特許第5721179号(P5721179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NECエナジーデバイス株式会社の特許一覧

特許5721179リチウムイオン二次電池用ゲル電解質およびそれを備えたリチウムイオン二次電池
<>
  • 特許5721179-リチウムイオン二次電池用ゲル電解質およびそれを備えたリチウムイオン二次電池 図000030
  • 特許5721179-リチウムイオン二次電池用ゲル電解質およびそれを備えたリチウムイオン二次電池 図000031
  • 特許5721179-リチウムイオン二次電池用ゲル電解質およびそれを備えたリチウムイオン二次電池 図000032
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721179
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池用ゲル電解質およびそれを備えたリチウムイオン二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0565 20100101AFI20150430BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20150430BHJP
【FI】
   H01M10/0565
   H01M10/052
【請求項の数】5
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2011-540571(P2011-540571)
(86)(22)【出願日】2010年11月15日
(86)【国際出願番号】JP2010070271
(87)【国際公開番号】WO2011059083
(87)【国際公開日】20110519
【審査請求日】2012年5月2日
(31)【優先権主張番号】特願2009-260039(P2009-260039)
(32)【優先日】2009年11月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310010081
【氏名又は名称】NECエナジーデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】河野 安孝
(72)【発明者】
【氏名】金子 志奈子
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 洋子
(72)【発明者】
【氏名】石川 仁志
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−041413(JP,A)
【文献】 特開2002−110245(JP,A)
【文献】 特開2005−190869(JP,A)
【文献】 特開2007−273445(JP,A)
【文献】 特開2006−024380(JP,A)
【文献】 特開2007−328992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0565
H01M 10/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム塩と、下記式(1)または(2)で示されるモノマーと下記式(4)で示されるモノマーとの共重合体と、下記式(5)で示されるホスファゼン構造を有する化合物とを含有し、添加剤として、下記式(6)で示される環状ジスルホン酸エステル(下記化合物aからiを除く)および下記式(7)で示される鎖状ジスルホン酸エステルから選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含有するリチウムイオン二次電池用ゲル電解質。
【化1】
(式(1)中、R1はHまたはCH3を表し、式(1)、(2)中、R2は下記式(3)で示される置換基のいずれかを表す。)
【化2】
(式(3)中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
【化3】
(式(4)中、R4はHまたはCH3を表し、R5は−COOCH3、−COOC25、−COOC37、−COOC49、−COOCH2CH(CH32、−COO(CH2CH2O)mCH3、−COO(CH2CH2O)m49、−COO(CH2CH2CH2O)mCH3、−COO(CH2CH(CH3)O)mCH3、−COO(CH2CH(CH3)O)m25、−OCOCH3、−OCOC25、または−CH2OC25を表す。mは1〜3の整数を示す。)
【化4】
(式(5)中、X1、X2はそれぞれ独立してハロゲン元素または一価の置換基を表し、一価の置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシル基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アシル基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基またはハロゲン化アリールチオ基を示す。nは3〜5の整数を表す。なお、式(5)は環状であってもよい。)
【化5】
(式(6)中、Qは酸素原子、メチレン基または単結合、A1は、分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキレン基、カルボニル基、スルフィニル基、分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1〜5のパーフルオロアルキレン基、分岐していても良い炭素数2〜6の置換もしくは無置換のフルオロアルキレン基、エーテル結合を含み分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキレン基、エーテル結合を含み分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基またはエーテル結合を含み分岐していても良い炭素数2〜6の置換もしくは無置換のフルオロアルキレン基を示す。A2は分岐していても良い置換もしくは無置換のアルキレン基、フルオロメチレン基、あるいは酸素原子を示す。)
【化6】
(式(7)中、R6およびR9は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、−SO23(X3は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、−SY1(Y1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、−COZ(Zは水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、およびハロゲン原子、から選ばれる原子または基を示す。R7およびR8は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェノキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基、炭素数1〜5のポリフルオロアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、−NX45(X4およびX5は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、および−NY2CONY34(Y2〜Y4は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)から選ばれる原子または基を示す。)
