【文献】
JOSI REYES-DE-CORCUERA ET AL,Enzyme-electropolymer-based amperometric biosensors: an innovative platform for time-temperature integrators,OURNAL OF AGRICULTURAL AND FOOD CHEMISTRY,2005年11月 1日,53/23,8866-8873
【文献】
Soya Gamsey ET AL,Continuous Glucose Detection Using Boronic Acid-Substituted Viologens in Fluorescent Hydrogels: Linker Effects and Extension to Fiber Optics,Langmuir,2006年 9月15日,22/21,9067-9074
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明および実施例において、開示する本発明のいくつかの例示的な実施形態を詳細に説明する。本発明の範囲に包含される本発明の多くの変形形態および改変形態が存在することを、当業者は理解されよう。したがって、特定の例示的な実施形態の記載は、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではない。
【0022】
本明細書では、検体濃度を測定することができる検体センサを較正する方法を開示する。この較正法は、蛍光ベースのシステム、寿命化学(lifetime chemistry)ベースのシステム、電気化学システム、および当技術分野で知られている他のシステムなど、検体濃度を測定するために構成された様々なシステムで使用することができる。様々な実施形態において、この較正は、存在する検体量を決定するためのセンサを用いて使用することができ、または別の方法もしくは計器によって決定される存在量を用いて使用することができ、いくつかの実施形態では、コンピュータ画面上に検体濃度を表示するため、または計器画面上に検体濃度を表示するため、または紙もしくはコンピュータ可読媒体に検体濃度を記録するため、または別のデバイスに濃度を伝送するため、または送達すべき薬剤の量を決定し、その薬剤を患者に送達するために使用することができる。いくつかの実施形態では、グルコースセンサを較正するための較正法が使用され、このグルコースセンサは、グルコース送達デバイスと関連して使用されて、患者の血中グルコースレベルに対する厳密な血糖コントロールを達成する。いくつかの好ましい実施形態では、この較正法を使用して、較正されるセンサによって行われる読取りを、別の方法、技法、または充分に線形であるセンサもしくは線形化可能なセンサによって行われた読取りと関係付け、ある範囲の対象の検体濃度にわたって許容できる一致を与えることができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法を使用して光学センサを較正することができ、ここで、感光性化合物は、結合部分構造に結合した検体量の変化に応答して、放出、吸収、または反射されるスペクトルまたは光の強度を、再現性および可逆性を伴って改変する検体結合部分構造を有するか、または結合するか、または機能的に相互作用しているかである。いくつかの実施形態では、入射光がセンサと相互作用した後に、放出する光の量を増減することができ、または異なる波長を検出することができ、これは例えば、米国特許第5,137,833号、第5,512,246号、第5,503,770号、第6,304,766号、第6,766,183号、および第6,804,544号、ならびに米国特許出願第11/671,880号、第12/027,158号、第11/671,880号、第12/027,158号、第12/172,059号、第12/118,401号、および第11/782,553号に記載されており、それらの全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0024】
いくつかの実施形態では、ボロン酸、または亜ヒ酸、またはゲルマニウム酸を含み得る官能化色素を使用することができる。いくつかの実施形態では、蛍光色素を、アミン窒素消光官能性および誘導化されたボロン酸、ゲルマニウム酸、または亜ヒ酸と単一の錯体に組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、誘導化されたボロン酸、ゲルマニウム酸、または亜ヒ酸は、対象の検体と結合することができる。特定の対象検体は、複数のヒドロキシル基、特にビシナルヒドロキシル基を有するものを含むことができ、単糖(例えばグルコース)など炭水化物でよい。ボロン酸、ゲルマニウム酸、または亜ヒ酸の好ましい誘導体として、対象の検体にもよるが、検体に結合することができるものが挙げられ、ビシナルヒドロキシル基を有する検体に関しては、アリール基、より好ましくはフェニル基を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、検体濃度の増加させることで、センサに関連付けられた受信機によって検出することができる特定の波長の光の量を増加させることができる。いくつかの実施形態では、検体濃度の増加により、センサに関連付けられた受信機によって検出することができる特定の波長の光の量を減少させることができる。いくつかの実施形態では、検体濃度の増加により、センサに関連付けられた受信機によって検出することができるある波長の光の量を増加させ、センサに関連付けられた受信機によって検出することができる別の波長の光の量を減少させることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載される方法は、センサが露出されている検体濃度の変化に対して蛍光応答を生成する蛍光ベースの検体センサに適用することができる。適切な検体センサとして、センサの少なくとも一部分にポリマー外面を有する検体センサが挙げられる。外面の一部として利用することができるポリマー材料として、疎水性ポリマー、例えばポリオレフィン(例えばポリエチレンおよびポリプロピレン)、ポリカーボネート、ポリスルホン、およびフルオロカーボンが挙げられる。センサは、センサによって利用される感知化学/技法に適した様々な様式で構成することができる。センサが曝される検体濃度に対して蛍光応答を生成するセンサなど、光学センサの一実施形態では、光学センサは、センサアセンブリの一部分で多孔性ポリマー外面を有することができる。そのようなセンサは、例えば、Markleらの米国特許出願第12/026,396号に記載されており、その全体を参照によって本明細書に組み込まれる。
【0027】
いくつかの実施形態では、センサは、センサの検体感受性材料または他の成分を固定する不溶性ポリマーマトリックスを含むことができ、このマトリックスは、対象の検体に対して充分な透過性を有する。適切なポリマーマトリックス材料として、アクリルポリマーに関係する材料が挙げられる。いくつかの実施形態では、フルオロフォアおよび/またはバインダ/消光剤をポリマーマトリックスに組み込むことができる。
【0028】
(検体センサ−構成)
図1は、多孔膜シース14内に配設された遠位端12を有する光ファイバ10を備える例示的なセンサ2を示す。光ファイバ10は、光ファイバ壁に穴6Aなどのキャビティを有し、キャビティは、例えば穴開けまたは切削など機械的な手段によって形成することができる。光ファイバ10の穴6Aは、ポリマーなど適切な化合物で充填することができる。いくつかの実施形態では、ポリマーはヒドロゲル8である。
図2に示されるセンサ2の他の実施形態では、光ファイバ10は穴6Aを有さず、その代わり、ヒドロゲル8が、光ファイバ10の遠位端12の遠位側で、ミラー23の近位の空間内に配設される。いくつかの実施形態では、センサ2はグルコースセンサである。いくつかの実施形態では、グルコースセンサは血管内グルコースセンサである。
【0029】
