(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明にかかる回転支持装置の第1実施形態を装備した石製灯籠を示す図であり、同図(a)は通常使用時の状態を示す一方、同図(b)は石製灯籠にロウソクを装着し、またロウソクに点火する時の状態を示している。また、
図2は
図1の石製灯籠の分解組立図である。なお、
図1(a)、(b)中の下段は笠形の頭部を取り外した状態で灯籠本体部の内部を斜め上方から見た図である。石製灯籠1は、石製の基台2と、基台2と同一石材から形成された灯籠本体部3と、基台2と同一石材から形成された灯籠本体部3の上方端部に載置される笠形の頭部4と、基台2に対して灯籠本体部3を回転自在に支持する回転支持部5と、灯籠本体部3の内部でロウソク6を支持するロウソク支持部7と、灯籠本体部3の前面に形成される開口部31を内側から覆う透明ガラス板8とを備えている。
【0017】
灯籠本体部3は、軸方向Xに中空部32が形成された筒状の中空石材であり、
図1(a)に示すように前面には斜め方向に延びる複数本の格子模様部が施された第1開口部31が形成される一方、同図(b)に示すように背面にはロウソク6を立てたロウソク立て72の灯籠本体部3に対する挿脱や着火などを行うための第2開口部33が形成されている。
【0018】
基台2の上面中央部には、鉛直方向の下方に向けて所定内径の削孔21が穿設されており、その削孔21に対して回転支持部5が固定される。この回転支持部5は、本発明にかかる回転支持装置の第1実施形態に相当するものであり、次にように構成されている。
【0019】
図3は回転支持部の分解組立断面図であり、
図4は回転支持部への灯籠本体部および透明ガラス板の取付方法を示す断面図である。なお、
図3中の括弧内番号は組立手順の一例を示すものである。
【0020】
回転支持部5は、大きく分けて軸部材51と、軸部材51の下方端面に取り付けられる羽部材52と、平板中央部に貫通孔531を有する第1平板53と、平板中央部に貫通孔541を有する第2平板54と、複数個(本実施形態では、6個)の金属製またはセラミック製の球体55とを有している。そして、次の手順(1)〜(8)で組み立てられる。以下、装置各部の構成とともに組立手順を説明する。なお、この組立手順は一例であって適宜順序を入れ替えたり、並行して行ってもよいことは言うまでもない。
【0021】
(1)回転支持部5を構成する要素のうち軸部材51は、軸片511の上方端部に対して軸片512が接続されて一体化され、軸方向Xに延びている。このように構成される軸部材51では、軸片511の下方端部および上方端部がそれぞれ本発明の「軸部材の下方端部」および「軸部材の中央部」に相当し、軸片512の上方端部が本発明の「軸部材の上方端部」に相当する。これらの軸片のうち軸片511の上方端部にはフランジ部材が取り付けられている。そして、軸片511の下方端部から第1平板53の貫通孔531を外嵌すると、第1平板53の平板中央部、つまり貫通孔531の周辺部の上面がフランジ部材に係止され、その係止部分を溶接、例えばスポット溶接することで軸片511に対して第1平板53が固定される。また、第1平板53では、平板中央部から水平方向に平板周縁部が延設されており、この平板周縁部の上面は後述するようにして軸部材51に軸支される第2平板44の下面とで球体55を挟み込むことが可能となっている。
【0022】
(2)軸片511の下方端面には、軸方向Xにネジ孔が設けられるとともに当該ネジ孔に雌ネジが螺刻されている。そして、水平面内で4方向に羽が放射状に延設された羽部材52が設けられている。この羽部材52の羽中央部には貫通孔が穿設されており、その貫通孔にネジ91を挿通させるとともに、そのネジ91を軸片511のネジ孔に締結することで軸部材51の下方端部に羽部材52が固定される。なお、ネジ91の頭部寸法は削孔21の内径より短く、そのネジ91が締結される羽中央部を中心に4枚の羽が広がった状態では羽部材52の全体寸法は削孔21の内径よりも長くなっている。また、各羽は羽中央部に対して折り曲げ自在となっており、後述するように軸部材51の下方端部を削孔21に圧入すると、その圧入動作に応じて各羽が折り曲げられながら削孔21の内壁面と係合する。
【0023】