【化8】
【請求項2】
前記添加剤として、さらに下記式(8)で示されるスルトン化合物を含む請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用ゲル電解質。
【化7】

(式(8)中、R10〜R15は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上、12以下のアルキル基、炭素数3以上、6以下のシクロアルキル基および炭素数6以上、12以下のアリール基、から選ばれる原子または基を示す。nは0以上、2以下の整数を表す。)
【請求項3】
前記式(6)で示される環状ジスルホン酸エステル、前記式(7)で示される鎖状ジスルホン酸エステルおよび前記式(8)で示されるスルトン化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を、0.05〜12質量%含有する請求項に記載のリチウムイオン二次電池用ゲル電解質。
【請求項4】
前記式(5)で示されるホスファゼン構造を有する化合物を、3〜20質量%含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用ゲル電解質。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用ゲル電解質を備えたリチウムイオン二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、リチウムイオン二次電池用ゲル電解質およびそれを備えたリチウムイオン二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオンまたはリチウム二次電池は、高いエネルギー密度を実現できることから携帯電話やノートパソコン用の電源のほか、大型の電力貯蔵用電源や自動車用電源としても注目されている。
【0003】
リチウムイオンまたはリチウム二次電池は、高いエネルギー密度を実現できるが、大型化するとエネルギー密度は膨大となり、より高い安全性が求められる。たとえば、大型の電力貯蔵用電源や自動車用電源においては特に高い安全性が求められており、安全対策として、セルやパッケージなどの構造設計、保護回路、電極材料、過充電防止機能を有する添加剤や、セパレータのシャットダウン機能の強化などが施されている。
【0004】
リチウムイオン二次電池は、電解液溶媒として環状カーボネートや鎖状カーボネートなどの非プロトン性溶媒を使用しており、これらカーボネート類は、誘電率が高くリチウムイオンのイオン伝導度は高いが、引火点が低く可燃性であるという特徴がある。
【0005】
リチウムイオン二次電池の安全性をさらに高める手段のひとつとして電解液の難燃化が挙げられる。電解液を難燃化する手法として、難燃化剤であるホスファゼン化合物を添加する方法が開示されている。
【0006】
例えば、特許文献1の非水電解質電池は、電解質としてホスファゼン誘導体にリチウム塩を溶解した溶液又はホスファゼン誘導体に更に非プロトン性有機溶媒を加えた溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を使用している。これにより、短絡などの異常時にも破裂、発火等の危険性がなく、かつ優れた電池性能を達成できることが記載されている。
【0007】
特許文献2の非水電解質電池は、電解質として鎖状型ホスファゼン誘導体にリチウム塩を溶解した溶液又はホスファゼン誘導体に更に非プロトン性有機溶媒を加えた溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を使用している。これにより、短絡などの異常時にも破裂、発火等の危険性がなく、かつ優れた電池特性を達成できることが記載されている。
【0008】
特許文献3には、正極と、負極と、支持塩、有機溶媒、及び、ホスファゼン誘導体を含有する非水系電解液と、を有し、前記ホスファゼン誘導体の電位窓が、下限値+0.5V以下で、上限値+4.5V以上の範囲であり、且つ、前記有機溶媒の電位窓が、前記ホスファゼン誘導体の電位窓より広い範囲である非水系電解液二次電池に関する記載がある。
【0009】
特許文献4には、正極と、負極と、支持塩及びリチウム塩溶解液(0.5mol/l)の導電率が小さくとも2.0mS/cmのホスファゼン誘導体を含有する非水系電解液と、を有する非水系電解液二次電池に関する記載がある。
【0010】
また、電解液溶媒として使用しているカーボネート類よりも高い電位で還元分解して、リチウムイオン透過性の高い保護膜であるSEI(Solid Electrolyte Interface:固体電解質界面)を生成する物質を添加剤として使用する技術が知られている。このSEIは、充放電効率、サイクル特性、安全性に大きな影響を及ぼすことから、負極においてSEIの制御が不可欠であることが知られており、SEIにより炭素材料や酸化物材料の不可逆容量の低減ができる。
【0011】
特許文献5には、リチウム塩及び非水溶媒を含有する非水系電解液において、更に、分子内に炭素−炭素不飽和結合を有する環状炭酸エステルと、非水系電解液に対して1質量%以上、25質量%以下のホスファゼン誘導体とを含有させることで、電池の異常加熱等における安全性・信頼性を確保することができるとともに、サイクル特性等の良好な電池性能を得ることができる優れた非水系電解液を提供することが記載されている。
【0012】
特許文献6には、電池用非水系電解液は環状ホスファゼン化合物及びジフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶液と、1,3−プロパンスルトン、1,3−ブタンスルトン、1,4−ブタンスルトン、及び1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイドからなる群から選択される少なくとも1種の環状硫黄化合物と、支持塩とを含む。これにより、高温環境下でも優れた電池性能と高い安全性を電池に付与することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平6−13108号公報
【特許文献2】特開平11−144757号公報
【特許文献3】特開2001−217005号公報
【特許文献4】特開2001−217007号公報
【特許文献5】特開2006−24380号公報
【特許文献6】特開2008−41413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1〜4および6において、ホスファゼン化合物は長期使用中に負極上で徐々に還元分解されるため、電池の容量維持率が大きく低下する場合がある。
【0015】
また、特許文献5では、SEI形成可能なビニレンカーボネートを添加することでホスファゼン化合物の還元分解を抑制しているが、長期にわたるホスファゼン化合物の還元分解を抑制するほどのビニレンカーボネートを添加すると、抵抗増加の原因となり、電池の充放電特性が大きく低下する場合がある。
【0016】
さらに特許文献6では、これらホスファゼン化合物およびジフルオロリン酸エステルが長期にわたり分解した場合、電解液中の難燃化剤の存在比率が低下することにより、長期使用後の安全性が低下する場合がある。つまり、還元分解する難燃化剤を添加する場合は、難燃化剤の添加量に対し相応の添加剤量が必要となる。したがって、電池の抵抗も大幅に増加し、容量やレート特性が急激に低下する場合がある。よって電池特性低下を招かない程度の添加量で、ホスファゼン化合物が高温時においても長期安定化させるため最適なSEIを形成しうる添加剤の選定が必要となってくる。
