(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セミトレーラに前後方向の長さが異なる複数種類のコンテナを選択的に積載可能とするため、セミトレーラのシャシフレームを、トラクタに連結される前側のメインフレームと、車輪によって支持される後側のボギーフレームとに分割し、メインフレームとボギーフレームとをスライド移動可能に連結する場合がある。このような分割タイプのセミトレーラは、シャシフレームが分割されていない一体構造のセミトレーラに比べて剛性が低下することから、積載されるコンテナをセミトレーラに強固に緊締することによって、コンテナを含めた全体としての剛性を確保することが好ましい。また、この点に関し、昇降タイプのツイストロックの中にはコンテナを強固に緊締可能なねじ込み式のツイストロックがあり、分割タイプのセミトレーラにはねじ込み式のツイストロックが適する。
【0006】
一方、上記分割タイプのセミトレーラの中には、コンテナから複数の車軸に入力する軸荷重を好適に配分するために、緊締装置をタイヤの上方に配置しなければならない場合があり、緊締装置をタイヤの上方に配置する場合には、格納位置のツイストロックとタイヤとの干渉を確実に回避する必要がある。
【0007】
しかし、ツイストロックが起立状態を維持したまま格納位置へ下降する昇降タイプでは、格納位置のツイストロックがコンテナ載置面に対して下方へ大きく突出するため、タイヤとの干渉を回避することが難しく、ねじ込み式(昇降タイプ)のツイストロックを設けることができない可能性が生じる。
【0008】
本発明は、上記実状に鑑み、格納されたツイストロックのコンテナ載置面に対する下方への突出量を抑制しつつ、コンテナを強固に緊締することが可能な緊締装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、車体側の支持フレームにコンテナを緊締するための緊締装置であって、ベース体とツイストロックとハンドルとロックカバーとを備える。
【0010】
ベース体は、上面がコンテナ載置面となる上板部と、上板部の下方に区画される収納空間と、上板部に形成されて収納空間を上方へ開放する開口部とを有し、支持フレームの車幅方向の端部に固定的に設けられる。
【0011】
ツイストロックは、ツイストロック本体と係止回転軸部と係止部とを有する。ツイストロック本体は、所定のツイスト回転軸に沿って基端側から先端側へ軸挿通孔が貫通する筒形状である。係止回転軸部は、ツイスト回転軸を中心として回転自在で且つツイスト回転軸に沿ってスライド自在にツイストロック本体に支持された状態で軸挿通孔を挿通する。係止部は、係止回転軸部の一端に固定されてツイストロック本体の先端側で露出する。係止回転軸部の他端側の外周面には、雄ネジ部が形成される。
【0012】
ハンドルは、軸挿通孔よりも大きい外径を有する環形状であり、ハンドルの内周面には、係止回転軸部の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成される。ハンドルは、ツイストロック本体の基端側から突出する係止回転軸部の雄ネジ部に雌ネジ部が螺合することによって、係止回転軸部の他端側に取り付けられる。
【0013】
ロックカバーは、開口部の一部を覆う閉止位置と開放する開放位置との間を移動可能にベース体に支持される。
【0014】
ツイストロックの係止部は、係止回転軸部の回転によって、係合解除位置とこの係合解除位置から所定角度回転した係合位置との間を回転する。
【0015】
ツイストロック本体は、所定の傾動回転軸を中心としてベース体に回転自在に支持され、ツイストロックは、ロックカバーが開放位置に設定され且つ係止部が係合解除位置に設定された状態で、傾動回転軸を中心としてベース体の開口部を通って使用位置と格納位置との間で傾動自在である。ツイストロック本体は、使用位置では略鉛直に起立してベース体のコンテナ載置面から上方へ突出し、格納位置では収納空間で倒伏する。
【0016】
閉止位置に設定されたロックカバーの上面は、ベース体の上板部の上面と略同一面に配置されてコンテナ載置面を構成する。
【0017】
使用位置のツイストロック本体は、閉止位置に設定されたロックカバーによって格納位置への傾動が規制される。
【0018】
ツイストロックが使用位置に設定された状態での係合解除位置の係止部は、積載されるコンテナの隅金具の係合穴に下方から進入し、係止回転軸部がロック方向へ回転することによって、係合解除位置から係合位置へ回転し、係止回転軸部に対してハンドルがロック方向へ回転することによって、ハンドルとの距離が短縮されて隅金具をコンテナ載置面との間で締め付ける。
