(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721192
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】支持装置及び支持方法
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
H05K5/02 E
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-177190(P2013-177190)
(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公開番号】特開2015-46508(P2015-46508A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2013年8月28日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100082924
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 智明
【審査官】
遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−094285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の側面に取り付けて該筐体を支持する一対の支持脚と、
前記筐体を設置する取付面に取り付けて該筐体を設置する場所に固定する一対の固定脚と、
前記一対の支持脚と前記一対の固定脚とを枢動可能に連結する可動機構と、
前記可動機構により枢動させる一対の支持脚に装着された筐体と前記取付面とのなす角を調整する角度調整シャフトを備え、
前記一対の支持脚の一方又は両方は、前記筐体を特定の角度で固定するシャフト固定溝を有し、
前記角度調整シャフトを前記シャフト固定溝に固定することで、前記取付面に対して特定の角度で固定し、
前記一対の支持脚のそれぞれは、L字形状に形成された板状の部材であり、筐体の側面に支持脚を装着することで、筐体の角を覆うように支持し、前記一対の支持脚は、前記取付面から離れる方向に複数の筐体取り付け用穴を有することを特徴とする支持装置。
【請求項2】
前記一対の固定脚と接続して該一対の固定脚の位置決めをする高さ調整部材をさらに備え、該高さ調整部材を一対の固定脚に接続することで可動機構を介して一対の固定脚に連結された一対の支持脚の高さを調整することを特徴とする請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
前記高さ調整部材は、矩形形状であり、一対の固定脚に対して長手方向又は短手方向で接続して一対の固定脚の高さを調整する高さ変更部を有することを特徴とする請求項2に記載の支持装置。
【請求項4】
前記高さ調整部材は、前記高さ変更部から延長する高さ延長部を有することを特徴とする請求項3に記載の支持装置。
【請求項5】
一対の支持脚と一対の固定脚とを枢動可能に連結し、連結した前記一対の固定脚を取付面に固定し、前記一対の支持脚に筐体を装着して取付面に設置し、保守の際には一対の支持脚を枢動することで取付面と筐体とのなす角を調整し、角度調整シャフトをシャフト固定溝に固定することで、一対の支持脚に装着された筐体を前記取付面に対して特定の角度で固定し、前記一対の支持脚のそれぞれは、L字形状に形成された板状の部材であり、筐体の側面に支持脚を装着することで、筐体の角を覆うように支持し、前記一対の支持脚は、前記取付面から離れる方向に複数の筐体取り付け用穴を有し、前記複数の筐体取り付け用穴のいずれかに筐体を取り付けることを特徴とする支持方法。
【請求項6】
前記一対の固定脚と高さ調整部材を接続して該一対の固定脚の位置決めをし、該高さ調整部材により一対の固定脚の高さを調整することで間接的に一対の固定脚に連結された一対の支持脚の高さをも調整することを特徴とする請求項5に記載の支持方法。
【請求項7】
前記一対の支持脚に装着された筐体と取付面との奥行きを調整して他の部材を設置するためのスペースを設けることを特徴とする請求項5又は6に記載の支持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置などの電子機器の筐体を壁掛け設置する支持装置、及び支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
省スペース化の観点から、電子機器などの筐体を壁掛けして設置するための支持装置が開発されている。例えば支持装置には、卓上や床上への載置と、壁面上への壁掛けとの両方の設置方法に対応させたものがある。
【0003】
このような支持装置として、特許文献1には、板状を呈し、第1の板面に筐体凹部または筐体凸部に対応して形成された脚凸部または脚凹部を備えた一対の支持脚と、中間部材とを備える支持装置が開示されている。特許文献1では、筐体を壁掛けする際には、一対の支持脚は、その対同士が中間部材を介して結合され、第2の板面が壁面に接するように取り付けられ、かつ、脚凸部または脚凹部に筐体を背面に形成された筐体凹部または筐体凸部が係合することにより、筐体を第1の板面前に引っ掛け支持している。