【0017】
また、特許文献1〜6はいずれも電解液であるため漏液の問題が懸念される。本実施形態は上記事情に鑑みてなされたものであり、本実施形態の課題は高い安全性を有し、かつ良好な寿命特性を有するリチウムイオン二次電池用ゲル電解質およびそれを備えたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用ゲル電解質は、リチウム塩と、下記式(1)または(2)で示されるモノマーと下記式(4)で示されるモノマーとの共重合体と、下記式(5)で示されるホスファゼン構造を有する化合物とを含有し、添加剤として、下記式(6)で示される環状ジスルホン酸エステル(下記化合物aからiを除く)および下記式(7)で示される鎖状ジスルホン酸エステルから選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含有する。また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用ゲル電解質は、前記添加剤として、さらに下記式(8)で示されるスルトン化合物を含むことができる。
【0019】
【化1】
(式(1)中、RはHまたはCHを表し、式(1)、(2)中、Rは下記式(3)で示される置換基のいずれかを表す。)
【0020】
【化2】
(式(3)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
【0021】
【化3】
(式(4)中、RはHまたはCHを表し、Rは−COOCH、−COOC、−COOC、−COOC、−COOCHCH(CH、−COO(CHCHO)CH、−COO(CHCHO)、−COO(CHCHCHO)CH、−COO(CHCH(CH)O)CH、−COO(CHCH(CH)O)、−OCOCH、−OCOC、または−CHOCを表す。mは1〜3の整数を示す。)
【0022】
【化4】
(式(5)中、X、Xはそれぞれ独立してハロゲン元素または一価の置換基を表し、一価の置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシル基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アシル基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基またはハロゲン化アリールチオ基を示す。nは3〜5の整数を表す。なお、式(5)は環状であってもよい。)
【0023】
【化5】

(式(6)中、Qは酸素原子、メチレン基または単結合、Aは、分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキレン基、カルボニル基、スルフィニル基、分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1〜5のパーフルオロアルキレン基、分岐していても良い炭素数2〜6の置換もしくは無置換のフルオロアルキレン基、エーテル結合を含み分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキレン基、エーテル結合を含み分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基またはエーテル結合を含み分岐していても良い炭素数2〜6の置換もしくは無置換のフルオロアルキレン基を示す。Aは分岐していても良い置換もしくは無置換のアルキレン基、フルオロメチレン基、あるいは酸素原子を示す。)
【0024】
【化6】
(式(7)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、−SO(Xは置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、−SY(Yは置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、−COZ(Zは水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、およびハロゲン原子、から選ばれる原子または基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェノキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基、炭素数1〜5のポリフルオロアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、−NX(XおよびXは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、および−NYCONY(Y〜Yは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)から選ばれる原子または基を示す。)
【0025】
【化7】
(式(8)中、R10〜R15は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上、12以下のアルキル基、炭素数3以上、6以下のシクロアルキル基および炭素数6以上、12以下のアリール基、から選ばれる原子または基を示す。nは0以上、2以下の整数を表す。)
【化15】
【発明の効果】
【0026】
本実施形態のリチウムイオン二次電池用ゲル電解質およびそれを備えたリチウムイオン二次電池によれば、長期にわたり高い安全性と良好な寿命特性を併せ持つリチウムイオン二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施形態の実施例1のリチウムイオン二次電池の正極の構成を説明する図である。
図2】本実施形態の実施例1のリチウムイオン二次電池の負極の構成を説明する図である。
図3】本実施形態の実施例1のリチウムイオン二次電池の巻回後の電池要素の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本実施形態によると、ホスファゼン構造を有する化合物の還元分解に対し高い抑制効果を持つ特定のジスルホン酸エステル、およびスルトン化合物を含有することにより、負極活物質上でのホスファゼン構造を有する化合物の還元分解を抑制できる。そのため、ホスファゼン構造を有する化合物の還元分解による抵抗増加を抑制でき、長期にわたり良好な容量維持率を得ることができる。また、本実施形態によると、ホスファゼン構造を有する化合物を長期にわたり還元抑制できることから、長期使用後にもゲル電解質中に有効量のホスファゼン構造を有する化合物が存在するため、長期にわたり高い難燃性を得ることができる。さらに、初回充電時におけるガスの発生量を低減することができる。さらには、従来はホスファゼン化合物を高温時に安定化させるためには相当量の前記式(8)で示されるスルトン化合物を相当量必要としたが、本実施形態のゲル電解質とを組み合わせることで、本実施形態のゲル電解質が一定のSEI代替効果が得られる。
【0029】
