(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721215
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】弾球遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
A63F7/02 334
A63F7/02 311C
A63F7/02 312A
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-25798(P2011-25798)
(22)【出願日】2011年2月9日
(65)【公開番号】特開2012-161551(P2012-161551A)
(43)【公開日】2012年8月30日
【審査請求日】2013年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】390031783
【氏名又は名称】サミー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(72)【発明者】
【氏名】清水 直樹
【審査官】
阿南 進一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−120697(JP,A)
【文献】
特開2012−120620(JP,A)
【文献】
特開2012−100976(JP,A)
【文献】
特開2012−100974(JP,A)
【文献】
特開2012−100972(JP,A)
【文献】
特開2012−070941(JP,A)
【文献】
特開2012−070782(JP,A)
【文献】
特開2009−291542(JP,A)
【文献】
特開2009−178240(JP,A)
【文献】
特開2006−158454(JP,A)
【文献】
特開2004−147891(JP,A)
【文献】
特開2003−033484(JP,A)
【文献】
特開2002−272925(JP,A)
【文献】
特開2001−353268(JP,A)
【文献】
特開2001−224829(JP,A)
【文献】
特開平10−085441(JP,A)
【文献】
特開平10−085391(JP,A)
【文献】
特開平07−088234(JP,A)
【文献】
実開昭56−122175(JP,U)
【文献】
実開昭55−019207(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
G07F 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を打ち出す発射装置と、
前記発射装置から打ち出された遊技球を遊技盤の遊技領域へと導くレール部材と、
前記レール部材の先端部に取り付けられた取付部と、それぞれ前記取付部よりも上方に開放端を有すると共に該開放端が前後方向に対向した第1及び第2の片部とを備えた球戻り抑止部材と
を備え、
前記第1及び第2の片部の間の間隙は、前記開放端側から前記取付部側へ向けて漸次狭くなり、
前記第1及び第2の片部はそれぞれ別部材であって錘を備え、
当該錘は一部品で構成されている、弾球遊技機。
【請求項2】
遊技球を打ち出す発射装置と、
前記発射装置から打ち出された遊技球を遊技盤の遊技領域へと導くレール部材と、
前記レール部材の先端部に取り付けられた取付部と、それぞれ前記取付部よりも上方に開放端を有すると共に該開放端が前後方向に対向した第1及び第2の片部とを備えた球戻り抑止部材と
を備え、
前記第1及び第2の片部の間の間隙は、前記開放端側から前記取付部側へ向けて漸次狭くなり、
前記第1及び第2の片部はそれぞれ別部材であり、かつ、それぞれが独立した回転軸部を備えている、弾球遊技機。
【請求項3】
前記球戻り抑止部材は、
前記第1及び第2の片部の前記開放端部よりも前記取付部側に備えられた溝部と、
前記第1及び第2の片部の厚み方向で前記溝部と重なる板部材と、を更に備え、
前記第1及第2の片部の間の間隙は、前記開放端から前記溝部へ向けて漸次狭くなる、請求項1又は請求項2記載の弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機においては、弾球された遊技球が遊技領域(遊技盤面上又はその近傍の領域であって、例えば入賞口等を有し、遊技球の流下による遊技や演出を実現するための領域。)を流下して、その流下の過程で遊技球が遊技領域内の遊技釘や風車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技領域上に配置された各種入賞口に遊技球が入賞すれば所定の賞球の払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に遊技球が流入すれば賞球の払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は遊技球の流下における偶然性を利用しつつ遊技球の入賞及び賞球の払出しを期待し、遊技を楽しむのである。
