特許第5721172号(P5721172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5721172チップ型の固体電解コンデンサ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721172
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】チップ型の固体電解コンデンサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/08 20060101AFI20150430BHJP
   H01G 9/06 20060101ALI20150430BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20150430BHJP
   H01G 9/004 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   H01G9/08 C
   H01G9/06 A
   H01G9/24 C
   H01G9/05 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-88813(P2011-88813)
(22)【出願日】2011年4月13日
(65)【公開番号】特開2012-222262(P2012-222262A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2014年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】NECトーキン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】目黒 健志
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−212600(JP,A)
【文献】 特開2010−251643(JP,A)
【文献】 特開2008−160062(JP,A)
【文献】 特開2008−294012(JP,A)
【文献】 特開2007−150223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/08
H01G 9/00
H01G 9/004
H01G 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極基板の一方の面に内部陽極端子及び内部陰極端子を有し、前記電極基板の他方の面に陽極ビアを介して前記内部陽極端子と導通する外部陽極端子と、陰極ビアを介して前記内部陰極端子と導通する外部陰極端子を有し、前記電極基板の一方の面に、陽極導出リードを備え、弁作用金属からなる陽極体の表面に誘電体層と固体電解質層と陰極層を順次形成し、前記陰極層を陰極部とするコンデンサ素子を搭載し、前記陽極導出リードと前記内部陽極端子並びに前記陰極部と前記内部陰極端子をそれぞれ電気的に接続し、前記コンデンサ素子を外装樹脂で外装してなるチップ型の固体電解コンデンサであって、前記電極基板の一方の面と前記外装樹脂の接合する面のすくなくとも一部に、弾性接着部材からなる弾性接続部を備え、前記弾性接着部材は前記外装樹脂よりも弾性率が小さいことを特徴とするチップ型の固体電解コンデンサ。
【請求項2】
電極基板の一方の面に内部陽極端子及び内部陰極端子を有し、前記電極基板の他方の面に陽極ビアを介して前記内部陽極端子と導通する外部陽極端子と、陰極ビアを介して前記内部陰極端子と導通する外部陰極端子を有し、前記電極基板の一方の面に、両端部に陽極部を備え、弁作用金属からなる陽極体の中央部の表面に誘電体層と固体電解質層と陰極層を順次形成し、前記陰極層を陰極部とする3端子型のコンデンサ素子を搭載し、前記陽極部と前記内部陽極端子並びに前記陰極部と前記内部陰極端子をそれぞれ電気的に接続し、前記コンデンサ素子を外装樹脂で外装してなる3端子型の固体電解コンデンサであって、前記電極基板の一方の面と前記外装樹脂の接合する面のすくなくとも一部に、弾性接着部材からなる弾性接続部を備え、前記弾性接着部材は前記外装樹脂よりも弾性率が小さいことを特徴とするチップ型の固体電解コンデンサ。
【請求項3】
