(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記閾値の上乗せをストックするかどうかの抽選に用いる抽選テーブルとして、所定の抽選確率を格納した高確抽選テーブルと、前記高確抽選テーブルよりも低い抽選確率を格納した低確抽選テーブルとが少なくとも設けられ、
前記上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、前記当選状況判定手段により前記引き強状態であるという判定結果の場合、前記ストック決定手段は前記高確抽選テーブルを用いて抽選を行い、
前記上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、前記当選状況判定手段により前記引き弱状態であるという判定結果の場合、前記ストック決定手段は前記低確抽選テーブルを用いて抽選を行い、
前記上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、前記当選状況判定手段により前記引き強状態であるという判定結果の場合、前記放出決定手段は前記低確抽選テーブルを用いて抽選を行い、
前記上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、前記当選状況判定手段により前記引き弱状態であるという判定結果の場合、前記放出決定手段は前記高確抽選テーブルを用いて抽選を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
前記閾値の上乗せをストックするかどうかの抽選に用いる抽選テーブルとして、所定の抽選確率を格納した普通抽選テーブルと、前記普通抽選テーブルよりも低い抽選確率を格納した低確抽選テーブルと、前記普通抽選テーブルよりも高い抽選確率を格納した高確抽選テーブルとが少なくとも設けられ、
前記上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、前記当選状況判定手段により前記引き普通状態であるという判定結果の場合、前記ストック決定手段は前記普通抽選テーブルを用いて抽選を行い、
前記上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、前記当選状況判定手段により前記引き強状態であるという判定結果の場合、前記ストック決定手段は前記高確抽選テーブルを用いて抽選を行い、
前記上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、前記当選状況判定手段により前記引き弱状態であるという判定結果の場合、前記ストック決定手段は前記低確抽選テーブルを用いて抽選を行い、
前記上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、前記当選状況判定手段により前記引き普通状態であるという判定結果の場合、前記放出決定手段は前記普通抽選テーブルを用いて抽選を行い、
前記上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、前記当選状況判定手段により前記引き強状態であるという判定結果の場合、前記放出決定手段は前記低確抽選テーブルを用いて抽選を行い、
前記上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、前記当選状況判定手段により前記引き弱状態であるという判定結果の場合、前記放出決定手段は前記高確抽選テーブルを用いて抽選を行うことを特徴とする請求項4又は5に記載の遊技機。
前記上乗せ抽選手段により決定された上乗せの少なくとも一部が前記閾値の上乗せとしてストック可能であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の遊技機。
前記報知手段は、前記閾値の上乗せをストックする場合にストックすることを遊技者に報知しないことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の遊技機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術(特許文献1)では、遊技者自らの操作に関連して上乗せの貯留(ストック)等が決定される内容が含まれており、特殊状態の上乗せ抽選の結果、当選した場合に上乗せを後で使用できるように貯留(ストック)するのか、或いは、直ぐに上乗せする(放出する)のかは、遊技者の操作に任されている。なお、本明細書中では、抽選により決定され、又は、既に貯留(ストック)されている特殊状態の上乗せを、遊技者にも報知して特殊状態の上乗せとして直ぐに使用できる状態にすることを「放出する」と表現している。
しかし、上乗せを発生させるか否かの抽選自体は、役抽選手段による役抽選や特殊状態の上乗せ抽選に当選するか否かにより決定されるものであるため、当選が頻繁に発生するような遊技状況の調子が良い(好調)ときが現れたり、なかなか当選が発生せずに遊技状況の調子が悪い(不調)ときが長期間続いたりする、好調、不調の波が発生する場合がある。
【0007】
そのような遊技状況の調子が良い(好調)とき(いわゆる遊技者の利益が増加しているとき)には、所定の抽選の当選が頻繁に発生する好調時であるため、少々の上乗せが発生しても遊技者に大きなインパクトを与えることにはならず、上乗せが得られたことの有り難みや喜びも薄れてしまう。
一方、遊技状況の調子が悪い(不調)ときは、抽選に当選している回数が少ない状態なので、上乗せ抽選に当選して上乗せが実行されると、遊技者に大きなインパクトを与えることができ、上乗せが発生したことの有り難みや喜びも大きなものとなる。
【0008】
すなわち、同一の上乗せが発生しても(付与されても)、そのときの遊技状況(好調又は不調)によって上乗せに対する遊技者が受ける印象は異なるものとなる。
従来技術では、特殊状態の上乗せの発生に対して、上述したような遊技状況の調子の波は全く考慮されていないため、そのときの遊技状況によっては、せっかくの上乗せの発生(付与)が効果的なものにならない場合があるという問題点がある。
【0009】
上記の問題点に鑑み、本願における請求項1及び2記載の発明は、遊技状況に応じて、上乗せのストック及び放出を調整することができ、上乗せを遊技者に対して効果的にストックし、そのストックしたものを効果的に放出させることができ、特殊状態の終了タイミングの調整が可能となり、安定した遊技を行わせることができて遊技の興趣を向上させることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、上記した請求項1又は2に記載の発明の目的に加え、共通の抽選テーブルを用いることで記憶容量を節約可能な遊技機を提供することを目的とする。
請求項4及び5記載の発明は、遊技状況をより細かく判定して、上乗せを遊技者に対して効果的にストックし、そのストックしたものを効果的に放出させることができて、特殊状態の終了タイミングの調整が可能となり、安定した遊技を行わせることができ、遊技の興趣を向上させることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、上記した請求項4又は5に記載の発明の目的に加え、抽選テーブルを共通して用いることができて記憶容量を節約可能な遊技機を提供することを目的とする。
請求項7記載の発明は、上記した請求項1、2、3、4、5又は6に記載の発明の目的に加え、ストックされる量のバリエーションを増やすことができて上乗せの付与パターンを種々のものにすることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、上記した請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の発明の目的に加え、ストックされた中から、放出される量のバリエーションを増やすことができて上乗せの付与パターンをさらに種々のものにすることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
請求項9記載の発明は、上記した請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の発明の目的に加え、抽選に関して、好調、不調の波が発生しても、遊技者に対して常に調整が施された安定した遊技を行わせることができ、また、期待感を持たせることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(請求項1)
請求項1記載の発明は、周囲に複数の図柄61が付された複数の回転リール62と、前記複数の回転リール62の各々に対応して設けられ、操作により前記各回転リール62の回転を停止させるためのストップスイッチ50と、複数の役のいずれかに当選か又はハズレかの役抽選を行う役抽選手段120とを備え、前記役抽選の結果及び前記ストップスイッチ50の停止操作に基づいて前記回転リール62の回転を停止させ、当選した役に係る図柄61の組合せが有効なライン上に揃ったか否かの判定を行い、その判定の結果に応じて所定の利益を付与するようにした遊技機10であって、通常の遊技(以下、「通常遊技」とする)が行われる通常状態と、前記通常遊技よりも多くの利益を付与可能な特殊遊技が行われる特殊状態とが設けられ、前記特殊状態で
遊技の進行に伴って記憶値が閾値に近づくように加算されるカウンタ360と、前記カウンタ360の前記記憶値が前記閾値に達したことに基づいて前記特殊状態の終了条件が成立したと判定する終了条件判定手段380と、所定の契機に前記閾値の上乗せを抽選(以下、「上乗せ抽選」とする。)により決定する上乗せ抽選手段400と、前記特殊状態中、
前記上乗せ抽選手段400による前記上乗せ抽選での実際の当選回数に基づく結果値と該結果値に対応して前記
上乗せ抽選の抽選確率により算出される期待値とを比較することで前記結果値が前記期待値を超えれば当選状況を引き強状態と判定し、前記結果値が前記期待値以下ならば当選状況を引き弱状態と判定する当選状況判定手段410と、前記上乗せ抽選を実施して当選した場合に前記当選状況判定手段410の判定結果に基づいて、前記引き強状態のときは所定の抽選確率を用い、前記引き弱状態のときは前記引き強状態のときよりも低い抽選確率を用いて、前記閾値の上乗せをストックするかどうかを抽選し該抽選に当たるとストック
し、該抽選に当たらなかった場合にはストックしないことに決定可能なストック決定手段420と、前記閾値への上乗せを報知可能な報知手段70と、前記上乗せ抽選に当選したにも拘わらず前記ストック決定手段420の決定により上乗せせずにストックする数値の合計(以下、「ストック数」とする。)を算出し、記憶するストック演算手段440と、前記ストック数として所定数がストックされており、且つ、前記上乗せ抽選を実施して当選しなかった場合、前記当選状況判定手段410の判定結果に基づいて、前記引き弱状態のときは所定の抽選確率を用い、前記引き強状態のときは前記引き弱状態のときよりも低い抽選確率を用いて前記ストック演算手段440のストックを前記閾値に上乗せとして放出するかどうかを抽選し該抽選に当たると放出することに決定する放出決定手段460とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明では、引き強状態では、
前記上乗せ抽選手段による前記上乗せ抽選での実際の当選回数に基づく結果値が、この結果値に対応して該
上乗せ抽選の抽選確率により算出される期待値を超えており、遊技者にとって抽選で当たっている回数(結果値)の方が、その期待値よりも多く、遊技状況の調子が良い(好調)状態となっている。
一方、引き弱状態では、
前記上乗せ抽選手段による前記上乗せ抽選での実際の当選回数に基づく結果値が、その抽選の抽選確率により算出される期待値以下になっており、遊技者にとって抽選で当たっている回数が少なく、遊技状況の調子が悪い(不調)状態となっている。
上乗せ抽選に当選した場合、ストック決定手段420は、上乗せをストックするか否かの抽選において、引き強状態では引き弱状態よりも高確率で閾値の上乗せをストックする。
【0015】
また、上乗せ抽選に当選した場合、ストック決定手段420は、特殊状態の上乗せをストックするか否かの抽選において、引き弱状態では引き強状態よりも低確率で特殊状態の上乗せをストックする。
これにより、上乗せ抽選に当選した場合、引き強状態のときは、引き弱状態のときよりも、特殊状態の上乗せがより多くストックされ易くなる。一般的に引き強状態のときは、頻繁に当選している状態なので、特殊状態の上乗せ抽選の結果、当選しても、そのときに上乗せされずに今後の遊技のためにストックとなっても、遊技者の現在の遊技に対して大きな影響は与えない。
一方、引き弱状態のときは、当選している回数が少ないときなので、上乗せ抽選の結果、当選して、上乗せされずに今後の遊技のためにストックされると、現在の遊技に対する影響が大きくなる。このため、引き弱状態では、上乗せ抽選に当選したときにストックとなる確率を引き強状態よりも低確率とすることで、ようやく当選した分はストックされずに直ぐに上乗せし易いようにしている。
【0016】
さらに、ストック数として所定数がストックされている状態のときに上乗せ抽選を実施して当選しなかった場合、放出決定手段460は、ストックを放出するか否かの抽選において、引き強状態では引き弱状態よりも低確率でストックを上乗せとして放出する。
また、ストック数として所定数がストックされている状態のときに上乗せ抽選を実施して当選しなった場合、放出決定手段460は、ストックを放出するか否かの抽選において、引き弱状態では引き強状態よりも高確率でストックを放出する。
【0017】
これにより、上乗せ抽選を行って不当選で引き強状態のときは、引き弱状態のときよりも、ストックされているものが放出(上乗せ)され難くなり、ストックがそのまま維持され易くなる。また、上乗せ抽選を行って不当選で引き弱状態のときは、引き強状態のときよりも、ストックされているものが放出(上乗せ)され易くなる。
【0018】
引き強状態のときは、頻繁に
前記上乗せ抽選の当選が発生している状態なので、ストックが放出されてさらに上乗せされても、遊技者に大きなインパクトを与えないし、上乗せが発生したことの有り難みや喜びも薄れてしまう。それに対して、引き弱状態のときは、当選している回数が少ない状態なので、ストックが放出されて上乗せされると、遊技者に大きなインパクトを与えることができ、上乗せが発生したことの有り難みや喜びも大きなものとなる。
【0019】
結果として、引き強状態のときは、引き弱状態と比べて上乗せ抽選手段400により決定された上乗せをより多くストックさせることでき、そのストックしたものの放出は抑えられる。また、引き弱状態のときは、引き強状態と比べてストックすることは抑制され、ストックしているものは放出され易くなる。すなわち、遊技状況(抽選の当選状況)の調子が良いときに閾値の上乗せをストックし、遊技状況の調子が悪いときにストックした閾値の上乗せを放出させることができる。これにより、遊技状況に応じて、上乗せのストック及び放出を調整することができ、特殊状態の終了条件となる閾値の上乗せを遊技者に対して効果的にストックし、そのストックしたものを効果的に放出させることができ、特殊状態の終了タイミングの調整が可能となり、安定した遊技を行わせることができて遊技の興趣を向上させることができる。
【0020】
なお、本発明では、
上乗せ抽選での実際の当選回数に基づく結果値と、この結果値に対応して
上乗せ抽選の抽選確率により算出される期待値とが同一になった場合、抽選の調子が悪い(不調)状態(引き弱状態)に分類しているものである。
また、ここで、当選状況判定手段410において、引きの強弱を判定するのに、「前記特殊状態中、
前記上乗せ抽選手段400による前記上乗せ抽選での実際の当選回数に基づく結果値と該結果値に対応して前記
上乗せ抽選の抽選確率により算出される期待値とを比較する」には、比較する対象が、実際の当選回数と、抽選確率により算出される当選回数となる場合や、実際の当選回数により算出される抽選確率と、予め定めた抽選確率との場合との両方が含まれる。
【0021】
(請求項2)
請求項2記載の発明は、周囲に複数の図柄61が付された複数の回転リール62と、前記複数の回転リール62の各々に対応して設けられ、操作により前記各回転リール62の回転を停止させるためのストップスイッチ50と、複数の役のいずれかに当選か又はハズレかの役抽選を行う役抽選手段120とを備え、前記役抽選の結果及び前記ストップスイッチ50の停止操作に基づいて前記回転リール62の回転を停止させ、当選した役に係る図柄61の組合せが有効なライン上に揃ったか否かの判定を行い、その判定の結果に応じて所定の利益を付与するようにした遊技機10であって、通常の遊技(以下、「通常遊技」とする)が行われる通常状態と、前記通常遊技よりも多くの利益を付与可能な特殊遊技が行われる特殊状態とが設けられ、前記特殊状態で
遊技の進行に伴って記憶値が閾値に近づくように加算されるカウンタ360と、前記カウンタ360の前記記憶値が前記閾値に達したことに基づいて前記特殊状態の終了条件が成立したと判定する終了条件判定手段380と、所定の契機に前記閾値の上乗せを抽選(以下、「上乗せ抽選」とする。)により決定する上乗せ抽選手段400と、前記特殊状態中、
前記上乗せ抽選手段400による前記上乗せ抽選での実際の当選回数に基づく結果値と該結果値に対応して前記
上乗せ抽選の抽選確率により算出される期待値とを比較することで前記結果値が前記期待値以上ならば当選状況を引き強状態と判定し、前記結果値が前記期待値未満ならば当選状況を引き弱状態と判定する当選状況判定手段410と、前記上乗せ抽選を実施して当選した場合に前記当選状況判定手段410の判定結果に基づいて、前記引き強状態のときは所定の抽選確率を用い、前記引き弱状態のときは前記引き強状態のときよりも低い抽選確率を用いて、前記閾値の上乗せをストックするかどうかを抽選し該抽選に当たるとストック
し、該抽選に当たらなかった場合にはストックしないことに決定可能なストック決定手段420と、前記閾値への上乗せを報知可能な報知手段70と、前記上乗せ抽選に当選したにも拘わらず前記ストック決定手段420の決定により上乗せせずにストックする数値の合計(以下、「ストック数」とする。)を算出し、記憶するストック演算手段440と、前記ストック数として所定数がストックされており、且つ、前記上乗せ抽選を実施して当選しなかった場合、前記当選状況判定手段410の判定結果に基づいて、前記引き弱状態のときは所定の抽選確率を用い、前記引き強状態のときは前記引き弱状態のときよりも低い抽選確率を用いて前記ストック演算手段440のストックを前記閾値に上乗せとして放出するかどうかを抽選し該抽選に当たると放出することに決定する放出決定手段460とを備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明では、引き強状態では、
前記上乗せ抽選手段400による前記上乗せ抽選での実際の当選回数に基づく結果値が、その結果値に対応して
前記上乗せ抽選の抽選確率により算出される期待値以上になっており、遊技者にとって抽選で当たっている回数が引き弱状態よりも多く、調子が良い状態となっている。
一方、引き弱状態では、
前記上乗せ抽選手段400による前記上乗せ抽選での実際の当選回数に基づく結果値が、その結果値に対応して
前記上乗せ抽選の抽選確率により算出される期待値未満になっており、遊技者にとって抽選で当たっている回数が少なく、調子が悪い状態となっている。
本発明では、請求項1記載の発明に対して前記結果値と、前記期待値とが同一になった場合を、抽選の調子が良い状態(引き強状態)に分類しているものである。その他の作用効果は、請求項1記載の発明で説明した内容と同一である。
