(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
走査型共焦点内視鏡システムにおける励起光の走査方式には、走査領域を水平一方向に走査するラスタスキャン方式が採用されている。本発明者は、このような走査型共焦点内視鏡システムの技術分野における技術常識がある中で他の走査方式を適用することを想起して具体的検証を行った。想定される走査方式には、例えば、走査領域の水平方向を往復走査するラスタスキャン方式、走査領域の中心から周辺に向かって渦巻き状に走査するスパイラルスキャン方式、走査領域を正弦波的に走査するリサージュスキャン方式等が挙げられる。
【0006】
新たな走査方式を検証したところ、観察領域中の特定箇所で蛍光の褪色が著しく発生して暗い画像となる部分が出ることが分かってきた。蛍光が褪色して撮影画像が不鮮明になると、医師による病変部の発見や病変部に対する的確な判断等に支障をきたす虞があり望ましくない。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、走査方式に依存した蛍光の褪色を抑えるのに好適な走査型共焦点内視鏡システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する本発明の一形態に係る走査型共焦点内視鏡システムは、何れの走査方式においても薬剤に含有される蛍光体の褪色の進行を抑えるため、二次元平面を周期的に移動して被写体に励起光を走査する点光源と、励起光の照射密度が走査領域の全域で所定密度以下になるように点光源を制御する点光源制御手段と、励起光の集光点と共役の位置に配置された共焦点ピンホールと、励起光により励起された被写体から発生した蛍光を共焦点ピンホールを介して受光して画像信号を検出する画像信号検出手段と、検出された画像信号を用いて共焦点画像を生成する画像生成手段とを有することを特徴としている。
【0009】
点光源制御手段は、励起光の照射密度が走査領域の全域で均一になるように該励起光の強度を制御してもよい。又は、励起光の照射密度が走査領域の全域で均一になるように該励起光のデューティ比を制御してもよい。
【0010】
画像生成手段は、画像信号の検出タイミングに応じて各該画像信号に対して二次元上の画素位置を割り当てて、該割り当てた画素位置に従って各該画像信号によって表現される点像を空間的に配列して共焦点画像を生成する構成としてもよい。
【0011】
画像生成手段は、反射率が一様な被写体に励起光を照射したときの各画素の信号値が等しくなるように、検出タイミングに応じた各該画像信号の画素位置の割り当て、及び該割り当てた画素位置ごとに該画像信号を用いた画素値演算を行う構成としてもよい。
【0012】
画素値演算では、例えば、画素位置に割り当てられた画像信号に対する積算、減算、乗算、除算、平均化計算、破棄の少なくとも一つを行う。
【0013】
画像信号検出手段は、点光源制御手段による励起光の強度制御に連動してゲインを制御する構成としてもよい。
【0014】
点光源の走査は、例えば、走査領域の中心から周辺に向かって被写体を渦巻き状に走査するスパイラルスキャンである。点光源制御手段は、励起光の走査期間中、スパイラル回数に対する一スパイラル中の画素位置数の増加率に合わせて、励起光の強度を線形に又は非線形に増加又は低減させる構成としてもよい。この場合、画像生成手段は、例えば励起光の強度変化率及び増加率に基づいて画素値演算を行う。
【0015】
点光源制御手段は、励起光の走査期間中、該励起光の強度を線形に増加させる構成としてもよい。画素値演算では、同一の画素位置に割り当てられた画像信号の値を積算してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、走査方式に依存した蛍光の褪色を抑えるのに好適な走査型共焦点内視鏡システムが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の走査型共焦点内視鏡システムについて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態の走査型共焦点内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。本実施形態の走査型共焦点内視鏡システム1は、共焦点顕微鏡の原理を応用して設計されたシステムであり、高倍率かつ高解像度の被写体を観察するのに好適に構成されている。
