特許第5721241号(P5721241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東亜工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5721241-発泡シール材の自動貼り付け装置 図000002
  • 特許5721241-発泡シール材の自動貼り付け装置 図000003
  • 特許5721241-発泡シール材の自動貼り付け装置 図000004
  • 特許5721241-発泡シール材の自動貼り付け装置 図000005
  • 特許5721241-発泡シール材の自動貼り付け装置 図000006
  • 特許5721241-発泡シール材の自動貼り付け装置 図000007
  • 特許5721241-発泡シール材の自動貼り付け装置 図000008
  • 特許5721241-発泡シール材の自動貼り付け装置 図000009
  • 特許5721241-発泡シール材の自動貼り付け装置 図000010
  • 特許5721241-発泡シール材の自動貼り付け装置 図000011
  • 特許5721241-発泡シール材の自動貼り付け装置 図000012
  • 特許5721241-発泡シール材の自動貼り付け装置 図000013
  • 特許5721241-発泡シール材の自動貼り付け装置 図000014
  • 特許5721241-発泡シール材の自動貼り付け装置 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721241
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】発泡シール材の自動貼り付け装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 65/08 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
   B62D65/08
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-119355(P2013-119355)
(22)【出願日】2013年6月6日
(65)【公開番号】特開2014-237451(P2014-237451A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2014年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】591077704
【氏名又は名称】東亜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107906
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】権田 竜一
(72)【発明者】
【氏名】林 耕治
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−153286(JP,A)
【文献】 特開2001−89013(JP,A)
【文献】 特開平6−80089(JP,A)
【文献】 特開平2−48284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に離型紙が粘着層を介して接着された発泡シール材を、該離型紙を剥離した後にワークの貼り付け面に貼り付ける発泡シール材の自動貼り付け装置において、
前記発泡シール材がプリセットされるプリセット装置と、
前記発泡シール材をクランプするクランプ装置と、前記発泡シール材のクランプが解除された状態で該発泡シール材の裏面に空気を吹き付け、該発泡シール材を空気圧により浮遊させる空気浮遊装置と、前記発泡シール材を前記ワークの貼り付け面に押し付ける押し付けローラと、を有する貼り付けハンドと、
前記クランプ装置によりクランプされた前記発泡シール材の離型紙を剥離する剥離装置と、
前記貼り付けハンドを移動させる移動装置と、を備え、
前記貼り付けハンドは、前記離型紙が剥離された前記発泡シール材を浮遊させた状態で、前記押し付けローラにより前記ワークの貼り付け面に押し付け、かつ前記貼り付けハンドの移動に伴って前記発泡シール材を送り出すことにより、前記発泡シール材を前記ワークの貼り付け面に貼り付けることを特徴とする発泡シール材の自動貼り付け装置。
【請求項2】
前記貼り付けハンドは、前記離型紙が剥離される前に、前記クランプ装置により前記発泡シール材を一旦クランプし、その後、そのクランプを解除した状態で、前記発泡シール材を前記空気浮遊装置により浮遊させ、その後、前記クランプ装置により前記発泡シール材を再度クランプするように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の発泡シール材の自動貼り付け装置。
