(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
摩擦帯電により電荷を与えた粉体塗料が収容され、下部に粉体塗料の流動層、上部に粉体塗料の霧化層を有する粉体塗料槽を設置し、接地した被塗装物を、粉体塗料槽の流動層を通過させる前に、上部の霧化層を通過させることにより、被塗装物に摩擦帯電した粉体塗料を付着させることを特徴とする粉体塗装装置。
【背景技術】
【0002】
粉体塗装は有機溶剤を含まず、被塗装物に付着しなかったオーバースプレー粉を回収して再使用することができるので、環境にやさしい塗装として、近年多くの製品に採用されている。
【0003】
当初はガードレール、フェンスなどの道路資材から始まり、冷蔵庫、エアコンの室外機等、家庭内で使用する製品にも多く採用されている。最近は、学校の椅子や机の塗装、ナンバープレートの塗装にも用いられている。
【0004】
一般に粉体塗装は、コロナガンや摩擦帯電ガンを使用し、粉体塗料を被塗装物に吹き付けることによって行っている。
【0005】
コロナガンの場合は、ガン先のコロナ電極と被塗装物との間に電場を作り、そのコロナ放電により、ガンから吐出された粉体塗料を被塗装物に付着させている。
【0006】
また、摩擦帯電ガンは、ガン内に、例えば非導電性樹脂チューブが収容されており、この非導電性樹脂チューブ内に粉体塗料を通過させて、非導電性樹脂と粉体塗料との摩擦によって粉体塗料に電荷を与えるものであり、ガン先から吐出した電荷を帯びた粉体塗料は、静電気力で被塗装物に付着する。
【0007】
当然、上記の2つの方式とも、
図27に示すように、塗装ガン1から被塗装物2に向けて、例えばコンプレッサーのエアーなどの強制エアーによって粉体塗料3を吐出するため、被塗装物2に付着しないオーバースプレー粉が発生する。このため、塗装作業は、塗装ブース4内で行われ、被塗装物2に付着しないオーバースプレー粉を塗装ブース4に設けた吸引口5から吸引回収している。吸引回収したオーバースプレー粉は、精選装置などを通過させて再使用される。
【0008】
しかしながら、回収粉の塗料粒度分布は、新粉と大きくかけ離れ、被塗装物2に付着しにくい塗料も多くなる。このため、被塗装物2への付き回りに問題が残り、多数の塗装ガンでの塗装を余儀なくされる。
【0009】
一方、塗装ガンからの吹き付けによらない粉体塗装装置として、静電流動浸漬装置がある。
【0010】
静電流動浸漬装置は、
図28に示すように、粉体塗料を収容した粉体塗料槽6に、高圧発生器7によって高電圧が与えられるコロナ電極8を設置し、コロナ電極8によって発生させた電場により、粉体塗料槽6を通過する被塗装物2に、粉体塗料を付着させる装置である。
【0011】
この静電流動浸漬装置の粉体塗料槽6は、底部が多孔質の樹脂やキャンパス布等の多孔質材料9によって仕切られており、多孔質材料9の下部に流動エアー10を供給して、内部の粉体塗料をあたかも液体のように流動させている。
【0012】
そして、コロナ電極8は、多孔質材料9の上や、電極の汚れを防ぐために、多孔質材料9の内部や下面に設置され、コロナ電極8と被塗装物2との間で電場を形成するようにしている。
【0013】
この場合、粉体塗料槽6内は、粉体塗料があたかも液体のように流動している流動層11の部分と、流動層11の上方に霧化(クラウド)した状態の霧化層12の部分とが形成される。そして、粉体塗料が液体のように流動している流動層11の部分に被塗装物2を浸漬させても、粉体塗料は被塗装物2に付着しないが、多孔質材料9の付近のコロナ電極8からの電場によって霧化層12の部分の霧化(クラウド)した粉体塗料は被塗装物2に付着する。
【0014】
このような塗装方法の例は、非特許文献1にも開示されている。非特許文献1では、流動化した粉体塗料内に、例えば被塗装物の2/3ほどを浸漬させ、霧化層(クラウド)内で1/3を塗装させ、被塗装物を徐々に上げることにより、残りの箇所を霧化層(クラウド)内を通過させることによって十分に塗装させている。
【0015】
このように、流動層11の部分に被塗装物2を浸漬させても、粉体塗料2は被塗装物2に付着しないのは、流動層11は液体のように流動する密な粉体塗料の層であるため、流動層11内の空気が希薄で電場ができないためであると考えられている。
【0016】
コロナ電極8を粉体塗料槽6内に設置する静電流動浸漬装置においては、流動層11の上部の霧化層12のみでの塗装になるため、被塗装物2の大きさが限定される。その第1の理由は、霧化層12の部分はその高さが低く、一般には、100mm程度の被塗装物2までしか塗装ができないとされている。第2の理由は、コロナ電極8と被塗装物2との距離が離れると、電場が形成されなくなるため、一般に被塗装物2とコロナ電極8との距離は250mm程度が最大の距離とされている。