図1に示されるように、走査型共焦点内視鏡システム1は、システム本体100、共焦点プローブ200、モニタ300を有している。走査型共焦点内視鏡システム1を用いた共焦点観察は、可撓性を有する管状の共焦点プローブ200の先端面を被写体に当て付けた状態で行う。
【0020】
システム本体100は、光源102、光分波合波器(フォトカップラ)104、ダンパ106、CPU108、CPUメモリ110、光ファイバ112、受光器114、映像信号処理回路116、画像メモリ118、映像信号出力回路120を有している。共焦点プローブ200は、光ファイバ202、共焦点光学ユニット204、サブCPU206、サブメモリ208、走査ドライバ210を有している。
【0021】
光源102は、CPU108の駆動制御に従い、患者の体腔内に投与された薬剤を励起する励起光を射出する。励起光は、光分波合波器104に入射する。光分波合波器104のポートの一つには、光コネクタ152が結合している。光分波合波器104の不要ポートには、光源102から射出された励起光を無反射終端するダンパ106が結合している。前者のポートに入射した励起光は、光コネクタ152を通過して共焦点プローブ200内に配置された光学系に入射する。
【0022】
光ファイバ202の基端は、光コネクタ152を通じて光分波合波器104と結合している。光ファイバ202の先端は、共焦点プローブ200の先端部に組み込まれた共焦点光学ユニット204内に収められている。光分波合波器104を射出した励起光は、光コネクタ152を通過して光ファイバ202の基端に入射後、光ファイバ202を伝送して光ファイバ202の先端から射出される。
【0023】
図2(a)は、共焦点光学ユニット204の構成を概略的に示す図である。以下、共焦点光学ユニット204を説明する便宜上、共焦点光学ユニット204の長手方向をZ方向と定義し、Z方向に直交しかつ互いに直交する二方向をX方向、Y方向と定義する。
図2(a)に示されるように、共焦点光学ユニット204は、各種構成部品を収容する金属製の外筒204Aを有している。外筒204Aは、外筒204Aの内壁面形状に対応する外壁面形状を持つ内筒204Bを同軸(Z方向)にスライド自在に保持している。光ファイバ202の先端(以下、符号「202a」を付す。)は、外筒204A、内筒204Bの各基端面に形成された開口を通じて内筒204Bに収容支持されており、走査型共焦点内視鏡システム1の二次的な点光源として機能する。点光源である先端202aの位置は、CPU108による制御に基づいて周期的に変化する。
【0024】
サブメモリ208は、共焦点プローブ200の識別情報や各種プロパティ等のプローブ情報を格納している。サブCPU206は、システム起動時にサブメモリ208からプローブ情報を読み出して、システム本体100と共焦点プローブ200とを電気的に接続する電気コネクタ154を介してCPU108に送信する。CPU108は、送信されたプローブ情報をCPUメモリ110に格納する。CPU108は、格納したプローブ情報を必要時に読み出して共焦点プローブ200の制御に必要な信号を生成して、サブCPU206に送信する。サブCPU206は、CPU108から送信された制御信号に従って走査ドライバ210に必要な設定値を指定する。
【0025】
走査ドライバ210は、指定された設定値に応じたドライブ信号を生成して、先端202a付近の光ファイバ202の外周面に接着固定された二軸アクチュエータ204Cを駆動制御する。
図2(b)は、二軸アクチュエータ204Cの構成を概略的に示す図である。
図2(b)に示されるように、二軸アクチュエータ204Cは、走査ドライバ210と接続された一対のX軸用電極(図中「X」、「X’」)及びY軸用電極(図中「Y」、「Y’」)を圧電体上に形成した圧電アクチュエータである。
【0026】
走査ドライバ210は、交流電圧Xを二軸アクチュエータ204CのX軸用電極間に印加して圧電体をX方向に共振させると共に、交流電圧Xと同一周波数であって位相が直交する交流電圧YをY軸用電極間に印加して圧電体をY方向に共振させる。交流電圧X、Yはそれぞれ、振幅が時間に比例して線形に増加して、時間(X)、(Y)かけて実効値(X)、(Y)に達する電圧として定義される。光ファイバ202の先端202aは、二軸アクチュエータ204CによるX方向、Y方向への運動エネルギーが合成されることにより、X−Y平面に近似する面(以下、「XY近似面」と記す。)上において中心軸AXを中心に渦巻状のパターンを描くように回転する。先端202aの回転軌跡は、印加電圧に比例して大きくなり、実効値(X)、(Y)の交流電圧が印加された時点で最も大きい径を有する円の軌跡を描く。