【0004】
特許文献2は、電話交換機等の電子機器筐体を複数個建物等の壁に設置する壁掛け装置を開示している。この壁掛け装置は、壁に取付ける機器取付け用金具を、複数の電子機器筐体のうち一の電子機器筐体の下面を載置する受け台と、受け台を突出形成した取付けベース板と、取付けベース板に一の電子機器筐体を取着する取着部とにより構成し、機器取付け用金具に他の電子機器筐体を前記一の電子機器筐体の前記壁より前方に重合配置する機器増設用金具を取付けるための取付け手段を設けている。また、特許文献3は、基本回路基板及び電源ユニットを内蔵した基本筐体に拡張筐体を支軸で回動自在に設け、この拡張筐体に拡張回路基板を挿脱自在に設け、拡張筐体の一側を取付部材で壁面に固定するように設けた装置を開示する。
【0005】
特許文献1及び2では、電子機器が壁面上に固定的に壁掛けされているため、保守工事毎に電子機器を取り外す必要があった。特許文献3では、電子機器などの筐体がセットで取り付けられる必要があるため、省スペース化を図ることが困難であった。また、筐体を一体的に移動できないため、効率的な保守工事ができない問題があった。
【0006】
図10及び11は、関連する電子機器などの筐体400を支持するための支持装置を示す。この支持装置に取り付けられた電子機器へのオプションカード401とバッテリ402の実装方向が電子機器側面となっている。そのため、電子機器を壁掛け設置する際、オプションカード401またはバッテリ402の保守工事用に作業スペースを確保する必要がある。また、作業スペースの確保が困難な場合は、保守工事毎に壁面から電子機器を取り外す必要がある。さらに、保守工事の際、各付属機器の実装方向が異なるので同一方向からの作業ができず、保守工事が煩雑であった。
【0007】
図12は、関連する電子機器を格納し、所定の場所に設置するための支持装置500を示す。同図のような支持装置500では、オプションカード501を前面より実装できるが、装置全体の外形が大きくなってしまい、設置状態で壁面からの厚みがでてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−171177号公報
【特許文献2】特開2001−339172号公報
【特許文献3】実開平5−85186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電子機器などの筐体を支持装置に装着して壁掛け設置後、修理や増設などの保守工事等を行うことがある。
図10及び11に示すような支持装置の場合、筐体側面から保守工事を行わなければならないため、保守作業が困難なものとなり作業効率も悪くなってしまう。
図12に示す例の場合には、保守工事は筐体正面から行うことができるが、装置全体の外形が大きくなってしまい省スペース化を図ることができない。
【0010】
本発明は、電子機器の筐体全体を枢動可能に壁掛け設置する支持装置及び支持方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題に鑑み、本発明の一態様は、筐体の側面に取り付けて該筐体を支持する一対の支持脚と、前記筐体を設置する取付面に取り付けて筐体を設置する場所に固定する一対の固定脚と、前記一対の支持脚と前記一対の固定脚とを枢動可能に連結する可動機構と、
を備えることを特徴とする支持装置に関する。
【0012】
また、本発明の別の態様は、一対の支持脚と一対の固定脚とを枢動可能に連結し、連結した一対の固定脚を取付面に固定し、一対の支持脚に筐体を装着して取付面に設置し、保守の際には一対の支持脚を枢動することで取付面と筐体とのなす角を調整することを特徴とする支持方法に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、制御装置などの筐体を壁面へ設置する場合において壁面占有面積を省スペース化し、保守工事性の改善が可能となる。
【0014】
本発明の更なる利点及び実施形態を、記述と図面を用いて下記に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態による支持装置に制御装置を取り付けた状態での構成を示す概略構成図である。
【
図2】
図1に示す支持装置を収容した状態を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による支持装置の概略構成を説明するための図であり、(a)は展開状態、(b)は収容状態を示す。
【
図4】
図3に示す支持装置の可動機構を説明するための要部拡大図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態による支持装置に設置可能な制御装置を説明するための概略構成図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態による支持装置の構成を示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態による支持装置の別の構成を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態による支持装置の別の構成を示す図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態による支持装置を取付面に取り付けた状態を示す図であり、(a)はバッテリ無しの状態、(b)はバッテリ有りの状態を示す。