【0017】
したがって、コロナ電極8を粉体塗料槽6に設置した静電流動浸漬装置においては、被塗装物2は、
図28に示すように、マイクロモーターなどの小さいものに限定される。このため、一般には、粉体塗料が液体のように流動している流動層11内には被塗装物2を浸漬することなく、被塗装物2を、流動層11の上に形成される霧化層12を通過させることにより、霧化層12の粉体塗料を被塗装物2に付着させる塗装を行っているというのが現状である。
【0018】
また、コロナ電極8を粉体塗料槽6に設置した静電流動浸漬装置においては、粉体塗料槽6の材質は、絶縁性のものに限られる。即ち、粉体塗料槽6の材質が、導電性、例えば金属であると、コロナ電極8から放電された、電子は全て近くの粉体塗料槽6の(金属)材料に放電されてしまい、被塗装物2との間で電場を形成することができず、粉体塗料を被塗装物2に付着させることができなくなる。
【0019】
また、コロナ電極8を設置した多孔質材料9から被塗装物2への距離が大きくなると、つまりコロナ電極8から離れると、粉体塗料が浮遊していても、被塗装物2との間での電界が弱くなり、粉体塗料が付着し難くなる。
【0020】
さらに、別な塗装方法として静電気を使用しない流動浸漬方式があり、自転車の籠、ネットフェンスなどの塗装に多く採用されている。
この方法は、
図29に示すように、被塗装物2を搬送するライン13に沿って、予熱炉14、粉体塗料を流動状態で収容する流動槽15、焼き付け乾燥炉16を設置し、予熱炉14内で被塗装物2を物温で270℃程度に予熱した後、昇降可能な流動槽15の上方に被塗装物2を移動させ、流動槽15を上昇させて流動槽15内に被塗装物2を浸漬させることにより、被塗装物2の表面に粉体塗料を熔融付着させるという方法である。この後、流動槽15を下降させて被塗装物2を取り出し、焼き付け乾燥炉16に供給して、再加熱を約200℃の温度で行って、被塗装物2の表面に付着した塗料の塗膜肌を平滑にする。その後、ライン13から脱荷を行う。
【0021】
この予熱浸漬による方法では、膜厚が400μm以上と非常に厚膜になる。また、使用できる粉体塗料が、塩化ビニル、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂に限られ、エポキシ、ポリエステル系の粉体塗料は一般的に使用することができない。また、予熱後の浸漬により、粉体塗料が垂れた状態になり易い。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1〜
図3は、ネットフェンスのような細い線材を繋ぎ合せた被塗装物20を塗装するための、この発明の第1の実施例である。
【0037】
この第1の実施例の粉体塗装装置は、
図1に示すように、摩擦帯電により電荷を与えた粉体塗料が収容された粉体塗料槽21を有し、粉体塗料槽21は底部からの流動エアー24によって、下部に粉体塗料が液体のような状態の流動層21aが形成され、上部に霧化状態で粉体塗料が漂う霧化層21bが形成されている。
【0038】
被塗装物20は、昇降するハンガー22に吊り下げられ、粉体塗料槽21に対して出し入れすることができる。この被塗装物20は、接地されている。
【0039】
粉体塗料槽21は、底部が多孔質材料23によって仕切られ、多孔質材料23の下面側に流動エアー24が供給され、流動エアー24によって槽内の粉体塗料が流動し、下部に粉体塗料の流動層21a、上部に粉体塗料の霧化層21bが形成される。
【0040】
粉体塗料槽21に収容する粉体塗料は、この第1の実施例の場合、熱硬化型のポリエステル系のものを使用している。粉体塗料は、白以外に4色の粉体塗料が用意されている。
【0041】
粉体塗料槽21の側面部には、
図3に示すように、収容する粉体塗料に摩擦電荷を与えるために、計8ガンの摩擦帯電ガン25が設置されている。この摩擦帯電ガン25は、ガン先ノズルが多数に分岐されており、粉体塗料槽21の側面に沿って配置されている。
【0042】
摩擦帯電ガン25のガン先ノズルは、吊り下げられた被塗装物20が粉体塗料槽21内で揺れ動いても、ガン先ノズルに当たらないように、ガン先ノズルの先端が粉体塗料槽21内に突出しないようにしている。ガン先ノズルの先端は、粉体塗料槽21内に突出していても、摩擦帯電ガン25のガン先ノズルにはコロナガンのような電極がないので、被塗装物20と接触しても問題はない。したがって、ガン先端部は粉体塗料槽21内に突き出させてもよい。但し、
