【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明に係る冷却装置は、吸気口から吸い込まれて吸気通路内を吸気流れ方向に流れる吸入空気を冷却する冷却装置であって、
前記吸気通路内に設けられ、内部を流れる冷却水との熱交換によって前記吸入空気を冷却する伝熱部と、
前記吸入空気の湿分が前記伝熱部の表面に結露して生じる凝縮水をドレン水として排出するドレンラインと、
前記ドレンラインにおける前記ドレン水の流量を計測する流量計と、
前記伝熱部の前記吸気流れ方向の上流側における前記吸入空気の含水量と、前記伝熱部の前記吸気流れ方向の下流側における前記吸入空気の含水量との差分から、前記ドレンラインにおける前記ドレン水の流量の推定値を算出する算出部と、
前記流量計で計測されたドレン水の流量と、前記算出部で算出されたドレン水の流量の推定値との比較結果に基づいて、前記伝熱部からの前記冷却水の漏洩の有無を判定する漏洩判定部とを備えることを特徴とする。
【0007】
このように、流量計及び漏洩判定部を備えているので、吸気流れ方向の上流側における吸入空気の含水量及び吸気流れ方向の下流側における吸入空気の含水量からドレン水の流量の推定値を算出し、当該推定値とドレン水の流量の計測値との関係に基づいて冷却水が漏洩しているか否かを判定することで、冷却水の漏洩を検出することができる。
【0008】
また、前記算出部は、前記伝熱部の前記吸気流れ方向の上流側における前記吸入空気の温度、湿度及び圧力から見積もった含水量と、前記伝熱部の前記吸気流れ方向の下流側における前記吸入空気の温度、湿度及び圧力から見積もった含水量との差分から前記ドレン水の流量の推定値を算出してもよい。
【0009】
このように、算出部は、伝熱部の吸気流れ方向の上流側及び下流側における吸入空気の温度、湿度及び圧力から各含水量をそれぞれ算出するので、正確な含水量を算出することができる。これによって、冷却水の漏洩を精度良く検出することができる。
【0010】
また、前記漏洩判定部は、前記流量計で計測されたドレン水の流量の、前記算出部で算出されたドレン水の流量の推定値に対する比が1よりも大きい第1閾値以上である場合に、前記冷却水が前記伝熱部から漏洩していると判断することする。
このように、冷却水の漏洩の判定は、ドレン水の流量の推定値に対するドレン水の流量の計測値の比が第1閾値以上か否かで判定するため、漏洩の判定を速やかに行うことができる。
【0011】
また、前記漏洩判定部は、前記流量計で計測されたドレン水の流量の、前記算出部で算出されたドレン水の流量の推定値に対する偏差を所定期間にわたって積算した積算値が第2閾値以上である場合に、前記冷却水が前記伝熱部から漏洩していると判断してもよい。
このように、ドレン水の流量の推定値とドレン水の流量の計測値との偏差を所定期間にわたって積算した積算値が第2閾値以上か否かで判定するため、漏洩の判定を速やかに行うことができる。
【0012】
また、前記伝熱部に前記冷却水を供給する冷凍機と、
前記冷凍機と前記伝熱部との間を前記冷却水が循環するように形成された閉回路の冷却水流路と、
前記冷却水流路に冷却水を補充する冷却水補充部とをさらに備え、
前記漏洩判定部によって前記冷却水の漏洩が発生したと判定された場合、前記冷却水補充部から冷却水を前記冷却水流路に補充して所定期間運転を継続してもよい。
【0013】
このように、冷却水補充部を備えているため、冷却水が漏洩しても冷却水補充部から冷却水を補充することで、所定期間、冷却装置の運転を続けることができる。
【0014】
また、前記所定期間の終期は、漏洩した前記冷却水によって前記吸気通路の下流側に配置された圧縮機の翼にエロージョンが発生する時点よりも前に設定されていてもよい。
【0015】
このように、冷却水が漏洩しても直ちに冷却装置を停止せずに、圧縮機の翼にエロージョンが発生する時点よりも前まで冷却装置を運転し続けるため、圧縮機を有するタービン等の出力効率の低下を防止することができる。
【0016】
そして、本発明に係る冷却水の漏洩検知方法は、吸気口から吸い込まれた吸入空気が吸気流れ方向に流れる吸気通路内において、前記吸入空気を熱交換器内の伝熱部の内部を流れる冷却水と熱交換させて冷却し、前記吸入空気の湿分が前記伝熱部の表面に結露して生じる凝縮水をドレン水としてドレンラインによって排出する冷却装置の前記伝熱部からの冷却水の漏洩を検知する方法であって、
前記ドレンラインにおける前記ドレン水の流量を計測する流量計測ステップと、
前記伝熱部の前記吸気流れ方向の上流側における前記吸入空気の含水量と、前記伝熱部の前記吸気流れ方向の下流側における前記吸入空気の含水量との差分から、前記ドレンラインにおける前記ドレン水の流量の推定値を算出する流量推定ステップと、
前記流量計測ステップで計測されたドレン水の流量と、前記流量推定ステップで算出されたドレン水の流量の推定値との比較結果に基づいて、前記伝熱部からの前記冷却水の漏洩の有無を判定する漏洩判定ステップとを備えることを特徴とする。