【0003】
ここで、例えば、特許文献1には、針金等の不正器具を用いて球払出装置から不正に球を払い出させるような不正行為を防止するために、パチンコ球が流下する球通路に、この球通路を流下するパチンコ球によって可動すると共に、常に係止部に係止して球通路を閉鎖する閉鎖板を設けたパチンコ機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−218949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、多量の賞球を獲得するために様々な不正行為が行われている。例えば、発射する遊技球に糸をくくりつけて発射する、いわゆる糸吊りゴトと呼ばれる不正行為がある。糸吊りゴトでは、糸を手で操作することによって遊技球を入賞口に不正に誘導する。更に、糸を操作することによって入賞口内部の入賞センサに対して1つの遊技球を繰り返し出し入れし、あたかも多数の遊技球が入賞したかのように誤検出させて多数の賞球を不正に獲得する。また、糸吊りゴトでは、糸吊り遊技球を足がかりに後続の遊技球を利用して、各種入賞口やワープ通路等への導入路を形成するような不正行為も見受けられる。
【0006】
このような不正行為を防止するためには、遊技球に取付けられた吊り糸を不正行為者が自由に操作できないように、その吊り糸の可動領域を制限することが重要である。
【0007】
しかしながら、現時点では、糸吊り遊技球を使用した不正行為を抑止する有効な対策が行われていない。遊技領域に侵入した糸吊り遊技球を、不正行為者による自由な操作を困難にしたり、糸を切断したりする方策があれば、糸吊り遊技球による不正行為を有効に抑止することができる。
【0008】
本願発明は、上記事情に鑑みたものであり、糸吊り遊技球による不正行為を抑制するための弾球遊技機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての弾球遊技機は、遊技球を打ち出す発射装置と、発射装置から打ち出された遊技球を遊技盤の遊技領域へと導くレール部材と、レール部材の先端部に取り付けられた取付部と、それぞれ取付部よりも上方に開放端を有すると共に開放端が前後方向に対向した第1及び第2の片部とを備えた球戻り抑止部材と、を備え、第1及び第2の片部の間の間隙は、開放端側から取付部側へ向けて漸次狭くなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、糸吊り遊技球による不正行為を抑制するための弾球遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る遊技機としてのパチンコ機の正面図である。
【
図3】
図1に示すパチンコ機の左側の内部を示す正面図である。
【
図4】実施形態1に係る球戻り抑止部材の上面図及び正面図である。
【
図5】実施形態1に係る球戻り抑止部材の分解斜視図である。
【
図6】実施形態1に係る球戻り抑止部材の動作を説明するための図である。
【
図7】実施形態1に係る球戻り抑止部材の作用を説明するための図である。
【
図8】実施形態2に係る球戻り抑止部材の斜視図である。
【
図9】実施形態2に係る球戻り抑止部材の正面図及び断面図である。
【
図10】実施形態2に係る球戻り抑止部材の作用を説明するための図である。
【
図11】実施形態3に係る球戻り抑止部材の正面図及び断面図である。
【0012】
[実施形態1]
以下、本発明の実施形態1について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る電子回路基板を有する弾球遊技機としてのパチンコ機2の正面図であり、
図2は、
図1に示すパチンコ機2の背面図であり、
図3は
図1に示すパチンコ機2の左側の内部を示す正面図である。このパチンコ機2は、遊技機枠3、遊技盤ユニット5、ガラス10、発射ユニット(発射装置)45、球皿(貯留皿)14を有している。発射ユニット45は、遊技盤ユニット5に構成される遊技領域16に向けて1球ずつ遊技球(遊技媒体)23が発射可能とされている。
【0013】
パチンコ機2は、遊技者が後述する発射装置ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて遊技球が発射ユニット45によって発射され、遊技球の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。