(3)軸片511の上方端面にも、下方端面と同様に、軸方向Xにネジ孔が設けられるとともに当該ネジ孔に雌ネジが螺刻されている。また、その雌ネジに対応する雄ネジが、軸片512の下方端部に螺刻されており、軸片512の下方端部を軸片511の上方端部に螺合して軸片511と一体化することが可能となっている。一方、軸片512の上方端部は下方端部よりも細く、その外径は貫通孔541の内径よりも小さくなっている。このように軸片512の上方端部には、段差部が形成され、第2平板54の貫通孔541を軸片512の上方端部に外嵌すると、第2平板54の下面が第1平板53の上面と平行に対向しながら段差部で係止され、これによって第2平板54を軸支可能となっている。なお、上記のようにして軸片511、512を一体化する際に、軸片512の送り込み量を調整することで軸部材51の軸方向Xの長さを調節し、それによって軸方向Xでの第1平板53と第2平板54との離間間隔を高精度に制御可能となっている。
【0024】
(4)第2平板54の平板中央部には上記したように貫通孔541が設けられるのに対し、その平板中央部から水平方向に平板周縁部が延設されるとともに、外周縁に第2平板54全体を取り囲むようにフェンス部543が立設されている。また、この平板周縁部の下面には貫通孔541を中心とする仮想同心円上で6個の凹部542が貫通孔541を取り囲むように等角度間隔で設けられている。なお、図面では凹部の形成により第2平板54の上面の一部が上方に突出した状態が図示されており、これに符号542を付している。この実施形態では、仮想同心円は灯籠本体部3の中空部32の内径よりも小さく、後述するように第2平板54の上面に灯籠本体部3を載置すると、凹部542が中空部32内に入り込んで灯籠本体部3と干渉するのが回避される。
【0025】
一方、第2平板54の上面に対し、2つの支持部材93が溶接や接着剤などによって取り付けられる。各支持部材93は、長尺金属片の一方端を断面視で略コ字状となるように折り曲げて透明ガラス板8をすっぽりと嵌入可能に仕上げられたガラス受け部931と、長尺金属片の他方端を三角波状に仕上げてバネ特性を持たせたバネ部932とを有している。2つのガラス受け部931は、
図3に示すように開口が鉛直方向の上方に向けられるとともにバネ部932が貫通孔541と反対側に位置する状態で、第2平板54の上面に溶接や接着剤などにより固定されて後述するように上方から降ろされる透明ガラス板8の下方端部を挟み込んで支持可能となっている。
【0026】
(5)第2平板54に形成された凹部542に対して球体55が1個ずつ収容された状態で第2平板54を第1平板53に対向配置して6個の球体55を第1平板53と第2平板54とで挟み込む。この実施形態では作業性を考慮して次のようにして組み立てている。つまり、第2平板54を上下反転させて凹部542を上方に向ける。そして、各凹部542に球体55を1個ずつ収容する。そして、手順(1)〜(3)により形成された構造体(軸部材51+羽部材52+第1平板53)も上下反転させて軸片512の先端部を下方に向け、第2平板54の貫通孔541に遊挿する。こうして、一体化された構造体(軸部材51+羽部材52+第1平板53+第2平板54+球体55+支持部材93)を再度上下反転させて、
図3に示す通常姿勢に戻す。この通常姿勢では、第2平板54に対して外力を与えると、球体55が第1平板53の上面上を凹部542内で転動しながら移動し、第2平板54と一体的に軸部材51回りに滑らかに移動する。
【0027】
(6)軸部材51の上方端面、つまり軸片512の先端面には、軸方向Xにネジ孔が設けられるとともに当該ネジ孔に雌ネジが螺刻されている。そして、ロウソク立て受け部71の底面中央部に設けられた貫通孔(図示省略)にネジ92を挿通させるとともに、そのネジ92を軸片512のネジ孔に締結することで軸部材51の上方端部にロウソク立て受け部71を固定する。また、このネジ締結処理によって第2平板54が軸部材51から抜けるのを防止することができる。なお、このロウソク立て受け部71に対してロウソク立て72を着脱自在となっており、本実施形態では、ロウソク立て受け部71とロウソク立て72とでロウソク支持部7が構成されている。もちろん、ロウソク立て受け部71を設ける代わりに、ロウソク立て72を直接軸部材51の上方端部に固定するように構成してもよい。
【0028】
また、本実施形態では、
図3に示すように、ロウソク立て受け部71に対して反射板10が取り付けられている。つまり、この反射板10は1枚の金属板を折り曲げて湾曲形成したものであり、ロウソク立て72に立てられたロウソク6を背面側(
