特許第5721296号(P5721296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5721296
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/12 20060101AFI20150430BHJP
   C08F 293/00 20060101ALI20150430BHJP
   C08L 53/02 20060101ALI20150430BHJP
   C08L 25/04 20060101ALI20150430BHJP
   C08F 212/06 20060101ALI20150430BHJP
   C08F 236/04 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   C08J9/12CEQ
   C08J9/12CET
   C08F293/00
   C08L53/02
   C08L25/04
   C08F212/06
   C08F236/04
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-83644(P2014-83644)
(22)【出願日】2014年4月15日
【審査請求日】2014年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046314
【氏名又は名称】旭化成ケミカルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】星 進
(72)【発明者】
【氏名】荒木 祥文
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−336434(JP,A)
【文献】 特開2011−63689(JP,A)
【文献】 特開2004−307759(JP,A)
【文献】 再公表特許第2008/123240(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/12
C08F 212/06
C08F 236/04
C08F 293/00
C08L 25/04
C08L 53/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記、成分(I)〜(III)を含む発泡体;
成分(I):下記(1)〜(5)の条件を満足し、ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン化合物単量体単位とを含むブロック共重合体、
(1)共役ジエン化合物単量体を主体とする重合体ブロックBとビニル芳香族炭化水素単量体単位を主体とする重合体ブロックSとを有し、B1−S1−B2−S2の構造であること、
(2)ビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比が60/40〜80/20であること、
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるピーク分子量が5万〜30万の範囲内に少なくとも1つ存在すること、
(4)重合体ブロックSのGPC測定によるピーク分子量が、0.5万〜3万の範囲と7万〜20万の範囲との各々に少なくとも1つ存在すること、
(5)25℃の貯蔵弾性率(E’)が1×108〜10×108Paの範囲であるこ と、
成分(II):ビニル芳香族炭化水素重合体、
成分(III):発泡剤。
【請求項2】
前記重合体ブロックBがビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比が0/100〜10/90の重合体ブロックであり、
前記重合体ブロックSがビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックである、請求項1に記載の発泡体。
【請求項3】
前記成分(I)が、下記(6)〜(10)の条件を満足する、2種のブロック共重合体(I−1)及び(I−2)を含むブロック共重合体混合物である、請求項1又は2に記載の発泡体;
(6)前記ブロック共重合体(I−1)及び(I−2)が、共役ジエン化合物単量体を主体とする重合体ブロックBとビニル芳香族炭化水素単量体単位を主体とする重合体ブロックSとを有し、前記ブロック共重合体(I−1)がB3−S3−B4−S4の構造であり、前記ブロック共重合体(I−2)がB5−S5−B6−S6の構造であること、
(7)前記ブロック共重合体(I−1)のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比が30/70〜55/45であり、前記ブロック共重合体(I−2)のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン単量体単位の質量比が70/30〜90/10であること、
(8)前記ブロック共重合体(I−1)のGPC測定によるピーク分子量が3万以上10万未満の範囲に少なくとも1つ存在し、前記ブロック共重合体(I−2)のGPC測定によるピーク分子量が10万以上25万以下の範囲に少なくとも1つ存在すること、
(9)前記重合体ブロックS3〜S5のGPC測定によるピーク分子量が、各々0.5万〜3万の範囲に少なくとも1つ存在し、前記重合体ブロックS6のGPC測定によるピーク分子量が、7万〜20万の範囲に少なくとも1つ存在すること、
(10)前記ブロック共重合体混合物における前記ブロック共重合体(I−1)と前記ブロック共重合体(I−2)との質量比((I−1)/(I−2))が10/90〜50/50であること。
【請求項4】
前記成分(II)が下記(a)及び(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発泡体。
(a)非ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体
(b)ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体
【請求項5】
前記成分(I)と成分(II)との質量比(成分(I)/成分(II))が1/99〜30/70であり、
前記成分(III)の含有量が、前記成分(I)と成分(II)との合計量100質量部に対して0.05〜20質量部である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スチレン系樹脂の押出し発泡体は、連続して能率よく製造でき、その断熱性能、軽量性、低吸水性、加工性等の特性により、一般住居を初めとする建築物の断熱材及び畳の芯材等に利用されている。しかしながら、発泡技術として、樹脂と発泡剤との相溶性、樹脂温度と樹脂圧力とのバランスの維持、発泡剤の蒸気圧と樹脂粘度とのバランス等の問題から独立気泡率の制御と発泡セル形状の均一化とが難しく、そのため、これまでスチレン系樹脂の発泡体に関して種々の提案がなされている。
【0003】
特許文献1には、特別な混合分散手段を用いなくても、気泡膜の形成が充分で、独立気泡率が高く、発泡剤保持性に優れる押出発泡用スチレン系重合体樹脂組成物を得るため、特定分子量のスチレン系重合体と、スチレン・ブタジエンブロック共重合体及びその水素添加物から選ばれた樹脂とを使用することが提案されている。
【0004】
特許文献2には、低密度で、押出成形性が良好で、しかも良好な寸法安定性と高い機械的強度とを有するポリスチレン樹脂発泡体を目的として、メルトインデックス値の低いポリスチレン樹脂を使用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−231749号公報