【0019】
ベース体は、上板部から相対向して下方へ延びる1対の縦板部を有してもよく、収納空間は、上板部と1対の縦板部とによって区画されてもよく、ツイストロック本体は、ベース体の1対の縦板部に回転自在に支持されてもよい。
【0020】
上記構成では、車体側にコンテナを積載して締結する場合、作業者は、ロックカバーを閉止位置から開放位置に設定し、収納空間で倒伏する格納位置のツイストロックを上方へ傾動して使用位置に起立させ、ロックカバーを閉止位置に戻した後、車体側の所定位置にコンテナを積載し、コンテナの隅金具の係止穴にツイストロックを下方から進入させる。これにより、コンテナ(隅金具)がコンテナ載置面上に載置される。係る状態で、作業者は、ハンドルと係止回転軸部との相対回転が起こらないように、ハンドルを持ち上げながらロック方向へ回転し、係止部を係合解除位置から係合位置へ回転させる。係止部が係合位置に設定されると、ハンドルを持ち上げずにロック方向へ回転し、ハンドルを係止回転軸部に対して回転させる。係止回転軸部に対するハンドルのロック方向への回転によって、係止部とハンドルとの距離が短縮されて、隅金具が係止部とコンテナ載置面との間で締め付けられる。
【0021】
このように、隅金具が係止部とコンテナ載置面との間で締め付けられるので、積載されるコンテナをセミトレーラに強固に緊締することができる。従って、シャシフレームがメインフレームとボギーフレームとに分割された分割タイプのセミトレーラであっても、コンテナを含めた全体としての剛性を確保することができる。
【0022】
また、当該緊締装置の緊締対象ではないコンテナの積載時にコンテナとの干渉を回避するため、ツイストロックをコンテナ載置面よりも下方に退避させる場合、作業者は、ロックカバーを閉止位置から開放位置に設定し、使用位置のツイストロックを下方の格納位置へ傾動して収納空間に倒伏させ、ロックカバーを閉止位置に戻す。このように、格納位置のツイストロックは収納空間で倒伏するので、格納されたツイストロックのコンテナ載置面に対する下方への突出量を抑制することができる。従って、緊締装置をタイヤの鉛直上方に配置する場合であっても、格納されたツイストロックとタイヤとの干渉を確実に回避することができる。
【0023】
ツイストロックにおける傾動回転軸の位置は、傾動回転軸を通る鉛直面に対して使用位置側の方が反使用位置側よりも重くなるように設定してもよい。
【0024】
上記構成では、ツイストロックが使用位置に設定され、ロックカバーが閉止位置に設定された状態において、ロックカバーを開放位置に移動させるだけでツイストロックが自重によって格納位置へ傾動するので、ツイストロックの格納作業を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、格納されたツイストロックのコンテナ載置面に対する下方への突出量を抑制しつつ、コンテナを強固に緊締することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、特に説明のない限り左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0028】
図3〜
図6に示すように、本実施形態のセミトレーラ1は、前後の長さが20フィートに設定された20ftコンテナ(小型コンテナ)20と、40フィートに設定された40ftコンテナ(第1の大型コンテナ)25と、45フィートに設定された45ftコンテナ(第2の大型コンテナ)30とを選択的に積載可能な兼用タイプのトレーラであり、トラクタ(図示省略)に連結されて牽引される。
【0029】
これらのコンテナ20,25,30は、ともに箱型タイプであり、各コンテナ20,25,30の後面は、左右に観音開き状に開移動してコンテナ内部を開放する扉(図示省略)によって閉止されている。各コンテナ20,25,30の前下端隅部と後下端隅部とには、前側の隅金具21,26,31と後側の隅金具22,27,32とがそれぞれ固定されている。
【0030】
20ftコンテナ20の前側及び後側の隅金具21,22には、下方へ開口する係合穴(後側の隅金具22の金具底板23に形成された係合穴24のみを
図14及び
図15に図示し、前側の隅金具21の係合穴の図示は省略する)がそれぞれ設けられている。40ftコンテナ25と45ftコンテナ30の前側の隅金具26,31には、前方へ開口する係合穴(図示省略)が設けられ、後側の隅金具27,32には、下方へ開口する係合穴(図示省略)が設けられている。45ftコンテナ30の後方底側の側縁部には、中間位置の隅金具33が固定され、この隅金具33にも後側の隅金具32と同様に下方へ開口する係合穴(図示省略)が設けられている。なお、40ftコンテナ25及び45ftコンテナ30の各底部の前側部分の車幅方向の略中央には、後述するメインフレーム3の段差16を吸収するための凹状のトンネルリセス部(図示省略)が設けられている。一方、20ftコンテナ20の底部には、トンネルリセス部は設けられていない。