いくつかの実施形態では、多孔膜シース14は、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、またはポリプロピレンなどのポリマー材料から形成することができる。また、ゼオライト、セラミック、金属、またはこれらの材料の組合せなど他の材料を、多孔膜シース14を形成するために使用することもできる。いくつかの実施形態では、多孔膜シース14はナノポーラスでよい。他の実施形態では、多孔膜シース14はマイクロポーラスでよい。さらに他の実施形態では、多孔膜シース14はメソポーラスでよい。
【0030】
図2に示されるようないくつかの実施形態では、多孔膜シース14は、コネクタ16によって光ファイバ10に装着される。例えば、
図2に示されるように、コネクタ16は、光ファイバ10に圧縮力を加えることによって多孔膜シース14を定位置に保持する弾性カラーでよい。他の実施形態では、コネクタ16は接着剤または熱溶接である。
【0031】
図1に示されるようないくつかの実施形態では、ミラー23とサーミスタ25を、光ファイバ10の遠位端12の遠位側で多孔膜シース14の内部に配置することができる。サーミスタリード線27は、光ファイバ10と多孔膜シース14の間の空間内に延びるようにすることができる。サーミスタ25が示されているが、例えば熱電対、圧力変換器、酸素センサ、二酸化炭素センサ、またはpHセンサなど他のデバイスを代わりに使用することもできる。
【0032】
図2に示されるようないくつかの実施形態では、多孔膜シース14の遠位端18が開放しており、例えば接着剤20で封止することができる。いくつかの実施形態では、接着剤20は重合性材料を含むことができ、この重合性材料は、遠位端18を充填し、重合してプラグとすることができる。あるいは、他の実施形態では、遠位端18でポリマー材料の一部を溶融させ、開口を閉じ、溶融されたポリマー材料を再び固化させることによって、遠位端18を熱溶接することができる。
図1に示されるような他の実施形態では、ポリマープラグ21を遠位端18に挿入し、加熱して、プラグを多孔膜シース14に溶接することができる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、およびポリスルホンなどの熱可塑性ポリマー材料が熱溶接に特に適している。他の実施形態では、多孔膜シース14の遠位端18を光ファイバ10に対して封止することができる。
【0033】
多孔膜シース14が光ファイバ10に装着され、多孔膜シース14の遠位端が封止された後、センサ2に、モノマー、架橋剤、および第1の開始剤を含む第1の溶液を真空充填することができる。多孔膜を通してセンサのキャビティ内に重合性溶液を真空充填することは、Markleらの米国特許第5,618,587号に詳細に記載されており、その全体が該特許への参照により本明細書に組み込まれる。第1の溶液は、光ファイバ10内部のキャビティ6を充填することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1の溶液は水溶液であり、モノマー、架橋剤、および第1の開始剤は水に可溶である。例えば、いくつかの実施形態では、モノマーはアクリルアミドであり、架橋剤はビスアクリルアミドであり、第1の開始剤が過硫酸アンモニウムである。他の実施形態では、モノマーは、ジメチルアクリルアミドまたはN−ヒドロキシメチルアクリルアミドである。モノマーおよび/または架橋剤の濃度を高めることによって、得られるゲルの多孔率を減少させることができる。逆に、モノマーおよび/または架橋剤の濃度を減少させることによって、得られるゲルの多孔率を増加させることができる。他のタイプのモノマーおよび架橋剤も企図される。他の実施形態では、第1の溶液は、さらに、検体濃度に関連する量だけフルオロフォアの蛍光放出を消光する働きをするフルオロフォアおよび検体結合部分構造を含む検体指示薬系を含む。いくつかの実施形態では、フルオロフォアと検体結合部分構造は作動可能に結合するように、フルオロフォアと検体結合部分構造は重合中に固定される。他の実施形態では、フルオロフォアと検体結合部分構造は共有結合する。指示薬系化学物質もまた、ポリマーマトリックスに共有結合することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、センサ2に第1の溶液が充填された後、光ファイバ10と、第1の溶液を充填された多孔膜シース14とキャビティ6とが、第2の開始剤を含む第2の溶液に送られて、第2の溶液に浸漬される。いくつかの実施形態では、第2の溶液は水溶液であり、第2の開始剤はテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)である。いくつかの実施形態では、第2の溶液はさらに、第1の溶液中にあるのと同じ蛍光色素および/または消光剤を実質的に同じ濃度で含む。第1の溶液にも第2の溶液にも蛍光色素および消光剤を含めることによって、第1の溶液から第2の溶液への蛍光色素および消光剤の拡散を減少させることができる。第2の溶液が使用されるいくつかの実施形態では、第2の溶液はさらに、第1の溶液と実質的に同じ濃度でモノマーを含む。これは、第1の溶液と第2の溶液との間のモノマー勾配を減少させることによって、第1の溶液からのモノマーの拡散を減少させる。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1の溶液と第2の溶液の界面で、またはほぼ界面で、第1の開始剤と第2の開始剤が反応し合ってラジカルを発生することができる。いくつかの実施形態では、第1の開始剤と第2の開始剤は、酸化還元反応で反応し合う。他の実施形態では、熱分解、光分解開始、または電離放射線による開始によってラジカルを発生することができる。このような他の実施形態では、ラジカルは、第1の溶液中の任意の場所で発生させることができる。ラジカルは、発生すると、次いで第1の溶液中のモノマーと架橋剤の重合を開始することができる。
【0037】
本明細書で記載されるように、ラジカルが酸化還元反応によって発生されるとき、重合は一般に、第1の溶液と第2の溶液の界面から多孔膜シース14の内部へ進み、さらに光ファイバ10のキャビティに向けて進む。重合の急速な開始が、第1の溶液から第2の溶液に拡散し得る第1の開始剤の量を減少させる助けとなることができる。第1の溶液から拡散する第1の開始剤の量を減少させることは、多孔膜シース14外でのモノマーの重合を減少させる助けとなり、これは、滑らかな外面を形成する助けとなる。モノマーと架橋剤の重合はヒドロゲル8中で生じ、これは、いくつかの実施形態では、指示薬系を固定し、センサ2を形成する。重合法に対するさらなる変形形態は、米国特許出願公開第2008/0187655号に開示されており、その全体が本明細書に該特許への参照により組み込まれる。
【0038】
図3Aを参照すると、いくつかの実施形態では、グルコースセンサ2は、光ファイバの側面に真直ぐに穴開けされた一連の穴6Aを有する中実の光ファイバである。いくつかの実施形態では、穴6Aはヒドロゲル8で充填される。いくつかの実施形態では、グルコースセンサ2に穴開けされた一連の穴6Aは、水平方向で等間隔に配置され、グルコースセンサ2の側面の周りで均等に回転されて、螺旋またはつる巻き構成を形成する。いくつかの実施形態では、一連の穴6Aは、グルコースセンサ2の直径にわたって穴開けされる。
図3Bを参照すると、いくつかの実施形態では、グルコースセンサ2は、ある角度を付けてファイバの側面に穴開けされた一連の穴6Aを有する中実の光ファイバである。いくつかの実施形態では、ヒドロゲル8で充填された、ある角度を付けて穴開けされた一連の穴6Aが、水平方向で等間隔に配置され、グルコースセンサ2の側面の周りで均等に回転する。
図3Cを参照すると、いくつかの実施形態では、光ファイバは、光ファイバの長さに沿った溝6Bを備え、溝6Bにヒドロゲル8が充填される。いくつかの実施形態では、溝6Bの深さは、光ファイバの中心まで延びる。いくつかの実施形態では、溝6Bは、光ファイバの周りで螺旋状に延びる。いくつかの実施形態では、溝6Bは、少なくとも1周するように光ファイバの周りで螺旋状に延びる。いくつかの実施形態では、溝6Bが、光ファイバの周りで数周するように光ファイバの周りで螺旋状に延びる。
【0039】