【0023】
(請求項3)
請求項3記載の発明は、上記した請求項1又は2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記閾値の上乗せをストックするかどうかの抽選に用いる抽選テーブルとして、所定の抽選確率を格納した高確抽選テーブルと、前記高確抽選テーブルよりも低い抽選確率を格納した低確抽選テーブルとが少なくとも設けられ、前記上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、前記当選状況判定手段410により前記引き強状態であるという判定結果の場合、前記ストック決定手段420は前記高確抽選テーブルを用いて抽選を行い、前記上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、前記当選状況判定手段410により前記引き弱状態であるという判定結果の場合、前記ストック決定手段420は前記低確抽選テーブルを用いて抽選を行い、前記上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、前記当選状況判定手段410により前記引き強状態であるという判定結果の場合、前記放出決定手段460は前記低確抽選テーブルを用いて抽選を行い、前記上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、前記当選状況判定手段410により前記引き弱状態であるという判定結果の場合、前記放出決定手段460は前記高確抽選テーブルを用いて抽選を行うことを特徴とする。
【0024】
本発明では、上乗せ抽選を実施して当選した場合、ストック決定手段420は、引き強状態のときは高確抽選テーブルを用い、引き弱状態のときは低確抽選テーブルを用いて抽選を行う。
また、上乗せ抽選を実施して当選していない場合、放出決定手段460は、引き強状態のときは低確抽選テーブルを用い、引き弱状態のときは高確抽選テーブルを用いて抽選を行う。
【0025】
ストック決定手段420と、放出決定手段460との抽選に用いる抽選テーブルとして、引き強状態と引き弱状態とで使用する抽選テーブルは互いに逆のもの(互いに交換されたもの)となる。これにより、ストック決定手段420及び放出決定手段460は、高確抽選テーブル又は低確抽選テーブルを共通して用いることができる。ストック決定手段420と、放出決定手段460とが、各状態において、それぞれ別個の抽選テーブルを用いるような場合(合計4種類の抽選テーブルが必要となる)と比べて、2種類だけの共通の抽選テーブルで済ませることができて記憶容量を節約することができる。
【0026】
(請求項4)
請求項4記載の発明は、周囲に複数の図柄61が付された複数の回転リール62と、前記複数の回転リール62の各々に対応して設けられ、操作により前記各回転リール62の回転を停止させるためのストップスイッチ50と、複数の役のいずれかに当選か又はハズレかの役抽選を行う役抽選手段120とを備え、前記役抽選の結果及び前記ストップスイッチ50の停止操作に基づいて前記回転リール62の回転を停止させ、当選した役に係る図柄61の組合せが有効なライン上に揃ったか否かの判定を行い、その判定の結果に応じて所定の利益を付与するようにした遊技機10であって、通常の遊技(以下、「通常遊技」とする)が行われる通常状態と、前記通常遊技よりも多くの利益を付与可能な特殊遊技が行われる特殊状態とが設けられ、前記特殊状態で
遊技の進行に伴って記憶値が閾値に近づくように加算されるカウンタ360と、前記カウンタ360の前記記憶値が前記閾値に達したことに基づいて前記特殊状態の終了条件が成立したと判定する終了条件判定手段380と、所定の契機に前記閾値の上乗せを抽選(以下、「上乗せ抽選」とする。)により決定する上乗せ抽選手段400と、(A)前記特殊状態中における特定の役(以下、「特定役」とする。)の実際の当選回数に基づく結果値と該結果値に対応して前記特殊状態中における前記特定役の抽選確率から算出される期待値とを比較し、さらに、(B)前記特殊状態中における前記上乗せ抽選手段400による上乗せ抽選の実際の当選回数に基づく結果値と、該結果値に対応して前記特殊状態中における前記上乗せ抽選の抽選確率から算出される期待値とを比較し、(A)及び(B)のいずれにおいても、前記結果値が該結果値に対応する前記期待値を超える場合には、当選状況を引き強状態と判定し、(A)及び(B)のいずれにおいても、前記結果値が該結果値に対応する前記期待値以下の場合には、当選状況を引き弱状態と判定し、(A)及び(B)のいずれか一方において、前記結果値が該結果値に対応する前記期待値を超え、他方において、前記結果値が該結果値に対応する前記期待値以下となる場合には、当選状況を普通の状態(以下、「引き普通状態」とする。)と判定する当選状況判定手段410と、前記上乗せ抽選を実施して当選した場合、前記当選状況判定手段410の判定結果に基づいて、前記引き普通状態のときは所定の抽選確率を用い、前記引き強状態のときは前記引き普通状態のときよりも高い抽選確率を用い、前記引き弱状態のときは前記引き普通状態のときよりも低い抽選確率を用いて前記閾値の上乗せをストックするかどうかを抽選し該抽選に当たるとストック
し、該抽選に当たらなかった場合にはストックしないことに決定可能なストック決定手段420と、前記閾値への上乗せを報知可能な報知手段70と、前記上乗せ抽選に当選したにも拘わらず前記ストック決定手段420の決定により上乗せせずにストックする数値の合計(以下、「ストック数」とする。)を算出し、記憶するストック演算手段440と、前記ストック数として所定数がストックされており、且つ、前記上乗せ抽選を実施して当選しなかった場合、前記当選状況判定手段410の判定結果に基づいて、前記引き普通状態のときは所定の抽選確率を用い、前記引き強状態のときは前記引き普通状態のときよりも低い抽選確率を用い、前記引き弱状態のときは前記引き普通状態のときよりも高い抽選確率を用いて前記ストック演算手段440のストックを前記閾値に上乗せとして放出するかどうかを抽選し該抽選に当たると放出することに決定する放出決定手段460とを備えたことを特徴とする。
【0027】
本発明では、引き強状態では、(A)及び(B)のいずれにおいても、実際の当選回数に基づく結果値が、その期待値を超えており、遊技者にとって抽選で当たっている回数が多く、遊技状況の調子が良い(好調)状態となっている。
一方、引き弱状態では、(A)及び(B)のいずれにおいても、実際の当選回数に基づく結果値が、その期待値以下になっており、遊技者にとって抽選で当たっている回数が少なく、遊技状況の調子が悪い(不調)状態となっている。
【0028】
また、引き普通状態では、(A)及び(B)のいずれか一方において、実際の当選回数に基づく結果値が、その期待値を超え、他方において実際の当選回数に基づく結果値が、その期待値以下になっており、遊技者にとって抽選で当たっている回数が普通で、遊技状況の調子が良くも悪くもない普通の状態となっている。
【0029】
また、上乗せ抽選に当選した場合、ストック決定手段420は引き強状態では引き普通状態よりも高確率で閾値の上乗せをストックする。
また、上乗せ抽選に当選した場合、ストック決定手段420は引き弱状態では引き普通状態よりも低確率で閾値の上乗せをストックする。
【0030】
上乗せ抽選に当選した場合、ストック決定手段420は引き普通状態では引き強状態よりも低確率且つ引き弱状態よりも高確率で閾値の上乗せをストックする。
これにより、上乗せ抽選に当選した場合、引き強状態のときは、引き普通状態よりも、閾値の上乗せがより多くストックされる。一般的に引き強状態のときは、頻繁に役抽選や上乗せ抽選に当選しているので、閾値の上乗せがストックとなっても、遊技者の遊技に対して大きな影響は与えない。一方、引き弱状態のときは、役抽選や上乗せ抽選に当選している回数が引き普通状態よりも少ないときなので、ようやく閾値の上乗せに当選したものがストックされると、遊技に対する影響が大きくなる。このため、引き弱状態では、上乗せ抽選に当選したときにストックとなる確率を引き普通状態よりも低確率とすることで、当選した上乗せはストックされ難く直ぐに上乗せし易いようにすることができる。
また、引き普通状態では、上乗せのストックに関して、引き強状態と引き弱状態との中間の性質が維持される。
【0031】
さらに、ストック数として所定数がストックされており、上乗せ抽選を実施して当選していない場合、放出決定手段460は引き普通状態では引き強状態よりも高確率且つ引き弱状態よりも低確率でストックを放出する。
また、ストック数として所定数がストックされており、上乗せ抽選を実施して当選しなかった場合、放出決定手段460は引き強状態では引き普通状態よりも低確率でストックを放出する。
【0032】
また、ストック数として所定数がストックされており、上乗せ抽選を実施して当選しなかった場合、放出決定手段460は引き弱状態では引き普通状態よりも高確率でストックを放出する。
これにより、ストック数が貯まっており上乗せ抽選を行って不当選の場合、引き強状態のときは、引き普通状態及び引き弱状態のときよりも、ストックされているものが放出され難くなる(上乗せされ難くなる)。そして、ストック数が貯まっており上乗せ抽選を行って不当選の場合、引き弱状態のときは、引き普通状態及び引き強状態のときよりも、ストックされているものが放出され易くなる(上乗せされ易くなる)。
【0033】
引き強状態のときは、頻繁に役抽選や上乗せ抽選に当選している状態なので、ストックが放出されてさらに閾値に上乗せされても、遊技者に大きなインパクトを与えないし、上乗せが発生したことの有り難みや喜びも薄れてしまう。それに対して、引き弱状態のときは、役抽選や上乗せ抽選に当選している回数が少ない状態なので、ストックが放出されて閾値に上乗せされると、遊技者に大きなインパクトを与えることができ、上乗せが発生したことの有り難みや喜びも大きなものを付与することができる。
【0034】
結果として、本発明では、引き強状態のときには、引き普通状態と比べて、より多くストックさせることができ、そのストックしたものの放出(上乗せ)を抑えることができる。また、引き弱状態のときには、引き普通状態と比べて、ストックすることを抑制することができ、ストックしているものは放出(上乗せ)され易くすることができる。また、引き普通状態のときは、ストック及び放出に関して引き強状態及び引き弱状態の中間の性質にすることができる。
【0035】
すなわち、遊技状況の調子が良いとき(引き強状態)に閾値の上乗せをストックし、遊技状況の調子が悪いとき(引き弱状態)にストックしたものを放出(上乗せ)させることができ、遊技状況の調子が普通のとき(引き普通状態)は、それらの中間の性質となる。これにより、遊技状況を段階的により細かく判定して、上乗せを遊技者に対して効果的にストックし、そのストックしたものを効果的に放出させることができて、特殊状態の終了タイミングの調整が可能となり、安定した遊技を行わせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0036】
(請求項5)
請求項5記載の発明は、周囲に複数の図柄61が付された複数の回転リール62と、前記複数の回転リール62の各々に対応して設けられ、操作により前記各回転リール62の回転を停止させるためのストップスイッチ50と、複数の役のいずれかに当選か又はハズレかの役抽選を行う役抽選手段120とを備え、前記役抽選の結果及び前記ストップスイッチ50の停止操作に基づいて前記回転リール62の回転を停止させ、当選した役に係る図柄61の組合せが有効なライン上に揃ったか否かの判定を行い、その判定の結果に応じて所定の利益を付与するようにした遊技機10であって、通常の遊技(以下、「通常遊技」とする)が行われる通常状態と、前記通常遊技よりも多くの利益を付与可能な特殊遊技が行われる特殊状態とが設けられ、前記特殊状態で
遊技の進行に伴って記憶値が閾値に近づくように加算されるカウンタ360と、前記カウンタ360の前記記憶値が前記閾値に達したことに基づいて前記特殊状態の終了条件が成立したと判定する終了条件判定手段380と、所定の契機に前記閾値の上乗せを抽選(以下、「上乗せ抽選」とする。)により決定する上乗せ抽選手段400と、(A)前記特殊状態中における特定の役(以下、「特定役」とする。)の実際の当選回数に基づく結果値と該結果値に対応して前記特殊状態中における前記特定役の抽選確率から算出される期待値とを比較し、さらに、(B)前記特殊状態中における前記上乗せ抽選手段400による上乗せ抽選の実際の当選回数に基づく結果値と、該結果値に対応して前記特殊状態中における前記上乗せ抽選の抽選確率から算出される期待値とを比較し、(A)及び(B)のいずれにおいても、前記結果値が該結果値に対応する前記期待値以上の場合には、当選状況を引き強状態と判定し、(A)及び(B)のいずれにおいても、前記結果値が該結果値に対応する前記期待値未満の場合には、当選状況を引き弱状態と判定し、(A)及び(B)のいずれか一方において、前記結果値が該結果値に対応する前記期待値以上となり、他方において、前記結果値が該結果値に対応する前記期待値未満となる場合には、当選状況を普通の状態(以下、「引き普通状態」とする。)と判定する当選状況判定手段410と、前記上乗せ抽選を実施して当選した場合、前記当選状況判定手段410の判定結果に基づいて、前記引き普通状態のときは所定の抽選確率を用い、前記引き強状態のときは前記引き普通状態のときよりも高い抽選確率を用い、前記引き弱状態のときは前記引き普通状態のときよりも低い抽選確率を用いて前記閾値の上乗せをストックするかどうかを抽選し該抽選に当たるとストック
し、該抽選に当たらなかった場合にはストックしないことに決定可能なストック決定手段420と、前記閾値への上乗せを報知可能な報知手段70と、前記上乗せ抽選に当選したにも拘わらず前記ストック決定手段420の決定により上乗せせずにストックする数値の合計(以下、「ストック数」とする。)を算出し、記憶するストック演算手段440と、前記ストック数として所定数がストックされており、且つ、前記上乗せ抽選を実施して当選しなかった場合、前記当選状況判定手段410の判定結果に基づいて、前記引き
普通状態のときは所定の抽選確率を用い、前記引き強状態のときは前記引き普通状態のときよりも低い抽選確率を用い、前記引き弱状態のときは前記引き普通状態のときよりも高い抽選確率を用いて前記ストック演算手段440のストックを前記閾値に上乗せとして放出するかどうかを抽選し該抽選に当たると放出することに決定する放出決定手段460とを備えたことを特徴とする。
【0037】
本発明では、引き強状態では、(A)及び(B)のいずれにおいても、実際の当選回数に基づく結果値が、その期待値以上になっており、遊技者にとって抽選で当たっている回数が多く、調子が良い状態となっている。
一方、引き弱状態では、(A)及び(B)のいずれにおいても、実際の当選回数に基づく結果値が、その期待値未満になっており、遊技者にとって抽選で当たっている回数が少なく、調子が悪い状態となっている。
【0038】
また、引き普通状態では、(A)及び(B)のいずれか一方において、実際の当選回数に基づく結果値がその期待値以上となり、他方において実際の当選回数に基づく結果値がその期待値未満になっており、遊技者にとって抽選で当たっている回数が普通で、調子が良くも悪くもない普通の状態となっている。
本発明では、(A)及び(B)のいずれにおいても実際の当選回数に基づく結果値と、その期待値とが同一になった場合を、引き強状態に分類しているものである。その他の作用効果は、請求項4記載の発明で説明した内容と同一である。
【0039】
(請求項6)
請求項6記載の発明は、上記した請求項4又は5に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記閾値の上乗せをストックするかどうかの抽選に用いる抽選テーブルとして、所定の抽選確率を格納した普通抽選テーブルと、前記普通抽選テーブルよりも低い抽選確率を格納した低確抽選テーブルと、前記普通抽選テーブルよりも高い抽選確率を格納した高確抽選テーブルとが少なくとも設けられ、前記上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、前記当選状況判定手段410により前記引き普通状態であるという判定結果の場合、前記ストック決定手段420は前記普通抽選テーブルを用いて抽選を行い、前記上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、前記当選状況判定手段410により前記引き強状態であるという判定結果の場合、前記ストック決定手段420は前記高確抽選テーブルを用いて抽選を行い、前記上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、前記当選状況判定手段410により前記引き弱状態であるという判定結果の場合、前記ストック決定手段420は前記低確抽選テーブルを用いて抽選を行い、前記上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、前記当選状況判定手段410により前記引き普通状態であるという判定結果の場合、前記放出決定手段460は前記普通抽選テーブルを用いて抽選を行い、前記上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、前記当選状況判定手段410により前記引き強状態であるという判定結果の場合、前記放出決定手段460は前記低確抽選テーブルを用いて抽選を行い、前記上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、前記当選状況判定手段410により前記引き弱状態であるという判定結果の場合、前記放出決定手段460は前記高確抽選テーブルを用いて抽選を行うことを特徴とする。
【0040】
本発明では、上乗せ抽選を実施して当選した場合、ストック決定手段420は、引き普通状態のとき普通抽選テーブルを用い、引き強状態のとき高確抽選テーブルを用い、引き弱状態のとき低確抽選テーブルを用いて抽選を行う。
また、上乗せ抽選を実施して当選しない場合、放出決定手段460は、引き普通状態のとき普通抽選テーブルを用い、引き強状態のとき低確抽選テーブルを用い、引き弱状態のとき高確抽選テーブルを用いて抽選を行う。
【0041】
すなわち、ストック決定手段420と、放出決定手段460との抽選に用いる抽選テーブルとして、引き強状態と引き弱状態とで使用する抽選テーブルは互いに逆のもの(互いに交換されたもの)となる。これにより、ストック決定手段420及び放出決定手段460は、引き普通状態、引き強状態及び引き弱状態で使用する抽選テーブルとして、普通抽選テーブル、高確抽選テーブル及び低確抽選テーブルのいずれかを共通して用いることができる。各状態において、ストック決定手段420と、放出決定手段460とのそれぞれ別個の抽選テーブルを用いるような場合(6種類の抽選テーブル)と比べて、3種類だけの抽選テーブルを共通して用いることができて記憶容量を節約することができる。
【0042】
(請求項7)
請求項7記載の発明は、上記した請求項1、2、3、4、5又は6に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記上乗せ抽選手段400により決定された上乗せの少なくとも一部が前記閾値の上乗せとしてストック可能であることを特徴とする。
【0043】
上乗せ抽選手段400により決定された上乗せの少なくとも一部が閾値の上乗せとしてストック可能となることで、ストックされる量のバリエーションを増やすことができ、結果として上乗せの付与パターンを種々のものにすることができる。
【0044】
