特許第5721690号(P5721690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5721690ダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の設定方法およびそのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721690
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】ダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の設定方法およびそのシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20150430BHJP
【FI】
   H04L12/70 B
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-249801(P2012-249801)
(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-99720(P2014-99720A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】591275481
【氏名又は名称】株式会社アイ・オー・データ機器
(74)【代理人】
【識別番号】100134131
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 知理
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳
(72)【発明者】
【氏名】田畑 敬司
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−157459(JP,A)
【文献】 特開2006−115285(JP,A)
【文献】 特開2004−120123(JP,A)
【文献】 特開2009−146306(JP,A)
【文献】 特開2007−195089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00、
H04L 12/00−12/26、12/50−12/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的に変化するグローバルIPアドレスを備えたネットワーク機器と、クライアント操作端末とをダイナミックDNSサービスが提供する一意のホスト名に基づいてインターネット上で接続可能とするネットワーク機器の機器設定方法であって、
前記クライアント操作端末は撮像もしくは走査により読み取り可能な機構を備えており、前記機構によってネットワーク機器の機器固有情報が化体された画像を前記クライアント操作端末が読み取る第1のステップと、
前記クライアント操作端末により、撮像もしくは走査された画像から化体された機器固有情報を解析取得し、引き続き、ダイナミックDNSサービスを提供するダイナミックDNSサーバに既に登録されている前記のネットワーク機器のグローバルIPアドレス情報を照会取得するために、前記解析取得された機器固有情報から前記ネットワーク機器の照会用ホスト名を生成し、前記ダイナミックDNSサーバに送信する第2のステップと、
前記ダイナミックDNSサーバにより、予め前記ダイナミックDNSサーバに保持されている前記ネットワーク機器に対応する一意のホスト名と、クライアント操作端末から送信された前記照会用ホスト名とが照合され、合致した場合に、予め前記ダイナミックDNSサーバに保持されている前記一意のホスト名に対応した前記ネットワーク機器のグローバルIPアドレスを、前記クライアント操作端末へと送信する第3のステップとを実行して、
動的に変化するグローバルIPアドレスを備えた前記ネットワーク機器と、前記クライアント操作端末とを、インターネット上で接続可能にするダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の機器設定方法。
【請求項2】
前記第3のステップにおいて、前記ダイナミックDNSサービスを提供するダイナミックDNSサーバは、前記ネットワーク端末に対応する一意のホスト名とグローバルIPアドレスとを含むデータを予め保持可能なデータベースを読み書き可能に備えており、
前記ダイナミックDNSサーバが予めデータベースに保持している前記ネットワーク端末に対応する一意のホスト名は、前記ネットワーク機器の機器固有情報に基づいて生成された一意のホスト名であり、
前記第1のステップで生成される照会用ホスト名も、前記ネットワーク機器の機器固有情報に基づいて、前記クライアント操作端末が前記ダイナミックDNSサーバ側のホスト名の生成と同様のロジックで生成された照会用ホスト名であること、
を特徴とする、請求項1に記載のダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の機器設定方法。
【請求項3】
請求項1もしくは請求項2に記載の第1のステップ、第2のステップ、第3のステップに続いて、さらに、
前記クライアント操作端末は、予め前記ネットワーク機器へのログイン情報を備えており、前記第3のステップで取得された前記ネットワーク機器のグローバルIPアドレス上の前記ネットワーク機器へと前記ログイン情報を送信する第4のステップと、
前記ネットワーク機器が、前記クライアント操作端末から受信した前記ログイン情報を、ログイン情報に基づき前記クライアント端末との接続を認証するか否か判断する情報処理を行い、前記ログイン情報が受け入れ可能な場合には前記クライアント操作端末に対して通信を許可する第5のステップとを実行して、
動的に変化するグローバルIPアドレスを備えた前記ネットワーク機器と、前記クライアント操作端末とを、インターネット上で通信可能にするダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の機器設定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の前記クライアント操作端末が備えている前記ネットワーク機器へのログイン情報は、第2のステップにおいて前記ネットワーク機器の照会用ホスト名を生成する際に、解析取得された機器固有情報から生成せしめた照会用ユーザー名と照会用パスワードを含んでなるログイン情報を用いること、を特徴とする請求項3に記載の動的に変化するグローバルIPアドレスを備えた前記ネットワーク機器と、前記クライアント操作端末とを、インターネット上で通信可能にするダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の機器設定方法。
【請求項5】