【請求項3】
前記クランプ装置は、前記発泡シール材を間に挟んで互いに対向し、水平方向に移動することにより前記発泡シール材をクランプし、及びクランプを解除することが可能な一対の側面クランプローラを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の発泡シール材の自動貼り付け装置。
【請求項4】
前記空気浮遊装置は、伸縮自在で、かつ一方の端が回転可能に支持された回転バーと、該回転バーの他方の端に取り付けられた空気噴射ノズルと、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発泡シール材の自動貼り付け装置。
【請求項5】
前記貼り付けハンドは、前記発泡シール材の上面をガイドする上面ガイドローラを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発泡シール材の自動貼り付け装置。
【請求項6】
前記離型紙の先端部は前記発泡シール材の先端から突出しており、
前記剥離装置は、前記離型紙の先端を上下方向から挟んで保持する保持部と、前記保持部により保持された前記離型紙と、前記発泡シール材の間に形成されるスペースに挿入された状態で水平方向に走行することにより、前記離型紙を全部剥離する走行バーと、を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発泡シール材の自動貼り付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のボディやフロントガラス等のワークの貼り付け面に、発泡シール材を自動的に貼り付けることが可能な発泡シール材の自動貼り付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のボディを構成する鋼板や、フロントガラスに、防音、防水、防振、防塵等を目的として、ゴム系発泡層からなり、直線状の発泡シール材が、貼り付け面に合わせて変形されて貼り付けられる。自動車のボディを構成する鋼板等の貼り付け面は3次元方向に曲がった複雑な曲面であることが多い。
【0003】
従来、このような発泡シール材の貼り付けは作業員の手作業にて以下の手順で行われていた。発泡シール材の裏面には、その裏面に形成された粘着層を介して離型紙が接着されている。作業者はこの離型紙を剥離し、ワークの貼り付け面に型紙を当て、
この型紙に沿って、発泡シール材を貼り付け面に貼り付けていた。
【0004】
しかしながら、このような作業は工数が多いことに加え、貼り付け作業を繰り返し行うには作業者の相当な集中力が必要であり、発泡シール材の貼り付け位置のバラツキが発生するという問題があった。
【0005】
特許文献1には、直線状の発泡シール材の貼り付け作業を自動化することにより、貼り付け作業工数、貼り付け位置のバラツキの削減を実現した発泡シール材の自動貼り付け装置が開示されている。
【0006】
詳しくは、この発泡シール材の自動貼り付け装置は、複数のリンク板が連結軸を介して互いに連結されてなる連結リンク、これらのリンク板の下面に取り付けられて発泡シール材を掴むハンド、離型紙をその先端部から部分的に剥離するチャック、及び部分的に剥離された離型紙と発泡シール材との間のスペースに挿入された状態で、水平方向に走行することにより、離型紙の全部を剥離する走行バーと、を備えて構成される。そして、前記連結リンクを直線から曲線の形状に変形させ、これにより発泡シール材を貼り付け面の形状に合わせて変形させた後に、ワークの貼り付け面に貼り付けるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−153286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された装置によれば、連結リンクを用いて直線状の発泡シール材を変形させているところ、その変形には一定の制限があるため、発泡シール材を自由に変形することができないという問題を有していた。例えば、同装置は、発泡シール材を円形や四角形等の閉ループ形状に変形して貼り付けることは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発泡シール材の自動貼り付け装置は、裏面に離型紙が粘着層を介して接着された発泡シール材を、該離型紙を剥離した後にワークの貼り付け面に貼り付ける発泡シール材の自動貼り付け装置において、