【
図10】関連する支持装置に取り付けられた制御装置の構成を示す図である。
【
図11】
図10に示す関連する支持装置に取り付けられた制御装置を保守する際の作業スペースについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に従う支持装置、及び支持方法について、添付図面を参照しながら詳しく説明する。但し、以下に説明する実施形態によって本発明の技術的範囲は何ら限定解釈されることはない。
【0017】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態による支持装置1の構成を説明するための概略構成図である。同図において、支持装置1は、ボタン電話主装置などの電子機器及びその筐体30を壁掛けして設置するために利用するものである。保守工事の際には、筐体30が装着されている支持装置1の支持脚12A、12Bを可動機構を軸として枢動(回転)させることで、筐体30を支持装置1から取り外すことなく、作業スペースを確保することができる。
【0018】
ここでは、
図1乃至
図4に示されるように、直交座標系(X、Y、Z)を使用している。
図1乃至
図4の図示した状態では、直交座標系(X、Y、Z)において、X軸方向は、支持装置1を設置する取付面200に平行に延在する上下方向(高さ方向)であり、Y軸方向は、当該取付面200に平行に延在し、且つX軸方向と直交する左右方向(幅方向)であり、Z軸方向は、取付面200と直交する前後方向(奥行方向)である。
【0019】
図1及び
図2は、本実施形態による制御装置などの筐体30が装着された支持装置1を説明するための図である。
図1に示す支持装置1は、保守工事や付属装置の着脱などの作業を行うために展開された状態にある。
図2の支持装置1は、
図1に示す支持装置1が収納された状態にある。
図1に示すように、支持装置1を90°展開した状態でオプションカード40やバッテリ50などの付属装置を着脱したり、制御装置などの筐体30の保守工事をしたりすることが可能となる。通常時には、
図2に示すように支持装置1を収容して壁などの取付面200に密着するように支持装置1及び支持装置1に装着される筐体30をコンパクトに収納することができる。この支持装置1では、保守工事毎の制御装置の筐体30の取り外しが不要となる。
【0020】
図3は、第1の実施形態による支持装置1の概略構成を説明するための図である。
図3(a)は支持装置1の支持脚12A、12BをY軸方向からZ軸方向へ可動機構を軸として90°旋廻させた図を示す。
図3(b)は支持脚12A、12BをY軸方向に配置し、支持脚12A、12Bと固定脚10A、10Bを固定し収納させた図を示す。
【0021】
同図に示すように、支持装置1は、壁などの取付面200に固定される固定脚10A、10Bと、固定脚10A、10Bを間接的に接続する高さ調整部材11と、筐体30を支持する支持脚12A、12Bとを備える。また、支持装置1は、固定脚10A、10Bと支持脚12A、12Bとを枢動可能に連結する蝶番13と、支持脚12A、12Bとともに枢動(回転)する筐体30の位置を調整する角度調整シャフト14とを備えている。
【0022】
固定脚10A、10Bは、矩形形状を有する一対の金具であり、例えば板状の金具で構成されている。固定脚10A、10Bは、ネジなどの固定手段を用いて壁などの取付面200に固定される。また、固定脚10Aは、角度調整シャフト14を装着するためのシャフト装着部101を有している。
【0023】
高さ調整部材11は、例えば矩形形状を有する板状の金具である。平行に配置される固定脚10A、10Bは、この高さ調整部材11を介して間接的に接続する。本実施形態においては、
図1に示すように、高さ調整部材11は平行に配置された固定脚10A、10Bの長手方向の略中間位置に垂直に接続されている。
【0024】
支持脚12A、12Bは、L字形状を有する一対の金具であり、例えば板状の金具で構成されている。支持脚12Aは、Y−Z平面の−Y軸方向とX−Z平面のX軸方向にL字形状に延長する。支持脚12Bは、Y−Z平面の−Y軸方向とX−Z平面の−X軸方向にL字形状に延長する。各支持脚12A、12BのY−Z平面における一部には筐体30を支持するための筐体取り付け用穴16A、16Bが形成されており、例えばネジなどの固定手段を筐体取り付け用穴16Aまたは16Bに固定することで筐体30を支持する。また、支持脚12Aには、後述するシャフト固定溝121、122が形成されている。
【0025】
図3(a)に示すとおり、固定脚10Aと支持脚12A、及び固定脚10Bと支持脚12Bを連結する部材として、それぞれの短手方向の端部に蝶番13が接続される。この構成により、蝶番13が可動機構となって支持脚12A、12B及び支持脚12A、12Bに支持された筐体30をX−Y平面からX−Z平面にわたり90°枢動可能となる。また、
図2に示すように、支持脚12A、12Bに支持された筐体30を取付面200に配置することが可能となる。また、固定脚10A、10Bと支持脚12A、12BのX軸方向における高さが同じとなる。この高さは、高さ調整部材11により決定され、本実施形態では、二個分の筐体30と同等の高さとなっているが、この構成に限定されるものではない。