前記ネットワーク機器が起動時に自身に内包の前記ネットワーク機器の機器固有情報に基づいてアクセスコード、機器側ホスト名、ポート番号、機器側ログイン情報である更新照会用ユーザー名と更新照会用パスワードと、を前記ネットワーク機器に予め生成・保持せしめる保持データ生成ステップと、
前記ネットワーク機器は、インターネットに接続すると所定のタイミングで自身に内包する前記ネットワーク機器の機器固有情報を含む情報を前記ダイナミックDNSサーバに対して送信する初期送信ステップと、
前記ネットワーク機器の機器固有情報を受信した前記ダイナミックDNSサーバが、当該機器固有情報に基づいて一意のホスト名を作成し、少なくとも当該一意のホスト名と送信されたグローバルIPアドレスと対応させた紐付け情報を含む情報をDNS情報として前記データベース上に前記ダイナミックDNSサーバが読み出し書き換え可能に保持せしめる初期DNS情報保持処理ステップと、
前記ネットワーク機器のグローバルIPアドレスが変更されたとき、前記ネットワーク機器から機器側ホスト名および機器側ログイン情報である更新照会用ユーザー名および更新照会用パスワードを含む情報を、ダイナミックDNSサーバに送信する更新要求ステップと、
前記ダイナミックDNSサーバが受信した機器側ホスト名および機器側ログイン情報を、ダイナミックDNSサーバが読み出したデータベース上のDNS情報と照合させ、これらが合致する場合に、グローバルIPアドレスを書き換えて更新後のDNS情報としてホスト名と紐づけしてデータベースのDNS情報を書き換え保持する更新処理ステップ、とを実行することで、前記ネットワーク機器のグローバルIPアドレスの動的な変化に追従しうることを特徴とする、
動的に変化するグローバルIPアドレスを備えた前記ネットワーク機器と、前記クライアント操作端末とを、インターネット上で接続可能な請求項1〜4のいずれか1項に記載のダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の機器設定方法。
【請求項6】
動的に変化するグローバルIPアドレスを備えたネットワーク機器は、
インターネットを介してダイナミックDNSサーバおよびクライアント操作端末と送受信可能な通信手段を備え、
前記ネットワーク機器の機器固有情報と該機器固有情報が化体された画像を表示させる手段とを備え、
機器固有情報から機器側ホスト名および機器側ログイン情報を生成するプログラムと該プログラムにより生成されたデータの記憶手段を備え、
前記の生成されたデータを前記ダイナミックDNSサーバーに送信するプログラムを備え
グローバルIPアドレスの動的変化に応じて機器側ホスト名と機器側ログイン情報を含む更新要求を前記ダイナミックDNSサーバに送信するプログラムを備え、
前記クライアント端末からの通信開始要求に対してログイン情報と機器側ログイン情報を照合するプログラムを備え、
前記ダイナミックDNSサーバは、送受信可能な通信手段を備え、またデータベースと接続されており、
前記ネットワーク機器からの機器固有情報を受信して一意のホスト名と更新用ログイン情報を生成するプログラムを備え、
前記生成した一意のホスト名とグローバルIPアドレスとを紐付けした情報および更新用ログイン情報を含む情報をDNS情報としてデータベースに読み取り書き換え可能に保持せしめるプログラムを備え、
前記ネットワーク機器からの機器側ホスト名と機器側ログイン情報を含む更新要求に対して、前記データベースに読み取り書き換え可能に保持せしめたDNS情報と照合し合致した場合には、前記の一意のホスト名とグローバルIPアドレスを紐付けした情報を書き換えて更新されたDNS情報としてデータベースに保存するプログラムを備え、
前記クライアント端末からの前記ネットワーク機器の機器固有情報に基づく問い合わせ要求に対して、DNS情報と照会し、合致するときにネットワーク機器への接続先を案内する照会プログラムを備え、
前記クライアント操作端末は、送受信可能な通信手段を備え、
画像を撮像もしくは走査により読み取り可能な機構を備え、
撮像もしくは走査された機器固有情報が化体された画像を読み取り解析することで機器固有情報を含む情報を取得するプログラムを備え、
前記ネットワーク機器の機器固有情報から照会用ホスト名および照会用ユーザー名と照会用パスワードを含んでなるログイン情報が生成可能なプログラムを備え、
前記ネットワーク機器の接続先を問い合わせるために前記生成されたログイン情報を用いてダイナミックDNSサーバに問い合わせをするプログラムを備え、
前記ダイナミックDNSサーバへの問い合わせによって得られた情報に基づき、前記ネットワーク機器にログイン情報を送信して接続と通信を要求するプログラムを備え、
前記クライアント操作端末が前記ネットワーク機器の機器固有情報が化体された画像を読み取って得た機器固有情報に基づき生成せしめた照会用ホスト名を含む照会情報を、前記ダイナミックDNSサーバに送信することで前記ネットワーク機器の一意のホスト名を含むDNS情報と照合させ、合致した場合に、前記クライアント操作端末と前記ネットワーク機器とが特定されて接続され、ログイン情報の照合により通信可能となる、インターネットを介したネットワーク機器とクライアント操作端末との機器接続システム。
【請求項7】
動的に変化するグローバルIPアドレスを備えたネットワーク機器は、
インターネットを介してダイナミックDNSサーバおよびクライアント操作端末と送受信可能な通信手段を備え、
前記ネットワーク機器の機器固有情報と該機器固有情報が化体された画像を表示させる手段とを備え、
機器固有情報から機器側ホスト名および機器側ログイン情報を生成するプログラムと該プログラムにより生成されたデータの記憶手段を備え、
前記の生成されたデータを前記ダイナミックDNSサーバーに送信するプログラムを備え
グローバルIPアドレスの動的変化に応じて機器側ホスト名と更新用ログイン情報を含む更新要求を前記ダイナミックDNSサーバに送信するプログラムを備え、
前記クライアント端末からの通信開始要求に対してログイン情報と機器側ログイン情報を照合するプログラムを備え、
前記ダイナミックDNSサーバは、送受信可能な通信手段を備え、またデータベースと接続されており、
前記ネットワーク機器からの機器固有情報を受信して一意のホスト名と更新用ログイン情報を生成するプログラムを備え、
前記生成した一意のホスト名とグローバルIPアドレスとを紐付けした情報および更新用ログイン情報を含む情報をDNS情報としてデータベースに読み取り書き換え可能に保持せしめるプログラムを備え、
前記ネットワーク機器からの機器側ホスト名と更新用ログイン情報を含む更新要求に対して、前記データベースに読み取り書き換え可能に保持せしめたDNS情報と照合し合致した場合には、前記の一意のホスト名とグローバルIPアドレスを紐付けした情報を書き換えて更新されたDNS情報としてデータベースに保存するプログラムを備え、
前記クライアント端末からの前記ネットワーク機器の機器固有情報に基づく問い合わせ要求に対して、DNS情報と照会し、合致するときにネットワーク機器への接続先を案内する照会プログラムを備え、