前記発泡シール材がプリセットされるプリセット装置と、前記発泡シール材をクランプするクランプ装置と、前記発泡シール材のクランプが解除された状態で該発泡シール材の裏面に空気を吹き付け、該発泡シール材を空気圧により浮遊させる空気浮遊装置と、前記発泡シール材を前記ワークの貼り付け面に押し付ける押し付けローラと、を有する貼り付けハンドと、前記クランプ装置によりクランプされた前記発泡シール材の離型紙を剥離する剥離装置と、前記貼り付けハンドを移動させる移動装置と、を備える。
【0010】
前記貼り付けハンドは、前記離型紙が剥離された前記発泡シール材を浮遊させた状態で、前記押し付けローラにより前記ワークの貼り付け面に押し付け、かつ前記貼り付けハンドの移動に伴って前記発泡シール材を送り出すことにより、前記発泡シール材を前記ワークの貼り付け面に貼り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の発泡シール材の自動貼り付け装置によれば、直線状の発泡シール材から離型紙を剥離し、当該発泡シール材を円形や、四角形等の形状を含む所望の形状に変形してワークの貼り付け面に貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態における発泡シール材の自動貼り付け装置100の全体構成を示す平面図である。
図2】ロボットの構成を示す図である。
図3】プリセット装置の正面図である。
図4】プリセット装置の側面図である。
図5】貼り付けハンドの正面図である。
図6】剥離装置の動作を説明する図である。
図7】貼り付けハンドの動作を説明する側面図(プリセット装置へのアプローチ)である。
図8】貼り付けハンドの動作を説明する側面図(発泡シール材のクランプ)である。
図9】貼り付けハンドの動作を説明する側面図(発泡シール材の浮遊の準備)
図10】貼り付けハンドの動作を説明する側面図(発泡シール材の浮遊)である。
図11】貼り付けハンドの動作を説明する側面図(発泡シール材の再クランプと、離型紙の剥離準備)である。
図12】貼り付けハンドの動作を説明する側面図(離型紙が剥離された発泡シール材の浮遊の準備)である。
図13】貼り付けハンドの動作を説明する側面図(発泡シール材の浮遊)である。
図14】貼り付けハンドによる発泡シール材の貼り付け動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態における発泡シール材の自動貼り付け装置100を図1乃至図14に基づいて説明する。
【0014】
<発泡シール材の自動貼り付け装置100の概略の説明>
本発明の実施形態における発泡シール材の自動貼り付け装置100は、裏面全体に離型紙51が粘着層を介して接着された発泡シール材50を、離型紙51を剥離した後にワークWの貼り付け面に貼り付ける装置である。発泡シール材50は直線状の形状(細長の直方体形状)を有している。
【0015】
発泡シール材の自動貼り付け装置100は、発泡シール材50をハンドリングする貼り付けハンド20、発泡シール材50がプリセットされるプリセット装置30、離型紙51を剥離する剥離装置40、貼り付けハンド20が取り付けられ、これを自由に移動させるロボット10(移動装置の一例)を含んで構成される。
【0016】
そして、貼り付けハンド20は、プリセット装置30から発泡シール材50をピックアップし、離型紙51が剥離装置40により剥離された発泡シール材50を空気浮遊装置24により浮遊させた状態で、押し付けローラ27を用いてワークWの貼り付け面に押し付け、かつ貼り付けハンド20の移動に伴って発泡シール材50を送り出すことにより、発泡シール材50をワークWの貼り付け面に貼り付ける。
【0017】
これにより、発砲シール材50を円形や、四角形等の形状を含む所望の形状に変形してワークWの貼り付け面に貼り付けることができる。
【0018】
<発泡シール材の自動貼り付け装置100の詳細な説明>
以下、発泡シール材の自動貼り付け装置100の構成を詳しく説明する。図1に示すように、ロボット10の周囲には、プリセット装置30、剥離装置40、ワークWが配置される。ワークWは、例えば自動車の鋼材からなるボディ部品であり、その両端付近に円形の孔部H1,H2が形成されている。この孔部H1,H2の周りの鋼材表面に発泡シール材50が円形に変形されて貼り付けられる。
【0019】
プリセット装置30は、基台31上に敷設された互いに平行であるレール32a,32b上を直線往復運動するキャリア33を備える。基台31上は、図示しないがキャリア33を駆動する駆動手段(モータ、ギアなど)が設けられている。
【0020】