(請求項8)
請求項8記載の発明は、上記した請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記ストック数の合計の少なくとも一部が前記閾値に上乗せとして放出可能であることを特徴とする。
【0045】
ストック数の合計の少なくとも一部が上乗せとして放出可能となることで、ストックされた中から、放出される量のバリエーションを増やすことができ、結果として上乗せの付与パターンをさらに種々のものにすることができる。
【0046】
(請求項9)
請求項9記載の発明は、上記した請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記報知手段70は、前記閾値の上乗せをストックする場合にストックすることを遊技者に報知しないことを特徴とする。
【0047】
本発明では遊技者の調子が良いときに遊技者に解らないように上乗せをストックし、調子が悪いときにストックしたものを放出(上乗せ)させることができる。遊技状況に応じた上乗せのストック及び放出により、閾値の上乗せの抽選結果を調整しているにもかかわらず、遊技者には、そのような調整がされているとは解らないようにすることができる。これにより、遊技状況の好調、不調の波が発生しても、遊技者に解らないように特殊状態の終了タイミングの調整が施された安定した遊技を行わせることができる。
【0048】
また、本発明では、報知手段70はストックすることを遊技者に報知しないことで、いずれの時点においても、閾値の上乗せがストックされているかもしれないという期待感を絶えず持たせることができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1及び2記載の発明によれば、引き強状態のときに、引き弱状態と比べて上乗せをより多くストックさせることでき、そのストックしたものの放出は抑えられる。また、引き弱状態のときに引き強状態と比べて、ストックすることは抑制され、ストックしているものは放出され易くなる。すなわち、遊技状況が好調のとき(引き強状態)に上乗せをストックし、不調のとき(引き弱状態)にストックした上乗せを放出させることができる。結果として遊技状況に応じて、上乗せのストック及び放出を調整することができ、上乗せを遊技者に対して効果的にストックし、そのストックしたものを効果的に放出させることができ、特殊状態の終了タイミングの調整が可能となり、安定した遊技を行わせることができ、遊技の興趣を向上させることが可能な遊技機を提供することができる。
【0050】
請求項3記載の発明によれば、上記した請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、それぞれ別個の抽選テーブルを用いるような場合と比べて、共通の抽選テーブルを用いることができて記憶容量を節約することが可能な遊技機を提供することができる。
【0051】
請求項4及び5記載の発明によれば、引き強状態のときに、引き普通状態と比べて、より多くストックさせることができ、そのストックしたものの放出は抑えられる。また、引き弱状態のときに引き普通状態と比べて、ストックすることは抑制され、ストックしているものは放出され易くなる。また、引き普通状態のときは、ストック及び放出に関して引き強状態及び引き弱状態の間の性質となる。すなわち、遊技状況の調子が良いときに上乗せをストックし、遊技状況の調子が悪いときにストックした上乗せを放出させることができ、遊技状況の調子が普通のときは、それらの中間の性質にすることができる。これにより、遊技状況をより細かく判定して、上乗せを遊技者に対して効果的にストックし、そのストックしたものを効果的に放出させることができて安定した遊技を行わせることができ、特殊状態の終了タイミングの調整が可能となり、遊技の興趣を向上させることが可能な遊技機を提供することができる。
【0052】
請求項6記載の発明は、上記した請求項4又は5に記載の発明の効果に加えて、ストック決定手段及び放出決定手段は、引き普通状態、引き強状態及び引き弱状態で使用する抽選テーブルとして、普通抽選テーブル、高確抽選テーブル及び低確抽選テーブルのいずれかを共通して用いることができる。これにより、それぞれ別個の抽選テーブルを用いるような場合と比べて、3つの抽選テーブルを共通して用いることができて記憶容量を節約可能な遊技機を提供することができる。
【0053】
請求項7記載の発明は、上記した請求項1、2、3、4、5又は6に記載の発明の効果に加え、ストック量のバリエーションを増やすことができて上乗せの付与パターンを種々のものにすることが可能な遊技機を提供することができる。
【0054】
請求項8記載の発明は、上記した請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の発明の効果に加えて、ストックされた中から、放出される量のバリエーションを増やすことができて上乗せの付与パターンをさらに種々のものにすることが可能な遊技機を提供することができる。
【0055】
請求項9記載の発明は、上記した請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の発明の効果に加えて、抽選に関して、好調、不調の波が発生しても、遊技者に対して常に調整が施された安定した遊技を行わせることができ、また、期待感を持たせることが可能な遊技機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0057】
(第1の実施の形態)
本明細書では、各説明箇所において、方向についての定義等が示されていない場合には、遊技機10の方を向いて位置している遊技者から見て、遊技機10から遊技者の手前側に向かう方向を「前」方向とし、その逆方向を「後」方向とする。また、同様に、「左」や「右」等の左右方向も、遊技者から見た場合の左方向や、右方向を意味する。同様に、各部材の説明においても、方向についての定義等が示されていない場合には、各部材を、遊技機10の所定位置に固定した状態における遊技者から見た方向を意味する。
本実施の形態に係る遊技機10としてのスロットマシンを、以下、
図1を参照しながら説明する。本実施の形態に係る遊技機10としてのスロットマシンは、前方向に向かって開口する正面開口を有する四角箱状の筐体12と、この筐体12の正面開口を開閉自在に覆う前扉14とを備えている。
【0058】
前扉14の上部には、薄板樹脂からなる上パネル20を備えている。この上パネル20の略中央には、3個の回転リール62(正面から向かって左側の左回転リール64、中央の中回転リール66、右側の右回転リール68)の円周上の図柄61を見ることができる透過可能な図柄表示窓部16が形成されている。この図柄表示窓部16は、3個全ての回転リール62の回転が停止した際には、縦3列横3行に配置した合計9個の図柄61を遊技者に見せるように形成されている。この図柄表示窓部16は、回転リール62の正面側に設けられて、回転リール62の回転が停止した際、後述する有効ライン86上に停止している複数の図柄61を視認するためのものである。回転リール62は、複数の図柄61を図柄表示窓部16を介して変動表示可能なものである。
【0059】
前記図柄表示窓部16の後方向(奥方向)には、3個の駆動モータ(図示せず)と、この各駆動モータによってそれぞれ回転させられる合計3個の前記回転リール62と、前記駆動モータ及び前記回転リール62を保持するユニットホルダ(図示せず)とを有するリールユニット60が配置されている。
前記前扉14には、遊技者に役抽選の当選等の種々の情報を音や光や映像等で報知させる報知手段70が形成されている。この報知手段70は、前扉14に配置されているものであって、スピーカー72と、表示装置84と、演出用ランプ78とを備えている。この報知手段70は、後述するAT状態の上乗せ遊技回数を遊技者に報知可能なものである。なお、ここで、本実施の形態に係る報知手段70は、後述するAT状態の終了遊技回数(閾値)の上乗せをストックする場合にストックすることを遊技者に報知しないものであるが、もちろん、報知するようにしてもよい。
また、回転リール62は、通常、遊技進行のために用いられるが、遊技の進行を停止している状態において、通常の回転動作とは異なる挙動による演出(いわゆるリール演出)を示すことにより報知手段70の一種としても使用してもよい。
【0060】
前記スピーカー72は、前扉14の上部左右に配置された上部スピーカー74と、前扉14の下部左右に配置された下部スピーカー76とを備えている。
前記表示装置84は、その画面に種々の映像を表示するための表示デバイスであり、動画を含んだ映像の表示を行うための液晶表示装置を有する演出ユニットを構成するものである。
前記演出用ランプ78は、前扉14の上部に配置された上部ランプ80と、前扉14の下部の左右に配置された下部ランプ82とを備えている。
【0061】
前記前扉14の下部には下パネル22が設けられている。そして、前扉14には下パネル22の上に位置して前扉14の前方向へ向けて突出する操作部30を備えている。
本実施の形態に係る遊技機10には、遊技開始の条件として後述するメダル投入口38からあらかじめメダルを投入して、最大50枚までクレジットメダルとして内部に貯留可能なクレジット機能(投入枚数を電子データとして電子的に記憶し管理する機能)を有している。なお、このクレジットメダルとして貯留可能な最大枚数である50枚を最大クレジットメダル数とする。
【0062】
前記メダル投入口38の下には、クレジット機能によりクレジットしたメダルの全てを払い出すための精算スイッチ36が設けられている。この精算スイッチ36の左側には、操作により対応する回転リール62の回転を停止させるため、3個の回転リール62のそれぞれに対応する3個のストップスイッチ50が設けられている。このストップスイッチ50は、左回転リール64を停止させるための左ストップスイッチLと、中回転リール66を停止させるための中ストップスイッチCと、右回転リール68を停止させるための右ストップスイッチRとを有している。これらのストップスイッチ50は、複数の回転リール62それぞれに対応して設けられ、複数の回転リール62の図柄61の変動表示の開始後、遊技者の操作により回転リール62の図柄61の変動表示を個別に停止させるためのものである。
【0063】
このストップスイッチ50の左側には、メダルの投入又は後述するマックスベットスイッチ34の操作を条件に回転リール62の回転を開始させるためのスタートスイッチ40が設けられている。すなわち、このスタートスイッチ40は、遊技者の操作により回転リール62の図柄61の変動表示を開始させるためのものである。このスタートスイッチ40の上には、クレジットしたメダル数から最大投入枚数(具体的には3枚)に達するまで投入可能なメダル数を減じて3枚のメダル投入に代えるマックスベットスイッチ34が設けられている。なお、後述するCBB中には上記3枚投入が2枚投入に設定されている。
なお、マックスベットスイッチ34に加えて、又はマックスベットスイッチ34に代えて、クレジットしたメダル数を1枚減じて1枚のメダル投入に代えるシングルベットスイッチを設けてもよい。
【0064】
前記前扉14の下部の後方向(奥方向)には、いわゆるホッパーユニットであって、メダルを貯留することができるとともに、メダルを払い出すことができる貯留払出手段24(
図3参照)と、電源投入又は電源遮断のための操作が可能な電源スイッチを有すると共に各部品に電力を供給するための電源装置(図示せず)とが配置されている。
【0065】
前記前扉14の下部には、所定の場合に貯留払出手段24からメダルが払い出されるメダル払出口28が形成されている。このメダル払出口28の下方には、メダル払出口28から払い出されたメダルを貯留するため、上方に向かって開口する皿状のメダル受け皿26が形成されている。なお、クレジットされているメダル数が最大クレジットメダル数である50枚未満の場合は、50枚に到達するまで、獲得したメダルはメダル払出口28から払い出されずにクレジットメダルの枚数に加算される。
【0066】
本実施の形態に係る遊技機10は、マックスベットスイッチ34の操作又はメダル投入により所定枚数のメダルを投入することにより遊技の開始を可能とするものである。そして、スタートスイッチ40の押下操作により、回転リール62の回転を開始させて遊技が開始されるとともに、後述するメイン制御装置110の各遊技状態に対応した抽選テーブルを用いて役抽選が行われる。そして、当該遊技機10は、各回転リール62に対応するストップスイッチ50の操作タイミング及び役抽選の結果に基づいて、回転リール62の回転を役抽選の結果に適合するように停止させる。当該遊技機10は、停止時の図柄61の組合せによって、当選した役を構成する図柄61の組合せが所定の有効なライン(所定の役の図柄61の組合せが当該ライン上に揃ったときに所定の利益が付与されるラインのことであり、以下、有効ライン86とする。)上に停止した場合に、入賞等となり、所定枚数のメダルを払い出す等の所定の利益を遊技者に付与する。これにより、1回の遊技が終了するものである。
【0067】
なお「有効ライン86」は後述の停止図柄判定手段150の判定対象となるラインを意味し、後述する小役の「入賞」等は有効ライン86上に役に対応した図柄61の組合せが揃うことを意味する。本実施の形態の有効ライン86は、左回転リール64の中段と、中回転リール66の中段と、右回転リール68の下段とを結んだ折れ線状の1本のみからなるものである。
図2に示すように、左回転リール64、中回転リール66及び右回転リール68の表面には、「赤7」、「青7」、「白7」、「ベル(BEL)」、「リプレイ(REP)」、「チェリー1(CH1)」、「チェリー2(CH2)」、「スイカ1(WM1)」、「スイカ2(WM2)」、「BAR」の複数の種々の図柄61が形成されている。
特に図示していないが、上述した図柄61の組み合わせにより、役1、役2、役3・・・と複数の役が予め設定されている。これらの役に係る図柄61を有効ライン86に停止表示させることにより、メダルが払い出される等の所定の利益が遊技者に付与されるものである。
【0068】
これらの図柄61は、それぞれの絵柄がプリントされたテープを回転リール62の外周表面に貼付することで形成されている。なお、
図2の図柄61の番号(コマ番号)は、回転リール62の外周表面に物理的に付されているものではなく、仮想的な番号であって、各図柄61の停止を制御するためのプログラムで特定の図柄61を指定するためのものである。
【0069】
図3に示すように、遊技機10の内部には、遊技機10の全体の動作を制御するための制御装置100が形成されている。この制御装置100は、遊技を進行させて遊技状態を制御するメイン制御装置110と、このメイン制御装置110からの情報(コマンド)を受けて、遊技の進行に応じた演出を制御し、主に遊技内容に関する情報を遊技者に報知する演出を行うために演出状態を制御するサブ制御装置300とを備えている。
【0070】
ここで、メイン制御装置110の制御に基づくスロットマシンの作動状態を遊技状態といい、サブ制御装置300の制御に基づくスロットマシンの作動状態を演出状態というものとする。なお、メイン制御装置110とサブ制御装置300との間は、メイン制御装置110への不正操作を防止するために、メイン制御装置110からサブ制御装置300への一方向の通信により行われ、サブ制御装置300からメイン制御装置110への逆方向の通信は行われていない(すなわち双方向の通信ではない)。メイン制御装置110は、マックスベットスイッチ34、精算スイッチ36、スタートスイッチ40、ストップスイッチ50の入力を受け付け、役抽選を行い、リールユニット60及び貯留払出手段24の作動を制御する。サブ制御装置300は、メイン制御装置110から信号を入力し、表示装置84等の報知手段70の作動を制御する。サブ制御装置300の出力側には、報知手段70としてのスピーカー72、表示装置84、演出用ランプ78の各パーツが接続されている。
【0071】
なお、特に図示していないが、メイン制御装置110を有するメイン基板と、サブ制御装置300を有するサブ基板とは、それぞれ専用の基板ケースの内部に収納されている。具体的には、メイン制御装置110は、メイン基板ケースの内部に収納され、サブ制御装置300は、サブ基板ケースの内部に収納されている。そして、メイン基板ケースは、筐体12内部の奥側の上部に固定され、サブ基板ケースは、筐体12内部の正面から向かって左側に固定されている。
【0072】
メイン制御装置110及びサブ制御装置300は、CPU、ROM、RAM、I/Oポート(図示せず)を備えたマイクロコンピュータにより構成される。CPUは、タイマ割込などの割込機能を持ち、ROMに記憶されたプログラムを実行して、種々の処理を行う。ROMは、CPUが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶し、RAMは、CPUがプログラムを実行する際の一時的な記憶領域、例えば遊技機10の状態を記憶するための記憶領域や、役抽選の抽選結果を記憶するための記憶領域として使用される。
【0073】
本実施の形態に係る遊技機10では、通常の遊技(通常遊技)が行われる通常状態が設けられている。
この通常遊技よりも再遊技役(リプレイ役)の当選の確率が通常遊技よりも高く(或いは低く)設定されているリプレイタイム(RT)状態と、ストップスイッチ50の停止操作順番や当選図柄等を報知することによって役に係る図柄61の組合せを有効ライン86上に揃って停止させるためのアシストをするアシストタイム(AT)状態とが設けられている。なお、RT状態は、メイン制御装置110により制御され、AT状態は、サブ制御装置300により制御される。上記アシストタイム(AT)状態は、通常遊技よりも遊技者に多くの利益を付与する可能性が高い特殊遊技が行われる特殊状態となるように形成されている。
【0074】
ここで、RT状態で行われている遊技をリプレイタイム遊技(RT遊技)、AT状態で行われている遊技をアシストタイム遊技(AT遊技)としている。
AT遊技が行われるAT状態は、所定の開始条件を達成したときに開始可能であり、所定の終了条件を達成したときに終了可能に形成されている。具体的には、特殊状態としてのAT状態は、役抽選の抽選結果、所定の移行役に当選した場合や、後述する移行抽選手段340により所定の移行抽選に当選した場合に開始可能でり、終了条件としての所定の遊技回数(いわゆる終了遊技回数)の到達により終了可能なものである。この終了遊技回数は、その数値の前後によって、動作状態が変わる閾値としての役割を有する。なお、AT状態の開始条件や終了条件は、上述したものに限定されるものではなく、他の内容の条件に設定してもよいものである。例えば、AT状態の終了条件を、上述したような遊技回数に関連するものではなく、メダルの払出枚数と投入枚数との差による、いわゆる所定の差枚数に設定してもよい。
【0075】
AT状態におけるAT遊技は、所定の移行抽選の結果に応じて所定の遊技回数(終了遊技回数)だけ実行可能である。この終了遊技回数(閾値)は、AT遊技を実行可能な遊技回数であって、上乗せ可能に設定されている。この終了遊技回数の上乗せを決定する際には、特殊遊技の遊技回数に上乗せするときの演出、いわゆる上乗せ演出が実行可能であり、後述する表示演出実行手段480により、表示装置84を用いた表示演出が上乗せ演出として実行可能に形成されている。この表示演出は、液晶表示装置である表示装置84に表示される動画像や静止画像等により行われる演出である。なお、表示演出に伴ってスピーカー72からの音声や音楽や効果音等は適宜行われる。
【0076】