図3のように、ガン先ノズルの先端が粉体塗料槽21内に突出しないようにすると、粉体塗料槽21内の清掃時の作業性がよい。
【0043】
粉体塗料槽21は、コロナ帯電方式ではないので、上部は開放されており、流動層21aの上部に形成される霧化層21bの余剰霧化粉が僅かに流出する。したがって、粉体塗料槽21の周辺に集塵機を設置し、流出した余剰霧化粉を吸引しているが、塗装ガンから被塗装物に対して粉体塗料を吹き付ける一般の静電塗装装置では、
図27に示すように、粉塵の飛散が多く、そのために塗装ブース4によって囲い、集塵機も大型になるが、この発明では、流出する余剰霧化粉も少ないので、大型の集塵機は必要でない。
【0044】
この発明では、被塗装物20に対して粉体塗料を吹き付けるのではなく、粉体塗料槽21内に帯電した粉体塗料を溜めるように、摩擦帯電ガン25から粉体塗料槽21内に粉体塗料を供給するものであるから、摩擦帯電ガン25からの吐出エアーによる噴霧拡散は抑制できる。したがって、集塵機は、粉体塗料槽21の上部の流動余剰粉体塗料の吸引のみである。
【0045】
図1〜
図3の実施形態では、被塗装物20は、3枚吊りで、
図1に示すように、粉体塗料槽21の上部から霧化層21bを通過させて、流動層21a内にゆっくりと浸漬される。粉体塗料槽21の流動層21a内での停止時間は約2秒である。
【0046】
粉体塗料槽21内には、当初から摩擦帯電していない粉体塗料も流動している。摩擦帯電していない粉体塗料の中に、被塗装物20であるネットフェンスを浸漬しても、当然のことながら、粉体塗料はネットフェンスに付着しない。
【0047】
ところが、この発明では、各摩擦帯電ガン25から例えば毎分150g/minの摩擦帯電された粉体塗料を粉体塗料槽21に供給すると、摩擦帯電された粉体塗料が粉体塗料槽21内で、当初からの摩擦していない粉体塗料とミキシングされる。これにより、被塗装物20であるネットフェンスを粉体塗料槽21内に近づけると、流動層21aの上部の霧化状態になっている霧化層21bの粉体塗料が被塗装物20に対して付着を開始する。この霧化した粉体塗料には、粉体塗料槽21内の塗料粒子の特に微粉が多く含まれている。この微粉は、流動化状態の流動層21aの粉体塗料の上部を浮遊しており、塗装ガンのように強制的にエアーによって吹き付けられないので、微粉の塗着効率も良好である。この流動化状態の流動層21aの上部の霧化層21bでの膜厚は、40〜60μmである。膜厚の均一性もよく、コロナ電極を内部に設置した従来の静電流動浸漬のように、電極の配置により、膜厚が左右されることがない。なぜならば、粉体塗料粒子自身が電荷を帯びており、浮遊粉体塗料は、どの箇所でも被塗装物20に対して付着するからである。
【0048】
この後、被塗装物20であるネットフェンスを徐々に流動化状態の流動層21a内に浸漬させると、ミキシングされた粉体塗料が磁石のように被塗装物20に向かって急激に付着を開始する。
【0049】
この第1の実施例のようなネットフェンスの塗装では、膜厚規定が200μm以上となっている。特に線材のクロス部(溶接部)の付き回りが重視されるが、塗装ガンのように強制エアーによる吹き飛ばし(隙間風)がないために、この発明では、十分な厚膜塗装ができる。そのために、線材のクロス部にピンホールは見られない。また、塗装ガンから吐出した粉体塗料の量よりも多く付着する。
【0050】
この第1の実施例では、上記のように、摩擦帯電ガン25から粉体塗料槽21内に粉体塗料を、1ガン当たり150g/min、8ガンで計1200g/minの帯電した粉体塗料を粉体塗料槽21に供給した。
【0051】
塗装時間を40秒にすると、粉体塗料槽21内には、
1200×40÷60=800g/40sec
の帯電した粉体塗料が供給された計算になる。
【0052】
この第1の実施例において、被塗装物20であるネットフェンス3枚の粉体塗料の付着量を計測したところ、合計で1830gの粉体塗料が付着していた。
この付着量は、帯電した粉体塗料の供給量よりも多い。
即ち、摩擦帯電ガン25からの吐出量に対する付着量の割合(付着効率)は、
1880÷800×100(%)=235%
である。
【0053】
これは、粉体塗料槽21内に当初から存在していた粉体塗料が、摩擦帯電した粉体塗料の供給により、疑似帯電して被塗装物20であるネットフェンスに付着したものと考えられる。
【0054】
したがって、粉体塗料槽21内には、摩擦帯電していない粉体塗料も収容しておくことが好ましい。
【0055】
この疑似帯電した粉体塗料の付着力は、摩擦帯電により電荷を帯びた粉体塗料よりも弱く感じられる。
【0056】