図1中の下段図における上側)から囲むように配置された状態でロウソク立て受け部71を介して軸部材51に固定される。
【0029】
(7)このように本実施形態では、灯籠本体部3を支持しながら軸部材51回りに回転させる機構を有する回転支持部5に対し、灯籠本体部3および透明ガラス板8を着脱自在に支持する支持部材93、ロウソク支持部7および反射板10が取り付けられている。そして、軸部材51の下方端部を基台2の上面中央部に形成された削孔21に圧入すると、その圧入動作に応じて羽部材52が上方に折り曲げられながら軸部材51の下方端部が削孔21内に入り込み各羽部材52の先端部が削孔21の内壁面と係合し、回転支持部5が基台2にしっかりと固定される。もちろん、回転支持部5を逆方向、つまり鉛直方向の上方に移動させることで回転支持部5を基台2から取り外すことも可能となっている。このように本実施形態では、回転支持部5は基台2に対して着脱自在となっている。
【0030】
(8)こうして回転支持部5の基台2への装着固定が完了すると、透明ガラス板8を上方側より降ろして透明ガラス板8の下方端部を支持部材93のガラス受け部931に嵌め込み、これによって透明ガラス板8を回転支持部5に取り付ける。その後、さらに灯籠本体部3をバネ部932と係合させながら第2平板54の上面に載置して固定し、最後に灯籠本体部3の上方端部に対して頭部4を嵌入する。この実施形態では、灯籠本体部3に対して頭部4を着脱自在に構成しているが、灯籠本体部3への頭部4の固定を希望する場合には、灯籠本体部3への頭部4の嵌入時に接着剤を用いて頭部4を固定すればよい。
【0031】
本実施形態では、上記のように構成された支持部材93を利用することで透明ガラス板8および灯籠本体部3を回転支持部5に対して着脱自在としているが、それについて
図4を参照しつつ詳しく説明する。第2平板54の上面に固定された支持部材93は、第2平板54の外周縁に立設されたフェンス部543から貫通孔側(
図4の左手側)に離れて第2平板54の上面に固定されている。そして、灯籠本体部3が第2平板54に載置されるまで、バネ部932は反貫通孔側(
図4の右手側)に少し傾斜しているため、同図(a)に示すように、透明ガラス板8を上方から下降させて透明ガラス板8を支持部材93に設置して固定させる際、透明ガラス板8が多少ふらついたとしてもバネ部932に案内されて透明ガラス板8の下方端部をガラス受け部931に対して確実に挿入可能となっている。
【0032】
透明ガラス板8の設置が完了すると、同図(b)に示すように、灯籠本体部3を上方から下降させて透明ガラス板8および支持部材93に外嵌する。この外嵌作業中に、灯籠本体部3の内壁面がバネ部932と係合してバネ部932を透明ガラス板8側に押し遣り透明ガラス板8の外周面とで挟み込む。また、本実施形態では、軸方向Xと直交する水平方向でのバネ部932の幅は透明ガラス板8と灯籠本体部3との間隔よりも広いため、同図(c)に示すように、灯籠本体部3と透明ガラス板8とで挟まれたバネ部932は軸方向Xに強制的に伸張させられて透明ガラス板8と灯籠本体部3とを互いに離間させる方向に付勢して透明ガラス板8に対して灯籠本体部3を固定している。
【0033】
また、本実施形態では、フェンス部543で取り囲まれる空間の内径が灯籠本体部3の下方端部の外径とほぼ同一であり、その空間に灯籠本体部3の下方端部を嵌入することで灯籠本体部3の重心が軸部材51の鉛直方向の上方に位置するように設計されているため、灯籠本体部3は回転支持部5に装着固定するのみで灯籠本体部3を正確に位置決めすることができるとともに、フェンス部543で灯籠本体部3の下方端部を保持して灯籠本体部3をしっかりと回転支持部5に固定することができる。もちろん、透明ガラス板8は2つの支持部材93により支持され、灯籠本体部3は2つの支持部材93とフェンス部543とで支持されることで回転支持部5に固定されているため、上記とは逆の手順、つまり灯籠本体部3を上方への持ち上げた後、透明ガラス板8を上方に持ち上げることによって、灯籠本体部3および透明ガラス板8を回転支持部5から取り外すことができる。このように、本実施形態では回転支持部5に対する、透明ガラス板8および灯籠本体部3の着脱が容易であり、優れたメンテナンス性が得られる。
【0034】
