(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アドレス確認手段は、提示されたネットワークアドレスがデータ送信元の分散ノードのネットワークアドレスとして前記アドレス管理テーブルに登録されているか否かを確認し、登録されていない場合に提示されたアドレスが正常でないと判定する
請求項3記載の放射線モニタリングシステム。
前記ネットワーク管理ユニットは、前記アドホック無線ネットワークに新規に参加した分散ノードから自己に割り当てられているアドレス群を受信したことに応じて、受信したアドレス群を送信元の分散ノードのアドレス群として前記アドレス管理テーブルに追加登録するアドレス群追加登録手段を含む
請求項3または請求項10または請求項11記載の放射線モニタリングシステム。
前記ネットワーク管理ユニットは、前記アドホック無線ネットワークにおいて動作中であった分散ノードと交換されたことにより参加した分散ノードから自己に割り当てられているアドレス群を受信したことに応じて、受信したアドレス群における論理アドレスと同一の論理アドレスを含むアドレス群を当該受信したアドレス群で上書きし、前記アドレス管理テーブルに登録されているアドレス群を更新するアドレス群更新登録手段を含む
請求項3または請求項10から請求項12のうちいずれかに記載の放射線モニタリングシステム。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施の形態を示す放射線モニタリングシステム100の構成の例を示すブロック図である。
図1に示すように、放射線モニタリングシステム100は、ネットワーク管理ユニット10と、複数の計測ユニット21〜24と、中継ユニット40と、データ管理サーバ60と、無線LAN通信情報端末70とを含む。なお、計測ユニットは、いくつ設けられていてもよい。また、ネットワーク管理ユニット10、中継ユニット40、データ管理サーバ60、及び無線LAN通信情報端末70が、それぞれ複数設けられていても良い。
【0029】
また、本例においては、ネットワーク管理ユニット10と無線LAN通信情報端末70とは、無線LANを構築する。また、ネットワーク管理ユニット10と、データ管理サーバ60とは、それぞれ、インターネットなどの通信ネットワーク80に接続されている。
【0030】
計測ユニット21〜24は、それぞれ、放射線センサ(または、放射線計測器)を含む各種のセンサと(図示せず。)、無線通信端末31〜34と、電池(図示せず。)とを備えている。無線通信端末31〜34は、それぞれ、アドホック無線ネットワークにおけるネットワーク分散型セルコンピュータ(NICE)であり、多様な信号入出力機能およびZigBee無線ネットワーク連係機能を備えている。この無線通信端末(または、アドホック無線通信端末)31〜34は、それぞれ、高性能、小型、低コスト、低消費電力の計測制御用コンピュータであり、アドホック無線ネットワークにおける分散ノードとして機能する。なお、本例においては、無線通信端末31〜34は、それぞれ、増幅器(AMP)、DC/DCコンバータ(DC/DC)、およびPMRLY(PhotoMOSリレー)など、電池により駆動(動作)するための構成を備える。すなわち、無線通信端末31〜34は、それぞれ、自己が備える電池から供給される電力により、例えば各種センサの電源制御や計測信号の送受信などを実行するための各種機器を備える。なお、増幅器等については一般的なものを用いるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0031】
放射線センサは、乾電池等の小型バッテリにより駆動可能な小電力タイプであり、例えば、小型の電離箱式放射線サーベイメータが好適である。本例においては、計測ユニット21〜24は、それぞれ、予め設定された時間毎に、放射線センサを用いた放射線量の計測を行うものとする。
【0032】
無線通信端末31〜34は、それぞれ、長距離通信が可能で、消費電力が小さいものが好適である。本例においては、無線通信端末31〜34が実行する通信には、ZigBee(登録商標)通信を採用する場合を例にして説明を行う。
【0033】
また、無線通信端末31〜34は、それぞれ、センサ等を接続することで、独立した計測・制御ノードとして機能するが、既存の設備等に取り付けることによって、その設備等をオンライン化することもできる。本例の無線通信端末31〜34は、それぞれ、部品コストと消費電力の低減を目的として、その主要部品であるマイクロコンピュータに内蔵された数キロバイトのRAMのみで動作するように設計されている。なお、用途に応じてRS232C、CAN、1−Wire(登録商標)等の有線通信ポートを設けてもよく、また部品コストと消費電力の問題がない場合には、microSDメモリ等の外部記憶装置を設ける仕様としてもよい。
【0034】
電池は、計測ユニット21〜24を駆動できる電力量を有していれば、なるべく小型で蓄電量の多いものが好適である。具体的には、電池は、アルカリ乾電池、オキシライド乾電池、再充電式のリチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池等を使用することができる。
【0035】
なお、計測ユニット21〜24のうち、少なくとも1つに通信中継機能を付加し、「計測・中継ユニット」として機能させる構成としてもよい。
【0036】
また、本例においては、計測ユニット21〜24が、風向・風速計や雨量計を備える場合を例にして説明を行う。このような構成とすることにより、計測ユニット21〜24が、放射線量の計測と併せて(例えば、同時に)風向・風速や降雨量の計測を行うことができるようになる。
【0037】
なお、風向・風速形や雨量計は、小電力タイプのものが好ましい。これらのセンサにより、放射線量の計測と同時に、その計測場所における風向、風速、及び降雨量の計測を行う構成とすることにより、放射性物質の拡散範囲の予測に役立てることができるようになる。
【0038】
また、計測ユニット21〜24に、自然エネルギ発電装置を付加する構成としてもよい。この場合、計測ユニット21〜24が備える電池は、蓄電池であることが好ましい。また、自然エネルギ発電装置は、太陽光発電装置、風力発電装置、振動発電装置等を適宜使用することが可能であるが、計測ユニットを外部電源から電気供給を受けることなく駆動できる程度の発電能力を有することが好ましい。よって、太陽光発電装置が、比較的安価で発電能力が高いため好ましい。
【0039】
ネットワーク管理ユニット10は、WWWサーバなどの情報処理装置によって構成され、例えば放射線モニタリングシステム100の管理者により管理される。
【0040】
本例では、ネットワーク管理ユニット10と、複数の計測ユニット21〜24と、中継ユニット40とによって、アドホック無線ネットワーク(本例ではZigBee無線ネットワーク)による無線通信システム50が構築されている。なお、無線通信システム50における通信網の形式は特に限定されず、例えば、メッシュ形式、スター形式、ツリー形式など一般的な形式でよい。
【0041】
図2は、本例におけるネットワーク管理ユニット10の構成の例を示すブロック図である。
図2に示すように、ネットワーク管理ユニット10は、計測ユニットネットワーク管理サーバ10Aと、電池Bとを含む。
【0042】
計測ユニットネットワーク管理サーバ10A(以下、管理サーバ10Aという。)は、アドホック無線ネットワークにおける管理ノードとして機能する情報処理装置である。
図2に示すように、管理サーバ10Aは、各種の通信処理を実行するデータ送受信部11と、通信処理にて取得したデータを所定の記憶領域に登録する処理等を実行するデータ登録部12と、計測ユニット21〜24に対して計測データの送信指示(または、送信要求)処理等を実行する計測データ送信指示部13と、計測設定情報管理部14と、放射線量判定部15と、計測設定情報更新部16と、更新対象選択部17と、計測データDB18と、スケジュールDB19とを含む。
【0043】
