特許第5721283号(P5721283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721283
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】真空掃除機用クリーナーヘッド
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/04 20060101AFI20150430BHJP
   F02C 1/00 20060101ALI20150430BHJP
   F01D 1/06 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   A47L9/04 A
   F02C1/00
   F01D1/06
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-168243(P2013-168243)
(22)【出願日】2013年8月13日
(65)【公開番号】特開2014-36858(P2014-36858A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2013年8月14日
(31)【優先権主張番号】1214420.0
(32)【優先日】2012年8月13日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508032310
【氏名又は名称】ダイソン テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ マーティン コールマン
(72)【発明者】
【氏名】サイモン ピーター クロス
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−500138(JP,A)
【文献】 特開2003−021385(JP,A)
【文献】 特開平11−009523(JP,A)
【文献】 特開2011−183159(JP,A)
【文献】 特開昭60−153832(JP,A)
【文献】 特開2008−036271(JP,A)
【文献】 特開2006−297049(JP,A)
【文献】 特開2008−086550(JP,A)
【文献】 特開平04−276224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/02−9/08
F01D 1/00−11/10
F02C 1/00−9/58
F23R 3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空掃除機用クリーナーヘッドであって、
第1の空気流が流入する吸引入口と、
第2の空気流が流入するタービン入口と、
前記第1の空気流及び前記第2の空気流が吐出する出口と、
前記第1の空気流を前記吸引入口から前記出口へ送るための第1の空気流路と、
前記第2の空気流を前記タービン入口から前記出口へ送るための第2の空気流路と、
掃除面を攪拌するための攪拌機と、
前記第2の空気流により駆動されるタービンを含み、前記攪拌機を駆動するための駆動組立体と、
前記第2の空気流路に配置され、前記第2の空気流路が制限されない開放位置と前記第2の空気流路が制限される閉鎖位置との間を移動可能なバッフルと、
を備え、
前記バッフルは、開放位置に付勢され、前記第2の空気流は、開放位置においてバッフル上に揚力を及ぼし、前記バッフルは、前記第2の空気流の前記バッフルにおける動圧が閾値を超える場合に前記閉鎖位置に移動する、クリーナーヘッド。
【請求項2】
前記バッフルは、付勢力によって開放位置に付勢され、前記バッフルは、前記揚力が前記付勢力を超える場合に閉鎖位置に移動する、請求項1に記載のクリーナーヘッド。
【請求項3】
前記バッフルは、前記第2の空気流の質量流量が前記駆動組立体及び前記攪拌機を十分に駆動できないように、前記第2の空気流路を制限する、請求項1又は2に記載のクリーナーヘッド。
【請求項4】
前記バッフルは、ユーザが前記バッフルを前記開放位置と前記閉鎖位置との間で移動できるように、ユーザ操作可能アクチュエータに結合される、請求項1から3のいずれかに記載のクリーナーヘッド。
【請求項5】
前記第1の空気流及び前記第2の空気流は、前記出口における吸引力に応じて発生し、前記バッフルは、前記吸引力が前記バッフルを前記閉鎖位置に留めると共に、前記吸引力が除かれる場合に前記バッフルが前記開放位置に戻るように構成される、請求項1から4のいずれかに記載のクリーナーヘッド。