【特許文献2】特開平10−306172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の発泡体は、独立気泡率の制御、発泡セル形状の均一化及び硬度のバランスが十分とはいえず、これらの特性の改善が求められている。
【0007】
本発明は、上記の従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、独立気泡率の制御、発泡セル形状の均一化及び硬度のバランスが良好な発泡体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン化合物単量体単位とを含むブロック共重合体、ビニル芳香族炭化水素重合体及び発泡剤を含有させることにより、上述した各種特性が良好な発泡体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
下記、成分(I)〜(III)を含む発泡体;
成分(I):下記(1)〜(5)の条件を満足し、ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン化合物単量体単位とを含むブロック共重合体、
(1)共役ジエン化合物単量体を主体とする重合体ブロックBとビニル芳香族炭化水素単量体単位を主体とする重合体ブロックSとを有し、B1−S1−B2−S2の構造を有すること、
(2)ビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比が60/40〜80/20であること、
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるピーク分子量が5万〜30万の範囲内に少なくとも1つ存在すること、
(4)重合体ブロックSのGPC測定によるピーク分子量が、0.5万〜3万の範囲と7万〜20万の範囲との各々に少なくとも1つ存在すること、
(5)25℃の貯蔵弾性率(E’)が1×108〜10×108Paの範囲であるこ と、
成分(II):ビニル芳香族炭化水素重合体、
成分(III):発泡剤。
[2]
前記重合体ブロックBがビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比が0/100〜10/90の重合体ブロックであり、
前記重合体ブロックSがビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックである、[1]に記載の発泡体。
[3]
前記成分(I)が、下記(6)〜(10)の条件を満足する、2種のブロック共重合体(I−1)及び(I−2)を含むブロック共重合体混合物である、[1]又は[2]に記載の発泡体;
(6)前記ブロック共重合体(I−1)及び(I−2)が、共役ジエン化合物単量体を主体とする重合体ブロックBとビニル芳香族炭化水素単量体単位を主体とする重合体ブロックSとを有し、前記ブロック共重合体(I−1)がB3−S3−B4−S4の構造を有し、前記ブロック共重合体(I−2)がB5−S5−B6−S6の構造を有すること、
(7)前記ブロック共重合体(I−1)のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比が30/70〜55/45であり、前記ブロック共重合体(I−2)のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン単量体単位の質量比が70/30〜90/10であること、
(8)前記ブロック共重合体(I−1)のGPC測定によるピーク分子量が3万以上10万未満の範囲に少なくとも1つ存在し、前記ブロック共重合体(I−2)のGPC測定によるピーク分子量が10万以上25万以下の範囲に少なくとも1つ存在すること、
(9)前記重合体ブロックS3〜S5のGPC測定によるピーク分子量が、各々0.5万〜3万の範囲に少なくとも1つ存在し、前記重合体ブロックS6のGPC測定によるピーク分子量が、7万〜20万の範囲に少なくとも1つ存在すること、
(10)前記ブロック共重合体混合物における前記ブロック共重合体(I−1)と前記ブロック共重合体(I−2)との質量比((I−1)/(I−2))が10/90〜50/50であること。
[4]
前記成分(II)が下記(a)及び(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]乃至[3]のいずれかに記載の発泡体。
【0010】
(a)非ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体
(b)ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体
[5]
前記成分(I)と成分(II)との質量比(成分(I)/成分(II))が1/99〜30/70であり、
前記成分(III)の含有量が、前記成分(I)と成分(II)との合計量100質量部に対して0.05〜20質量部である、[1]乃至[4]のいずれかに記載の発泡体。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、独立気泡率の制御、発泡セル形状の均一化及び硬度のバランスが良好な発泡体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0013】
≪発泡体≫
本実施形態の発泡体は、特定の条件を満足し、ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン化合物単量体単位とを含むブロック共重合体(以下「成分(I)」とも記す。)、ビニル芳香族炭化水素重合体(以下「成分(I)」とも記す。)、及び発泡剤(以下「成分(III)」とも記す。)を含む。
【0014】
先ず、本実施形態の発泡体を構成する各成分について説明する。
【0015】
(成分(I))
本実施形態の発泡体を構成する前記成分(I)は、ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン化合物単量体単位とを含み、下記(1)〜(5)の条件を満足するブロック共重合体である。
(1)共役ジエン化合物単量体を主体とする重合体ブロックBとビニル芳香族炭化水素単量体単位を主体とする重合体ブロックSとを有し、B1−S1−B2−S2の構造を有すること。
(2)前記成分(I)のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比が60/40〜80/20であること。
(3)前記成分(I)のGPC測定によるピーク分子量が5万〜30万の範囲内に少なくとも1つ存在すること。
(4)前記成分(I)におけるビニル芳香族炭化水素単量体を主体とする重合体ブロック(重合体ブロックS)のGPC測定によるピーク分子量が、0.5万〜3万の範囲と7万〜20万の範囲との各々に少なくとも1つ存在すること。
(5)前記成分(I)の25℃の貯蔵弾性率(E’)が1×108〜10×108Paの範囲であること。
【0016】
本明細書中において、重合体を構成する各単量体単位の命名は、単量体単位が由来する単量体の命名に従う。例えば、「ビニル芳香族炭化水素単量体単位」とは、単量体であるビニル芳香族炭化水素単量体を重合した結果生ずる重合体の構成単位を意味し、その構造は、置換ビニル基に由来する置換エチレン基の二つの炭素が重合体主鎖となっている分子構造である。また、「共役ジエン化合物単量体単位」とは、単量体である共役ジエンを重合した結果生ずる重合体の構成単位を意味し、その構造は、共役ジエン化合物単量体に由来するオレフィンの二つの炭素が重合体主鎖となっている分子構造である。
【0017】