ここで、計測データ送信指示部13は、全ての或いは特定の計測ユニットに対して、放射線量等の計測頻度(例えば、10分毎に1回計測、60秒毎に1回計測など)や計測データの送信頻度に関する指示を与えるための処理を実行する。具体的には、計測データ送信指示部13は、例えばネットワーク管理ユニット10のユーザ(または、放射線モニタリングシステム100の管理者)による操作に従って、放射線量の計測頻度や計測データの送信頻度を示す計測設定情報を作成し、作成した計測設定情報を計測ユニット21〜24それぞれに送信する処理等を実行する。なお、計測データ送信指示部13は、作成した計測設定情報を、各計測ユニットの識別情報と対応付けした状態でスケジュールDB19に保存する。
【0044】
ここで、スケジュールDB19は、複数の計測ユニット21〜24それぞれに対応する計測設定情報など、複数の計測ユニット21〜24を用いた各種データの計測に関するスケジュールを示すスケジュール情報を記憶する記憶媒体である。なお、スケジュールDB19には、予め作成された計測設定情報が記憶されていてもよい。
【0045】
また、計測設定情報管理部14は、複数の計測ユニット21〜24それぞれに対応付けされた計測設定情報を管理する処理を実行する。本例においては、計測設定情報管理部14は、スケジュールDB19に記憶されたスケジュール情報のうち、複数の計測ユニット21〜24それぞれに対する計測設定情報の対応付けやデータの入出力要求に応じた入出力処理等、複数の計測ユニット21〜24を用いた計測方法を示す計測設定情報をスケジュールDB19にて一元管理するための各種処理を実行する。
【0046】
また、放射線量判定部15は、複数の計測ユニット21〜24それぞれから受信した計測データが示す放射線量が所定の閾値以上か判定する処理を実行する。
【0047】
また、計測設定情報更新部16は、放射線量判定部15により放射線量が所定の閾値以上と判定された場合に、放射線量の計測頻度を上げるように(例えば、計測間隔を現時点での計測間隔の0.5倍にするように)、計測設定情報管理部14により管理された計測設定情報(すなわち、スケジュールDB19に保存された計測設定情報)を更新(情報の追加、削除を含む。)する処理を実行する。なお、計測設定情報の更新方法としては、例えば、計測設定情報更新部16が、計測データが示す放射線量や他の計測ユニットまでの距離などに基づいて、予め設定された複数の更新内容から1つの更新内容を選択して、選択した更新内容に基づいて計測設定情報を更新する構成としてもよい。また、計測設定情報更新部16が、例えば計測データDB18に記憶された計測データ(放射線量や風向、風量など)や各計測ユニットの残存電力量(または、予測残存電力量)などに基づいて、更新内容を決定する構成としてもよい。なお、計測設定情報の更新のために用いるルールや各種データは、ネットワーク管理ユニット10(または、管理サーバ10A)が備える記憶装置(例えば、更新基準情報DB)に記憶されているものとする。
【0048】
また、更新対象選択部17は、放射線量判定部15により放射線量が所定の閾値以上と判定された場合に、予め定められたルールに従って、スケジュールDB19において対応付けされた計測設定情報を更新する計測ユニットを選択する処理を実行する。すなわち、更新対象選択部17により選択された計測ユニットは、計測設定情報が更新されることにより、計測頻度等を変更することとなる。なお、更新対象を選択するために用いられるルールは、例えば、複数の計測ユニット21〜24間のホップ数(アドホック無線通信でのホップ数)や、複数の計測ユニット21〜24が配置された地理的位置、更新対象を選択するときの計測範囲内(すなわち、複数の計測ユニット21〜24が配置されたエリア)の風向、風速、または降雨量等、複数の計測ユニット21〜24が実際に配置された環境に応じて計測設定情報を更新することが可能なルールであることが好ましい。また、図示しないが、更新対象を選択するためのルールに関する情報は、ネット管理ユニット10(または、管理サーバ10A)が備える記憶装置(例えば、ルールDB)に記憶されているものとする。
【0049】
また、計測データDB18は、計測ユニット21〜24から受信した放射線量等の計測データを記憶する。
【0050】
図3は、計測データDB18における計測データ管理テーブルの例を示す説明図である。
図3に示すように、計測データ管理テーブルには、計測ユニット21〜24それぞれについて、割り当てられている計測ユニット番号、計測時刻、計測位置、計測された放射線量、風向、風速、及び降雨量を含む計測データが格納されている。
【0051】
なお、計測位置については、計測ユニット21〜24それぞれの設置時に、別途、例えば計測ユニット21〜24の設置者がその設置場所のGPS情報を取得し、計測ユニットのメモリに設定することで、計測データとして位置情報が登録されるものとする。
【0052】
なお、例えば、計測ユニット21〜24それぞれが自己の現在位置を特定し(例えば、GPSを用いて自己の現在位置を示す座標を特定し)、計測データに特定した現在位置を含めてネットワーク管理ユニット10に送信する構成としてもよい。ただし、GPSを計測ユニットに接続し、GPS情報を自動取得する構成とする場合、GPS自体の消費電力が大きいので、計測点が頻繁に移動しない場合は、設置者などによる現在位置の設定を要する構成とする方が実用的である。
【0053】
なお、計測ユニット21〜24が、3軸加速度センサにより特定の大きさ以上の加速度を検知したときにのみGPS情報を取得し、取得したGPS情報をネットワーク管理ユニット10に送信する構成としてもよい。すなわち、加速度センサを計測ユニットの移動の検知として利用し、移動の可能性がある場合はGPS情報を取得してネットワーク管理ユニット10に送信する構成としてもよい。このような構成とすることで、計測ユニットの消費電力を抑えつつ、計測データ管理テーブルにて計測ユニットの現在位置を正確に把握することができるようになる。なお、このような構成とする場合、計測ユニット21〜24は、加速度センサにより取得したデータに基づいて計測ユニット21〜24の移動が完了したか否かを判定し、移動が完了したと判定したとき(例えば、加速度が基準値になったとき)、または移動が完了したと判定したあと所定時間経過後に、GPS情報の取得を行う構成とされることが好ましい。GPS情報の取得回数を抑えることにより、電力の消費を抑えるためである。
【0054】
管理サーバ10Aは、ZigBee無線ネットワークに連係された全ての無線通信端末31〜34の運用を管理すると共に、複数の無線通信端末31〜34それぞれからセンサ情報等のデータ(本例においては、計測データ。)を収集し、データ管理サーバ60や無線LAN通信情報端末70に送信する機能を備えている。具体的には、管理サーバ10Aのデータ送受信部11が、アドホック無線通信機能、無線LAN通信機能、及び広域無線通信機能を備える。
【0055】
ここで、「アドホック無線通信機能」は、計測ユニット21〜24それぞれとの通信のために用いる。アドホック通信によれば、通信可能範囲内(例えば、数十〜数百メートルの通信可能距離内)に存在する通信端末間で自動的に双方向性通信を開始するため、例えば、多数の計測ユニットを広範囲に設置する場合であっても、各計測ユニット間の配線や特別な設定処理を行うことなく、メッシュ型やスター型等の各種無線通信網を容易に形成することができ、便宜である。なお、本例においては、アドホック無線通信機能を実現するために、ZigBee通信を採用する。
【0056】
また、「無線LAN通信機能」は、無線LAN通信情報端末70との通信のために用いる。無線LAN通信によれば、一般にアドホック無線通信よりも大量のデータを短時間で送受信することが可能である。また、例えばWi-Fi(登録商標)通信のように、一般に市販されている携帯電話機(特に、スマートフォン)などの携帯端末やパーソナルコンピュータ(パソコン)で採用されている通信形式を採用すれば、放射線モニタリングシステム100を実現させる際に専用の情報端末を用意する必要がなくなり、便宜である。なお、通式形式に関しては、スマートフォンやパソコンに外部接続して使用可能な通信用デバイスに広く採用されている通信形式を採用する構成としてもよい。また、本例においては、Wi-Fi通信を採用するため、各通信端末間の通信可能距離は、一般に数十メートルとなる。
【0057】
また、「広域無線通信機能」は、データ管理サーバ60との通信のために用いる。インターネット回線や衛星通信回線を利用する広域無線通信によれば、大量のデータを短時間に長距離間で送受信することが可能である。本例においては、携帯電話回線を介したインターネット通信回線を利用するものとする。
【0058】