前記クライアント操作端末は、送受信可能な通信手段を備え、
画像を撮像もしくは走査により読み取り可能な機構を備え、
撮像もしくは走査された機器固有情報が化体された画像を読み取り解析することで機器固有情報を含む情報を取得するプログラムを備え、
前記ネットワーク機器の機器固有情報から照会用ホスト名および機器側ログイン情報が生成可能なプログラムを備え、
前記ネットワーク機器の接続先を問い合わせるために前記生成された照会用ホスト名を用いてダイナミックDNSサーバに問い合わせをするプログラムを備え、
前記ダイナミックDNSサーバへの問い合わせによって得られた情報に基づき、前記ネットワーク機器にログイン情報を送信して接続と通信を要求するプログラムを備え、
前記クライアント操作端末が前記ネットワーク機器の機器固有情報が化体された画像を読み取って得た機器固有情報に基づき生成せしめた照会用ホスト名を、前記ダイナミックDNSサーバに送信することで前記ネットワーク機器の一意のホスト名を含むDNS情報と照合させ、合致した場合に得られる情報に基づき前記ネットワーク機器にログイン情報を送信し、ネットワーク機器にてログイン情報と機器側ログイン情報の照合により通信可能となる、インターネットを介したネットワーク機器とクライアント操作端末との機器接続システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動的に変化するグローバルIPアドレスに対して一意のホスト名を提供するダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の設定方法、ならびに携帯端末等とダイナミックDNSサーバ、ネットワーク機器、およびこれらの間の接続を確立するためのプログラムを含んだ、ダイナミックDNSサービスを提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
グローバルIPアドレスとは、インターネットで相手と通信するための、他のアドレスと重複しない一意のIPアドレスのことであり、たとえばTCP/IPでは、通信相手を特定してIPパケットを送信したり、ルーティングするために必要となるもので、相手を特定するために欠かせない。ところが、IPアドレスはIPv4では32ビットの数字の羅列であり、またプロバイダ等がIPアドレスに基づいて機械的にホスト名を割り振ってしまうときには、数字や記号の羅列となり、一般に公開して周知して利用したりするには不向きである。
【0003】
さらに、ADSLやFTTHなどによるインターネット接続では、たとえば接続サービスを提供しているISP(Internet Service Provider)によって、利用者に対して接続毎にグローバルIPアドレスが動的に割り当てられるのが一般である。そして、個々の端末利用者からすると利用者の意思とは無関係に度々IPアドレスが変更されることが生じうる状況にある。たとえば、(1)グローバルIPアドレスが付与されたブロードバンドルータの電源を入れ直した場合、(2)ISPを通して一定時間通信が行われなかった場合、(3)ISPの都合により割当てIPアドレスが変更される場合、等において変化することがある。
【0004】
こうした動的な割り当ては、例えばDHCPサーバーなどで行なわれており、各端末に、接続時に動的にIPアドレスを割り当て、終了時には割り当てたIPアドレスを回収するが、こうして利用者の端末のグローバルIPアドレスは常時固定されているものではなく、動的に変わってしまうものとなるので、IPアドレスに基づくようなホスト名も同様に変わってしまうことがあり得ることとなる。すると、インターネット回線から、動的に変更される可能性のあるIPアドレスをもったクライアントの端末との接続は利用しにくいことなる。
【0005】
そこで、グローバルIPアドレスが変更される毎にDNSレコードを更新し、一意のホスト名を常時接続環境を利用しうるようにするのがダイナミックDNSである。すなわち、ダイナミックDNS(Dynamic Domain Name System、DDNSともいう。)とは、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)などを使って動的に割り当てられたホストの動的に変化するIPアドレスを、一意なホスト名に対応させるものである。ダイナミックDNSサービスを利用することでIPアドレスが変化する環境にネットワーク機器を設置した場合においても、設定したホスト名でネットワーク機器にアクセスすることができる。
【0006】
もっとも、実際に接続して利用するには、利用者が手動でネットワーク環境を設定する作業が必要となる。具体的には、利用者が、たとえば、PC(パーソナルコンピュータ)を操作して前記したダイナミックDNSサービスを提供するISPにアクセスして利用登録を行い、設定ユーティリティをPCにインストールしたうえで、さらにネットワーク機器をルータに接続し、前記した設定ユーティリティを起動してIPアドレス等のネットワーク環境の設定を行うことが必要となったりする。また同様の手順でルータについても設定を行う必要がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
エレコム社製のネットワークカメラ(LAN−NCW150/S)を例にとると、DDNSサービスの申し込みと登録を行い、ルーター側のDDNS設定を手動で実行し、利用者側の端末として、たとえばスマートフォンやPCにアプリやソフトをインストールした後、DDNS設定やポートの開放などを手動で設定していくといった複雑な手順を踏む必要があり、これらの手順を実践してはじめてスマートフォンやPCがインターネット回線を介してネットワークカメラと接続が可能となることとなる。手動での多数の手順を要するものであるから、不慣れな利用者にネットワークに関する知識をはじめとした試行錯誤が求められるような負担を課すものであった。
【0008】
そこで、利用者に面倒な設定作業を強いることなくダイナミックDNSサービスを利用可能な仕組みを構築しようと志向して、本願の出願人は、ダイナミックDNSサービスサーバが、ネットワーク機器から送信されるネットワーク機器に一意な情報(例えば、シリアル番号とMACアドレス)に基づき生成されるホスト名に従い、ネットワーク機器のグローバルIPアドレスとホスト名との紐付けをして、DNS情報の更新を行うこととした。
【0009】