本実施形態において、前記成分(I)は、独立気泡率の制御と発泡セル形状の均一化との観点から、下記(6)〜(10)の条件を満足する、2種のブロック共重合体(I−1)とブロック共重合体(I−2)と、を含むブロック共重合体混合物であることが好ましい。
(6)前記ブロック共重合体(I−1)及び(I−2)が、共役ジエン化合物単量体を主体とする重合体ブロックBとビニル芳香族炭化水素単量体単位を主体とする重合体ブロックSとを有し、前記ブロック共重合体(I−1)が「B3−S3−B4−S4」の構造を有し、前記ブロック共重合体(I−2)が「B5−S5−B6−S6」の構造を有すること。
(7)前記ブロック共重合体(I−1)のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比が30/70〜55/45であり、前記ブロック共重合体(I−2)のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比が70/30〜90/10であること。
(8)前記ブロック共重合体(I−1)のGPC測定によるピーク分子量が3万以上10万未満の範囲に少なくとも1つ存在し、前記ブロック共重合体(I−2)のGPC測定によるピーク分子量が10万以上25万以下の範囲に少なくとも1つ存在すること。
(9)重合体ブロックS3〜S5のGPC測定によるピーク分子量が、それぞれ0.5万〜3万の範囲に少なくとも1つ存在し、重合体ブロックS6のGPC測定によるピーク分子量が7万〜20万の範囲に少なくとも1つ存在すること。
(10)前記ブロック共重合体混合物における前記ブロック共重合体(I−1)と前記ブロック共重合体(I−2)との質量比((I−1)/(I−2))が10/90〜50/50であること。
【0018】
前記成分(I)のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比は、独立気泡率の制御、発泡セル形状の均一化及び硬度のバランスの観点から、60/40〜80/20であり、好ましくは63/37〜77/23、更に好ましくは65/35〜75/25である。
【0019】
成分(I)のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比は、後述する実施例記載の方法によって測定することができる。
【0020】
なお、成分(I)が混合物であり、成分(I)として複数のブロック共重合体を含む場合は、それぞれのブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比が60/40〜80/20である必要はなく、成分(I)となる複数のブロック共重合体の全体としてのビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比が60/40〜80/20になればよい。前記成分(I)がブロック共重合体(I−1)とブロック共重合体(I−2)と、を含むブロック共重合体混合物である場合、前記ブロック共重合体(I−1)のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比は30/70〜55/45が好ましく、より好ましくは35/65〜50/50、更に好ましくは40/60〜50/50であり、前記ブロック共重合体(I−2)のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比は70/30〜90/10が好ましく、より好ましくは75/25〜90/10、更に好ましくは80/20〜90/10である。
【0021】
前記ブロック共重合体(I−1)のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比が30/70〜55/45で、前記ブロック共重合体(I−2)のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比が70/30〜90/10であると、独立気泡率の制御、発泡セル形状の均一化及び硬度のバランスに一層優れる発泡体が得られるため好ましい。
【0022】
発泡体中のブロック共重合体(I−1)及びブロック共重合体(I−2)それぞれのビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比は、GPCで発泡体中のブロック共重合体(I−1)及びブロック共重合体(I−2)を分取後、核磁気共鳴装置によって測定することができる。
【0023】
前記ブロック共重合体(I−1)と前記ブロック共重合体(I−2)との質量比((I−1)/(I−2))は10/90〜50/50であることが好ましく、より好ましく15/85〜45/55、更に好ましくは20/80〜40/60である。前記ブロック共重合体(I−1)と前記ブロック共重合体(I−2)との質量比((I−1)/(I−2))が10/90〜50/50であると、独立気泡率の制御と発泡セル形状の均一化とに一層優れる発泡体が得られるため好ましい。
【0024】
発泡体中のブロック共重合体(I−1)とブロック共重合体(I−2)との質量比((I−1)/(I−2))は、GPC測定によるチャートの面積比によって測定することができる。
【0025】
<成分(I)の重合体ブロックB>
前記重合体ブロックBは共役ジエン化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックである。ここで主体とするとは、共役ジエン化合物単量体単位を50質量%よりも多い量で含有する、共役ジエン化合物とビニル芳香族炭化水素との共重合体ブロック又は共役ジエン化合物単独重合体ブロックを示すものとする。
【0026】
好ましい重合体ブロックBは、ビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比が0/100〜10/90、更に好ましくは0/100〜5/95の重合体ブロックである。重合体ブロックB1及びB2のビニル芳香族炭化水素単量体単位/共役ジエン化合物単量体単位の質量比は、同一であっても異なっていてもよい
<成分(I)の重合体ブロックS>
前記重合体ブロックSはビニル芳香族炭化水素単量体単位を主体とする重合体ブロックである。ここで主体とするとはビニル芳香族炭化水素単量体単位を50質量%以上で含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体ブロック又はビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックを示すものとする。
【0027】
好ましい重合体ブロックSはビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックである。
【0028】
<成分(I)のGPC測定によるピーク分子量>
前記成分(I)のGPC測定によるピーク分子量は、5万〜30万の範囲、好ましくは6万〜25万の範囲、更に好ましくは7万〜20万の範囲に少なくとも1つ存在する。
【0029】
前記成分(I)が2種のブロック共重合体(I−1)とブロック共重合体(I−2)と、を含むブロック共重合体混合物である場合、前記ブロック共重合体(I−1)のGPC測定によるピーク分子量が3万以上10万未満の範囲に少なくとも1つ存在し、前記ブロック共重合体(I−2)のGPC測定によるピーク分子量が10万以上25万以下の範囲に少なくとも1つ存在することが好ましく、前記ブロック共重合体(I−1)のピーク分子量が4万以上9万未満の範囲に少なくとも1つ存在し、前記ブロック共重合体(I−2)のGPC測定によるピーク分子量が11万以上22万以下の範囲に少なくとも1つ存在することがより好ましく、前記ブロック共重合体(I−1)のピーク分子量が5万以上8万未満の範囲に少なくとも1つ存在し、前記ブロック共重合体(I−2)のGPC測定によるピーク分子量が11万以上20万以下の範囲に少なくとも1つ存在することがさらに好ましい。