【0031】
図1〜
図6に示すように、セミトレーラ1のシャシフレーム2は、前側のメインフレーム3と後側のボギーフレーム6とによって構成される。
【0032】
メインフレーム3は、車両前後方向に沿って略平行に延びる左右1対のメインビーム4と、左右のメインビーム4同士を連結する複数の直線状のクロスフレーム5とを有する。メインビーム4は、上下で離間して対向する板状の上フランジと下フランジとが上下に延びるウェブによって連結されたI状断面を有する。
【0033】
左右のメインビーム4の前端部には、矩形平板状のエプロンプレート9が固定されている。エプロンプレート9の左右の両側部は、左右のメインビーム4の下フランジに結合され、左右のメインビーム4の前端部の間はエプロンプレート9によって覆われている。エプロンプレート9の下面の車幅方向の略中央には、キングピン15が突設されている。キングピン15は、セミトレーラ1を牽引するトラクタのカプラ(図示省略)に解除可能に連結される。なお、キングピン15を、トラクタのカプラに対応した高さに合わせて配置するため、メインビーム4の前端部は、通称グースネックと称する段差16によって嵩上げされている。また、メインフレーム3の段差16の直ぐ後方には、トラクタから切り離されたシャシフレーム2を支持するためのサポートレッグ(ジャッキ装置)17が取り付けられている。
【0034】
左右のメインビーム4の前端部には、エプロンプレート9の前端上方で車幅方向に延びるフロントボルスタ40が固定され、フロントボルスタ40の左右両端は、各メインビーム4から車幅方向外側へ突出して延びている。フロントボルスタ40の上面には、左右1対のコンテナガイド39が固定されている。コンテナガイド39は、コンテナ25,30をセミトレーラ1に積載する際にコンテナ25,30の前端下部を所定の前後位置に案内する。
【0035】
左右のメインビーム4の後端部には、車幅方向に延びる上側リヤボルスタ(支持フレーム)50が固定され、上側リヤボルスタ50の左右両端は、各メインビーム4から車幅方向外側へ突出して延びている。また、左右のメインビーム4の中間部(段差16の直ぐ後方)には、中間ボルスタ60が固定され、中間ボルスタ60の左右両端は、各メインビーム4から車幅方向外側へ突出して延びている。
【0036】
フロントボルスタ40の左右両側の端部には、大型コンテナ用前側緊締装置(以下、大型前側用緊締装置と称する)41が装着されている。上側リヤボルスタ50の左右両側の端部には、小型コンテナ用後側緊締装置(以下、小型後側用緊締装置と称する)51が装着されている。中間ボルスタ60の左右両側の端部には、小型コンテナ用前側緊締装置(以下、小型前側用緊締装置と称する)61が装着されている。小型後側用緊締装置51と小型前側用緊締装置61とは、各ボルスタ50,60の上面よりも上方へ突出する使用位置と、使用位置から下降して各ボルスタ50,60の内部に収容される格納位置との間を昇降自在なツイストロック52,62を有する。20ftコンテナ20を積載する場合、ツイストロック52,62は使用位置に設定され、40ftコンテナ25及び45ftコンテナ30を積載する場合、ツイストロック52,62は格納位置に設定される。
【0037】
ボギーフレーム6は、左右のメインビーム4の車幅方向外側で前後方向に沿って略平行に延びる左右1対のボギービーム7と、左右のボギーフレーム7同士を連結するクロスフレーム8とを有する。左右のボギービーム7の後端部には、左右1対の伸縮ビーム12が前後方向にスライド移動可能にそれぞれ支持されている。
【0038】
左右のボギービーム7は、メインビーム4のうち段差16よりも後方の領域(以下、グースネック後方領域と称する)よりも僅かに短い全長に設定され、左右のメインビーム4のグースネック後方領域を前後方向にスライド移動可能に下方からそれぞれ支持する。ボギービーム7のうち前端部を除く領域は、上下で離間して対向する板状の上板と下板とが車幅方向に離間して相対向する内側板と外側板とによって連結された矩形筒形状を有し、ボギービーム7の前端部は、上板と連続する上フランジからウェブが下方へ延びるT状断面を有する。ボギーフレーム6には、懸架装置10及び3本の車軸(図示省略)を介して車輪(タイヤ)11が装着され、ボギーフレーム6は、車輪11によって下方から支持される。