メイン制御装置110は、役抽選手段120、リール制御手段130、停止図柄判定手段150、通常遊技制御手段160、RT制御手段170、ボーナス遊技制御手段180、払出制御手段220及び送信手段230の各手段を有する。各手段の詳細については後述する。
なお、これらの手段は、メイン制御装置110からサブ制御装置300へ所定の情報が送信されるようにすることでメイン制御装置110ではなく、サブ制御装置300が有しても良いものである。
【0077】
以上の構成をもって、メイン制御装置110は、役の抽選を行い、回転リール62の回転及び停止を制御し、回転リール62がすべて停止したときに停止図柄61の判定を行い、遊技の進行を行う手段として機能することとなる。
【0078】
メイン制御装置110は、遊技を制御するためのものであって、遊技を進行させるためのものである。以下、本実施の形態における遊技について説明する。
規定の賭け数(3枚)が設定されると、1本の有効ライン86(
図1参照)が設定される。なお、本実施の形態に係る遊技機10は、規定の賭け数として3が設定されている。賭け数を設定する方法には、メダル投入口38からメダルを投入する方法と、マックスベットスイッチ34を操作することによってクレジットメダルを賭け数として設定する方法とがある。そして、規定の賭け数(3枚)が設定されていることを条件に、スタートスイッチ40を操作すると、賭け数が確定し、役抽選手段120により、複数の役のいずれかに当選したか又はハズレかの抽選(役抽選)が行われる。また、役抽選とほぼ同時に、前回の遊技での回転リール62の回転開始時から所定の時間(本実施の形態では、4.1秒)が経過しているか否かが判定され、所定の時間が経過すると、3個すべての回転リール62の回転が開始する。なお、本実施の形態では、後述するボーナス遊技(CBB)中のみ上記規定数が2に設定されている。
【0079】
本実施の形態では、役として、大別すると、小役(メダルの払い出しを伴う役)、再遊技役(遊技者所有のメダルを使用することなく次回の遊技を開始可能とする役、いわゆるリプレイ役)、移行役(遊技状態や演出状態の移行を伴う役)が設けられている。
回転リール62の回転開始後、所定の条件(本実施の形態では、回転リール62を加速する処理を実行した後、所定のセンサにより回転リール62の回転位置が基準位置であることを検出すること)が成立すると、ストップスイッチ50の操作が可能な状態(停止操作可能状態)となる。
その後に、3個のストップスイッチ50のうち1個を操作すると、当該ストップスイッチ50に対応した回転リール62の回転が停止する。そして、3個すべてのストップスイッチ50の操作を終えると、3個すべての回転リール62の回転が停止する。
【0080】
このとき、有効ライン86上に所定の図柄61の組合せが揃うと、当該図柄61の組合せに対応した処理が行われる。本実施の形態に係る遊技機10は、有効ライン86上に予め定められた図柄61の組合せが揃うと遊技者に利益が付与されるように形成されている。例えば小役に対応した図柄61の組合せが有効ライン86上に揃うと、小役に対応した枚数のメダルが遊技者に対して付与される。
【0081】
本実施の形態に係る遊技機10では、通常に行われる(一般的な遊技である)通常状態と、この通常状態において役抽選手段120の役抽選によりボーナス(CBB)に当選したにもかかわらず当該ボーナス移行役に係る図柄61が有効ライン86上に停止しなかった場合に、通常状態から移行するRT1状態(CBB当選中状態)と、このRT1状態(CBB当選中状態)においてボーナス移行役に係る図柄61が有効ライン86上に停止した場合に移行し、通常状態よりも遊技者へ付与される利益がより大きくなり得るボーナス状態(CBB状態)とが設けられている(
図4参照)。
【0082】
さらに、再遊技役(リプレイ役)の抽選状態として、再遊技役(リプレイ役)の抽選確率が異なる複数の状態が設けられている。遊技状態として、再遊技役(リプレイ役)の当選の確率が通常状態での遊技よりも高く(或いは低く)設定されているリプレイタイム状態(RT状態)が設けられている。このRT状態は、メイン基板を有するRT制御手段170により制御される。
【0083】
ボーナス状態は、移行役としてのボーナス移行役に当選し、さらにボーナス移行役に対応した図柄61の組合せ(具体的には「青7、青7、BAR」)が有効ライン86上に揃うと、揃った遊技の次回の遊技から開始される遊技である。なお、ボーナス移行役は、当選時の遊技で有効ライン86上にボーナス移行役に対応する図柄61の組合せが揃わなくても、次回の遊技以降、有効ライン86上にボーナス移行役に対応する図柄61の組合せが揃うまでボーナス移行役に当選した状態が有効である。その他の役は、当選時の遊技で有効ライン86上に役に対応する図柄61の組合せが揃わなければ、次回の遊技以降は無効となる。ボーナス状態は、ボーナス状態中に遊技者へ払い出したメダルの総枚数が予め設定された枚数を超えたときに終了する。
【0084】
本実施の形態では、ボーナス状態として、主にメイン制御装置110により制御されるチャレンジボーナス状態(CBB状態)が設けられている。チャレンジボーナス状態は、全ての小役を当選状態にすることで小役の入賞を容易にしているものである。なお、チャレンジボーナス状態中は所定の場合にストップスイッチ50の操作時から75ms以内に停止させることになっており、通常状態よりもいわゆる滑りコマ数が少なくなっている。具体的には、本実施の形態に係るチャレンジボーナス状態では、右回転リール68は、右ストップスイッチRを停止操作したときのタイミングで表示位置にある図柄61と、その図柄61の1コマ上の図柄61との2コマの範囲内の中から停止可能な、いわゆる「1コマすべり」の状態となっている。本実施の形態に係るチャレンジボーナス状態は28枚を超える払出枚数で終了する。もちろん、この終了条件は28枚に限定されるものではなく、他の枚数でもよいものである。
【0085】
また、有効ライン86上に再遊技役(リプレイ役)に対応する図柄61の組合せが揃うと、メダルの払い出しはないものの、次回の遊技において遊技者所有のメダルを使用することなく賭け数が自動的に設定され遊技を行うことができる。
【0086】
役抽選手段120は、メイン制御装置110が備える手段であり、スタートスイッチ40の操作を契機に、複数の役のいずれかに当選か又はハズレかの抽選(役抽選)を行うためのものである。役抽選手段120は、役に当選したか否かを決定するための抽選テーブルを、主な分類として通常状態用、ボーナス状態(CBB状態)用、RT1状態(CBB当選中状態)用のそれぞれに対応して複数備えており、メイン制御装置110のROM上に記憶されている。役抽選手段120は、予め定めた抽選データと、所定範囲の整数値を繰り返してカウントするループカウンタを有する所定の乱数発生手段(乱数発生回路)が発生した乱数のうちから抽出した乱数とを比較して、当選か否かを判定する。なお、役抽選手段120による処理は、後述するステップ113(
図18参照)において行われる。
また、本実施の形態に係る遊技機10では、特に図示していないが、役抽選手段120の抽選テーブルの種類の相違により、抽選確率のレベルの少なくとも一部が異なる設定1から設定6までの6段階の抽選テーブルが用いられている。この設定は、遊技機10内部の設定変更スイッチ(図示せず)により変更可能なものである。
【0087】
リール制御手段130は、メイン制御装置110が備える手段であり、各回転リール62の回転を停止させるためのものである。リール制御手段130は、役抽選手段120の抽選結果と、各ストップスイッチ50が操作されたときの対応する回転リール62の回転位置とに基づいて、各回転リール62の回転を停止させる。なお、リール制御手段130は、必要に応じて各ストップスイッチ50が停止操作されるときの順番(停止操作順番)が所定の条件に適合しているか否かも停止させる条件にする場合がある。リール制御手段130による処理は、後述するステップ114(
図18参照)において行われる。
【0088】
停止図柄判定手段150は、メイン制御装置110が備える手段であり、すべての回転リール62が停止した際における有効ライン86上の図柄61の組合せを記憶するとともに入賞等の判定をするためのものである。なお、停止図柄判定手段150による処理は、後述するステップ115(
図18参照)において行われる。
【0089】
通常遊技制御手段160は、通常遊技の進行を制御するものである。ここで、通常遊技とは、後述するRT制御手段170によるリプレイタイム(RT)や、ボーナス遊技制御手段180によるCBB以外の遊技状態をいう。なお、通常遊技中における再遊技役の当選確率は、リプレイタイム(RT)遊技中よりも低く設定されている。
【0090】
RT制御手段170は、リプレイタイム(RT)状態を制御するものである。
ボーナス遊技制御手段180は、ボーナス遊技、具体的には、CBB状態を制御するものである。
払出制御手段220は、停止図柄判定手段150の判定結果に基づいて、メダル払い出し等の所定の処理を行うためのものである。払出制御手段220は、停止図柄判定手段150の判定の結果、小役が入賞していると判定されるとメダルの払い出しを行う。
【0091】
送信手段230は、サブ制御装置300へ種々の信号を送信するためのものである。
サブ制御装置300は、受信手段310及びAT制御手段320の各手段を有する。各手段の詳細については後述する。サブ制御装置300は、メイン制御装置110からの信号を受けて、遊技の進行に伴う演出を行うものである。
【0092】
受信手段310は、送信手段230からの信号を受信するものである。
AT制御手段320は、AT状態の演出状態を制御するものである。具体的には、AT制御手段320は、移行抽選手段340、カウンタ360、終了条件判定手段380、上乗せ抽選手段400、当選状況判定手段410、ストック決定手段420、ストック演算手段440、放出決定手段460、ストック放出抽選テーブル記憶手段470及び表示演出実行手段480を備えている。
なお、これらの手段はメイン制御装置110に配置してもよいものであり、特に、移行抽選手段340、カウンタ360、終了条件判定手段380、上乗せ抽選手段400、当選状況判定手段410、ストック決定手段420、ストック演算手段440、放出決定手段460及びストック放出抽選テーブル記憶手段470は、サブ制御装置300ではなくメイン制御装置110に配置してもよい。
【0093】
移行抽選手段340は、所定の契機でAT状態へ移行するか否かを抽選(移行抽選)で決定するものである。ここで、所定の契機とは、役抽選手段120の抽選の結果、所定の契機役(移行抽選役)に当選したときである。この移行抽選に当選した場合、予め定めた所定の遊技回数だけ(具体的には10回)、AT状態のAT遊技を実行可能な状態となる。もちろん、かかる初期設定のAT遊技の遊技回数も抽選により決定するようにしてもよい。
【0094】
カウンタ360は、AT状態において、AT遊技を1回実行するごとにAT遊技の記憶値としての実行遊技回数に1を加算する。この実行遊技回数は、AT状態中、その都度、記憶値として記憶されている。なお、この記憶値としての実行遊技回数には、AT状態に移行する際には、0が初期値として設定されている。この記憶値としての実行遊技回数が、AT状態の終了条件である終了遊技回数(閾値)に到達することで、AT状態が終了するように設定されている。すなわち、カウンタ360は、AT状態中、AT遊技が1回実行されるごとに、実行遊技回数(記憶値)が、終了遊技回数(閾値)に1だけ近づくように、終了遊技回数に1を加算しているものである。また、カウンタ360は、AT状態の残りの遊技気回数である残遊技回数も、終了遊技回数から実行遊技回数を減算することで算出する。また、カウンタ360は、終了条件判定手段380の決定によりAT状態が終了する際、初期値0にリセットされる。なお、カウンタ360は、演出状態がAT状態であるときのみカウントし、サブ通常状態のときはカウント(加算)を実行しないものである。なお、この実行遊技回数は、後述するAT中の現在までの実行遊技回数Gとして設定されている(
図6参照。)。
なお、実行遊技回数Gは、設定1〜設定6の6段階の設定を設定変更スイッチの操作により変更される設定変更処理が行われることにより、0にリセットされる。もちろん、リセットされないようにしてもよい。
また、本実施の形態では、後述する当選状況判定手段が採取する各種データも当該実行遊技回数G中のデータが採取されるものである。
また、本実施の形態では、実行遊技回数Gは、AT状態における連続するAT遊技の総遊技回数に設定されているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、実行遊技回数Gは、通常状態を間に挟んだ複数のAT状態のAT遊技回数を、カウントするようにしてもよいものである。この場合には、カウンタ360がカウントする期間に対応して、当選状況判定手段が採取する各種データも同一の期間中に採取されることになる。
【0095】
終了条件判定手段380は、カウンタ360の実行遊技回数(記憶値)がAT状態の終了条件である終了遊技回数(閾値)に達したことに基づいて特殊状態としてのAT状態の終了条件が成立したと判定するものである。このAT状態の終了条件である終了遊技回数(閾値)は、後述する上乗せ抽選手段400の決定により上乗せが可能となっている。
具体的には、例えば、AT状態の終了条件としての終了遊技回数(閾値)が遊技回数100回に設定されていたとする。そして、AT遊技が実行され、AT遊技の実行遊技回数G(記憶値)が、1、2、・・・100回に達すると、終了条件判定手段380は、AT状態の終了条件が成立したと判定するものである。なお、上乗せが50回に設定された場合には、終了遊技回数(閾値)100回に上乗せの50回が加算され、新たな終了遊技回数(閾値)が150回に設定されるものである。
【0096】
上乗せ抽選手段400は、所定の契機に終了遊技回数(閾値)の上乗せを抽選(上乗せ抽選)により決定するためのものである。ここで、「所定の契機」とは、役抽選手段120の役抽選の結果、予め定めた所定の契機役に当選したときを意味する。
上乗せ抽選手段400は、所定の契機役に当選したときに、AT状態における終了遊技回数(閾値)の上乗せの権利を発生させるか否かの抽選(上乗せ抽選)を行う。さらに、上乗せ抽選手段400は、上乗せ抽選に当選した場合に、AT状態の終了遊技回数(閾値)の上乗せの遊技回数を抽選により決定する。具体的には、上乗せ遊技回数10回、20回、30回、50回、100回、200回のうちから、抽選により選択されるものである。もちろん、上乗せ遊技回数は、これらの数値に限定されるものではなく、他の遊技回数でもよいものである。また、この抽選の上乗せ遊技回数に0回は含まれていないが、0回を含むようにすることもできる。
なお、上乗せ抽選手段400は、上述した2つの抽選処理を段階的に2回に分けて行っているが、抽選テーブルの項目に上乗せを発生させない範囲領域と、上乗せを発生させる範囲領域とを設け、さらに上乗せを発生させる範囲領域中に各上乗せ遊技回数の範囲領域を設けることにより1回の抽選処理により実行してもよい。
また、上述した上乗せ抽選を実行する所定の契機も、上述したものに限定されるものではなく、これに代えて、またはこれに加えて、所定タイミングから所定の遊技回数経過時に実行するようにしてもよい。
上乗せ抽選手段400は、上述した役抽選手段120と同様に、予め定めた抽選データと、所定範囲の整数値を繰り返してカウントするループカウンタを有する所定の乱数発生手段(乱数発生回路)が発生した乱数のうちから抽出した乱数とを比較して、上乗せ抽選に当選か否かを判定する。
【0097】
当選状況判定手段410は、特殊状態としてのAT状態中、所定の抽選での実際の当選回数に基づく結果値と該結果値に対応して前記所定の抽選の抽選確率により算出される期待値とを比較することで前記結果値が前記期待値を超えれば当選状況を引き強状態と判定し、前記結果値が前記期待値以下ならば当選状況を引き弱状態と判定する。
具体的には、当選状況判定手段410は、特殊状態としてのAT状態中、いわゆる実行遊技回数Gにおいて、役抽選手段120による役抽選での所定の役の当選(成立)時に行われる上乗せ抽選の当選回数に基づく結果値(
図10のSx参照)と、この結果値(Sx)に対応して前記上乗せ抽選の抽選確率により算出される当選回数の期待値(
図10のS参照)とをカウントする。そして、当選状況判定手段410は、これらの結果値(Sx)と、これに対応する期待値(S)とを比較することで結果値(Sx)が期待値(S)を超えれば(
図12のパターンB参照)当選状況を引き強状態と判定し、実際の当選回数に基づく結果値(Sx)が期待値(S)以下ならば(
図12のパターンA)当選状況を引き弱状態と判定するものである。
【0098】
本実施の形態では、当選状況判定手段410が用いる上記所定の役とは、役1〜役5の5つの予め定めた役(特定役)が設定されている。具体的には、役1は強スイカ役(スイカ1(WM1)による役)、役2は弱スイカ役(スイカ2(WM2)による役)、役3は強チェリー役(チェリー1(CH1)による役)、役4はベル役(ベル(BEL)による役)、役5は弱チェリー役(チェリー2(CH2)による役)が設定されている。もちろん、当選状況判定手段410が用いる上記所定の役(特定役)の数は、上述した5つに限定されるものではなく、1〜4個や、6個以上の個数に設定してもよい。また、当選状況判定手段410が用いる所定の役の種類も、上述したものに限定されるものではなく、再遊技役(リプレイ役)等の他の役でもよいものであり、さらに、いわゆるチャンス目のようなものでもよいものである。
【0099】
ここで、上述した「役抽選手段120による役抽選での所定の役の当選(成立)時に行われる上乗せ抽選の当選回数に基づく結果値(Sx)」とは、
図10のSx(遊技結果)により示される式で算出されるものである。このSxの式中の例えば、役1に係るr1=15/1000の数値は、
図9の特定役当選確率(rn)の役1の15/1000の数値を代入しているものであり、役1に係るy1=1/15の数値は、
図9の上乗せ当選確率(yn)の役1の1/15の数値を代入しているものである。また、
図9の特定役当選確率の役1のr1=15/1000の数値は、
図7におけるAT中の現在までの実行遊技回数G=1000回のときの役1の特定役当選回数15回の結果(特定役当選回数/実行遊技回数G)により算出され、
図9の上乗せ当選確率(yn)の役1の上乗せ当選確率y1=1/15の数値は、
図7におけるAT中の現在までの実行遊技回数G=1000回のときの役1の上乗せ当選回数1回の結果(上乗せ当選回数/特定役当選回数)により算出されているものである。同様に役2〜役5に係るr2〜r5、y2〜y5の数値も、同様に
図9及び
図7に示されるものである。
【0100】
また、ここで、上述した「この結果値(Sx)に対応して前記上乗せ抽選の抽選確率により算出される当選回数の期待値(S)」とは、
図10のS(設計値)により示される式で算出されるものである。このSの式中の例えば、役1に係るR1=1/82の数値は、
図8に示される予め設定された特定役当選確率(Rn)の役1のR1=1/82の数値を代入しているものであり、役1に係るY1=1/10の数値は、
図8に示される予め設定された上乗せ当選確率(Yn)の役1の1/10の数値を代入しているものである。この特定役当選確率(Rn)は、役nが役抽選手段120の役抽選により当選する当選確率として予め設定されているものである。また、上乗せ当選確率(Yn)は、役nが役抽選手段120の役抽選により当選したときに行われる上乗せ抽選の当選確率として予め設定されているものである。同様に役2〜役5に係るR2〜R5、Y2〜Y5の数値も、同様に設定されているものである。
【0101】