【0030】
前記成分(I)のGPC測定によるピーク分子量が5万〜30万の範囲に少なくとも1つ存在することにより、独立気泡率の制御と発泡セル形状の均一化とがさらに良好な発泡体を得ることができる。
【0031】
なお、成分(I)が混合物であり、成分(I)として複数のブロック共重合体を含む場合は、それぞれのブロック共重合体のピーク分子量ではなく、成分(I)となる複数のブロック共重合体の全体としてのピーク分子量が5万〜30万の範囲に少なくとも1つ存在すればよい。
【0032】
また、前記成分(I)がブロック共重合体(I−1)とブロック共重合体(I−2)とを含むブロック共重合体混合物である場合、前記ブロック共重合体(I−1)のGPC測定によるピーク分子量が3万以上10万未満の範囲に少なくとも1つ存在し、前記ブロック共重合体(I−2)のGPC測定によるピーク分子量が10万以上25万以下の範囲に少なくとも1つ存在することで、独立気泡率の制御と発泡セル形状の均一化とがさらに良好な発泡体を得ることができるため好ましい。
【0033】
前記成分(I)のピーク分子量は、重合開始剤量を制御することにより調整することができ、重合開始剤量を多くすることでピーク分子量は小さくなり、逆に重合開始剤量を少なくすることでピーク分子量は大きくなる。
【0034】
前記成分(I)のGPC測定によるピーク分子量は、後述する実施例記載の方法で成分(I)のGPC測定から分子量分布曲線を得た後、GPC測定から得た単分散ポリスチレンのピークカウント数と分子量から作成した検量線とを用いて、求めることができる。
【0035】
なお、本実施形態において、ピーク分子量とは、分子量分布曲線における横軸を分子量とした時の縦軸の高さの変化量の第1次微分値が零となる分子量を意味する。
【0036】
<成分(I)の重合体ブロックSのGPC測定によるピーク分子量>
前記成分(I)のビニル芳香族炭化水素単量体を主体とする重合体ブロック(重合体ブロックS)のGPC測定によるピーク分子量は0.5万〜3万の範囲と7万〜20万の範囲との各々に少なくとも1つ存在する。
【0037】
なお、成分(I)が混合物であり、成分(I)として複数のブロック共重合体を含む場合は、それぞれのブロック共重合体の重合体ブロックSのピーク分子量ではなく、成分(I)となる複数のブロック共重合体全体としての重合体ブロックSのピーク分子量が0.5万〜3万の範囲と7万〜20万の範囲との各々に少なくとも1つ存在すればよい。
【0038】
重合体ブロックS1(成分(I)がブロック共重合体(I−1)とブロック共重合体(I−2)とのブロック共重合体混合物である場合は重合体ブロックS3〜S5も含む)のピーク分子量が0.5万〜3万の範囲に少なくとも1つ存在し、重合体ブロックS2(成分(I)がブロック共重合体(I−1)とブロック共重合体(I−2)とのブロック共重合体混合物である場合は重合体ブロックS6も含む)のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのピーク分子量が7万〜20万の範囲に少なくとも1つ存在することが好ましく、重合体ブロックS1のピーク分子量が1万〜2.5万の範囲に少なくとも1つ存在し、重合体ブロックS2のピーク分子量が8万〜18万の範囲に少なくとも1つ存在することがより好ましく、重合体ブロックS1のピーク分子量が1.3万〜2.2万の範囲に少なくとも1つ存在し、重合体ブロックS2のピーク分子量が9万〜15万の範囲に少なくとも1つ存在することが更に好ましい。
【0039】
GPC測定による重合体ブロックSのピーク分子量が0.5万〜3万の範囲と7万〜20万の範囲との各々に少なくとも1つ存在することで発泡セル形状が均一で硬度が良好な発泡体を得ることができる。重合体ブロックSのGPC測定によるピーク分子量はブロック共重合体の分子量(分子量は重合開始剤量で調整される)及び重合体ブロックS1、S2の組成比率(重合時の仕込み量で調整される)を変えることで調整できる。
【0040】
前記成分(I)のビニル芳香族炭化水素単量体を主体とする重合体ブロックSのピーク分子量は、四酸化オスミウムを触媒として、ジ・ターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによりブロック共重合体を酸化分解する方法〔I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法〕により得たビニル芳香族炭化水素単量体を主体とする重合体ブロック成分を試料とする以外は前述の<成分(I)のGPC測定によるピーク分子量>と同様にゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析することにより求めることができる。
【0041】
<成分(I)の25℃の貯蔵弾性率(E’)>
前記成分(I)の25℃の貯蔵弾性率(E’)が1×108〜10×108Paの範囲であり、好ましくは1.5×108〜9×108Paの範囲、更に好ましくは2×108〜8×108Paの範囲である。前記成分(I)の25℃の貯蔵弾性率(E’)が1×108〜10×108Paの範囲であると、発泡セル形状が均一で硬度が良好な発泡体を得ることができる。
【0042】
なお、成分(I)が混合物であり、成分(I)として複数のブロック共重合体を含む場合は、それぞれのブロック共重合体の25℃の貯蔵弾性率(E’)が上記範囲である必要はなく、成分(I)となる複数のブロック共重合体の全体としての25℃の貯蔵弾性率(E’)が上記範囲になればよい。
【0043】
前記成分(I)の25℃での貯蔵弾性率(E’)は、(i)成分(I)中のビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン化合物単量体単位との含有比率、(ii)重合体ブロックB1とB2(ブロック共重合体混合物の場合は、B3、B4とB5、B6)との質量比、(iii)重合体ブロックS1とS2(ブロック共重合体混合物の場合は、S3、S4とS5、S6)とのピーク分子量を調整することで制御できる。前記(i)はビニル芳香族炭化水素単量体単位の含有量が増すほど25℃での貯蔵弾性率(E')は高くなる傾向にあり、減少すると25℃での貯蔵弾性率(E')は低くなる傾向にある。前記(ii)は重合体ブロックB1/B2の質量比を小さくするほど25℃での貯蔵弾性率(E')は高くなる傾向にあり、大きくすると25℃での貯蔵弾性率(E')は低くなる傾向にある。前記(iii)は重合体ブロックS1のピーク分子量を小さく、重合体ブロックS2のピーク分子量を大きくするほど25℃での貯蔵弾性率(E')は高くなる傾向にあり、重合体ブロックS1のピーク分子量を大きく、重合体ブロックS2のピーク分子量を小さくするほど25℃での貯蔵弾性率(E')は低くなる傾向にある。
【0044】
25℃での貯蔵弾性率(E’)は後述する実施例記載の方法で測定することができる。
【0045】
<成分(I)の製造方法>
前記成分(I)は、基本的には、従来公知の方法を適用して合成でき、特に限定されるものではないが、例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭57−49567号公報、特公昭58−11446号公報等に開示されているように、炭化水素溶剤中で有機リチウム化合物等のアニオン開始剤を用いて、共役ジエン化合物とビニル芳香族炭化水素とをブロック共重合する方法により合成することができる。
【0046】