【0039】
左右の伸縮ビーム12は、伸縮ビーム連結機構(図示省略)によって、前方の収納位置と、収納位置よりも後方の第1の突出位置と、第1の突出位置よりも後方の第2の突出位置とのうち任意の1つの位置に固定的に支持される。左右の伸縮ビーム12の後端部には、車幅方向に延びる下側リヤボルスタ70が固定され、下側リヤボルスタ70の左右両端は、各伸縮ビーム12から車幅方向外側へ突出して延びている。下側リヤボルスタ70の左右両側の端部には、大型コンテナ用後側緊締装置(以下、大型後側用緊締装置と称する)71が装着されている。大型後側用緊締装置71は、下側リヤボルスタ70の上面の上方へ突出して起立する使用位置と、起立位置から傾倒した格納位置との間を回転自在である。
【0040】
下側リヤボルスタ70の下部には、突入防止装置80が前後方向にスライド移動可能に支持されている。突入防止装置80は、前方の収容位置又は後方の突出位置の何れかに固定的に支持される。
【0041】
シャシフレーム2の全長は、伸縮ビーム12が収納位置に支持され、且つメインビーム4の後端とボギービーム7の後端との前後位置がほぼ一致する最大重なり状態で最短となり、メインフレーム3は、最大重なり状態からボギーフレーム6に対して前方へ突出可能である。メインフレーム3の前方への突出によってシャシフレーム2の全長が伸長し、ホイールベース(トラクタに装着された前側の車輪の車軸とボギーフレーム6に装着された後側の車輪11の車軸との距離)が変更される。最大重なり状態では、大型後側用緊締装置71が格納位置に設定され、下側リヤボルスタ70の上方に上側リヤボルスタ50が重なる。
【0042】
左右のメインビーム4と左右のボギービーム7とは、メインフレーム3とボギーフレーム6との前後方向の相対位置が相違する複数の所定位置のそれぞれにおいて、メイン連結機構130によって解除可能に連結される。本実施形態では、連結機構が両フレーム3,6を連結する複数の所定位置として、上記最大重なり状態(両ビーム4,7の全長が最短)となる短縮位置(最短位置)と、両ビーム4,7の全長が最短よりも第1の所定距離長くなる第1の伸張位置と、両ビーム4,7の全長が最短よりも第2の所定距離(>第1の所定距離)長くなる第2の伸張位置(最長位置)とが設定されている。ホイールベースを変更する(ボギーフレーム6に対してメインフレーム3を前後方向に移動させる)場合、メインフレーム3にトラクタを連結し、メイン連結機構130を連結解除状態とし、車輪11に制動力を付与しながら(車輪11のブレーキを作動させながら)、トラクタを前進又は後進させる。
【0043】
図3に示すように、20ftコンテナ20を積載する場合、コンテナ20の前側の隅金具21を小型前側用緊締装置61によって緊締し、後側の隅金具22を小型後側用緊締装置51によって緊締する。すなわち、小型前側用緊締装置61と小型後側用緊締装置51との距離は、20ftコンテナ20の前側の隅金具21と後側の隅金具22との距離とほぼ等しく設定される。
【0044】
20ftコンテナ20を積載し、プラットホーム19との間で積荷の入出を行う場合(20ft後端合わせ時)、両ビーム4,7の全長を最短とし、伸縮ビーム12を収納位置とし、突入防止装置80を収容位置とする。これにより、セミトレーラ1の後端をプラットホーム19に近接又は接触させて積荷の入出を行うことができる。
【0045】
図4に示すように、20ftコンテナ20を積載して走行する場合(20ft走行時)、20ft後端合わせ時からメインビーム4を前方へ引き出して両ビーム4,7の全長を第1の所定長とする。なお、伸縮ビーム12は収納位置に維持し、突入防止装置80は収容位置に維持する。両ビーム4,7の全長を第1の所定長とすることにより、各車軸に対して荷重がバランス良く配分され、1つの車軸に対する荷重の集中が抑制される。
【0046】
図5に示すように、40ftコンテナ25を積載する場合(40ft積載時)、両ビーム4,7の全長を第1の所定長とし、伸縮ビーム12を第2の突出位置とし、突入防止装置80を収容位置とする。また、コンテナ25の前側の隅金具26を大型前側用緊締装置41によって緊締し、後側の隅金具27を大型後側用緊締装置71によって緊締する。すなわち、伸縮ビーム12の収納位置から第2の突出位置までの突出量は、40ftコンテナ25の前側の隅金具26と後側の隅金具27との距離から、両ビーム4,7の全長を第1の所定長としたときの大型前側用緊締装置41と大型後側用緊締装置71との距離を減じた距離とほぼ等しく設定される。
【0047】