図3Dを参照すると、いくつかの実施形態では、グルコースセンサ2は、三角形状の楔形6Cがファイバから切り取られた中実の光ファイバである。いくつかの実施形態では、三角形状の楔形領域6Cにヒドロゲル8が充填される。いくつかの実施形態では、三角形状の楔形の切欠き6Cは、水平方向で、グルコースセンサ2の側面の周りに等間隔に配置される。いくつかの実施形態では、グルコースセンサ2内を進むすべての光が、ヒドロゲル8で充填された少なくとも1つの穴6Aまたは溝6Bを通って伝送される。
【0040】
図4に示されるようないくつかの実施形態では、グルコースセンサ2は、遠位端12を有する光ファイバ10と、近位端136および遠位端138を有する非外傷チップ部分134と、光ファイバ10の遠位端12と非外傷チップ部分134の近位端136との間のキャビティ6と、光ファイバ10の遠位端12を非外傷チップ部分134の近位端136に接続するロッド140とを備える。グルコース感知化学物質、例えばフルオロフォアおよび消光剤を含有するヒドロゲル8が、キャビティ6を充填する。ヒドロゲルで充填されたキャビティ6を、選択的透過膜14が覆っており、この膜14は、ヒドロゲル8の内外へのグルコースの通過を可能にする。これらの実施形態はグルコースセンサ2を使用して説明するが、例えば感知化学物質を変更し、かつ必要であれば選択的透過膜14を変更することによって他の検体を測定できるようにセンサ2を改変できることが当業者には理解されるはずである。センサ2の近位部分は、光ファイバ10の近位部分を備える。いくつかの実施形態では、センサ2の遠位部分の直径D1は、センサ2の近位部分の直径D2よりも大きい。例えば、センサ2の遠位部分の直径D1は、約0.0080インチ〜0.020インチの間でよく、センサ2の近位部分の直径D2は、約0.005インチ〜0.015インチの間でよい。いくつかの実施形態では、センサ2の遠位部分の直径D1は約0.012インチであり、センサ2の近位部分の直径D2は約0.010インチである。
【0041】
いくつかの実施形態では、グルコースセンサ2は、熱電対やサーミスタなどの温度センサ25を含む。温度センサ25は、ヒドロゲル8およびグルコース感知化学物質系の温度を測定することができる。温度センサ25は、フルオロフォア系などのグルコース感知化学物質が温度変化によって影響を及ぼされるときに特に重要である。例えば、いくつかの実施形態では、フルオロフォア系によって放出される蛍光強度は、フルオロフォア系の温度に依存する。フルオロフォア系の温度を測定することによって、フルオロフォア蛍光強度の温度誘起変化を考慮することができ、以下でより完全に説明するように、グルコース濃度のより正確な決定を可能にする。
【0042】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、複数のフルオロフォア系に関連付けられる。いくつかの実施形態では、フルオロフォア系は、グルコース受容体部位を有する消光剤を含む。いくつかの実施形態では、グルコース受容体と結合するようなグルコースが存在しないとき、消光剤は、励起光によって色素が励起されるときにフルオロフォア系が光を放出するのを妨げる。いくつかの実施形態では、グルコース受容体と結合するグルコースが存在するとき、消光剤は、励起光によって色素が励起されるときにフルオロフォア系が光を放出できるようにする。
【0043】
いくつかの実施形態では、フルオロフォア系による放出は、溶液(例えば血液)のpHと共に変化し、したがって、異なる励起波長(一方がフルオロフォアの酸性型を励起し、他方がフルオロフォアの塩基型を励起する)が異なる放出信号を生成する。好ましい実施形態では、フルオロフォアの放出信号とフルオロフォアの塩基型に対するフルオロフォアの酸性型からの放出信号の比は、血液のpHレベルに関連がある。グルコースとpHの同時測定は、米国特許出願公開第2008/0188722号(その全体が該特許への参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されている。いくつかの実施形態では、2つの励起光がフルオロフォアの一方の型(酸性型または塩基型)のみを励起することを保証するために、干渉フィルタが採用される。
【0044】
光学感知システム、光源、ハードウェア、フィルタ、および検出システムの変形形態は、全体を該特許への参照により本明細書に組み込む米国特許出願公開第2008/0188725号に記載されている。例えば
図5を参照すると、いくつかの実施形態が、少なくとも2つの光源を備えている。いくつかの実施形態では、光源301A、301Bが励起光を発生し、励起光は、コリメータレンズ302A、302Bを通して伝送される。いくつかの実施形態では、コリメータレンズ302A、302Bから出た光が、干渉フィルタ303A、303Bに伝送される。いくつかの実施形態では、干渉フィルタ303A、303Bから出た光が、集束レンズ304A、304Bによって光ファイバ線305A、305Bに集束される。いくつかの実施形態では、光ファイバ線は、1本のファイバまたはファイバ束でよい。いくつかの実施形態では、光ファイバ線309は、1本のファイバまたはファイバ束でよい。いくつかの実施形態では、光ファイバ線305A、305B、309は、接合部306で束ね合わされ、グルコースセンサ307に接続される。グルコースセンサ307は、ヒドロゲル8を備える。
【0045】
いくつかの実施形態では、放出光および励起光は、ミラー13で反射されて、光ファイバ線309に入る。いくつかの実施形態では、光ファイバ線309は、マイクロ分光計310に接続され、マイクロ分光計310は、グルコース測定システム300における光の全スペクトルを測定する。マイクロ分光計310は、データ処理モジュール311、例えばセンサ制御ユニットおよび/または受信機/ディスプレイユニットに結合させることができる。いくつかの実施形態では、対応する励起光に対する放出光の比は、グルコースの濃度と関連がある。いくつかの実施形態では、第1の励起光によって発生される放出光(例えば酸性型)の、第2の励起光によって発生される放出光(例えば塩基型)に対する比は、試験溶液、例えば血液のpHレベルと関連がある。
【0046】
いくつかの好ましい実施形態では、マイクロ分光計は、Boehringer Ingelheimによって製造されているUV/VISマイクロ分光計モジュールである。任意のマイクロ分光計を使用することができる。あるいは、マイクロ分光計は、Ocean Optic Inc.によって製造されているものなど他の分光計で置き換えることもできる。
【0047】
図5を参照して上述したシステムは、
図6に示されるように2つの干渉フィルタ312A、312Bと2つの検出器313A、313Bを備える感光モジュールを備えることによって拡張することができる。いくつかの実施形態では、放出光の実質的に半分および励起光の実質的に半分が、グルコースセンサから光ファイバ線309に伝送され、放出光および励起光の残りの部分が、グルコースセンサから光ファイバ線309Aに伝送される。干渉フィルタ312Aは、励起光を阻止する一方で放出光が検出器313Aに進むことができるように構成することができ、検出器313Aで放出光が測定される。検出器313Aによって生成された信号は、増幅器314Aによって増幅し、アナログデジタル変換器315Aによってデジタル信号に変換し、データ処理モジュール311に伝送することができる。干渉フィルタ312Bは、放出光を阻止する一方で励起光が検出器313Bに進むことができるように構成することができ、検出器313Bで励起光が測定される。いくつかの実施形態では、検出器313Bによって生成された信号は、増幅器314Bによって増幅し、アナログデジタル変換器315Bによってデジタル信号に変換し、データ処理モジュール311に伝送することができる。いくつかの実施形態では、レシオメトリック計算を採用して、測定される放出光および測定される励起光の強度に影響を及ぼす非グルコース関連因子を実質的になくす、または減少させることができる。いくつかの実施形態では、測定された放出光を、測定された励起光によって除算し、そのような計算により、光の強度に影響を及ぼす非検体(例えば非グルコース)関連因子を実質的になくす、または減少させる。あるいは、例えば