さらに本実施形態によると、電解液のゲル化において有機過酸化物等のラジカル重合開始剤を必要としないため、加熱重合時にホスファゼン構造を有する化合物、さらには高いSEI形成能力を有する前記式(6)で示される環状ジスルホン酸エステル、前記式(7)で示される鎖状ジスルホン酸エステルおよび前記式(8)で示されるスルトン化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物が分解されず、また前記ラジカル重合開始剤は電池には不要なものであることから重合後の残存物の影響により電池特性が低下することがない。また、ゲル電解質は電解液と比較すると漏液の心配がなく、負極、正極の両電極とセパレータとの密着性が良好であることから長期にわたり良好な寿命特性を得ることができる。以下、本実施形態について詳細に説明する。
【0030】
本実施形態のリチウムイオン二次電池用ゲル電解質は、リチウム塩と、下記式(1)または(2)で示されるモノマーと下記式(4)で示されるモノマーとの共重合体と、下記式(5)で示されるホスファゼン構造を有する化合物とを含有し、添加剤として、下記式(6)で示される環状ジスルホン酸エステル、下記式(7)で示される鎖状ジスルホン酸エステルおよび下記式(8)で示されるスルトン化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含有する。
【0031】
【化8】
(式(1)中、RはHまたはCHを表し、式(1)、(2)中、Rは下記式(3)で示される置換基のいずれかを表す。)
【0032】
【化9】
(式(3)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
【0033】
【化10】
(式(4)中、RはHまたはCHを表し、Rは−COOCH、−COOC、−COOC、−COOC、−COOCHCH(CH、−COO(CHCHO)CH、−COO(CHCHO)、−COO(CHCHCHO)CH、−COO(CHCH(CH)O)CH、−COO(CHCH(CH)O)、−OCOCH、−OCOC、または−CHOCを表す。mは1〜3の整数を示す。)
【0034】
【化11】
(式(5)中、X、Xはそれぞれ独立してハロゲン元素または一価の置換基を表し、一価の置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシル基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アシル基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基またはハロゲン化アリールチオ基を示す。nは3〜5の整数を表す。なお、式(5)は環状であってもよい。)
【0035】
【化12】

(式(6)中、Qは酸素原子、メチレン基または単結合、Aは、分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキレン基、カルボニル基、スルフィニル基、分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1〜5のパーフルオロアルキレン基、分岐していても良い炭素数2〜6の置換もしくは無置換のフルオロアルキレン基、エーテル結合を含み分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキレン基、エーテル結合を含み分岐していても良い置換もしくは無置換の炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基またはエーテル結合を含み分岐していても良い炭素数2〜6の置換もしくは無置換のフルオロアルキレン基を示す。Aは分岐していても良い置換もしくは無置換のアルキレン基、フルオロメチレン基、あるいは酸素原子を示す。)
【0036】
【化13】
(式(7)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、−SO(Xは置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、−SY(Yは置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、−COZ(Zは水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、およびハロゲン原子、から選ばれる原子または基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェノキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基、炭素数1〜5のポリフルオロアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、−NX(XおよびXは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、および−NYCONY(Y〜Yは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)から選ばれる原子または基を示す。)
【0037】
【化14】
(式(8)中、R10〜R15は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上、12以下のアルキル基、炭素数3以上、6以下のシクロアルキル基および炭素数6以上、12以下のアリール基、から選ばれる原子または基を示す。nは0以上、2以下の整数を表す。)。
【0038】
前記式(1)または(2)で示されるモノマーの例としては、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等が挙げられる。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。なお、以下前記式(1)または(2)で示されるモノマーを、開環重合性官能基を有するモノマーと示す場合がある。
【0039】
前記式(4)で示されるモノマーの例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレートなどが挙げられる。前記式(4)で示されるモノマーは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。なお、以下前記式(4)で示されるモノマーを、開環重合性官能基を有さないモノマーと示す場合がある。
【0040】
本実施形態であるゲル電解質を得る工程としては、StepA.前記式(1)または(2)で示されるモノマーと前記式(4)で示されるモノマーとの共重合体を合成する工程と、StepB.リチウム塩と、Step.Aで得られた下記式(1)または(2)で示されるモノマーと下記式(4)で示されるモノマーとの共重合体と、下記式(5)で示されるホスファゼン構造を有する化合物とを含有し、添加剤として、下記式(6)で示される環状ジスルホン酸エステル、下記式(7)で示される鎖状ジスルホン酸エステルおよび下記式(8)で示されるスルトン化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含有し加熱によりゲル化させる工程とに分けられる。
前記StepA.前記式(1)または(2)で示されるモノマーと前記式(4)で示されるモノマーとの共重合体は、ラジカル重合開始剤を用いることで合成できる。ラジカル重合開始剤としては、N,N−アゾビスイソブチロニロリル、ジメチルN,N’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の有機過酸化物系開始剤が挙げられる。これらラジカル重合開始剤は、反応開始とともに前記式(1)または(2)で示されるモノマーと前記式(4)で示されるモノマーとの共重合体の末端に結合することから不活性化するため、反応終了後再加熱により再度反応を起こすことはない。