この第1の実施例における被塗装物20であるネットフェンスの要望膜厚は、200μm以上であるが、上記塗装後の膜厚は、350μm以上となった。
【0057】
このため、被塗装物20であるネットフェンスのハンガー22に振動を与えたところ、付着力の弱い粉体塗料は、粉体塗料槽21内に落下した。
【0058】
付着力の弱い粉体塗料を振動により落下させた後の膜厚を測定したところ、220μmであり、膜厚も均一なものが得られた。
【0059】
膜厚の調整は、吐出量、電流値、浸漬時間及び塗料の粒度分布や、被塗装物20を吊るすハンガー22の振動強度、回数によって可能である。
【0060】
粉体塗料槽21内の粉体塗料は、被塗装物20の塗装により、徐々に少なくなるので、流動層21aの容積を保持するように、粉体塗料が自動補給されている。
【0061】
また、粉体塗料槽21内の粉体塗料は、塗装の経過と共に、ゴミが混入されるため、
図4に示すように、粉体塗料槽21内の粉体塗料の循環経路26を設け、循環経路26中に振動篩機27を設置してゴミを除去することが望ましい。
【0062】
粉体塗料槽21の材質は、上記の実施例では、ステンレスを採用しているが、導電性樹脂によって形成してもよい。粉体塗料槽21は、接地されており、導電性材料によって形成することにより、粉体塗料槽21の総電荷を少なくすることができる。
【0063】
また、粉体塗料槽21を従来の静電流動浸漬装置と同様に、絶縁材料、例えば、塩化ビニル製のタンクにしても付着量、付き回りに差は生じない。
【0064】
上記第1の実施例は、被塗装物20がネットフェンスであり、形状的に塗装が容易な製品であり、粉体塗料槽21内にガン先が突出しないようにして、ガン先と被塗装物20との接触を防止しているが、例えば、2輪車、バギーなどの複雑な溶接部分を有する製品の場合には、ガン先を粉体塗料槽21内に突き出させて、ガン先が被塗装物20の隙間に入り込むようにしてもよい。ガン先を粉体塗料槽21内に突き出させることによってガン先が被塗装物20に接触しても、ガン先の先端部にはコロナガンのような電極は存在しないので、問題が生じない。また、ガン先と接触した箇所は、一般の塗装の場合、塗膜キズとして不良品になるが、この発明の場合、ガン先と接触してキズがついても、ガン先が離れると、すぐに、そのキズの箇所に粉体塗料が付着するため、キズがなくなる。
【0065】
粉体塗料槽21内に複数の被塗装物20を浸漬して塗装を行う際に、隣り合う被塗装物20の間の隙間が少なくて、粉体塗料の付き回りが悪い場合には、粉体塗料槽21内に、塗装中に、隣り合う被塗装物20の間の隙間を開く治具を設置するようにしてもよい。被塗装物20と治具との接触部分は、隙間を塗装した後に、治具を外せば、すぐに粉体塗料が付着し、治具によるキズは修復される。
【0066】
次に、この発明の第2の実施例を
図5〜
図7に基づいて説明する。
この第2の実施例は、被塗装物20が、
図5に示すような、網状のパレットコンテナーである。
【0067】
網状のパレットコンテナーは、折り畳み可能であり、
図6及び
図7に示すように、折り畳んだ状態で塗装が行われる。
【0068】
第2の実施例で塗装するパレットコンテナーは、折り畳んだ状態で寸法1100mm(L)×900mm(H)×250mm(W)である。
【0069】
また、第2の実施例で使用する粉体塗料槽21は、1500mm(L)×1200mm(H)×900mm(W)で、底部に20mmの多孔質材料23の仕切りが設置されている。多孔質材料23は、キャンパス布を3枚重ねしたものを採用した。
【0070】
第2の実施例の粉体塗料槽21の材質は、塩化ビニル樹脂を採用した。粉体塗料槽21の上面から200mmの側面には、
図7に示すように、霧化層21bの一部が流出する出口28が設置され、この出口28の外側には受け槽29が設置され、受け槽29に溜まった粉体塗料をインジェクター29aによって摩擦帯電ガン25に供給できるようにしている。
【0071】
粉体塗料槽21内には、摩擦帯電により帯電した粉体塗料を供給するために、摩擦帯電ガン25を設置している。
【0072】
摩擦帯電ガン25は、粉体塗料槽21の側面に固定するのではなく、
図6及び
図7に示すように、粉体塗料槽21の上面より、レシプロケーター30によって粉体塗料槽21内を上下(昇降)左右に移動可能に設置されている。
【0073】
摩擦帯電ガン25のガン先は、例えば、24本に分岐されており、その枝ピッチは、25mmで、片面に1ガンずつ並列に、被塗装物20を中心にして対向配置させている。
【0074】