また、ここで、当選状況判定手段410は、上述したように当選状況における引きの強弱を判定するためのパラメータとして、Sx(S)の1種類を用いているが、パラメータは上述したSx(S)に限定されるものではない。例えば、そのパラメータとして、役抽選手段120の役抽選における所定の役nの当選回数の遊技結果(
図11のPx参照)及びその期待値(
図11のP参照)の1種類を用いてもよいものである。要するに、遊技者が遊技を実行しているにあたって行われる種々の抽選の当選状況において当選が頻発する好調時であるのか、当選が発生し難い不調時であるかの判断ができるものであれば、他の種類の抽選の遊技結果及びその期待値を用いてもよいものである。さらに、上述したように引きの強弱を判定するためのパラメータの個数は、1種類に限定されるものではなく、後述する第2の実施の形態のように、2種類であってもよいものであり、さらに、3種類以上有していてもよいものである。
【0102】
また、当選状況判定手段410は、当選状況を判定するためのパラメータとして、実際の当選回数に基づく結果値と、該結果値に対応して所定の抽選の抽選確率により算出される当選回数の期待値とを比較するにあたって、両者の数値は、当選回数に対応する単位に揃えてあったが、比較する数値は特にこの当選回数に対応する単位に限定されるものではない。比較する数値は、当選回数に換算しなくても、比較する対象の数値の単位が揃えてあれば他の単位の数値であってもよいものである。具体的には、例えば、予め設定されている抽選確率と、実際に当選した回数及び実行遊技回数Gにより算出される抽選確率(実際に抽選により当選した回数/その抽選を行った回数)とを比較して、当選状況における引きの強弱(抽選確率が高くなる好調(引き強)時又は抽選確率が低くなる不調(引き弱)時)を判定してもよいものである。
【0103】
また、当選状況判定手段410は、結果値の数値と、その期待値の数値とを比較するにあたって、両者の数値が等しくなる場合を、引き弱状態として判定していたが、特にこれに限定されるものではない。具体的には、結果値と期待値との数値が等しくなる場合を、引き強状態として判定してもよいものである。すなわち、当選状況判定手段410は、AT状態中、所定の抽選での実際の当選回数に基づく結果値と該結果値に対応して所定の抽選の抽選確率により算出される期待値とを比較することで結果値が期待値以上ならば当選状況を引き強状態と判定し、結果値が期待値未満ならば当選状況を引き弱状態と判定するようにしてもよいものである(
図13、
図15参照)。
【0104】
ストック決定手段420は、上乗せ抽選を実施して当選した場合に当選状況判定手段410の判定結果に基づいて、引き強状態のときは所定の抽選確率を用い、引き弱状態のときは引き強状態のときよりも低い抽選確率を用いて、閾値としての終了遊技回数の上乗せをストックするかどうかを抽選し該抽選に当たるとストックすることに決定するものである。
ストック決定手段420は、終了遊技回数の上乗せをストックするかどうかを決定するための抽選に用いる抽選確率データを、後述するストック放出抽選テーブル記憶手段470が有する抽選テーブル(高確抽選テーブル、低確抽選テーブル)から採取している(
図17参照)。ストック決定手段420は、かかる抽選の際、上乗せ抽選手段400により決定された上乗せ遊技回数の全部をストックする全部ストック(全部実行)と、一部(具体的には、2分の1)をストックする一部ストック(一部実行)と、ストックを実行しないストック不実行(全部不実行)との中から所定の抽選確率で決定される(
図17参照)。ここで、ストックしない遊技回数は、即時に上乗せとして放出されるものである。なお、一部ストックの際、2分の1をストックしているが、当該数値に限定されるものではなく、3分の1や、4分の1等の他の数値に設定してもよいものである。さらに、一部ストックは、1個だけ設定されてあるが、一部ストックの数を、4分の1ストックや、4分の2ストックや、4分の3ストック等の多段階に複数設定してもよいものである。
【0105】
具体的には、上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、当選状況判定手段410により引き強状態であるという判定結果の場合、ストック決定手段420は高確抽選テーブルを用いて抽選を行うように設定されている。また、上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、当選状況判定手段410により引き弱状態であるという判定結果の場合、ストック決定手段420は低確抽選テーブルを用いて抽選を行うように設定されている(
図16参照)。
また、ストック決定手段420は、上述した所定の抽選テーブルからの予め定めた抽選確率データと、所定範囲の整数値を繰り返してカウントするループカウンタを有する所定の乱数発生手段(乱数発生回路)が発生した乱数のうちから抽出した乱数とを比較して、所定の項目(全部実行、一部実行、全部不実行)のいずれに該当するかを判定する。なお、ストック決定手段420による抽選処理は、後述するステップ216、223(
図20参照)において行われる。
【0106】
ストック演算手段440は、上乗せ抽選に当選したにも拘わらずストック決定手段420の決定により上乗せせずにストックする数値の合計(ストック数)を算出し、記憶するためのものである。
なお、ここで、ストック演算手段440にストックされたストック数は、設定1〜設定6の6段階の設定を設定変更スイッチの操作により変更される設定変更処理が行われることにより、0にリセットされる。もちろん、かかる設定変更処理が実行された場合にリセットされずにストック数を持ち越すようにしてもよい。
【0107】
放出決定手段460は、ストック数として所定数(具体的には50以上)がストックされており、且つ、上乗せ抽選を実施して当選しなかった場合、当選状況判定手段410の判定結果に基づいて、引き弱状態のときは所定の抽選確率を用い、引き強状態のときは引き弱状態のときよりも低い抽選確率を用いてストック演算手段440のストックを閾値としての終了遊技回数に上乗せとして加算する(放出する)かどうかを抽選し該抽選に当たると加算する(放出する)ことに決定するためのものである。
【0108】
放出決定手段460は、ストックが貯まっている場合(ストック数が50以上である場合)に当該ストック数の中から終了遊技回数(閾値)の上乗せとして放出するかどうかを決定するための抽選に用いる抽選確率データを、後述するストック放出抽選テーブル記憶手段470が有する抽選テーブル(高確抽選テーブル、低確抽選テーブル)から採取している。
具体的には、ストック数が50以上であって、上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、当選状況判定手段410により引き強状態であるという判定結果の場合、放出決定手段460は低確抽選テーブルを用いて抽選を行うように設定されている。
また、ストック数が50以上であって、上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、当選状況判定手段410により引き弱状態であるという判定結果の場合、放出決定手段460は高確抽選テーブルを用いて抽選を行うように設定されている(
図16参照)。
【0109】
なお、ここで、放出決定手段460は、ストック数として貯留されている数値が50以上の場合に放出するかどうかの抽選を行うようにしているが、この貯留されている数値(50)は、この数値50に限定されるものではない。ある程度の数値まで貯まった状態でないと上乗せとしてのインパクトが小さくなるため、かかる数値50に設定されてあるが、1以上の数値であれば、50未満の数値であってもよく、また、51以上の数値に設定してもよいものである。当該数値を大きくするほど、一度に放出(上乗せ)可能な遊技回数の数値を大きくすることができて、より大きなインパクトを付与することが可能になる。
【0110】
ストック放出抽選テーブル記憶手段470は、ストック決定手段420及び放出決定手段460が抽選に用いる抽選確率を有する複数の抽選テーブルを記憶しているものである。これらの複数の抽選テーブルは、ストック決定手段420が上乗せをストックするかどうかの抽選に用いる抽選確率を有する抽選テーブルと、放出決定手段460がストックされているものを上乗せとして放出するかどうかの抽選に用いる抽選確率を有する抽選テーブルとの両方に使用される。
具体的には、ストック決定手段420によるストック、又は、放出決定手段460による放出を実行するかどうか(又は一部実行をするかどうか)の抽選に用いる複数の抽選テーブルとして、所定の抽選確率を格納した高確抽選テーブルと、高確抽選テーブルよりも低い抽選確率を格納した低確抽選テーブルとが設けられている(
図17参照)。なお、これらの複数の抽選テーブルは、サブ制御装置300のROM上に記憶されている。
【0111】
ここで、本実施の形態では、ストック放出抽選テーブルが有する抽選テーブルは、高確抽選テーブルと低確抽選テーブルとの2種類であって、それらの抽選確率データはストック決定手段420と放出決定手段460との各抽選に用いる抽選テーブルの抽選確率データとして共通して使用し記憶容量が節約できるようにしている(
図17参照。)。もちろん、ストック決定手段420と放出決定手段460とは、それぞれ別個独立の異なる抽選テーブルを用いるようにしてもよいものである(かかる場合、合計4種類の抽選テーブルをストック放出抽選テーブル記憶手段470は備えていることになる。)。このようにすると、ストックする場合と放出する場合とで抽選確率を異なるように設定することができ、ストックは実行され難く、一旦、ストックされると放出され易い等の所定の傾向を発生させることが可能となる。
【0112】
表示演出実行手段480は、上乗せ演出としての表示演出を報知手段70により実行するためのものである。この表示演出実行手段480は、新たに上乗せされる内容及びその結果、合計の上乗せの内容を表示装置84に表示させるものである。
具体的には、表示演出実行手段480は、今回の遊技で新たに上乗せされる遊技回数を例えば「+30回」のような数値を表示装置84に表示させ、さらに、上乗せされる数値の合計が、例えば「合計50回」のような数値を表示装置84に表示させるものである。また、同時にスピーカー72により当該内容を音声で報知し、演出用ランプ78の点滅や点灯が実行される。もちろん、表示演出実行手段480による報知態様は、上述した直接的な表示に限定されるものではなく、表示装置84にグラフに表示させたり、表示装置84に特定のキャラクターを登場させたり、別途設けた人形や開閉シャッター等の可動物の全体又は一部を可動させたり振動させたりするようなことで報知させてもよい。
【0113】
図4に示すように、メイン制御装置110における移行状態は、通常状態と、RT1状態(CBB当選中状態)と、ボーナス状態(CBB状態)とがある。
通常状態は、通常遊技制御手段160により制御される通常遊技が行われる遊技状態である。通常状態において役抽選手段120による役抽選によりボーナス(CBB)に当選した場合に、通常状態からRT1状態(CBB当選中状態)に移行する。なお、このRT1状態(CBB当選中状態)では、通常状態よりも再遊技の抽選確率が高いリプレイタイム状態(RT状態)となっている。
【0114】
なお、本実施の形態において、通常状態中では数ゲーム以内にボーナス(CBB)に当選するように設定されており、遊技状態は、RT1状態(CBB当選中状態)で遊技される割合が大きいように設定されている。
【0115】
このRT1状態(CBB当選中状態)におけるRT状態は、RT制御手段170により制御される再遊技が高確率で当選する遊技状態である。RT状態において、CBBのボーナス移行役の図柄61の組合せ(青7、青7、BAR)が揃った場合に、CBB当選中状態、いわゆるRT状態からボーナス状態(CBB状態)に移行する。このボーナス状態(CBB状態)は、ボーナス遊技制御手段180により制御される。
ボーナス状態(CBB状態)において所定枚数、例えば、28枚の払出がされた場合に、CBB状態から通常状態に移行する。
【0116】
図5に示すように、サブ制御装置300により管理される演出状態として、サブ通常状態と、AT状態とが設けられている。初期状態では、サブ通常状態に設定されてあり、役抽選手段120の役抽選の結果、所定のAT移行役に当選した場合や、移行抽選手段340の移行抽選に当選した場合等の所定の移行条件を満足することで、AT状態へ移行可能となる。このAT状態は、サブ制御装置300におけるAT制御手段320により制御される。
このAT状態では、所定の停止操作順番に操作されたときに入賞可能な場合にストップスイッチ50の停止操作順番や当選図柄等を報知することによって役に係る図柄61の組合せを有効ライン86上に揃って停止させるためのアシストが行われることで、通常状態よりも遊技者に有利な状態となる。
【0117】
図6に示すような内容で、記号G、Rn、rn、Yn、yn、P、Px、S、Sxが定義されている。
具体的には、記号Gは、AT状態中の現在までの実行遊技回数Gを意味する。このGは、カウンタ360がAT状態の遊技が1回行われる毎に1が加算されているものである。
【0118】
記号Rnは、予め定められた役nの抽選確率を意味する。例えば、役1〜役5が設けられている場合に、役1の抽選確率がR1、役2の抽選確率がR2、役3の抽選確率がR3、役4の抽選確率がR4、役5の抽選確率がR5のように規定されている。例えば、役1の当選確率R1は、1/82に設定されている(
図8参照。)。
記号rnは、役nの抽選確率の遊技結果の結果値であって、今回のAT状態における役nの当選回数を現在までの当該AT状態の実行遊技回数Gで割ったもの(当選回数/実行遊技回数)を意味する。例えば、実行遊技回数Gが1000回のときの役1の当選回数が15回のときは、役1の当選確率r1は、15/1000に設定される(
図9参照。)。
【0119】
記号Ynは、所定の役(役n)の当選時に行われる上乗せ抽選で上乗せすることに当選する抽選確率を意味する。例えば、役1〜役5が設けられている場合に、役1の当選時に行われる上乗せ抽選の抽選確率がY1、役2の当選時に行われる上乗せ抽選の抽選確率がY2、役3の当選時に行われる上乗せ抽選の抽選確率がY3、役4の当選に行われる上乗せ抽選の抽選確率がY4、役5の当選時に行われる上乗せ抽選の抽選確率がY5のように規定されている。例えば、役1の当選時に行われる上乗せ抽選の抽選確率Y1は、1/10に設定されている(
図8参照。)。
【0120】
記号ynは、役nの当選時に行われる上乗せ抽選の抽選確率の遊技結果の結果値であって、今回のAT状態における役nの当選時に行われた上乗せ抽選の当選回数を当該AT状態における役nの当選回数で割ったもの(役nの当選時における上乗せ抽選の当選回数/役nの当選回数)を意味する。例えば、実行遊技回数Gが1000回のときの役1の当選回数が15回であって、その当選したときの上乗せ抽選の当選回数が1回のときは、役1の当選確率y1は、1/15に設定される(
図7、
図9参照。)。
【0121】
記号Pは、特殊遊技期間(AT状態)中の特定役の当選回数の期待値(設計値)であって、具体的には、AT状態の実行遊技回数がG回であるときのAT状態中の役1〜役nの当選回数の期待値(設計値)を意味し、式1により算出される。
記号Pxは、特殊遊技期間(AT状態)中の特定役の当選回数の遊技結果であって、具体的には、AT状態の実行遊技回数がG回であるときのAT状態中の役1〜役nの当選回数の遊技結果を意味し、式2により算出される。
【0122】
記号Sは、特殊遊技期間(AT状態)中の特定役における終了遊技回数(閾値)の上乗せの当選回数の期待値(設計値)であって、具体的には、AT状態の実行遊技回数がG回であるときのAT状態中の役1〜役nにおける上乗せの当選回数の期待値(設計値)を意味し、式3により算出される。
記号Sxは、特殊遊技期間(AT状態)中の特定役における終了遊技回数(閾値)の上乗せの当選回数の遊技結果であって、具体的には、AT状態の実行遊技回数がG回であるときのAT状態中の役1〜役nにおける上乗せの当選回数の遊技結果を意味し、式4により算出される。
【0123】
図7には、AT状態に移行してからのAT遊技の実行遊技回数Gが例えば1000回のときの役1〜役5の各当選回数と、各役に当選したときに行われる上乗せ抽選の上乗せ当選回数とが一例として示されている。具体的には、AT状態においてAT遊技の実行遊技回数Gが1000回のときの役1は、15回当選しており、この15回の各当選時に行われる上乗せ抽選において、1回だけ上乗せ抽選に当選していることになる。同様に実行遊技回数Gが1000回のとき、役2は3回当選して、その中で上乗せ抽選に1回当選しており、役3は12回当選して、その中で上乗せ抽選に2回当選しており、役4は1回当選しており、その中で上乗せ抽選に1回当選しており、役5は8回当選して、その中で上乗せ抽選に2回当選している。なお、これらの数値は、当選状況判定手段410がカウントし、記憶している。
【0124】
図8に示すように、役1〜役5の当選確率R1〜R5は、それぞれ1/82、1/234、1/114、1/1824、1/80に設定されている。なお、これらの当選確率R1〜R5は、役抽選手段120により記憶されている。
また、役1〜役5に当選したときに行われる終了遊技回数(閾値)の上乗せ抽選の当選確率Y1〜Y5は、1/10、1/2、1/4、1/1、1/8にそれぞれ設定されている。なお、これらの当選確率Y1〜Y5は、上乗せ抽選手段400により記憶されている。
【0125】
図9の内容で、
図7の遊技結果の数値から算出した役1〜役5の当選確率rnと、その上乗せ当選確率ynとが示される。役1〜役5の当選確率r1〜r5は、それぞれ15/1000、3/1000、12/1000、1/1000、8/1000に設定される。
また、役1〜役5に当選したときに行われる上乗せ抽選の当選確率y1〜y5は、それぞれ1/15、1/3、1/6、1/1、1/4に設定されている。なお、これらの当選確率r1〜r5及びy1〜y5は、当選状況判定手段410により記憶されている。
【0126】
図10に示すように、特定役(役1〜役5)による上乗せ当選回数の期待値Sは、式5により算出される。式5のR1〜R5、Y1〜Y5に
図8で示される設計値を代入することにより、S=7.660の数値が算出される。
また、
図10に示すように、上記期待値Sに対応する遊技結果Sx(結果値)は、式6により算出される。式6のr1〜r5、y1〜y5に
図9で示される遊技結果の計算値を代入することにより、Sx=7.000の数値が算出される。
この結果を受けて、当選状況判定手段410は、結果値Sxと期待値Sとを比較することで結果値Sxが期待値S以下であるため当選状況を引き弱状態と判定する(
図12参照。)。
【0127】
ここで、当選状況判定手段410は、特定役(役1〜役5)による上乗せ当選回数の結果値Sxと、その期待値Sとを比較しているが、比較する対象はこれに限定されるものではなく、他の所定の抽選の結果値とその期待値とを比較するようにしてもよいものである。具体的には、例えば、特定役(役1〜役5)の当選回数の結果値Pxと、その期待値Pとを比較することによって当選状況を引き強状態や引き弱状態に判定するようにしてもよい。
図11に示すように、役抽選手段120の役抽選における特定役(役1〜役5)の当選回数の期待値Pは、式7により算出される。式7のR1〜R5に
図8で示される特定役の当選確率(設計値)を代入することにより、P=38.289の数値が算出される。また、
図11に示すように、上記期待値Pに対応する遊技結果Px(結果値)は、式8により算出される。式8のr1〜r5に