図3に、XY近似面上の先端202aの回転軌跡を示す。
【0027】
励起光は連続光であり、二軸アクチュエータ204Cへの交流電圧の印加開始直後から印加停止までの期間中、光ファイバ202の先端202aから射出される。以下、説明の便宜上、この期間を「サンプリング期間」と記す。サンプリング期間が経過して二軸アクチュエータ204Cへの交流電圧の印加が停止すると、光ファイバ202の振動が減衰する。XY近似面上における先端202aの円運動は、光ファイバ202の振動の減衰に伴って収束し、所定時間後に中心軸AX上で停止する。以下、説明の便宜上、サンプリング期間が終了してから先端202aが中心軸AX上に停止するまでの期間(より正確には、中心軸AX上での停止を保証するため、停止までに要する計算上の時間より僅かに長い期間)を「制動期間」と記す。一フレームに対応する期間は、一つのサンプリング期間と一つの制動期間で構成される。制動期間を短縮するため、制動期間の初期段階に二軸アクチュエータ204Cに逆相電圧を印加して制動トルクを積極的に加えてもよい。
【0028】
光ファイバ202の先端202aの前方には、対物光学系204Dが設置されている。対物光学系204Dは、複数枚の光学レンズで構成されており、図示省略されたレンズ枠を介して外筒204Aに保持されている。レンズ枠は、外筒204Aの内部において、内筒204Bと相対的に固定され支持されている。そのため、レンズ枠に保持された光学レンズ群は、外筒204Aの内部を内筒204Bと一体となってZ方向にスライドする。
【0029】
内筒204Bの基端面と外筒204Aの内壁面との間には、圧縮コイルばね204E及び形状記憶合金204Fが取り付けられている。圧縮コイルばね204Eは、自然長からZ方向に初期的に圧縮狭持されている。形状記憶合金204Fは、Z方向に長尺な棒形状を持ち、常温下で外力が加わると変形して、一定温度以上に加熱されると形状記憶効果で所定の形状に復元する性質を有している。形状記憶合金204Fは、形状記憶効果による復元力が圧縮コイルばね204Eの復元力より大きくなるように設計されている。走査ドライバ210は、サブCPU206が指定した設定値に応じたドライブ信号を生成して、形状記憶合金204Fを通電し加熱して伸縮量を制御する。形状記憶合金204Fは、伸縮量に応じて内筒204Bを光ファイバ202ごとZ方向に進退させる。
【0030】
光ファイバ202の先端202aを射出した励起光は、対物光学系204Dを透過して被写体の表面又は表層でスポットを形成する。スポット形成位置は、点光源である先端202aの進退に応じてZ軸方向に変位する。すなわち、共焦点光学ユニット204は、二軸アクチュエータ204Cによる先端202aのXY近似面上の周期的な円運動とZ方向の進退を併せることで、被写体を三次元走査する。
【0031】
光ファイバ202の先端202aは、対物光学系204Dの前側焦点位置に配置されているため、共焦点ピンホールとして機能する。先端202aには、励起光により励起された被写体の散乱成分(蛍光)のうち先端202aと光学的に共役な集光点からの蛍光のみが入射する。蛍光は、光ファイバ202を伝送後、光コネクタ152を通過して光分波合波器104に入射する。光分波合波器104は、入射した蛍光を光源102から射出される励起光と分離して光ファイバ112に導く。蛍光は、光ファイバ112を伝送して受光器114で検出される。受光器114は、微弱な光を低ノイズで検出するため、例えば光電子増倍管等の高感度光検出器としてもよい。
【0032】
検出信号は、映像信号処理回路116に入力する。映像信号処理回路116は、CPU108の制御下で動作して、検出信号を一定のレートでサンプルホールド及びAD変換してデジタル検出信号を得る。ここで、サンプリング期間中の光ファイバ202の先端202aの位置(軌跡)が決まると、当該位置に対応する観察領域(走査領域)中のスポット形成位置、当該スポット形成位置からの戻り光を検出してデジタル検出信号を得る信号取得タイミングがほぼ一義的に決まる。本実施形態においては、予め、校正治具等を用いた実測結果を参考に信号取得タイミングからスポット形成位置が推定され、推定位置に対応する画像上の位置が決定されている。CPUメモリ110には、決定された信号取得タイミングと画素位置(画素アドレス)とを関連付けたリマップテーブルが格納されている。