なお、携帯電話回線やインターネット回線等の、外部の通信インフラを利用する場合、大規模な災害や事故が生じた場合に、その通信インフラが故障して不通になったり、多数の利用者からのアクセスが集中して通信に遅延が生じたりする可能性があるといった問題がある。そのため、放射線モニタリングシステムの導入の際には、通信インフラの設置位置や設置数にも注意することが好ましい。
【0059】
また、管理サーバ10Aには、コストや消費電力の制約が少ないため、複数の無線通信端末31〜34それぞれに搭載されているマイクロコンピュータよりも格段に高性能なマイクロコンピュータが搭載され、数十メガバイトのRAMと数ギガバイトの記憶装置(例えばSDメモリ)が搭載されている。これらの記憶媒体が計測データDB18や、後述するアドレスDB15Bなどとして用いられる。
【0060】
また、管理サーバ10Aには、アドホック無線ネットワーク全体の基準となるリアルタイムクロック(RTC)が搭載されている。
【0061】
ネットワーク管理ユニット10が含む電池Bは、複数の計測ユニット21〜24それぞれに付加するものよりも蓄電量が多いものであることが好ましい。ネットワーク管理ユニット10は、一般に、計測ユニットよりもデータ通信量やデータ処理量が多く、消費電力が大きいからである。
【0062】
なお、ネットワーク管理ユニット10に、自然エネルギ発電装置を付加する構成としてもよい。自然エネルギ発電装置は、太陽光発電装置、風力発電装置、振動発電装置等を適宜使用することが可能であるが、ネットワーク管理ユニット10を、外部電源から電気供給を受けることなく駆動できる程度の発電能力を有することが好ましい。そのため、特に、太陽光発電装置が比較的安価で発電能力が高いため好ましい。
【0063】
ネットワーク管理ユニット10が、電池Bや自然エネルギ発電装置を含む構成とすることで、外部電源を使用することなく、長時間に亘って各種データを採って送受信することができるようになる。
【0064】
中継ユニット40は、アドホック無線通信端末と蓄電池とを含む(図示せず。)。なお、他の無線通信システム50の構成要素と同様に、中継ユニット40に自然エネルギ発電装置を付加する構成としてもよい。
【0065】
本例においては、中継ユニット40は、複数の計測ユニット21〜24それぞれとネットワーク管理ユニット10との間において、通信距離不足を補い、また、遮蔽物等によって通信電波が届き難い場合に遮蔽物等を迂回して通信ルートを確保するために使用される。
【0066】
データ管理サーバ60は、ネットワーク管理ユニット10との広域無線通信により、各種計測データを入手し、入手した計測データの処理や分析を行い、自己が備える記憶装置の記憶領域に記憶する処理等を実行する。本例においては、データ管理サーバ60は、例えば、ネットワーク管理ユニット10との通信により、ネットワーク管理ユニット10の計測データDB18に記憶された計測データの分析を行い、放射性物質拡散予測マップを作成し、作成した放射性物質拡散予測マップを示す情報を分析結果情報として所定期間所定の記憶領域に保存しておく処理等を実行する。
【0067】
なお、データ管理サーバ60による計測データの分析は、データ管理サーバ60の記憶装置に記憶された分析プログラムに従ってデータ管理サーバ60が単独で実行する構成としてもよいし、例えばデータ管理サーバ60の管理者などにより行われる構成としてもよい。また、データ管理サーバ60の管理者による操作に従って、データ管理サーバ60がネットワーク管理ユニット10に対して各種指示(例えば、計測データの送信指示等)を与えることができる構成としてもよい。
【0068】
データ管理サーバ60とネットワーク管理ユニット10との間の通信は、一般に普及している通信インフラである、3Gまたは4G無線通信を介したインターネット通信システムや衛星通信システムを採用することができる。これにより、大量の情報を短時間で送受信することができるようになる。
【0069】
無線LAN通信情報端末70は、ネットワーク管理ユニット10との無線LAN通信に使用する機器であり、ネットワーク管理サーバ10Aの計測データDB18にアクセスして、計測データDB18に記憶されている放射線量等のデータ(計測データ)を直接確認することができ、また、ネットワーク管理ユニット10に指示を与えることができる。
【0070】
したがって、大規模な災害や事故等により広域無線通信が不可能となり、放射線量等のデータをデータ管理サーバ60から入手できなくなったような場合でも、ネットワーク管理ユニット10から必要な計測データを適宜に入手することができるため、周辺地域の安全対策に資することができるようになる。また、Wi-Fi通信のように、一般に広く普及している通信形式を採用すれば、情報端末として、一般に市販されているスマートフォンやパソコンを使用することができるので、便宜である。
【0071】
なお、本例においては、無線LAN通信情報端末70は、計測データDB18に記憶されたデータを、自己が備える表示装置の表示画面に表示する処理等を実行する。また、無線LAN通信情報端末70は、データ管理サーバ60にて、計測データの分析結果を示す分析結果情報が作成されている場合に、ネットワーク管理ユニット10を介して(ネットワーク管理ユニット10に分析結果情報が記憶されている場合には、ネットワーク管理ユニット10から)分析結果情報を取得し、取得した分析結果情報を自己が備える表示装置の表示画面に表示する処理等を実行する。
【0072】
なお、放射線モニタリングシステム100においては、無線LAN通信端末70が、通信ネットワーク80を介して直接データ管理サーバ60へアクセスし、放射性物質拡散マップ等を示す分析結果情報を取得することが可能な構成とされることが好ましい。分析結果情報の取得経路を複数設けておくことにより、通信環境に何らかの障害が発生した場合の適応性を向上させることができるようになる。
【0073】
次に、本例の放射線モニタリングシステム100の動作について説明する。
【0074】
図4は、放射線モニタリングシステム100におけるネットワーク管理ユニット10(より具体的には、ネットワーク管理ユニット10が備える管理サーバ10A)と計測ユニット21〜24とが実行する放射線量計測処理の例を示すフローチャートである。放射線量計測処理では、計測ユニット21〜24における放射線量の計測と、計測結果に応じた処理とが実行される。なお、本発明に特に関係しない処理については、その内容を省略している場合がある。また、以下、計測ユニット21を例にして説明を行う。
【0075】
放射線量計測処理は、ネットワーク管理ユニット10(または、管理サーバ10A)に電源が投入されたときに開始される。
【0076】
放射線量計測処理において、ネットワーク管理ユニット10の(より具体的には、管理サーバ10Aの。以下同じ。)計測データ送信指示部13は、計測ユニット21(本例においては、計測ユニット21の無線通信端末31)に対して計測設定情報を送信する(ステップS101)。本例においては、計測データ送信指示部13は、予めスケジュールDB19に計測ユニット21に対応する計測設定情報として記憶されていた計測設定情報を送信する。
【0077】
計測ユニット21は、計測設定情報を受信すると、受信した計測設定情報に従って放射線量等の計測を開始する(ステップS102)。なお、計測ユニット21は、受信した計測設定情報を、所定の記憶装置の記憶領域に保存する。
【0078】
計測を開始すると、計測ユニット21は、計測設定情報が示す計測データ送信時間(例えば、計測開始から5分または最後に計測データを送信してから5分。)が経過したか否かを判定する(ステップS103)。ここで、計測データ送信時間が経過していないと判定すると(ステップS103のN)、計測ユニット21は、ステップS102の処理に移行する。
【0079】
一方、計測データ送信時間が経過したと判定すると(ステップS103のY)、計測ユニット21は、無線通信端末31により、放射線センサや風量計などが計測したデータ(計測データ)をネットワーク管理ユニット10に送信する(ステップS104)。
【0080】
ネットワーク管理ユニット10のデータ登録部12は、計測データを受信すると、受信した計測データを計測データDB18に登録する(ステップS105)。
【0081】
