特許第5721656号(P5721656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721656
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20150430BHJP
   F16H 63/50 20060101ALI20150430BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   F16H61/00
   F16H63/50
   F02D29/02 321A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-73017(P2012-73017)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-204659(P2013-204659A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年2月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119644
【弁理士】
【氏名又は名称】綾田 正道
(72)【発明者】
【氏名】加藤 芳章
【審査官】 広瀬 功次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−278435(JP,A)
【文献】 特開2011−231818(JP,A)
【文献】 特開2009−133428(JP,A)
【文献】 特開2012−013144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00−61/12,61/16−61/24,61/66−61/70,63/40−63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の条件が成立したときにエンジンのアイドリングを停止し、アイドリング停止中に発進要求がなされたときは、エンジンを再始動するアイドリングストップ制御手段を備えた自動変速機付車両の制御装置において、
前記エンジンにより駆動されるオイルポンプと、
前記オイルポンプから吐出された油圧を調圧して前記自動変速機の発進クラッチに供給するライン圧を制御する制御弁と、
前記ライン圧が供給される蓄圧室を備えた蓄圧用のアキュムレータと、
前記蓄圧室から前記発進クラッチへ油圧を供給する第1油路と、
前記制御弁から前記発進クラッチへ油圧を供給する第2油路と、
前記第1及び第2油路に介装され前記発進クラッチを前記第1油路に連通する第1連通状態と前記第2油路に連通する第2連通状態の何れか一方の状態に切り換える切換弁と、
を備え、
前記アイドリングストップ制御手段は、アイドリングストップしているときは、前記切換弁を前記第1連通状態に切り換え、エンジン再始動後のライン圧が前記アキュムレータ内の油圧以上になったときに、前記切換弁を前記第1油路から前記第2油路に切り換えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御装置において、
前記アキュムレータ内のピストンのストローク量を検出するストロークセンサを設け、
前記アイドリングストップ制御手段は、アイドリング停止中に前記ストローク量が所定値以上となったときは、エンジンを再始動することを特徴とする車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両の制御装置において、
前記アキュムレータ内の圧力を検出する内圧センサを設け、
前記アイドリングストップ制御手段は、アイドリングストップしているときに、前記内圧センサにより検出された圧力が所定値以下になったときは、エンジンを再始動することを特徴とする車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の条件が成立したときにエンジンのアイドリングを停止するアイドリングストップ制御を行う車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アイドリングストップ制御を行う車両として特許文献1の技術が開示されている。