特許第5721442号(P5721442)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721442
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】排気制御システム及び排気制御法
(51)【国際特許分類】
   F02D 9/10 20060101AFI20150430BHJP
   F02D 9/04 20060101ALI20150430BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20150430BHJP
【FI】
   F02D9/10 G
   F02D9/10 A
   F02D9/04 E
   F02D9/04 C
   F02D9/04 B
   F01N13/08 B
【請求項の数】27
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-547118(P2010-547118)
(86)(22)【出願日】2009年2月20日
(65)【公表番号】特表2011-512483(P2011-512483A)
(43)【公表日】2011年4月21日
(86)【国際出願番号】EP2009001254
(87)【国際公開番号】WO2009103561
(87)【国際公開日】20090827
【審査請求日】2012年1月23日
(31)【優先権主張番号】102008010658.5
(32)【優先日】2008年2月22日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100165939
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 孝博
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ヘルゲス
【審査官】 本庄 亮太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−180012(JP,A)
【文献】 特表平09−511820(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第01231337(FR,A1)
【文献】 実開平7−4839(JP,U)
【文献】 米国特許第6179096(US,B1)
【文献】 特表平9−511811(JP,A)
【文献】 特開平6−93828(JP,A)
【文献】 米国特許第7337609(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 9/00−11/10
F01N 13/08
F02D 41/00−41/40
F02D 43/00−45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気通路(5)内に設けられる排気絞り弁(4)と、
該排気絞り弁(4)の開閉を行う操作リンク(7)を備える操作装置(6)であって、前記操作リンク(7)はプッシュロッド(21)を有し、該プッシュロッド(21)は、アクチュエータピストン(24)とアクチュエータロッド(25)とを有する制御アクチュエータ(9)のアクチュエータシリンダ(23)を支持するようになっている操作装置(6)と、
前記排気絞り弁(4)の上流で前記排気通路(5)内に発生する排気圧(P)の排気圧制御装置(8)であって、前記排気圧(P)に応じて、前記操作リンク(7)を操作して前記排気絞り弁(4)を制御する制御アクチュエータ(9)を有する排気圧制御装置(8)と、を備える排気制御システムであって、
前記排気絞り弁(4)の上流に設けられる絞り開口(11)と、
該絞り開口(11)と前記制御アクチュエータ(9)との間に設けられ、前記絞り開口(11)と前記制御アクチュエータ(9)とにそれぞれニューマチック式に連通され、不変の容積を有する圧力補償体積容器(30)と、を備え
前記排気圧制御装置(8)は、前記プッシュロッド(21)が突出する作動シリンダ(20)内に駆動部(16)を有し、前記プッシュロッド(21)は中空シリンダ(33)として形成されており、該中空シリンダ(33)内に制御アクチュエータ(9)が格納されていることを特徴とする排気制御システム。
【請求項2】
前記排気圧制御装置(8)が排気圧制限装置を備える、請求項1記載の排気制御システム。
【請求項3】
前記排気絞り弁(4)が絞りフラップ(12)を備える、請求項1又は2記載の排気制御システム。
【請求項4】
前記排気絞り弁(4)がちょう形の絞りフラップ(13)を備える、請求項1から3までのいずれか1項記載の排気制御システム。
【請求項5】
前記操作装置(6)が、2つの終端位置(14,15)をとる駆動部(16)を有しており、該駆動部(16)は、前記操作リンク(7)及び前記制御アクチュエータ(9)が前記排気絞り弁(4)を開放位置(17)に維持する第1の終端位置(14)を有しており、かつ前記排気絞り弁(4)は、前記駆動部(16)の第2の終端位置(15)では、前記制御アクチュエータ(9)及び前記圧力補償体積容器(30)の排気圧(P)によって規定される位置(18)をとる、請求項1から4までのいずれか1項記載の排気制御システム。
【請求項6】
前記駆動部(16)が、電磁式に運転されるピストン(19)を備える、請求項5記載の排気制御システム。
【請求項7】
前記駆動部(16)が、ハイドロリック式に運転されるピストン(19)を備える、請求項5記載の排気制御システム。
【請求項8】