【0041】
前記ホスファゼン構造を有する化合物としては、難燃性を有することから前記式(5)で示される化合物を用いる。前記式(5)で示される化合物としては、モノエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、ジエトキシテトラフルオロシクロトリホスファゼン、モノフェノキシペンタフルオロトリホスファゼンなどが挙げられる。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。なお、前記式(5)で示されるホスファゼン構造を有する化合物は、各ユニット間においてX、Xはそれぞれ独立して異なる基であってもよい。
【0042】
前記ホスファゼン構造を有する化合物の還元分解を抑制する観点から、環状ジスルホン酸エステルとしては前記式(6)で示される化合物、鎖状ジスルホン酸エステルとしては前記(7)で示される化合物を用いる。
【0043】
前記式(6)で示される環状ジスルホン酸エステルの代表例を表1に、前記式(7)で示される鎖状ジスルホン酸エステルの代表例を表2に具体的に例示するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
前記式(6)で示される環状ジスルホン酸エステルおよび前記式(7)で示される鎖状ジスルホン酸エステルは、特公平5−44946号公報に記載される製造方法を用いて得ることができる。
【0046】
前記式(8)で示されるスルトン化合物としては、例えば、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンまたはそれらの誘導体を用いることができるが、これらに限定されない。これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。従来はホスファゼン化合物を高温時に安定化させるためには相当量の前記式(8)で示されるスルトン化合物を必要としたが、本実施形態のゲル電解質とを組み合わせることで、本実施形態のゲル電解質は一定のSEI代替効果が得られる。
【0047】
本実施形態に係るゲル電解質を得る工程としては、StepA.前記式(1)または(2)で示されるモノマーと前記式(4)で示されるモノマーとの共重合体を合成する工程と、StepB.StepAで得られたリチウム塩と、下記式(1)または(2)で示されるモノマーと下記式(4)で示されるモノマーとの共重合体と、下記式(5)で示されるホスファゼン構造を有する化合物とを含有し、添加剤として、下記式(6)で示される環状ジスルホン酸エステル、下記式(7)で示される鎖状ジスルホン酸エステルおよび下記式(8)で示されるスルトン化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物と、を溶解した溶液中で、カチオン重合開始剤の存在下で架橋させることによりゲル化させる工程よりなる。
【0048】
前記カチオン重合開始剤としては、各種のオニウム塩(例えば、アンモニウム、ホスホニウムなどのカチオンと、−BF、−PF、−CFSOなどのアニオンとの塩等)、LiBF、LiPFなどのリチウム塩が使用できる。
【0049】
本実施形態に係るゲル電解質において、前記式(6)で示される環状ジスルホン酸エステルおよび前記式(7)で示される鎖状ジスルホン酸エステル、および前記式(8)で示されるスルトン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物が占める割合は、ゲル電解質全体に対し0.05〜12質量%であることが好ましい。ゲル電解質全体に対し0.05質量%未満の場合、前記ホスファゼン構造を有する化合物の還元分解を抑制する表面膜の効果を十分に得ることができない。一方、前期割合がゲル電解質全体に対し12質量%を超えると、抵抗の増加を抑制することができず、電池特性をさらに向上させることができない。前記割合は0.1質量%以上、10質量%以下であることがより好ましく、この範囲とすることにより表面膜の効果をさらに向上させることができる。
【0050】
さらに本実施形態に係るゲル電解質によれば、前記本実施形態のゲル電解質を得る工程StepB.の工程において有機過酸化物等のラジカル重合開始剤を必要としないため、加熱重合時にホスファゼン構造を有する化合物、さらには高いSEI形成能力を有する前記式(6)で示される環状ジスルホン酸エステル、前記式(7)で示される鎖状ジスルホン酸エステル、および前記式(8)で示されるスルトン化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物が分解されず、また前記ラジカル重合開始剤は電池には不要なものであることから重合後の残存物の影響により電池特性が低下することがない。また、ゲル電解質は電解液と比較すると漏液の心配がなく、負極、正極の両電極とセパレータとの密着性が良好であることから長期にわたり良好な寿命特性を得ることができる。
【0051】
さらに本実施形態に係るゲル電解質によれば、初回充電時におけるガスの発生量を低減することができ、安全性の観点からも好ましい。これは、ホスファゼン構造を有する化合物とジスルホン酸エステルとが前記割合でゲル電解質中に共存することにより、ジスルホン酸エステルおよびスルトン化合物のみを含有するゲル電解質によるSEI形成とは異なる反応機構で、ホスファゼン構造を有する化合物を取り込んだSEIが形成できるためと考えられる。
【0052】
前記ゲル電解質は、前記ホスファゼン構造を有する化合物を、前記ゲル電解質全体に対し3質量%以上、20質量%以下含有することが好ましい。ホスファゼン構造を有する化合物を、非水系電解液全体に対し3質量%以上含有することで十分な難燃効果が得られ、20質量%以下含有することでイオン伝導度の低下を抑制することができる。
【0053】
本実施形態のリチウムイオン二次電池用ゲル電解質には非プロトン性溶媒が含まれてもよい。該非プロトン性溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、アニソール、N−メチルピロリドン、フッ素化カルボン酸エステルなどがあり、これらの非プロトン性有機溶媒を一種または二種以上を混合して使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
本実施形態のリチウムイオン二次電池用ゲル電解質に含まれるリチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiClO、LiAlCl、およびLiN(C2n+1SO)(C2m+1SO)(n、mは自然数)、LiCFSOなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
本実施形態のリチウムイオン二次電池用ゲル電解質を備えるリチウムイオン二次電池の負極に含まれる負極活物質としては、例えばリチウム金属、リチウム合金およびリチウムを吸蔵、放出できる材料、からなる群から選択される一または二以上の物質を用いることができる。リチウムイオンを吸蔵、放出できる材料としては、炭素材料または酸化物を用いることができる。
【0056】