図6に示すように、45ftコンテナ30を積載する場合(45ft積載時)、両ビーム4,7の全長を第2の所定長(最長)とし、伸縮ビーム12を第1の突出位置とし、突入防止装置80を突出位置とする。また、コンテナ30の前側の隅金具31を大型前側用緊締装置41によって緊締し、中間位置の隅金具33を大型後側用緊締装置71によって緊締する。すなわち、伸縮ビーム12の収納位置から第1の突出位置までの突出量は、45ftコンテナ30の前側の隅金具31と中間位置の隅金具33との距離から、両ビーム4,7の全長を第2の所定長としたときの大型前側用緊締装置41と大型後側用緊締装置71との距離を減じた距離とほぼ等しく設定される。なお、40ftコンテナ25の積載時及び45ftコンテナ30の積載時において、両ビーム4,7の全長及び伸縮ビーム12を上述のように設定することにより、20ftコンテナ走行時と同様に、各車軸に対して荷重がバランス良く配分され、1つの車軸に対する荷重の集中が抑制される。
【0048】
図4及び
図5に示すように、両ビーム4,7の全長を第1の所定長とする20f走行時及び40ft積載時において、小型後側用緊締装置51は、中央のタイヤ11の鉛直上方に位置する。また、
図6に示すように、両ビーム4,7の全長を第2の所定長とする45ft積載時において、小型後側用緊締装置51は、前側のタイヤ11の鉛直上方に位置する。
【0049】
このように、小型後側用緊締装置51は、タイヤ11の鉛直上方に配置される緊締装置であるため、ツイストロック52は、後述するようにタイヤ11との干渉を確実に回避可能な倒伏状態で格納される。
【0050】
次に、小型後側用緊締装置51について、
図7〜
図14を参照して説明する。なお、左右の小型後側用緊締装置51は同様の構成であるため、以下ではその一方(右側)のみを説明し、他方(左側)の説明を省略する。
【0051】
図7〜
図11に示すように、小型後側用緊締装置51は、ベース体53とツイストロック52とハンドル54とロックカバー55とを備える。
【0052】
ベース体53は、上板部101と、前後1対の外側の縦板部(外縦板部)102と前後1対の内側の縦板部(内縦板部)103と底板部104と前後1対の補強板部106とを有し、タイヤ11(
図4〜
図6参照)の鉛直上方で上側リヤボルスタ50の車幅方向の外端面から車幅方向外側に一体的に延びる。
【0053】
前後の外縦板部102は、上板部101の下面から下方へ延びる。前後の内縦板部103は、前後の外縦板部102の内側で上板部101の下面から下方へ延びる。前後の外縦板部102と前後の内縦板部103とは、互いに略平行に配置される。底板部104は、ベース体53の下面のうちハンドル54を操作するために開放される車幅方向外側部分を除いた領域を覆う。外端板部105は、ベース体53の車幅方向外端を塞ぐ。
【0054】
内縦板部103は、ベース体53の車幅方向の外端から車幅方向内側に延びて、上側リヤボルスタ50の車幅方向の外端面よりも車幅方向外側の所定位置に達する。前後の補強板部106は、ベース体53の車幅方向の所定の中間位置に配置され、前側の補強板部106は、前側の内縦板部103の前面から前方へ突出した状態で上板部101の下面から下方へ延び、後側の補強板部106は、後側の内縦板部103の後面から後方へ突出した状態で上板部101の下面から下方へ延びる(
図11参照)。外縦板部102は、上側リヤボルスタ50の車幅方向の外端面から補強板部106まで車幅方向外側に延びる。
【0055】
上板部101の上面101aは、上側リヤボルスタ50の上面50aから連続的に延びる水平面状であり、上側リヤボルスタ50の上面50aとともに、コンテナ20,25,30が載置されるコンテナ載置面107を形成する。
【0056】
上板部101の下方で且つ底板部104の上方には、上板部101の下面と前後の内縦板部103の内面とによって区画される収納空間108が設けられ、上板部101には、収納空間108を上方へ開放する矩形状の開口部109が形成されている。
【0057】
ツイストロック52は、ツイストロック本体111と係止回転軸部(ロックピン)112とロックピンヘッド(係止部)113とを有し、ロックカバー55よりも車幅方向外側に配置される。
【0058】
ツイストロック本体111は、所定のツイスト回転軸114に沿って円形状の軸挿通孔115が貫通する筒形状であり、軸挿通孔115は、ツイストロック本体11の先端111a側と基端111b側とを連通する。ツイストロック本体111の先端111a側の外形は、前後方向が車幅方向よりも長い矩形状である。
【0059】
係止回転軸部112は、軸挿通孔115を挿通する円柱形状であり、ツイスト回転軸114を中心として回転自在で且つツイスト回転軸114に沿ってスライド自在にツイストロック本体111に支持される。