【請求項6】
前記バッフルは、該バッフルが前記閉鎖位置にある場合、前記第2の空気流路内で変形してシールをもたらす可撓性シールを備える、請求項1から5のいずれかに記載のクリーナーヘッド。
【請求項7】
前記バッフルは、前記シールが取り付けられ、前記シールよりも剛性の高い材料で形成される本体を備える、請求項6に記載のクリーナーヘッド。
【請求項8】
前記バッフルは、前記開放位置にある場合は前記第2の空気流路の壁に対して略平行に位置し、前記バッフルは、前記閉鎖位置にある場合は前記第2の空気流路の壁に対して略垂直に位置する、請求項1から7のいずれかに記載のクリーナーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空掃除機用クリーナーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、真空掃除機のクリーナーヘッドは駆動組立体で駆動される攪拌機を備える駆動組立体は、攪拌機を駆動するのに必要なトルクを発生するタービンを含むことができる。タービンは、主吸引入口を通って引き込まれる汚れ空気で駆動することができる。もしくは、タービンは、吸引入口とは別個の入口を通って吸い込まれる清浄な空気によって駆動することができる。
【0003】
清浄空気式のタービンには、タービンを詰まらせる可能性のある汚れ空気にタービンが晒されないという利点がある。しかしながら、汚れ空気を送る経路が詰まった状態になると、タービンを通る清浄な空気の流量が増える可能性がある。その結果、タービンの回転速度が高くなる可能性がある。回転速度はタービンの通常の回転速度よりも桁違いに高くなる。その結果、軸受け等の駆動組立体の構成部品が損傷する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公開第2012/0144621号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
清浄空気式タービンの過回転速度を防止する方法は公知である。しかしながら、この方法は、複雑になる傾向があるので、クリーナーヘッドのコストが高くなり、寸法、及び/又は重量が増えてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、真空掃除機用クリーナーヘッドを提供し、クリーナーヘッドは、第1の空気流が流入する吸引入口と、第2の空気流が流入するタービン入口と、第1の空気流及び第2の空気流が吐出する出口と、第1の空気流を吸引入口から出口へ送るための第1の空気流路と、第2の空気流をタービン入口から出口へ送るための第2の空気流路と、掃除面を攪拌するための攪拌機と、第2の空気流により駆動されるタービンを含み攪拌機を駆動するための駆動組立体と、第2の空気流路に配置され、第2の空気流路が制限されない開放位置と第2の空気流路が制限される閉鎖位置との間を移動可能なバッフルとを備え、バッフルは開放位置に付勢され、第2の空気流は開放位置においてバッフル上に揚力を及ぼし、バッフルは第2の空気流のバッフルにおける動圧が閾値を超える場合に閉鎖位置に移動する。
【0007】
従って、バッフルは、第2の空気流の動圧が閾値を超えると自動的に閉じる。バッフルは第2の空気流路を制限するように閉鎖するので、第2の空気流の質量流量が低減する。第2の空気流はタービンの駆動を担うので、駆動組立体の過回転速度を防止することができる。過回転速度を防止する既存の方法に比べて、バッフルは、より単純で実装が安価であり軽量である。更に、バッフルは第2の空気流路内に配置されるので、過回転速度保護は、クリーナーヘッドのサイズが増大することなく実現することができる。
【0008】
バッフルは、第2の空気流路を完全に制限することができるので、不可避な漏れ以外、第2の空気流がタービン入口から出口に流れることが阻止される。その結果、駆動組立体及び攪拌機は停止する。もしくは、バッフルは第2の空気流路を部分的に制限できるので、第2の空気流は、引き続きタービン入口から出口に流れることができる。第2の空気流の質量流量は、駆動組立体及び攪拌機を駆動するには十分である。しかしながら、第2の空気流路を部分的に制限すると、質量流量は低減され、駆動組立体の過回転速度が防止される。
【0009】
バッフルは、バネ又は弾性テザーによりもたらされる付勢力によって開放位置に付勢することができる。その結果、バッフルは、揚力が付勢力を超える場合に閉鎖位置に移動する。
【0010】