計測データが登録されると、ネットワーク管理ユニット10の放射線量判定部15は、計測データが示す放射線量が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS106)。ここで、計測データが示す放射線量が所定の閾値以上でないと判定されると(ステップS106のN)、ネットワーク管理ユニット10は、ステップS105の処理に移行する。
【0082】
一方、計測データが示す放射線量が所定の閾値以上であると判定されると(ステップS106のY)、ネットワーク管理ユニット10の更新対象選択部17は、複数の計測ユニット21〜24の中から、対応付けされた計測設定情報を更新する計測ユニットを選択する(ステップS107)。本例においては、更新対象選択部17は、放射線量が所定の閾値以上であると判定された計測データを取得した計測ユニット21と、計測ユニット21に対して所定の条件(例えば、計測ユニット21からアドホック無線通信で1ホップ以内である等)を満たす計測ユニットとを選択する。以下、所定の条件を満たす計測ユニットとして計測ユニット22が選択された場合を例にして説明を行う。
【0083】
なお、計測設定条件を更新する計測ユニットの条件として(すなわち、更新対象を選択するために予め定められたルールとして)、例えば、所定の閾値以上の放射線量を検知した計測ユニット21から2ホップまたはそれ以上離れた場所に設置された計測ユニットであることが定められている構成としてもよい。
【0084】
計測ユニット21,22が選択されると、ネットワーク管理ユニット10の計測設定情報更新部16は、スケジュールDB19に登録された計測設定情報のうち、選択された計測ユニット21,22に対応付けされた計測設定情報を、放射線量の計測頻度を上げるように更新(例えば、平常時は10分間隔で計測するようにしているが、60秒間隔で計測するように更新)する(ステップS108)。
【0085】
計測設定情報が更新されると、ネットワーク管理ユニット10のデータ送受信部11は、更新後の計測設定情報を、更新対象選択部17によって選択された計測ユニット21,22に送信して(ステップS109)、ここでの処理を終了する。なお、本例においては、計測設定情報を更新したことに応じて、ネットワーク管理ユニット10は、計測データが示す放射線量に応じて予め設定された処理(例えば、所定の閾値以上の放射線量が検知された場所を示す位置情報を含む警告情報を作成し、放射線モニタリングシステム100の管理者が所持する携帯端末へ送信する処理など)を実行する。
【0086】
計測ユニット21は(図示しないが、選択された計測ユニット22も)、計測設定情報を受信すると、受信した計測設定情報を所定の記憶領域に保存して(ステップS110)、ステップS102の処理に移行する。なお、計測ユニット21が、既に保存していた計測設定情報に受信した計測設定情報を上書きする構成としてもよいし、更新前の計測設定情報を残しておく構成としてもよい。更新前の計測設定情報をネットワーク管理ユニット10と計測ユニット21の少なくとも一方に残しておく構成とすることにより、例えば、計測設定情報が頻繁に遷移する位置にはより高性能な計測ユニットを配置するなど、計測設定情報の遷移履歴を有効に利用することができるようになる。
【0087】
なお、計測設定情報が頻繁に更新されることを防止するために、例えば、ネットワーク管理ユニット10の計測設定情報更新部16が、ある計測ユニットに対応する計測設定情報を更新した場合、更新した計測設定情報に関しては一定期間だけ新たな更新を行わない構成としてもよい。
【0088】
次に、放射線モニタリングシステム100におけるネットワーク管理ユニット10の管理サーバ10Aと無線LAN通信情報端末70(以下、適宜、「情報端末70」という。)とが実行する計測データ表示処理について説明する。なお、本発明に特に関係しない処理については、その内容を省略している場合がある。
【0089】
図5は、計測データ表示処理の例を示すフローチャートである。計測データ表示処理は、例えば、情報端末70が、情報端末70のユーザによる計測データの表示要求を受け付けたことにより開始される。
【0090】
計測データ表示処理において、先ず、情報端末70は、ネットワーク管理ユニット10にアクセスする(ステップS201)。
【0091】
ネットワーク管理ユニット10は、情報端末70からのアクセスを受け付けると、情報端末70が計測データを要求しているか否かを判定する(ステップS202)。ここで、計測データを要求していると判定すると(ステップS202のY)、ネットワーク管理ユニット10は、要求内容に応じた計測データを計測データDB18から読み出して、情報端末70に送信し(ステップS203)、ここでの処理を終了する。なお、このとき、ネットワーク管理ユニット10が、管理サーバ10Aの計測データ送信指示部13により、要求内容に応じた計測データを送信する旨を計測ユニット21〜24に指示する構成としても良い。
【0092】
情報端末70は、計測データを受信すると、受信した計測データを含む表示画面(計測データ表示画面)を、自己が備える表示装置の表示画面に表示する(ステップS204)。
【0093】
また、本例においては、情報端末70は、例えば、情報端末70のユーザによる操作入力に応じて、表示した計測データに対応する分析結果情報を含む表示画面(分析結果情報表示画面)を自己が備える表示装置の表示画面に表示して(ステップS205)、ここでの処理を終了する。
【0094】
一方、ステップS202の処理において、情報端末70からのアクセスが計測データを要求していないと判定すると(ステップS202のN)、ネットワーク管理ユニット10は、アクセス内容に応じたその他の処理(例えば、ユーザ登録など。)を開始して(ステップS206)、ここでの処理を終了する。
【0095】
以上に説明したように、上述した一実施の形態では、放射線量を計測する複数の計測ユニット21〜24と、計測ユニット21〜24との通信ネットワーク(例えば、計測ユニット21〜24、データ管理サーバ60、及び無線LAN通信情報端末70を含む通信ネットワーク。すなわち、計測ユニット21〜24に係る通信ネットワーク。)を管理するネットワーク管理ユニット10とを備えた放射線モニタリングシステム100において、計測ユニット21〜24が、放射線量の計測頻度や計測データの送信頻度を示す計測設定情報に従って放射線量を計測し、計測した計測データをネットワーク管理ユニット10に送信し、ネットワーク管理ユニット10が、計測ユニット21〜24により計測された計測データを記憶する計測データDB18を備え、計測ユニット21〜24により送信された計測データを受信し、受信した計測データを計測データDB18に登録し、計測データの表示や分析が可能な情報処理装置(例えば、データ管理サーバ60や無線LAN通信情報端末70)に対して、計測データDB18に記憶された計測データを無線通信により提供(例えば、計測データを送信)し、計測ユニット21〜24とネットワーク管理ユニット10の少なくとも一部(または、計測ユニット21〜24とネットワーク管理ユニット10の全部)が電池により駆動可能な構成としているので、計測ユニットの設置が容易で、緊急時に自立駆動可能な放射線モニタリングシステムを提供することができるようになる。
【0096】
すなわち、例えば原子力発電所等の放射性物質を取り扱う施設の敷地内及び周辺地域において、環境放射線量をモニタリングするために放射線センサを備えた計測ユニットを設置する際に、配線工事や特別な設定処理を行う必要がなくなるため、計測ユニットの設置が容易となる。また、放射線モニタリングシステムを構成する各ユニットに、電池駆動が可能な装置を用いることにより、停電が起きた際にも自立駆動が可能な放射線モニタリングシステムを実現することができるようになる。
【0097】
また、災害や事故により外部からの電力供給が途絶え、かつ携帯・固定電話回線やインターネット回線等の外部の情報インフラが使用不能になった場合でも、複数の測定地点における環境放射線量等のデータを採り続けることができ、さらに採取したデータを情報端末(例えば、パソコンやスマートフォンといった一般的な情報端末)に送信することができる、緊急時に自立駆動可能な放射線モニタリングシステムを提供することができるようになる。
【0098】
また、計測ユニットが電池(または、必要に応じて、蓄電池)を含む構成とすることにより、外部電源を使用することなく、長期間に亘って各種データを採って送受信することができるようになる。