【0014】
また、遊技機がパチンコ機である場合には、遊技媒体は遊技球(パチンコ球)であるが、遊技媒体としては、遊技球に限定されない。遊技機の種類によっては、遊技領域を流下する、例えば、コイン、メダル、ボール等種々の遊技媒体を概念することができる。
【0015】
なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施形態1においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
【0016】
本願においては、一般的な方向の定義として、パチンコ機を正面(遊技者側)から見た場合における方向で上下左右方向を定義する。また、遊技者からパチンコ機に向かう方向を後方、パチンコ機から遊技者に向かう方向を前方と定義する。部材やユニット等の詳細部分については、個別に別方向の名称を用いる場合もある。
【0017】
また、遊技球23が遊技領域16を流下する場合、原則として流下方向(下方)が下流側であり、逆方向(上方)が上流側となるが、下流、上流の概念は上下に限定されず、あくまで遊技球の流下する方向を下流側と定義する。
【0018】
パチンコ機2の遊技機枠3は、後述する遊技盤ユニット5を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲側面及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。遊技機枠3の内部側には、遊技盤ユニット5の他にも後述する各種制御基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、遊技機枠3によって周囲側面及び前方又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
【0019】
パチンコ機2の周囲を囲む外枠4、その内側にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する前枠9、前枠9の前方にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されガラス10及びその周囲を装飾する装飾部材32を保持するガラス枠12、を有して遊技機枠3が構成される。なお、ガラス10は、遊技機枠3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。遊技機枠3は、遊技盤ユニット5を保持する前枠9と、後述する主制御基板ケース(基板ケース)35と、を備えている。
【0020】
ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。ガラス10は、2枚の透明平板ガラスで形成されてガラス枠12の裏面側に保持され、遊技盤6との間に遊技球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者がガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないようにする不正アクセス防止機能、を発揮する。
【0021】
球皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施形態1においては上球皿14aと下球皿14bとを有している。上球皿14aは、球抜き部材14cを有して遊技盤6の下方、すなわちガラス枠12の下方部分に配置され、下球皿14bは、その上球皿14aの更に下方に配置されている。
【0022】
発射ユニット45は、球送り装置(不図示)によって球皿14の一部としての上球皿14aから発射位置に送り出された遊技球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニット45は、例えば発射位置の遊技球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、前枠9に取付けられている。その発射ユニット45による球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射装置ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
【0023】
遊技盤ユニット5は、遊技盤面6a側の略中央に遊技役物としてのセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘27も配置されている。センター役物7の中央部には、画像表示手段としての演出表示装置7aが配置されると共に、この演出表示装置7aの表示部7bを露出させるための表示開口部7dが形成されている。