閉鎖位置にある場合、バッフルは、第2の空気流の質量流量が駆動組立体及び攪拌機を十分に駆動できないように、第2の空気流路を制限する。このことは、第1の空気流路内で詰まりが発生した場合に、ユーザに詰まりが発生したという明確な指示を与えという利点をもたらす(つまり、攪拌機の停止)。
【0011】
バッフルは、ダイヤル又はノブといったユーザ操作可能アクチュエータに結合することができる。従って、ユーザは、第2の空気流の動圧に関係なくバッフルを開放位置と閉鎖位置との間で移動させることができる。バッフルが完全に第2の空気流路を制限する場合、ユーザ操作可能アクチュエータは、攪拌機を作動及び非作動にするために使用することができる。もしくは、バッフルが第2の空気流路を部分的に制限する場合、ユーザ操作可能アクチュエータは、攪拌機に関する異なる2つの動力設定値の間で切り替えるために使用することができる。
【0012】
第1の空気流及び第2の空気流は出口の吸引力に応じて発生する。バッフルは、閉鎖位置にある場合、吸引力がバッフルを閉鎖位置に留めるように、及び吸引力が除かれる場合にバッフルが開放位置に戻るように構成できる。このことは、真空掃除機を使用する際に、真空掃除機が電源オフになるか又はクリーナーヘッドが真空掃除機から取り外されるまで、バッフルは閉鎖したままであるという利点をもたらす。クリーナーヘッドは、主として攪拌機が作動した状態で(バッフルが第2の空気流路を完全に制限する場合)、又は高出力モードで(第2の空気流路を部分的に制限する場合)使用することが意図されている。吸引力が除かれるとバッフルが開放位置に確実に戻るようにすることで、真空掃除機が後で電源オンされるか又は床ツールが後で真空掃除機に再装着される場合に、攪拌機は再度作動されるか又は高出力モードに戻される。
【0013】
閉鎖位置に移動する場合、バッフルと第2の空気流路の壁との間に1つ又はそれ以上の小さな隙間が存在する。第2の空気流がこの隙間を通って吸い込まれると、不要な騒音又は振動が発生する場合がある。従って、バッフルは、閉鎖位置において第2の空気流路内で変形してシールをもたらす可撓性シールを備えることができる。その結果、このような隙間を回避するか又は最小にすることができる。
【0014】
バッフルは、シールが取り付けられた本体を備える。本体は、シールよりも剛性の高い材料で形成される。例えば、本体は、熱可塑性物質で形成することができるが、シールは天然ゴム又は合成ゴムで形成することができ、シールは本体上にオーバーモールドすることができる。使用時、出口における吸引力は、バッフルを閉鎖位置に留めることが意図される。バッフルが柔軟な材料だけで形成されると、バッフルは閉鎖位置にある場合におそらく変形することになる。バッフルが剛性の高い本体と可撓性シールとを備えると、バッフルは、閉鎖位置にある場合にその位置に留まると共に第2の空気流路内にシールをもたらすために変形することができる。
【0015】
バッフルは、開放位置にある場合は第2の空気流路の壁に対して略平行に位置し、閉鎖位置にある場合は第2の空気流路の壁に対して略垂直に位置することができる。その結果、比較的コンパクトな構成を実現できる。壁に対して平行に置くことで、バッフルは、開放位置にある場合に第2の空気流を阻害することはない。
【0016】
本発明を容易に理解するために、本発明の実施形態は、添付図面を参照して以下に例示的に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明によるクリーナーヘッドの組立分解図である。
図2】クリーナーヘッドの上方からの等角図である。
図3】クリーナーヘッドの下方からの等角図である。
図4】クリーナーヘッドの駆動制御機構の組立分解図である。
図5】駆動制御機構のバッフルの断面図である;
図6】クリーナーヘッドの平面A−Aに沿った断面図である。
図7】クリーナーヘッドの平面B−Bに沿った断面図であり、駆動制御機構のバッフルは開放位置にある。
図8】クリーナーヘッドの平面B−Bに沿った断面図であり、駆動制御機構のバッフルは閉鎖位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1−8のクリーナーヘッド1は、ハウジング2、攪拌機3、駆動組立体4、及び駆動制御機構5を備える。ハウジング2は、複数の異なるセクション2a−2cを備え、これらを組み立てると吸引入口6、タービン入口7、出口8、吸引入口6から出口8へ第1の空気流を送るための第1の空気流路9、及びタービン入口7から出口8へ第2の空気流を送るための第2の空気流路10が形成される。
【0019】