すなわち、(1)所定のタイミングで、ネットワーク機器が、ダイナミックDNSサービスサーバに対して自身が持つ機器識別情報およびMAC(Media Access Control)アドレスを送信する第1のステップと、(2)前記ダイナミックDNSサービスサーバが、受信した前記ネットワーク機器の機器識別情報およびMACアドレスに基づきホスト名を生成する第2のステップと、(3)前記ダイナミックDNSサービスサーバが、前記ネットワーク機器から受信した機器識別情報と、自身で生成したホスト名とを紐付けしてユーザ情報を生成するステップと、前記ネットワーク機器が、前記ダイナミックDNSサーバと同じアルゴリズムを用いて生成したホスト名を前記ダイナミックDNSサービスサーバに送信することによって、DNS情報の更新を要求する第3のステップと、(4)前記ダイナミックDNSサービスサーバが、受信したホスト名に基づき、前記ネットワーク機器のグローバルIPアドレスと前記ホスト名との紐付けをしてDNS情報の更新を行う第4のステップと、を実行して、前記ダイナミックDNSサービスサーバが、前記端末から前記機器識別情報を受信して、前記ユーザ情報を参照し、当該機器識別情報に紐付けられたホスト名を端末に提供することを特徴とするダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の設定方法およびそのシステムを発明した(特許文献1参照)。
【0010】
上記発明の方法やシステムによれば、ネットワーク機器がホスト名と同じ名称を生成し、動的IPアドレスの更新を要求し、ダイナミックDNSサーバー側は、ネットワーク機器からの識別情報およびMACアドレスからホスト名を生成し、パスワードを確認のうえ、DNS情報の更新をすることで、ネットワーク機器とダイナミックDNSサーバ上のDNS情報を一致させ、動的IPアドレスのネットワーク機器とダイナミックDNSサーバとの通信の接続が確立されることとなる。
【0011】
これにより、動的IPアドレスのネットワーク機器が特定のダイナミックDNSサーバに捕捉可能とされたこととなるので、あとは携帯端末等が当該ダイナミックDNSサーバに接続して照会することで、ネットワーク機器、たとえば自宅等に設置したネットワークカメラ等に携帯端末等からのアクセスが可能となる。
もっとも、携帯端末等がダイナミックDNSサーバにアクセスして、ネットワーク機器の識別情報を送信することまでは利用者側に若干の動作が求められており、携帯端末−DDNSサーバ間での具体的手順は、前記発明においては提供されていなかった。携帯端末等からダイナミックDNSサーバにアクセスする際には、携帯端末とネットワーク機器の接続を確立するべく、ダイナミックDNSサーバネットワーク機器の識別情報を送信したり、サーバ側からホスト名の受信をするなどしてネットワーク機器まで接続することが必要であり、それらの手順をクリアしてはじめてネットワーク機器までの接続を確立することとなっていた。たしかに、前記発明によって従前に比べて格段にネットワーク機器と端末間の接続が簡単にはなっているが、ネットワーク接続に疎い一般の利用者の視点からすると、さらなる工夫が望まれていたといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第4528105号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ケータイモニタリングサービス「CAMonEZ開始」、2004年7月12日、株式会社アイ・オー・データ機器発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前記したように、ダイナミックDNSサービスを利用するために、ユーザはホスト名等の設定作業が必要であり、このため、ホスト名等の登録設定を行い、かつ、その情報をルータ等使用するネットワーク機器の全てに反映させる必要がある。従って、ユーザにとっては負担が大きい他に、スキルを要するため、誰もが簡単に利用できる状況にはなかった。
【0015】
本発明は、インターネットを介してクライアント操作端末とネットワーク機器とを簡便に接続し、また、動的なグローバルIPアドレスの変化によって通信設定が複雑になることを回避するため、ダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の設定方法を提供し、また、通常は視認しにくいネットワーク機器の機器固有情報を利用して、クライアント操作端末上から簡易に撮影等によって取得利用することで、複雑な入力作業を要せずとも、ダイナミックDNSサービスサーバ、ネットワーク機器と接続していくことができるプログラムやシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記した課題を解決するために、本発明の第1の手段では、動的に変化するグローバルIPアドレスを備えたネットワーク機器と、クライアント操作端末とをダイナミックDNSサービスが提供する一意のホスト名に基づいてインターネット上で接続可能とするネットワーク機器の機器設定方法であって、
前記クライアント操作端末は撮像もしくは走査により読み取り可能な機構を備えており、前記機構によってネットワーク機器の機器固有情報が化体された画像を前記クライアント操作端末が読み取る第1のステップと、
前記クライアント操作端末により、撮像もしくは走査された画像から化体された機器固有情報を解析取得し、引き続き、ダイナミックDNSサービスを提供するダイナミックDNSサーバに既に登録されている前記のネットワーク機器のグローバルIPアドレス情報を照会取得するために、前記解析取得された機器固有情報から前記ネットワーク機器の照会用ホスト名を生成し、前記ダイナミックDNSサーバに送信する第2のステップと、
前記ダイナミックDNSサーバにより、予め前記ダイナミックDNSサーバに保持されている前記ネットワーク機器に対応する一意のホスト名と、クライアント操作端末から送信された前記照会用ホスト名とが照合され、合致した場合に、予め前記ダイナミックDNSサーバに保持されている前記一意のホスト名に対応した前記ネットワーク機器のグローバルIPアドレスを、前記クライアント操作端末へと送信する第3のステップとを実行して、
動的に変化するグローバルIPアドレスを備えた前記ネットワーク機器と、前記クライアント操作端末とを、インターネット上で接続可能にするダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の機器設定方法である。
【0017】
本発明の第2の手段では、前記第3のステップにおいて、前記ダイナミックDNSサービスを提供するダイナミックDNSサーバは、前記ネットワーク端末に対応する一意のホスト名とグローバルIPアドレスとを含むデータを予め保持可能なデータベースを読み書き可能に備えており、
前記ダイナミックDNSサーバが予めデータベースに保持している前記ネットワーク端末に対応する一意のホスト名は、前記ネットワーク機器の機器固有情報に基づいて生成された一意のホスト名であり、
前記第1のステップで生成される照会用ホスト名も、前記ネットワーク機器の機器固有情報に基づいて、前記クライアント操作端末が前記ダイナミックDNSサーバ側のホスト名の生成と同様のロジックで生成された照会用ホスト名であること、
を特徴とする、第1の手段に記載のダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の機器設定方法である。
【0018】
本発明の第3の手段では、