【0099】
なお、上述した一実施の形態では特に言及していないが、放射線モニタリングシステム100を構成する各ユニットが、通常時(すなわち、電気の供給が正常に行われているとき)には、電池ではなく供給される電力により駆動する構成としてもよい。
【0100】
また、上述した一実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10が、複数の計測ユニット21〜24それぞれに対応付けされた計測設定情報を管理し、管理する計測設定情報をそれぞれ対応する計測ユニット(例えば、計測ユニット21)に送信し、計測ユニットが、送信された計測設定情報を受信し、受信した計測設定情報を所定の記憶装置の記憶領域に保存し、保存した計測設定情報に従って放射線量を計測する構成としているので、ネットワーク管理ユニット10にて放射線量をモニタリングする環境(例えば、計測頻度)を一元管理することができるようになる。
【0101】
また、上述した一実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10が、受信した計測データが示す放射線量が所定の閾値以上か判定し(例えば、ステップS106)、放射線量が所定の閾値以上と判定した場合に、放射線量の計測頻度を上げるように、管理している計測設定情報を更新し、計測設定情報を更新したことに応じて、更新した計測設定情報に対応する計測ユニット(例えば、計測ユニット21)に更新後の計測設定情報を送信する構成としているので、高い放射線量を検出した場合には、その地点の監視を自動的に(すなわち、例えば放射線モニタリングシステムの管理者による操作を必要としないで)強化することができるようになる。
【0102】
また、上述した一実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10が、放射線量が所定の閾値以上と判定した場合に、予め定められたルールに従って、対応付けされた計測設定情報を更新する計測ユニットを選択し、選択した計測ユニット(例えば、計測ユニット21と計測ユニット22)に対応付けされた計測設定情報を更新する構成としているので、高い放射線量を検出した地点だけでなく、その周辺の監視を自動的に強化することができるようになる。
【0103】
すなわち、ネットワーク管理ユニットが放射線(放射能)強度の計測値によって、計測周期を自動調整する機能を搭載する構成とし、アドホック無線通信機能を利用して、高い放射線量を計測した計測ユニットが位置する計測点だけでなく近隣の他の計測点の情報を加味する構成としているため、風向・風速が急に変化した場合などにおける急激な放射線(放射能)レベルの変化に追従できるようになる。
【0104】
なお、1つの計測ユニット21において所定の閾値以上の放射線量を計測した場合に、無線通信システム50を構成する他の全ての計測ユニット22〜24の計測頻度を上げると、無駄な電気の消費を生ずる可能性がある。したがって、ある計測ユニットが高い放射線量を計測したことに応じて選択される他の計測ユニット(すなわち、計測設定情報の更新対象)の選択条件は、例えば、高い放射線量を検出した計測ユニットから、予め定義されたホップ数、例えば1ホップ数或いは2ホップ又はそれ以上に離れた場所に設置された計測ユニットであることとするなど、放射線量の計測頻度を上げることが有効であると考えられる計測ユニットの計測頻度のみを上げるように設定することが好ましい。このような構成とすることにより、高い放射線量を検出した計測ユニットの設置場所から、放射性物質が移動或いは拡散する状況を把握することができるようになるとともに、無駄な電力消費を抑制することができるようになる。
【0105】
また、上述した一実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10が、無線LANにより情報処理装置(例えば、無線LAN通信情報端末70)との通信を行う構成としているので、災害などにより情報インフラが機能しない状況においても、計測データの提供を行うことができるようになる。
【0106】
また、上述した一実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10が、アドホック無線通信により情報処理装置(例えば、無線LAN通信情報端末70)との通信を行う構成としているので、情報インフラが機能しなくなった場合にも、計測データの提供を有効に継続することができるようになる。
【0107】
また、上述した一実施の形態では、情報処理装置が、各種データを管理するデータ管理サーバ60を含み(すなわち、ネットワーク管理ユニットと通信可能な情報処理装置として、データ管理サーバ60を含み)、データ管理サーバ60が、ネットワーク管理ユニット10の計測データDB18に記憶された計測データの分析を行ない、分析結果を示す分析結果情報を所定の記憶領域に登録する構成としているので、計測データを有効に利用することができるようになる。また、ネットワーク管理ユニット10が電池で駆動する場合に、計測データの分析をデータ管理サーバ60に実行させる構成とすることにより、ネットワーク管理ユニット10の電力消費を抑制することができるようになる。
【0108】
また、上述した一実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10が、広域無線通信回線を介したインターネット通信によりデータ管理サーバ60と通信する構成としているので、情報の通信効率を高めることができるようになる。
【0109】
また、上述した一実施の形態では、情報処理装置が、電池駆動式の情報端末(例えば、無線LAN通信情報端末70)を含み(すなわち、ネットワーク管理ユニット10と通信可能な情報処理装置として、無線LAN通信情報端末70を含み)、情報端末が、ネットワーク管理ユニット10により提供された計測データを表示装置の表示画面に表示する構成としているので、情報端末により計測データの内容を確認することができるようになり、災害時の安全対策に資することができるようになる。
【0110】
なお、上述した一実施の形態では、放射線量の判定などをネットワーク管理ユニット10が実行する場合について説明したが、ネットワーク管理ユニット10が実行する放射線量の判定処理(例えば、ステップS106)や更新対象の選択処理(例えば、ステップS107)を計測ユニット21〜24それぞれが実行する構成としてもよい。ただし、計測ユニットの構成で優先すべきは電力消費量の抑制であるため、計測ユニットには限られた能力を与えることが好ましく、複雑なロジックを入れることは推奨されない。また、分散した複数の計測ユニットに判断ロジックを分散させるとその更新が難しくなる。また、計測ユニット側に判断機能を持たせると、ネットワーク管理ユニットとの通信が多く発生するため、電力消費量が増加するという問題がある。上述した一実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10が、閾値を用いた簡単な方法で更新要求の作成判定を行う構成としているので、ネットワーク管理ユニット10に複雑な判断機能を搭載することを回避することができ、電力消費を抑えることができるようになる。
【0111】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10が、ネットワーク管理ユニット10と、複数の計測ユニット21〜24と、中継ユニット40とにより構成される無線通信システム50におけるアドレス管理を行うことができる。すなわち、第1の実施の形態とは、ネットワーク管理ユニット10がネットワークの状況に応じてアドレス管理テーブルを更新するための処理を実行する点で異なる。
【0112】
なお、以下に述べる第2の実施の形態については、上述した第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。したがって、第1の実施の形態と同様の構成部分は同じ符号を付してその説明は省略し、特に説明しない限り同じであるものとする。なお、ここでいう構成部分には、上述した放射線モニタリングシステムの動作も含み、第1の実施の形態の例において説明した処理については説明を省略している場合がある。
【0113】
図6は、第2の実施の形態におけるネットワーク管理ユニット10の構成の例を示すブロック図である。