この公報には、アイドリングストップ制御によるエンジンアイドリングを停止後、エンジン再始動時において、アキュムレータから油圧回路内に油を供給することで、発進クラッチの締結応答性を高め、エンジン再始動後の発進性能を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−313252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アイドリングストップ中に発進クラッチから油が抜け落ちてしまっていると、オイルポンプの吐出圧が大きくなる前にアキュムレータから油が供給されたとしても、発進クラッチが伝達トルク容量を持つまでに時間がかかり、発進性能が低下するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、アイドリングストップからのエンジン再始動時に発進性能の低下を抑制可能な車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の車両の制御装置では、 所定の条件が成立したときにエンジンのアイドリングを停止し、アイドリング停止中に発進要求がなされたときは、エンジンを再始動するアイドリングストップ制御手段を備えた自動変速機付車両の制御装置において、前記エンジンにより駆動されるオイルポンプと、前記オイルポンプから吐出された油圧を調圧して前記自動変速機の発進クラッチに供給するライン圧を制御する制御弁と、前記ライン圧が供給される蓄圧室を備えた蓄圧用のアキュムレータと、前記蓄圧室から前記発進クラッチへ油圧を供給する第1油路と、前記制御弁から前記発進クラッチへ油圧を供給する第2油路と、前記第1及び第2油路に介装され前記発進クラッチを前記第1油路に連通する第1連通状態と前記第2油路に連通する第2連通状態の何れか一方の状態に切り換える切換弁と、を備え、前記アイドリングストップ制御手段は、アイドリングストップしているときは、前記切換弁を前記第1連通状態に切り換え、エンジン再始動後のライン圧が前記アキュムレータ内の油圧以上になったときに、前記切換弁を前記第1油路から前記第2油路に切り換えることを特徴とする。

【発明の効果】
【0007】
よって、アイドリングストップ中は第1油路に切り換えられることでアキュムレータから発進クラッチに油圧が供給されるため、発進クラッチに油が無い状態を回避できる。このため、発進クラッチが伝達トルク容量を持つまでの時間を短縮することができ、発進性能の低下を回避することができる。加えて、アキュムレータが、制御弁と発進クラッチとの間に設けられているため、アキュムレータから吐出された油が、発進クラッチ以外に供給されるのを抑制することができる。これにより、アキュムレータに蓄積された油を効率的に発進クラッチに供給することができ、他の部位にアキュムレータからの油が供給される場合に比べて、アイドリングストップの時間が長くなっても、アキュムレータから発進クラッチに対して油圧を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の車両の制御装置が適用されたアイドリングストップ車両を示す全体システム図である。
図2】実施例1の自動変速機に供えられたコントロールバルブユニット内の油圧回路である。
図3】実施例1の車両の制御装置において実行される切換弁制御処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施例1〕
図1は実施例1の車両の制御装置が適用されたアイドリングストップ車両を示す全体システム図である。実施例1のアイドリングストップ車両は、内燃機関であるエンジン1と、エンジン1から出力された駆動力を変速する自動変速機2と、自動変速機2により変速された駆動力を駆動輪3に伝達するデファレンシャルギヤ26とを有する。
自動変速機2は、エンジン1からの駆動力を入力する変速機入力軸21と、変速機入力軸21と変速機構24との間を断接する発進クラッチ23と、変速機構24により変速された駆動力をデファレンシャルギヤ26に伝達する変速機出力軸25と、発進クラッチ23や変速機構24に所望の油圧を供給するコントロールバルブユニット20とを有する。エンジン出力軸21には、エンジン1により駆動されるオイルポンプ22が設けられ、コントロールバルブ20に油圧を供給する油圧源として機能する。コントロールバルブユニット20では、この油圧に基づいて発進クラッチ23の締結圧や変速機構24の変速作動油圧を供給する。
【0010】
また、エンジン1の作動状態を制御するエンジンコントローラ4と、自動変速機2の変速状態及び発進クラッチ23の締結状態を制御するATコントローラ5とを有する。また、運転者のアクセル開度操作量を検出するAPOセンサ41と、運転者のブレーキペダル操作状態を検出するブレーキスイッチ42とを有し、エンジンコントローラ4にセンサ信号を出力する。また、車速を検出する車速センサ51と、後述するアキュムレータ20g内に蓄圧された圧力を検出する内圧センサ52と、ライン圧を検出するライン圧センサ53と、アキュムレータ20g内のピストンストローク量を検出するストロークセンサ54とを有し、ATコントローラ5にセンサ信号を出力する。尚、ライン圧を検出するにあたり、センサにより直接検出する以外にも、指令信号等に基づいて推定することとしてもよく、特に限定しない。