図1及び図3に示すように、キャリア33はレール32a,32bに直交する方向に直線状に延びた一対の支持壁の間に溝部を有する。直線状に延びた発泡シール材50は、離型紙51が溝部の底側に位置するように、溝部の長手方向に沿って嵌め込まれる。溝部の深さ(d)は離型紙51を含めた発泡シール材50の厚さ(t)より浅くなっており、発泡シール材50が溝部に嵌め込まれた状態では、発泡シール材50はキャリア33の上端面から突出するようになっている。このプリセット作業は作業者が行うことができる。
【0021】
発泡シール材50がプリセット装置30のキャリア33にプリセットされると、キャリア33はレール32a,32bの一方のレール端からロボット10側のレール端に向かって走行し、ロボット側10のレール端に到着すると停止し、貼り付けハンド20が発泡シール材50のピックアップのために移動して来るまで待機する。
【0022】
ロボット10は、コンピュータプログラムを実行するCPUを備えた汎用の作業ロボットで構成することができる。図1図2に示すように、ロボット10は、基台11上に水平面内で回転自在に設けられた回転板12、回転板12上に取り付けられ3次元の任意方向に移動可能なアーム13を備え、回転板12、アーム13はコンピュータプログラムに従って制御可能に構成されている。このアーム13の先端部に貼り付けハンド20が取り付けられている。
【0023】
図5図7乃至図13に示すように、貼り付けハンド20は、プリセット装置30から発砲シール材50をピックアップし、その両側面からクランプするクランプ装置と、発砲シール材50のクランプが解除された状態で、発砲シール材50の裏面に空気を吹き付け、発砲シール材50を空気圧により浮遊させる空気浮遊装置24と、発砲シール材50をワークWの貼り付け面に押し付ける押し付けローラ27、及び発砲シール材50の上面をガイドする複数の上面ガイドローラ23を含んで構成される。複数の上面ガイドローラ23の上面に接触するように、発砲シール材50の長手方向に沿って配置される。
【0024】
前記クランプ装置は、発砲シール材50を間に挟んで互いに対向して配置された先端クランプ部21a,21b及び、複数の側面クランプローラ22a,22bを含んで構成される。すなわち、先端クランプ部21aは押し付けローラ27の左側に配置され、先端クランプ部21bは押し付けローラ27の右側に配置される。複数の側面クランプローラ22aは、押し付けローラ27の左側に発砲シール材50の長手方向に沿って配置され、複数の側面クランプローラ22bは、押し付けローラ27の右側に発砲シール材50の長手方向に沿って配置される。
【0025】
先端クランプ部21a、21bは、発砲シール材50の先端部の両側面をクランプする。一方、複数の側面クランプローラ22a,22bは、発砲シール材50の後方部分の両側面をクランプする。先端クランプ部21a,21bと側面クランプローラ22a,22bとは互いに連結されており、連動して水平方向に移動可能に構成されている。
【0026】
すなわち、発砲シール材50の両側面に先端クランプ部21a,21b及び側面クランプローラ22a,22bが発砲シール材50のへ向かって前進して接触し、発砲シール材50をその内側に押し込むことにより、発砲シール材50はその押し込み力によりクランプされる。そして、側面クランプローラ22a,22bと、先端クランプ部21a,21bが両側面から外側に後退すると当該クランプは解除されるようになっている。この場合、先端クランプ部21a及び側面クランプローラ22aの駆動機構は、これらの部材に接続され、水平方向に延びた移動軸21cを水平方向に移動させることにより構成することができる(例えば、図7図8を参照)。
【0027】
空気浮遊装置24は、その一方の端29が回転可能に支持された回転バー25、及び回転バー25の他方の端に取り付けられた空気噴射ノズル26a,26bを備える。回転バー25の一端29は貼り付けハンド20の本体下部に取り付けられたローラ支持部28の下端に回転自在に取り付けられている。また、回転バー25は、プリセット装置30との干渉を防ぎ、かつ発砲シール材50の裏面に空気を吹き付けて浮遊させるために、伸縮自在に構成されている。この場合、回転バー25は、例えば、2つのバーを部分的に重ね合わせてなり、一方のバーをスライドさせることにより伸縮させることができる。
【0028】
押し付けローラ27は、貼り付けハンド20の先端部に取り付けられたローラ支持部28によって支持され、貼り付けハンド20の動きによって押し付け力を付与され、発砲シール材50をワークWの貼り付け面に押し付けるように構成されている。
【0029】
剥離装置40は、図1図6(a)〜(d)に示すように、発砲シール材50の離型紙51の保持部45と、走行バー44を含んで構成される。この場合、離型紙51は、その先端部が発泡シール材50の先端から突出するように接着されている。保持部45は、保持台46、及びシリンダー47に接続されて上下動する保持板48を備える。走行バー44は、基台41上に敷設されたレール42上を水平移動する走行台43に取り付けられている。