図6に示すように、本例においてネットワーク管理ユニット10は、計測ユニットネットワーク管理サーバ10Aにアドレス管理部(アドレス確認部11B、アドレス送信要求部12B、テーブル更新部13B、アドレス群追加登録部14B、及びアドレスDB15B)が追加された計測ユニットネットワーク管理サーバ10B(以下、管理サーバ10Bという。)と、電池Bとを含む。なお、管理サーバ10Bを含むネットワーク管理ユニット10は、第1の実施の形態についての説明にて例示した放射線モニタリングシステム100に含まれる。
【0114】
アドレス確認部11Bは、アドレス確認のための判定処理等を実行する。アドレス送信要求部12Bは、計測ユニット21〜24(具体的には、各無線通信端末31〜34)に対してアドレスの送信を要求するための処理等を実行する。テーブル更新部13Bは、後述するアドレス管理テーブルの登録情報を更新する処理等を実行する。アドレス群追加登録部14Bは、アドレス管理テーブルにアドレス群を追加登録する処理等を実行する。アドレスDB15Bは、アドレス管理テーブルを記憶する記憶媒体である。
【0115】
次に、本例のアドホック無線ネットワークにおけるネットワーク管理方式について説明する。
【0116】
図7は、管理サーバ10Bが備えるアドレスDB15Bに記憶されているアドレス管理テーブルの例を示す説明図である。
図7に示すように、アドレス管理テーブルには、管理サーバ10B及び各無線通信端末31〜34それぞれについて、割り当てられている論理アドレス、ネットワークアドレス、及びMACアドレスが対応付けされて格納されている。
【0117】
「論理アドレス」は、本システムのシステム管理者によって任意に設定可能なアドレスである。本例では、0〜9999の論理アドレスが用いられるものとし、管理サーバ10Bに9999の論理アドレスが割り当てられ、各無線通信端末31〜34にそれぞれ0〜9998のうちの1つが論理アドレスとして割り当てられるものとする。
【0118】
「ネットワークアドレス」は、管理サーバ10Bに搭載されているコーディネータにより該当ネットワークにおいて一意かつ動的に割り当てられる16bit長のアドレスである。この「ネットワークアドレス」は、アドホック無線ネットワークに加入する度に変更される。「MACアドレス」は、デバイス製造時に一意に割り当てられ、固定的に使用される64bit長のアドレスである。
【0119】
本例では、ネットワークアドレス及びMACアドレスの他に、0〜9999の論理アドレスを割り当てることとし、この3つのアドレスを用いてネットワーク管理を行うものとする。本例では、管理サーバ10B上で動作するアプリケーションプログラムは、各無線通信端末31〜34を論理アドレスで指定するように設計されているものとする。
【0120】
各無線通信端末31〜34から管理サーバ10Bへの通信データ(パケットデータ)には、送信元の無線通信端末に割り当てられた複数のアドレスのうちネットワークアドレスのみが含まれている。このため、管理サーバ10Bは、各無線通信端末31〜34からのデータを受信すると、アドレス管理テーブルを参照し、受信データに含まれているネットワークアドレスに対応付けされている論理アドレスを送信元の無線通信端末の論理アドレスとして特定する。すなわち、ネットワーク管理サーバ40は、送信元の無線通信端末のネットワークアドレスを論理アドレスに変換し、各種のアプリケーションプログラムを実行する。
【0121】
管理サーバ10Bから各無線通信端末31〜34にデータ(パケットデータ)を送信する際には、送信先の無線通信端末に割り当てられている複数のアドレスのうちネットワークアドレスを指定する必要がある。よって、管理サーバ10Bは、アドレスDB15Bに記憶されたアドレス管理テーブルを参照し、送信先とする無線通信端末の論理アドレスに対応付けされているネットワークアドレスを送信先の無線通信端末のネットワークアドレスとして特定する。すなわち、管理サーバ10Bは、送信先とする無線通信端末の論理アドレスをネットワークアドレスに変換し、そのネットワークアドレスを指定してデータを送信する処理を行う。
【0122】
無線通信端末同士のデータ通信では、送信元の無線通信端末は送信先の無線通信端末のネットワークアドレスとMACアドレスを特定する必要がある。
【0123】
本例のアドホック無線ネットワーク(ZigBee無線ネットワーク)では、ネットワークの状態により、個々のノードに割り当てられたネットワークアドレスが変化することがある。この場合、新しく付与されたネットワークアドレスはアドレス管理テーブルに登録されていない。このため、論理アドレスを特定することができなくなるが、本例の管理サーバ10B、そのような場合にアドレス管理テーブルを再構築する機能を有している。この機能については後で詳しく説明する。
【0124】
次に、本例の放射線モニタリングシステム100の動作について説明する。
【0125】
図8は、放射線モニタリングシステム100におけるネットワーク管理ユニット10の管理サーバ10Bが実行するネットワーク管理処理の例を示すフローチャートである。ネットワーク管理処理では、ネットワークの状況に応じてアドレス管理テーブルを更新するための処理が実行される。なお、本発明に特に関係しない処理については、その内容を省略している場合がある。ネットワーク管理処理は、例えば管理サーバ10Bに電源が投入されたときに開始される。
【0126】
ネットワーク管理処理において、管理サーバ10Bのアドレス送信要求部12Bは、電源が投入されたあと起動が完了すると(ステップS301のY)、全ての無線通信端末31〜34に対してブロードキャストによるアドレス送信要求を行う(ステップS302)。
【0127】
無線通信端末31〜34は、それぞれ、管理サーバ10Bからの要求に応じて、自己のアドレス(論理アドレス、ネットワークアドレス、及びMACアドレス)を管理サーバ10Bに対して送信する。
【0128】
管理サーバ10Bのデータ送受信部11は、各無線通信端末31〜34からのアドレスを受信する(ステップS303)。各無線通信端末31〜34からのアドレスを受信すると、管理サーバ10Bのテーブル更新部13Bは、アドレス管理テーブルに受信した各無線通信端末31〜34のアドレスを登録することによって、アドレス管理テーブルを更新する(ステップS304)。なお、受信したアドレスに新たなアドレスが含まれる場合、管理サーバ10Bは、アドレス群追加登録部14Bにより、アドレス管理テーブルにアドレスを追加登録する。
【0129】
その後、管理サーバ10Bは、アドレス管理テーブルを更新したときからあらかじめ定められた所定期間(例えば1分、5分など)が経過したか否かを判定する(ステップS305)。ここで、アドレス管理テーブルの更新後所定期間が経過したと判定すると(ステップS305のY)、管理サーバ10Bは、ステップS302の処理に移行して、アドレス管理テーブルを再構築するための処理を実行する(ステップS302〜S304)。
【0130】
一方、アドレス管理テーブルを更新したあと所定期間が経過していないと判定すると(ステップS305のN)、管理サーバ10Bは、故障等の原因により交換され排除された計測ユニット(被交換計測ユニット:具体的には無線通信端末)と同一の論理アドレスを持つ計測ユニット(交換計測ユニット:具体的には無線通信端末)からのアドレス(論理アドレス、ネットワークアドレス、及びMACアドレス)を受信したか否か確認する(ステップS306a)。ここで、交換計測ユニットからのアドレスを受信していないことを確認すると(ステップS306aのN)、管理サーバ10Bは、後述するステップS306bの処理に移行する。
【0131】
一方、交換計測ユニットからのアドレスを受信したことを確認すると(すなわち、アドレスを受信すると)(ステップS306aのY)、管理サーバ10Bのテーブル更新部13Bは、アドレス管理テーブル中の同一の論理アドレスを含む被交換計測ユニットのアドレス群を新たに受信した交換計測ユニットのアドレス群で上書きすることによって、アドレス管理テーブルを更新する(ステップS307a)。なお、ステップS306aの処理では、管理サーバ10Bは、アドレス管理テーブルを参照し、受信したアドレス群における論理アドレスと同一の論理アドレスが既に登録されているか否か確認し、既に登録されている場合に、被交換計測ユニットと同一の論理アドレスを持つ交換計測ユニットからのアドレス群を受信したものと判定する。
