを1組とし、その中に1の特定信号を位置させることによって、不正信号によって確実に特定信号が認識できないようにすることが望ましい。
【0032】
第3のパターンは、図4に示したようなものである。
図4では、2バイトを示してあるが、3バイト以上であっても良い。即ちここでは、複数のバイトの中の特定のバイトを特定信号とするものである。特定のバイトを特定信号とするのであるから、この特定信号の全てを演出制御装置で受信したときに、正しく受信したと判断される。
またここでは、特定信号としてのバイト以外のバイト領域の一部または全部を通信すべきデータの格納領域にすることができる。
このときにも、特定信号としてのバイト以外のバイト領域の一部または全部演出データが書き込めることとすると、格納データ量は多くなるものの、全データ領域に亘って演出制御装置が読むことが必要とされる。一方、特定信号としてのバイト以外のバイト領域について、各々最初のビットに「1」が書き込まれているとその後の7ビットに書き込まれた演出データを読み取るものの、「0」であれば、次のバイトの最初のビットまで、データの読み取りを不要とすることができる。
【0033】
以上の説明は、遊技機としてスロットマシンを例とし、補助制御装置20として演出制御装置21を例とした。
しかしながら、遊技機としてスロットマシンを例とし、補助制御装置20としてホッパー制御装置22とすることもできる。
この場合も、ホッパー制御装置22が、不正信号を受信することにより特定信号の受信がなかったときには、不正行為があったと判断するものである。
更に、ホッパー制御装置22から、主制御装置10にメダルの払出信号が入力されるように形成し、ホッパー制御装置22から出力した所定枚数のメダルが、ホッパー制御装置22によって払い出されたか否かが判断できる場合もある。このときにあっても、主制御装置10とホッパー制御装置22との間に不正基板を介在させ、ホッパー制御装置22に不正信号としてメダルの払い出しを指示し、払い出されたメダルの確認もこの不正基板で行うようにすると、不正基板を用いた不正行為が可能となる。
【0034】
このような場合であっても、主制御装置10から特定信号を含んだ連続した信号をホッパー制御装置22に出力し続け、ホッパー制御装置22で、不正信号により特定信号の女神ができない場合に不正行為があったとして処理することが可能である。
更に、遊技機としてパチンコ機を用いた場合には、補助制御装置20として、球払い出し制御装置とすることができる。
この場合にも、前述したホッパー制御装置と同様に、有効な作用・効果を発揮させることができる。
更に、「電波ゴト」のうちの、「コマンド飛ばしゴト」では、主制御装置から補助制御装置への信号を遮断しているときに、主制御装置からの信号が受信できないこととなるので、この場合が特定信号を受信しないときに該当して、不正行為があったと判断される。
【0035】
また、「電源ショートゴト」では、ショートさせたときの不正信号が補助制御基板に入力されるので、この不正信号の受信によって、主制御装置からの信号が受信できないこととなるので、この場合が特定信号を受信しないときに該当して、不正行為があったと判断される。
本発明では、主制御装置から補助制御装置等に不正を行うための信号を入力したり、あるいは入力しないようにして生じさせる不正において、補助制御装置において主制御装置からの特定信号が受信できない状況が発生すれば、これを不正行為として検知することができるものである。
【符号の説明】
【0036】
10 主制御装置
20 補助制御装置
21 演出制御装置
22 ホッパー制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6