前記弾性接着部材が、変成シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のチップ型の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
陽極導出リードが導出された弁作用金属からなる陽極体の表面に、誘電体層、固体電解質層を順次形成し、前記固体電解質層の表面に陰極層からなる陰極部を有するコンデンサ素子を形成する工程と、一方の面に内部陽極端子及び内部陰極端子を有し、他方の面に陽極ビアを介して前記内部陽極端子と導通する外部陽極端子と、陰極ビアを介して前記内部陰極端子と導通する外部陰極端子を有する電極基板を用意し、前記電極基板の一方の面の外装樹脂を接合する面のすくなくとも一部に、前記外装樹脂よりも弾性率の小さい弾性接着部材を塗布する工程と、前記電極基板の一方の面に、前記コンデンサ素子を搭載し、前記陽極導出リードと前記内部陽極端子並びに前記陰極部と前記内部陰極端子をそれぞれ電気的に接続し、前記コンデンサ素子を外装樹脂で外装する工程を含むチップ型の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項5】
両端部に陽極部を備え、弁作用金属からなる陽極体の中央部の表面に、誘電体層、固体電解質層を順次形成し、前記固体電解質層の表面に陰極層からなる陰極部を有する3端子型のコンデンサ素子を形成する工程と、一方の面に内部陽極端子及び内部陰極端子を有し、他方の面に陽極ビアを介して前記内部陽極端子と導通する外部陽極端子と、陰極ビアを介して前記内部陰極端子と導通する外部陰極端子を有する電極基板を用意し、前記電極基板の一方の面の外装樹脂を接合する面のすくなくとも一部に、前記外装樹脂よりも弾性率の小さい弾性接着部材を塗布する工程と、前記電極基板の一方の面に、前記3端子型のコンデンサ素子を搭載し、前記陽極と前記内部陽極端子並びに前記陰極部と前記内部陰極端子をそれぞれ電気的に接続し、前記コンデンサ素子を外装樹脂で外装する工程を含むチップ型の固体電解コンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ型の固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、タンタル、ニオブ等を用いた固体電解コンデンサは、静電容量が大きく、周波数特性に優れていることから、CPUのデカップリング回路あるいは電源回路等に広く使用されている。また、近年では、応用電子機器の小型化や薄型化に伴って、電子部品の高密度実装が求められている。そのため、固体電解コンデンサでも高密度実装が可能な表面実装型(チップ型)の固体電解コンデンサが要求されている。
【0003】
ここで、一般的なチップ型の固体電解コンデンサを図面を用いて説明する。図3は従来のチップ型の固体電解コンデンサの断面図であり、内部構造の一例を示している。弁作用金属からなる陽極体2からは、陽極部となる線状または板状の陽極導出リード1が導出されている。陽極体2の表面には酸化膜からなる誘電体層が形成され、誘電体層の表面には固体電解質層である導電性高分子層が形成され、さらに、導電性高分子層の表面には陰極部となるグラファイト層と銀層が形成され、コンデンサ素子11が構成されている。
【0004】
電極基板4は、絶縁部材部10を介して、一方の面にコンデンサ素子11と電気的に接続する、内部陽極端子6a及び内部陰極端子7aからなる内部電極端子を有し、もう一方の面には外部基板と電気的に接続する、外部陽極端子6c及び外部陰極端子7cからなる外部電極端子を有し、それぞれを陽極ビア6b、陰極ビア7bで電気的に接続した構造となっている。
【0005】
コンデンサ素子11の陽極部である陽極導出リード1には、金属からなる導電材3が溶接等で接続され、さらに、導電材3は導電性接着剤5を介して内部陽極端子6aに接続されている。また、陰極部である銀層は導電性接着剤5を介して内部陰極端子7aに接続される。なお、図3に示したチップ型の固体電解コンデンサは一般的に小型の形状のものが多い。したがって、図示していないが、図3の電極基板の領域が複数個形成された大判の電極基板に、それぞれコンデンサ素子が配置され、接続される場合が多い。
【0006】