第1の実施例と同様に、被塗装物20は、ドロップリフター付きのコンベアー31にてハンギングされて移動し、粉体塗料槽21の上部にてコンベアー31が停止する。停止したコンベアー31から被塗装物20が粉体塗料槽21内に下ろされ、定位置にて停止する。それと同時に、摩擦帯電ガン25が設置されたレシプロケーター30が粉体塗料槽21の内面を上下しながら、左右に駆動する。
【0075】
この第2の実施例では、摩擦帯電ガン25のガン数を少なくして均一な付き回りを得るために、粉体塗料槽21内に、均一に摩擦帯電により荷電された粉体塗料が均一に分散するように、ガンの動きで粉体塗料槽21内の粉体塗料を拡散させている。
【0076】
レシプロケーター30の作動と同時に各摩擦帯電ガン25からは、粉体塗料ホースの入り口部に設置した定量供給装置から200g/minの粉体塗料が吐出するようにしている。吐出時間は、1サイクル20秒とし、塗装終了後、摩擦帯電ガン25は、粉体塗料槽21の上部の待機位置に戻る。その後、塗装された被塗装物20であるパレットコンテナーは、粉体塗料槽21の上方に上昇する。
【0077】
上記のように、第2の実施例では、被塗装物20であるパレットコンテナーを折り畳んだ状態で塗装しているにも拘わらず、線材の組み合わせ箇所や、クロス溶接部にも十分な塗装を施すことができた。これは、被塗装物20の周辺に摩擦帯電した粉体塗料が十分に滞留するためと考えられる。一部の線材上面部には、粉体塗料が堆積し、オーバースペックの塗装となる。このため、被塗装物20を上昇させた後、被塗装物20を吊るすハンガー22に振動を与えると、オーバースペックになる粉体塗料は、その振動で自然落下する。このオーバースペックになる粉体塗料は、摩擦していない粉体塗料が自然堆積したものである。その後、塗装した被塗装物20は、タクト運転で焼き付け乾燥炉に搬送され、焼き付け後に脱荷される。
【0078】
この第2の実施例では、膜厚を調整する方法として、摩擦帯電ガン25からの吐出量や、その電流値(粉体塗料の電荷調整)ばかりでなく、摩擦帯電していない粉体塗料を塗料タンクに定量投入するようにした。
【0079】
図7では、粉体塗料槽21に、新粉タンク32からインジェクター33によって粉体塗料を補充し、また、粉体塗料槽21からの流出粉を摩擦帯電ガン25にリサイクルして再利用している。
【0080】
次に、この発明の第3の実施例を
図8及び
図9に基づいて説明する。
この第3の実施例は、自動車のコイルスプリングを被塗装物20とするものである。
【0081】
この第3の実施例は、上記の第1の実施例、第2の実施例と異なり、連続運転方式の塗装装置である。
【0082】
図8に示すように、コンベアー34にハンギングされた被塗装物20であるコイルスプリングは、連続して塗装される。
【0083】
コンベアースピードは、3.5m/minで、被塗装物20であるコイルスプリングは、2個並列で吊り下げられて搬送される。粉体塗料槽21は700mm(W)×1200mm(L)×600mm(H)で、底面に、流動用パッドとして厚さ200mmの樹脂製の多孔質材料23を設置している。
【0084】
コンベアー34は、粉体塗料槽21の近くで下降し、粉体塗料槽21内に入る。
【0085】
この実施例では、粉体塗料として、エポキシ系樹脂で、平均粒径37μmのものを使用した。粉体塗料槽21内へ摩擦帯電によって電荷を与えた粉体塗料を供給するために、摩擦帯電ガン25を使用した。摩擦帯電ガン25のガン本体は、粉体塗料槽21内の粉体塗料には浸漬されておらず、ガン本体の先端に取り付けられたガン先ノズルが、流動層21aに固定配置されている。ガン数は、1ガン×2(対向)=2ガンの2ステージの計4ガンである。吐出量は1ガンあたり、35g/minである。
【0086】
被塗装物20であるコイルスプリングが、粉体塗料槽21内に入ると、流動層21a上部の霧化層21bに存在する霧化粉体塗料が急激に付着する。その後、流動層21a内に浸漬しながら、再度、流動層21aから排出される。
【0087】
この実施例では、流動層21a内に浸漬すると、急激に粉体塗料が付着する。特に、スプリング上下部の巻き数が密の箇所も一般の静電ガン塗装のように、エアーによる吹き飛ばしがないために、付き回りに差がなく均一な塗装が瞬時に可能となった。そのために、流動層21aの下部へのガン配置を必要としない。
【0088】
また、流動層21a内で、一度付着した粉体塗料の剥離は見られなかった。そして、塗装後、振動を与えることにより、規定膜厚の80μmの塗膜が得られた。
【0089】
次に、この発明の第4の実施例を
図10及び
図11に基づいて説明する。
第4の実施例は、モーターのコア及びローターの塗装装置である。
【0090】
ところで、膜厚が100μm以下の薄膜タイプの塗装には、静電ガンによる塗装方法が一般的に多く用いられる。