吸引入口6は、ハウジング2の下面に形成される。使用時、汚れ空気は吸引入口6から吸い込まれ、第1の空気流路9によって出口8に送られる。
【0020】
タービン入口7は、ハウジング4の後部に形成される。この位置によって、運転時に汚れ空気ではなく清浄な空気がタービン入口7を通って吸い込まれる。ここから清浄な空気は第2の空気流路10によって出口8へ送られる。
【0021】
第1及び第2の空気流路9、10は、ハウジング2の壁によって定められる。第1の空気流路9は攪拌機チャンバ11を備え、第2の空気流路10はタービンチャンバ12を備える。2つの空気流路9、10は、ハウジング2の後部に配置される出口8で合流する。
【0022】
攪拌機3は、掃除面を攪拌するための剛毛、フリッカーストリップ、又は他の手段14が取り付けられた細長い本体13を備える。攪拌機3は、攪拌機チャンバ11の中に回転可能に取り付けられる。詳細には、攪拌機3の一端は、取り外し可能なキャップ16内に固定されたブッシュ15に取り付けられている。攪拌機3の他端は、駆動組立体4の一部を構成するドッグ19に取り付けられている。
【0023】
駆動組立体4は、タービン17及び該タービン17で発生したトルクを攪拌機3に伝達するための動力伝達装置18を備える。動力伝達装置18は、特に、攪拌機3の一端が取り付けられるドッグ19を備える。タービン17は、タービンチャンバ12内に取り付けられ、第2の空気流により駆動される。駆動組立体4の詳細構造は本発明には関連せず、本クリーナーヘッド2での使用に適する駆動組立体は公知である。例示的に、ダイソン社から販売されているDC12型真空掃除機のクリーナーヘッド及びダイソン社からペットの毛を除去するための付属品として販売される小型タービンヘッドの各々は、本クリーナーヘッド2に搭載するのに適した駆動組立体を含んでいる。
【0024】
駆動制御機構7は、シャフト20、バッフル21、リテーナ22、トーションバネ23、及びユーザ操作可能なアクチュエータ24を備える。バッフル21は半円形状であり、直線エッジに沿ってシャフト20に取り付けられる。バッフル21は、比較的剛性の高い材料で形成された本体25を備え、この上にはより柔軟な材料のカバー26が成形されている。カバー26は本体25を超えて突出しており、可撓性シール27を形成するようになっている。
【0025】
リテーナ22は、片側にフックを有する円盤形本体を備える。リテーナ22は、シャフト20に取り付けられて、シャフト20から半径方向外向きに突出している。
【0026】
バネ23は、リテーナ22においてシャフト20に取り付けられている。更に、バネ23の一方のアームは、リテーナ22のフックに固定されている。
【0027】
ユーザ操作可能アクチュエータ24は、シャフト20の一端に取り付けられる円筒ダイヤルを備える。アクチュエータ24を回転させると、シャフト20はシャフトの周りを回転する。
【0028】
シャフト20、バッフル21の本体25、及びリテーナ22は、一体成形構成部品として形成される。このことは、結果的に駆動制御機構5の製造を容易にする。しかしながら、同様に、種々の部品を別個に形成して相互に連結することもできる。
【0029】
ユーザ操作可能アクチュエータ24及びシャフト20のアクチュエータ24に取り付く部分を除いて、駆動制御機構5はハウジング2内に配置される。
【0030】
リテーナ22は、ハウジング2の凹部に収容される。前述のようにバネ23の一方のアームはリテーナ22に保持される。バネ23の他方のアームはハウジング2に保持される。その結果、シャフト20が回転すると、バネ23は捻られて反対方向の付勢力が作用する。
【0031】
バッフル21は、タービンチャンバ12の下流側かつ出口8の上流側の位置の第2の空気流路10内に配置される。バッフル21は、開放位置と閉鎖位置との間を移動可能である。図7に示す開放位置において、バッフル21は、第2の空気流路の壁に対して横たわる。図8に示す閉鎖位置において、バッフル21は、壁に対して垂直に位置する。バッフル21は、閉鎖位置にある場合に第2の空気流路10を閉鎖するような形状及び寸法である。本実施形態において、バッフル21での第2の空気流路10の断面形状は、略半円形、つまりバッフル21の形状である。第2の空気流路10の壁は、閉鎖位置でバッフル21が当接する小さな突出部28を含む。突出部28は、以下に詳細に説明するように、バッフル21が閉鎖位置を超えて移動するのを防止する。
【0032】