図9で示される遊技結果の特定役の当選確率r1〜r5を代入することにより、Px=39.000の数値が算出される。この結果を受けて、当選状況判定手段410は、結果値Pxとその期待値Pとを比較することで結果値Pxが期待値Pを超えるため当選状況を引き強状態と判定するようにしてもよいものである(
図14、
図15参照。)。
【0128】
図12に示すように、当選状況判定手段410は、結果値Sxとその期待値Sとを比較して結果値Sxが期待値Sを超えれば当選状況を引き強状態と判定し(パターンB)、また、結果値Sxが期待値S以下ならば当選状況を引き弱状態と判定する(パターンA)。
【0129】
本実施の形態では、
図12に示すように、結果値Sxと期待値Sとが同一の場合は、当選状況は引き弱状態として判定されるが、これに限定されるものではなく、引き強状態として判定されるようにしてもよいものである。具体的には、
図13に示すように、当選状況判定手段410は、結果値Sxとその期待値Sとを比較して結果値Sxが期待値S以上ならば当選状況を引き強状態と判定し(パターンD)、また、結果値Sxが期待値S未満ならば当選状況を引き弱状態と判定する(パターンC)ようにしてもよいものである。
【0130】
また、当選状況判定手段410が、当選状況を判定するにあたって、上述したような結果値Sx及びその期待値Sではなく、結果値Pxおよびその期待値Pを比較するようにしてもよいものである。具体的には、例えば
図14に示すように、当選状況判定手段410は、結果値Pxとその期待値Pとを比較して結果値Pxが期待値Pを超えれば当選状況を引き強状態と判定し(パターンF)、また、結果値Pxが期待値P以下ならば当選状況を引き弱状態と判定する(パターンE)ようにしてもよいものである。
【0131】
さらに、かかる場合には、
図14に示すように、結果値Pxと期待値Pとが同一の場合は、当選状況は引き弱状態として判定されるが、これに限定されるものではなく、引き強状態として判定されるようにしてもよいものである。具体的には、
図15に示すように、当選状況判定手段410は、結果値Pxとその期待値Pとを比較して結果値Pxが期待値P以上ならば当選状況を引き強状態と判定し(パターンH)、また、結果値Pxが期待値S未満ならば当選状況を引き弱状態と判定する(パターンG)ようにしてもよいものである。
【0132】
図16に示すように、ストック決定手段420は、当選状況判定手段410が当選状況を引き強状態と判定した場合、ストック放出抽選テーブル記憶手段470の高確抽選テーブルを用いて、ストックするか否かに関する抽選を行う。また、ストック決定手段420は、当選状況判定手段410が当選状況を引き弱状態と判定した場合、ストック放出抽選テーブル記憶手段470の低確抽選テーブルを用いて、ストックするか否かに関する抽選を行う。
さらに、
図16に示すように、放出決定手段460は、当選状況判定手段410が当選状況を引き強状態と判定した場合、ストック放出抽選テーブル記憶手段470の低確抽選テーブルを用いて、ストックされているものを放出(上乗せ)するか否かに関する抽選を行う。また、放出決定手段460は、当選状況判定手段410が当選状況を引き弱状態と判定した場合、ストック放出抽選テーブル記憶手段470の高確抽選テーブルを用いて、ストックされているものを放出(上乗せ)するか否かに関する抽選を行う。
【0133】
図17に示すように、ストック放出抽選テーブル記憶手段470に記憶されている高確抽選テーブルは、「全部実行」の項目に抽選確率として70%(0.7の確率)の数値が設定され、「一部実行」の項目に抽選確率として15%(0.15の確率)の数値が設定され、「不実行」の項目に抽選確率として15%(0.15の確率)の数値が設定されている。ストック放出抽選テーブル記憶手段470に記憶されている低確抽選テーブルは、「全部実行」の項目に抽選確率として30%(0.3の確率)の数値が設定され、「一部実行」の項目に抽選確率として35%(0.35の確率)の数値が設定され、「不実行」の項目に抽選確率として35%(0.35の確率)の数値が設定されている。
【0134】
ストック決定手段420が、これらの抽選テーブル(高確抽選テーブル及び低確抽選テーブル)を用いた抽選を行って「全部実行」の項目に当選した場合、上乗せに当選した遊技回数を全部ストックする。また、ストック決定手段420が、同様に抽選を行って「一部実行」の項目に当選した場合、上乗せに当選した遊技回数の一部(具体的には2分の1)をストックし、ストックした残りは即時に放出(上乗せ)する。ストック決定手段420が、同様に抽選を行って「不実行」の項目に当選した場合、上乗せに当選した遊技回数のストックは行わない、すなわち全て即時に放出(上乗せ)する。
【0135】
放出決定手段460が、これらの抽選テーブル(高確抽選テーブル及び低確抽選テーブル)を用いた抽選を行って「全部実行」の項目に当選した場合、ストックされている遊技回数(ストック数)を全部放出(即時に上乗せ)する。また、放出決定手段460が、同様に抽選を行って「一部実行」の項目に当選した場合、ストックされている遊技回数(ストック数)の一部(具体的には2分の1)を放出(即時に上乗せ)し、その放出(上乗せ)した残りはそのままストックを維持する。放出決定手段460が、同様に抽選を行って「不実行」の項目に当選した場合、ストックされている遊技回数(ストック数)の放出(即時に上乗せ)は行わず、そのままストックが維持される。
【0136】
図18に示すフローチャートに基づいて、メイン制御装置110が1回の遊技毎に実行する一般的な遊技制御処理について説明する。
先ず、ステップ112において、メイン制御装置110により、スタートスイッチ40の操作があったか否かの判定が行われる。ここで、スタートスイッチ40の操作があったと判定されると、メイン制御装置110により、賭け数の設定が不可能な状態とされる。その後、次のステップ113に進む。一方、スタートスイッチ40の操作がないと判定されると、再度ステップ112となる。
【0137】
なお、このステップ112の前提として、賭け数設定処理が行われている。この賭け数設定処理では、賭け数として規定の賭け数が設定されたか否かが判定されるものである。 具体的には、メイン制御装置110により、当該遊技の賭け数として設定されているメダルの枚数が規定の賭け数(2又は3)に達しているか否かの判定が行われる。
ステップ113において、役抽選手段120により、役抽選処理が行われる。また、このとき、役抽選の結果がメイン制御装置110からサブ制御装置300へ送信される。役抽選処理が終了すると、次のステップ114に進む。
【0138】
なお、通常遊技が行われる通常状態において、役抽選手段120の役抽選処理の結果、予め定めた所定の役に当選している場合、当該信号が送信手段230及び受信手段310を介してサブ制御装置300へ送信され、サブ制御装置300の移行抽選手段340により、AT状態に移行するか否かの移行抽選が行われる(図示せず)。
また、特殊遊技(AT遊技)が行われているAT状態中は、役抽選手段120の役抽選処理の結果、特定役(役1〜役5)に当選した場合、当該信号が送信手段230及び受信手段310を介してサブ制御装置300へ送信され、サブ制御装置300の上乗せ抽選手段400により、AT状態の終了遊技回数(閾値)の上乗せを行うか否かの抽選(上乗せ抽選)が行われる。
【0139】
ステップ114において、リールユニット60における回転リール62の回転変動処理が行われる。回転リール62が所定の回転速度に達した後、メイン制御装置110により、回転中の回転リール62に対応するストップスイッチ50の操作があった場合に、リール制御手段130により、各回転リール62の回転が停止させられる。このときのストップスイッチ50(左ストップスイッチL、中ストップスイッチC、右ストップスイッチR)の当選役に対応する停止操作順番は、メイン制御装置110に形成された所定の記憶領域に記憶されると共に、その後の処理にて読み出される。
また、全ての停止操作終了後、メイン制御装置110の送信手段230からサブ制御装置300の受信手段310へ全回転リール62の回転停止情報が送信される。そして、全ての回転リール62の回転変動処理が終了すると、次のステップ115に進む。
【0140】
ステップ115において、停止図柄判定手段150により、有効ライン86上の図柄61の組合せに対して所定の役の図柄61の組合せが揃っているか否かの入賞等の判定処理が行われる。ここで、入賞等の判定処理の判定結果のデータは、メイン制御装置110からサブ制御装置300へ送信される。そして、判定処理が終わると、次のステップ116に進む。
ステップ116において、払出制御手段220により、停止図柄判定手段150の判定結果に対応した払出処理等が行われる。なお、判定結果、払出が不要な場合には、払出処理は行われない。そして、当該処理が終了する。
【0141】
図19に示すフローチャートに基づいて、サブ制御装置300において、AT状態中における実行遊技回数のカウント処理及び所定の終了条件を満たしたときに通常状態へ移行させる制御処理について説明する。
先ず、ステップ150において、メイン制御装置110からの送信に基づいて、スタートスイッチ40の操作があったか否かの判定が行われる。ここで、スタートスイッチ40の操作があったと判定されると、次のステップ151に進む。一方、スタートスイッチ40の操作がないと判定されると、当該処理は終了する。
【0142】
ステップ151において、サブ制御装置300における現在の演出状態がAT状態中であるか否かが判定される。AT状態中であると判定された場合、次のステップ152に進み、AT状態中でないと判定された場合、当該処理は終了する。
ステップ152において、カウンタ360の記憶値としての実行遊技回数に、所定の値(具体的には、「1」)が加算される。そして、次のステップ153に進む。
ステップ153において、カウンタ360の記憶値としての実行遊技回数が、閾値としての終了遊技回数に到達したか否かが判定される。記憶値としての実行遊技回数が、閾値としての終了遊技回数に到達したと判定された場合、次のステップ154に進み、到達していないと判定された場合、当該処理は終了する。
【0143】
ステップ154において、サブ制御装置300の演出状態が、通常状態に設定される。なお、図示していないが、同時にカウンタ360に記憶されている実行遊技回数Gが0にリセットされる。そして、当該処理が終了する。
図20及び
図21に示すフローチャートに基づいて、AT状態中におけるサブ制御装置300による制御処理について説明する。
先ず、ステップ210において、役抽選手段120における役抽選の結果、所定の契機役(AT状態へ移行可能な移行抽選役)に当選したか否かが判定される。所定の契機役に当選していると判定された場合、次のステップ211に進み、所定の契機役に当選していないと判定された場合、ステップ210の前に戻る。
【0144】
ステップ211において、上乗せ抽選手段400により、AT状態における終了遊技回数(閾値)の上乗せの権利を発生させるか否かの抽選(上乗せ抽選)処理が行われる。そして、次のステップ212に進む。
ステップ212において、上乗せ抽選に当選したか否かが判定される。上乗せ抽選に当選したと判定された場合、次のステップ213に進み、上乗せ抽選に当選していないと判定された場合、
図21に示すステップ310に進む。
【0145】
ステップ213において、上乗せ抽選手段400により、AT状態の終了遊技回数(閾値)への上乗せの遊技回数が抽選により決定される。具体的には、上乗せ遊技回数10回、20回、30回、50回、100回、200回のうちから、抽選により選択される。そして、次のステップ214に進む。
ステップ214において、当選状況判定手段410により、現在のAT状態における上乗せの当選回数の結果値Sxと、その抽選確率により算出される期待値Sとの比較をすることによる当選状況が引き強状態(好調)であるか引き弱状態(不調)であるかの当選状況の判定処理が行われる。具体的には、当選状況判定手段410は、結果値Sxが期待値Sを超えれば当選状況を引き強状態と判定し、結果値Sxが期待値S以下ならば当選状況を引き弱状態と判定するものである。そして、次のステップ215に進む。
【0146】
ステップ215において、現在の当選状況は、引き弱状態であるか否かが判定される。そして、現在の当選状況は引き弱状態であると判定された場合は、次のステップ216に進み、当選状況が引き強状態であると判定された場合は、ステップ223に進む。
ステップ216において、ストック決定手段420により、低確抽選テーブルを用いて上乗せをストックするか否かの抽選が行われる。そして、次のステップ217に進む。
ステップ217において、ストック決定手段420によるストック抽選の結果、「全部ストック」であるか否かが判定される。「全部ストック」であると判定された場合は、ステップ227に進み、「全部ストック」ではない、すなわち「一部ストック」又は「ストック不実行」である場合は、ステップ218に進む。
ステップ218において、放出(上乗せ)が決定される。そして、次のステップ219に進む。
【0147】
ステップ219において、遊技回数の一部をストックするか否か、すなわち「一部ストック」であるか否が判定される。「一部ストック」である場合には、次のステップ220に進み、「一部ストック」では無いと判定された場合、ステップ221に進む。
ステップ220において、「一部ストック」における上乗せ遊技回数の減算処理が行われる。具体的には、例えば、上乗せ抽選手段400により20回の遊技回数が当選し、「一部ストック(2分の1がストック)」の場合には、20回から2分の1の10回が減算され、上乗せ遊技回数は10回となり、ストックされる遊技回数は残りの10回となる。そして、次のステップ221に進む。
【0148】
ステップ221において、表示演出実行手段480により、報知手段70を介して、AT状態の終了遊技回数の上乗せ抽選に当選したことが、遊技者に報知される。そして、次のステップ222に進む。
ステップ222において、上乗せ遊技回数が報知され、さらに、上乗せ遊技回数が終了遊技回数(閾値)に加算されて、この終了遊技回数から実行遊技回数を減算したAT状態の残遊技回数が、報知手段70により遊技者に報知される。そして、当該処理が終了する。
一方、前記ステップ217で「全部ストック」であると判定された場合は、ステップ227において、上乗せ抽選手段400により決定された遊技回数の全部がストックとなる「全部ストック」に決定される。そして、当該処理は終了する。
【0149】
一方、前記ステップ215で、現在の当選状況は引き弱状態でない(すなわち、引き強状態である)と判定された場合は、ステップ223において、ストック決定手段420により、高確抽選テーブルを用いて上乗せをストックするか否かの抽選が行われる。そして、次のステップ224に進む。
ステップ224において、ストック決定手段420によるストック抽選の結果、「全部ストック」であるか否かが判定される。「全部ストック」であると判定された場合は、ステップ226に進み、「全部ストック」ではない、すなわち「一部ストック」又は「ストック不実行」である場合は、ステップ225に進む。
ステップ225において、放出(上乗せ)が決定される。そして、次のステップ219に進む。
【0150】
一方、前記ステップ224において、ストック決定手段420によるストック抽選の結果、「全部ストック」であると判定された場合は、ステップ226において、上乗せ抽選手段400により決定された遊技回数の全部がストックとなる「全部ストック」に決定される。そして、当該処理は終了する。
一方、前記ステップ212において、AT状態へ移行することに当選していないと判定された場合、
図21に示すステップ310において、ストックされたAT状態の遊技回数があるか否かが判定される。そして、ストックされたAT状態の遊技回数があると判定された場合、次のステップ311に進み、ストックされたAT状態の遊技回数がないと判定された場合、当該処理は終了する。
【0151】
ステップ311において、放出決定手段460により、ストック演算手段440に記憶されているストック数との比較が行われる。そして、次のステップ312に進む。
ステップ312において、放出決定手段460により、ストック演算手段440に記憶されているストック数が50以上であるか否かの判定が行われる。50以上であると判定された場合、次のステップ313に進み、50未満であると判定された場合、当該処理は終了する。
ステップ313において、当選状況判定手段410により、現在の当選状況が引き強状態(好調)又は引き弱状態(不調)であるかの判定処理が行われる。そして、次のステップ314に進む。
【0152】
ステップ314において、当選状況判定手段410により、現在の当選状況が引き弱状態(不調)であるか否かが判定される。現在の当選状況が引き弱状態であると判定された場合、次のステップ315に進み、引き弱状態でないと判定された場合、ステップ319に進む。
ステップ315において、放出決定手段460により、高確抽選テーブルを用いて、ストックされている数値を閾値としての終了遊技回数に上乗せする、すなわち放出するかどうかの抽選処理が行われる。そして、次のステップ316に進む。
【0153】
ステップ316において、ストックされている数値の少なくとも一部を放出するか否かが判定される。少なくとも一部を放出すると判定された場合には、次のステップ317に進み、全く放出しない、全てストックしたままにすると判定された場合には、当該処理は終了する。
ステップ317において、ストックされている数値の少なくとも一部の放出が決定される。そして、次のステップ318に進む。
ステップ318において、ストックされている数値の全部を放出するか否かが判定される。ストックされている数値の全部を放出する(上乗せする)と判定された場合、
図20のステップ221に戻り、ストックされている数値の全部を放出しないと判定された場合、ステップ322に進む。
【0154】
ステップ322において、ストックされている数値の一部(具体的には、2分の1)を放出(上乗せ)することに決定される。そして、
図20のステップ221に戻る。
一方、前記314において、当選状況判定手段410により、現在の当選状況が引き弱状態(不調)でないと判定された場合、ステップ319において、放出決定手段460により、低確抽選テーブルを用いて、ストックされている数値を閾値としての終了遊技回数に上乗せする、すなわち放出するかどうかの抽選処理が行われる。そして、次のステップ320に進む。
ステップ320において、ストックされている数値の少なくとも一部を放出するか否かが判定される。少なくとも一部を放出すると判定された場合には、次のステップ321に進み、全く放出しない、すなわち全てストックしたままにすると判定された場合には、当該処理は終了する。
ステップ321において、ストックされている数値の少なくとも一部の放出が決定される。そして、次のステップ318に進む。
【0155】
図12に示すように、本実施の形態では、引き強状態では、実際の当選回数に基づく結果値Sxが、この結果値に対応して抽選確率により算出される期待値Sを超えており、遊技者にとって抽選で当たっている回数(結果値Sx)の方が、その期待値Sよりも多く、遊技状況の調子が良い(好調)状態となっている。
一方、引き弱状態では、実際の当選回数に基づく結果値Sxが、その抽選確率により算出される期待値S以下になっており、遊技者にとって抽選で当たっている回数が少なく、遊技状況の調子が悪い(不調)状態となっている。
上乗せ抽選に当選した場合、ストック決定手段420は、上乗せをストックするか否かの抽選において、引き強状態では引き弱状態よりも高確率で閾値の上乗せをストックする。
【0156】
また、上乗せ抽選に当選した場合、ストック決定手段420は、特殊状態の上乗せをストックするか否かの抽選において、引き弱状態では引き強状態よりも低確率で特殊状態の上乗せをストックする。