【0024】
遊技盤6は、その表面側に遊技球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように遊技機枠3(本実施形態1においては、遊技機枠3の一部としての前枠9。)に保持されている。その遊技盤6の表面には略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取付けられており、レール飾り26の外レール26aが遊技盤6に対して立設するように配置されている。そして、レール飾り26の外レール26aによって画定され、外レール26aに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
【0025】
遊技釘27は、遊技領域16を流下する遊技球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、遊技領域16内に多数配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、始動入賞口29、大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。更に、遊技領域16には、ゲート33、風車25等が配置されており、流下する遊技球23が各入球部材に流入したり、ゲート33を通過したり、風車25を回転させたりすることによって、遊技球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
【0026】
センター役物7は、演出表示装置7aの周囲を覆うように構成されており、図柄変動遊技(1種遊技)を実現するものである。センター役物7の上部には、図柄表示手段としての第1図柄(特別図柄)表示装置17が配置されると共に、センター役物7の中央部には、演出表示装置7aが配置されている。
【0027】
第1図柄(特別図柄)表示装置17には、抽選手段の抽選結果である第1図柄の変動が表示される。第1図柄は、始動入賞口29への遊技球23の入球を契機として実行される第1抽選の結果に対応した図柄である。第1図柄の変動表示が所定の当選態様で停止することにより第1特別遊技としての大当りが発生する。
【0028】
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示部7b上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示部7bには、第1図柄に連動する第1装飾図柄の表示がなされる。第1装飾図柄は、第1抽選手段の抽選結果を視覚的に演出するための図柄であり、第1の遊技に対応する。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示部7b上に表示されるようになっている。演出表示装置7aには、遊技制御手段としての演出制御基板が中継基板を介して電気的に接続されており、演出制御基板によって画像表示が制御される。
【0029】
図2に示すように遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う電子回路基板としての主制御基板34を内包する主制御基板ケース35と、演出表示装置7aの画像表示等演出の制御等を行う演出制御基板(図示せず)を収容した演出制御基板ケース36と、賞球の払出しを制御する払出制御基板(図示せず)を収容した払出制御基板ケース37と、電源基板(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。
【0030】
発射ユニット45により遊技球23が発射されると、遊技球23はレール飾り26の外レール26aに沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、遊技球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、あるものはレール飾り26の外レール26aに沿って右側に移動し、あるものは遊技釘27に衝突しつつ遊技領域16内を下方に流下し、あるものは普通入賞口28に流入して一定数の賞球の払出し契機となり、あるものはいずれの入球装置にも流入せずに遊技領域16内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
【0031】