【0132】
また、本例では、計測ユニットが故障した場合等において、故障した計測ユニットが同一の論理アドレスを持つ新しい計測ユニットに交換された場合(例えば交換後電源が投入されたとき)、交換された新しい計測ユニット(交換計測ユニット)は、自己に割り当てられている複数のアドレス(論理アドレス、ネットワークアドレス、及びMACアドレス)を管理サーバ10Bに送信する機能を有している。
【0133】
次に、管理サーバ10Bは、新規に参加した計測ユニット(具体的には無線通信端末)からのアドレス(論理アドレス、ネットワークアドレス、及びMACアドレス)を受信したか否か確認する(ステップS306b)。ここで、新規に参加した計測ユニットからのアドレスを受信していないことを確認すると(ステップS306bのN)、管理サーバ10Bは、後述するステップS308の処理に移行する。
【0134】
一方、新規に参加した計測ユニットからのアドレスを受信したことを確認すると(ステップS306bのY)、管理サーバ10Bのテーブル更新部13Bは、受信したアドレスを新規に加わった無線通信端末のアドレスとして追加登録することによって、アドレス管理テーブルを更新する(ステップS307b)。なお、ステップS306bの処理では、管理サーバ10Bは、アドレス管理テーブルを参照し、例えば、受信したアドレス群における論理アドレスと同一の論理アドレスが既に登録されているか否か確認し、登録されていない場合に、新規に参加した計測ユニットからのアドレス群を受信したものと判定する。
【0135】
また、本例では、無線通信端末は、新規に参加するとき(例えば電源が投入されたとき)に、自己に割り当てられている複数のアドレス(論理アドレス、ネットワークアドレス、及びMACアドレス)を管理サーバ10Bに送信する機能を有している。
【0136】
アドレス管理テーブルを更新すると、管理サーバ10Bは、計測ユニットから計測データを受信したか否かを確認する(ステップS308)。ここで、計測ユニットから計測データを受信していないことを確認すると(ステップS308のN)、管理サーバ10Bは、ステップS305の処理に移行する。
【0137】
一方、計測ユニットから計測データを受信したことを確認すると(すなわち、計測ユニット(具体的には無線通信端末)により送信された計測データを受信すると)(ステップS308のY)、管理サーバ10Bのアドレス確認部11Bは、受信した計測データと共に送信されてきた送信元の無線通信端末のアドレスが正常であるか否か確認する(ステップ3309)。なお、ステップS309の確認は、例えば、送信元の無線通信端末のネットワークアドレスがアドレス管理テーブルに登録されているか否かを確認することによって行われ、登録されていれば正常であると判断され、登録されていなければ異常であると判断される。
【0138】
送信元の無線通信端末のアドレスが異常であった場合には(ステップS309のN)、管理サーバ10Bは、ステップS302に移行してアドレス管理テーブルを再構築するための処理を実行する(ステップS302〜S304)。すなわち、管理サーバ10Bは、アドレス異常を検知した場合には、アドレス管理テーブルの設定内容の信頼性がないと判断し、アドレス管理テーブルを再構築するための処理を実行する。
【0139】
一方、送信元の無線通信端末のアドレスが正常であった場合には(ステップS309のY)、管理サーバ10Bは、受信した計測データを自己が備えるメモリに保存する処理を行う(ステップS310)。本例においては、管理サーバ10Bのデータ登録部12が、受信した計測データを計測データDB18に登録する。
【0140】
上記のようにして、管理サーバ10Bの起動時、送信元の無線通信端末のアドレス異常検出時、交換された新たな無線通信端末からのアドレス(アドレス群)受信時、新規参加の無線通信端末からのアドレス(アドレス群)受信時に、アドレス管理テーブルを更新するための処理が実行される。なお、ステップS306a〜S306bの処理と、ステップS307a〜S307bの処理との順番は逆であってもよい。
【0141】
なお、上記の例において、管理サーバ10Bが各無線通信端末に対してデータを送信した際に、古いネットワークアドレスを指定するなどした場合には、管理サーバ10Bは、データが送信先に到達しないというエラーを認識することが可能となるため、そのようなエラーを認識したときに、アドレス管理テーブルを再構築するための処理を実行する(ステップS302〜S304参照)ようにしてもよい。
【0142】
以上に説明したように、上述した第2の実施の形態では、計測ユニット21〜24が、アドホック無線ネットワークを自動的に構築し、ネットワーク管理ユニット10(または、管理サーバ10B)が、計測ユニット21〜24により構築されたアドホック無線ネットワークにおいて、計測ユニットを有する分散ノード(例えば計測ユニット21〜24、無線通信端末31〜34)にそれぞれ割り当てられている論理アドレス、ネットワークアドレス、及びMACアドレスのアドレス群が登録されるアドレス管理テーブル(
図7参照)が記憶されたアドレスDB15Bを備え、分散ノードから自己に割り当てられているアドレス群のうち少なくともネットワークアドレスを含むアドレスを提示したデータを受信したときに、アドレス管理テーブルを参照して、提示されたアドレスが正常であるか否か確認し、提示されたアドレスが正常でないと判定したことに応じて、全ての分散ノードに対してアドレス送信要求を行い、アドレス送信要求に応じて送信されてきた各分散ノードのアドレスをアドレス管理テーブルに登録してそのアドレス管理テーブルを更新する構成としたので、アプリケーションレベルにおける処理効率を向上させることが可能なアドレス管理を行うことができるようになる。
【0143】
すなわち、従来のアドホック無線通信ネットワークでは、分散ノードに自動的に割り当てられるネットワークアドレスによりアドレス管理を行うようにしているため、アプリケーションレベルでの処理負荷が大きくなるという問題があった。これに対して、上述した第2の実施の形態では、分散ノードから提示されたアドレスが正常でないと判定されたことに応じて、全ての分散ノードに対してアドレス送信要求を行い、アドレス送信要求に応じて送信されてきた各分散ノードのアドレスをアドレス管理テーブルに登録してそのアドレス管理テーブルを更新する構成としたので、信頼性を失ったアドレス管理テーブルを自動的に再構築することが可能となり、信頼度の高い論理アドレスによってアプリケーションレベルにおいて分散ノードを特定することができるようになるため、アプリケーションレベルにおける処理効率を向上させることが可能なアドレス管理を行うことができるようになるのである。
【0144】
よって、災害などによりアドホック無線ネットワークを構築する複数の計測ユニットのうちいずれかが故障し、アドホック無線ネットワークの構成が変化する場合などに、より有効なアドレス管理を行うことができるようになる。
【0145】
また、大規模災害などの発生に対応して放射性物質を取り扱う施設周辺に複数の計測ユニットを新たに設置する場合に、アドホック無線ネットワークを構築する計測ユニット群のアドレス管理に要するアプリケーションレベルの処理効率を向上させることで、計測ユニットの設置に要する負担を軽減させることができるようになる。
【0146】
また、上述した第2の実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10(または、管理サーバ10B)が、提示されたネットワークアドレスがデータ送信元の分散ノードのネットワークアドレスとしてアドレス管理テーブルに登録されているか否かを確認し、登録されていない場合に提示されたアドレスが正常でないと判定する構成としたので、通信障害などによってネットワーク管理ユニット10(すなわち、ネットワークにおける管理ノード)上のコーディネータがネットワークアドレスを振り替えた場合など、ネットワークアドレスが変更された場合に、アドレス管理テーブルの信頼が無くなったことを簡単に検知することができ、アドレス管理テーブルを自動的に再構築することができるようになる。
【0147】
また、上述した第2の実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10(または、管理サーバ10B)が、分散ノードに送信したデータが到達しなかったことを確認した場合にも、全ての分散ノードに対してアドレス送信要求を行う構成としているので、アドレス管理テーブルの信頼が無くなったことを簡単に検知することができ、アドレス管理テーブルを自動的に再構築することができるようになる。