図7に示されるように、二又分岐ファイバ309、309Aを、1本のファイバまたはファイバ束309とビームスプリッタ315で置き換えることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示する方法と共に、異なるセンサ技術、異なる検体応答材料、および/または異なるセンサ構成を使用することができる。本発明の好ましい実施形態と共に使用されるセンサで利用することができる適切な検体応答指示薬は、センサに曝される検体濃度の変化に応答して、放出、透過、反射、または吸収される光の変化を、再現性を持って可逆的に示すものを含む。光の変化は、検出可能な光の増加、検出可能な光の減少、または検出可能な光のスペクトルの変化を含むことができる。いくつかの実施形態では、センサが曝される検体濃度の変化により、検体センサに存在する化学種に結合する(例えば吸着、吸収、化学吸着される)検体量の変化が生じることがある。いくつかの実施形態では、以下に詳述するように、感知技術/メカニズムが、消光剤結合部分構造に作動可能に結合したフルオロフォアに基づく。いくつかのそのような実施形態では、消光剤は、対象の検体に可逆的に結合することができ、そのような可逆的な結合がフルオロフォアの蛍光応答を引き起こす。他の実施形態では、以下に詳述するように、感知メカニズムは寿命化学に基づくことがある。
【0049】
(フルオロフォア/消光剤ベースの検体感知メカニズム)
いくつかの実施形態では、センサは、グルコースまたは他の糖および糖誘導体など、複数のヒドロキシル基を有する化合物に対して測定可能な感度を有する化学種を利用することができる。好ましい実施形態では、センサは、米国特許出願第11/671,880号と第12/027,158号、およびSuriの米国特許第7,417,164号(共にMarkleら)に記載されているように、SNARF−1、SNAFL−1、TSPP、およびHPTS、およびそれらの誘導体、ならびにHPTS−CysMA、HPTS−LysMA、およびそれらから成るポリマーを蛍光化合物として含むセンサ素子を利用することができる。また、好ましい実施形態は、ビオロゲン基、ピリジニウム基、ボロン酸基、ビオロゲン−ボロン酸付加物、ピリジニウム−ボロン酸付加物、およびボロン酸、亜ヒ酸、またはゲルマニウム酸の他の誘導体(ベンジルボロン酸およびベンジルボロン酸の誘導体を含む)を有するバインダ/消光剤を利用することもできる。バインダ/消光剤として適した特定の化合物として、米国特許出願第12/113,876号と第12/172,059号(共にGamseyら)、およびSuriの米国特許第7,417,164号に開示されているように、3,3’−oBBVおよび以下の構造を有する化合物が挙げられ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0054】
いくつかの実施形態では、センサは、カリウム、ナトリウム、リチウム、水素イオン(pH)、酸素、およびCO
2など、ビシナルヒドロキシル基を有するもの以外の検体に対する測定可能な感度を有する化学種を利用することができる。適切な検体感受性材料として、蛍光化合物および消光剤/バインダが挙げられ、例えば、N−(9,アントリル−メチル)モノアザ−18−クラウン−6;4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン)のクマロクリプタンド;4,7,13,16,21−ペンタオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.5]トリコサンのクマロクリプタンド;4,7,13,16,21−ペンタオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.5]トリコサンの存在下での4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサンのクマロクリプタンド;ヒドロキシピレントリスルホン酸;白金テトラ(ペンタフェニルポルフィリン);9,10−ジフェニルアントラセン;ピレン酪酸;およびトリスト(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)ルテニウム(II)過塩化酸塩(これらは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるGrayらの米国特許第5,176,882号に記載されている)、ならびにジアゾ化m−アミノフェニルボロン酸(APB)およびナフトール誘導体;APBおよびダンシルクロリドに由来する蛍光色素(これらは、全体を参照として本明細書に組み込むRussellの米国特許第5,137,833号に記載されている)、ならびに当業者に理解される他の色素、結合部分構造、および消光剤である。
【0055】
(寿命化学)
別の実施形態では、グルコース濃度は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)現象を利用することによって決定することができる。FRETは、ドナーフルオロフォアからアクセプタ分子へのエネルギーの移動である。FRETは、アクセプタ分子によって少なくとも一部吸収される波長で蛍光するドナーフルオロフォアがアクセプタの近傍にあり、それによりドナーフルオロフォアが分子相互作用によってアクセプタにエネルギーを移動することができるときに生じる。フルオロフォアの蛍光寿命(ここで蛍光寿命とは、フルオロフォアが励起状態に留まっている時間である)は、FRETによって変換される。したがって、フルオロフォアの蛍光寿命を測定することにより、フルオロフォアがアクセプタに結合されているか判断することができるようになる。
【0056】
寿命は、励起光の短時間のパルスによってフルオロフォアを励起し、経時的に蛍光強度を測定する時間領域法を使用することによって測定することができる。励起パルスは、ピコ秒範囲の持続時間から最大で約数ナノ秒の持続時間を持つレーザからのパルスでよい。他の実施形態では、パルス持続時間を約数ナノ秒よりも長くすることができる。時間の関数としてのフルオロフォアの蛍光強度は以下の式で与えられる。
【0057】
I(t)=I
0*exp(−t/τ) 式1
【0058】
I(t)は時間(t)での蛍光強度であり、I
0は励起後の初期強度であり、τは、I(t)がI
0/eまで減衰するのにかかる時間と定義される、蛍光寿命である。式1は、蛍光の単一指数減衰と、励起パルスよりも実質的に長い寿命とを有するフルオロフォアに適用可能である。
図8は、励起光のパルス402後の、時間にわたる蛍光放出の減衰400のグラフである。初期強度I
0がI
0/eまで低下するのにかかる時間が、寿命τである。
【0059】
寿命を測定する1つの代替法は、周波数変調された励起光によってフルオロフォアが励起される周波数領域法によるものである。蛍光寿命τは、励起光に対するフルオロフォアからの放出の位相シフトを測定することによって、または変調率を測定することによって、以下の式を使用して求めることができる。
【0060】
τ
φ=ω
−1*tan(φ) 式2
ω=2πf 式3
τ
M=ω
−1*(M
−2−1)
1/2 式4
【0061】
【数1】
τ
φは、位相シフトφを測定することによって決定された寿命である。ωは、周波数変調された励起光の角周波数であり、fは線形周波数である。τ
Mは、変調率Mを測定することによって求められる寿命である。ACは、信号の交流部分の大きさ、または波の振幅であり、DCは、信号のDC部分の振幅である。EMは放出信号を表し、EXは励起信号を表す。
図9は、放出信号500と励起信号502の関係、および式2〜5に表される変数を示すグラフである。
【0062】