前記駆動部(16)が、ニューマチック式に運転されるピストン(19)を備える、請求項5記載の排気制御システム。
【請求項9】
前記制御アクチュエータ(9)が前記駆動部(16)の前記ピストン(19)に機械的に結合されている、請求項6から8までのいずれか1項記載の排気制御システム。
【請求項10】
前記駆動部(16)が、作動シリンダ(20)、ピストン(19)、及び前記作動シリンダ(20)の第1の非作動状態でばね弾性的に付勢されるプッシュロッド(21)を有しており、前記作動シリンダ(20)が、前記プッシュロッド(21)とは反対側の端部(22)においてジョイントを介して固定されている、請求項5から9までのいずれか1項記載の排気制御システム。
【請求項11】
前記制御アクチュエータ(9)が、ばね弾性的に付勢されるアクチュエータピストン(24)と、該アクチュエータピストン(24)に固定されるアクチュエータロッド(25)とを備えるアクチュエータシリンダ(23)を有しており、前記アクチュエータロッド(25)が自由端(26)において、前記排気絞り弁(4)の回転軸(28)と協働するレバーアーム(27)に枢設されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の排気制御システム。
【請求項12】
前記アクチュエータシリンダ(23)が開口(29)を有しており、該開口(29)が前記圧力補償体積容器(30)にニューマチック式に連通されており、該圧力補償体積容器(30)の減圧された状態で、前記アクチュエータロッド(25)に枢設された前記レバーアーム(27)が最大の変位位置(x)を有しており、かつ前記圧力補償体積容器(30)の圧力負荷された状態で、前記レバーアーム(27)が、圧力に基づいて制御される変位位置(x)を有している、請求項11記載の排気制御システム。
【請求項13】
前記排気通路(5)の前記絞り開口(11)に圧力補償体積容器(30)が配置されており、該圧力補償体積容器(30)が圧力管路(31)を介して前記アクチュエータシリンダ(23)の前記開口(29)に接続されている、請求項12記載の排気制御システム。
【請求項14】
前記圧力補償体積容器(30)及び前記制御アクチュエータ(9)が1つの共通の容器(32)内に配置されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の排気制御システム。
【請求項15】
前記プッシュロッド(21)が中空シリンダ(33)として形成されており、該中空シリンダ(33)が前記圧力補償体積容器(30)を備える、請求項から14までのいずれか1項記載の排気制御システム。
【請求項16】
前記排気絞り弁(4)が内燃機関の排気マニホールドの下流かつすす粒子フィルタの上流に配置されている、請求項1から15までのいずれか1項記載の排気制御システム。
【請求項17】
前記排気絞り弁(4)が内燃機関のすす粒子フィルタの下流かつマフラの上流に配置されている、請求項1から15までのいずれか1項記載の排気制御システム。
【請求項18】
排気制御システムによる排気制御法であって、当該排気制御法が以下の方法ステップ、すなわち
排気絞り弁(4)を排気通路(5)内に設け、
該排気絞り弁(4)の開閉を行う操作リンク(7)を備える操作装置(6)であって、前記操作リンク(7)はプッシュロッド(21)を有し、該プッシュロッド(21)は、アクチュエータピストン(24)とアクチュエータロッド(25)とを有する制御アクチュエータ(9)のアクチュエータシリンダ(23)を支持するようになっている操作装置(6)を設け、
前記排気絞り弁(4)の上流で前記排気通路(5)内に発生する脈動する排気圧(P)の排気圧制御装置(8)であって、前記排気圧(P)に応じて、前記操作リンク(7)を操作して前記排気絞り弁(4)を制御する制御アクチュエータ(9)を有する排気圧制御装置(8)を設ける、
という方法ステップを備え、
前記排気圧制御装置(8)は、前記プッシュロッド(21)が突出する作動シリンダ(20)内に駆動部(16)を有し、前記プッシュロッド(21)は中空シリンダ(33)として形成されており、該中空シリンダ(33)内に制御アクチュエータ(9)が格納されており、
前記排気絞り弁(4)の上流に絞り開口(11)を設け、
該絞り開口(11)は、脈動する排気圧(P)を、不変の容積を有する圧力補償体積容器(30)に供給して、該脈動する排気圧(P)の圧力ピークを補償し、前記補償された排気圧(P)を制御アクチュエータ(9)に供給し、
前記制御アクチュエータ(9)を備える操作リンク(7)、駆動部(16)の第1の終端位置(14)で、前記排気絞り弁(4)を安定に開放位置(17)に維持し、
かつ駆動部(16)の第2の終端位置(15)で、前記制御アクチュエータ(9)を備える操作リンク(7)、前記排気絞り弁(4)を、前記圧力補償体積容器(30)にかかっている圧力(P)によって制御される安定な位置(18)に維持することを特徴とする、排気制御システムによる排気制御法。
【請求項19】
排気絞りフラップ(4)の上流の圧力(P)を前記排気絞りフラップ(12)の閉鎖位置(34)で絞り開口(11)を介して前記圧力補償体積容器(30)に供給し、前記補償された排気圧(P)を制御アクチュエータ(9)に供給し、該制御アクチュエータ(9)によって、前記補償された排気圧(P)に基づいて前記排気絞りフラップ(4)を開放制御する、請求項18記載の排気制御法。
【請求項20】