【0011】
エンジンコントローラ4とATコントローラ5とは相互に情報通信可能なCAN通信線を介して接続されており、相互に検出したセンサ信号もしくは作動状態要求信号を送受信することで、エンジン1及び自動変速機2の作動状態を適正に制御する。ATコントローラ5内には、所定の条件が成立したときに、エンジンのアイドリング停止を要求するアイドリングストップ制御部50を有する。尚、アイドリングストップ条件は、公知のアイドリングストップ車両において行われている条件でよく、特に限定しない。また、アイドリングストップ制御部50をATコントローラ5内に設けた例を示したが、エンジンコントローラ4内に設けることとしてもよく、特に限定しない。
【0012】
図2は実施例1のコントロールバルブユニット内の構成を表す部分油圧回路図である。この油圧回路図は、発進クラッチ23に締結圧を供給する経路のみを示したものであり、これ以外にも変速段を達成するための回路等が存在するが、省略する。オイルポンプ22の吐出ポートはライン圧油路201に接続されている。ライン圧油路201には、プレッシャレギュレータバルブ20bが設けられ、これによりオイルポンプ吐出圧を所望のライン圧に調圧する。ライン圧油路201にはパイロットバルブ20cが接続され、信号圧の元圧となるパイロット圧を生成してパイロット圧油路202に供給する。
【0013】
ライン圧油路201には、ライン圧センサ53が設けられている。ライン圧油路201はマニュアルバルブ20aと接続され、マニュアルバルブ20aによりライン圧が所望の油路(Rレンジであれば、後退速時に締結される締結要素に供給する油路であり、Dレンジであれば、前進時に締結される締結要素に供給する油路)に切り換えられて供給される。図2の油圧回路では、Dレンジが選択された状態でマニュアルバルブ20aから発進クラッチ23に向けて締結圧が供給される。この回路には、マニュアルバルブ20aとライン圧から締結圧を調圧する制御弁20eとの間を接続する供給油路204と、制御弁20eで調整された油圧を出力する出力油路205と、同出力油路205から分岐してアキュムレータ20gの蓄圧室20jに逆止弁20fを介してライン圧を供給する蓄圧油路209と、同じく前記出力油路205から分岐して前記発進クラッチ23に油圧を供給する第2油路206と、前記蓄圧室20jから前記発進クラッチ23へ油圧を供給する第1油路207と、同第1及び第2油路207,206と前記発進クラッチ23との間に介装された切換弁20iとが設けられ、同切換弁20iは、第1油路207と発進クラッチ23とを連通する第1連通状態と、第2油路206と発進クラッチ23とを連通する第2連通状態との間で切り換えられるように構成されている。また、第1油路207は、アキュムレータ20g内の油圧を検出する内圧センサ52が設けられている。
【0014】
更に、第2油路206にはフェールセーフ弁20hが介装されており、同フェールセーフ弁20hは、供給油路204から分岐した信号油路204aからの油圧によって作動される。具体的には、マニュアルバルブ20aからライン圧が供給されている状態では、フェールセーフ弁20hは連通状態となり、ライン圧が供給されていない状態では、フェールセーフ弁20hは発進クラッチ23とドレンポートが連通したドレン状態となる。これにより、例えばDレンジからRレンジに切り換え、ライン圧の供給が遮断されると、発進クラッチ23の油圧がドレンされることで、インターロック等を防止する。
【0015】
制御弁20eは、発進クラッチ23を係合する際に、ライン圧を適宜減圧して所望の油圧に調圧する弁であり、パイロット圧油路202から供給されたパイロット圧を元圧として締結圧ソレノイド20dにより信号圧を生成する。そして、信号圧供給油路203から供給される信号圧により制御弁20eを作動させ、所望の締結圧に調圧する。尚、制御弁20eは、発進クラッチ23が完全に締結された後は、減圧しないライン圧を発進クラッチ23へ供給する。
【0016】
アキュムレータ20gは、ピストン型であり、スプリングにより付勢されたピストンがストロークすることでスプリング力に応じた油圧を蓄圧室20jに蓄圧可能とされている。また、ピストンのストローク位置を検出するストロークセンサ54を備えている。さらに、言うまでもないが、蓄圧油路209に介装された逆止弁20fは、出力油路205から蓄圧室20jへの油圧の流通のみを許容するように構成されている。これにより、出力油路205に油圧が供給されているときは、常に同出力油路205からの油圧が蓄圧室20jへ供給される。