【0060】
ロックピンヘッド113は、係止回転軸部112の一端112aに固定されてツイストロック本体111の先端111a側で露出する。係止回転軸部112の他端112b側の外周面には、雄ネジ部116が形成されている。
【0061】
ロックピンヘッド113は、ツイスト回転軸114から離間する方向に向かって先細りする直方錐体状であり、ツイスト回転軸114と一体的に回転する。ツイスト回転軸114に固定されるロックピンヘッド113の端面外周は、ストロック本体111の先端111a側の外形とほぼ同形状に形成されている。ツイスト回転軸114に回転により、ツイストロックヘッド113は、係合解除位置と、係合解除位置から略90°回転した係合位置との間で回転する。係合解除位置では、ロックピンヘッド113の長手方向がツイストロック本体111の長手方向(車両前後方向)とほぼ一致し(
図8参照)、係合位置では、ロックピンヘッド113の長手方向がツイストロック本体111の長手方向と略直交する(
図7参照)。
【0062】
ツイストロック本体111の先端111aの端面の長手方向の中央部には、係合位置のロックピンヘッド113の進入を許容するヘッド進入凹部117が形成されている。ロックピンヘッド113は、係合解除位置ではツイストロック本体111の先端111aの端面(ヘッド進入凹部117の両側部分)に当接してヘッド進入凹部117への進入が阻止され、係合解除位置から係合位置へ回転することによってヘッド進入凹部117への進入が許容される。ヘッド進入凹部117に進入したロックピンヘッド113は、ヘッド進入凹部117の対向内面によって回転が阻止されて係合位置に保持される。
【0063】
ハンドル54は、ハンドル本体121とハンドル操作部122とを一体的に有する。ハンドル本体121は、軸挿通孔115よりも大きい外径を有する円環形状であり、ハンドル本体121の内周面には、係止回転軸部112の雄ネジ部116と螺合する雌ネジ部123が形成される。ハンドル54は、ツイストロック本体111の基端111b側から突出する係止回転軸部112の雄ネジ部116に雌ネジ部123が螺合することによって、係止回転軸部112の他端112b側に取り付けられる。係止回転軸部112の他端112b側の端面には、取り付けられたハンドル54の離脱を阻止するハンドル離脱阻止プレート124がビス125(
図9参照)によって締結固定される。
【0064】
ハンドル操作部122は、ハンドル本体121の外周面から突出するフランジ形状であり、凹凸形状の外周面を有する。ツイストロック本体111には、ハンドルロックアーム126がボルト127によって傾動自在に取り付けられている。ハンドルロックアーム126の傾動範囲は、その可動先端側がハンドル操作部122の外周面の凹凸形状と係合してハンドル54の回転を規制するハンドルロック位置と、可動先端側がハンドル操作部122から離間してハンドル54の回転を許容するハンドルロック解除位置とを含む。
【0065】
ロックカバー55は、矩形平板状のカバー本体131と、カバー本体131の裏面131bから一体的に相対向して突出する1対の板状の支持部132とを有し、各支持部132には、同軸上で貫通する支持孔133(
図8参照)が形成されている。
【0066】
ベース体53の前後の内縦板部103と後側の外縦板部102には、同軸上で貫通する挿通孔134がそれぞれ形成され、支持孔133及び挿通孔134をカバー支持軸部135が挿通することにより、ロックカバー55は、カバー支持軸部135を中心として傾動可能にベース体53に支持される。ロックカバー55の傾動範囲は、カバー本体131が開口部109の一部を覆う閉止位置と開放する開放位置とを含む。開放位置のカバー本体131は、ベース体53の上板部101の上面101aから上方へ突出するように起立する。開放位置のカバー本体131は、車幅方向外側下方へ倒れることによって閉止位置へ移動し、閉止位置のカバー本体131は、前後の内縦板部103の対向内面から突設されたカバー載置部136上に略水平に載置される。閉止位置に設定されたロックカバー55の上面(カバー本体131の表面131a)は、ベース体53の上板部101の上面101aと略同一面に配置されてコンテナ載置面107を構成する。
【0067】
カバー支持軸部135の後端側は後側の外縦板部102の後方へ突出し、この突出した部分に移動規制プレート137が固定されている。取付プレート138と外縦板部102との間に移動規制プレート137を挟み、外縦板部102に固着された固定プレート139に取付プレート138をボルト140によって締結固定することにより、カバー支持軸部135の軸方向(車両前後方向)の移動が阻止される。また、後側の内縦板部102の支持孔133にはキー溝142が形成され、カバー軸支持部135にはキー溝143と係合するキー144が形成されている(