その後、電極基板4に搭載したコンデンサ素子11をモールド成形等を用いて外装樹脂8で封止し外装とする。そして、外装が完了した大判の電極基板を製品の形状に切断することによってチップ型の固体電解コンデンサが得られる。このようなチップ型の固体電解コンデンサは、例えば、特許文献1に記載されている。
【0007】
図4は、従来のチップ型の固体電解コンデンサに使用する電極基板の斜視図であり、前述した構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−110458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般的に電子部品には、実装時のリフロー工程での加熱や使用環境による温度差、動作時のコンデンサへ印加される電力の変化などで、部品を構成する材料に膨張や収縮が生じる。チップ型の固体電解コンデンサでは、特に、絶縁部材部と外装樹脂の接合面で、これらの応力の影響を受け易く、接合面での剥離発生の懸念や、内在する電気的な接続部分における等価直列抵抗(以下、ESRと称す)が上昇する場合があるという課題があった。
【0010】
本発明は、電極基板の一方の面と外装樹脂の接合面の剥離を減少させ、ESRの上昇を抑制したチップ型の固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のチップ型の固体電解コンデンサは、電極基板の一方の面に内部陽極端子及び内部陰極端子を有し、前記電極基板の他方の面に陽極ビアを介して前記内部陽極端子と導通する外部陽極端子と、陰極ビアを介して前記内部陰極端子と導通する外部陰極端子を有し、前記電極基板の一方の面に、陽極導出リードを備え、弁作用金属からなる陽極体の表面に誘電体層と固体電解質層と陰極層を順次形成し、前記陰極層を陰極部とするコンデンサ素子を搭載し、前記陽極導出リードと前記内部陽極端子並びに前記陰極部と前記内部陰極端子をそれぞれ電気的に接続し、前記コンデンサ素子を外装樹脂で外装してなるチップ型の固体電解コンデンサであって、前記電極基板の一方の面と前記外装樹脂の接合する面のすくなくとも一部に、弾性接着部材からなる弾性接続部を備え、前記弾性接着部材は前記外装樹脂よりも弾性率が小さいことを特徴とする。
【0012】
本発明のチップ型の固体電解コンデンサは、電極基板の一方の面に内部陽極端子及び内部陰極端子を有し、前記電極基板の他方の面に陽極ビアを介して前記内部陽極端子と導通する外部陽極端子と、陰極ビアを介して前記内部陰極端子と導通する外部陰極端子を有し、前記電極基板の一方の面に、両端部に陽極部を備え、弁作用金属からなる陽極体の中央部の表面に誘電体層と固体電解質層と陰極層を順次形成し、前記陰極層を陰極部とする3端子型のコンデンサ素子を搭載し、前記陽極部と前記内部陽極端子並びに前記陰極部と前記内部陰極端子をそれぞれ電気的に接続し、前記コンデンサ素子を外装樹脂で外装してなる3端子型の固体電解コンデンサであって、前記電極基板の一方の面と前記外装樹脂の接合する面のすくなくとも一部に、弾性接着部材からなる弾性接続部を備え、前記弾性接着部材は前記外装樹脂よりも弾性率が小さいことを特徴とする。
【0014】
本発明のチップ型の固体電解コンデンサは、前記弾性接着部材が変成シリコーン樹脂であることが望ましく、特に、実装時のリフロー工程での耐熱性に優れることからエポキシ変成シリコーン樹脂であればなお良い。
【0015】
本発明のチップ型の固体電解コンデンサの製造方法は、陽極導出リードが導出された弁作用金属からなる陽極体の表面に、誘電体層、固体電解質層を順次形成し、前記固体電解質層の表面に陰極層からなる陰極部を有するコンデンサ素子を形成する工程と、一方の面に内部陽極端子及び内部陰極端子を有し、他方の面に陽極ビアを介して前記内部陽極端子と導通する外部陽極端子と、陰極ビアを介して前記内部陰極端子と導通する外部陰極端子を有する電極基板を用意し、前記電極基板の一方の面の外装樹脂を接合する面のすくなくとも一部に、弾性接着部材を塗布する工程と、前記電極基板の一方の面に、前記コンデンサ素子を搭載し、前記陽極導出リードと前記内部陽極端子並びに前記陰極部と前記内部陰極端子をそれぞれ電気的に接続し、前記コンデンサ素子を外装樹脂で外装する工程を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明のチップ型の固体電解コンデンサの製造方法は、両端部に陽極部を備え、弁作用金属からなる陽極体の中央部の表面に、誘電体層、固体電解質層を順次形成