特許第5721608号(P5721608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721608
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】太陽光発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 30/20 20140101AFI20150430BHJP
【FI】
   H02S30/20
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-247421(P2011-247421)
(22)【出願日】2011年11月11日
(65)【公開番号】特開2012-134462(P2012-134462A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2014年5月29日
(31)【優先権主張番号】特願2010-265696(P2010-265696)
(32)【優先日】2010年11月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000126609
【氏名又は名称】株式会社エーアンドエーマテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(72)【発明者】
【氏名】大塚 俊
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−317573(JP,A)
【文献】 特開2003−314011(JP,A)
【文献】 特開2000−114569(JP,A)
【文献】 特開2010−056251(JP,A)
【文献】 特開2001−339087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 30/10 − 30/20
H01L 31/04 − 31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の折り曲げ部を有して展開状態及び折畳状態の間で変形可能な剛性パネルと、
前記剛性パネルに沿わせるように該剛性パネルに重ねて保持される複数枚の太陽光発電フィルムとを備え、
前記剛性パネルは、平板状の複数の単位パネル部分を有しており、
前記単位パネル部分はそれぞれ、隣り合う一対の前記折り曲げ部の間に位置しており、
前記単位パネル部分はそれぞれ、凹凸補強壁部を内部に有しており、
前記太陽光発電フィルムはそれぞれ、対応する一つの前記単位パネル部分の一表面である支持面に取り付けられており、
前記支持面のそれぞれには、一つ以上の留め部が設けられており、
それぞれの前記太陽光発電フィルムのフィルム縁部は、前記支持面と前記留め部とによって挟まれて支持されており、
前記複数の折り曲げ部は、山折りタイプと、谷折りタイプとが、展開方向でみて一つおきに入れ替わるような態様で配置されており、
前記一表面は、前記剛性パネルの展開状態で一方向側を指向しているパネル部分の表面であり、
前記凹凸補強壁部は、三角錐を構成する壁面を含んでいる
太陽光発電装置。
【請求項2】
前記留め部は、前記折畳状態で、対応する他の前記留め部と対面し、前記展開状態において隣り合う前記太陽光発電フィルム同士が前記折畳状態において相互に擦り合わないように該太陽光発電フィルム同士を離隔させる
請求項1の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記太陽光発電フィルムのそれぞれは、端子ボックスを有しており、
前記剛性パネルの厚みは、前記端子ボックスの厚みよりも大きくなっており、
前記端子ボックスのそれぞれは、対応する前記単位パネル部分に、該単位パネル部分の厚み内となるように埋設されている
請求項1または2の太陽光発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電装置は、現在では、一般家庭や企業等で広く利用されている。太陽光発電装置は、太陽光発電パネル(以下、ソーラーパネル)を有しており、そのソーラーパネルを、住居用家屋や商業施設等の屋根等に設置し、太陽光がソーラーパネルに当たることで、発電が行われるように構成されている。
【0003】
ところで、太陽光発電は、環境への負担がきわめて少ない発電態様であるため、様々な場所や場面で利用のニーズが高い。しかし、通常、ソーラーパネルは、構造物の屋根・壁等に、落下しないように強固に固定されており、予定されている設置場所や使用場面以外での活用は殆ど不可能であった。また、太陽光発電装置とくにソーラーパネルを小型化することで、利用場面や利用場所を拡げることも考えられるが、その場合には、要求される発電量が得られなくなるという別の問題が発生しうる。
【0004】
上記に関連し、太陽光発電装置を移動可能に構成したものとしては、特許文献1に開示されたものがある。この移動式ソーラーシステムは、車輪を備えた移動車と、その上に搭載され、充電機能や制御機能が含まれたボックスと、さらにそのボックスの上に姿勢変更可能に配置されたソーラーパネルとを備えている。
【0005】
しかしながら、かかるシステムは、重量が非常に嵩む構成となっており、結局は、発電に活用できる場所や場面が限られてしまう問題がある。また、要求される発電量を得ようとソーラーパネルを大型化すると、移動車の大型化も誘発する可能性が高く、最終的な太陽光発電装置全体の大幅な大型化・重量増加が免れないという問題が生じる。