以上のように、本実施形態では、軸部材51の下方端部を基台2に固定した状態で、軸部材51の中央部および上方端部を基台2の上面中央部から上方に突出させている。そして、軸部材51の中央部に対して第1平板53を固定するとともに、6個の球体55を介して第1平板53の上方で第2平板54を軸部材51の上方端部に対して回転自在に軸支している。したがって、第2平板54の上面に灯籠本体部3および透明ガラス板8を固定することで灯籠本体部3および透明ガラス板8を安定して軸部材51から鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転させることができる。このように、上記のように構成された回転支持部5を用いることで、中空石材で形成された灯籠本体部3であっても安定して回転させることができる。したがって、開口部33が正面を向くように灯籠本体部3を回転して位置決めすると、開口部33から灯籠本体部3の中空内部にアクセスしてロウソク立て受け部71に対するロウソク立て72の着脱を行ったり、灯籠本体部3の中空内部に配置されたロウソク6への点火などを行うことができる。また、ロウソク6への点火後に、格子模様部を有する開口部31が正面を向くように灯籠本体部3を回転して位置決めすると、開口部31を介してロウソク6の灯火が導き出される。このように回転支持部5を用いることで灯籠本体部3を回転させてロウソク6の点火作業を円滑に行うことができる。
【0035】
また、上記実施形態では、第1平板53および第2平板54の間で球体55が転がることで灯籠本体部3および透明ガラス板8を回転させており、基台2と灯籠本体部3とが衝突したり、擦れ合うことがないだけでなく、基台2および灯籠本体部3のいずれも回転支持部5と擦れ合うことはなく、基台2や灯籠本体部3から粉塵が発生するのを防止することができる。
【0036】
また、上記実施形態では、ロウソク支持部7に支持されるロウソク6の背面に反射板10が配置されてロウソク6からの光を正面に反射させているが、この反射板10は、反射機能のみならず、通常使用時(格子模様付の開口部31が正面を向いてロウソク6の灯火を正面側に取り出している時)、
図1(a)に示すように背面側に位置する開口部33を塞いでロウソク6が消え難くする機能を発揮する。
【0037】
また、上記実施形態では、開口部31に格子模様部を設けることで視認性が確保しつつユーザが当該開口部31を介してロウソク6の火に触れるのを防止することができる。しかも、この開口部31に塞ぐように透明ガラス板8を設けているため、視認性を確保しつつ格子模様付の開口部31から風が入り込んでロウソク6の火が消えるのを防止することができる。
【0038】
さらに、上記実施形態では、第1平板53は単純平板形状であるため、ロウソク6のロウが溶けて軸部材51を伝わって落ちてきたとしても、回転支持部5の周辺外部に案内して排出する。したがって、回転支持部5の内部にロウが滞留して回転性能を劣化させるのを効果的に防止することができる。また、石製灯籠1を使用している間に、第1平板53と第2平板54との間に砂や塵などの粉塵が入り込むことがあるが、上記のように単純平板形状の第1平板53を用いているため、粉塵を取り除きやすく、メンテナンス性に優れている。
【0039】
このように本実施形態では、灯籠本体部3が本発明の「被回転体」に相当し、開口部31に形成された格子模様部が本発明の「格子状部」に相当し、透明ガラス板8が本発明の「透明部材」に相当する。
【0040】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば
図5に示すように第2平板54を単純平板形状に仕上げてもよい。なお、
図5では、装置各部の配置関係を明示することを優先し、装置各部の寸法関係の一部は実製品から外れている。
【0041】
図5に示す実施形態では、第2平板54は単純平板形状となっている、つまりフェンス部543が設けられていない。また、同図に示すように、軸部材51から鉛直方向の上方に延びる回転中心軸AXに対して支持部材93がほぼ対称に配置されている。したがって、バネ部932で発生する付勢力は回転中心軸AXから互いに反対方向に作用し、ガラス板8に対して灯籠本体部3を互いに180゜ずれた方向に押圧しながら支持している。このため、灯籠本体部3は単に第2平板54の上面に載置されているだけでなく、支持部材93のガラス受け部931で固定されたガラス板8を介してバネ部932の付勢力で回転支持部5に固定されている。
【0042】
また、上記実施形態では、基台や地盤などの基礎に軸部材51を固定し、その軸部材51に対して第1平板53を固定しているが、例えば