ユーザ操作可能アクチュエータ24を回転させると、バッフル21は開放位置と閉鎖位置との間を移動する。従って、アクチュエータ24は、バッフル21が開放位置にあるオン位置と、バッフル21が閉鎖位置にあるオフ位置とを有すると見なすことができる。トーションバネ23の付勢力により、アクチュエータ24はオン位置に付勢される。
【0033】
クリーナーヘッド1は真空掃除機の一部を構成することが意図される。例えば、クリーナーヘッド1は、真空掃除機の主クリーナーヘッドを構成することができる。もしくは、クリーナーヘッド1は、真空掃除機のワンド、ホース等に取り付けることが意図される付属品を構成する。
【0034】
使用時、真空掃除機はクリーナーヘッド1の出口8で吸引力を発生する。吸引力により、第1の空気流は吸引入口6を通って吸い込まれ、第2の空気流はタービン入口7を通って吸い込まれる。第1の空気流は第1の空気流路9によって出口8に送られ、第2の空気流は第2の空気流路10によって出口8に送られる。
【0035】
第2の空気流路10に配置されるタービン17は、第2の空気流によって駆動される。タービン17が発生するトルクは動力伝達装置18によって攪拌機3に伝達される。攪拌機3が回転すると、剛毛又は他の手段14は、吸引入口6を超えて突出して、掃除面を攪拌する。攪拌により汚れは掃除面から浮き上がり、結果的に汚れは吸引入口6を通って吸い込まれる。従って、第1の空気流路9は汚れ空気を送ることが意図されているが、第2の空気流路10は清浄な空気を送ることが意図されている。汚れが偶発的に第2の空気流によって運ばれることを防ぐために、タービン入口7を微細メッシュ又は他のスクリーンでカバーすることができる。
【0036】
バッフル21は、トーションバネ23によって開放位置に付勢される。開放位置にある場合、第2の空気流路10は開放されるので、第2の空気流はタービン入口7から出口8に自由に流れる。その結果、タービン17は第2の空気流によって駆動されるので攪拌機3は回転する。
【0037】
攪拌機3の回転は、ユーザ操作可能アクチュエータ24をオン位置からオフ位置に回転させることで止めることができる。アクチュエータ24をオフ位置に回転させると、バッフル21は開放位置から閉鎖位置に移動する。バッフル21が閉鎖位置にある場合、第2の空気流路10は閉鎖されるので、第2の空気流のタービン入口7から出口8への流れが阻止される。その結果、タービン17、従って攪拌機3の回転は停止する。
【0038】
バッフル21が閉鎖位置にある場合、真空掃除機が発生する吸引力は、バッフル21の片側に不完全真空を引き起こす。一方で、バッフル21の反対側は外気である。その結果、バネ23の付勢力を超える正味の力が存在して、バッフル21を閉鎖位置に維持する。バッフル21は、2つのうちのどちらかの方法で開放位置に戻される。第1の方法として、ユーザ操作可能アクチュエータ24をオン位置に回転させることができる。従って、アクチュエータ24は、攪拌機3を作動/非作動にするために使用できる。第2の方法として、真空掃除機が発生する吸引力は、真空掃除機の電源をオフにすることで、又はクリーナーヘッド1を真空掃除機から取り外すことでクリーナーヘッド1から除くことができる。その結果、バッフル21は、バネ23の付勢力の下で開放位置に戻る。クリーナーヘッド1は、主として攪拌機3を作動状態で使用することが意図されている。吸引力が除かれるとバッフル21が確実に開放位置に戻ることは、真空掃除機がその後に電源オンになる場合に又はクリーナーヘッド1がその後に真空掃除機に再度取り付けられる場合に、攪拌機3が即座に作動するという利点がある。
【0039】
使用時、第1の空気流路9は、汚れ又は偶発的に吸引入口6を通って吸い込まれた他の物体によって、詰まった状態になる場合がある。詰まることは、第1の空気流の質量流量の低減につながる。出口8での吸引力は概して不変なので、第2の空気流の質量流量が増加する。その結果、タービン17の回転速度が高くなる。タービン17の過回転速度により、軸受けといった駆動組立体4の構成部品が損傷する場合がある。しかしながら、以下に説明するように、バッフル21は、第2の空気流の質量流量が、さもなければ過回転速度につながるレベルに達するとすぐに自動的に閉鎖位置に移動する。
【0040】
バッフル21が開放位置にある場合、第2の空気流はバッフル21に揚力を与える。第2の空気流の質量流量が正常な動作限界にある場合、バネ23の付勢力は、第2の空気流の揚力を超えている。その結果、クリーナーヘッド1の正常な使用中にはバッフル21は開放位置に保持される。第1の空気流路9内で詰まりが発生すると、第2の空気流の質量流量が増える。その結果、バッフル21における第2の空気流の動圧が大きくなるので、バッフル21に第2の空気流が与える揚力が増大する。バッフル21における動圧が閾値を超えると、揚力がバネ23の付勢力を超えるのでバッフル21は閉鎖位置に移動する。従って、バッフル21は、第2の空気流の質量流量が、さもなければ駆動組立体4の過回転速度につながるレベルに達するとすぐに自動的に閉鎖位置に移動する。