【0006】
また、特許文献2には、上記移動式ソーラーシステムよりも更に軽量化が見込める太陽電池モジュールが開示されている。この太陽電池モジュールでは、複数のパネルが、ヒンジナックルとピントルとで構成されたヒンジによって折り畳めるように構成されており、さらに、折り畳んで重ね合わされたモジュールパネルは、まとめてロール状に巻き上げられて移動されるように企図されていた。
【0007】
しかしながら、太陽電池モジュールでは、ロール状に巻き上げられることを前提としており、可撓性の維持が必須であったので、繰り返し使用しているうちに、モジュールやヒンジが損傷する問題がある。また、可撓性が重視された構成であるがゆえに、使用時、太陽光に向けてセットする場合には、テントフレームのような棒状支持部材が別途、必要であったが、かかる支持態様では、風のある場所での使用は困難であり、実際には、設置場所や使用場面が限られることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−34190号公報
【特許文献2】特公平7−46733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、十分な発電量が得られやすく且つ様々な場所・場面で利用することが容易であって耐久性にも優れている太陽光発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するため、本発明の太陽光発電装置は、複数の折り曲げ部を有して展開状態及び折畳状態の間で変形可能な剛性パネルと、前記剛性パネルに沿わせるように該剛性パネルに重ねて保持される複数枚の太陽光発電フィルムとを備え、前記剛性パネルは、隣り合う一対の前記折り曲げ部の間に位置した平板状の単位パネル部分を、複数、有しており、前記単位パネル部分はそれぞれ、凹凸補強壁部を内部に有しており、前記太陽光発電フィルムはそれぞれ、対応する一つの前記単位パネル部分の支持面に取り付けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の太陽光発電装置によれば、十分な発電量が得られやすく且つ様々な場所・場面で利用することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の展開状態の平面図である。
図2】太陽光発電装置の展開状態と折畳状態との中間的な状態を示す図である。
図3】太陽光発電装置の折畳状態を示す図である。
図4】一つの単位パネル部分に関する平面図である。
図5図4の矢印Vからみた側面を示す図である。
図6図4の矢印VIからみた側面を示す図である。
図7】(a)は、図6のVII線に沿う単位パネル部分の内部構造に関する側面図であり、(b)は、単位パネル部分の内部構造のうちの凹凸補強壁部に関する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る太陽光発電装置の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る太陽光発電装置の展開状態の平面図である。また、図2は、太陽光発電装置の展開状態と折畳状態との中間的な状態(半展開状態)を示す図であり、図3は、太陽光発電装置の折畳状態を示す図である。
【0015】
太陽光発電装置1は、剛性パネル3と、複数枚の太陽光発電フィルム5とを備える。剛性パネル3は、複数の折り曲げ部7を有して展開状態(図1に例示)及び折畳状態(図3に例示)の間で変形可能な構成を有する。さらに、剛性パネル3は、隣り合う一対の折り曲げ部7の間に位置した平板状の単位パネル部分9を、複数、有している。単位パネル部分9はそれぞれ、平面視、矩形状に形成されており、軽量高剛性パネルによって構成されている。
【0016】
折り曲げ部7はそれぞれ、蝶番11で構成されている。また、複数の折り曲げ部7(蝶番11)は、いわゆる山折りタイプと、いわゆる谷折りタイプとが、展開方向でみて一つおきに入れ替わるような態様で、配置されている。なお、折り曲げ部7の具体的構成及び配置順序は、本例の蝶番や山谷交互態様に限定されるものではない。
【0017】
複数の太陽光発電フィルム5は、剛性パネル3に沿わせるようにして剛性パネル3に重ねて保持される。詳細には、太陽光発電フィルム5はそれぞれ、対応する一つの単位パネル部分9の支持面(展開状態で一方向側を指向しているパネル部分の一表面)に取り付けられている。
【0018】
図1に示されるように、太陽光発電装置1は、少なくとも使用時には、充電コントローラ13、バッテリ15、DC/ACコンバータ17等の必要機器と接続される。これら必要機器は、各太陽光発電フィルム5の対応する端子側をまとめて接続する配線19によって太陽光発電装置1と接続される。
【0019】
続いて、太陽光発電フィルム及び単位パネル部分の一枚あたりに関する構成について説明する。図4は、一つの単位パネル部分に関する平面図である。図5及び図6はそれぞれ、図4の矢印V及び矢印VIからみた側面を示す図である。さらに、図7の(a)は、図6のVII線に沿う単位パネル部分の内部構造に関する側面図であり、(b)は、その内部構造のうちの凹凸補強壁部に関する平面図である。
【0020】
一枚の太陽光発電フィルム5は、本実施の形態では平面視矩形の薄膜状部材であり、本実施の形態では、概ね中央に位置する矩形の発電セル領域5aと、その発電セル領域5aを取り囲むように形成された余白領域5bとを、少なくとも有している。
【0021】