前記成分(I)の製造において、共役ジエン化合物単量体を主体とする重合体ブロックB1及びB2と、ビニル芳香族炭化水素単量体単位を主体とする重合体ブロックS1及びS2とを有し、B1−S1−B2−S2の構造を有する成分(I)を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、B1、S1、B2及びS2をこの順で重合する方法が挙げられる。
【0047】
また、前記成分(I)の製造工程においては、目的とする要求特性に応じて後述する所定の添加剤を添加することができる。成分(I)を重合する工程においては、上述したように炭化水素溶媒を用いることができる。炭化水素溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合使用してもよい。
【0048】
前記成分(I)を構成するビニル芳香族炭化水素としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン等が挙げられる。特に、反応性が良好で、高強度となる傾向にあるため、スチレンが好ましい。これらは、1種のみを用いてもよく2種以上を混合使用してもよい。
【0049】
前記成分(I)を構成する共役ジエン化合物とは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。特に、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合使用してもよい。
【0050】
上記共役ジエン化合物として1,3−ブタジエンとイソプレンとを併用する場合、1,3−ブタジエンとイソプレンとの全質量に対してイソプレンの割合は10質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。1,3−ブタジエンとイソプレンとの全質量に対して、イソプレンが10質量%以上である場合、高温での成形加工時のゲルの発生が効果的に抑制される傾向にある。
【0051】
前記成分(I)を重合する工程においては、上述したようにアニオン開始剤を用いることができる。アニオン開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、有機リチウム化合物として、分子中に一個以上のリチウム原子が結合した有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物等が適用できる。具体的には、特に限定されるものではないが、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合使用してもよい。
【0052】
前記成分(I)を重合する工程においては、重合速度の調整、重合した共役ジエン部のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)の変更、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との反応比の調整等の目的で、極性化合物やランダム化剤を使用することができる。極性化合物やランダム化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類;トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類;チオエーテル類;ホスフィン類;ホスホルアミド類;アルキルベンゼンスルホン酸塩;カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
【0053】
前記成分(I)の重合温度条件は、以下に限定されないが、一般的には例えば−10℃以上150℃以下の範囲であり、好ましくは40℃以上120℃以下の範囲である。
【0054】
前記成分(I)の重合に要する時間は、条件によって異なるが、一般的には例えば48時間以内で行うことができ、特に良好な条件を選定することにより1〜10時間で行うことができる。
【0055】
また、前記成分(I)の重合を行う際の系の雰囲気は、以下に限定されないが、例えば、窒素ガス等の不活性ガスにより置換した状態とすることが好ましい。
【0056】
前記成分(I)の重合を行う際の圧力は、上記重合温度範囲において、モノマー及び溶媒を液層に維持するのに充分な圧力の範囲であればよく、特に限定されるものではない。
【0057】
また、前記成分(I)の重合系内に触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば、水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意することが好ましい。
【0058】
前記成分(I)がブロック共重合体(I−1)とブロック共重合体(I−2)と、を含むブロック共重合体混合物である場合は2種類のブロック共重合体(I−1)及びブロック共重合体(I−2)を混合させることにより得ることができる。
【0059】
かかる混合方法としては、特に限定されないが、例えば、それぞれの重合反応終了後、反応溶液を混合して、水、アルコール、酸等を添加して活性種を失活させ、又は、それぞれの重合反応終了後、反応溶液を別々に失活させ、混合して、得られた混合溶液を、例えば押出機による直接脱溶媒やスチームストリッピング等を行って重合溶媒を分離し、乾燥する方法が挙げられる。
【0060】
ブロック共重合体(I−1)及びブロック共重合体(I−2)をそれぞれの反応溶液から個別に重合溶媒を分離、乾燥して得られたブロック共重合体をロール等でブレンドして得る方法も挙げられる。
【0061】
ブロック共重合体混合物は以下の方法によっても得ることができる。
【0062】
ブロック共重合体(I−1)を重合した後、重合系内に水、アルコール、酸等の失活剤を重合開始剤よりも少ない量を添加してブロック共重合体(I−1)の一部を失活させてブロック共重合体(I−1)を得た後、残存する重合活性を有するブロック共重合体(I−1)にビニル芳香族炭化水素を添加し、重合を継続してブロック共重合体(I−2)を製造し、同一重合器内でブロック共重合体(I−1)とブロック共重合体(I−2)とのブロック共重合体混合物を得ることもできる。
【0063】
(成分(II))
本実施形態の発泡体を構成する前記成分(II)のビニル芳香族炭化水素重合体は、前記成分(I)と成分(II)との質量比として1/99〜30/70で含有させることが好ましく、より好ましくは2/98〜28/72、更に好ましくは3/97〜25/75含有させる。前記成分(II)を含有させることで発泡体の硬度が改良される。前記成分(II)の好ましいビニル芳香族炭化水素重合体としては、(a)非ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体及び/又は(I−2)ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体が挙げられ、以下これらについて詳細に説明する。
【0064】
<(a)非ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体>
非ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体は、特に限定されないが、例えば、ビニル芳香族炭化水素を重合する方法や、ビニル芳香族炭化水素と、これと共重合可能なモノマーとを、重合する方法によって製造できる。
【0065】
前記ビニル芳香族系炭化水素とは、特に限定されるものではないが、例えば、主としてスチレン系の単量体をいう。具体的には特に限定されないが、例えば、スチレン、α−アルキル置換スチレン、例えばα−メチルスチレン類、核アルキル置換スチレン類、核ハロゲン置換スチレン類等が挙げられる。
【0066】