【0148】
また、上述した第2の実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10(または、管理サーバ10B)が、アドホック無線ネットワークに新規に参加した分散ノードから自己に割り当てられているアドレス群を受信したことに応じて、受信したアドレス群を送信元の分散ノードのアドレス群としてアドレス管理テーブルに追加登録する構成としているので、新規に参加した分散ノードのアドレス群を簡単にアドレス管理テーブルに反映させることができるようになる。
【0149】
また、上述した第2の実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10(または、管理サーバ10B)が、アドホック無線ネットワークにおいて動作中であった分散ノードと交換されたことにより参加した分散ノードから自己に割り当てられているアドレス群を受信したことに応じて、受信したアドレス群における論理アドレスと同一の論理アドレスを含むアドレス群をその受信したアドレス群で上書きし、アドレス管理テーブルに登録されているアドレス群を更新する構成としているので、分散ノードが交換された場合に、アドレス管理テーブルに登録されている交換により排除された分散ノードのアドレス群を、交換により参加した分散ノードのアドレス群に簡単に更新することができるようになる。
【0150】
また、上述した第2の実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10(または、管理サーバ10B)が、前回のアドレス送信要求を行ったあと所定期間が経過した場合にも、全ての分散ノードに対してアドレス送信要求を行う構成としているので、所定期間が経過する毎に最新の情報を用いて自動的にアドレス管理テーブルを再構築することができるようになる。
【0151】
なお、上述した第1〜第2の実施の形態では特に言及していないが、ネットワーク管理ユニット10が、情報処理装置(例えば、無線LAN通信情報端末70)からの位置情報を含む計測データまたは分析結果情報の提供要求(例えば、GPS情報付の予測情報問合せメール)を受け付け、受け付けた提供要求に対して位置情報が示す地点の計測データまたは分析結果情報(例えば、放射線(能)強度、放射性物質の拡散、落下予測情報など)を提供する(例えば、返信メールとして自動応答する)構成としてもよい。
【0152】
なお、上述した第1〜第2の実施の形態では特に言及していないが、ネットワーク管理ユニット10が計測ユニット21〜24(すなわち、放射線計測器)から計測データを取得する方法として、多くの放射線機器が搭載している計測値に比例したアナログ電圧出力を読み取る方法を採用する構成としてもよい。ただし、放射線計測器の機種によっては、電圧出力レンジが0〜10mV、0〜100mV、0〜2Vのように区々であるため、1倍、30倍、300倍に設定可能な可変ゲインアンプを搭載し、電圧出力レンジに依らず高精度な読み取りを可能とすることが好ましい。このような構成とすることにより、計測ユニット21〜24を構成する放射線機器の機種を統一する必要がなくなるため、計測ユニットの設置に関する制限を緩和することができるようになる。
【0153】
なお、上述した第1〜第2の実施の形態では特に言及していないが、計測ユニット21〜24を構成する放射線計測器の機種によっては、電圧出力が計測値の対数に比例するようになっているものがあるので、計測ユニット21〜24が指数演算を行い、電圧値を計測値に変換する構成としてもよい。
【0154】
なお、上述した第1〜第2の実施の形態では特に言及していないが、放射線計測器の消費電力を低減するため、内臓電池と本体の接続ケーブル中に電子スイッチ(フォトモスリレー)を入れ、計測ユニット21〜24からON/OFF制御ができる構成としてもよい。このような構成とすることにより、内臓電池を利用するため、機種により電池の電圧が変わっても計測ユニット側の調整等が不要となる。また、電源をONしてから計測値が安定するまで、30〜60秒程度必要であるので、計測出力電圧の読み取りはその後実行する構成とすることが好ましい。
【0155】
なお、上述した第1〜第2の実施の形態では特に言及していないが、放射線計測器の機種によっては、ACアダプタ等による外部からの給電が必要な場合もあるため、計測ユニット21〜24に可変電圧式のDC−DCコンバータを搭載し、計測ユニット21〜24の電源(例えば、太陽電池とLi−ion電池)から放射線計測器への給電を可能とする構成としてもよい。
【0156】
なお、上述した第1〜第2の実施の形態では特に言及していないが、計測ユニット21〜24による風向の計測は、毎秒の計測値を16方位に分類し、過去10分間(可変)の出現頻度として記録する方式を採用する構成としてもよい。
【0157】
なお、上述した第1〜第2の実施の形態では特に言及していないが、計測ユニット21〜24それぞれがmicroSDメモリなどの情報記憶媒体を搭載しており、無線通信が不良となった場合でも、計測データが欠落しない構成としてもよい。
【0158】
なお、上述した第1〜第2の実施の形態では特に言及していないが、計測(/中継)ユニットの配置方法として有望なのは、ビルの屋上等、太陽エネルギとアドホック無線通信経路の確保が容易な場所に、比較的消費電力の大きい中継ユニットを配置し、その周囲の地上部に低消費電力モードで動作する計測ユニットを配置する形態である。すなわち、計測/中継ユニットの設置場所は、お互い(すなわち、他の計測/中継ユニット)の見通しが確保でき、日陰の少ない建物の屋上部とすることが好ましい。
【0159】
なお、上述した第1の実施の形態では、計測ユニット21〜2Nが、自己が計測し放射線量が所定の閾値以上であったときに、自己の計測設定情報を更新した後に他の計測ユニットに対する通知を行う場合を例にして説明したが、処理の順番はこれに限定されず、計測ユニット21が、自己の計測設定情報の更新前に(または、更新処理と併せて)他の計測ユニットに対する通知のための処理(例えば、ステップS110)を実行する構成としてもよい。
【0160】
なお、上述した第1〜第2の実施の形態では特に言及していないが、計測設定情報の内容として、計測ユニットの通信方法が含まれる構成としてもよい。そして、計測設定情報更新部16が、例えば、1つの計測ユニットに対応する計測設定情報を、「所定の内容に計測設定情報を変更する旨を示す情報をホップ限定のブロードキャスト通信により送信する」ことを含む内容に更新する構成としてもよい。このような構成とし、ネットワーク管理ユニット10が、所定の閾値以上の放射線量を検知した計測ユニットに対応する計測設定情報を更新する場合に、例えば、更新後の計測設定情報が、更新前よりも高い計測頻度(例えば、更新前よりも短い計測間隔)を示し、かつ、計測頻度を上げるように計測設定情報を変更する旨を示す情報をホップ限定のブロードキャスト通信により送信することを示すように更新する構成とすることにより、他の計測ユニットを選択するための処理(例えば、ステップS107)を省略することができるようになり、選択処理に要する電力の消費を省くことができるようになる。
【0161】
また、上述した第1〜第2の実施の形態では特に言及していないが、放射線モニタリングシステム100が、計測ユニット21〜24、ネットワーク管理ユニット10、及びデータ管理サーバ60がそれぞれ備える記憶装置に、計測データを蓄積する構成とすることにより、計測データの欠損のリスクを低減させることができるようになる。
【0162】
なお、上述した第1〜第2の実施の形態では、ネットワーク管理ユニット10(または、管理サーバ10A,10B)と計測ユニット21〜24は、それぞれ自己が備える記憶媒体に記憶されている制御プログラム(ネットワーク管理プログラムや計測プログラム)に従って、上述した各種の処理を実行する。
【0163】
また、上述した第1〜第2の実施の形態では、計測データを収集して管理する放射線モニタリングシステム100を例に説明したが、本発明の実施の形態はこれに限定されず、無線通信によりデータ通信を行う無線通信システム50を備えるものであればどのようなシステムであってもよい。