また、それぞれの単位パネル部分9における支持面には、一つ以上の留め部21が設けられている。本実施の形態では、留め部21は、平面視矩形の単位パネル部分9の四辺に対応して設けられた四つの枠体21a,21b,21c,21dからなる。枠体21a,21b,21c,21dはそれぞれ、支持面の4辺のうちの対応する辺の縁部に被さるように設けられる。また、隣り合う枠体21a,21b,21c,21dの端部は、矩形の単位パネル部分9の対応する角部において、付き合わされている。このようにして、四つの枠体21a,21b,21c,21dは全体として額縁状にセットされる。
【0022】
それぞれの太陽光発電フィルム5は、図4図6に示されるように、フィルム縁部すなわち余白領域5bの四辺の縁部において、対応する枠体21a,21b,21c,21dと単位パネル部分9の支持面との間に挟まれるようにして留められる。
【0023】
また、図3の参考部分IIIに示されるように、留め部21は、折畳状態において、重なりあう他の留め部21と対面(本実施の形態では当接)し、展開状態において隣り合う関係にある太陽光発電フィルム5同士が折畳状態において相互に擦り合わないように両者を離隔させる役割をもっている。
【0024】
各単位パネル部分9は、図7の(a)に示されるように、パネルの表裏面をなす第1プレート部51及び第2プレート部52と、それらプレート部の間でそれらに挟まれるようにして位置する凹凸補強壁部53とを有している。凹凸補強壁部53は、第1プレート部51及び第2プレート部52の面の延びる方向に対応して延びており、凹凸が形成されている。凹凸は単位パネル部分9の厚みを生むように形成されている。さらに、本実施の形態では、一例として、凹凸補強壁部53がトラス状構造を備えており、具体的にはその凹凸は、図7の(b)によく示されているように、三角錐を構成する壁面を含むような形態を有している。これにより、各単位パネル部分9は、高剛性且つ超軽量という特徴を得ている。
【0025】
図4図6に戻り、太陽光発電フィルム5のそれぞれは、端子ボックス23を有している。本実施の形態では、端子ボックス23は、一枚の太陽光発電フィルム5に一対設けられており、一対の端子ボックス23は対向する一対の辺において、配線19に接続されている。
【0026】
また、図5及び図6に示されるように、単位パネル部分9の厚みは、端子ボックス23の厚みよりも大きくなっており、端子ボックス23のそれぞれは、対応する単位パネル部分9に、単位パネル部分9の厚み内となるように埋設されている。
【0027】
以上のように構成された本実施の形態に係る太陽光発電装置によれば、太陽光発電装置全体でみて、十分な枚数の太陽光発電フィルムを搭載できるため、十分な発電量が得られやすく、且つ、十分な枚数の太陽光発電フィルムが変形可能で且つ凹凸補強壁部を内部に有する剛性パネルに支持されているので、移動や、頑強な架台を伴わない場所へのセットにも対応することができ、様々な場所・場面で利用することが容易であり、耐久性に優れている。よって、本実施の形態の太陽光発電装置は、例えば仮設施設、建設現場の仮囲い、災害時の避難場所等で利用することも容易である。また、図2に例示したような半展開状態で屏風状に自立させて使用することもできる。さらに、凹凸補強壁部を内部に有する剛性パネルを備えることで、極めて高い剛性が獲得できている。したがって、車両のキャリアに搭載するなど、構造強度や太陽光発電フィルム保護性が求められる態様の運搬にも十分に耐えることができる。さらに、剛性パネルの周縁部近傍等の適所に、埋め込み型あるいは着脱型のキャスタ等の運搬サポート手段を設けることも可能であり、それによっても、様々な場所・場面での利用を促進することができる。
【0028】
また、留め部により太陽光発電フィルムの表面側から押え力を付与できることで、太陽光発電フィルムの裏面側を支持面に接着しているだけの場合に比べて、確実な支持が保たれやすくなっている。
【0029】
また、剛性パネルが折畳状態をとれることが、太陽光発電装置の移動の容易化に貢献しているが、その場合、今度は、剛性パネルが折畳状態をとることで、太陽光発電フィルムが相互接触で損傷する恐れがある。しかし、上記のような留め部を有する本発明ならば、太陽光発電フィルム同士が擦り合うことを防止でき、折畳状態をとり移動容易化を図ることが可能でありながら、太陽光発電フィルムの損傷防止も図ることができる。しかもかかる損傷防止は、専用部材を追加するものではなく、展開状態において太陽光発電フィルムの保持性を向上させるための留め部によって得られる効果であり、留め部を展開状態での保持性向上機能と折畳状態での損傷防止機能という二つの機能で用いることができる。これは、部品点数の減少にもつながり、ひいては装置重量増加の抑制に寄与することから、それによっても、移動容易化が図られている。
【0030】
また、端子ボックスのそれぞれは、対応する単位パネル部分に、単位パネル部分の厚み内となるように埋設されているので、端子ボックスが太陽光発電装置の厚みを増加させたり太陽光発電フィルムに接触したりすることを防止することができ、端子ボックスの存在が嵩張りやフィルム損傷の原因となることを回避することができる。
【0031】
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0032】
1 太陽光発電装置、3 剛性パネル、5 太陽光発電フィルム、7 折り曲げ部、9 単位パネル部分、21 留め部、23 端子ボックス、53 凹凸補強壁部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7