図6に示すように、第1平板53を基台などの基礎に固定するとともに当該第1平板53に軸部材53を固定してもよい。以下、
図6を参照しつつ本発明の第3実施形態について説明する。
【0043】
図6は本発明にかかる回転支持装置の第3実施形態を装備した石製灯籠を示す図である。第3実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、上記したように基台2への固定方式であり、その他の構成は基本的に同一であるため、相違点を中心に詳述し、同一構成に対しては同一符号を付して構成説明を省略する。
【0044】
第3実施形態では、軸部材51は、第1実施形態で採用した軸片512と、リング形状の軸片513とで構成されている。これらのうち軸片513の貫通孔には、軸片512の雄ネジと螺合可能な雌ネジが刻設されており、軸片513に軸片512の下方端部を螺合することで軸片513と一体化し、軸部材51を構成することが可能となっている。このように構成される軸部材51の第1平板53への固定手順の一例では、同図中の符号(3′)で示すように、軸片513を第1平板53の上面中央部に溶接や接着剤などにより固定した後、その軸片513の貫通孔に軸片512の下方端部を螺入する。こうすることで、第1平板53の上面中央部から軸部材51が上方に立設された状態となる。
【0045】
そして、第1実施形態の手順(4)〜(6)と同様の手順によって回転支持部5を組み立てることができ、組み立てられた回転支持部5は、第1実施形態と同様に、灯籠本体部3を支持しながら軸部材51回りに回転させる機構を有する。それに続いて、回転支持部5に対し、灯籠本体部3および透明ガラス板8を着脱自在に支持する支持部材93、ロウソク支持部7および反射板10が取り付けられた後、第1平板53の下面が接着剤や両面テープなどにより基台2の上面(水平面)22に固定される(符号(7′)参照)。
【0046】
こうして回転支持部5の基台2への装着固定が完了すると、第1実施形態と同様に、透明ガラス板8の取付、第2平板54の上面への灯籠本体部3の固定、および灯籠本体部3への頭部4の嵌入を行って石製灯籠1を完成させる。
【0047】
以上のように、第3実施形態においても、回転支持部5の基台2への装着固定方法が異なるものの、灯籠本体部3を回転させる機構は第1実施形態と全く同一であり、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。しかも、
図3(第1実施形態)と
図6(第3実施形態)との対比からも明らかなように、第3実施形態では、基台2に削孔21を設ける工程(1)が不要であり、また羽部材52を設ける工程(2)が不要であり、第1実施形態に比べて回転支持部5の構成を簡素化することができるとともに、作業効率を向上させることができる。
【0048】
また、上記実施形態では、第1平板53を単純平板形状に仕上げているが、外周縁にフェンス部を立設してもよいことは言うまでもない。
【0049】
また、上記実施形態では、第2平板54に6個の凹部542を設けるとともに、各凹部542に球体55を1つずつ収容しているが、凹部542に収容すべき球体55の個数は特に限定されるものではなく、例えば複数個ずつ収容してもよい。また、凹部542の個数を球体55の個数と一致させることは本発明の必須構成要件ではなく、例えば1つの円環状の凹部に対して3個以上の球体55を収容するように構成してもよい。なお、第1平板53に対し、第2平板54を水平に回転自在に支持するためには球体55を3個以上設ければよいが、安定的な回転動作を得るためには、球体55の個数はある程度、例えば上記実施形態のように6個程度設けるのが望ましい。
【0050】
また、上記実施形態では、球体55を転動自在に収容するための凹部を第2平板54に設けているが、第1平板53の上面に凹部を設けてもよい。つまり、第1平板および第2平板のうちの一方の平板に対し、他方の平板と対向する面に凹部を形成し、当該凹部内で球体を転動自在に収容するように構成すればよい。
【0051】