前記絞り開口(11)及び前記圧力補償体積容器(30)によってフィルタ作用を有する遅延要素を形成して、前記脈動する排気圧(P)の圧力ピークを解消又は除去するようにし、該フィルタ作用の特性を、前記排気絞りフラップ(12)が、圧力に基づいて制御される安定な位置(18)を占めるように、調整する、請求項19記載の排気制御法。
【請求項21】
前記操作装置(6)の駆動部(16)が、非作動であり、第1の終端位置(14)を維持する限り、前記排気絞り弁(4)を第1の開放位置(17)に維持する、請求項18から20までのいずれか1項記載の排気制御法。
【請求項22】
前記操作装置(6)の前記駆動部(16)が、作動されて、前記制御アクチュエータ(9)が前記圧力補償体積容器(30)の圧力(P)によって制御される位置を占め、前記排気絞り弁(4)が対応して閉鎖位置(34)から第2の、前記圧力に基づいて制御される安定な位置(18)へと移動する、第2の終端位置をとると直ちに、前記排気絞り弁(4)の位置を第2の制御される安定な位置(18)に維持する、請求項21記載の排気制御法。
【請求項23】
前記駆動部(16)によってピストン(19)を作動シリンダ(20)内で電磁式、ハイドロリック式又はニューマチック式に駆動し、第1の終端位置(14)から第2の終端位置(15)へと移動させる、請求項21又は22記載の排気制御法。
【請求項24】
前記排気絞り弁(4)の回転軸(28)と協働するとともに、アクチュエータロッド(25)の自由端(26)に枢設されているレバーアーム(27)を、アクチュエータシリンダ(23)のアクチュエータピストン(24)によって圧力に基づいて調節する、請求項18から23までのいずれか1項記載の排気制御法。
【請求項25】
前記アクチュエータシリンダ(23)を開口(29)を介して前記圧力補償体積容器(30)にニューマチック式に連通させて、該圧力補償体積容器(30)の減圧された状態では、前記アクチュエータロッド(25)に枢設された前記レバーアーム(27)が、最大の変位位置(x)を占めるようにし、かつ前記圧力補償体積容器(30)の圧力負荷された状態では、前記レバーアーム(27)が、圧力に基づいて制御される変位位置(x)へと前記制御アクチュエータ(9)によって移動させられるようにする、請求項24記載の排気制御法。
【請求項26】
前記排気絞り弁(4)を内燃機関の排気マニホールドの下流かつエンジンブレーキシステムのすす粒子フィルタの上流に配置し、前記排気マニホールド内の圧力(P)を、前記内燃機関内の最大で許容可能な圧力と、該圧力に基づく最大で許容可能な温度とが、燃料噴射がオフにされた状態での、エンジンブレーキプロセス時に超過されないように、前記排気絞り弁(4)を介して制御する、請求項18から25までのいずれか1項記載の排気制御法。
【請求項27】
前記排気絞り弁(4)を内燃機関のすす粒子フィルタの下流及びすす粒子フィルタ浄化システムのマフラの上流に配置し、前記排気通路(5)内の圧力(P)を、前記内燃機関内の最大で許容可能な圧力と、燃料噴射がオンにされた状態での、前記すす粒子フィルタ内の、前記圧力に基づく最大で許容可能な温度とが、すす粒子フィルタの浄化時に超過されないように、前記排気絞り弁(4)を介して制御する、請求項18から25までのいずれか1項記載の排気制御法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気制御システム及び排気制御法に関する。排気制御システムは、排気通路内に設けられる排気絞り弁と、操作リンクを備える排気絞り弁の操作装置とを備える。排気圧制御装置は、排気絞り弁の上流に発生する排気通路内の排気圧を制御する。排気絞り弁を備えるこの種の排気制御システムは、多方面で、内燃機関、有利には自動車の内燃機関において使用可能である。
【0002】
刊行物DE19821130A1において、この種の排気制御システムがエンジン堰止めブレーキ(Motorstaubremse)として機能し得ることが公知である。この場合、内燃機関からの排気の流動は、エンジンブレーキの出力の向上を達成するために、堰止めフラップ(Stauklappe)によって遮断される。このために、排気管が可及的密に閉鎖されると同時に、噴射ポンプの圧送がゼロに切り換えられる。その際、原動機は、惰走する自動車によって駆動され、圧力は、原動機のコンプレッサ作用に基づいて上昇する。
【0003】
堰止めフラップの上流における圧力の上昇は、排気制御システムを設けなければ、原動機のシリンダ弁が不都合に押し開けられて、排気が他のシリンダに逆流することに至らしめる恐れがある。エンジンブレーキ特性を助成するためのこの種の堰止めフラップによる解決手段の別の危険は、付加的なシリンダ弁の押し開け後、より多くのガスが排気通路と個々のシリンダとの間で往復するように圧送されることにより、高い発熱が堰止めフラップの上流の温度を上昇させることにある。
【0004】
この圧力上昇及び温度上昇を制限するために、刊行物DE19821130において、図7に示すような堰止めフラップあるいは絞りフラップ12を備える排気制御システム50が公知である。絞りフラップ12は、圧力制限及び温度制限を達成するために、絞りフラップ12上に配置されている圧力制限弁35を備える。圧力制限弁35は、閉鎖された状態にあるとき、弁フラップ36によって、絞りフラップ12に設けられた開口37を予め付勢された状態で閉鎖状態に維持する。このプリロードは、図7に示すように、板ばね38によって印加される。圧力制限弁35の弁フラップ36は、絞りフラップ12の上流における許容可能な排気圧Pが超過され、ひいては排気通路5の許容できない程高い温度Tが生じると直ちに開弁する。これにより、圧力制限弁35によって原動機は、制動期間中、過圧及び超過温度から保護される。
【0005】