図8参照)。キー144とキー溝143との係合によってロックカバー55とカバー支持軸135との相対回転が阻止され、ロックカバー55がカバー支持軸135と一体的に回転する。
【0068】
後側の外縦板部102の後方には、カバー支持軸部135の後端から略直交して曲折するカバー操作部141が設けられている。カバー操作部141は、ロックカバー55が閉止位置に設定された状態で略水平方向に延び、係る状態からカバー操作部141の自由端側を押し下げることによって、ロックカバー55が開放位置へ傾動する。
【0069】
ツイストロック52のツイストロック本体111には、長手方向(車両前後方向)に貫通するツイストロック支持孔152が傾動回転軸151を中心とした円形状に形成されている。前後の内縦板部103には、ツイストロック支持孔152と直線状に連通可能なボルト挿通孔153(
図11及び
図12参照)が形成され、前側の内縦板部103の前面と後側の内縦板部103の後面とには、ボルト挿通孔153に合わせてナット154がそれぞれ固着されている。ボルト挿通孔153にツイストロック支持孔152を合わせ、前後のナット154にそれぞれ前後からボルト155を締め込むことにより、各ボルト155の先端側軸部155a(
図11及び
図12参照)がツイストロック支持孔152へ進入し、ツイストロック52がベース体53の前後の内縦板部103によって回転自在に支持される。これにより、ツイストロック52は、ロックカバー55が開放位置に設定され且つロックピンヘッド113が係合解除位置に設定された状態で、傾動回転軸151を中心としてベース体53の開口部109を通って使用位置と格納位置との間で傾動自在となる。使用位置のツイストロック52は、略鉛直に起立してベース体53のコンテナ載置面107から上方へ突出する。係る状態から車幅方向内側下方へ倒れることによって、ツイストロック52が格納位置へ移動する。格納位置のツイストロック52は、前後の内縦板部103の対向内面間を連結するツイストロック載置部156上に載置され、収納空間108で略水平に倒伏する。
【0070】
ツイストロック52における傾動回転軸151の位置は、傾動回転軸151を通る鉛直面に対して使用位置側(車幅方向内側)の方が反使用位置側(車幅方向外側)よりも重くなるように設定されており、傾動回転軸151はツイスト回転軸114よりも車幅方向内側に位置する。
【0071】
使用位置のツイストロック本体111は、ベース体53の開口部109の車幅方向内側端縁との当接によって車幅方向外側下方への傾動が阻止され、閉止位置に設定されたロックカバー55の車幅方向外端縁との当接によって車幅方向内側下方の格納位置への傾動が規制される。また、ツイストロック52が使用位置に設定された状態において、閉止位置のカバー本体131は、その車幅方向内側が上述のようにカバー載置部136上に載置され、車幅方向外側がツイストロック本体111の車幅方向の内側面に突設された第2カバー載置部157(
図10参照)上に載置される。
【0072】
ベース体53の上板部101の車幅方向外端部には、ツイストロック52が格納位置への傾動する際に上方へ移動するハンドル操作部122の進入を許容する矩形状のハンドル進入穴158が形成されている。ハンドル進入穴158によって、ハンドル操作部122と上板部101との干渉が回避され、ツイストロック52を格納位置まで確実に傾動させることができる。
【0073】
ツイストロック52が使用位置に設定された状態での係合解除位置のロックピンヘッド113は、セミトレーラ1に積載される20fコンテナ20の隅金具22の係合穴23に下方から進入し、係止回転軸部112がロック方向(
図8に示す矢印160の方向)へ回転することによって、係合解除位置から係合位置へ回転し、ヘッド進入凹部117へ下降する。係る状態でハンドル54がロック方向へ回転すると、ヘッド進入凹部117によって係止回転軸部112の回転が阻止されているので、ハンドル54が係止回転軸部112に対してロック方向へ回転し、雄ネジ部116と雌ネジ部123との螺合によって、係合位置のロックピンヘッド113とハンドル54との距離が短縮されて、ハンドル54が上昇する。ハンドル54の上昇が進み、ハンドル54がツイストロック本体111の基端111bに当接した後もさらにハンドル54がロック方向へ回転すると、隅金具22の金具底板23がロックピンヘッド113とコンテナ載置面107との間で締め付けられる。