【0030】
剥離装置40の剥離動作を説明すると、先ず、図6(a)に示すように、貼り付けハンド20は、プリセット装置30から発砲シール材50をピックアップして、その両側面からクランプした状態で剥離装置40にアプローチし、発泡シール材50の先端から突出した離型紙51の先端を保持台46と保持板48の間に挿入する。
【0031】
次に、図6(b)に示すように、保持板48が下動することにより、離型紙51の先端は、保持台46と保持板48との間に挟まれて保持される。次に、図6(c)に示すように、貼り付けハンド20を走行バー44より高い位置まで上動させる。すると、離型紙51は、発砲シール材50の先端から長手方向の途中まで部分的に剥離され、離型紙51と発泡シール材50裏面との間にスペースが生じる。
【0032】
次に、図6(d)に示すように、走行バー44をこのスペースに挿入された状態で水平方向に走行する。これにより、離型紙51の全部が発砲シール材50から剥離される。その後、保持板48が上動させて離型紙51の保持を解除すると、離型紙51はその自重により落下し、下方に配置された不図示の回収箱に回収される。
【0033】
<発泡シール材の自動貼り付け装置100の動作説明>
次に、上記のように構成された発泡シール材の自動貼り付け装置100の動作を図7乃至図14に基づいて説明する。以下の動作において、貼り付けハンド20の移動は、ロボット10により行われる。図7図13は、貼り付けハンド20の右側面図である。
【0034】
先ず、発泡シール材50が作業者によりプリセット装置30のキャリア33にプリセットされると、キャリア33はレール32a,32bの一方のレール端からロボット10側のレール端に向かって走行し、ロボット側10のレール端に到着すると停止し、貼り付けハンド20が発泡シール材50の取り出しのために移動して来るまで待機する。
【0035】
次に、図7に示すように、貼り付けハンド20は、発泡シール材50がプリセットされたプリセット装置30にアプローチする。このとき、図7で見て、右側の先端クランプ部21b及び側面クランプローラ22bは、プリセット装置30のキャリア33から突出した発泡シール材50の右側面に接触する。一方、左側の先端クランプ部21a及び側面クランプローラ22aは左側に大きく後退している(大開放状態)。このとき、押し付けローラ27、及び上面ガイドローラ23は発泡シール材50の上面に接触する。空気浮遊装置24は、プリセット装置30と干渉しない位置に、回転バー25が長手方向に縮んだ状態で待機している。
【0036】
次に、図8に示すように、左側の先端クランプ部21a及び側面クランプローラ22aが発泡シール材50に向けて前進し、発泡シール材50の左側面に接触する。
これにより、発泡シール材50はその両側面からクランプされる。
【0037】
次に、図9に示すように、貼り付けハンド20は、発泡シール材50をクランプした状態で、垂直方向に上動することにより、発泡シール材50をプリセット装置30からピックアップする。そして、貼り付けハンド20は空気浮遊装置24による発泡シール材50の浮遊の準備動作に入る。すなわち、空気噴射ノズル26a,26bが発泡シール材50の直下に位置するように、空気浮遊装置24の回転バー25は時計回りに回転するとともに、その長手方向に伸びる。このとき、貼り付けハンド20はプリセット装置30の上方にあるので、空気浮遊装置24がプリセット装置30と干渉することはない。
【0038】
次に、図10に示すように、離型紙51が接着された発泡シール材50の裏面に向けて、空気噴射ノズル26a,26bから空気が噴射される。その後、先端クランプ部21a,21b及び側面クランプローラ22a,22bがそれぞれ小さく後退することにより、クランプが解除される。空気噴射ノズル26a,26bによる空気噴射は、クランプ解除後も所定時間継続される。これにより、発泡シール材50は、空気圧により、空気噴射ノズル26a,26b、先端クランプ部21a,21b及び側面クランプローラ22a,22b、及び、押し付けローラ27、及び上面ガイドローラ23で囲まれた空間の中で浮遊する。
【0039】
この発泡シール材50の浮遊により、プリセット装置30にプリセットされた時の発泡シール材50に加わったストレスが開放される。すなわち、発泡シール材50は、可撓性を有していることから、作業者の手によりプリセット装置30にプリセットされる時に、ストレスが加わり、撓み(変形)が生じる。このストレスと、撓みは貼り付けハンド20により掴まれたときに残留している。このため、発泡シール材50のクランプ位置が安定せず、また、ワークWへの貼り付け時に発泡シール材50に意図しない撓みや曲がりが生じるおそれがある。そこで、クランプ後に発泡シール材50を浮遊させることにより、ストレスを開放させ、発泡シール材50を撓みのない本来の真っ直ぐに伸びた態に戻すようにした。