炭素材料としては、リチウムを吸蔵する黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブなど、あるいはこれらの複合材料を用いることができる。特に、黒鉛は電子伝導性が高く、銅などの金属からなる集電体との接着性と電圧平坦性が優れており、高い処理温度によって形成されるため不純物含有量が少なく、負極性能の向上に有利であり、好ましい。さらに、結晶性の高い黒鉛と結晶性の低い非晶質炭素との複合材料なども用いることができる。
【0057】
また、酸化物としては、酸化シリコン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、リン酸、ホウ酸のいずれか、あるいはこれらの複合物を用いてもよく、特に酸化シリコンを含むことが好ましい。構造としてはアモルファス状態であることが好ましい。これは、酸化シリコンが安定で他の化合物との反応を引き起こさないため、またアモルファス構造が結晶粒界、欠陥といった不均一性に起因する劣化を導かないためである。成膜方法としては、蒸着法、CVD法、スパッタリング法などの方法を用いることができる。
【0058】
リチウム合金は、リチウムおよびリチウムと合金形成可能な金属により構成される。例えば、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、Laなどの金属とリチウムとの2元または3元以上の合金により構成される。リチウム金属やリチウム合金としては、特にアモルファス状態のものが好ましい。これは、アモルファス構造により結晶粒界、欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくいためである。
【0059】
リチウム金属およびリチウム合金は、融液冷却方式、液体急冷方式、アトマイズ方式、真空蒸着方式、スパッタリング方式、プラズマCVD方式、光CVD方式、熱CVD方式、ゾルーゲル方式、などの方式で適宜形成することができる。
【0060】
本実施形態のリチウムイオン二次電池用ゲル電解質を備えるリチウムイオン二次電池の正極に含まれる正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnなどのリチウム含有複合酸化物が挙げられる。また、これらのリチウム含有複合酸化物の遷移金属部分を他元素で置換したものでもよい。
【0061】
また、金属リチウム対極電位で4.5V以上にプラトーを有するリチウム含有複合酸化物を用いることもできる。該リチウム含有複合酸化物としては、スピネル型リチウムマンガン複合酸化物、オリビン型リチウム含有複合酸化物、逆スピネル型リチウム含有複合酸化物等が例示される。該リチウム含有複合酸化物としては、例えばLi(MMn2−x)O(ただし、0<x<2であり、また、0<a<1.2である。また、Mは、Ni、Co、Fe、CrおよびCuよりなる群から選ばれる少なくとも一種である。)で表される化合物が挙げられる。
【0062】
また、本実施形態のリチウムイオン二次電池の電池構成は、電極要素として積層体や捲回体が使用でき、外装体としてはアルミラミネート外装体や金属外装体が使用できる。さらに、電池容量について限定されるものではない。
【実施例】
【0063】
以下に本実施形態を実施例により図面を参照して詳細に説明するが、本実施形態はこの実施例に限定されるものではない。
【0064】
図1は本実施形態の実施例1のリチウムイオン二次電池の正極の構成を説明する図である。図2は本実施形態の実施例1のリチウムイオン二次電池の負極の構成を説明する図である。図3は本実施形態の実施例1のリチウムイオン二次電池の巻回後の電池要素の構成を説明する断面図である。
【0065】
(実施例1)
先ず、図1により正極1の作製について説明する。LiMnを85質量%と、導電補助材としてのアセチレンブラックを7質量%と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを8質量%、混合したものに、N−メチルピロリドンを加えてさらに混合して正極スラリーを作製した。これをドクターブレード法により集電体となる厚さ20μmのAl箔2の両面にロールプレス処理後の厚さが160μmになるように塗布し、120℃で5分間乾燥した後にロールプレス処理工程を経て正極活物質塗布部3を形成した。なお、両端部にはいずれの面にも正極活物質が塗布されていない正極活物質非塗布部4を設けた。そのうち一方には正極導電タブ6を設けた。正極導電タブ6が設けられた正極活物質非塗布部4の隣に、片面のみ正極活物質を塗布した正極活物質片面塗布部5を設け、正極1とした。
【0066】
図2により負極7の作製について説明する。黒鉛を90質量%と、導電補助剤としてのアセチレンブラックを1質量%と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデンを9質量%、混合したものに、N−メチルピロリドンを加えてさらに混合して負極スラリーを作製した。これをドクターブレード法により集電体となる厚さ10μmのCu箔8の両面に、ロールプレス処理後の厚さが120μmとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥した後にロールプレス処理工程を経て負極活物質塗布部9を形成した。なお、両端部の一方の端面には負極活物質を片面のみ塗布した負極活物質片面塗布部10と負極活物質が塗布されていない負極活物質非塗布部11を設け、負極活物質非塗布部11に負極導電タブ12を取り付け負極7とした。
【0067】
図3により電池要素の作製について説明する。膜厚25μm、気孔率55%の親水処理を施したポリプロピレン微多孔膜からなるセパレータ13を二枚溶着して切断した部分を巻回装置の巻き芯に固定し巻きとり、正極1(図1)、および負極7(図2)の先端を導入した。正極1は正極導電タブ6の接続部の反対側を、負極7は負極導電タブ12の接続部側を先端側として、負極7は二枚のセパレータの間に、正極1はセパレータの上面にそれぞれ配置して巻き芯を回転させ巻回し、電池要素(以下ジェリーロール(J/R)と表記)を形成した。
【0068】
前記J/Rをエンボス加工したラミネート外装体に収容し、正極導電タブ6と負極導電タブ12を引き出しラミネート外装体の1辺を折り返し、注液用の部分を残して熱融着を行った。
【0069】
ゲル電解質用ポリマーのモノマーとして、エチルアクリレートを74質量%、および(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートを26質量%の割合で仕込んだ。さらに、反応溶剤としてエチレンカーボネート(EC):ジエチルカーボネート(DEC)=30/70(体積比)の溶剤、重合開始剤としてN,N’−アゾビスイソブチロニトリルをモノマー質量に対して2500ppm加え、ドライ窒素ガスを導入しながら65〜70℃で加熱反応後、室温まで冷却した。その後、希釈溶剤としてEC/DEC=30/70(体積比)の溶剤を加え、全体が均一になるまで撹拌溶解して、分子量20万、4.0質量%、EC:DEC=30/70(体積比)ポリマー溶液が得られた。なお、得られたポリマー溶液には重合開始剤が残渣として存在しないことを確認した。
【0070】
プレゲル溶液は、前記分子量20万、4.0質量%、EC:DEC=30/70(体積比)ポリマー溶液と、1.2mol/L LiPF エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=30/70(体積比)の非プロトン性溶媒と、プレゲル溶液に対し10質量%のモノエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンと、プレゲル溶液に対し2質量%の表1の化合物No.2とを混合することで作製した。