【0033】
映像信号処理回路116は、リマップテーブルを参照して、各デジタル検出信号により表現される点像の画素アドレスへの割り当てを信号取得タイミングに応じて行う。以下、説明の便宜上、上記の割り当て作業をリマッピングと記す。映像信号処理回路116は、リマッピング結果に従って、各点像の空間的配列によって構成される画像の信号を画像メモリ118にフレーム単位でバッファリングする。バッファリングされた信号は、所定のタイミングで画像メモリ118から映像信号出力回路120に掃き出されて、NTSC(National Television System Committee)やPAL(Phase Alternating Line)等の所定の規格に準拠した映像信号に変換されてモニタ300に出力される。モニタ300の表示画面には、高倍率かつ高解像度の被写体の三次元共焦点画像が表示される。
【0034】
ところで、被写体は、XY方向に関して走査領域の中心から周辺に向かって渦巻き状に走査(スパイラルスキャン)される。被写体に対する走査軌跡は、
図3と同様の渦巻き軌跡である。光ファイバ202は共振運動のため、各スパイラルの周期(一回転の走査にかかる時間)は同じである。走査領域の中心ほど励起光の照射密度(単位面積当たりの照射エネルギー)が高いため、蛍光体の分解がより速く進行して褪色が起きる。結果、観察主体が位置する観察領域中央部で画像が暗くなる不具合が生じる。蛍光の褪色を抑えるため、例えば励起光の強度を低下させる等の措置が考えられる。しかし、励起光の強度を抑えると、特に観察領域周辺部で検出光量不足によりノイズが際立つ。何れの場合も医師による病変部の発見や病変部に対する的確な判断等に支障をきたす虞があり望ましくない。そこで、本実施形態の走査型共焦点内視鏡システム1は、励起光の強度(又は光量)を適切に制御して蛍光の褪色を好適に抑えるように構成されている。
【0035】
図4(a)は、光ファイバ202の先端202aの動きを示す図である。
図4(b)は、光源102が射出する励起光の強度を示す図である。
図4(a)、(b)の横軸は共に時間軸である。
図4(a)の縦軸は、中心軸AXを基準とした先端202aのX(又はY)方向の変位量を示す。
図4(b)の縦軸は、励起光の強度を示す。
図4(b)に示されるように、サンプリング期間移行直後は、励起光の強度が0である。CPU108は、サンプリング期間開始から終了にかけて励起光の強度を0から線形に増加させる。励起光は、照射密度が走査領域の全域で所定密度以下になるように設定されている。走査領域中央部で励起光の照射密度が低下するため、蛍光の褪色が抑えられる。走査領域周辺部では励起光の照射密度の低下が抑えられるため、観察領域周辺部で検出光量不足によるSN比の劣化が少ない。一方、走査領域中央部の励起光の照射密度の低下に起因して、観察領域中央部でSN比が低下する不具合が懸念される。
【0036】
図4(c)は、
図4(a)、(b)中の時刻t
1、t
2における励起光のスパイラル軌跡を示す模式図である。
図4(c)中、時刻t
1のスパイラルに符号「R
1」を付し、時刻t
2のスパイラルに符号「R
2」を付す。本実施形態では、一スパイラル中に取得するデジタル検出信号のサンプル数を2000とし、スパイラルR
1、R
2中に取得するデジタル検出信号に割り当てられる画素アドレス数をそれぞれ500、2000とする。スパイラル上の各スポット形成位置に対応する画素アドレス数は、画素がマトリスク状に等間隔で配置されていることから、スパイラル径が大きい(軌跡が長い)ほど多い。時刻t
1においては、一画素アドレスに対して4つ(=2000/500)のデジタル検出信号が割り当てられる。一画素の値は4つのデジタル検出信号を積算した値であるため、励起光の照射密度の低下に起因するSN比の低下が抑えられる。励起光の強度が低く各デジタル検出信号の値が小さいため、画素値(積算値)の飽和もない。時刻t
2においては、一画素アドレスに対して1つのデジタル検出信号が割り当てられる。励起光の強度が高くデジタル検出信号の値が高いため、SN比が高い。
【0037】