【0041】
バッフル21が自動的に閉鎖位置に移動すると、攪拌機3の回転は停止する。従って、ユーザには、第1の空気流路の詰まりが発生していることが指示される。このことは、何らかの詰まりはクリーナーヘッド1の掃除性能を損なう可能性があるので特に有用である。バッフル21が無いと、ユーザは詰まりが発生していることを知ることができない。このことは攪拌機3が回転し続けることができるので特に当てはまる。
【0042】
詰まりが発生すると、真空掃除機が電源オンで引き続き出口8に吸引力を加えた状態で、ユーザは詰まりを取り除くことを試みることができる。前述のように、出口8に発生する吸引力は、バッフル21を閉鎖位置に維持する。従って、詰まりを取り除く間は、攪拌機3は動かない。ユーザ(詰まりを取り除くためのユーザの手)に対する潜在的な危害は回避される。
【0043】
前述のように、バッフル21における第2の空気流の動圧が閾値を超えるとすぐにバッフル21は閉鎖位置に移動する。いくつかの要因がこの閾値の大きさに影響する。その主たるものは、第2の空気流路10の断面積、トーションバネ23のバネ定数、バッフル21の質量、バッフル21の揚力係数である。揚力係数は、特に、バッフル21の形状及び迎え角によって求まる。これらの要因のうちのいずれかを調整すると、バッフル21が閉鎖位置に移動する動圧閾値に影響する。従って、例えば、トーションバネ23のバネ定数が小さくなると、バッフル21は、より低い動圧、従ってより少ない質量流量に応えて閉鎖位置に移動することになる。
【0044】
バッフル21が閉鎖位置にある場合、バッフル21は、第2の空気流路10の壁の突出部28に当接する。従って、これは、バッフル21が閉鎖位置を超えて移動することを阻止する。突出部28が無いと、出口8における吸引力により、バッフル21が閉鎖位置を超えて移動する可能性がある。従って、第2の空気流は引き続き流れることができ、タービン17の過回転速度保護はもはや行われない。本実施形態において、バッフル21は、突出部28によって止められる。しかしながら、バッフル21の閉鎖位置を超えた移動を阻止するための他の手段を同様に使用することができる。例えば、第2の空気流路10の壁は隆起部を含むこと、又は壁はわずかに狭くなることができる。別の代替え方法として、シャフト20又はリテーナ22は、90度の回転だけを可能にする特徴部を含むことができる。
【0045】
バッフル21は、比較的剛性の高い材料で形成された本体25を備え、本体25の上には柔軟な材料のカバー26が形成されている。カバー26は、本体25を超えて突出して、バッフル21の外周で可撓性シール27をもたらすようになっている。閉鎖位置において、シール27は変形して、第2の空気流路10の壁に対するシールを形成するようになっている。その結果、騒音及び/又は振動を生じることになるバッフル21の周りの潜在的な漏れが防止される。
【0046】
バッフル21が柔軟な材料だけで作られる場合、バッフル21は、閉鎖位置において真空掃除機の吸引力の下でおそらく変形することになる。その結果、第2の空気流は、バッフル21を通って引き続き流れることになる。実際に、バッフル21は、過回転速度保護及び/又は手動オン/オフ制御がもはや可能でない範囲まで変形する場合がある。バッフル21が比較的剛性の高い材料で形成される本体25を備えると、バッフル21は、閉鎖位置において真空掃除機の吸引力の下で確実に変形しない剛性を有することになる。従って、剛性が高い本体25と可撓性シール26との組み合わせにより、バッフル21は閉鎖位置において確実にその位置に留まり、同時に外周が変形して第2の空気流路10内のシールをもたらすようになっている。
【0047】
前述の利点にも関わらず、バッフル21の周りの何らかの漏れは駆動組立体4 及び攪拌機3を駆動するのに十分ではないので、シール27は本質的要素と見なされない。駆動組立体4及び攪拌機3が回転したとしても速度は比較的低いであろう。更に、バッフル21の周りの漏れにより発生する何らかの騒音は、実際にはユーザに対して第1の空気流路9において詰まりが発生しているという更なる指示を与える役割を果たすことができる。従って、シール27及び該シール27をもたらすために使用されるカバー26は省くことができる。