図柄変動遊技中に遊技球23が始動入賞口29に流入すると、その流入に起因して演出表示装置7aの表示図柄7cが回転表示(第1の特別遊技の抽選)を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当り(第1の特別遊技。以下、図柄変動大当りという。)が発生する。そして、大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の賞球が球皿14へと払い出されるようになっている。
【0032】
図3は、本実施形態1に係る球戻り抑止部材51が配置される位置、及び発射装置である発射ユニット45が配置される位置を説明するための図である。球戻り抑止部材51は開放端510側に可動片511を備え、内レール40の先端部に取付けられた球戻り抑止ユニット50内に可動的に保持されている。球戻り抑止部材51は、遊技球発射領域19から遊技領域16へ向けて発射される遊技球23を遊技球発射領域19から遊技領域16へ進入させるとともに、遊技領域16に進入した遊技球23が遊技盤面6aに配置された遊技釘27等に衝突して、再び遊技球発射領域19に逆行することを防止する機能を有する部材である。
【0033】
遊技球発射領域19とは、内レール40と外レール26aにより画定される領域であって、発射ユニット45から発射される遊技球23が流下遊技を実現する遊技領域16へ達するまでの遊技球23の通路となる領域である。
【0034】
遊技領域16に発射された遊技球23が遊技球発射領域19に逆行してしまうと、発射ユニット45から順次発射される後続の遊技球23と遊技球発射領域19内で衝突して、遊技球発射領域19内で球詰まりが発生する。球戻り抑止部材51は、遊技球発射領域19内での遊技球23同士による球詰まりの不具合を防止するために、遊技球発射領域19と遊技領域16とを画定する位置に配置されている。実施形態1において遊技球23の発射装置となる発射ユニット45は、遊技機2の左側下部に配置されている。
【0035】
図4及び
図5は、本実施形態1に係る球戻り抑止部材51の構成を示す図であり、
図4(a)は球戻り抑止部材51の上面図、
図4(b)は球戻り抑止部材51の正面図である。
図5は、球戻り抑止部材51の分解斜視図である。図示したように、本実施形態1に係る球戻り抑止部材51は、硬質プラスチック樹脂を成型加工して形成した球戻り抑止部材51aと、同じく硬質プラスチック樹脂を成型加工して形成した球戻り抑止部材51bと、ステンレス鋼等の丸棒を切削加工して形成したシャフト57と、比重の高い金属を成型加工して形成した錘58と、から構成されている。
【0036】
球戻り抑止部材51aは、板状の可動片511aと、この可動片511aの下部に形成されたシャフト57を支持するためのシャフト支持部514aと、錘58を支持するための錘支持部516aと、を備えている。可動片511aの上部には、
図3において左上の開放端510aから右下に向かう斜辺512aが形成されている。シャフト支持部514aには、シャフト57が圧入されるシャフト圧入孔515aが貫通形成されている。錘支持部516aには、錘58が圧入される錘圧入孔517aが貫通形成されている。
【0037】
球戻り抑止部材51bは、板状の可動片511bと、この可動片511bの下部に形成されたシャフト57を支持するためのシャフト支持部514bと、錘58を支持するための錘支持部516bと、を備えている。更に、可動片511bの上部に
図3において右上の開放端510bから左下に向けて形成された斜辺512bの端部から略垂直に立設された立設片518が形成されており、立設片518の端部から可動片511bと反対側に立設片518から略垂直に立設された立設片519が形成されている。つまり、立設片519は、可動片511a及び511bと、可動片511a及び511bの厚み方向に対して平行に設けられている。
【0038】
立設片519の上部には、
図3において右上から左下に向かう斜辺519aが形成されている。シャフト支持部514bには、シャフト57が圧入されるシャフト圧入孔515bが貫通形成されている。錘支持部516bには、錘58が圧入される錘圧入孔517bが貫通形成されている。
【0039】
本実施形態1に係る球戻り抑止部材51は、球戻り抑止部材51aの端面51a1と球戻り抑止部材51bの端面51b1が当接され、球戻り抑止部材51aに貫通形成されたシャフト圧入孔515aと球戻り抑止部材51bに貫通形成されたシャフト圧入孔515bにシャフト57が共軸的に圧入され、かつ、球戻り抑止部材51aに貫通形成された錘圧入孔517aと球戻り抑止部材51bに貫通形成された錘圧入孔517bに錘58が共軸的に圧入されて構成される。錘58は、取付部となるシャフト57に対して球戻り抑止部材51aと球戻り抑止部材51bとを一体的に回動可能に固定する固定部材である。
【0040】