【0091】
そして、膜厚が200μm以上の厚膜タイプの塗装には、
図28に示したような静電流動浸漬塗装が用いられる。静電流動浸漬塗装は、絶縁性の粉体塗料槽6内の多孔質材料9にコロナ電極8を設置し、流動層11上部の霧化粉体塗料が舞い上がる霧化層12中を通過させることにより、多孔質材料9に設置した電極8(コロナピン)からの放電により電場を形成して塗装を行なっている。
【0092】
この発明では、流動層21a内での塗装が可能であることから、霧化層21bの霧化粉体塗料と流動層21a内の粉体塗料を交互に塗装する塗装方式を採用した。
【0093】
図10に示すように、導電性ナイロン樹脂等の導電性樹脂によって形成された粉体塗料槽21には、エポキシ系粉体塗料が流動化状態で収容されている。なお、粉体塗料槽21は、接地されている。
【0094】
この実施例では、粉体塗料槽21内の粉体塗料を吸引する吸引装置35(インジェクター)が設置され、この吸引装置35の先端部には、非導電性樹脂チューブ36が配置され、非導電性樹脂チューブ36は粉体塗料槽21の上部に接続されている。
【0095】
非導電性樹脂チューブ36の内部を粉体塗料が通過すると、非導電性樹脂チューブ36と粉体塗料との摩擦により、粉体塗料が摩擦帯電し、摩擦帯電により電荷を帯びた粉体塗料が粉体塗料槽21内に供給される。
【0096】
粉体塗料槽21の上部には、コンベアー37によって搬送される被塗装物20が出入りするために、凹部38が形成され、この凹部38からのオーバー粉が粉体塗料槽21に戻されるようになっている。
【0097】
被塗装物20であるモーターのローター下部は、粉体塗料槽21の下部の流動層21aに浸漬され、その上部は霧化層21bの霧化粒子により塗装が行なわれる。つまり、霧化層21bと流動層21aの繰り返しによる塗装が行われる。モーターのローターは、
図11に示すように、コンベアー37によって回転しながら、出口に搬送される。
【0098】
この第4の実施例では、霧化層21bの霧化状態の粉体塗料と流動層21aの流動状態の粉体塗料の繰り返しによる塗装が行われるので、短時間で350μm以上の厚膜の塗装を行うことができる。
【0099】
この第4の実施例では、粉体塗料を、非導電性樹脂チューブ36を通過させることによって摩擦帯電を行ったが、例えば、
図12に示すように、非導電性樹脂製ミニサイクロン39(1m
3/min)へ粉体塗料をインジェクター35によって搬送し、サイクロン39内部との接触により摩擦帯電を行ってもよい。
【0100】
また、
図13に示すように、粉体塗料槽21内に2重の非導電性樹脂パイプ40を設置し、その内筒40aを回転させ、粉体塗料槽21の下部からの流動エアー24により搬送された粉体塗料を内筒40aと外筒40bの隙間に入り込ませ、粉体塗料を摩擦する方法もある。この場合、内筒40aと外筒40bにはアールをつけて、摩擦効果を上げるようにしておくことが好ましい。このように、粉体塗料の摩擦方式は種々考えられるが、粉体塗料槽21内に摩擦帯電による電荷を持った粉体塗料を投入可能であればよい。
【0101】
次に、この発明の第5の実施例を
図14〜
図16に基づいて説明する。
この第5の実施例は、被塗装物20が農機具の刃である。
【0102】
農機具の刃のような被塗装物20の場合、規定膜厚が40〜80μmであるから、前述の実施例のように、粉体塗料槽21内の流動層21aに浸漬させて厚膜を形成する必要がなく、流動層21aの上部の霧化層21bの霧化状態の部分を通過させるだけで、必要な膜厚を形成することができる。
【0103】
第5の実施例では、
図16に示すように、一つのハンガーに一列5枚の被塗装物20を2列並べて、計10枚の被塗装物20を霧化状態の霧化層を通過させることにより、被塗装物20を塗装するようにしている。
【0104】
塗装装置は、
図15に示すように、粉体塗料槽21の中央に、流動層21a上部の霧化層21bの霧化状態の粉体塗料が流入する空洞槽41を設け、この空洞槽41内に、被塗装物20を入れて、空洞槽41内で粉体塗料を付着させている。
【0105】
即ち、
図14に示すように、流動層21aの上部の霧化粉体塗料のみでの塗装方法を採用した。被塗装物20は、コンベアー34によって粉体塗料槽21に向かって下降しながら粉体塗料槽21の上部に挿入され、粉体塗料槽21の上部で霧化粉体塗料が付着する、その後、霧化粉体塗料の領域高さに制限があるため、被塗装物20は空洞槽41内に入っていく。次に再度被塗装物コンベアーは上昇し、その時に、霧化層21bにより塗装の仕上げを行う。被塗装物20は、その後、焼き付け乾燥炉に搬送され、塗装終了となる。この実施例では霧化層21bの粉体塗料の一部が空洞槽41内に堆積する。堆積した粉体塗料は、空洞槽41内の下部のエアースライダーや振動によって、最下部に搬送される。したがって、多孔質材料23によって形成された底部は、インジェクター33の方向に傾斜させ、粉体塗料量の検知レベラーによって粉体塗料槽21内に、インジェクター33によって戻される。この実施例では流動層21a内に空洞槽41を設置したが、粉体塗料槽21を複数設置し、その間に空洞槽41を設置してもよい。