本発明の第1もしくは第2の手段に記載の第1のステップ、第2のステップ、第3のステップに続いて、さらに、
前記クライアント操作端末は、予め前記ネットワーク機器へのログイン情報を備えており、前記第3のステップで取得された前記ネットワーク機器のグローバルIPアドレス上の前記ネットワーク機器へと前記ログイン情報を送信する第4のステップと、
前記ネットワーク機器が、前記クライアント操作端末から受信した前記ログイン情報を、ログイン情報に基づき前記クライアント端末との接続を認証するか否か判断する情報処理を行い、前記ログイン情報が受け入れ可能な場合には前記クライアント操作端末に対して通信を許可する第5のステップとを実行して、
動的に変化するグローバルIPアドレスを備えた前記ネットワーク機器と、前記クライアント操作端末とを、インターネット上で通信可能にするダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の機器設定方法である。
【0019】
本発明の第4の手段では、本発明の第3の手段に記載の前記クライアント操作端末が備えている前記ネットワーク機器へのログイン情報は、第2のステップにおいて前記ネットワーク機器の照会用ホスト名を生成する際に、解析取得された機器固有情報から生成せしめた照会用ユーザー名と照会用パスワードを含んでなるログイン情報を用いること、を特徴とする本発明の第3の手段に記載の動的に変化するグローバルIPアドレスを備えた前記ネットワーク機器と、前記クライアント操作端末とを、インターネット上で通信可能にするダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の機器設定方法である。
【0020】
本発明の第5の手段では、前記ネットワーク機器が起動時に自身に内包の前記ネットワーク機器の機器固有情報に基づいてアクセスコード、機器側ホスト名、ポート番号、機器側ログイン情報である更新照会用ユーザー名と更新照会用パスワードと、を前記ネットワーク機器に予め生成・保持せしめる保持データ生成ステップと、
前記ネットワーク機器は、インターネットに接続すると所定のタイミングで自身に内包する前記ネットワーク機器の機器固有情報を含む情報を前記ダイナミックDNSサーバに対して送信する初期送信ステップと、
前記ネットワーク機器の機器固有情報を受信した前記ダイナミックDNSサーバが、当該機器固有情報に基づいて一意のホスト名を作成し、少なくとも当該一意のホスト名と送信されたグローバルIPアドレスと対応させた紐付け情報を含む情報をDNS情報として前記データベース上に前記ダイナミックDNSサーバが読み出し書き換え可能に保持せしめる初期DNS情報保持処理ステップと、
前記ネットワーク機器のグローバルIPアドレスが変更されたとき、前記ネットワーク機器から機器側ホスト名および機器側ログイン情報である更新照会用ユーザー名および更新照会用パスワードを含む情報を、ダイナミックDNSサーバに送信する更新要求ステップと、
前記ダイナミックDNSサーバが受信した機器側ホスト名および機器側ログイン情報を、ダイナミックDNSサーバが読み出したデータベース上のDNS情報と照合させ、これらが合致する場合に、グローバルIPアドレスを書き換えて更新後のDNS情報としてホスト名と紐づけしてデータベースのDNS情報を書き換え保持する更新処理ステップ、とを実行することで、前記ネットワーク機器のグローバルIPアドレスの動的な変化に追従しうることを特徴とする、
動的に変化するグローバルIPアドレスを備えた前記ネットワーク機器と、前記クライアント操作端末とを、インターネット上で接続可能な本発明の第1〜第4のいずれか1の手段に記載のダイナミックDNSサービスを利用したネットワーク機器の機器設定方法である。
【0021】
本発明の第6の手段は、
動的に変化するグローバルIPアドレスを備えたネットワーク機器は、
インターネットを介してダイナミックDNSサーバおよびクライアント操作端末と送受信可能な通信手段を備え、
前記ネットワーク機器の機器固有情報と該機器固有情報が化体された画像を表示させる手段とを備え、
機器固有情報から機器側ホスト名および機器側ログイン情報を生成するプログラムと該プログラムにより生成されたデータの記憶手段を備え、
前記の生成されたデータを前記ダイナミックDNSサーバーに送信するプログラムを備え
グローバルIPアドレスの動的変化に応じて機器側ホスト名と機器側ログイン情報を含む更新要求を前記ダイナミックDNSサーバに送信するプログラムを備え、
前記クライアント端末からの通信開始要求に対してログイン情報と機器側ログイン情報を照合するプログラムを備え、
前記ダイナミックDNSサーバは、送受信可能な通信手段を備え、またデータベースと接続されており、
前記ネットワーク機器からの機器固有情報を受信して一意のホスト名と更新用ログイン情報を生成するプログラムを備え、
前記生成した一意のホスト名とグローバルIPアドレスとを紐付けした情報および更新用ログイン情報を含む情報をDNS情報としてデータベースに読み取り書き換え可能に保持せしめるプログラムを備え、
前記ネットワーク機器からの機器側ホスト名と機器側ログイン情報を含む更新要求に対して、前記データベースに読み取り書き換え可能に保持せしめたDNS情報と照合し合致した場合には、前記の一意のホスト名とグローバルIPアドレスを紐付けした情報を書き換えて更新されたDNS情報としてデータベースに保存するプログラムを備え、
前記クライアント端末からの前記ネットワーク機器の機器固有情報に基づく問い合わせ要求に対して、DNS情報と照会し、合致するときにネットワーク機器への接続先を案内する照会プログラムを備え、
前記クライアント操作端末は、送受信可能な通信手段を備え、
画像を撮像もしくは走査により読み取り可能な機構を備え、
撮像もしくは走査された機器固有情報が化体された画像を読み取り解析することで機器固有情報を含む情報を取得するプログラムを備え、
前記ネットワーク機器の機器固有情報から照会用ホスト名および照会用ユーザー名と照会用パスワードを含んでなるログイン情報が生成可能なプログラムを備え、
前記ネットワーク機器の接続先を問い合わせるために前記生成されたログイン情報を用いてダイナミックDNSサーバに問い合わせをするプログラムを備え、
前記ダイナミックDNSサーバへの問い合わせによって得られた情報に基づき、前記ネットワーク機器にログイン情報を送信して接続と通信を要求するプログラムを備え、
前記クライアント走査端末が前記ネットワーク機器の機器固有情報が化体された画像を読み取って得た機器固有情報に基づき生成せしめた照会用ホスト名を含む照会情報を、前記ダイナミックDNSサーバに送信することで前記ネットワーク機器の一意のホスト名を含むDNS情報と照合させ、合致した場合に、前記クライアント操作端末と前記ネットワーク機器とが特定されて接続され、ログイン情報の照合により通信可能となる、インターネットを介したネットワーク機器とクライアント操作端末との機器接続システムである。
【0022】
本発明の第7の手段では、