センサで使用するのに好ましい結合アッセイ構成は、試薬制限された可逆的な競合的結合アッセイを含み、その成分は、検体類似体と、対象の検体と検体類似体の両方に可逆的に結合することができる検体結合剤とを含む。対象の検体と検体類似体は、検体結合剤の同じ結合部位への結合に関して競合する。そのような競合的結合アッセイ構成は、臨床診断の分野でよく知られており、例えばDavid Wild編「The Immunoassay Handbook」Macmillan Press 1994年に記載されている。アッセイで使用するのに適した検体結合剤は、検体結合部位(例えばFabフラグメント)を保定する抗体または抗体フラグメント、レクチン(例えばコンカナバリンA)、ホルモン受容体、薬物受容体、アプタマー、および分子インプリントポリマーを含む。好ましくは、検体類似体は、センサ外には自由に拡散することができないように、検体よりも高分子量の物質にすべきである。例えば、グルコース用のアッセイは、検体類似体としてデキストランなどの高分子量グルコースポリマーを採用することができる。
【0063】
本発明によるアッセイ読出しとして使用することができる適切な光学信号は、近接アッセイによって生成することができる任意の光学信号を含み、例えば、蛍光共鳴エネルギー移動、蛍光偏光、蛍光消光、リン光技法、ルミネッセンス増強、ルミネッセンス消光、回折またはプラズモン共鳴などによって生成される信号である。
【0064】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明のセンサは、蛍光共鳴エネルギー移動技法を使用して光学読出し値を生成する試薬制限された競合的結合アッセイを組み込む。このアッセイフォーマットでは、検体類似体が第1の発色団で標識され、検体結合剤が第2の発色団で標識される。第1の発色団と第2の発色団の一方がドナー発色団として作用し、他方がアクセプタ発色団として作用する。ドナー発色団の蛍光放出スペクトルがアクセプタ発色団の吸収スペクトルと重なることがこのアッセイの重要な特徴であり、それにより、ドナー発色団とアクセプタ発色団が結合剤によって近くにあるとき、(ドナー発色団によって吸収される波長の入射放射の照射後に)通常はドナー発色団によって放出される蛍光を生成するエネルギーの一部は、隣接するアクセプタ発色団に非放射で移動する。これはFRETとして当技術分野で知られているプロセスであり、その結果、ドナー発色団によって放出される蛍光信号の一部が消光し、いくつかの場合にはアクセプタ発色団が蛍光を放出する。一般に、蛍光共鳴エネルギー移動は、検体類似体を検体結合剤に結合させることによってドナー発色団とアクセプタ発色団が近位に位置されるときにのみ生じる。したがって、検体結合剤への結合に関して検体類似体と競合する検体があるとき、標識された検体類似体が検体結合剤への結合から外されるので、消光の量が減少される(ドナー発色団によって放出される蛍光信号の強度の測定可能な増加、またはアクセプタ発色団によって放出される信号の強度の低下をもたらす)。したがって、ドナー発色団から放出される蛍光信号の強度または寿命は、センサが含浸されている流体中の検体濃度と相関する。
【0065】
蛍光共鳴エネルギー移動アッセイフォーマットのさらなる有利な特徴は、アクセプタ発色団の吸収スペクトル範囲内にある波長での入射放射線のビームによって励起した後にアクセプタ発色団によって放出される任意の蛍光信号が、蛍光共鳴エネルギー移動プロセスによって影響を及ぼされないことによるものである。したがって、アクセプタ発色団によって放出される蛍光信号の強度を、例えばセンサの継続的な較正での内部基準信号として使用することができ、またはセンサが劣化した程度を監視し、それによりセンサを交換する必要性を示すために使用することができる。センサが劣化するにつれて、センサに存在するアクセプタ発色団の量が減少し、したがって、アクセプタ発色団の励起時に検出される蛍光信号の強度も減少する。この信号の許容ベースラインレベル未満への低下が、新たなセンサを埋め込む、または注入する必要性を示す。本発明のセンサで使用するのに適合させることができる蛍光共鳴エネルギー移動技法を使用する競合的結合アッセイは、当技術分野で知られている。米国特許第3,996,345号は、抗体、および蛍光剤−消光剤発色団対の間での蛍光共鳴エネルギー移動を採用する免疫学的アッセイを記載している。MeadowsとSchultz(Anal.Chim.Acta(1993年、第280巻:21〜30頁))は、標識されたグルコース類似体(FITC標識デキストラン)と標識されたグルコース結合剤(ローダミン標識コンカナバリンA)の間での蛍光共鳴エネルギー移動に基づいてグルコースを測定するための均質アッセイ法を記載している。これらの構成すべてにおいて、アクセプタ発色団/消光剤とドナー発色団/消光剤は、結合剤または検体類似体に結合させることができる。
【0066】
蛍光寿命または蛍光強度の測定を行うことができる。LakowitzらがAnalytica Chimica Acta、第271巻、(1993年)、155〜164頁に記載しているように、蛍光寿命は位相変調技法によって測定することができる。
【0067】
図10A、
図10B、および
図10Cに示されるいくつかの好ましい実施形態では、FRETを使用してグルコースを測定するための競合的結合系が、ドナーフルオロフォア602に結合したグルコース結合分子600と、アクセプタ分子606に結合したグルコース類似体604とを含む。グルコース結合分子600は、グルコース608とグルコース類似体604どちらとも結合することができる。
図15Aに示されるように、グルコース類似体604がグルコース結合分子600に結合されているとき、フルオロフォア502がアクセプタ606の近くにあるので、FRET610によって、フルオロフォア602からの蛍光放出500は、大きさを減少され、位相シフトされ、寿命を変えられる。他の実施形態では、フルオロフォア602がグルコース類似体604に結合し、アクセプタ606がグルコース結合分子600に結合する。
【0068】
図15Bに示されるように、グルコース608は、グルコース結合分子600の結合部位に関してグルコース類似体604と競合する。
図15Cに示されるように、グルコース分子608は、グルコース類似体604をグルコース結合分子600から押し退けることができ、それにより、アクセプタ606は、FRET610によってフルオロフォア602の放出寿命500を変えなくなる。
【0069】
特定の濃度のグルコース結合分子、グルコース類似体、およびグルコース分子が存在する系では、結合するグルコース分子の数と結合するグルコース類似体の数との間での平衡が存在し得る。系内のグルコース分子の数の変化が、結合するグルコース分子と結合するグルコース類似体の平衡を変える。これはさらに、フルオロフォア放出の平均寿命を変える。
【0070】
いくつかの好ましい実施形態では、系は、約1MHz未満、約1〜200MHzの間、または約200MHz超の周波数変調された励起光によって励起される。いくつかの実施形態では、周波数は、約0.05、0.1、1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200MHzである。系の位相シフトの程度を測定することによって、系に関する平均FRET誘発位相シフトを決定することができ、これは、上述した式2および式3によって定義した系に関する平均寿命値に対応する。位相シフトと寿命値はどちらもグルコース濃度と相関し得る。位相シフトの大きさは、放出の振幅には依存しない。
【0071】
他の好ましい実施形態では、系がパルスによって励起され、時間にわたって蛍光の減衰が測定される。寿命は、上述した式1を使用して求めることができ、グルコース濃度を寿命値に相関させることができる。
【0072】
好ましい実施形態では、ドナーフルオロフォアを伴うグルコース結合分子と、アクセプタを伴うグルコース類似体とは、上述したヒドロゲル中に実質的に固定させることができ、それにより、ヒドロゲルからのグルコース結合分子およびグルコース類似体の拡散が実質的に減少される。さらに、センサは、上述したドナーフルオロフォアによって吸収される波長で励起光を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、励起光は、レーザまたは発光ダイオード(LED)からの短いパルスとして提供される。他の実施形態では、励起光は周波数変調される。いくつかの実施形態では、周波数変調された励起光はレーザによって提供される。いくつかの実施形態では、周波数変調された励起光はLEDによって提供される。また、センサは、経時的な放出の振幅、および/または放出の位相シフト、および/または放出光と励起光のAC部分とDC部分の振幅を検出する検出器を有する。検出器は、1つの光検出器でも複数の光検出器でもよい。励起光および放出光は、光ファイバによってセンサ全体を通して伝送することができる。