刊行物US4750459において、図8に示す、動圧を制限する排気制御システム40が公知である。このために排気制御システム40は、ちょう形の絞りフラップ(Butterfly−Drosselklappe)13を備える。閉鎖された状態にあるちょう形の絞りフラップ13のエッジ面は、領域41において過圧弁43の弁ヘッド42によってシールされる。許容可能な上流側の排気圧Pの超過時には、過圧弁43がバイパスを開く。このバイパスを介して、過圧、ひいては温度の過昇を解消することができる。
【0006】
さらに、刊行物US5355673において、図9に示すように、非対称的に配置される絞りフラップ12とともに作業する排気制御システム60が公知である。この排気制御システム60では、絞りフラップ12は、排気通路5の対称軸線の外に配置される回転軸28周りに旋回可能である。非対称的に支承され、ばね部材を介して閉鎖状態に保持可能な絞りフラップ12の閉鎖状態において、絞りフラップの上流の過圧時に、ばね弾性的なプリロードは克服され、予め付勢された絞りフラップ12はギャップを開放する。このギャップを介して、絞りフラップ12の上流の過圧、ひいては過昇した温度は解消可能である。
【0007】
これにより、公知の排気制御システムによって、原動機の最大の回転数時に、最大で許容可能な圧力が超過される恐れはない。これらの解決手段では、原動機の背圧が、公知の解決手段における閉鎖方向で働くばね機構を克服する開放力を及ぼしている。しかし、これらの解決手段は、絞りフラップ自体又は少なくとも制限弁が、排気通路内の脈動する圧力に基づいて常時振動するか、又はばたつくという欠点を有する。それというのも、ガスは一定の流れで原動機から放出されるわけではなく、断続的にあるいはバッチ状に、ピストンの行程に応じて放出されるからである。このことは、この種の排気制御システムの強い摩耗及び短い寿命に至り、かつ付加的に、強い騒音発生に至りかねない。
【0008】
本発明の課題は、背景技術における欠点を克服し、かつ閉鎖された排気絞りフラップの上流における圧力上昇を排気フラップ式ブレーキ(Auspuffklappenbremse)のために利用するだけでなく、圧力上昇に付随する排気通路内の排気絞り弁の上流における温度上昇を有利に利用する排気制御システムを提供することである。
【0009】
この課題は、独立請求項に記載の構成によって解決される。本発明の有利な形態は、従属請求項から看取される。
【0010】
本発明により排気制御システム及び排気制御法が提供される。排気制御システムは、排気通路内に設けられる排気絞り弁と、操作リンクを備える排気絞り弁の操作装置とを備える。排気圧制御装置は、排気絞り弁の上流に発生する排気通路内の排気圧を制御する。このために操作リンクは、圧力補償体積と協働する制御アクチュエータを備える。圧力補償体積は、排気絞り弁の上流に設けられる絞り開口にニューマチック式に連通されている。
【0011】
この排気制御システムの利点は、排気絞り弁の上流の圧力が絞り開口を介して補償体積に導入されており、この圧力が補償体積からアクチュエータへと導かれて、アクチュエータが、直接アクチュエータにかかっている圧力に基づいて、リンクを介して排気絞り弁を閉鎖位置から、圧力に基づいて制御される位置へと安定に移行させることができる点にある。補償体積と協働する絞り開口によって、有利には高周波の圧力ピークを大幅に、脈動する排気圧からフィルタリングする遅延要素(Verzoegerungsglid)が生じる。排気絞り弁及び初期体積の適合によって、この遅延要素のフィルタ特性を、排気絞り弁の高周波のばたつきと、長期の過度に高い圧力とが、本発明に係る排気制御システムによって回避されるように調整することができる。補償体積によって、多少ゆっくりとした中等の圧力上昇が生じる。しかし、この圧力上昇は、付加的なシリンダ弁の押し開けには至らない。それというのも、操作リンクに設けられた制御アクチュエータが、排気圧制御、及び排気圧によって規定される排気温度制御を排気絞り弁の上流において可能とするからである。
【0012】
有利には、排気圧制御装置が排気圧制限装置を備える。排気圧制限装置は、排気絞り弁の上流の排気圧を制限することができる。
【0013】
圧力制御又は圧力制限のために、排気絞り弁は絞りフラップを有していてよい。絞りフラップは、旋回軸を介して操作リンクと協働し、ひいては制御アクチュエータとも協働する。絞りフラップの代わりに、排気絞り弁は、有利にはちょう形の絞りフラップを備える。ちょう形の絞りフラップは、完全に回転軸に関して対称的に構成されており、回転軸は、排気通路の対称軸線と絞り弁の領域において交わる。この種のちょう形の絞りフラップは、絞りフラップ軸における必要な調節力が最小で済むという利点を有する。
【0014】
本発明の有利な形態では、操作装置が、2つの終端位置をとる駆動部を有しており、駆動部は、操作リンク及び制御アクチュエータが排気絞り弁を開放位置に維持する第1の終端位置を有する。駆動部の第2の終端位置では、制御アクチュエータが有効となり、排気絞り弁は、圧力補償体積の排気圧によって惹起される位置に保持される。この位置は、補償体積内の均衡された圧力に基づいて完全に安定である。その結果、絞りフラップ、特にちょう形の絞りフラップのばたつきは発生しない。
【0015】
駆動部の2つの終端位置を実現するために、駆動部は、電磁式に運転されるピストンを備えていてよい。この種のソレノイドドライブは、比較的迅速にリンクの両終端位置間で可動であるという利点を有する。
【0016】