【0071】
次に、前記ラミネート注液部分から前記プレゲル溶液を注液し真空含浸を行い、注液部分を熱融着し、60℃にて24時間加熱重合してゲル化させて電池を得た。
【0072】
得られた電池を、電池電圧4.2VまでCC−CV充電(充電条件:CC電流0.02C、CV時間5時間、温度20℃)した後、0.02Cで電池電圧3.0Vまで放電したときの放電容量を初期容量とし、設計容量に対して得られた初期容量の割合を表3に示した。
【0073】
得られた電池のレート特性として、20℃での0.2C容量に対する2C容量の割合を表3に示した。
【0074】
得られた電池のサイクル試験は、CC−CV充電(上限電圧4.2V、電流1C、CV時間1.5時間)、CC放電(下限電圧3.0V、電流1C)とし、いずれも45℃で実施した。容量維持率は、1サイクル目の放電容量に対する1000サイクル目の放電容量の割合を表3に示した。
【0075】
燃焼試験は、前記サイクル試験後の電池を、ガスバーナーの炎の先端から10cm上部に設置し、電解液溶媒が揮発して燃焼する様子から以下のように判断した。電解液に着火しない:◎、着火しても2〜3秒後に消火:○、着火しても10秒以内に消火:△、消火しないで燃焼し続ける:×とした。
【0076】
(実施例2)
実施例2は、添加剤として、表2の化合物No.101を2質量%混合した以外は、実施例1と同様に行った。
【0077】
(実施例3)
実施例3は、添加剤として、表2の化合物No.101を4質量%混合した以外は、実施例1と同様に行った。
【0078】
(実施例4)
実施例4は、添加剤として、表1の化合物No.2を2質量%、表2の化合物101を2質量%混合した以外は、実施例1と同様に行った。
【0079】
(実施例5)
実施例5は、添加剤として、表1の化合物No.2を2質量%、1,3−プロパンスルトンを3質量%混合した以外は、実施例1と同様に行った。
【0080】
(実施例6)
実施例6は、添加剤として、表1の化合物No.2を4質量%、1,3−プロパンスルトンを6質量%混合した以外は、実施例1と同様に行った。
【0081】
(実施例7)
実施例7は、モノエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンを20質量%添加した以外は、実施例6と同様に行った。
【0082】
(実施例8)
実施例8は、モノエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンを25質量%添加した以外は、実施例7と同様に行った。
【0083】
(実施例9)
実施例9は、添加剤として、表1の化合物No.2を5質量%、1,3−プロパンスルトンを7質量%混合した以外は、実施例1と同様に行った。
【0084】
(実施例10)
実施例10は、添加剤として、1,3−プロパンスルトンを2質量%混合した以外は、実施例1と同様に行った。
【0085】
(比較例1)
比較例1は、モノエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンを添加しない以外は、実施例7と同様に行った。
【0086】
(比較例2)
比較例2は、添加剤を添加しない以外は実施例1と同様に行った。
【0087】
(比較例3)
比較例3は、添加剤として、前記式(6)、(7)、および(8)のいずれにも該当しないビニレンカーボネート(VC)を5質量%添加した以外は、実施例1と同様に行った。
【0088】
(比較例4)
比較例4は、ゲル電解質用ポリマーのモノマーとして、エチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートを用いる代わりに、トリエチレングリコールジアクリレートとトリメチロールプロパントリアクリレートを溶剤に対しそれぞれ3.8質量%、1質量%用いてポリマー溶液を調製した。また、プレゲル溶液に対し重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレートを0.5質量%混合し、加熱重合によりゲル化を行った。それ以外は実施例1と同様に行った。
【0089】
(比較例5)
比較例5は、添加剤として、1,3−プロパンスルトンを2質量%混合した以外は、比較例4と同様に行った。
【0090】
実施例1〜10よび比較例1〜5の結果を表3に示す。
【0091】
【表3】
表3の添加剤の欄に記載のNo.2は表1の化合物No.2、No.101は表2の化合物No.101、PSは1,3−プロパンスルトン、VCは前記式(2)、(3)および(4)のいずれにも該当しないビニレンカーボネートを示す。
【0092】
表3より、実施例1〜6、9〜10に示すように、モノエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンの添加量を一定量とし、添加剤の量を増加させた場合、容量維持率は非常に良好であった。また、サイクル後の電池の燃焼試験においても電解液に着火しないかまたは着火しても2〜3秒後に消化した。それに対し、比較例1では、サイクル後の電池の燃焼試験において電解液が燃焼し続けた。比較例2では、容量維持率が低く、さらに、サイクル後の電池の燃焼試験においてゲル電解質が燃焼し続けた。即ち、添加剤がないためにホスファゼン構造を有する化合物が還元分解し、燃焼抑制に有効な量が存在しなくなっていることが分かった。また、比較例3および比較例4においても、実施例と比較してやや難燃性が低下しており、ホスファゼン構造を有する化合物の還元分解を抑制するには不十分であることが示された。実施例6〜9より、添加剤の添加量が多いとSEIが厚くなり、抵抗が増加する可能性はあるが、特に燃焼抑制効果についてはサイクル後も十分持続していることが分かった。また、実施例7と8の比較より、モノエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンの添加量が20質量%を超えると、電解液のイオン伝導度が低下するためにややレート特性が低下し、長期サイクルにおいてはSEIに対する過剰量のホスファゼン化合物が徐々に還元分解がされたため、長期サイクル後の電池の燃焼抑制効果がわずかに低下する結果となった。また、実施例1と10の比較より、1,3−プロパンスルトンにおいても本実施形態であるゲル電解質は加熱重合による開始剤を使用していないため一定の機能を有することが明らかになった。
【0093】
さらに、各比較例と比較すると、実施例では初回充電時にガスが低減する傾向があった。実施例では、ホスファゼン構造を有する化合物とジスルホン酸エステルとが非水電解液中に共存することにより、ジスルホン酸エステルのみを含有する非水電解液によるSEI形成とは異なる反応機構で、一部のホスファゼン構造を有する化合物を取り込んだSEIが形成できるためと考えられる。しかしながら、こうして形成されたSEI上においては、電解液中に存在するホスファゼン化合物のさらなる還元を抑制できていることから、ホスファゼン化合物を取り込んだジスルホン酸エステルによるSEIは、ホスファゼン化合物を含んだ何かしらの電解液成分の還元分解抑制効果がより大きくなっている可能性があると推測される。その効果により、寿命特性も良好であると推測される。
【0094】