前記ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族不飽和カルボン酸、脂肪族不飽和カルボン酸無水物及び脂肪族不飽和カルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪族不飽和カルボン酸又はその誘導体、アクリロニトリル、無水マレイン酸等が挙げられる。非ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体がビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーを含む場合、ビニル芳香族炭化水素単量体単位は50質量%以上であることが好ましい。
【0067】
非ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。特に好ましい非ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体としては、ポリスチレンが挙げられ、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン、アイソタクチックを有するポリスチレンも含む。これらの非ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体の重量平均分子量は、一般に50000〜500000であることが好ましい。また、これらの非ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
<(b)ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体>
ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体は、特に限定されないが、例えば、ビニル芳香族炭化水素と、ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーと、ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なエラストマーとの混合物を、所定の重合方法により重合することにより製造できる。前記混合物の重合方法としては、以下に限定されないが、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、塊状−懸濁重合等が挙げられる。
【0069】
前記ビニル芳香族炭化水素としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0070】
前記ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0071】
前記ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なエラストマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム等が挙げられる。
【0072】
前記ビニル芳香族炭化水素と、当該ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なエラストマーとを重合する場合には、ビニル芳香族炭化水素100質量部に対して、ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なエラストマー3〜50質量部を上記ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーに溶解して、あるいはラテックス状として、乳化重合、塊状重合、塊状−懸濁重合等に供することが好ましい。
【0073】
前記ビニル芳香族炭化水素としてスチレンを用いる場合、ゴム変性スチレン系重合体としては、耐衝撃性ゴム変性スチレン系重合体(HIPS)が特に好ましい。
【0074】
ゴム変性ビニル芳香族炭化水素重合体としては、重量平均分子量が、一般に50000〜500000の重合体を使用できる。重量平均分子量は、例えば、GPC装置(HLC8220GPC;東ソー(株)製)を用い、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、カラム温度35℃で測定することができる。数平均分子量は、重量平均分子量と数平均分子量とが既知の市販の標準ポリスチレンを用いて作成した検量線から求めることができる。
【0075】
(成分(III))
本実施形態の発泡体を構成する前記成分(III)の発泡剤の含有量は、前記成分(I)と成分(II)との合計量100質量部に対して0.05〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜15質量部、更に好ましくは0.5〜10質量部である。
【0076】
前記成分(III)の含有量が、前記成分(I)と成分(II)との合計量100質量部に対して0.05〜20質量部であると、発泡体の独立気泡率の制御、発泡セル形状の均一化及び硬度のバランスが良好であるため好ましい。
【0077】
本実施形態の発泡体を構成する前記成分(III)としては、特に限定されないが、例えば、化学発泡剤(加熱分解型発泡剤)、物理的発泡剤(不活性ガス又は不活性気体よりなる発泡剤)が使用可能である。
【0078】
化学発泡剤としては、特に限定されず、例えば、無機系化学発泡剤及び有機系化学発泡剤のいずれもが使用できる。そのような化学発泡剤としては、特に限定されないが、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどの炭酸塩からなる無機系発泡剤、アゾ化合物(例えばアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロジニトリル、アゾジアミノベンゼン、アゾヘキサヒドロベンゾニトリル、バリウムアゾジカルボキシレート等)、ニトロソ化合物(例えばN,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N'−ジニトロソ−N,N'−ジメチルテレフタルアミド、t−ブチルアミノニトリル等)、ヒドラジド化合物[例えばp−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等]、ヒドラゾン化合物(例えばp−トルエンスルホニルアセトンヒドラゾン等)などの有機系発泡剤を挙げることができる。
【0079】
本実施形態では、上記した発泡剤の1種又は2種以上を使用して発泡体を製造することができる。その中でも、発泡剤として、炭酸塩、アゾ化合物、ヒドラジド化合物が好ましく用いられる。また、さらに好ましくは重炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド、ヒドラジド化合物が好ましく用いられる。これらは、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
【0080】
また、物理的発泡剤としては、特に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、プロパン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロブタンなどの脂環式炭化水素類、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、パーフルオロシクロブタン等のハロゲン化炭化水素類、二酸化炭素、窒素等の不活性気体類の1種又は2種以上が挙げられる。
【0081】
(発泡体の製造)