本発明の別の形態では、駆動部が、ハイドロリック式に運転されるピストンを備える。この種の駆動部は、両終端位置をとる際に減衰する可能性を有する。
【0017】
本発明の別の形態では、駆動部が、ニューマチック式に運転されるピストンを備える。この種のニューマチック式の駆動部は、リンクのための運動経過を有利には可変とすることができる。
【0018】
その際、制御アクチュエータは、駆動部のピストンに機械的に結合されている。この機械的な結合は、ピストンにおける制御アクチュエータの直接の固定と、対応するプッシュロッドを介した制御アクチュエータへの駆動部の運動の伝達とを包括する。その際、ピストンにおけるアクチュエータの直接の固定には、排気圧によって規定される排気絞り弁の位置のための、比較的大きな制御範囲が結び付く一方で、プッシュロッドによって、圧力に基づくリンクの変位を相応に減じることができる。
【0019】
ハイドロリック式又はニューマチック式の駆動部のために、操作装置は、作動シリンダ、ピストン、及び作動シリンダの第1の非作動状態でばね弾性的に付勢されるプッシュロッドを有している。その際、作動シリンダは、プッシュロッドに対向する端部においてジョイントを介して固定されている。このジョイントを介した固定は、有利には、プッシュロッドのストローク運動及び制御アクチュエータのストローク運動が直線状になされ、ジョイントを介してレバーアームに結合されている場合、開放位置から閉鎖位置及び閉鎖位置から開放位置への排気絞り弁の調節時の、排気絞り弁の回転軸周りのレバーアームの円運動を補償することができる。
【0020】
制御アクチュエータは、駆動ピストンを備える駆動部と類似に構成されていてよい。このために有利には、制御アクチュエータが、ばね弾性的に付勢されるアクチュエータピストンと、アクチュエータピストンに固定されるアクチュエータロッドとを備えるアクチュエータシリンダを有している。アクチュエータロッドの自由端は、排気絞り弁の回転軸と協働するレバーアームに枢設されている。その際、制御アクチュエータは、排気絞り弁が閉鎖位置にあり、排気絞り弁の上流において、過昇した圧力、及びこの圧力に基づいて過昇した温度が排気通路内に形成されて初めて有効となる。こうなって初めて、圧力補償体積は、排気絞り弁の上流に設けられる絞り開口を介して負荷され、付加的なシリンダ弁が押し開けられる恐れが生じる許容できないほど高い最大の圧力が形成された場合に、アクチュエータ又はアクチュエータピストンを運動させることができる。
【0021】
圧力補償体積とアクチュエータシリンダとの間の協働を可能にするために、アクチュエータシリンダは開口を有しており、開口は圧力補償体積にニューマチック式に連通されている。その際、圧力補償体積の減圧された状態では、アクチュエータロッドに枢設されたレバーアームが最大の変位位置を有しており、かつ圧力補償体積の圧力負荷された状態では、レバーアームが、圧力に基づいて制御される変位位置を有している。
【0022】
その際、実用的なことに、駆動部のプッシュロッドと制御アクチュエータのアクチュエータロッドとからなる操作リンクの長さは短縮される。既に上述したように、リンクのより大きな変位が必要な場合には、アクチュエータシリンダが直接駆動ピストン上に取り付けられていてよい。このことは、有利には、ディーゼルパティキュレートフィルタ(Dieselpartikelfilter:DPF)の浄化にとって、原動機が作動し、かつ燃料噴射がオンであるときに、排気制御弁の上流におけるより高い温度変動を可能にするために、有利であり得る。
【0023】
本発明の有利な形態では、排気絞り弁の上流に設けられる排気通路の絞り開口に圧力補償体積容器が配置されており、圧力補償体積容器は、圧力管路を介してアクチュエータシリンダの開口に接続されている。その際、この圧力管路は、操作リンクの運動、ひいてはアクチュエータシリンダの運動に従動することができるように、フレキシブルに構成されている。
【0024】
本発明の別の有利な形態では、圧力補償体積及び制御アクチュエータが1つの共通の容器内に配置されている。このことは、排気制御システムの部品点数を減じることができるという利点を有する。このことは、保管コスト、交換部品コスト及び組立コストの面で有利である。
【0025】
さらに、プッシュロッドは中空シリンダとして形成されていてよく、中空シリンダは制御アクチュエータを備える。これにより、この種の中空シリンダは、直接駆動部の駆動ピストンに設置されるので、中空シリンダの長さは、排気絞りシステムを操作するためのレバーアームにおける可能な最大のアクチュエータストロークを規定する。さらに、プッシュロッドとして形成される中空シリンダは、制御アクチュエータ及び圧力補償体積のための1つの共通のハウジングを形成することができる。この場合、排気制御システムのために準備しなければならない部品点数は、プッシュロッドが省略されるだけでなく、中空シリンダが同時に、駆動シリンダ内の駆動部のためのピストンを形成することもできるので、さらに減じられる。
【0026】
さらに、排気絞り弁は、内燃機関の排気マニホールドの下流かつDPFの上流に配置されていてよい。この場合、排気絞り弁は、排気制御システムと協働して排気絞りフラップ式ブレーキ(Auspuffdrosselklappenbremse)として役立つ。排気絞りフラップ式ブレーキは、原動機への燃料の噴射が停止されたときに、作動可能である。他方、排気絞り弁は、内燃機関のDPFの下流かつマフラ(Auspufftopf)の上流に配置されていてもよい。この場合、排気通路内の圧力上昇に伴う排気温度の上昇を、例えばDPFを加熱によって浄化するために利用することができる。この場合、原動機への燃料の噴射プロセス又は噴射は停止されない。