し、前記固体電解質層の表面に陰極層からなる陰極部を有する3端子型のコンデンサ素子を形成する工程と、一方の面に内部陽極端子及び内部陰極端子を有し、他方の面に陽極ビアを介して前記内部陽極端子と導通する外部陽極端子と、陰極ビアを介して前記内部陰極端子と導通する外部陰極端子を有する電極基板を用意し、前記電極基板の一方の面の外装樹脂を接合する面のすくなくとも一部に、弾性接着部材を塗布する工程と、前記電極基板の一方の面に、前記コンデンサ素子を搭載し、前記陽極と前記内部陽極端子並びに前記陰極部と前記内部陰極端子をそれぞれ電気的に接続し、前記コンデンサ素子を外装樹脂で外装する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記構成からなる本発明は、電極基板の一方の面と外装樹脂の接合する面のすくなくとも一部に、弾性接着部材からなる弾性接続部を有した構造を備えている。そのため、加熱等でコンデンサの構成部材に膨張や収縮による応力が発生しても、弾性接続部によりその応力を吸収や緩和させることが可能となり、接合面での剥離を減少させ、ESRの上昇を抑制したチップ型の固体電解コンデンサを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係るチップ型の固体電解コンデンサの断面図。
図2】本発明の実施の形態に係るチップ型の固体電解コンデンサに使用する電極基板の斜視図。
図3】従来のチップ型の固体電解コンデンサの断面図。
図4】従来のチップ型の固体電解コンデンサに使用する電極基板の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るチップ型の固体電解コンデンサの断面図であり、図2は、本発明の実施の形態に係るチップ型の固体電解コンデンサに使用する電極基板の斜視図である。
【0021】
図1に示す本発明のコンデンサ素子11は、図3に示す従来技術と同様の構造をしており、陽極導出リード1と、タンタル等の弁作用金属からなる陽極体2の表面に形成された陰極部(図示せず)を備えている。図2は、コンデンサ素子を搭載する前の電極基板4の状態を表している。
【0022】
図1及び図2で示すように、本発明の実施の形態の電極基板4は、絶縁部材部10を介して内部陽極端子6a及び内部陰極端子7aからなる内部電極端子と、外部陽極端子6c及び外部陰極端子7cからなる外部電極端子を有している。さらに、内部電極端子と外部電極端子は、それぞれ、陽極ビア6b、陰極ビア7bを介して電気的に接続されている。
【0023】
この時、本発明の構成として従来技術と相違する点は、電極基板4の絶縁部材部10の樹脂にて外装する面に、弾性接続部9を形成していることである。
【0024】
つまり、電極基板4の内部電極端子が設けられた面において、内部陽極端子6a及び内部陰極端子7aを除いた絶縁部材部10の表面に、弾性接着部材を塗布し、弾性接続部9を形成している。
【0025】
その後、コンデンサ素子11の陽極部となる陽極導出リード1に、銅などの金属からなる導電材3を溶接等で接続する。さらに、導電材3を導電性ペースト等からなる導電性接着剤5を介して内部陽極端子6aに接続し、陰極部である銀層は導電性接着剤5を介して内部陰極端子7aに接続する。
【0026】
続いて、ガラスフィラーを含んだエポキシ樹脂等からなる外装樹脂8で、コンデンサ素子11を搭載した電極基板4の面にモールド成形等の方法で外装を行う。その後、個辺へ切断する工程で製品の形状に加工し、本発明のチップ型の固体電解コンデンサが完成する。 なお、本発明の弾性接続部は、コンデンサ素子を個別に樹脂モールドする大型形状のコンデンサに適用することも可能である。
【0027】
また、本発明の弾性接続部は、板状または箔状の拡面化したアルミニウム等の弁作用金属を陽極体とし、陽極体の両端部に陽極部を形成し、中央部に陰極部を形成した、3端子型のコンデンサ素子を搭載する外部電極端子が3端子型の固体電解コンデンサにも適用することが可能である。
【0028】
チップ型の固体電解コンデンサの外装樹脂8と絶縁部材部10の面の間に、弾性接続部9を介在させることによって、リフロー時の加熱等で発生した応力を吸収や緩和させることが出来る。この作用効果によって、接合面での剥離を減少させ、ESRの上昇を抑制したチップ型の固体電解コンデンサを得ることが可能となる。
【0029】