【0073】
(検体センサ−固定化マトリックス)
また、適切なセンサは、検体感受性材料またはセンサの他の構成要素を固定する不溶性ポリマーマトリックスを含むことができ、これは、正確な読取りまたは再現性のある読取りを可能にするのに充分な、対象の検体に対する透過性を有する。好ましい実施形態では、ポリマーマトリックスは、有機ポリマー、無機ポリマー、またはそれらのポリマーの組合せから構成することができる。マトリックスは、生体適合性材料から構成してもよい。あるいは、マトリックスは、対象の検体に対して透過性を有する第2の生体適合性ポリマーで被覆することができる。
【0074】
ポリマーマトリックスの機能は、フルオロフォア部分と消光剤部分とを一体に保持して固定すると同時に、検体との接触および検体とボロン酸の結合を可能にすることである。この効果を実現するために、マトリックスは、媒体中で不溶性でなければならず、かつ、マトリックスと検体溶液との間の大きい表面積の界面を確立することによって媒体と密接に関連しなければならない。例えば、超薄フィルムまたはマイクロポーラスサポートマトリックスが使用される。あるいは、マトリックスは検体溶液中で膨潤性であり、例えば水系に関してはヒドロゲルマトリックスが使用される。いくつかの例では、感知ポリマーは、光導管の表面などの表面に結合されるか、またはマイクロポーラス膜内に含浸される。いずれにせよ、マトリックスは、2つの相間で平衡を確立することができるように、結合部位への検体の移動を干渉してはならない。超薄フィルム、マイクロポーラスポリマー、マイクロポーラスゾルゲル、およびヒドロゲルを調製するための技法は、当技術分野で確立されている。すべての有用なマトリックスは検体透過性がある、と定義される。
【0075】
ヒドロゲルポリマーが、いくつかの実施形態で使用される。本明細書で使用するとき、用語「ヒドロゲル」は、実質的に膨潤するが、水に溶解しないポリマーを表す。そのようなヒドロゲルは、可溶性または浸出性画分を含有しないという条件で、直鎖ポリマー、分岐ポリマー、もしくはネットワークポリマー、または高分子電解質錯体でよい。典型的には、架橋ステップによってヒドロゲルネットワークが調製され、この架橋ステップは、膨潤するが水性媒体に溶解しないように水溶性ポリマーに対して行われる。あるいは、水膨潤性ネットワークポリマーを得るために、親水性モノマーと架橋モノマーの混合物を共重合することによってヒドロゲルポリマーが調製される。そのようなポリマーは、付加重合もしくは縮合重合によって、または複合プロセスによって生成される。これらの場合には、感知部分構造は、ネットワーク形成モノマーと組み合わせてモノマー誘導体を使用して、共重合によってポリマーに組み込まれる。あるいは、後重合反応を使用して、既に調製されたマトリックスに反応性部分構造が結合される。前記感知部分構造は、ポリマー鎖、または鎖に取り付けられたペンダント基の単位である。
【0076】
また、本発明で有用なヒドロゲルは、モノリシックポリマーであり、例えば、色素と消光剤が共に共有結合した単一のネットワーク、または多成分ヒドロゲルである。多成分ヒドロゲルは、水膨潤性複合物質を得るために、相互貫入ネットワーク、高分子電解質錯体、および2種以上のポリマーの様々な他のブレンドを含み、この複合物質は、ヒドロゲルマトリックスおよび交互ミクロ層アセンブリ中での第2のポリマーの拡散を含む。
【0077】
モノリシックヒドロゲルは、典型的には、親水性モノマーと、イオンモノマーと、架橋剤との混合物のフリーラジカル共重合によって生成される。親水性モノマーは、限定はしないが、HEMA、PEGMA、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミドなどを含み、イオンモノマーは、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ナトリウムスルホプロピルメタクリレートなどを含み、架橋剤は、エチレンジメタクルレート、PEGDMA、トリメチロールプロパントリアクリレートなどを含む。モノマーの比は、当技術分野でよく確立された原理を使用して、透過率、膨潤指数、およびゲル強度を含めたネットワーク特性を最適にするように選択される。一実施形態では、色素部分構造は、8−アセトキシピレン−1,3,6−N,N’,N’’−トリス(メタクリルアミドプロピルスルホンアミド)のような、色素分子のエチレン性不飽和誘導体から誘導され、消光剤部分構造は、ジハロゲン化4−N−(ベンジル−3−ボロン酸)−4’−N’−(ベンジル−4−エテニル)−ジピリジニウム(m−SBBV)のような、エチレン性不飽和ビオロゲンから誘導され、マトリックスは、HEMAおよびPEGDMAから形成される。色素の濃度は、放出強度を最適にするように選択される。消光剤の色素に対する比は、所望の測定可能な信号を生成するのに充分な消光を提供するように調節される。
【0078】
いくつかの実施形態では、モノリシックヒドロゲルは縮重合によって生成される。例えば、アセトキシピレントリスルホニルクロリドを過剰のPEGジアミンと反応させて、未反応ジアミン中に溶解したトリス−(アミノPEG)付加物を得る。過剰のトリメソイルクロリドと酸性アクセプタとの溶液を、ジハロゲン化4−N−(ベンジル−3−ボロン酸)−4’−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビピリジニウムと反応させて、ビオロゲンの酸クロリド官能性エステルを得る。これら2つの反応混合物を、例えば一方の混合物の薄膜をキャスト法で形成してそれを他方に浸漬することによって互いに接触させ、反応させてヒドロゲルを生成する。
【0079】
他の実施形態では、色素が1つの成分に組み込まれ、消光剤が別の成分に組み込まれた多成分ヒドロゲルが、本発明のセンサを形成するのに好ましい。さらに、成分間の相互作用を向上させ、他のポリヒドロキシ検体よりも優れたグルコースに対する選択性を与えるために、これらの系は任意選択で分子インプリントされる。好ましくは、多成分系は、相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)または半相互貫入ポリマーネットワーク(semi−IPN)である。
【0080】
IPNポリマーは、典型的には逐次重合によって生成される。まず、消光剤を含むネットワークを生成する。次いで、そのネットワークを、色素モノマーを含むモノマーの混合物と共に膨潤させ、第2の重合を行ってIPNヒドロゲルを得る。
【0081】
semi−IPNヒドロゲルは、消光剤モノマーを含むモノマーの混合物中に、色素部分を含有する可溶性モノマーを溶解させることによって、フルオロフォアとの錯体形成によって生成される。いくつかの実施形態では、感知部分構造は、ポリヒドロキシル化合物が自由に透過できる不溶性ポリマーマトリックスによって固定される。ヒドロゲル系に関するさらなる詳細は、全体を参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2004/0028612号および第2006/0083688号に開示されている。
【0082】
(センサ較正)
本明細書で開示する検体センサ、特にグルコースセンサは酵素センサに限定されないが、そのようなセンサのグルコース濃度に対する蛍光応答は、酵素反応速度論からのミカエリスメンテン式の修正式によって特徴付けることができることが判明している。この意外な知見は、恐らくこれらのセンサの作用のメカニズムを酵素反応速度論の基本原理に類比させることによって説明することができる。
【0083】
基本的な酵素反応速度論では、酵素Eのある部位に結合して錯体ESを形成する基質Sが存在する。酵素は、化学反応の過程で構造的な変化を起こす。最終的に、酵素への基質の結合によって形成される反応生成物Pが生じる。このタイプの反応シーケンスは、スキームIで記述される(Conners,K.A.「Binding Constants: The Measurement of Molecular Complex Stability」、John Wiley & Sons,Inc.、New York、1987年)。