【0106】
次に、この発明の第6の実施例を
図17〜
図20に基づいて説明する。
この第6の実施例は、被塗装物20が
図17に示すシロッコファンの羽根である。
【0107】
シロッコファンは、
図17に示すように、多数枚の羽根を全体が渦巻きのような円形状になるように、小隙間を空けて並べてられている。このため、第6の実施例では、羽根と羽根の隙間に摩擦帯電した粉体塗料が効果的に入り込むように、
図18及び
図19に示すように、円形タンク形状の粉体塗料槽21を使用し、粉体塗料槽21の周囲から摩擦帯電ガン25のガン先を斜めにして一定の間隔で差し込んでいる。
【0108】
粉体塗料槽21は、底部からの流動エアー24によって、下部に粉体塗料が液体のような状態の流動層21aが形成され、上部に霧化状態で粉体塗料が漂う霧化層21bが形成されている。摩擦帯電ガン25のガン先ノズルは、計16本で、粉体塗料槽21の壁面に対し約30°の角度で差しこまれ、ガン先ノズルから供給された摩擦帯電した粉体塗料は、粉体塗料槽21の粉体塗料とミキシングされ、下部の流動層21aと上部の霧化層21bが渦巻き状に回転しながら滞留する。
【0109】
被塗装物20であるシロッコファンは、ハンガー22に吊り下げられ、タクト運転により粉体塗料槽21に対して出し入れされる。粉体塗料槽21の上部には、被塗装物20であるシロッコファンを出し入れする際に、開閉するシャッター42を設けている。
【0110】
第6の実施例では、ガン先ノズルを粉体塗料槽21の壁面に対して斜めに差し込んで塗装を行うが、このガン先ノズルを粉体塗料槽21の壁面に対して直角に差し込んで塗装を行った場合、シロッコファンの羽根の付け根部の奥にスケが発生する。
【0111】
このように、シロッコファンのような被塗装物20の場合、
図19の例のように、ガン先ノズルを粉体塗料槽21の壁面に対して斜めに差し込むことが好ましいが、
図20(a)(b)に示す屈曲可能な角度調整ノズルを設置し、被塗装物20の形状や付き回りを見ながら、ガン先ノズルの角度を上下左右方向に変更し、粉体塗料槽21内に乱気流を起こさせるようにしてもよい。
【0112】
また、上記第6の実施例では、粉体塗料槽21を円形タンクにしたが、実施例1〜6の角(箱)型などのような形状にすることも可能である。
【0113】
次に、この発明の第7の実施例を、
図21及び
図22に基づいて説明する。
この第7の実施例の被塗装物20は、実施例4と同様のモーター部品であり、第7の実施例は、実施例4と同様の設備で塗装を行なう例である。
【0114】
この第7の実施例における被塗装物20のモーター部品は、実施例4のような200μmを越える厚膜ではなく、50〜100μmの薄膜が要求される部品である。
【0115】
このため、実施例4の場合は、被塗装物20であるモーター部品の下部を、粉体塗料槽21の下部の流動層21aに浸漬して塗装を行なったが、第7の実施例の場合は、粉体塗料槽21の上部の霧化層21bの霧化粒子のみで塗装を行い、下部の流動層21aに被塗装物20が浸漬されないようにしている。
【0116】
この第7の実施例では、粉体塗料槽21内の粉体塗料を吸引する吸引装置35(インジェクター)が設置され、この吸引装置35の先端部に、非導電性樹脂チューブ36を配置し、この非導電性樹脂チューブ36の内部を、粉体塗料を通過させることによって、非導電性樹脂チューブ36と粉体塗料とを摩擦させて、粉体塗料に摩擦帯電を起こさせるようにしている。
【0117】
非導電性樹脂チューブ36には、吐出ノズル43が接続され、吐出ノズル43の先端から、粉体塗料槽21の流動層21aの上部のほぼ中心に摩擦帯電した粉体塗料を供給するようにしている。
【0118】
第7の実施例は、上記のように、薄膜の塗膜を形成するために、粉体塗料槽21の上部の霧化層21bの霧化粒子のみで塗装を行う必要があるが、吐出ノズル43の先端から粉体塗料槽21の流動層21aの上部のほぼ中心に位置に、帯電した粉体塗料を吐出した場合、吐出される粉体塗料によって、流動層21aの粉体塗料が霧化層21bに巻き上がるおそれがある。
【0119】