これにより、上乗せ抽選に当選した場合、引き強状態のときは、引き弱状態のときよりも、特殊状態の上乗せがより多くストックされ易くなる。一般的に引き強状態のときは、頻繁に当選している状態なので、特殊状態の上乗せ抽選の結果、当選しても、そのときに上乗せされずに今後(将来)の遊技のためにストックとなっても、遊技者の現在の遊技に対して大きな影響は与えない。
一方、引き弱状態のときは、当選している回数が少ないときなので、上乗せ抽選の結果、当選して、上乗せされずに今後(将来)の遊技のためにストックされると、現在の遊技に対する影響が大きくなる。このため、引き弱状態では、上乗せ抽選に当選したときにストックとなる確率を引き強状態よりも低確率とすることで、ようやく当選した分はストックされずに直ぐに上乗せし易いようにしている。
【0157】
さらに、ストック数として所定数がストックされている状態のときに上乗せ抽選を実施して当選しなかった場合、放出決定手段460は、ストックを放出するか否かの抽選において、引き強状態では引き弱状態よりも低確率でストックを上乗せとして放出する。
また、ストック数として所定数がストックされている状態のときに上乗せ抽選を実施して当選しなった場合、放出決定手段460は、ストックを放出するか否かの抽選において、引き弱状態では引き強状態よりも高確率でストックを放出する。
【0158】
これにより、上乗せ抽選を行って不当選で引き強状態のときは、引き弱状態のときよりも、ストックされているものが放出(上乗せ)され難くなり、ストックがそのまま維持され易くなる。また、上乗せ抽選を行って不当選で引き弱状態のときは、引き強状態のときよりも、ストックされているものが放出(上乗せ)され易くなる。
【0159】
引き強状態のときは、頻繁に所定の抽選の当選が発生している状態なので、ストックが放出されてさらに上乗せされても、遊技者に大きなインパクトを与えないし、上乗せが発生したことの有り難みや喜びも薄れてしまう。それに対して、引き弱状態のときは、当選している回数が少ない状態なので、ストックが放出されて上乗せされると、遊技者に大きなインパクトを与えることができ、上乗せが発生したことの有り難みや喜びも大きなものとなる。
【0160】
結果として、引き強状態のときは、引き弱状態と比べて上乗せ抽選手段400により決定された上乗せをより多くストックさせることでき、そのストックしたものの放出は抑えられる。また、引き弱状態のときは、引き強状態と比べてストックすることは抑制され、ストックしているものは放出され易くなる。すなわち、遊技状況(抽選の当選状況)の調子が良いときに閾値としての終了遊技回数の上乗せをストックし、遊技状況の調子が悪いときにストックした閾値としての終了遊技回数の上乗せを放出させることができる。これにより、遊技状況に応じて、上乗せのストック及び放出を調整することができ、特殊状態の終了条件となる終了遊技回数(閾値)の上乗せを遊技者に対して効果的にストックし、そのストックしたものを効果的に放出させることができ、特殊状態の終了タイミングの調整が可能となり、安定した遊技を行わせることができて遊技の興趣を向上させることができる。
【0161】
なお、本実施の形態では、
図12に示すように実際の当選回数に基づく結果値Sxと、この結果値に対応して抽選確率により算出される期待値Sとが同一になった場合、抽選の調子が悪い(不調)状態(引き弱状態)に分類しているが、
図13に示すように引き強状態に分類してもよいものである。
【0162】
本実施の形態では、上乗せ抽選を実施して当選した場合、ストック決定手段420は、引き強状態のとき高確抽選テーブルを用い、引き弱状態のとき低確抽選テーブルを用いて抽選を行う。
また、上乗せ抽選を実施して当選していない場合、放出決定手段460は、引き強状態のとき低確抽選テーブルを用い、引き弱状態のとき高確抽選テーブルを用いて抽選を行う。
【0163】
ストック決定手段420と、放出決定手段460との抽選に用いる抽選テーブルとして、引き強状態と引き弱状態とで使用する抽選テーブルは互いに逆のもの(互いに交換されたもの)となる。これにより、ストック決定手段420及び放出決定手段460は、高確抽選テーブル又は低確抽選テーブルを共通して用いることができる。ストック決定手段420と、放出決定手段460とが、各状態において、それぞれ別個の抽選テーブルを用いるような場合(合計4種類の抽選テーブル)と比べて、2種類だけの共通の抽選テーブルで済ませることができて記憶容量を節約することができる。
【0164】
本実施の形態では、上乗せ抽選手段400により決定された上乗せの一部(具体的には2分の1)が終了遊技回数(閾値)の上乗せとしてストック可能となることで、ストックされる量のバリエーションを増やすことができ、上乗せの付与パターンを種々のものにすることができる。
【0165】
本実施の形態では、ストック数の合計の一部(具体的には、2分の1)が上乗せとして放出可能となることで、ストックされた中から、放出される量のバリエーションを増やすことができ、上乗せの付与パターンをさらに種々のものにすることができる。
【0166】
本実施の形態では、終了遊技回数(閾値)に上乗せする上乗せ遊技回数や、合計の終了遊技回数は、遊技者に報知されるが、そのうちのどれだけがストックされているか等は全く遊技者に報知されていないため、ストックに関する内容は遊技者は解らない。
このため、本実施の形態では遊技者の調子が良いときに遊技者に解らないように上乗せをストックし、調子が悪いときにストックしたものを放出(上乗せ)させることができる。遊技状況に応じた上乗せのストック及び放出により、閾値の上乗せの抽選結果を調整しているにもかかわらず、遊技者には、そのような調整がされているとは解らないようにすることができる。これにより、遊技状況の好調、不調の波が発生しても、遊技者に解らないように特殊状態の終了タイミングの調整が施された安定した遊技を行わせることができる。
【0167】
また、本実施の形態では、当該遊技機10を取り扱う雑誌や、遊技ホールに置かれる小冊子等の情報により、ストック処理が行われる可能性があることだけを遊技者に報知し、報知手段70は具体的なストック内容を遊技者に報知しないようにすることで、いずれの時点においても、終了遊技回数(閾値)の上乗せがストックされているかもしれないという期待感を絶えず遊技者に付与することが可能となる。
【0168】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、当選状況判定手段410は、現在の当選状況を引き強状態(好調)と、引き弱状態(不調)との2種類に分類して、当該当選状況に合わせて、2種類の抽選テーブル(高確抽選テーブル及び低確抽選テーブル)を用いて、ストック決定手段420及び放出決定手段460が、上乗せのストック及び放出(上乗せ)を決定していた。
それに対して、本実施の形態では、当選状況判定手段410は、現在の当選状況を、引き普通状態(普通)、引き強状態(好調)と、引き弱状態(不調)との3種類に分類して、当該当選状況に合わせて、3種類の抽選テーブル(普通抽選テーブル、高確抽選テーブル及び低確抽選テーブル)を用いて、ストック決定手段420及び放出決定手段460が、上乗せのストック及び放出(上乗せ)を決定するものである。本実施の形態は、第1の実施の形態と比較して、上述した相違により、当選状況判定手段410、ストック決定手段420、放出決定手段460、ストック放出抽選テーブル記憶手段470の内容が一部が異なるもので、その他の構成は、第1の実施の形態と略同様のものである。以下に、主に第1の実施の形態と異なる点を詳細に説明する。
【0169】
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態で説明した
図1〜
図11、
図18、
図19は、そのまま使用するものであり、
図12〜
図17、
図20、
図21の代わりに、
図22〜
図27を用いるものである。
本実施の形態に係る当選状況判定手段410は、以下に示す(A)及び(B)の比較処理を行う。
(A)当選状況判定手段410は、特殊状態(AT状態)中における特定の役(特定役)の実際の当選回数に基づく結果値Pxと該結果値Pxに対応して特殊状態中における特定役の抽選確率から算出される期待値Pとを比較する。
(B)当選状況判定手段410は、特殊状態(AT状態)中における上乗せ抽選手段400による上乗せ抽選の実際の当選回数に基づく結果値Sxと、該結果値Sxに対応して特殊状態中における上乗せ抽選の抽選確率から算出される期待値Sとを比較する。
【0170】
当選状況判定手段410は、(A)及び(B)のいずれにおいても、結果値(Px、Sx)が該結果値(Px、Sx)に対応する期待値(P、S)を超える場合、すなわち、結果値Pxが期待値Pを超え、且つ、結果値Sxが期待値Sを超える場合には当選状況を引き強状態(好調)と判定する(
図22、パターンK参照)。
また、当選状況判定手段410は、(A)及び(B)のいずれにおいても、結果値(Px、Sx)が該結果値(Px、Sx)に対応する期待値(P、S)以下の場合、すなわち、結果値Pxが期待値P以下、且つ、結果値Sxが期待値S以下の場合には、当選状況を引き弱状態と判定する(
図22、パターンI参照)。
また、当選状況判定手段410は、(A)及び(B)のいずれか一方において、結果値(Px又はSx)が該結果値(Px又はSx)に対応する期待値(P又はS)を超え、他方において、結果値(Px又はSx)が該結果値(Px又はSx)に対応する期待値(P又はS)以下となる場合には、当選状況を普通の状態(引き普通状態)と判定する。
すなわち、結果値Pxが期待値Pを超え、且つ、結果値Sxが期待値S以下となる場合には、当選状況を普通の状態(引き普通状態)と判定する(
図22,パターンJの上段参照)。
また、結果値Pxが期待値P以下となり、且つ、結果値Sxが期待値Sを超える場合には、当選状況を普通の状態(引き普通状態)と判定する(
図22、パターンJの下段参照)。
【0171】
ストック決定手段420は、上乗せ抽選を実施して当選した場合、当選状況判定手段410の判定結果に基づいて、引き普通状態のときは所定の抽選確率を用い、引き強状態のときは引き普通状態のときよりも高い抽選確率を用い、引き弱状態のときは引き普通状態のときよりも低い抽選確率を用いて終了遊技回数(閾値)の上乗せをストックするかどうかを抽選し該抽選に当たるとストックすることに決定する(
図24、
図25参照)。なお、第1の実施の形態と同様に、決定された上乗せの一部をストック可能である。
【0172】
ストック決定手段420は、引き普通状態のときは普通抽選テーブルを用い、引き強状態のときは高確抽選テーブルを用い、引き弱状態のときは低確抽選テーブルを用いて、これらの抽選テーブルに記憶されている抽選確率を用いて上述した抽選を行う。
具体的には、上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、当選状況判定手段410により引き普通状態であるという判定結果の場合、ストック決定手段420は普通抽選テーブルを用いて抽選を行う。
また、上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、当選状況判定手段410により引き強状態であるという判定結果の場合、ストック決定手段420は高確抽選テーブルを用いて抽選を行う。
また、上乗せ抽選を実施して当選し、且つ、当選状況判定手段410により引き弱状態であるという判定結果の場合、ストック決定手段420は低確抽選テーブルを用いて抽選を行う。
【0173】
放出決定手段460は、ストック数として所定数(具体的には、第1の実施の形態と同様に50)がストックされており、且つ、上乗せ抽選を実施して当選しなかった場合、当選状況判定手段410の判定結果に基づいて、引き普通状態のときは所定の抽選確率を用い、引き強状態のときは引き普通状態のときよりも低い抽選確率を用い、引き弱状態のときは引き普通状態のときよりも高い抽選確率を用いてストック演算手段440のストックを終了遊技回数(閾値)に上乗せとして放出するかどうかを抽選し該抽選に当たると放出することに決定する。なお、第1の実施の形態と同様にストック数の一部放出が可能である。
【0174】
放出決定手段460は、引き普通状態のときは普通抽選テーブルを用い、引き強状態のときは低確抽選テーブルを用い、引き弱状態のときは高確抽選テーブルを用いて、これらの抽選テーブルに記憶されている抽選確率を用いて上述した抽選を行う(
図24参照)。
具体的には、ストック数が50以上あって、上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、当選状況判定手段410により引き普通状態であるという判定結果の場合、放出決定手段460は普通抽選テーブルを用いて抽選を行う。
また、ストック数が50以上あって、上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、当選状況判定手段410により引き強状態であるという判定結果の場合、放出決定手段460は低確抽選テーブルを用いて抽選を行う。
また、ストック数が50以上あって、上乗せ抽選を実施して当選せず、且つ、当選状況判定手段410により引き弱状態であるという判定結果の場合、放出決定手段460は高確抽選テーブルを用いて抽選を行う。
【0175】
ストック放出抽選テーブル記憶手段470は、ストック決定手段420及び放出決定手段460が抽選に用いる抽選確率を有する複数の抽選テーブルを記憶しているものである。これらの複数の抽選テーブルは、ストック決定手段420が上乗せをストックするかどうかの抽選に用いる抽選確率を有する抽選テーブルと、放出決定手段460がストックされているものを上乗せとして放出するかどうかの抽選に用いる抽選確率を有する抽選テーブルとの両方に使用される。
具体的には、ストック決定手段420によるストック、又は、放出決定手段460による放出を実行するかどうか(又は一部実行をするかどうか)の抽選に用いる複数の抽選テーブルとして、所定の抽選確率を格納した普通抽選テーブルと、普通抽選テーブルよりも低い抽選確率を格納した低確抽選テーブルと、普通抽選テーブルよりも高い抽選確率を格納した高確抽選テーブルとが設けられている(
図24、
図25参照)。なお、これらの複数の抽選テーブルは、サブ制御装置300のROM上に記憶されている。
【0176】
本実施の形態では、ストック放出抽選テーブルが有する抽選テーブルは、普通抽選テーブルと高確抽選テーブルと低確抽選テーブルとの3種類であって、それらの抽選確率データはストック決定手段420と放出決定手段460との各抽選に用いる抽選テーブルの抽選確率データとして共通して使用し記憶容量が節約できるようにしている(
図25参照。)。もちろん、ストック決定手段420と放出決定手段460とは、それぞれ別個独立の異なる抽選テーブルを用いるようにしてもよいものである。例えば、ストック決定手段420は、ストック抽選用の普通抽選テーブル、高確抽選テーブル、低確抽選テーブルの3種類を有し、これらの抽選テーブルとは別個に、放出決定手段460は、放出抽選用の普通抽選テーブル、高確抽選テーブル、低確抽選テーブルの3種類を有し、合計6種類の抽選テーブルをストック放出抽選テーブル記憶手段470は備えるようにしてもよいものである。このようにすると、ストックする場合と放出する場合とで抽選確率をそれぞれ異なるように設定することができ、ストックは実行され難く、一旦、ストックされると放出され易い等の所定の傾向を発生させることが可能となる。
【0177】
図22に示すように、当選状況判定手段410は、特定の役の実際の当選回数に基づく結果値Pxと期待値Pとを比較し、さらに、上乗せ抽選の当選回数に基づく結果値Sxとその期待値Sとを比較する。当選状況判定手段410は、結果値Pxが期待値Pを超え且つ結果値Sxが期待値Sを超えれば当選状況を引き強状態と判定し(パターンK)、また、結果値Pxが期待値P以下になり且つ結果値Sxが期待値S以下ならば当選状況を引き弱状態と判定する(パターンI)。また、当選状況判定手段410は、結果値Pxが期待値Pを超え且つ結果値Sxが期待値S以下である場合と、結果値Pxが期待値P以下になり且つ結果値Sxが期待値Sを超える場合とには、当選状況を引き普通状態と判定する(パタンJの上段及び下段)。
【0178】
本実施の形態では、
図22に示すように、結果値Pxと期待値Pとが同一、且つ、結果値Sxと期待値Sとが同一の場合は、当選状況は引き弱状態として判定されるが、これに限定されるものではなく、引き強状態として判定されるようにしてもよいものである。具体的には、
図23に示すように、当選状況判定手段410は、結果値Pxが期待値P以上且つ結果値Sxが期待値S以上ならば当選状況を引き強状態と判定し(パターンN)、また、結果値Pxが期待値P未満且つ結果値Sxが期待値S未満ならば当選状況を引き弱状態と判定するようにしてもよいものである(パターンL)。なお、この場合、当選状況判定手段410は、結果値Pxが期待値P以上且つ結果値Sxが期待値S未満である場合と、結果値Pxが期待値P未満且つ結果値Sxが期待値S以上になる場合には、当選状況を引き普通状態と判定するものである(パタンMの上段及び下段)。
【0179】
図24に示すように、ストック決定手段420は、当選状況判定手段410が当選状況を引き強状態と判定した場合、ストック放出抽選テーブル記憶手段470の高確抽選テーブルを用いて、ストックするか否かに関する抽選を行う。また、ストック決定手段420は、当選状況判定手段410が当選状況を引き弱状態と判定した場合、ストック放出抽選テーブル記憶手段470の低確抽選テーブルを用いて、ストックするか否かに関する抽選を行う。また、ストック決定手段420は、当選状況判定手段410が当選状況を引き普通状態と判定した場合、ストック放出抽選テーブル記憶手段470の普通抽選テーブルを用いて、ストックするか否かに関する抽選を行う。
さらに、
図24に示すように、放出決定手段460は、当選状況判定手段410が当選状況を引き強状態と判定した場合、ストック放出抽選テーブル記憶手段470の低確抽選テーブルを用いて、ストックされているものを放出(上乗せ)するか否かに関する抽選を行う。また、放出決定手段460は、当選状況判定手段410が当選状況を引き弱状態と判定した場合、ストック放出抽選テーブル記憶手段470の高確抽選テーブルを用いて、ストックされているものを放出(上乗せ)するか否かに関する抽選を行う。また、放出決定手段460は、当選状況判定手段410が当選状況を引き普通状態と判定した場合、ストック放出抽選テーブル記憶手段470の普通抽選テーブルを用いて、ストックされているものを放出(上乗せ)するか否かに関する抽選を行う。
【0180】
図25に示すように、ストック放出抽選テーブル記憶手段470に記憶されている高確抽選テーブルは、「全部実行」の項目に抽選確率として70%(0.7の確率)の数値が設定され、「一部実行」の項目に抽選確率として15%(0.15の確率)の数値が設定され、「不実行」の項目に抽選確率として15%(0.15の確率)の数値が設定されている。
ストック放出抽選テーブル記憶手段470に記憶されている普通抽選テーブルは、「全部実行」の項目に抽選確率として50%(0.5の確率)の数値が設定され、「一部実行」の項目に抽選確率として25%(0.25の確率)の数値が設定され、「不実行」の項目に抽選確率として25%(0.25の確率)の数値が設定されている。
ストック放出抽選テーブル記憶手段470に記憶されている低確抽選テーブルは、「全部実行」の項目に抽選確率として30%(0.3の確率)の数値が設定され、「一部実行」の項目に抽選確率として35%(0.35の確率)の数値が設定され、「不実行」の項目に抽選確率として35%(0.35の確率)の数値が設定されている。