本実施形態の発泡体を製造する方法は、特に制限はなく、公知の方法を適用することができる。まず成分(I)及び成分(II)は一般に約150〜250℃の温度に加熱することにより溶融することから、溶融成形や加熱加工が可能である。特に制限されないが、例えば押出成形、射出成形、カレンダー成形、流延成形、プレス成形、注型などの任意の成形方法によって、種々の形状や構造の発泡成形品又は発泡性成形品(発泡前の成形品)に成形することができる。
【0082】
ここで、成分(I)〜(III)の組成物として成形及び加工と同時に発泡を行わせる場合は、成形及び加工の少なくともある段階で発泡剤の分解温度以上の温度に加熱して、成形及び加工を行えばよい。発泡剤の種類や併用する発泡助剤の種類などによってその発泡温度は異なるが、上記したような加熱分解型発泡剤(化学発泡剤)は一般に150〜250℃の範囲で分解するので、発泡剤を分解させて発泡体を製造するには150〜250℃、又はそれ以上の温度に加熱して発泡させるとよい。なかでも本実施形態においては、射出発泡成形、又は、押し出し発泡成形により得られた発泡体が特に好ましい。
【0083】
また、成分(I)〜(III)の組成物を用いて未発泡のシート、フイルム、板、管、積層体、その他の成形品を一旦製造した後にそれを加熱して発泡させることもできる。この場合は、該組成物の成形加工が可能な温度であって且つ発泡剤が分解しない温度で成形及び加工して未発泡の成形品等を製造し、次いで該未発泡の成形品等を発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させることにより発泡成形品を得ることができる。
【0084】
特に射出発泡成形による発泡体成形法としては、発泡材を配合した該組成物を金型のキャビティー内に射出して金型のキャビティー内を満たした後、該キャビティーの容積を拡大し、発泡させて成形することによって、発泡体を得る方法を挙げることができる。上記成形法により得られた発泡体は、単層或いは多層のいずれの形態においても得ることができる。該多層による発泡成形体は、発泡層と発泡層との組み合わせ、或いは、発泡層と非発泡層との組み合わせのいずれであってもよい。
【0085】
上記のようにして得られた発泡体は、そのまま使用してもよいし、他の材料を基材とした積層、あるいは基材と積層以外の方法で組み合わせて、複合材料として使用してもよい。
【0086】
複合材料の形成に用いる上記基材は特に制限はなく、発泡体の使用目的や使用形態などに応じて適宜選択することができる。特に限定されるものではないが、発泡体と組み合わせて用い得る基材としては、例えば、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、無機繊維などからなる織布、編布、不織布などの布帛類;紙;プラスチックやゴムからなるフイルム、シート、板、その他の形状物;金属からなる箔、シート、板、その他の形状物;木材;セラミックなどを挙げることができる。発泡体と基材とからなる複合材料の製造に際しては、発泡体を製造した後に該発泡体を基材と一体複合化してもよく、また発泡させる際に、同時に基材との一体複合化を行っても、又は発泡前に基材と一体複合化しておき、その後に発泡を行ってもよい。特に、上記複合材料が発泡体と基材とからなる積層構造物である場合には、例えば、1つの発泡体層と1つの基材との2層構造であっても、発泡体の両面に基材を有する3層構造(サンドイッチ構造)であっても、発泡体と他の材料が交互に積層した4層以上の多層構造であっても、又はそれ以外の積層構造であってもよく、基材を2層以上有する多層構造の場合は、それぞれの層が同じ材料からなっていても又は異なる材料であってもよい。
【0087】
また、本実施形態の発泡体には、物性改良或いは経済上のメリットから充填材を配合することができる。好適な充填材としては、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム等の麟片状無機充填材、各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラミックス粉、カーボンブラック、粒状ないし粉末ポリマー等の粒状ないし粉末状固体充填材、その他の各種の天然又は人工の短繊維、長繊維等が例示できる。また本実施形態の発泡体に中空フィラー、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン等の無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体からなる有機中空フィラーを配合することにより、軽量化を図ることができる。
【0088】
充填材の配合量は、成分(I)と成分(II)との合計量100質量部に対して0.1〜300質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜150質量部である。充填材の配合量が成分(I)と成分(II)との合計量100質量部に対して0.1〜300質量部であると、発泡体の発泡倍率の低下を防ぎ、柔軟性も保持できる。
【0089】
さらに本実施形態の発泡体には、必要に応じて、酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤を配合することができる。その配合量は成分(I)と成分(II)との合計量100質量部に対して、酸化防止剤と紫外線吸収剤の合計で0.1〜10質量部とするのが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。さらに本実施形態の発泡体には、他の添加剤として難燃剤、抗菌剤、光安定剤、着色剤、流動性改良剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、架橋剤、架橋助剤等を添加することができ、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用可能である。さらに本実施形態の発泡体の性能を損なわない範囲であれば、その他の各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー等を配合してもよい。
【実施例】
【0090】
以下、本実施形態を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明する。本実施形態は、後述する実施例により限定されるものではない。なお、本実施例において用いた測定方法及び評価方法は以下のとおりである。
【0091】
(1)ビニル芳香族炭化水素単量体単位の質量(スチレン含量)、及び共役ジエン化合物単量体単位の質量(ブタジエン含量)
スチレン含量は、核磁気共鳴装置(装置名:ECA500;日本電子株式会社製)で測定した。また、ブタジエン含量については、成分(I)を100質量%とし、ブロック共重合体と上記のようにして測定されたスチレン含有量との差から求めた。
【0092】
(2)ブロック共重合体(成分(I))のピーク分子量
サンプル10mgをテトラヒドロフラン(THF)10mLに溶解し、得られた溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定することによりピーク分子量を求めた。
【0093】
なお、GPCの測定条件を下記に示す。
単分散ポリスチレン:TSKスタンダードポリスチレン(東ソー(株)製)
カラム:TSKゲルスーパーマルチポアHZ−M(東ソー(株)製)
カラム温度:42℃
溶媒:THF
流量:2mL/min
測定装置:HLC−8220(東ソー(株)製)
検出器:RI
(3)重合体ブロックS(スチレンブロック)のピーク分子量