動的に変化するグローバルIPアドレスを備えたネットワーク機器は、
インターネットを介してダイナミックDNSサーバおよびクライアント操作端末と送受信可能な通信手段を備え、
前記ネットワーク機器の機器固有情報と該機器固有情報が化体された画像を表示させる手段とを備え、
機器固有情報から機器側ホスト名および機器側ログイン情報を生成するプログラムと該プログラムにより生成されたデータの記憶手段を備え、
前記の生成されたデータを前記ダイナミックDNSサーバーに送信するプログラムを備え
グローバルIPアドレスの動的変化に応じて機器側ホスト名と更新用ログイン情報を含む更新要求を前記ダイナミックDNSサーバに送信するプログラムを備え、
前記クライアント端末からの通信開始要求に対してログイン情報と機器側ログイン情報を照合するプログラムを備え、
前記ダイナミックDNSサーバは、送受信可能な通信手段を備え、またデータベースと接続されており、
前記ネットワーク機器からの機器固有情報を受信して一意のホスト名と更新用ログイン情報を生成するプログラムを備え、
前記生成した一意のホスト名とグローバルIPアドレスとを紐付けした情報および更新用ログイン情報を含む情報をDNS情報としてデータベースに読み取り書き換え可能に保持せしめるプログラムを備え、
前記ネットワーク機器からの機器側ホスト名と更新用ログイン情報を含む更新要求に対して、前記データベースに読み取り書き換え可能に保持せしめたDNS情報と照合し合致した場合には、前記の一意のホスト名とグローバルIPアドレスを紐付けした情報を書き換えて更新されたDNS情報としてデータベースに保存するプログラムを備え、
前記クライアント端末からの前記ネットワーク機器の機器固有情報に基づく問い合わせ要求に対して、DNS情報と照会し、合致するときにネットワーク機器への接続先を案内する照会プログラムを備え、
前記クライアント操作端末は、送受信可能な通信手段を備え、
画像を撮像もしくは走査により読み取り可能な機構を備え、
撮像もしくは走査された機器固有情報が化体された画像を読み取り解析することで機器固有情報を含む情報を取得するプログラムを備え、
前記ネットワーク機器の機器固有情報から照会用ホスト名および機器側ログイン情報が生成可能なプログラムを備え、
前記ネットワーク機器の接続先を問い合わせるために前記生成された照会用ホスト名を用いてダイナミックDNSサーバに問い合わせをするプログラムを備え、
前記ダイナミックDNSサーバへの問い合わせによって得られた情報に基づき、前記ネットワーク機器にログイン情報を送信して接続と通信を要求するプログラムを備え、
前記クライアント操作端末が前記ネットワーク機器の機器固有情報が化体された画像を読み取って得た機器固有情報に基づき生成せしめた照会用ホスト名を、前記ダイナミックDNSサーバに送信することで前記ネットワーク機器の一意のホスト名を含むDNS情報と照合させ、合致した場合に得られる情報に基づき前記ネットワーク機器にログイン情報を送信し、ネットワーク機器にてログイン情報と機器側ログイン情報の照合により通信可能となる、インターネットを介したネットワーク機器とクライアント操作端末との機器接続システムである。
【0023】
本発明にいうクライアント操作端末とは、カメラやスキャナなどの撮像または操作機能を備え、アプリケーションソフトを導入して実行可能なスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ(PC)、ゲーム機など、カメラ機能と通信機能を備えたモバイル機器であれば広くこれに該当する。そして、利用者は、クライアント操作端末上のプログラムを実行操作するだけで、本発明のネットワーク機器との接続を確立し、通信をしてネットワーク機器を利用することができる。
【0024】
本発明にいうネットワーク機器とは、たとえばNIC(Network Interface Card)機能を備えたネットワーク通信可能なカメラ、スキャナ、マイク、スピーカ、報知機などの各種センサー、プリンター、インターホン、家電製品、あるいはその操作用リモコン等を広く含んでいる。以下、個別な説明をするときは、ネットワークカメラを代表例として説明するが、もちろん他のネットワーク機器にも適用可能である。
【0025】
本発明にいう機器固有情報とは、ネットワーク機器を特定して識別しうる情報のことであり、シリアルナンバー、個別に付されているMAC(Media Access Control)アドレス等の他と重複のないユニークな一意の固体を識別しうる情報を含んだものである。本発明では、機器固有情報を1次元バーコードや2次元コードシンボル(たとえばJISX0510のQRコード(登録商標)をいう。)あるいはその他の識別用の画像に化体させ、機械を通じて視覚的に読み取り可能なものとする。すなわち、これらの機器固有情報は、たとえば2次元コードシンボルとして紙面に印刷して本発明のネットワーク機器の周囲に読み取り可能に備え置いたり、ネットワーク機器表面にシールとして印刷したものを貼付しておいてもよい。さらに、ネットワーク機器に液晶画面の表示部を設けて画像として読み取り可能に表示せしめてもよい。なお、以下の個別な説明では、2次元コードシンボルであるQRコードを例にとって説明することとするが、他の視覚的に読み取り可能な表示方法を排除するものではない。
【0026】
こうした機器固有情報は、必ずしも機器本体表面のわかりやすいところに明示されてはおらず、また意味ある情報の羅列でもないので、他の重複しない情報であるにもかかわらず、一般ユーザーが利用するには入力もしづらく、必ずしも有益に用いることができなかった情報である。ところが、2次元コードシンボルなどによって、カメラ等で読み取り容易な可読的処理が可能な情報とすることで、ネットワーク回線がつながる前にもかかわらず、情報の受け渡しが容易となる。すなわち、ネットワークカメラなどのネットワーク機器の表面もしくは画像などで表示させたQRコード等を、スマートフォンのカメラによって撮影し、アプリによる画像認識と解析処理によって、機器固有情報を間違いなく確実に得ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、一意な重複のない機器固有情報を簡単に接続前の機器同士で受け渡すことができ、受け渡された機器固有情報を変換させることで、適切な相手との通信かどうかを簡易に照合して判別できるようになる。
すなわち、ダイナミックDNSサーバが、ネットワーク機器から送信されるネットワーク機器に一意な情報である機器固有情報に基づいて生成される一意なホスト名やDNS情報を作成でき、ネットワーク機器からのDNS情報の更新要求や、クライアント操作端末からの問い合わせ要求に対して、それぞれの機器が一意な機器固有情報から生成せしめたホスト名および機器側ログイン情報やログイン情報等と簡易に照合することが可能となる。
【0028】