そして上記のように構成された球戻り抑止部材51は、球戻り抑止部材51aの斜辺512aと球戻り抑止部材51bの斜辺512bにより谷部53が形成される。谷部53は、後に詳述する糸吊り遊技球23の遊技球23を吊り下げ保持する糸状体(吊り糸)100(
図7参照)を谷部53の底部53aに導く機能を有する部位である。よって、本実施形態1に係る球戻り抑止部材51として、球戻り抑止部材51aの直線状の斜辺512aと球戻り抑止部材51bの直線状の斜辺512bにより谷部53を形成する構成を例示したが、斜辺512a及び斜辺512bは必ずしも直線状である必要はなく、可動片511の開放端510から下方に向けて可動片511aと可動片511bの間の間隙が漸次狭くなるように谷部53が形成されて、遊技球23を吊下した吊り糸100が吊下した遊技球23の自重により谷部53の底部53aに導かれる形状であれば良い。また、谷部53の底部53aも、図示したように可動片511の略中央部に設定する必要はなく、後述する規制部55との連係が良好な位置に任意に設定することができる。このように間隙(谷部53)を構成することにより、吊り糸100の前後方向の可動領域を狭めることができる。
【0041】
図4に示されるように、本実施形態1に係る球戻り抑止部材51は、球戻り抑止部材51aの可動片511aが球戻り抑止部材51bの可動片511bと対向する対向端面513aと、この対向端面513aと対向する可動片511bの対向端面513bとの間に幅狭の溝55aが形成されている。また、可動片511aが可動片511bの立設片519と対向する対向面511a1と、立設片519の対向面519bとの間にも幅狭の溝55bが形成されている。そして、本実施形態1においてはこれら溝55aと溝55bは略垂直に屈曲しながら連通しており、これら溝55aと溝55bにより後述する糸状体(吊り糸)100(
図7参照)の動作を規制する規制部55が形成されている。
【0042】
図6は、本実施形態1に係る球戻り抑止部材51の動作を模式的に示す図である。球戻り抑止部材51は、可動片511が回動可能なように、シャフト57が図示しない軸受部材に取付けられて、遊技球発射領域19と遊技領域16とを画定する位置に配置される。球戻り抑止部材51は、常時は
図6に示されるように錘58の重力により可動片511が略鉛直方向に直立するような姿勢で保持されている。
【0043】
そして、遊技球発射領域19から遊技球23が遊技領域16に進入するべく可動片511に衝突すると、シャフト57を支軸に可動片511が矢印C方向に破線で示す位置に回動して遊技球23の遊技領域16への進入が許容される。一方、遊技領域16内に進入した遊技球23が遊技領域16側から可動片511に衝突すると、球戻り抑止部材51の錘支持部516a及び錘支持部516b(
図3、
図4参照)が保持部材80に設けられた動作規制部81に当接して、矢印Cと逆方向への可動片511の回動動作が規制され遊技球発射領域19への遊技球23の逆行が防止される。
【0044】
図7は、不正器具である糸吊り遊技球が遊技領域16に進入した場合の本実施形態1に係る球戻り抑止部材51の作用を説明するための図である。遊技領域16に進入した遊技球23を吊下した吊り糸100は、まず、
図7(a)に示されるように開放端510側から球戻り抑止部材51の谷部53にて斜辺512a等に当接する。
【0045】
続いて、
図7(b)に示されるように遊技球23の自重により吊り糸100に作用する張力によって谷部53の底部53aへ導かれる。そして、
図7(c)に示されるように吊り糸100は溝55a及び溝55bからなる規制部55へと導かれる。このとき、規制部55の溝55a及び溝55bを形成する周囲の部材(対向端面513a、対向端面513b、対向面511a1、対向面519b等の角部)と吊り糸100に生じる摩擦力により吊り糸100の動作が規制される。
【0046】
なお、本実施形態1において吊り糸100の「動作を規制する」とは、規制部55の作用により吊り糸100の自由な動作、すなわち不正行為者の吊り糸100の操作による当該不正行為者の意図する動作を規制することを意味する。本実施形態1に係る球戻り抑止部材51によれば不正行為者の意図する動作を規制することができるので、いわゆる糸吊りゴトと呼ばれる不正行為を有効に防止することができる。
【0047】
規制部55で動作が規制された吊り糸100には、吊下された遊技球23の自重による張力に加えて、順次遊技領域16に発射される正規の遊技球23により球戻り抑止部材51が繰り返し回動動作することによる張力が加わるので、規制部55における摩擦力が増大し、吊り糸100が規制部55にて切断されることも十分に期待できる。
【0048】