【0048】
前述の実施形態において、バッフル21は、閉鎖位置にある場合にバッフル21が第2の空気流路10を完全に閉鎖するような大きさ及び形状に作られている。結果的に、不可避的な漏れ以外に、第2の空気流はタービン入口7から出口8に流れることが阻止されるので、駆動組立体4及び攪拌機3は停止する。場合によると、バッフル21は、第2の空気流路10の一部を閉鎖するような大きさ及び形状に作ることができる。この場合、第2の空気流は、タービン入口7から出口8に引き続き流れることができる。更に、第2の空気流の質量流量は、駆動組立体4及び攪拌機3を駆動するのに充分な場合がある。しかしながら、第2の空気流路10を部分的に閉鎖すると第2の空気流の質量流量が低減する。その結果、駆動組立体4の過回転速度を回避することができる。更に、ユーザ操作可能アクチュエータ24は、駆動組立体4及び攪拌機3に関する異なる動力設定値の間で切り替えるために使用できる。例えば、バッフル21が開放位置にある場合、第2の空気流の質量流量はより大きいので駆動組立体4及び攪拌機3はより大きな動力で駆動される。対照的に、バッフル21が閉鎖位置にある場合、第2の空気流の質量流量はより小さいので駆動組立体4及び攪拌機3はより小さい動力で駆動される。バッフル21は第2の空気流路10を部分的に又は完全に閉鎖するように構成できるので、第2の空気流路10は、バッフル21が閉鎖位置にある場合は制限され(例えば、部分的に又は完全に閉鎖される)、バッフル21が開放位置にある場合は制限されない(例えば、開放される)と言うことができる。
【0049】
駆動制御機構5は2つの機能を備える。第1に、攪拌機3を制御する手段をユーザに提供する。詳細には、攪拌機3を作動及び非作動にするために、又は異なる動力設定値に切り替えるためにアクチュエータ24を使用することができる。第2に、過度の質量流量に応じて自動的に第2の空気流路10を制限することで、駆動組立体4の過回転速度保護を可能にする。場合によれば、駆動制御機構5が過回転速度保護だけを提供するように、ユーザ操作可能アクチュエータ24を省くことができる。更に、シャフト20及びリテーナ22を省いて、バッフル21をハウジング2に直接取り付けることができる。例えば、バッフル21は、直線エッジの両端にピンを備えることができ、ピンは、バッフル21が第2の空気流路10内で自在に枢動できるようにハウジング2に保持される。従って、最も単純には、駆動制御機構5は、第2の空気流路10が制限されない(例えば、開放された)開放位置と第2の空気流路10が制限された(例えば、部分的に又は完全に閉鎖された)閉鎖位置との間を移動可能な、第2の空気流路10内に配置されたバッフル21と見なすことができる。従って、バッフル21は、開放位置に付勢され(例えば、バネ手段、弾性テザー、又は他の手段で)、バッフル21における第2の空気流の動圧が閾値を超える場合に閉鎖位置に移動する。
【0050】
前述の実施形態において、ユーザ操作可能アクチュエータ24は、シャフト20によってバッフル21に結合するダイヤルを備える。しかしながら、アクチュエータ24は、バッフル21に結合する場合に、バッフル21を開放位置から閉鎖位置へ移動させるためにユーザが操作できる他の手段を備えることができる(例えば、ノブ、レバー等)。
【0051】
前述の実施形態の攪拌機3は、掃除面を攪拌するための剛毛、フリッカーストリップ、又は他の手段14を有する細長い本体13を備える。この形式の攪拌機は、一般にはブラシバー又はたたきバーと呼ばれる。しかしながら、駆動組立体4によって駆動できる別の形式の攪拌機を使用することも可能である。例示的に、攪拌機3は、米国特許公開第2012/0144621号に記載の一対の回転ディスクを備えることができる。
【0052】
本発明は、駆動組立体4の過回転速度から保護するための比較的単純な機構5を提供する。既存の機構に比べて、バッフル21は比較的安価で軽量である。更に、バッフル21は駆動組立体4を駆動するための空気流を流すために使用される経路10内に配置されるので、過回転速度保護は、クリーナーヘッド1のサイズを増大させることなく実現することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 クリーナーヘッド
2 ハウジング
3 攪拌機
4 駆動組立体
6 吸引入口
8 出口
9 第1の空気流路
10 第2の空気流路
11 攪拌機チャンバ
21 バッフル
図1
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図8