そして、一般ユーザーは、ネットワーク機器の利用開始に際して、カメラ等で使いたいネットワーク機器に付されたQRコードなどの画像を撮影し、これをクライアント操作端末であるスマートフォンなどのアプリによって解析動作の指示を開始させるだけで、あとは自動的にダイナミックDNSサーバとの問い合わせを経て、接続したいネットワーク機器との通信が確立されることとなることから、極めて簡便かつ安全、確実に接続できる手順が提供されることとなる。
【0029】
また、本発明によれば、ネットワーク機器も、シリアル番号やMACアドレスといった機器固有情報を演算して、ホスト名や、更新ユーザ名、更新パスワードを生成し、ホスト名に付加してDNS情報の更新を要求することから、動的なグローバルIPアドレスの変化にダイナミックDNSサーバが管理するDNS情報が追従しうるので、利用者の意図しないIPアドレスの変化があっても、機器設定を一から繰り返す必要がなく、利便性のよいシステムが提供されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に用いるネットワーク機器とクライアント端末とが接続され通信が確立される様子を示す機器の構成図である。
図2】本発明のネットワーク機器とダイナミックDNSサーバとの接続を説明する機器の構成図である。
図3】本発明のネットワーク機器とダイナミックDNSサーバーの設定から更新までの動作の一例を示したシーケンス図である。
図4】本発明のクライアント操作端末が撮像したQRコードに基づいてネットワーク機器との通信を開始するまでの動作の一例を示したシーケンス図である。
図5】データベース上で管理される機器固有情報と、初期に生成されたホスト名、パスワードなどのDNS情報の一部を例示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態を図1〜5を適宜用いながら以下に説明する。
図1に示すのは、本発明のネットワーク機器がクライアント操作端末と接続、通信が開始された稼動状態となる様子を示す構成図である。記載されている機器の構成は、ネットワーク機器A〜Cの3台のウェブカメラと、ネットワーク機器Aのとなりに示したネットワーク機器Aの機器固有情報を含む画像3、これらのネットワーク機器のカメラがインターネットと接続する際に用いることのできる2台のルーターDとE、インターネット網、スマートフォンで例示したクライアント操作端末と、端末とインターネットを繋ぐ移動通信網、ダイナミックDNSサーバとデータベースである。
【0032】
ネットワーク機器AとBのカメラは、ルーターDを介してインターネットと繋がっており、接続待機された状態が既に確立されており、ダイナミックDNSサーバ4に認識され、データベース5にDNS情報が記録されている状態にある。ネットワーク機器Aは、さらに経路(f)に示すインターネットから移動通信網を経てクライアント操作端末1のスマートフォンへと接続され、通信が可能となって稼動している状況にある。一方、ネットワークカメラBはルーターDに接続されており、ダイナミックDNSサーバにも認識されているが、クライアント端末からの接続はなされていない状況を示している。
他方、ネットワーク機器Cのカメラは、ルーターEとは接続されておらず、インターネットに繋がっておらず、ダイナミックDNSサーバにも、接続待機状態としては登録されていない。
【0033】
たとえば、クライアント操作端末1のスマートフォンには、ネットワーク機器Aのカメラを遠隔操作するために設計されたアプリケーションソフト(アプリ)をインストールしておくことで簡易な操作が実現可能となっている。カメラと遠隔的に接続されたスマートフォンの画面上には、経路(f)を経てカメラの映像が順次送信されており、スマートフォン側の操作によってカメラのズーム等の操作も可能となったり、スマートフォン上での録画動作も適宜指示することができる。
【0034】
スマートフォンの撮像装置2のカメラ機能によって、ネットワーク機器Aの機器固有情報を含んだQRコード3が撮像される。QRコードは、二次元のバーコードであるから、一般的なQRコード読み取りのソフトによって、通常的に機器固有情報を容易に抽出することができる。さらに、専用のアプリを用いることによってQRコードの解析処理がなされるようにすれば、機器固有情報のみならず、その他のネットワーク機器に関する情報を通知することもできるので、ネットワーク機器へのログイン情報のユーザー名やパスワードを盛り込んだりすることもできる。もっとも、QRコードに機器固有情報をそのまま記載しておくことは、単にもともと機器のもっている機器固有情報であるMACアドレスなどを取り出しやすくしたものなので、かえって重要な情報や、秘匿の情報としての価値あるものとしての着目がなされずに済む。そこで、通信開始のためのキーとなる情報を生成するための道具として考えた場合、逆にありふれた情報である点で有用性が高いといえる。
【0035】
また、利用者の認識しないうちにスマートフォンの内部で機器固有情報を含んだ情報が画像から抽出され保持されることとなる。そして、アプリによって機器固有情報から、ホスト名が生成され、同様に、任意であるが、ユーザー名やパスワードといったユーザー情報を生成せしめてもよい。
これらのホスト名を照会ホスト名として、経路(e)によってダイナミックDNSサーバ4へ送信し、ダイナミックDNSサーバは、データベース5に保持されたDNS情報と照会して、ホスト名や、機器固有情報、あるいは、ユーザー名、パスワードなどを照合した結果、合致すると判断した場合には、所望のネットワーク機器AのグローバルIPアドレスを含む情報をダイナミックDNSサーバからスマートフォンに向けて返信し、スマートフォンのアプリは、特定されたネットワーク機器Aのカメラと接続しうることとなる。これによりネットワーク機器がクライアント端末からも特定できる状態となるので、さらに、カメラ側に用意されている機器側のユーザ情報とスマートフォン側の生成したユーザ情報等を照合するなどの認証動作を経て、通信が確立されることとなる。
【0036】
なお、一意の機器固有情報から一意のホスト名を生成すると、ユニークな重複しない値を確実かつ簡易に機械的に得ることができる。たとえば、ダイナミックDNSサーバ上で生成される一意のホスト名は、一意の機器固有情報であるMACアドレスから生成されるものとする。MACアドレスはNIC機器それぞれに個別に振られているので、基本的に重複することはない。
【0037】
とはいえ、MACアドレスそのものをホスト名に用いるのでは、用意にウェブ上のカメラ等の所在が突き止められてしまうことが考えられるので、リスクを伴う。そこで生成アルゴリズムによって異なる値に変換すること自体は有用である。そして、ダイナミックDNSサーバ、ネットワーク機器、クライアント操作端末におけるプログラムにおいて、基本的に同じ生成アルゴリズムを用いることも、照会処理を簡易にすると思われる。たとえば、MACアドレスの数字を10進数に変換してから、チェックデジットとなるパリティを付加してデータの整合処理が可能とした数値を生成せしめるといった処理手順によって算出させることができる。なお、同様のアルゴリズムを用いるならば、生成プログラムが機器毎に違う言語であっても、一意のMACアドレス同様に、結果は一意な値を共通して導出することができる。