【0026】
図2に示すように、筐体30を装着した支持装置1が収納状態にある場合、壁などの取付面200からの厚みtを抑えることができるため省スペース化となる。一方、保守や配線工事などの場合には、支持装置1を
図1に示す展開状態にできるため、作業スペースを確保でき容易に保守作業を行うことができる。また、筐体30の正面からオプションカード40やバッテリ50などの付属装置の脱着が同一方向から可能となる。支持装置1は、各支持脚12A、12Bにあるローレットネジなどの雄ネジ15を対応する固定脚10A、10Bに挿入して固定することで収納状態となる。
【0027】
図4は、本実施形態による支持装置1の支持脚12Aの要部拡大図を示す。同図の支持装置1は支持脚12A、12BをY軸方向からX軸方向へ蝶番13を軸として90°展開した状態にある。本実施形態では、支持脚12Aは90°固定用のシャフト固定溝121と50°固定用のシャフト固定溝122を有する。
図4では、固定脚10Aのシャフト装着部101に装着した角度調整シャフト14を90°固定用のシャフト固定溝121に固定している。作業スペースの確保や作業位置の調整を図るために、角度調整シャフト14を50°固定用のシャフト固定溝122に固定することで、支持脚12A、12B及び支持脚12A、12Bに装着された筐体30をX軸方向から50°旋回させた位置に配置することができる。本実施形態では、90°固定用と50°固定用の二つのシャフト固定溝121、122を例示したが、本発明はこの構成に限られず、例えば30°固定用や150°固定用のシャフト固定溝を適宜設けてもよい。
【0028】
次に、本実施形態による支持装置1に装着される電子機器などの筐体30の支持方法について説明する。
【0029】
支持装置1に装着された筐体30の保守工事の際には、まず、各支持脚12A、12Bと各固定脚10A、10Bを固定している雄ネジ15を外す。そして、装着された筐体30とともに一対の支持脚12A、12BをY軸方向からZ軸方向へ枢動することで支持装置1を展開する。次に、角度調整シャフト14を用いて所望の角度で支持脚12A、12Bを固定する。本実施形態では、支持脚12Aに形成された切りかき形状のシャフト固定溝121、122に角度調整シャフト14を挿入して、50°または90°の角度で支持脚12A、12B及び装着された筐体30を固定できる。展開された状態では、作業スペースが容易に確保できるため、この状態で保守工事が実施される。保守工事の作業完了後、支持脚12A、12B及び装着された筐体30をZ軸方向からY軸方向へ枢動させて支持装置1を収容し、各支持脚12A、12Bと各固定脚10A、10Bを雄ネジ15で固定する。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、通信制御機器などの筐体30を壁面などの取付面200へ設置する場合において壁面占有面積を省スペース化し、保守工事性の改善が可能となる。また、複数の筐体30を取付面200へまとめて設置することが可能となる。
【0031】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態は、上述した第1の実施形態の変形例である。以下、本実施の形態において、第1の実施形態においてすでに説明した部分と同様な機能を有する部分には同一符号を付し、説明は省略する。第2の実施形態における支持装置1は、種々の電子機器などの筐体30の各構成を壁掛け設置できる。
【0032】
ここでは、
図5乃至
図9に示されるように、直交座標系(X、Y、Z)を使用している。
図5乃至
図9の図示した状態では、直交座標系(X、Y、Z)において、X軸方向は、支持装置1を設置する取付面200に平行に延在する上下方向(高さ方向)であり、Y軸方向は、当該取付面200に平行に延在し、且つX軸方向と直交する左右方向(幅方向)であり、Z軸方向は、取付面200と直交する前後方向(奥行方向)である。
【0033】
図5は、第2の実施形態による支持装置1に装着する筐体30を説明するための図である。本実施形態による筐体30は、基本架30Aと、拡張架30Bと、収納架30Cとを有する。本実施形態において、支持装置1はこれらの筐体30の何れか又は全てを装着することができるよう構成されている。以下、支持装置1について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
図6は、平行に配置された一対の固定脚10A、10Bの間に、同じく高さ変更部11A(高さ調整部材11)を平行に配置し、これらの長手方向を接続した支持装置1の第1段構成を示す。なお、説明のため、本支持装置1においては、支持脚12A、12Bや蝶番13の記載を省略している。この第1段構成の支持装置1は、基本架30A、拡張架30B、及び収納架30Cの何れかを装着して取付面200に配置することができる。すなわち、