【0027】
この種の浄化は、周期的に走行運転中になされても、原動機の作動時に車両の停止状態においてなされてもよい。この場合、原動機がコンプレッサとして作動するのではなく、むしろ高温の排気を提供するので、制御アクチュエータの、圧力に基づくより大きな変位は、本発明の以下に説明する実施の形態の1つが可能とするように、例えば走行中の車両においてDPFの浄化のための最適な温度サイクルを実施することができるようにするために、有益である。
【0028】
排気制御システムを備える排気制御法は、以下の方法ステップを備える。まず、操作装置の操作リンクを介して調節可能な排気絞り弁を排気通路内に設ける。さらに、排気絞り弁の上流で排気通路内に発生する脈動する排気圧の排気圧制御装置を用意する。排気絞り弁の上流に付加的に絞り開口を設け、絞り開口から脈動する排気圧を圧力補償体積に供給して、脈動する排気圧の圧力ピークを補償し、この補償された排気圧を制御アクチュエータに供給する。
【0029】
その際、制御アクチュエータを備える操作リンクは、駆動部の第1の終端位置で、排気絞り弁を安定に開放位置に維持する。駆動部の第2の終端位置では、制御アクチュエータを備える操作リンクは、排気絞り弁を、圧力補償体積にかかっている圧力によって制御される安定な位置に維持する。このような排気制御法は、有利には、排気フラップ式ブレーキのためにも、DPFの浄化法及び再生法のために使用され得る。
【0030】
この排気制御法では、排気絞りフラップの上流の圧力を排気絞りフラップの閉鎖位置で絞り開口を介して圧力補償体積に供給し、この補償された排気圧をアクチュエータに供給し、アクチュエータによって、補償された排気圧に基づいて排気絞りフラップを開放制御する。その際、絞り開口及び圧力補償体積によってフィルタ作用を有する遅延要素を形成して、脈動する排気圧の圧力ピークを解消又は除去するようにし、このフィルタ特性を、排気絞りフラップが、圧力に基づいて制御される安定な位置を占めることができるように、調整する。
【0031】
この排気制御法では、操作装置の駆動部が非作動であり、第1の終端位置を維持する限り、第1の開放位置を排気絞り弁により維持する。操作装置の駆動部が、作動されて、制御アクチュエータが圧力補償体積の圧力によって制御される位置を有する、第2の終端位置をとると直ちに、排気絞り弁を対応して閉鎖位置から第2の、圧力に基づいて制御される安定な位置へと移動させる。
【0032】
その際、駆動部によってピストンを作動シリンダ内で電磁式、ハイドロリック式又はニューマチック式に駆動し、第1の終端位置から第2の終端位置へと移動させることができる。
【0033】
方法の有利な実施に際しては、排気絞り弁の回転軸と協働するとともに、アクチュエータロッドの自由端に枢設されているレバーアームを、アクチュエータシリンダのアクチュエータピストンによって圧力に基づいて調節する。このために、アクチュエータシリンダを開口を介して圧力補償体積にニューマチック式に連通させる。圧力補償体積の減圧された状態では、アクチュエータロッドに枢設されたレバーアームが、最大の変位位置を占めるようにし、かつ圧力補償体積の圧力負荷された状態では、レバーアームが、圧力に基づいて制御される変位位置へと制御アクチュエータによって移動させられるようにする。
【0034】
排気制御法は、排気絞り弁を内燃機関の排気マニホールドの下流かつエンジンシステムのすす粒子フィルタ(Russpartikelfilter)の上流に配置し、排気マニホールド内の圧力を、内燃機関内の最大で許容可能な圧力と、圧力に基づく最大で許容可能な温度とが、燃料噴射がオフにされた状態での、相応のブレーキプロセス時に超過されないように、排気絞り弁を介して制御すると、エンジンブレーキ倍力として使用することができる。
【0035】
さらに、排気制御法は、PDFを浄化するために排気通路を加熱するために使用することができる。このために、排気絞り弁を内燃機関のすす粒子フィルタの下流及びマフラの上流に配置し、排気通路内の圧力を、内燃機関内の最大で許容可能な圧力と、燃料噴射がオンにされた状態での、DPF内の、圧力に基づく最大で許容可能な温度とが、DPFの浄化時に超過されないように、排気絞り弁を介して制御する。
【0036】
以下に、本発明について添付図面を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る排気制御システムの原理図である。
図2】駆動部のピストンが第1の終端位置にある、図1に示した排気制御システムの原理図である。
図3】駆動部のピストンが第2の終端位置にある、図1に示した排気制御システムの原理図である。
図4】ピストンが第2の終端位置にあり、制御アクチュエータが作動されている、図1に示した排気制御システムの原理図である。
図5】本発明の第2の実施の形態に係る排気制御システムの原理図である。
図6】本発明の第3の実施の形態に係る排気制御システムの原理図である。
図7】背景技術における排気制御システムの原理図である。
図8】背景技術における別の排気制御システムの原理図である。
図9】背景技術における付加的な排気制御システムの原理図である。
【0038】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る排気制御システム1の原理図を示す。排気制御システム1は、排気通路5内に排気絞り弁4を備える。排気絞り弁4は、回転軸28周りに矢印方向A及びBで、開放位置から閉鎖位置へ、かつ閉鎖位置から開放位置へと運動可能である。このために、外方に案内された回転軸28にレバーアーム27が固定されており、レバーアーム27は、ジョイントを介してあるいはヒンジ式に、制御装置8に結合されている。制御装置8は、駆動部16を作動シリンダ20内に有している。作動シリンダ20からプッシュロッド21が突出している。