四酸化オスミウムを触媒としてジ・ターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによりブロック共重合体を酸化分解する方法〔I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法〕により成分(I)のスチレンブロック成分を採取し、これをサンプルとして前記(2)と同様な方法でピーク分子量を求めた。
【0094】
(4)25℃の貯蔵弾性率(E’)
(株)レオロジ製粘弾性測定解析装置DVE−V4を用い、振動周波数35Hz、昇温速度3℃/minの条件で、厚さ2mmの試験片を用い、温度−50℃〜150℃の範囲を測定して25℃の貯蔵弾性率(E’)を求めた。
【0095】
(5)表面硬度
高分子計器株式会社製Type−C:Cellular Rubber & Yarn Durometer hardness Askerを用いて、発泡シートの硬度を測定した。
【0096】
試験片のサイズは、厚みは最低でも15mm以上とし、測定点は端部から少なくとも20mm以上離れた点とし、測定結果は3回の測定の平均値とした。
【0097】
測定評価はその平均値が80以上を○(良)とし、80未満を×(不良)として評価した。
【0098】
(6)発泡セル形状の均一性
発泡セル形状の均一性を以下のとおり評価した。
【0099】
発泡シートをその表面に対して垂直な方向(厚み方向)に切断した。この切断面における厚み方向に表層1/5深さを省いて中心3/5深さの中央部を走査型電子顕微鏡を用いて17〜20倍(場合によっては200倍)に拡大して撮影した。撮影した写真において、無作為に選択した20個の気泡のサイズ(厚み方向と幅方向との平均値)を測定した。該測定の結果、平均気泡径との差異が10%以内の径を有する気泡の個数が50%以上のものを○(良)とし、50%未満を×(不良)として評価した。平均気泡径は、以下のとおり算出した。撮影した写真における写真上の長さが60mmで且つ発泡シートの厚み方向に指向する一直線上にある気泡数から、各気泡の平均弦長(t)を下記式1に基づいて算出した。そして、下記式2により平均気泡径Dを算出した。
【0100】
平均弦長(t)=60/(気泡数×写真の倍率) ・・・式1
平均気泡径D=t/0.616 ・・・式2
(7)独立気泡率
真の発泡体の容積を東芝・ベックマン社製空気比較式比重計930型を用いて測定し、次式により独立気泡率(S,%)を算出した。独立気泡率が90%以上のものを○(良)とし、90%未満を×(不良)として評価した。発泡体の基材樹脂の密度は、重量(Wg)が既知の発泡体の容積(Vcm3 )を水没法で測定し、重量を容積で除した値を密度とした。
【0101】
S=(Vx−W/ρ)÷(Va−W/ρ)×100(%)
式中、Vx:真の発泡体の容積(cm3 )、Va:発泡体の容積(重量/密度)(cm3 )、W :発泡体の重量(g)、ρ :発泡体の基材樹脂の密度(g/cm3 )である。
【0102】
〔各成分の調製〕
〈成分(I)〉
成分(I)として、下記表1に示すA−1〜A−11を以下のとおり製造した。
【0103】
【表1】
【0104】
<A−1の製造>
攪拌機付きオートクレーブにおいて、窒素ガス雰囲気下で1,3−ブタジエン8質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.048質量部、テトラメチルエチレンジアミンを0.01質量部添加し、75℃で15分間重合した。次に前記オートクレーブにおいて、スチレン8質量部を含むシクロヘキサン溶液を8分間連続的に添加して75℃で重合した後、5分間保持した。次に前記オートクレーブにおいて、1,3−ブタジエン21質量部を含むシクロヘキサン溶液を30分間連続的に添加して75℃で重合した後、5分間保持した。次に前記オートクレーブにおいて、スチレン63質量部を含むシクロヘキサン溶液を添加して75℃で70分間重合した後、5分間保持した。その後前記オートクレーブにおいて、メタノールを添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートとオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体100質量部に対して各々0.3質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体A−1を得た。
【0105】
<A−2〜A−11の製造>
ブロック共重合体A−2〜A−11は、表1に示したポリマー構造組成としたことを除き、ブロック共重合体のピーク分子量をn−ブチルリチウム量で調整した以外はスチレンとブタジエンとの添加速度や重合温度等の条件はA−1の製造と同様にして調製した。
【0106】
〈成分(II)〉
成分(II)として下記表2に示すB−1、C−1及びC−2を準備した。
【0107】
なお、表2における「MFR(G)」は、G条件(温度200℃、加重5kg)で測定した。
【0108】
【表2】
【0109】
<C−1の製造>
撹拌器付き10Lオートクレーブにスチレン及びアクリル酸n−ブチルを5kg添加し、同時にエチルベンゼン0.3kgと、MFRを調整するための1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンとを所定量仕込み、110〜150℃で2〜10時間重合しスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体(C−1)を製造した。該重合後、ベント押出機で未反応スチレン、アクリル酸n−ブチル、エチルベンゼンを回収してC−1を抽出した。
【0110】
〈成分(III)〉
成分(III)として、ノルマルブタン(D)、エチルクロライド(E)及び二酸化炭素(F)を準備した。
【0111】
〔実施例1〜7及び比較例1〜5〕
40mm単軸押出機のホッパーにおいて、表3に示したとおり、成分(I)及び成分(II)を投入し、成分(I)及び成分(II)の合計100質量部に対して、押出機の滑剤としてステアリン酸バリウム(日油社製)0.1質量部を投入し、さらに、表3に示したとおり、成分(III)の発泡剤を圧入(160kg/cm2)して190℃で各成分を混練して混練物を得た。次に、冷却機で前記混練物を均一に冷却して最適な発泡温度(120℃)に調整し、ダイから大気圧下に押出発泡することにより気泡径約0.4mm、厚み約60mmの発泡体(発泡シート)を製造した。押出発泡直後に、発泡シートの上下左右面を約10mmトリミングした後、発泡シートの特性値を測定し、結果を表3に示した。
【0112】
【表3】
【0113】
表3に示すように、実施例1〜7の発泡体においては、いずれも独立気泡率の制御、発泡セル形状の均一化及び硬度のバランスが良好な結果を示した。
【0114】
一方、比較例1、3、4の発泡体においては発泡セル形状の均一性に劣り、比較例2の発泡体においては表面硬度、発泡セル形状の均一性及び独立気泡率の制御に劣り、比較例5の発泡体においては発泡セル形状の均一性及び独立気泡率の制御に劣る結果であった。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の発泡体は、独立気泡率が高く、発泡セル形状が均一で硬度が高い特徴を有するため、薄畳用の芯材及び断熱建材等のアイテムとして、産業上の利用可能性を有している。
【要約】
【課題】本発明は、独立気泡率の制御、発泡セル形状の均一化及び硬度のバランスが良好な発泡体を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の発泡体は、成分(I):特定の条件を満足し、ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン化合物単量体単位とを含むブロック共重合体、成分(II):ビニル芳香族炭化水素重合体、及び成分(III):発泡剤を含む。
【選択図】なし