【0017】
切換弁20iは、前記ATコントローラ5によって切り換え制御され、通常運転時、すなわち、アイドリングストップ制御を実行していない運転状態では、第2油路206と発進クラッチ23とを連通する第2連通状態に保持される。
一方、アイドリングストップが実行されると、切換弁20iは、第1油路207と発進クラッチ23とを連通する第1連通状態に切り換えられる。これにより、発進クラッチ23には蓄圧室20j内の油圧が常時作用すると共に、リーク等が発生した分についても蓄圧室20jから油が供給されるため、発進クラッチ23の締結圧を維持することができるものである。
【0018】
このように、アキュムレータ20gに蓄圧された油を効率的に発進クラッチ23に供給することができ、通常運転の間に蓄圧室20jに十分な油圧を供給できるので、アイドリングストップの時間が長くなっても、アキュムレータ20gから発進クラッチ23の締結圧を供給できる。
【0019】
尚、切換弁20iが第1連通状態であれば、仮に運転者がシフトレバー操作をしてNレンジ等に切り換え、供給油路204内の油圧が抜けることで、フェールセーフ弁20hがドレンと接続されたとしても、発進クラッチ23内の油圧が抜けることを回避できる。ここで、Rレンジが選択された場合には、一般にアイドリングストップを中止し、エンジン再始動を行うため、切換弁20iは第2油路206により連通する状態に切り換えられる。このとき、発進クラッチ23内の油圧はフェールセーフ弁20hやマニュアルバルブ20aからドレンされるため、インターロック等を回避できる。
尚、上記油圧回路では蓄圧油路209を出力油路205から分岐させる構成としたが、ライン圧が供給されている油路ならどこでもよく、例えば、ライン圧油路201や供給油路204から分岐させるようにしてもよい。
【0020】
図3は実施例1の切換弁制御処理を表すフローチャートである。この処理は、アイドリングストップ制御部50内において実行される処理である。尚、アイドリングストップを行っていない状態を初期状態とし、切換弁20iは第2油路20と発進クラッチ23とが連通される第2連通状態である。
ステップS1では、アイドリングストップが開始したか否かを判断し、アイドリングストップが行われていないときは本制御フローを終了し、アイドリングストップが開始されたと判断したときはステップS2に進む。
【0021】
ステップS2では、切換弁20iにより第2油路206が連通した状態から第1油路207が連通した状態に切り換えられる。すなわち、アイドリングストップが行われると、エンジン1により駆動されるオイルポンプ22による油圧が確保できない。このとき、発進クラッチ23内の油圧が抜けてしまうと、エンジン再始動時に締結圧を確保するまでに時間がかかるおそれがあり、発進性能の低下を招く。そこで、実施例1では、アイドリングストップ中は、第1油路207を連通した状態とすることで発進クラッチ23の油圧を確保する。
【0022】
ステップS3では、アキュムレータ20gのストロークが所定値以上か否かを判断し、所定値以上、すなわち、アキュムレータ内に蓄圧された油が発進クラッチ23に放出されて残りの油が少ない状態と判断された場合、ステップS5に進んでエンジン再始動フラグをONとする。すなわち、エンジン再始動時の発進性能が確保できないおそれがあるため、エンジン再始動により、通常運転状態に戻し、オイルポンプ22を作動させると共に切換弁20iを第2連通状態に戻すことにより発進クラッチ23内の油圧を確保し、且つ、アキュムレータ20g内の油圧を確保する。
【0023】
ステップS4では、アキュムレータ圧(図では「アキュム圧」)が所定圧以下か否かを判断し、所定圧以下であれば、ステップS5に進んでエンジン再始動フラグをONとする。すなわち、発進クラッチ23の締結圧を確保できず、エンジン再始動時の発進性能が確保できないおそれがあるため、エンジン再始動により、上記と同様、発進クラッチ23内及びアキュムレータ20g内の油圧を確保する。
【0024】
ステップS6では、エンジン再始動フラグがONか否かを判断し、ONのときはステップS7に進み、それ以外のときはステップS2以降を繰り返す。尚、エンジン再始動フラグは、上記ステップS3及びS4において設定される場合のみならず、通常のアイドリングストップ制御ロジック内においても設定されるフラグであり、他のエンジン再始動要求条件によってもONとなる。
【0025】
ステップS7では、ライン圧センサ53により検出されたライン圧が、内圧センサ52により検出されたアキュムレータ圧以上か否かを判断し、ライン圧がアキュムレータ圧以上の場合は切換弁20iを第1油路207が連通した第1連通状態から第2油路206が連通した第2連通状態に切り換える。一方、ライン圧がアキュムレータ圧未満の場合は、アキュムレータ20gから油圧を供給するほうが有利であるから、切換弁20iの第1連通状態を維持する。