【0039】
プッシュロッド21は、制御アクチュエータ9を支持している。制御アクチュエータ9からアクチュエータロッド25が突出しており、アクチュエータロッド25は、自由端26において、ジョイントを介してあるいはヒンジ式に、排気絞り弁4のレバーアーム27に結合されている。レバーアーム27は、本実施の形態ではちょう形の絞りフラップ13として形成されている絞りフラップ12を調節するために円運動を行うので、操作装置6の操作リンク7は、ジョイントを介してあるいはヒンジ式に、固定点45において駆動部16の作動シリンダ20の一端22によって支持されている。
【0040】
駆動部16には、本発明の本実施の形態ではニューマチック式に、フレキシブルな圧力管路44を介して作動のために矢印方向Cで圧縮空気が供給される。圧縮空気は、圧縮空気供給管路46と、電気的に運転される二路切換器(Zweiwegeschalter)39とを介して供給される。二路切換器39がオフにされると、圧縮空気は、作動シリンダ20から圧力管路44を介して矢印方向Dで、かつ二路切換器39の圧力逃がし開口47を介して矢印方向Eで逃がされる。駆動部16とアクチュエータ9との間の協働について、以下の図面を参照しながら詳説する。
【0041】
アクチュエータ9を操作するために、排気絞り弁4の上流に絞り開口11が配置されている。絞り開口11は圧力補償体積10の供給を行う。圧力補償体積10は、圧力補償体積容器30内に蓄えられており、圧力管路31を介して制御アクチュエータ9の開口29にニューマチック式に連通されている。排気通路5の図示した部分は、内燃機関のブレーキ倍力のために、内燃機関の排気マニホールドの下流に配置されていてもよいし、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)の加熱のために、DPFの下流に、既存の排気通路内に組み込まれてもよい。
【0042】
両事例において、排気絞り弁4が閉鎖位置をとるときは、排気絞り弁4の上流の圧力P及び温度Tは、排気絞り弁4の下流の圧力P及び温度Tに対して上昇する。排気絞り弁4の開放位置では、排気絞りフラップ12が開放位置において低い流動抵抗を示すように構成されていることによって、PとPとの間の可及的小さな圧力差が生じることが望ましい。
【0043】
図2は、駆動部16のピストン19が第1の終端位置14にある、図1に示した排気制御システム1の原理図を示す。このために駆動部16は、内部でピストン19がコイルばね部材48によって第1の位置14へと押圧される作動シリンダ20を有している。同時に、ピストン19に固定されたプッシュロッド21は、作動シリンダ20内に引き込まれている。ピストン14のための戻し部材としてのコイル部材48の代わりに、この戻し機能は、図2に示したコイル部材48の領域に圧力を導入することによって保証されてもよい。この圧力導入は、コイルばね48によるプリロードに対して、プッシュロッド21が衝撃的に作動シリンダ内に引き込まれず、制御された状態で作動シリンダ内に後退可能であるという利点を有している。
【0044】
図2に示したニューマチック式の駆動部16の代わりに、ピストン19を電磁式の駆動部又はハイドロリック式の駆動部によって運動させてもよい。本発明の本第1の実施の形態では、ピストンロッド21の端部に制御アクチュエータ9が配置されている。制御アクチュエータ9自体は、アクチュエータシリンダ23、アクチュエータピストン24及びアクチュエータロッド25を備える。アクチュエータピストン24は、コイルばね部材49によって最大の変位位置xでアクチュエータシリンダ23内に保持され、かつ駆動部16及び制御アクチュエータ9のこの非作動状態において、自由端26でもってレバーアーム27に枢設されているアクチュエータロッド25を介して、排気絞り弁4の絞りフラップ12が開放位置17に保持されるようにしている。
【0045】
駆動ピストン19が駆動部16の作動によって、図2には示されていない第2の終端位置にもたらされる場合には、作動シリンダ20がプッシュロッド21とは反対側の端部22において固定点45に対して可動に配置されているので、レバーアーム27は、矢印方向Gでの円運動に従う。排気通路5内の圧力及び温度は、絞りフラップ12の上流と下流とでほぼ等しい。排気通路5内のこの通常の排気圧では、アクチュエータシリンダ23に設けられた開口29と圧力管路31とを介して補償体積容器30内の補償体積10に連通されている制御アクチュエータ9は、絞り開口11を介して圧力補償体積10が排気通路に連通されているにもかかわらず、作動しない。
【0046】
図3は、駆動部16のピストン19が第2の終端位置15にある、図1に示した排気制御システム1の原理図を示す。このために、圧縮空気は、矢印方向Cで作動シリンダ20内に押し込まれ、コイルばね部材48は、ピストン19によって、ストッパ部材51によって作動シリンダ20内に規定されている第2の終端位置15まで圧縮される。プッシュロッド21及びアクチュエータロッド25は、ピストン19のこの第2の終端位置において、レバーアーム27を介して絞りフラップ12が閉鎖位置に移動するように働く。
【0047】