【0181】
ストック決定手段420が、これらの抽選テーブル(高確抽選テーブル、普通抽選テーブル及び低確抽選テーブル)を用いた抽選を行って「全部実行」の項目に当選した場合、上乗せに当選した遊技回数を全部ストックする。また、ストック決定手段420が、同様に抽選を行って「一部実行」の項目に当選した場合、上乗せに当選した遊技回数の一部(具体的には2分の1)をストックし、ストックした残りは即時に上乗せする。ストック決定手段420が、同様に抽選を行って「全部不実行」の項目に当選した場合、上乗せに当選した遊技回数のストックは行わない、すなわち全て即時に上乗せする。
【0182】
放出決定手段460が、これらの抽選テーブル(高確抽選テーブル、普通抽選テーブル及び低確抽選テーブル)を用いた抽選を行って「全部実行」の項目に当選した場合、ストックされている遊技回数(ストック数)を全部放出(即時に上乗せ)する。また、放出決定手段460が、同様に抽選を行って「一部実行」の項目に当選した場合、ストックされている遊技回数(ストック数)の一部(具体的には2分の1)を放出(即時に上乗せ)し、その放出(上乗せ)した残りはそのままストックを維持する。放出決定手段460が、同様に抽選を行って「不実行」の項目に当選した場合、ストックされている遊技回数(ストック数)の放出(即時に上乗せ)は行わず、そのままストックが維持される。
【0183】
本実施の形態に係るAT状態中における制御処理のフローチャートは、
図18及び
図19に関しては第1の実施の形態で説明したものと同一であり、
図20の代わりに
図26が用いられ、
図21の代わりに
図27が用いられる。
図26に示すように、第1の実施の形態では、当選状況が、2種類(引き強状態、引き弱状態)であり、それに伴う抽選テーブルも2個(高確抽選テーブル、低確抽選テーブル)であったものが、本実施の形態では、当選状況が3種類(引き強状態、引き普通状態、引き弱状態)であり、それに伴う抽選テーブルも3個(高確抽選テーブル、普通抽選テーブル、低確抽選テーブル)である。このため、かかる相違に伴うフローチャートの相違する箇所のみを以下に説明する。その他のステップは第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0184】
先ず、第1の実施の形態の
図20のステップ214、215の内容が、本実施の形態では、
図26のステップ414、415となり、内容が相違する。
ステップ414において、当選状況判定手段410により、現在のAT状態における上乗せの当選回数の結果値(Px、Sx)と、その抽選確率により算出される期待値(P、S)との比較をすることによる当選状況が引き強状態(好調)であるか、引き弱状態(不調)であるか、又は、引き普通状態であるかの当選状況の判定処理が行われる。具体的には、当選状況判定手段410は、結果値Px及びSxが期待値P及びSをそれぞれ超えれば当選状況を引き強状態と判定し、結果値Px及びSxが期待値P及びS以下ならば当選状況を引き弱状態と判定するものである。さらに、当選状況判定手段410は、結果値Pxが期待値Pを超え且つ結果値Sxが期待値S以下、又は、結果値Pxが期待値P以下且つ結果値Sxが期待値Sを超えれば、引き普通状態と判定するものである。そして、次のステップ415に進む。
【0185】
ステップ415において、現在の当選状況は、引き弱状態であるか否かが判定される。そして、現在の当選状況が引き弱状態であると判定された場合は、次のステップ416に進み、当選状況が引き弱状態でない、すなわち引き強状態又は引き普通状態であると判定された場合は、ステップ423に進む。
さらに、第1の実施の形態の
図20のフローチャートと比較して、本実施の形態では、
図26に示すフローチャートにおいて、ステップ423及びステップ427が新たに追加されている。
ステップ423において、現在の当選状況は、引き強状態であるか否かが判定される。そして、現在の当選状況が引き強状態であると判定された場合は、次のステップ424に進み、当選状況が引き強状態でない、すなわち引き普通状態であると判定された場合は、ステップ427に進む。
ステップ427において、ストック決定手段420により、普通抽選テーブルを用いて上乗せをストックするか否かの抽選が行われる。そして、次のステップ425に進む。
【0186】
次に
図27に関して、第1の実施の形態のフローチャート(
図21)と異なる点を説明する。
先ず、第1の実施の形態の
図21のステップ313、314の内容が、本実施の形態では、
図27のステップ513、514となり、内容が相違する。
ステップ514において、当選状況判定手段410により、現在の当選状況が引き強状態(好調)、引き普通状態又は引き弱状態(不調)であるかの判定処理が行われる。この判定処理は上述したステップ414の判定処理と同様の内容である。そして、次のステップ514に進む。
【0187】
ステップ514において、当選状況判定手段410により、現在の当選状況が引き弱状態(不調)であるか否かが判定される。現在の当選状況が引き弱状態であると判定された場合、次のステップ515に進み、引き弱状態でないと判定された場合、すなわち、引き普通状態又は引き強状態であると判定された場合、ステップ519に進む。
さらに、第1の実施の形態の
図21のフローチャートと比較して、本実施の形態では、
図27に示すフローチャートにおいて、ステップ519及びステップ524が新たに追加されている。
【0188】
ステップ519において、現在の当選状況は、引き強状態であるか否かが判定される。そして、現在の当選状況が引き強状態であると判定された場合は、次のステップ520に進み、当選状況が引き強状態でない、すなわち引き普通状態であると判定された場合は、ステップ524に進む。
ステップ524において、ストック決定手段420により、普通抽選テーブルを用いて上乗せをストックするか否かの抽選が行われる。そして、次のステップ521に進む。
【0189】
本実施の形態では、引き強状態では、上述した(A)及び(B)のいずれにおいても、実際の当選回数に基づく結果値(Px、Sx)が、その期待値(P、S)を超えており、遊技者にとって抽選で当たっている回数が多く、遊技状況の調子が良い(好調)状態となっている。
一方、引き弱状態では、(A)及び(B)のいずれにおいても、実際の当選回数に基づく結果値(Px、Sx)が、その期待値(P、S)以下になっており、遊技者にとって抽選で当たっている回数が少なく、遊技状況の調子が悪い(不調)状態となっている。
【0190】
また、引き普通状態では、(A)及び(B)のいずれか一方において、実際の当選回数に基づく結果値(Px又はSx)が、その期待値(P又はS)を超え、他方において実際の当選回数に基づく結果値(Px又はSx)が、その期待値(P又はS)以下になっており、遊技者にとって抽選で当たっている回数が普通で、遊技状況の調子が良くも悪くもない普通の状態となっている。
【0191】
また、上乗せ抽選に当選した場合、ストック決定手段420は引き強状態では引き普通状態よりも高確率でAT状態の終了遊技回数(閾値)の上乗せをストックする。
また、上乗せ抽選に当選した場合、ストック決定手段420は引き弱状態では引き普通状態よりも低確率でAT状態の終了遊技回数(閾値)の上乗せをストックする。
【0192】
上乗せ抽選に当選した場合、ストック決定手段420は引き普通状態では引き強状態よりも低確率且つ引き弱状態よりも高確率でAT状態の終了遊技回数(閾値)の上乗せをストックする。
これにより、上乗せ抽選に当選した場合、引き強状態のときは、引き普通状態よりも、終了遊技回数(閾値)の上乗せがより多くストックされる。一般的に引き強状態のときは、頻繁に役抽選や上乗せ抽選に当選しているので、終了遊技回数(閾値)の上乗せがストックとなっても、遊技者の遊技に対して大きな影響は与えない。一方、引き弱状態のときは、役抽選や上乗せ抽選に当選している回数が引き普通状態よりも少ないときなので、ようやく終了遊技回数(閾値)の上乗せに当選したものがストックされると、遊技に対する影響が大きくなる。このため、引き弱状態では、上乗せ抽選に当選したときにストックとなる確率を引き普通状態よりも低確率とすることで、当選した上乗せはストックされ難く直ぐに上乗せし易いようにすることができる。
また、引き普通状態では、上乗せのストックに関して、引き強状態と引き弱状態との中間の性質が維持される。
【0193】
さらに、ストック数として所定数(具体的には50以上)がストックされており、上乗せ抽選を実施して当選していない場合、放出決定手段460は引き普通状態では引き強状態よりも高確率且つ引き弱状態よりも低確率でストックを放出する。
また、ストック数として所定数(具体的には50以上)がストックされており、上乗せ抽選を実施して当選しなかった場合、放出決定手段460は引き強状態では引き普通状態よりも低確率でストックを放出する。
【0194】
また、ストック数として所定数(具体的には50以上)がストックされており、上乗せ抽選を実施して当選しなかった場合、放出決定手段460は引き弱状態では引き普通状態よりも高確率でストックを放出する。
これにより、ストック数が貯まっており上乗せ抽選を行って不当選の場合、引き強状態のときは、引き普通状態及び引き弱状態のときよりも、ストックされているものが放出され難くなる(上乗せされ難くなる)。そして、ストック数が貯まっており上乗せ抽選を行って不当選の場合、引き弱状態のときは、引き普通状態及び引き強状態のときよりも、ストックされているものが放出され易くなる(上乗せされ易くなる)。
【0195】
引き強状態のときは、頻繁に役抽選や上乗せ抽選に当選している状態なので、ストックが放出されてさらに閾値に上乗せされても、遊技者に大きなインパクトを与えないし、上乗せが発生したことの有り難みや喜びも薄れてしまう。それに対して、引き弱状態のときは、役抽選や上乗せ抽選に当選している回数が少ない状態なので、ストックが放出されて閾値としての終了遊技回数に上乗せされると、遊技者に大きなインパクトを与えることができ、上乗せが発生したことの有り難みや喜びも大きなものを付与することができる。
【0196】
結果として、本実施の形態では、引き強状態のときには、引き普通状態と比べて、より多くストックさせることができ、そのストックしたものの放出(上乗せ)を抑えることができる。また、引き弱状態のときには、引き普通状態と比べて、ストックすることを抑制することができ、ストックしているものは放出(上乗せ)され易くすることができる。また、引き普通状態のときは、ストック及び放出に関して引き強状態及び引き弱状態の中間の性質にすることができる。
【0197】
すなわち、遊技状況の調子が良いとき(引き強状態)に終了遊技回数(閾値)の上乗せをストックし、遊技状況の調子が悪いとき(引き弱状態)にストックしたものを放出(上乗せ)させることができ、遊技状況の調子が普通のとき(引き普通状態)は、それらの中間の性質となる。これにより、遊技状況を段階的により細かく判定して、上乗せを遊技者に対して効果的にストックし、そのストックしたものを効果的に放出させることができて、特殊状態の終了タイミングの調整が可能となり、安定した遊技を行わせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0198】
本実施の形態では、上乗せ抽選を実施して当選した場合、ストック決定手段420は、引き普通状態のとき普通抽選テーブルを用い、引き強状態のとき高確抽選テーブルを用い、引き弱状態のとき低確抽選テーブルを用いて抽選を行う。
また、ストック数が50以上であって、上乗せ抽選を実施して当選しない場合、放出決定手段460は、引き普通状態のとき普通抽選テーブルを用い、引き強状態のとき低確抽選テーブルを用い、引き弱状態のとき高確抽選テーブルを用いて抽選を行う。
【0199】
すなわち、ストック決定手段420と、放出決定手段460との抽選に用いる抽選テーブルとして、引き強状態と引き弱状態とで使用する抽選テーブルは互いに逆のもの(互いに交換されたもの)となる。これにより、ストック決定手段420及び放出決定手段460は、引き普通状態、引き強状態及び引き弱状態で使用する抽選テーブルとして、普通抽選テーブル、高確抽選テーブル及び低確抽選テーブルのいずれかを共通して用いることができる。各状態において、ストック決定手段420と、放出決定手段460とのそれぞれ別個の抽選テーブルを用いるような場合(6種類の抽選テーブル)と比べて、3種類だけの抽選テーブルを共通して用いることができて記憶容量を節約することができる。
【0200】
上乗せ抽選手段400により決定された上乗せの少なくとも一部が終了遊技回数(閾値)の上乗せとしてストック可能となることで、ストックされる量のバリエーションを増やすことができ、上乗せの付与パターンを種々のものにすることができる。
【0201】
ストック数の合計の少なくとも一部が上乗せとして放出可能となることで、ストックされた中から、放出される量のバリエーションを増やすことができ、上乗せの付与パターンをさらに種々のものにすることができる。
【0202】
本実施の形態では遊技者の調子が良いときに遊技者に解らないように上乗せをストックし、調子が悪いときにストックしたものを放出(上乗せ)させることができる。遊技状況に応じた上乗せのストック及び放出により、終了遊技回数(閾値)の上乗せの抽選結果を調整しているにもかかわらず、遊技者には、そのような調整がされているとは解らないようにすることができる。これにより、遊技状況の好調、不調の波が発生しても、遊技者に解らないように特殊状態の終了タイミングの調整が施された安定した遊技を行わせることができる。
【0203】
また、本実施の形態では、報知手段70はストックすることを遊技者に報知しないことで、いずれの時点においても、終了遊技回数(閾値)の上乗せがストックされているかもしれないという期待感を絶えず持たせることができる。
【0204】
上述した第1及び第2の実施の形態において、特殊状態としてのAT状態の終了条件は、所定の遊技回数(終了遊技回数(閾値))が設定されてあり、カウンタ360が遊技実行毎に加算する実行遊技回数(記憶値)が、所定の終了遊技回数(閾値)に達したことに基づいてAT状態の終了条件が成立したと終了条件判定手段380が判定していた。かかるAT状態の終了条件は、上述したような遊技回数に限定されるものではなく、他のパラメータを使用してもよいものである。具体的には、例えば、AT状態の終了条件として、上述したような遊技回数(終了遊技回数)ではなく、メダルの払出枚数と、投入枚数との差枚数が所定の枚数に達したときに特殊状態を終了させる、いわゆる差枚数管理の遊技機10にも適用可能なものである。この場合には、カウンタ360が、AT状態における差枚数(記憶値)を、閾値としての所定の差枚数に近づくように、メダルの投入枚数及び払出枚数に基づいて算出する。そして、終了条件判定手段380により、カウンタ360がカウントする差枚数(記憶値)が、所定の終了条件を満足する差枚数(いわゆる終了差枚数)に達したことに基づいてAT状態の終了条件が成立したと判定するものである。
【0205】
上述した第1及び第2の実施の形態において、当選状況の判定結果による上乗せのストック又は放出は、サブ制御装置300の演出状態がAT状態中において行われるように形成されていたが、特にこれに限定されるものではない。具体的には、例えば、サブ制御装置300における演出状態がサブ通常状態である場合においても、同様にAT状態の終了遊技回数(閾値)の上乗せのストックや放出の決定を行うようにしてもよい。
【0206】
また、上述した第1及び第2の実施の形態において、AT状態へ移行させるための移行抽選手段340と、AT状態の終了遊技回数(閾値)の上乗せを抽選により決定する上乗せ抽選手段400とを、それぞれ別個独立に設けていたが、特にこれに限定されるものではなく、両者を1個の抽選手段により共通して用いるようにしてもよい。具体的には、移行抽選手段340及び上乗せ抽選手段400の両方の機能を備えたAT抽選手段を有し、所定の契機役に当選した場合、このAT抽選手段による抽選が行われ、この抽選に当選した場合には、現在の演出状態がサブ通常状態(非AT状態)のときはAT状態へ移行することに決定され、AT状態への移行決定の際に初期設定されたAT状態の遊技回数(いわゆる終了遊技回数)に対して、ストック決定手段及び放出決定手段が、ストック又は放出を決定するようにしてもよいものである。なお、現在の演出状態がAT状態のときは、AT抽選手段の抽選に当選することで、AT状態における上乗せに当選したことに決定され、第1及び第2の実施の形態で説明したものと同様の処理となる。
【0207】
また、上述した第1及び第2の実施の形態において、貯留しているストック数を放出する条件は、いずれも上乗せ抽選で当選していない(不当選)場合(第1の実施の形態ではステップ212でNoの場合、第2の実施の形態ではステップ412でNoの場合)になっているが、必ずしもこれに限定されるものではない。具体的には、例えば、上乗せ抽選で当選した場合(第1の実施の形態ではステップ212でYesの場合、第2の実施の形態ではステップ412でYesの場合)であっても、第1の実施の形態では
図21、第2の実施の形態では
図27のフローチャートに示す処理を行って、上乗せの閾値としての終了遊技回数に、既に貯留(ストック)されているものから決定されたストック分を加算する(放出する)ようにしてもよいものである。これにより、既に貯留(ストック)しているものを放出させる機会が、上乗せ抽選に不当選の場合だけでなく、上乗せ抽選に当選した場合にも発生させることができ、ストック放出のバリエーションを増やすことができる。
【0208】
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態において、貯留しているストック数を放出する条件は、上述した条件に加えて、又は、上述した条件とは別に、上乗せ抽選(ステップ212、412)に当選し、現在の状態が引き弱状態と判定され(ステップ215、415)、ストック抽選処理で全ストックせずに、且つ、一部ストックもしない場合(すなわち、第1の実施の形態ではステップ219でNoの場合、第2の実施の形態ではステップ419でNoの場合)、上乗せが決まった遊技回数に、
図21又は
図27のフローチャートに示す処理を行って、既に貯留(ストック)しているものから加算する(放出する)ようにしてもよいものである。このようにすると、現在の状態が引き弱状態で当選頻度が少ない状況であるため、遊技者に対して、そのような状況を救済することが可能となる。
【0209】
また、上述した第1及び第2の実施の形態において、ストック決定手段及び放出決定手段のいずれも一部ストックや、一部放出が可能となるようにしているが、特にこれに限定されるものではなく、一部のストックや放出を行わずに、全部ストック又は全部放出(上乗せ)だけにしてもよい。
【課題】遊技状況に応じて、上乗せのストック及び放出を調整することができ、特殊状態の終了タイミングの調整が可能となり、安定した遊技を行わせることができて遊技の興趣を向上させることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【解決手段】特殊状態中、結果値が期待値を超えれば当選状況を引き強状態、結果値が期待値以下ならば当選状況を引き弱状態と判定する当選状況判定手段410と、引き弱状態のときは引き強状態のときよりも低い抽選確率を用いて、閾値の上乗せをストックするかどうかを抽選するに決定するストック決定手段420と、ストックされ、上乗せ抽選を実施して当選しなかった場合、引き強状態のときは引き弱状態のときよりも低い抽選確率を用いてストックを閾値に上乗せとして放出するかどうかを抽選し該抽選に当たると放出することに決定する放出決定手段460とを備えたことを特徴とする。