【0085】
したがって、本明細書で述べる感知技法は酵素ベースではないが、一理論によれば、開示するグルコース感知メカニズムに含まれる分子感知成分は、同様のタイプの反応スキームに適合することができる。特に、
図11は、GluCathセンサでのグルコース結合の形態を示す。本明細書で繰り返し言及されているGluCathセンサは、グルコースセンサの1つの好ましい実施形態を表し、このセンサは、光ファイバセンサの遠位領域に沿って設けられたヒドロゲル中に固定された、3,3’−oBBV消光剤に作動可能に結合されたHPTS−tri−CysMA色素を含む。しかし、GluCathセンサまたはシステムへの言及は、本開示の範囲または特許請求の範囲を何ら限定するものではなく、1つの特定の実施形態を例示するものとみなすべきである。開示されるグルコースセンサまたはシステムの実施形態はすべて、添付の特許請求の範囲によって網羅されるものと意図されており、特定の実施形態への特定の言及、例えばGluCathへの言及によって網羅されるものとは意図されていない。
【0086】
図11は、GluCathセンサでのグルコース結合がスキームIと如何に理論的に類似していることを示している。
図11を参照すると、「酵素」Eとして作用する化学種は、色素/消光剤受容体錯体であり、グルコースが基質Sであり、反応の生成物Pは、遊離した蛍光色素Dである。GluCathシステムでは、遊離した蛍光色素の量の増加が蛍光強度の増加に関連し、これがグルコース濃度に関係する。
【0087】
スキームIによって記述される反応メカニズムに従う系は、一般にミカエリスメンテン反応速度論と呼ばれる理論に適合し、一般にミカエリスメンテン式と呼ばれる式によって記述することができる。スキームIからのミカエリスメンテン式の導出は、Conners K.A.「Binding Constants: The Measurement of Molecular Complex Stability」、John Wiley & Sons,Inc.、New York、1987年において提示されている。
【0088】
擬似定常状態近似(式6.16)を使用して、錯体[ES]は、式(6.17)によって記述することができる。
【0089】
d[ES]/dt=k
1[E][S]−k
−1[ES]−k
2[ES]=0 (6.16)
[ES]=k
1[E][S]/(k
−1+k
2) (6.17)
【0090】
酵素研究および同様の研究は、S
t>>E
tの条件で行われるため、[S]=S
tと設定する。式(6.17)は、酵素に対する質量バランス、E
t=[E]+[ES]と組み合わせて、
[ES]=E
tS
t/(K
m+S
t) (6.18)
となり、ここで、
K
m=(k
−1+k
2)/k
1 (6.19)
である。
【0091】
式(6.18)を、速度の式v=k
2[ES]と組み合わせて、ミカエリスメンテン式(6.20)を得る。
【0092】
v=V
maxS
t/(K
m+S
t) (6.20)
ここで、V
max=k
2E
t
K
mは、ミカエリスメンテン定数として知られている。[S]=K
mのとき、v=V
max/2であり、したがってK
mは、反応速度が最大値の半分である基質濃度と定義される(
図12)。K
mは、酵素と基質の各対ごとに一意であり、したがって特定の系(例えば酵素と基質)の一特性である。また、これは、温度およびpHへの依存性を示すこともある。ミカエリス定数は、基質に対する酵素の親和性の尺度である。
【0093】
本明細書で開示する検体センサ、特に本明細書で開示するグルコースセンサのいくつかの実施形態は、検体濃度の有意な読取りを生成するために適切に使用できるようにする前に、較正を必要とする。較正式が、測定される蛍光強度と推定される検体濃度との間の数学的関係を確立するのに有用である。例えば、グルコースセンサの場合、較正式が決定すると、その式を使用して、測定された蛍光強度からグルコース濃度を推定することができる。本明細書で開示する特定の検体センサの蛍光応答は、ミカエリスエンテン式の修正式によって特徴付けられることが見出されたため、この式は、較正式のための関数形式として役立つことができる。特に、GluCathセンサ化学物質の場合に関して、以下で
図13にグラフで示すグルコース(G)に対する化学物質の蛍光応答(I)を、ミカエリスメンテン式の修正式によって記述することができ、ここで3つのパラメータ(a、b、およびc)が決定される。
【0094】
I=a+b*G/(c+G)
ここで、「a」は、グルコースが存在しないときの蛍光信号強度であり、「b」は、無限グルコースでの漸近強度(からゼロ濃度での信号「a」を引いた値)を決定し、「c」は、強度が漸近値とバックグラウンドの差の半分(すなわちa+b/2)であるグルコース濃度を与える。したがって、「c」パラメータは、前述した酵素反応速度論系でのミカエリスメンテン定数K
mと類似している。
【0095】
上の
図13で、「a」パラメータの値は1であり、これは、グラフに示されるように、グルコースのゼロ濃度での蛍光強度が1であることを意味する。
図13での「b」パラメータの値は3.5であり、したがって、図示されるように、グルコースの無限濃度または非常に高い濃度での漸近強度とバックグラウンドとの和は4.5である。最後に、図示される例での「c」パラメータは65であり、漸近強度からバックグラウンドを引いた値の半分、すなわち2.75での検体、すなわちグルコースの濃度に等しい。
【0096】
グルコース感知化学物質の特定の実施形態に関して、ミカエリスメンテン反応速度論に適合するいくつかの他の化学系と同様に、ミカエリスメンテン定数K
mの値または「c」パラメータは、化学物質の実質的に一定の特性であることに留意すべきである。GluCathセンサの場合、「c」パラメータは、グルコースと受容体−消光剤との結合定数によって決定される。
【0097】
ミカエリスメンテンパラメータの値が与えられる場合、ミカエリスメンテン式を反転させるか、またはグルコース(G)に関して解くことができる。すなわち、
G=c*(I−a)/(a+b−I)
【0098】
GluCathセンサの較正は、ミカエリスメンテンパラメータの値を確立し、上のグルコース式にそれらを挿入することからなる。
【0099】
(応答曲線に適合する他の式)
GluCathセンサを較正する一方法は、本明細書で述べるようにミカエリスメンテン式の使用に基づく。ミカエリスメンテン式はまた、例えば以下に述べるような寿命化学に基づくグルコースセンサなど、他の感知メカニズムに基づくグルコースセンサを較正するのにも有用である。さらに、ミカエリスメンテン式はまた、グルコース以外の検体濃度を測定するために設計されたセンサを較正するのにも有用であることがある。しかし、GluCathシステムの結合曲線、および本明細書で開示する他の検体センサの結合曲線に適合するように、直角双曲線の形状を表す多くの式を使用することができることに留意すべきである。
【0100】
直角双曲線の以下の論述は、Conners K.A.「Binding Constants: The Measurement of Molecular Complex Stability」、John Wiley & Sons,Inc.、New York、1987年の付録Aからのものである。より完全な論述および用語の定義は、元の文献で見ることができる。
【0101】
1:1化学量論に関する結合等温線は、式(A.1)の形式を有する。
【0102】
y=dx/(f+ex) (A.1)
ここで、d、e、fはパラメータである。式(A.2)は、同じ形式のより一般的な表現である。
【0103】
y=(c+dx)/(f+ex) (A.2)
【0104】
式A.1および式A.2は、直角双曲線の式である。
【0105】
式A1のいくつかの経験的な表現は、1:1結合等温線(A.19)、共役酸性型中の弱酸性HAの割合(A.20)、1:1結合の分光光度尺度(A.21)、および酵素反応速度論のミカエリスメンテン式(A.22)である。