なお、密着性や接続強度が良好に得られることと、応力を吸収や緩和を十分に行う点から、弾性接続部9の厚みは、0.05mmから0.25mmが望ましい。 また、弾性接続部9を形成する弾性接着部材は、応力を吸収や緩和させることから、外装樹脂よりも弾性率が小さいことが好ましい。
【0030】
弾性接着部材としては、変成シリコーン樹脂などが選択でき、実装時のリフロー工程での耐熱性に優れることからエポキシ変成シリコーン樹脂が望ましい。また、プライマー処理の必要性や張り合わせ可能時間に応じて選定してよい。
【0031】
弾性接着部材の塗布方法は、チューブ液剤塗布装置(オートチューブ)やディスペンサー等を用いることができる。弾性接続部9の形成パターンは特に限定されず、内部陽極端子6a及び内部陰極端子7aの表面を除いた絶縁部材部10の表面に、べた塗布、線状に塗布、島状に点在させても良く、外装樹脂との接着が十分得られ、発生する応力を吸収や緩和が可能であれば良い。
【0032】
電極基板4の絶縁部材部10はガラスエポキシ等を主剤とした絶縁材料で構成される。また、内部電極端子と外部電極端子を構成する材料としては、銅箔、または銅メッキなどが用いられる。さらに銅メッキに加えてニッケル、パラジウム、金のメッキ等も用いられる。
【実施例】
【0033】
以下に本発明の実施例を詳述する。
【0034】
(実施例)
まず、図1及び図2を用いて説明する。陽極導出リード1を具備したタンタル焼結体からなる陽極体2に、公知の方法で誘電体層、固体電解質層、陰極部を形成したコンデンサ素子11を作製した。
【0035】
次に、用意していた、主にガラスエポキシ樹脂を材料とした絶縁部材部10からなる電極基板4の内部電極端子が設けられた面に、内部陽極端子6a及び内部陰極端子7aを除く絶縁部材部10の表面に、弾性接着部材であるエポキシ変成シリコーン樹脂をオートチューブにより塗布し、弾性接続部9を形成した。尚、電極基板4の寸法は長さ160mm、幅60mmのものを用いた。弾性接続部9の厚みは0.2mmとした。
【0036】
次に、陽極導出リード1と導電材3とを抵抗溶接し、導電材3とコンデンサ素子11の陰極部を、それぞれ内部陽極端子6a及び内部陰極端子7aに導電性接着剤5で接続した。続いて、ガラスフィラーを含む液状エポキシ樹脂からなる外装樹脂8でモールド成形を実施し、150℃で240秒間保持し、加熱硬化させ、外装を完了した。その後、個片に切断し、本発明のチップ型の固体電解コンデンサを完成させた。なお、用いた弾性接着部材は、塗布後の張り合わせ可能な時間を15分程度有しているので、その時間内に外装まで完了させた。サンプルは10000個作製した。
【0037】
(比較例)
電極基板4の絶縁部材部10の表面に、弾性接着部材を塗布しなかった以外は、実施例1と同様の方法で従来技術を用いたチップ型の固体電解コンデンサを作製した。サンプルは10000個作製した。
【0038】
次に、実施例及び比較例における、チップ型の固体電解コンデンサのサンプルのESRの上昇率の評価を行なった。実施例及び従来例のチップ型の固体電解コンデンサを、それぞれ実装用配線基板に接続し、実装前と実装後のESRを各々測定してESRの上昇率を算出した。実装環境となるリフロー時の加熱条件はピーク温度を270℃とし、ピーク温度での加熱時間10秒間とした。表1に実装後のESRの上昇率の結果を示す。なお、ESRの上昇率の測定数はそれぞれ100個とした。
【0039】
【表1】
【0040】
表1から明らかなように、実施例は比較例より、実装後のESRの上昇率が小さい。
【0041】
これは、外装樹脂8と絶縁部材部10の面の間に弾性接続部9を介在させることによって、リフロー時の加熱等で発生した応力を吸収や緩和させる役目を果たし、ESRの上昇を抑制したためと考えられる。
【0042】
以上、実施例を用いて、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なし得るであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 陽極導出リード
2 陽極体
3 導電材
4 電極基板
5 導電性接着剤
6a 内部陽極端子
6b 陽極ビア
6c 外部陽極端子
7a 内部陰極端子
7b 陰極ビア
7c 外部陰極端子
8 外装樹脂
9 弾性接続部
10 絶縁部材部
11 コンデンサ素子
図1
図2
図3
図4