【0038】
もちろん、ひとつの機器固有情報から、ネットワーク機器、クライアント操作端末、ダイナミックDNSサーバが3者3様にユニークな値を生成してもよく、照合動作の際に生成された数値同士を変換して照合することは可能である。複雑になるが、同じ生成アルゴリズムに拘る必然性はない。
【0039】
図2に示すのは、ネットワーク機器A、ネットワークBが順次同じルーターDを通じて、インターネットに接続可能に起動され、予め設定されている特定のダイナミックDNSサーバーと通信することで、機器固有情報から生成された機器側ホスト名を通知し、DNS情報がデータベース記録されていく手順を示した、ネットワーク機器の設置手順を説明した概略図である。
【0040】
(1)Webカメラであるネットワーク機器Aは、経路(a)によってUPnP機能を有するブロードバンドルーターDに接続されており、ネットワーク機器Aを起動させると、UPnP機能によりインターネット公開用としてポート80番が公開される。
(2)ネットワーク機器Aは、経路(b)によってダイナミックDNSサーバに対して、CGI(Common Gateway Interface)コマンドを発行し、ネットワーク機器側の機器固有情報に基づくホスト名と、ダイナックDNSサーバ側の予め生成してあるホスト名などが照合される。適合すると、ダイナミックDNSサーバは、図5に示すようなデータベースに、シリアル番号やMACアドレスといった機器固有情報の他、ホスト名、パスワード、ポート番号等を登録することで、予め設定されている一意のホスト名を使用可能とする。ダイナミックDNSサーバは、以後、スマートフォン等のクライアント機器端末からの問い合わせ要求が適切であれば、ネットワーク機器Aと接続しうるグローバルIPアドレスを含む情報を返信することとなる。
【0041】
(3)ネットワーク機器Bが、経路(c)によってUPnP機能を備えたルーターDに接続されると、重複しない別なポート、たとえば55555番が公開される。
(4)ネットワーク機器Bは、経路(d)によってダイナミックDNSサーバーに対してCGIコマンドを発行し、機器固有情報に基づいてホスト名等を通知し、予めダイナミックDNSサーバー側に用意されている一意のホスト名と照合され、適合する場合には、ネットワーク機器Aと同様にデータベース5に記録され、ネットワーク機器Aが待機状態となる。
【0042】
図5に示す表は、データベース5に保持されている情報の一部を例示したものである。カメラAとカメラBが、前記ネットワーク機器Aとネットワーク機器Bに相当する。この表では、シリアル番号、MACアドレスといった機器固有情報のほかに、機器固有情報から予めダイナミックDNSサーバ側が生成せしめた、一意のホスト名(プリセットDDNSホスト名)、パスワードなどが、予め記録されている。ネットワーク機器Aのように、外部からネットワーク機器がアクセスしてくると、ネットワーク機器側の告げる機器ホスト名と、予めダイナミックDNSサーバ側で生成していた一意のホスト名とを照合し、合致する場合には、ダイナミックDNSサーバ側は、ネットワーク機器Bを適切な待機状態にある機器として認識し、グローバルIPアドレスとホスト名を紐付けする。
【実施例1】
【0043】
図3のシーケンス図を用いて、本発明のネットワーク機器とダイナミックDNSサーバーの設定から更新までの動作の一例を説明する。あくまで一例であり、これに限定はされるものではない。
ネットワーク機器のカメラの電源を入れると、ルーターに接続されると同時にUPnP機能によりポートが公開される。また、機器固有情報のMACアドレスから、ネットワーク機器に予め設定されたプログラムによって、ホスト名、アクセスコード、ポート番号、情報更新用ユーザー名、パスワードが生成され、保持される。
【0044】
ネットワーク機器には、予めアクセス先となるダイナミックDNSサーバとの接続情報が記録されており、これに基づいて、特定のダイナミックDNSサーバに、MACアドレス、マックアドレスから算出したアクセスコードおよびポート番号をCGIにて送信する。
【0045】
ダイナミックDNSサーバは、受取ったMACアドレスに対応するアクセスコードを算出し、データベース5のDNS情報と照合して一致するかどうか確認。適合する場合には、MACアドレスとアクセスコードが正しいことをネットワーク機器に通知する。
【0046】
ダイナミックDNSサーバはMACアドレスに対応するホスト名と、情報更新用ユーザ名、パスワードを有効にし、ネットワーク機器のグローバルIPアドレスが変更になった場合の更新処理に備えることとなる。
【0047】
ネットワーク機器からの情報更新用ユーザー名、パスワード、現在のIPアドレス(ローカルポート)、ポート番号が送信されると、受取ったダイナミックDNSサーバは、ユーザー名、パスワードを照合し、正しい場合は、ポート番号とローカルIPアドレスの情報を更新し、DNS情報を更新する。
【0048】
以後、ネットワーク機器のIPアドレスが変更になる毎に、こうした動作が繰り返され、DNS情報が現在のネットワーク機器のグローバルIPアドレスとの紐付けが正確に保たれる。
【実施例2】
【0049】
次に図4を用いて、本発明のクライアント操作端末が撮像したQRコードに基づいてネットワーク機器との通信を開始するまでの動作の一例を示す。
【0050】
クライアント端末であるスマートフォンに、予めネットワーク機器を操作するためのスマートフォン用のアプリをダウンロードしてインストールしておき、専用アプリケーションを起動する。
【0051】
使いたいネットワーク機器であるカメラの機器表面あるいは機器近傍に印刷されたQRコード、もしくは機器の液晶画面に表示されるQRコードなどを、スマートフォンで撮影し、QRコードの読み取りを行う。QRコードには、予め機器固有情報であるMACアドレスを含ませてあるので、読み取り後にアプリ上で解析すると、MACアドレスが表示されることとなる。
【0052】
得られたMACアドレスに基づき、アプリがホスト名、ポート番号を算出する。また、アプリに予め設定されているカメラアクセス用のユーザー名、パスワードも読出し、予め設定されているダイナミックDNSサーバーに問い合わせをする。
【0053】
ダイナミックDNSサーバーはホスト名等を照合して、適合する場合には、ポート番号やIPアドレスを取り出し、クライアント操作端末であるスマートフォンに通知し、これによりネットワーク機器であるカメラが特定され、接続可能となる。
【0054】
カメラに対して、スマートフォンから、ホスト名、ポート番号、カメラアクセス用のユーザー名、パスワードを通知し、カメラ側がこれを照合し、適切な場合には、接続要求応答を認証して、通信を開始する。
【符号の説明】
【0055】
1 クラインアント操作端末
2 撮像装置
3 QRコード
4 ダイナミックDNSサーバ
5 データベース
図1
図2
図3
図4
図5