さらに実施例1および比較例4、5より、本実施形態に係るモノマーを用いず、かつ、加熱重合時に開始剤を用いてゲル電解質を作製した場合、特性が低下することが明らかになった。このことは、前述したように開始剤により重合が開始されゲル電解質が得られるが、その際添加剤および難燃剤が分解されるため所望の効果が得られていないと推察される。
【0095】
以上より、特定のジスルホン酸エステルおよびスルトン化合物によるSEIは、長期にわたりホスファゼン構造を有する化合物の還元分解を抑制することができ、良好な寿命特性を得ることができ、その結果、高い安全性を得ることができた。
【0096】
さらに、ホスファゼン構造を有する化合物の添加量と、添加剤の量とのバランスを最適にすることで、レート特性の維持および、良好な寿命特性を得ることができた。
【0097】
(実施例11)
実施例11は、開環重合性官能基を有さないモノマーとしてエチルアクリレート、開環重合性官能基を有するモノマーとしてグリシジルメタクリレートを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0098】
(実施例12)
実施例12は、開環重合性官能基を有さないモノマーとしてエチルアクリレート、開環重合性官能基を有するモノマーとして3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0099】
(実施例13)
実施例13は、開環重合性官能基を有さないモノマーとしてメチルメタクリレート、開環重合性官能基を有するモノマーとして(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0100】
(実施例14)
実施例14は、開環重合性官能基を有さないモノマーとしてメチルメタクリレート、開環重合性官能基を有するモノマーとしてグリシジルメタクリレートを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0101】
(実施例15)
実施例15は、開環重合性官能基を有さないモノマーとしてメチルメタクリレート、開環重合性官能基を有するモノマーとして3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0102】
(実施例16)
実施例16は、開環重合性官能基を有さないモノマーとしてプロピルメタクリレート、開環重合性官能基を有するモノマーとして(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0103】
(実施例17)
実施例17は、開環重合性官能基を有さないモノマーとしてプロピルメタクリレート、開環重合性官能基を有するモノマーとしてグリシジルメタクリレートを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0104】
(実施例18)
実施例18は、開環重合性官能基を有さないモノマーとしてプロピルメタクリレート、開環重合性官能基を有するモノマーとして3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0105】
(実施例19)
実施例19は、開環重合性官能基を有さないモノマーとしてメトキシトリエチレングリコールメタクリレート、開環重合性官能基を有するモノマーとして(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0106】
(実施例20)
実施例20は、開環重合性官能基を有さないモノマーとしてメトキシトリエチレングリコールメタクリレート、開環重合性官能基を有するモノマーとしてグリシジルメタクリレートを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0107】
(実施例21)
実施例21は、開環重合性官能基を有さないモノマーとしてメトキシトリエチレングリコールメタクリレート、開環重合性官能基を有するモノマーとして3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0108】
(実施例22)
実施例22は、開環重合性官能基を有さないモノマーとしてメトキシジプロピレングリコールアクリレート、開環重合性官能基を有するモノマーとして(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0109】
(実施例23)
実施例23は、開環重合性官能基を有さないモノマーとしてメトキシジプロピレングリコールアクリレート、開環重合性官能基を有するモノマーとしてグリシジルメタクリレートを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0110】
(実施例24)
実施例24は、開環重合性官能基を有さないモノマーとしてメトキシジプロピレングリコールアクリレート、開環重合性官能基を有するモノマーとして3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0111】
【表4】
なお、表4の開環重合性官能基を有さないモノマーの欄において、1はエチルアクリレート、2はメチルメタクリレート、3はプロピルメタクリレート、4はメトキシトリエチレングリコールメタクリレート、5はメトキシジプロピレングリコールアクリレートを示す。また、表4の開環重合性官能基を有するモノマーの欄において、1は(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、2はグリシジルメタクリレート、3は3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートを示す。
【0112】
以上より、特定のジスルホン酸エステルおよびスルトン化合物によるSEIは、ポリマー構成によらず長期にわたりホスファゼン構造を有する化合物の還元分解を抑制することができ、良好な寿命特性を得ることができた。その結果、高い安全性を得ることができた。
【0113】
(実施例25)
実施例25は、ホスファゼン構造を有する化合物にジエトキシテトラフルオロシクロトリホスファゼンを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0114】
(実施例26)
実施例26は、ホスファゼン構造を有する化合物にモノフェノキシペンタフルオロトリホスファゼンを用いた以外は実施例5と同様に行った。
【0115】
【表5】
以上より、ホスファゼン構造を有する化合物を変えても特定のジスルホン酸エステルおよびスルトン化合物によるSEIは、ポリマー構成によらず長期にわたり種々のホスファゼン構造を有する化合物の還元分解を抑制することができ、良好な寿命特性を得ることができた。その結果、高い安全性を得ることができた。
【0116】
本実施形態は、リチウムイオン二次電池の他電気二重層キャパシタや、リチウムイオンキャパシタなどエネルギー貯蔵デバイスに利用できる。
【0117】
この出願は、2009年11月13日に出願された日本出願特願2009−260039を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【0118】
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0119】
1:正極
2:Al箔
3:正極活物質塗布部
4、5:正極活物質非塗布部
6:正極導電タブ
7:負極
8:Cu箔
9:負極活物質塗布部
10:負極活物質片面塗布部
11:負極活物質非塗布部
12:負極導電タブ
13:絶縁性多孔質シート
図1
図2
図3