【0017】
このように、吸気流れ方向の上流側における吸入空気の含水量及び吸気流れ方向の下流側における吸入空気の含水量からドレン水の流量の推定値を算出し、当該推定値とドレン水の流量の計測値との関係に基づいて冷却水が漏洩しているか否かを判定することで、冷却水の漏洩を検出することができる。
【0018】
また、前記流量推定ステップでは、前記伝熱部の前記吸気流れ方向の上流側における前記吸入空気の温度、湿度及び圧力から見積もった含水量と、前記伝熱部の前記吸気流れ方向の下流側における前記吸入空気の温度、湿度及び圧力から見積もった含水量との差分から前記ドレン水の流量の推定値を算出してもよい。
【0019】
このように、伝熱部の吸気流れ方向の上流側及び下流側における吸入空気の温度、湿度及び圧力から各含水量をそれぞれ算出するので、正確な含水量を算出することができる。これによって、冷却水の漏洩を精度良く検出することができる。
【0020】
また、前記漏洩判定ステップでは、前記流量計で計測されたドレン水の流量の、前記算出部で算出されたドレン水の流量の推定値に対する比が1よりも大きい第1閾値以上である場合に、前記冷却水が前記伝熱部から漏洩していると判断することとしてもよい。
このように、ドレン水の流量の推定値に対するドレン水の流量の計測値の比が第1閾値以上か否かで判定するため、漏洩の判定を速やかに行うことができる。
【0021】
また、前記漏洩判定ステップでは、前記流量計で計測されたドレン水の流量の、前記算出部で算出されたドレン水の流量の推定値に対する偏差を所定期間にわたって積算した積算値が第2閾値以上である場合に、前記冷却水が前記伝熱部から漏洩していると判断することとしてもよい。
このように、ドレン水の流量の推定値とドレン水の流量の計測値との偏差を所定期間にわたって積算した積算値が第2閾値以上か否かで判定するため、漏洩の判定を速やかに行うことができる。
【0022】
前記冷却装置は、前記伝熱部に前記冷却水を供給する冷凍機と、該冷凍機と前記伝熱部との間を前記冷却水が循環するように形成された閉回路の冷却水流路とを有し、
前記漏洩判定ステップにおいて前記冷却水の漏洩が発生したと判定された場合、前記冷却水流路に冷却水を補充して所定期間運転を継続することとしてもよい。
【0023】
このように、冷却水が漏洩しても冷却水を補充することで、所定期間、冷却装置の運転を続けることができる。
【0024】
前記所定期間の終期は、漏洩した前記冷却水によって前記吸気通路の下流側に配置された圧縮機の翼にエロージョンが発生する時点よりも前に設定されていてもよい。
【0025】
このように、冷却水が漏洩しても直ちに冷却装置を停止せずに、圧縮機の翼にエロージョンが発生する時点よりも前まで冷却装置を運転し続けるため、圧縮機を有するタービン等の出力効率の低下を防止することができる。
【0026】
前記伝熱部は複数のモジュールからなっており、
前記漏洩判定ステップで前記冷却水の漏洩が発生したと判定された場合、前記伝熱部の各モジュールから生じるドレン水の流量を計測し、モジュールごとのドレン水の流量の計測結果に基づいて、前記冷却水が漏洩しているモジュールを特定する漏洩箇所特定ステップをさらに備えることとしてもよい。
【0027】
このように、各モジュールに生じるドレン水の流量をそれぞれ計測し、各モジュールごとの流量値に基づいて漏洩の有無を判定することで、冷却水が漏洩しているモジュールを特定することができる。また、モジュールで冷却水の漏洩が生じても、この漏洩しているモジュールへの冷却水の供給を停止し、漏洩していないモジュールへの冷却水の供給を続けることで、吸入空気を冷却し続けることができる。そして、モジュールで冷却水の漏洩が生じても、モジュールごと交換することができるため、修理作業を短時間、且つ容易に実施して冷却装置を迅速に復旧させることができる。
【0028】
また、前記伝熱部は複数のモジュールからなっており、
前記漏洩判定ステップで前記冷却水の漏洩が発生したと判定された場合、各モジュールへの前記冷却水の供給の有無による前記ドレンラインを流れるドレン水の流量の変化に基づいて、前記冷却水が漏洩しているモジュールを特定する漏洩箇所特定ステップをさらに備えることとしてもよい。
【0029】
このように、ドレン水の流量を計測しながら、各モジュールごとに冷却水を停止する際に、冷却水が漏洩していないモジュールへの冷却水の供給を停止してもドレン水の流量は減少しないが、冷却水が漏洩しているモジュールへの冷却水の供給を停止すると、ドレン水の流量が減少する。これによって、ドレン水の流量が減少したときに、冷却水の供給を停止していたモジュールから漏洩していることを特定できる。
【0030】
また、前記漏洩箇所特定ステップにより特定された前記モジュールへの冷却水の供給を停止する供給停止ステップをさらに備えることとしてもよい。
【0031】
このように、漏洩が生じているモジュールへの冷却水の供給を停止し、漏洩していない他のモジュールへの冷却水の供給を続けることで、吸入空気を冷却し続けることができる。