また、上記実施形態では、2つの軸片511、512(または512、513)をつなぎ合わせて軸部材51を構成しているが、単一の軸片により軸部材51を構成してもよく、軸構造や第1平板53との固定態様(ネジなどによる機械的な接続、溶接、接着剤など)も任意である。また、軸片512を複数部材で構成してもよい。例えば、雄ネジ部材の上面にワッシャーなどのリング部材を取り付けたものと軸片512として使用してもよく、この場合、貫通孔541の内径に応じたリング部材を用いることができる。また、リング部材の厚みを変更することで平板54とロウソク立て受け部71とのクリアランスを調節することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、平板54とロウソク立て受け部71との間にクリアランスを設けることで、ロウソク立て受け部71および反射板10を固定したまま、第2平板54および灯籠本体部3を一体的に回転させるように構成しているが、平板54とロウソク立て受け部71との間にフェルト製や樹脂製のリング状部材を介挿させてクリアランスを解消した状態で回転させるように構成してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、灯籠本体部3と頭部4とを個別に製作し、両者を組み合わせているが、灯籠本体部3と頭部4とを予め一体的に製作してもよい。また、灯籠本体部3単体を回転支持部で回転自在に支持して石製灯籠を構成してもよい。ただし、この場合、灯籠本体部3の内部に雨粒や風などが侵入するのを防止するために、灯籠本体部3については、天井面が設けられた中空形状に仕上げるのが望ましい。
【0054】
また、上記実施形態では、灯籠本体部3を第2平板54に固定するために支持部材93を用いているが、灯籠本体部3の第2平板54への固定方法はこれに限定されるものではなく、任意の固定方法を用いることができる。例えば接着剤により固定してもよい。この点に関しては、透明ガラス板8の固定についても同様であり、例えば第2平板54に対して接着剤により透明ガラス板8を取り付けてもよい。あるいは、第2平板54に固定された灯籠本体部3に透明ガラス板8を接着剤で固定してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、通常使用時に視認性を確保しつつユーザが開口部31を介してロウソク6の火に触れるのを防止するために、開口部31に格子模様部を形成するとともに、透明ガラス板8を設けているが、いずれか一方のみを採用してもよい。ただし、開口部31から風が入り込んでロウソク6の火が消えるのを防止するという観点からすれば、少なくとも透明ガラス板8を設けるのが望ましい。
【0056】
また、上記実施形態では、中空石材で形成された灯籠本体部3を本発明の「被回転体」として回転支持部5によって基台2に対して回転させているが、灯籠本体部3以外の中空石材や石柱を本発明の「被回転体」として回転支持部5によって基台2に対して回転させるように構成してもよい。例えば円柱形状の墓誌を「被回転体」として第2平板54の上面に接着剤や固定金具などを用いて固定し、回転支持部5により墓誌を回転させることができる。このように墓誌などの被回転体に対して加工を加えることなく、しかも被回転体が石柱である場合はもちろんのこと中空石材であったとしても、被回転体を第2平板54の上面で支持した状態のまま軸部材51回りで滑らかに回転させることができる。また、被回転体の重心が軸部材51の鉛直方向の上方に位置しない場合には被回転体の回転が不安定となるが、この場合、被回転体の重心が軸部材51の鉛直方向の上方に位置するように第2平板54上での被回転体の位置を調整することで容易に回転の安定化を図ることができる。さらに、第1平板53および第2平板54の間で球体55を転動させることで被回転体を回転させているため、
図1に示す実施形態と同様に、基台2と被回転体とが衝突したり、擦れ合うことがないだけでなく、基台2および被回転体のいずれも回転支持部5と擦れ合うことはなく、基台2や被回転体から粉塵が発生するのを防止することができる。
【0057】
また、上記実施形態では、石製灯籠1に用いる専用の基台2の上面中央部に削孔21を形成して回転支持部5を固定したり、第1平板53の下面を基台2の上面22に固定しているが、例えば石碑の一部に対して回転支持部5を固定してもよく、このように石碑などを本発明の「基台」として使用して石製灯籠を構築してもよい。また、基台以外に、地面や岩盤などの地盤に対して削孔を形成し、地盤に直接的に回転支持部5を固定してもよい。また、このように基台2や地盤などの基礎に回転支持部5の軸部材51の下方端部を固定する方法は上記実施形態に記載された方式に限定されるものではなく、任意の固定方法を採用することができる。例えば接着剤やコンクリートなどを用いて軸部材の下方端部や第1平板を基台や地盤などの基礎に固定してもよい。