このため、粉体塗料槽21の流動層21aの上部のほぼ中心に、下面が開口する半円中空状の巻き上げ防止シェード44を設置し、この巻き上げ防止シェード44内に、吐出ノズル43の先端を位置させて、吐出ノズル43から吐出された粉体塗料が、直接、霧化層21bの方に供給されないように、下面の多孔質材料23に向けて間接的に供給されるようにしている。
【0120】
このように下面の多孔質材料23に向けて間接的に供給された粉体塗料は、粉体塗料槽21内の粉体塗料とミキシングして、粉体塗料槽21の下部の多孔質材料23からの流動エアー24により緩やかに霧化しながら、粉体塗料槽21の上部に滞留する。
【0121】
このように、半円中空状の巻き上げ防止シェード44を使用すると、滞留する粉体塗料の動きが緩やかになるため、被塗装物20の凹部への均一性のある薄膜塗装が可能となり、被塗装物20であるローター内部の膜厚を50〜70μmにすることができる。
【0122】
半円中空状の巻き上げ防止シェード44は、上記のように、粉体塗料槽21内の中心に設置してもよいし、
図22に示すように、粉体塗料槽21内に差し込まれた各吐出ノズル43の先端に装着するようにしてもよい。各吐出ノズル43の先端に装着する巻き上げ防止シェード44は、吐出ノズル43の全体を囲み、側方に流出孔を設けた形状に形成している。
【0123】
第7の実施例では、粉体塗料槽21の上部に、新粉タンク49から粉体塗料を補給している。
【0124】
次に、この発明の第8の実施例を
図23〜
図27に基づいて説明する。
この第8の実施例は、被塗装物20が
図23に示す風力発電用モーターのステータであり、200μm以上の膜厚が要求されるものである。
【0125】
ステータは、
図22の端面図に示すように、筒状で、内径面に、軸方向に延びる巻線を形成する凹部が多数設けられており、この凹部の内面に、絶縁被膜を粉体塗装により形成しようとするものである。
【0126】
上記ステータの大きさは、例えば、外径80mm×内径53mm×高さ65mm程度であり、凹部の隙間は、約7mmと非常に狭い。
【0127】
しかも、凹部の内面に施される絶縁被膜の要望膜厚は、200μm以上の厚膜であるため、通常の粉体塗装ガンでは塗装が行えない。
【0128】
図24の塗装装置は、粉体塗料が流動状態で収容されている粉体塗料槽21の上面に、ステータの端面の凹部形状に合わせた粉体塗料の出口45を設け、この出口45を塞ぐように、ステータの端面の凹部と出口45を合せてステータを設置する。
【0129】
粉体塗料槽21の上面に設置したステータの上方には、吸引フード46が設置され、粉体塗料槽21内の粉体塗料を、集塵機47によって吸引し、ステータの凹部を通過させている。
【0130】
粉体塗料槽21は、槽内の下部に多孔質材料23が設置され、多孔質材料23の下方に供給される流動エアー24により、粉体塗料槽21内に収容した粉体塗料を流動状態にしている。そして、粉体塗料槽21内の粉体塗料は、下部が流動状態の流動層21aで、その上部が霧化状態の霧化層21bになる。
【0131】
粉体塗料層21は、円形状のタンクを使用し、その周辺には12本のガン先ノズル25が設置されている。
【0132】
上記のように、ステータの凹部の隙間は、7mmと狭く、且つ均一な塗装が要求される。
【0133】
このため、
図24の実施例では、粉体塗料槽21の霧化層21b内に、網48を設置した。網48の網目は7メッシュを使用した。網48の目詰まりを防止するために、網48の中心部にはエアーバイブレーター等の振動装置49を設置した。吐出量は、60g/minで、15秒間の吐出とする。その後、被塗装物20を反転して再度15秒間吐出する。
【0134】
塗装後の余分な(塗装の必要のない箇所)粉体塗料を取り除き、高周波にて硬化を行った。振動装置49の設置は、粉体塗料粒子の形状、流動性によっては設置しなくてもよい。
ガン先ノズルから吐出した粉体塗料は、流動層21a内の粉体塗料と攪拌、ミキシングを行なう。その後、タンク上層部の網48を通過して粉体塗料層21内に均一に上昇を行なう。
【0135】
電荷を帯びた霧化層21bの粉体塗料は、網48の抵抗によりゆっくりと動きながら、ステータの凹部7mmの隙間を通過し付着する。この網48を設置しない場合、各隙間の付着量にばらつきが生じ、また、霧化層21bの粉体塗料の通過スピードが速くなり、その一部に吹き飛ばし現象が生じるが、網48を設置することにより、吹き飛ばし現象が解消し、膜厚を、230〜270μmにすることができる。
【0136】
上記網48は、
図25のように、流動層21aの上部、または、
図26のように、流動層21aの上部と、霧化層21bの下部の両方に設置するようにしてもよい。