【0040】
次に、図11に示すように、先端クランプ部21a,21b及び側面クランプローラ22a,22bが発泡シール材50に向けてそれぞれ前進することにより、再び、発泡シール材50がクランプされる。この再クランプにより、発泡シール材50は真っ直ぐに伸びた状態でクランプされ、そのクランプ位置も安定化する。この再クランプ後に空気噴射ノズル26a,26bの空気噴射は停止し、回転バー25は反時計回りに逆回転するとともに、その長手方向に縮み元の位置に戻る。その後、
貼り付けハンド20は、剥離装置40まで移動し、前述のように、離型紙51が剥離される。
【0041】
次に、図12に示すように、貼り付けハンド20は、再び発泡シール材50の浮遊の準備動作に入る。すなわち、空気噴射ノズル26a,26bが発泡シール材50の直下に位置するように、空気浮遊装置24の回転バー25は時計回りに回転するとともに、その長手方向に伸びる。そして、離型紙51が剥離された発泡シール材50の裏面に向けて、空気噴射ノズル26a,26bから空気が噴射される。
【0042】
次に、図13に示すように、先端クランプ部21a,21b及び側面クランプローラ22a,22bがそれぞれ小さく後退することにより、クランプが解除される。クランプ解除後も空気噴射は継続される。これにより、発泡シール材50は再び、浮遊状態となる。すなわち、発泡シール材50は、空気圧により、空気噴射ノズル26a,26b、先端クランプ部21a,21b及び側面クランプローラ22a,22b、及び、押し付けローラ27、及び上面ガイドローラ23で囲まれた空間の中で浮遊する。
【0043】
次に、図14に示すように、貼り付けハンド20はワークWの貼り付け面200にアプローチする。このとき、貼り付けハンド20は、その先端がワークWの貼り付け面200に向かうように、貼り付け面200に対して斜めにアプローチする。
【0044】
その後、貼り付けハンド20は、離型紙51が剥離された発泡シール材50を浮遊させた状態で、押し付けローラ27を用いてワークWの貼り付け面に押し付け、かつ発泡シール材50を送り出すことにより、発泡シール材50をワークWの貼り付け面に貼り付ける。この場合、発泡シール材50は裏面に露出された粘着層を介して貼り付け面に貼り付けられ、かつ発泡シール材50は浮遊状態で貼り付けハンド20内に保持されていることから、貼り付けハンド20を貼り付け経路に沿って動かすことで発泡シール材50は貼り付けハンド20から自然に送り出されるのである。
【0045】
このとき、貼り付けハンド20の先端が円を描くように貼り付けハンド20を動かすことにより、ワークWの孔部H1(又はもう一つの孔部H2)の周りの鋼材表面に発泡シール材50を円形に変形して、円形ループ状に貼り付けることができる。また、貼り付けハンド20の先端が四角形を描くように貼り付けハンド20を動かせば、発泡シール材50を三角形、四角形その他の所望の形状に変形して貼り付けることも可能である。ワークWの貼り付け面200は平面に限らず曲面である場合でも、貼り付けハンド20を曲面に合わせて動かすことにより、当該曲面に発泡シール材50を貼り付けることができる。
【0046】
貼り付けハンド20は、1回の貼り付け動作が完了すると、再びプリセット装置30に戻り、次の発泡シール材50をピックアップし、同様に、離型紙51の剥離、貼り付けの各動作を行うように構成されている。
【0047】
以上のように、本実施形態の発泡シール材の自動貼り付け装置100によれば、直線状の発泡シール材50から離型紙51を剥離し、発泡シール材50を円形や、四角形等の形状を含む所望の形状に変形してワークWの貼り付け面200に貼り付けることができる。
【符号の説明】
【0048】
10 ロボット
11 基台
12 回転板
13 アーム
20 貼り付けハンド
21a,21b 先端クランプ部
22a,22b 側面クランプローラ
23 上面ガイドローラ
24 空気浮遊装置
25 回転バー
26a,26b 空気噴射ノズル
27 押し付けローラ
28 ローラ支持部
30 プリセット装置
31 基台
32a,32b レール
33 キャリア
40 剥離装置
41 基台
42 レール
43 走行台
44 走行バー
50 発泡シール材
51 離型紙
100 発泡シール材の自動貼り付け装置
200 貼り付け面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14