以上説明したように本実施形態1に係る球戻り抑止部材51によれば、吊り糸100を連結した遊技球23による不正行為を効果的に防止することができる。なお、上記実施形態1に係る球戻り抑止部材51は球戻り抑止部材51aと球戻り抑止部材51bの2つの部品で球戻り抑止部材51を構成する例を示したが1つの部品で球戻り抑止部材51を構成しても良い。
【0049】
[実施形態2]
次に、
図8ないし
図10を参照して本実施形態2に係る球戻り抑止部材61について説明する。尚、実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同様の符号を付し、説明を省略する。
【0050】
図8は、本実施形態2に係る球戻り抑止部材61が配置される位置を説明するための部分拡大斜視図である。
図8に示されるように、内レール40と外レール26aの間に画定される遊技球発射領域19と遊技領域16とを画定する位置に球戻り抑止部材61が配置されている。本実施形態2に係る球戻り抑止部材61は板バネ材を型抜きして形成されており、弾性的に変形可能な可動片62と、この可動片62の開放端620に形成された谷部63と、この谷部63の底部63aから連続して細溝状に形成された規制部65と、を備えている。球戻り抑止部材61は、内レール40の先端部に取付部61aをスポット溶接等の手段により固着して取付けられている。
【0051】
図9は本実施形態2に係る球戻り抑止部材61の構成を示す図であり、
図9(a)は球戻り抑止部材61の正面図、
図9(b)は
図9(a)のA−A線断面図である。
図9(a)に示されるように、球戻り抑止部材61は、弾性的に変形可能な可動片62と、この可動片62の上部の前側開放端620aと後側開放端620bから下方に向けて傾斜形成された斜辺611,612を備えている。そして、これら斜辺611,612によって下方に向けて漸次幅が狭くなるような谷部63が形成されている。
【0052】
谷部63の底部63aから連続して下方に向かう細溝状の規制部65が形成されている。規制部65には、対向する前側可動片62aと後側可動片62bとに刃65a,65aが形成されており、この対向する刃65a,65aによって本実施形態2に係る球戻り抑止部材61における吊り糸100を切断する切断部が形成されている。球戻り抑止部材61の下部は、球戻り抑止部材61を内レール40の先端部に固着して取付けるための取付部61aとなっている。
【0053】
図9(b)は
図9(a)のA−A線断面図であり、吊り糸100に吊下された遊技球23が遊技領域16内に進入し、吊り糸100が球戻り抑止部材61の規制部65に導かれた状態とともに示している。
図9(b)に示されるように、球戻り抑止部材61の規制部65に形成された刃65a,65aによる切断部に導かれた吊り糸100は、遊技球23の自重により吊り糸100に張力が作用するため、この刃65a,65aにより形成された切断部にて切断される。
【0054】
図10は、本実施形態2に係る球戻り抑止部材61の作用を説明するための図である。遊技球23に連結された吊り糸100は、遊技球発射領域19から遊技領域16に進入すると、まず、球戻り抑止部材61の開放端620から谷部63へ進入し谷部63で斜辺611,612のいずれかに当接する(D1)。続いて、遊技球23の自重により吊り糸100に作用する張力によって谷部63の底部63aへ導かれる(D2)。そして、吊り糸100は谷部63の底部63aから連続して下方に形成された規制部65に導かれ、規制部65の刃65a,65aにより形成された切断部に至る(D3)。切断部に至った吊り糸100は、遊技球23の自重により作用する張力によって切断部で切断される(D4)。
【0055】
なお、本実施形態2に係る球戻り抑止部材61は
図8及び
図10に示されるように可動片62が遊技領域16から遊技球発射領域19に向かう方向に湾曲成型されており、常時は可動片62の開放端620が略鉛直方向又は若干遊技領域16側に傾けて配置されている。これにより、遊技球23の遊技球発射領域19側から遊技領域側16への遊技球23の進入に際しては可動片62の上端側が外レール26aから離間する方向に変位して遊技球23の遊技領域16への進入を許容する。一方、遊技領域16側から遊技球発射領域19側へ遊技球23が逆行しようとすると、可動片62の上端側が外レール26aに近接する方向に変位して進路を塞ぎ遊技球23の逆行が防止される。
【0056】
以上説明したように本実施形態2に係る球戻り抑止部材61によれば、いわゆる糸吊りゴトと呼ばれる不正行為を有効に防止することができる。
【0057】
[実施形態3]
図11は実施形態3に係る球戻り抑止部材71の構造を示す図である。尚、実施形態1、2と同様の構成については、実施形態1、2と同様の符号を付し、説明を省略する。