【0074】
本実施形態によれば、セミトレーラ1に20ftコンテナ20を積載して締結する場合、作業者は、
図13(a)及び(b)に示すように、カバー操作部141を押し下げてロックカバー55を閉止位置から開放位置に設定する。次に、
図13(c)に示すように、
開口部109から手を挿入して収納空間108で倒伏するツイストロック52を持ち上げ、ツイストロック52を格納位置から傾動して使用位置に起立させる。次に、
図14(d)に示すように、ロックカバー55を閉止位置に戻した後、20ftコンテナ20を所定位置に積載し、隅金具22の係止穴23にツイストロック52を下方から進入させる。これにより、20ftコンテナ20(隅金具22)は、コンテナ載置面107上に載置される。次に、作業者は、ハンドル操作部122を一方の手で下方から把持し、他方の手でハンドルロックアーム126をハンドルロック解除位置に持ち上げ、
図14(e)に示すように、ハンドル54と係止回転軸部112との相対回転が起こらないように、ハンドル54を持ち上げながらロック方向へ回転し、ロックピンヘッド113を係合解除位置から係合位置へ回転させる。係合位置に設定されたロックピンヘッド113は、ヘッド進入凹部117へ下降する。次に、ハンドルロックアーム126をハンドルロック解除位置に持ち上げたまま、
図15に示すように、ハンドル54を持ち上げずにロック方向へ回転し、ハンドル54を係止回転軸部112に対して回転させる。係止回転軸部112に対するハンドル54のロック方向への回転によって、ロックピンヘッド113とハンドル54との距離が短縮されて、隅金具22がロックピンヘッド113とコンテナ載置面107との間で締め付けられる。締め付けが完了した後は、ハンドルロックアーム126の持ち上げを解除し、ハンドルロックアーム126をハンドルロック位置に戻す。
【0075】
セミトレーラ1に20ftコンテナ20を下ろす場合には、ハンドル54をロック解除方向に回転し、ロックピンヘッド113を係合位置から係合解除位置へ回転させた後、20ftコンテナ20を持ち上げて隅金具22の係止穴23からツイストロック52を外す。
【0076】
このように、隅金具22がロックピンヘッド113とコンテナ載置面107との間で締め付けられるので、積載される20ftコンテナ20をセミトレーラ1に強固に緊締することができる。従って、シャシフレーム2がメインフレーム3とボギーフレーム6とに分割された分割タイプのセミトレーラ1であっても、20ftコンテナ20を含めた全体としての剛性を確保することができる。
【0077】
また、小型コンテナ用後側緊締装置51の緊締対象ではない40ftコンテナ25や45ftコンテナ30の積載時にこれらのコンテナ25,30との干渉を回避するため、ツイストロック52をコンテナ載置面107よりも下方に退避させる場合、作業者は、ロックカバー55を閉止位置から開放位置に設定し、使用位置のツイストロック52を下方の格納位置へ傾動して収納空間108に倒伏させ、ロックカバー55を閉止位置に戻す。このように、格納位置のツイストロック52は収納空間108で倒伏するので、格納されたツイストロック52のコンテナ載置面107に対する下方への突出量を抑制することができる。従って、緊締装置をタイヤ11の上方に配置する場合であっても、格納されたツイストロック52とタイヤ11との干渉を確実に回避することができる。
【0078】
また、ツイストロック52が使用位置に設定され、ロックカバー55が閉止位置に設定された状態において、カバー操作部141を押し下げてロックカバー55を開放位置に移動させるだけで、ツイストロック52が自重によって格納位置へ傾動するので、ツイストロック52の格納作業を簡略化することができる。
【0079】
なお、上述の実施形態は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、上述の実施形態以外であっても種々の変更が可能であることは勿論である。
【0080】
例えば、小型コンテナ用後側緊締装置51以外の緊締装置を、小型コンテナ用後側緊締装置51と同様に構成してもよい。また、セミトレーラは、20ftコンテナ20と40ftコンテナ25とを選択的に積載可能な兼用タイプであってもよく、20ftコンテナ20と45ftコンテナ30とを選択的に積載可能な兼用タイプであってもよく、さらにシャシフレームが一体型のものであってもよい。
【0081】
上記実施形態では、箱型のコンテナ20が積載されるセミトレーラ1について説明したが、本発明の緊締装置51は、コンテナが積載されるトラックの車体にも適用可能である。