図6に示す固定脚10A、10Bと高さ変更部11Aを接続した全体の高さは、一個分の基本架30Aと同等の高さとなる。高さ調整部材11は、矩形形状を有する板状の高さ変更部11Aと高さ延長部11Bを有している。高さ変更部11Aを一対の固定脚10A、10Bの間に接続して、X軸方向における高さを決定することで、一対の固定脚10A、10Bと蝶番13を介して連結された支持脚12A、12BのX軸方向における高さを決定することとなる。なお、第1段構成においては、高さ変更部11Aの背面に高さ延長部11Bが格納されている。
【0035】
図7は、平行に配置された一対の固定脚10A、10Bの間に、高さ変更部11Aを垂直に配置し、一対の固定脚10A、10Bの長手方向の中間部と高さ変更部11Aの短手方向の端部を接続した支持装置1の第2段構成を示す。同図においても、説明のための支持脚12A、12Bの記載を省略している。この支持装置1では、基本架30A、拡張架30B、及び収納架30Cの内、二つの筐体を装着できる高さを有する。
図7に示す第2段構成の支持装置1では、固定脚10A、10Bと高さ変更部11Aの全体の高さは、二個分の筐体と同等の高さとなる。なお、第2段構成においても、高さ変更部11Aの背面に高さ延長部11Bが格納されている。
【0036】
図8は、平行に配置された一対に固定脚10A、10Bの間に、高さ変更部11A及び高さ延長部11Bを垂直に配置し、一対の固定脚10A、10Bの長手方向の中間部と高さ変更部11A及び高さ延長部11Bの短手方向の端部を接続した支持装置1の第3段構成を示す。この第3段構成の支持装置1では、高さ変更部11Aに格納してあった高さ延長部11Bを延長することで基本架30A、拡張架30B、及び収納架30Cの三個分の筐体を収容可能となる。なお、
図8においても、説明のために支持脚12A、12Bの記載を省略している。
【0037】
図9は、本実施形態による支持装置1に筐体30を装着して取付面200に固定した図を示す。本実施形態において、バッテリ50などの付属装置の有無に応じて取付面200からの厚みt1、t2(Z軸方向における奥行)で示される設置スペースの調整が可能である。
図9(a)は、筐体30の背面にバッテリ50を取り付けない場合の構成を示す図である。同図では、各支持脚12A、12Bに形成された筐体取り付け用穴16Aにネジなどの固定手段を用いて筐体30を装着し支持している。この構成では、取付面200から近い位置に筐体30を装着しているため、取付面200からの支持装置1と筐体30の厚みt1を抑えることができ、省スペース化を図ることができる。
図9(b)は、筐体30の背面にバッテリ50を取り付ける場合の構成を示す図である。各支持脚12A、12Bに形成された筐体取り付け用穴16Bにネジなどの固定手段を用いて筐体30を装着し支持している。筐体取り付け用穴16Bは筐体取り付け用穴16Aより取付面200から離れた位置に形成されているため、厚みt2は厚みt1より大きくなるが、筐体30と支持装置1との間にバッテリ装着用のスペースが確保できる。
【0038】
このように、本発明の一実施形態では、一組の支持装置1で様々な構成の筐体30を取付面200に壁掛け設置することが可能となる。
【0039】
なお、上述した第1、第2の実施形態に含まれる特徴を用いた電子機器などの筐体30の支持方法も、本発明の範疇に含まれる。
【0040】
以上、各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細は、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。例えば、第1の実施形態では、角度調整シャフト14が、固定脚10Aと支持脚12A間に設けられているが、このような構成に限定されず、固定脚10Bと支持脚12B間に角度調整シャフト14を設けてもよいし、両方の脚間に角度調整シャフト14を設ける構成であってもよい。この場合、固定脚10Bにシャフト装着部が設けられ、支持脚12Bにシャフト固定溝121、122が設けられることとなる。また、上述の実施形態では、一対の固定脚10A、10Bの間に高さ調整部材11が一個設けられているが、一対の固定脚10A、10Bを取付面200に強固に固定し所望の高さに位置決めできるのであれば、高さ調整部材11を省いてもよい。逆に、支持装置1の補強のために、高さ調整部材11を複数個設ける構成にしても構わない。また、第2の実施形態では、最大3段構成の筐体30に対応する支持装置1について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、4段や5段構成の筐体に対応できるように支持装置1の高さ調整部材11の構成を変更するなど種々の構成を採用してよいのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明による支持装置及び支持方法は、壁掛け設置に対応する製品に適用できる他、電子機器などに付属して用いられる周辺機器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 支持装置
10A、10B 固定脚
101 シャフト装着部
11 高さ調整部材
11A 高さ変更部
11B 高さ延長部
12A、12B 支持脚
121 シャフト固定溝(90°固定用)
122 シャフト固定溝(50°固定用)
13 蝶番
14 角度調整シャフト
15 雄ネジ
16A、16B 筐体取り付け用穴
30 筐体
30A 基本架
30B 拡張架
30C 収納架
40 オプションカード
50 バッテリ
200 取付面