一スパイラル中に割り当てられる画素アドレスの数は、スパイラル回数に対して線形に増加するとは限らない。そのため、画素値は積算に限らず、励起光の強度増加率とスパイラル回数に対する画素アドレス数の増加率との関係を考慮して、減算、乗算、除算、平均化等を適宜組み合わせて演算してもよい。画素値の演算は、全ての画素で感度(反射率が一様な被写体に励起光を照射したときの各画素の信号値)が等しくなるように設定してもよい。
【0038】
励起光の強度は、サンプリング期間中、スパイラル回数に対する画素アドレス数の増加率に合わせて線形に又は非線形に増加又は低減させてもよい。この場合、励起光の強度は、例えば照射密度が走査領域の全域で均一になるように設定してもよい。
【0039】
(第一の変形例)
図5(a)、(b)は、本実施形態の走査型共焦点内視鏡システム1を変形した第一の変形例における
図4(a)、(b)と同様の図である。以降に説明する変形例の構成は、本実施形態と同一のブロック構成を有する。そのため、変形例のハードウェア構成及びソフトウェア構成の詳細な説明は簡略又は省略する。
【0040】
第一の変形例では、
図5(b)に示されるように、励起光のデューティ比がサンプリング期間開始から終了にかけて連続的に増加する。デューティ比は、励起光(パルス光)のスポット形成位置と画素位置とが1:1に決まるよう(つまり1パルス1画素であって、照射密度が走査領域の全域で均一)に設定してもよい。第一の変形例では、励起光の強度自体は、サンプリング期間中一定である。しかし、走査領域中央部においては、蛍光体が吸収するエネルギーが時間的には減少する。蛍光体の分解の進行が遅れるため、蛍光の褪色が抑えられる。走査領域周辺部では励起光の照射密度の低下が抑えられるため、観察領域周辺部で検出光量不足によるSN比の劣化が少ない。
【0041】
(第二の変形例)
図6(a)、(b)は、本実施形態の走査型共焦点内視鏡システム1を変形した第二の変形例における
図4(a)、(b)と同様の図である。第二の変形例においては、光源102をレーザダイオードとする。
【0042】
第二の変形例では、本実施形態と同様に、サンプリング期間開始から終了にかけて励起光の強度が増加する。レーザダイオードの出力を安定させるにはある程度のパワーが必要である。そのため、サンプリング期間移行直後の励起光の強度は、本実施形態と異なり0ではない。第二の変形例においても、走査領域中央部で励起光の照射密度が低下するため、蛍光の褪色が抑えられる。走査領域周辺部では励起光の照射密度の低下が抑えられるため、観察領域周辺部で検出光量不足によるSN比の劣化が少ない。
【0043】
第二の変形例では、時刻t
1の励起光の強度が本実施形態と比べて高い。そのため、4つのデジタル検出信号を積算すると画素値が飽和する虞がある。従って、第二の変形例では、積算と除算を併用して画素値を演算する。又は、少なくとも1つのデジタル検出信号を破棄し、残りのデジタル検出信号を積算して画素値を求めてもよい。
【0044】
(第三の変形例)
図7(a)、(b)は、本実施形態の走査型共焦点内視鏡システム1を変形した第三の変形例における
図4(a)、(b)と同様の図である。
図7(c)は、受光器114のゲインを示す図である。
図7(c)の横軸は時間軸であり、縦軸はゲインを示す。
【0045】
光源102の制御は、第二の変形例と同じである。第三の変形例では、サンプリング期間移行直後の受光器114のゲインが高い値に設定される。そのため、例えば画素数やフレームレートの増加に伴いスパイラルスキャンを高速化させた場合でも、励起光の照射密度が低下する走査領域中央部において検出光量が不足する虞がない。受光器114のゲインは、励起光の強度が増加するにつれて下げられる。そのため、観察領域周辺部における画素値の飽和が有効に避けられる。
【0046】
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば光源102の制御は、励起光のデューティ比変化と強度変化を組み合わせたものとしてもよい。
【0047】
本発明が適用可能な走査方式は、スパイラルスキャン方式に限らない。例えば走査領域の水平方向を往復走査するラスタスキャン方式や、走査領域を正弦波的に走査するリサージュスキャン方式等を採用する走査型共焦点内視鏡システムにも本発明を適用してもよい。すなわち、他の各種走査方式においても、観察領域中の特定箇所で照射密度が高く蛍光の褪色が進行する。この場合にも本発明を適用して上述の光源制御及び各種演算処理を行うと、かかる問題が有効に解決される。