【0026】
以上説明したように、実施例1のアイドリングストップ制御を行う車両の制御装置にあっては、下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)所定の条件が成立したときにエンジン1のアイドリングを停止し、アイドリング停止中に発進要求がなされたときは、エンジン1を再始動するアイドリングストップ制御部50(アイドリングストップ制御手段)を備えた自動変速機付車両の制御装置において、エンジン1により駆動されるオイルポンプ22と、オイルポンプ22から吐出された油圧を調圧して自動変速機の発進クラッチ23に供給するライン圧を制御する制御弁20eと、ライン圧が供給される蓄圧室を備えた蓄圧用のアキュムレータ20gと、蓄圧室から発進クラッチ23へ油圧を供給する第1油路207と、制御弁20eから発進クラッチ23へ油圧を供給する第2油路206と、第1及び第2油路207,206に介装され発進クラッチ23を第1油路207により連通する第1連通状態と第2油路206により連通する第2連通状態のいずれか一方の状態に切り換える切換弁20iと、を備え、アイドリングストップ制御部50は、アイドリングストップしているときは、切換弁20iを第1連通状態に切り換える。
アイドリングストップ中にアキュムレータ20gから発進クラッチ23に油圧を供給するため、発進クラッチ23の油圧が完全に抜けてしまう状態を回避できる。このため、エンジン再始動時に発進クラッチ23がトルクを伝達可能となるまでの時間を短縮することができ、発進性能の低下を抑制することができる。
また、アキュムレータ20gに蓄積された油を効率的に発進クラッチ23に供給することができ、アイドリングストップの時間が長くなっても、アキュムレータ20gから発進クラッチ23に対して油圧を供給できる。
更に、蓄圧油路209に逆止弁20fを介装し、通常運転時は切換弁20iで第1油路207を閉塞するので、アイドリングストップ中に供給できる油をアキュムレータ内に多く貯留することができる。
【0027】
(2)アイドリングストップ制御部50は、切換弁20iを、エンジン再始動後のライン圧がアキュムレータ内の油圧以上になったときに、第1油路207から第2油路206に切り換える。
すなわち、エンジン再始動により立ち上がったライン圧がアキュムレータ圧以上となった場合、切換弁20iを第1油路207から第2油路206に切り換えるため、エンジン再始動後にアキュムレータ圧が低下して発進クラッチ23に油を供給できない状態となっても、ライン圧がアキュムレータ圧に到達すると、すぐにライン圧から油圧が供給されるため、発進クラッチ23がトルクを伝達するまでの時間が長くなるのを防止することができる。
【0028】
(3)アキュムレータ20g内に蓄圧された位置からのピストンのストローク量を検出するストロークセンサ54を設け、アイドリングストップ制御部50は、アイドリング停止中にストローク量が所定値以上となったときは、エンジンを再始動する(ステップS3参照)。
よって、アイドリングストップ中にアキュムレータ内の状態を検知できるため、アイドリングストップ時間が長く、アキュムレータ内の油が減少してしまい、アイドリングストップ終了時に発進クラッチ23に油が供給できなくなる前に、アイドリングストップを終了すること、すなわちエンジンを再始動することができる。
【0029】
(4)アキュムレータ内の圧力を検出する内圧センサ52を設け、アイドリングストップ制御部50は、アイドリングストップしているときに、内圧センサ52により検出された圧力が所定値以下になったときは、エンジン1を再始動する(ステップS4参照)。
よって、アイドリングストップ中にアキュムレータ内の状態を検知できるため、アイドリングストップ時間が長く、アキュムレータ内の油が減少してしまい、アイドリングストップ終了時に発進クラッチ23に油が供給できなくなる前に、アイドリングストップを終了すること、すなわちエンジンを再始動することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 エンジン
2 自動変速機
3 駆動輪
4 エンジンコントローラ
5 ATコントローラ
20 コントロールバルブユニット
20e 制御弁
20f 逆止弁
20g アキュムレータ
20h フェールセーフ弁
20i 切換弁
22 オイルポンプ
23 発進クラッチ
30e 制御弁
50 アイドリングストップ制御部
52 内圧センサ
53 ライン圧センサ
54 ストロークセンサ
図1
図2
図3