絞りフラップ12の上流では排気通路5内の圧力Pが上昇する。しかし、この圧力Pは、時間的に一定でなく、脈動状あるいはパルス状に、閉鎖された絞りフラップ12に作用する。絞り開口11を介して、この脈動する排気圧が補償体積10へと供給される。補償体積10は、フィルタのように働いて、Pの圧力ピークを平滑化するか、あるいは濾波する。これにより、圧力管路31を介して、補償された圧力がアクチュエータシリンダ23内に、アクチュエータシリンダ23の開口29を介して押し込まれる。臨界的な、あるいは最大で許容可能な圧力が超過されない限り、絞りフラップ12は、この閉鎖位置34にとどまり、アクチュエータピストンは、図3に示した位置、すなわちアクチュエータの最大の変位位置xにとどまる。
【0048】
図4は、ピストン19が第2の終端位置15にあり、制御アクチュエータ9が作動されている、図1に示した排気制御システム1の原理図を示す。圧力補償容器30の圧力補償体積10内の平均された圧力Pが閾値を超過すると、圧力管路31を介してアクチュエータシリンダ23内の開口29がアクティブ化され、アクチュエータピストン24は、圧力に基づく変位xを経る。その結果、アクチュエータロッド25は、操作リンク7の全長を短縮する。これにより、絞りフラップ12は、第2の、圧力に基づく位置18にもたらされ、排気流を矢印方向Fで絞りフラップ12と排気通路壁との間のギャップを通して流動させることができる。この排気流は、絞りフラップ12の上流の圧力Pが許容可能な一定の高さに維持されるようにする。
【0049】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る排気制御システム2の原理図を示す。前述の図面に示したものと同じ機能を有する部材には、同じ符号を付し、特別に説明することはしない。本発明の本第2の実施の形態においては、作動シリンダ20のピストン19の第2の終端位置15のみを示す。本第2の実施の形態は、図1図4に示した本発明の第1の実施の形態とは、補償体積10及び制御アクチュエータ9が1つの共通のハウジング32内に配置されている点で相違する。この共通のハウジング32は、圧力補償体積10で満たされている領域と、アクチュエータピストン24がアクチュエータシリンダ23内で可動である領域とを有している。両領域は、開口29を介して互いにニューマチック式に連結されている。本実施の形態の利点については、上で既に説明したので、再度の言及は不要である。
【0050】
図6は、作動シリンダ20内の駆動部16のピストン19が第2の終端位置15にある、本発明の第3の実施の形態に係る排気制御システム3の原理図を示す。第3の実施の形態でも、前述の図面に示したものと同じ機能を有する部材には、同じ符号を付し、特別に説明することはしない。前述の実施の形態との相違は、プッシュロッド21の代わりに、本実施の形態では中空シリンダ33が設けられている点にある。中空シリンダ33内には、圧力補償体積10と制御アクチュエータ9とが収容されている。この中空シリンダ33は、直接駆動ピストン19に固定されているので、アクチュエータロッド25の運動のための、明らかに大きな最大の変位位置xが可能となる。このような拡大は、DPFの浄化のために使用したい本発明に係る排気制御システムにとって、とりわけこの浄化及び排気通路5内での排気の絞りが原動機の作動時及び噴射のオン時に経過するためになおさらのこと、有利である。このために、排気絞り弁4は、DPFの下流かつ内燃機関の図示されていない排気チャンバ(Abgastopf)の上流における排気系の領域に配置されている。この排気制御システム3は、定置の原動機の、船舶原動機の、又は発電機及びレール車両のディーゼル駆動ユニットのためのディーゼルパティキュレートフィルタの浄化のために使用可能である。
【0051】
図7図9は、従来技術の排気制御システム40,50,60の形態を示すものであり、導入部において既に説明したので、この項での繰り返しは省略可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 排気制御システム(第1の実施の形態)
2 排気制御システム(第2の実施の形態)
3 排気制御システム(第3の実施の形態)
4 排気絞り弁
5 排気通路
6 操作装置
7 操作リンク
8 制御装置
9 制御アクチュエータ
10 圧力補償体積
11 絞り開口
12 絞りフラップ
13 ちょう形の絞りフラップ
14 駆動部の第1の終端位置
15 駆動部の第2の終端位置
16 駆動部
17 開放位置
18 圧力に基づいて制御される安定な位置
19 ピストン
20 駆動部の作動シリンダ
21 駆動部のプッシュロッド
22 作動シリンダの枢設される端部
23 アクチュエータシリンダ
24 アクチュエータピストン
25 アクチュエータロッド
26 アクチュエータロッドの自由端
27 排気絞り弁のレバーアーム
28 排気絞り弁の回転軸
29 アクチュエータシリンダの開口
30 圧力補償体積容器
31 圧力管路
32 ハウジング又は容器
33 中空シリンダ
34 閉鎖位置
35 圧力制限弁
36 弁フラップ
37 開口
38 板ばね
39 切換器
40 排気制御システム(従来技術)
41 領域
42 弁ヘッド
43 過圧弁
44 圧力管路
45 固定点
46 圧縮空気供給管路
47 圧力逃がし開口
48 コイルばね部材
49 コイルばね部材
50 排気制御システム(従来技術)
51 ストッパ部材
60 排気制御システム(従来技術)
補償された排気圧
排気圧(弁の上流)
排気圧(弁の下流)
排気温度(弁の上流)
排気温度(弁の下流)
最大の変位位置
圧力に基づく変位位置
A〜G 矢印方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9