【0058】
図11(a)は本実施形態3に係る球戻り抑止部材71の正面図、
図11(b)は
図11(a)のB−B線断面図を吊り糸100に吊下された遊技球23が遊技領域16内に進入し、吊り糸100が球戻り抑止部材71の規制部75に導かれた状態とともに示している。
【0059】
この実施形態3は、上記実施形態2における球戻り抑止部材61の規制部65の変形例を示すものである。本実施形態3に係る球戻り抑止部材71は上記実施形態2と同様に板バネ材を型抜きして形成されており、弾性的に変形可能な可動片72と、この可動片72の上部の前側開放端720aと後側開放端720bから下方に向けて傾斜形成された斜辺711,712を備えている。そして、これら斜辺711,712によって下方に向けて漸次幅が狭くなるような谷部73が形成されている。更に、この谷部73の底部73aから連続して細溝状に形成された規制部75と、を備えている。
【0060】
本実施形態3に係る球戻り抑止部材71は、可動片72の上部の開放端720から下方に向けて傾斜形成された斜辺711,712を備えており、これら斜辺711,712によって下方に向けて漸次幅が狭くなるような谷部73が形成されている。谷部73の底部73aから連続して、対向する前側可動片72aと後側可動片72bとの間に下方に向かう細溝状の規制部75が形成されている。更に、規制部75の底部には刃75aが形成されており、吊り糸100を切断する切断部を形成している。球戻り抑止部材71の下部は、球戻り抑止部材71を内レール40の先端部に固着して取付けるための取付部71aとなっている。
【0061】
図11(b)に示されるように、本実施形態3に係る球戻り抑止部材71を経て吊り糸100に連結された遊技球23が遊技球発射領域19から遊技領域16へ進入すると、遊技球23が連結された吊り糸100は球戻り抑止部材71の開放端720から進入し谷部73を形成する斜辺711,712のいずれかに当接して谷部73の底部73aに導かれる。そして、吊り糸100は、この底部73aから下方に連続して形成された規制部75により動作を規制されつつ切断部の刃75aに到達し、切断される。
【0062】
本実施形態3に係る球戻り抑止部材71によれば、いわゆる糸吊りゴトと呼ばれる不正行為を有効に抑止することができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
2:パチンコ機(遊技機)、3:遊技機枠、4:外枠、5:遊技盤ユニット、6:遊技盤、6a:遊技盤面、7:センター役物、7a:演出表示装置、7b:表示部、7c:表示図柄、7d:表示開口部、9:前枠、10:ガラス、12:ガラス枠、14:球皿(貯留皿)、14a:上球皿、14b:下球皿、14c:球抜き部材、15:発射装置ハンドル、16:遊技領域、17:第1図柄(特別図柄)表示装置、19:遊技球発射領域、22:ヒンジ、23:遊技球、25:風車、26:レール飾り、26a:外レール、27:遊技釘、28:普通入賞口、29:始動入賞口、30:アウト口、31:大入賞口、32:装飾部材、33:ゲート、34:主制御基板(電子回路基板)、35:主制御基板ケース(基板ケース)、36:演出制御基板ケース、37:払出制御基板ケース、38:電源基板ケース、39:外部出力端子板、40:内レール、45:発射ユニット(発射装置)、50:球戻り抑止ユニット、51:球戻り抑止部材、51a:球戻り抑止部材、51a1:端面、51b:球戻り抑止部材、51b1:端面、53:谷部、53a:底部、55:規制部、55a:溝、55b:溝、57:シャフト、58:錘、61:球戻り抑止部材、61a:取付部、62:可動片、62a:前側可動片、62b:後側可動片、63:谷部、63a:底部、65:溝(規制部)、65a:刃(切断部)、71:球戻り抑止部材、71a:取付部、72:可動片、72a:前側可動片、72b:後側可動片、73:谷部、73a:底部、75:溝(規制部)、75a:刃(切断部)、80:保持部材、81:動作規制部、100:吊り糸(糸状体)、510:開放端、510a:開放端、510b:開放端、511:可動片、511a:可動片、511a1:対向面、511b:可動片、512a:斜辺、512b:斜辺、513a:対向端面、513b:対向端面、514a:シャフト支持部、514b:シャフト支持部、515a:シャフト圧入孔、515b:シャフト圧入孔、516a:錘支持部、516b:錘支持部、517a:錘圧入孔、517b:錘圧入孔、518:立設片、519:立設片、519a:斜辺、519b:対向面、611,612:斜辺、620:開放端、620a:前側開放端、620b:後側開放端、711,712:斜辺、720:開放端、720a:前側開放端、720b:後側開放端。