【0106】
f
11=(K
11[L])/(1+K
11[L]) (A.19)
F
HA=[H
+]/(K
a+[H
+]) (A.20)
ΔA/b=(k
11S
fΔε[L])/(1+K
11[L]) (A.21)
v=V
m[S]/(K
m+[S]) (A.22)
【0107】
これらの式はすべて、表A.1のように変数を定義することによって、直角双曲線の誘導形(式A.23)に書き換えることができる。
【0108】
Y
r=X
r/(1+X
r) (A.23)
【0110】
GluCath結合メカニズムは、以下の式によって記述することもできる。
【0111】
F=F
min+F
maxK[G]/(1+K[G])
ここで、Fは、グルコース濃度の関数としてのGluCath蛍光強度であり、F
minは、グルコースが存在しない系の蛍光強度であり、F
maxは、系がグルコースで飽和しているときの最大強度であり、Kは、グルコースに対する受容体の結合親和性である。
【0112】
(較正法)
本明細書で開示するのは、検体センサによって測定される蛍光強度を、センサを取り囲む検体濃度に関係付けるために使用されるミカエリスメンテンパラメータの適切な値を決定するための方法である。いくつかのそのような方法では、検体はグルコースであり、グルコースセンサは、より具体的にはGluCathセンサである。いくつかのそのような方法では、ミカエリスメンテンパラメータは、寿命化学に基づく検体センサを参照して決定される。しかし、以下の方法の説明では、グルコースセンサ、またはより具体的にはGluCathセンサについて言及する。それにもかかわらず、開示する方法を使用して、ミカエリスメンテン式またはミカエリスメンテン式の修正式によって特徴付けることができる任意の検体センサを較正できる、ということは理解されるべきである。
【0113】
以下に説明する方法は、グルコースに対するセンサ応答を記述するミカエリスメンテンパラメータの適切な値を確立するために、実験的測定と数値的計算の組合せを含む。多くの化学系と同様に、GluCathセンサ化学物質の応答は、対象の検体に加えて他の化学パラメータの影響も受けやすい。例えば、GluCathセンサは、pHと温度両方の変化の影響を受けやすいことが多く、したがって、センサ応答の実験的決定の際、pHと温度はどちらも、それらの生理学的値(例えば7.4および37℃)で、またはその近くで保つべきである。あるいは、強度応答曲線に対するpHおよび温度の影響が個々に特徴付けられているという条件下では、センサ応答の実験的決定を他の値のpHおよび温度で得ることができる。
【0114】
第1の方法(方法1)では、ミカエリスメンテンパラメータは、既知のグルコース濃度の3つ以上の溶液を使用して、蛍光強度の1組のインビトロ測定値から決定される。方法1は、例えば、正確に決定されたグルコース濃度、例えばそれぞれ0、400、および100mg/dLのグルコースでの3つの無菌較正溶液を使用することができる。また、方法1は、同様に、適切な独立した実験室測定によって決定されたグルコースの3つの他の値を使用することもできる。いくつかのそのような方法では、溶液が、生理学的なpHおよび温度(7.4および37℃)で、またはその近くで保たれることが有利である。センサを試験チャンバに挿入し、3つのグルコース濃度に曝す。蛍光強度をグルコース濃度ごとに記録し、得られたデータを使用して、対応するミカエリスメンテンパラメータを分析的に決定することができる。代替または追加として、対応するミカエリスメンテンパラメータを、最小二乗法を使用して、得られたデータから数値的に決定することができる。
【0115】
1組の3つの事前に確立された、または独立して決定されたグルコース値(G1、G2、G3)および3つの対応する蛍光強度値(I1、I2、I3)に関する分析解を以下に与える。決定することができる最初のパラメータは、「c」パラメータ(c0)である。
【0116】
c
0=[−G
1*G
2*(I
1−I
2)+G
1*G
3*(I
3−I
1)+G
2*G
3*(I
2−I
3)]/[G
1*(I
3−I
2)+G3*(I
2−I
1)+G2*(I
1−I
3)]
【0117】
「c」パラメータの値c
0が決定された後、それを使用して「b」パラメータの値b
0を得ることができる。
【0118】
b
0=(I
1−I
2)/[(G
1/(c
0+G
1)−G
2/(c
0+G
2)]
【0119】
次いで、最後に、「a」パラメータa
0の値を、強度測定値(I
1、I
2、I
3)と、対応するグルコース値(G
1、G
2、G
3)と、c
0およびb
0に関して上で得られた値とから決定することができる。
【0120】
a
0=I
1−(b
0+G
1)/(c
0+G
1)
【0121】
次いで、ミカエリスメンテンパラメータに関する値(a
0、b
0、c
0)を、反転したミカエリスメンテン式に代入することができ、任意の測定された蛍光強度Iに対応するグルコース値Gを得る。
【0122】
G=c
0*(I−a
0)/(a
0+b
0−I)
【0123】
このように、この式は、測定された蛍光強度Iをグルコース値Gに変換する。これは、ミカエリスメンテンパラメータの決定と実験的利用の間で蛍光強度が(所与のグルコース濃度に関して)実質的に変化しないという前提の下で、インビトロ用途でもインビボ用途でも使用することができる。
【0124】
図14は、3つの異なる値での、ミカエリスメンテン応答と、それに対応する蛍光強度および検体濃度の測定との一例を与える。図示される例では、これらの値は、0、100、および400mg/dLである。
【0125】
上述したように、上述した3つの式を分析的に使用するのではなく、1組の測定された蛍光強度と検体濃度の対から、ミカエリスメンテンパラメータの値(a
0、b
0、c
0)を数値的に計算することができる。例えば、いくつかの実施形態では、パラメータは、最小二乗法を使用して数値的に計算される。しかし、原理的には、3つの変数での線形式を1組の点に適合させるのに適した任意の数値的方法を使用して、ミカエリスメンテンパラメータ(a
0、b
0、c
0)に関する適切な値を決定することができる。さらに、数値的方法を採用して、蛍光強度と検体濃度の3つよりも多くの対を含むデータセットに関して、a
0、b
0、およびc
0の最良適合値を計算することができる。例えば、異なる既知の検体濃度の4つの標準溶液に関して蛍光強度が測定される場合、線形最小二乗法など様々な数値的方法を使用して、ミカエリスメンテンパラメータ(a
0、b
0、c
0)の最良適合値を計算することができる。原理的には、実施形態に応じて、使用される標準溶液が多ければ多いほど、より信頼できるパラメータを決定することができる。
【0126】
第2の方法(方法2)では、ミカエリスメンテンパラメータの決定とインビトロまたはインビボ用途でのセンサの使用との間で生じる蛍光強度の変化を補償するために、追加の較正ステップが使用される。方法2では、インビトロまたはインビボ環境への配置後に、センサの蛍光強度の追加測定が行われる。この時点で、同時に、かつ独立して、検体(例えばグルコース)の濃度の測定も行われる。グルコースの場合、検体濃度の独立した測定は、指先穿刺グルコース測定器(point−of−care glucometer)など認可された携帯式デバイスを用いて行うことができ、または血液ガス分析器など実験室基準デバイスを用いて行うことができる。次いで、検体の測定値G
0を、事前に決定されたミカエリスメンテンパラメータ(a
0、b
0、およびc
0)の値と関連付けて使用して、ミカエリスメンテン式に従って、検体の値での予測蛍光強度I
predを与える。すなわち、
I
pred=a
0+b
0*G
0/(c
0+G
0)
【0127】
次いで、予測蛍光強度(I
pred)を、実験的に得られた測定蛍光強度I
measと比較することができる。方法2では、検体の特定の値(G
0)での測定蛍光強度と予測蛍光強度の比から、補正因子C
Fが決定される。すなわち、
C
F=I
meas(G
0)/I
pred(G
0)
【0128】
次いで、補正因子C
Fを使用して、ミカエリスメンテン「a」および「b」パラメータの調節を行うことができ、測定蛍光強度と、検体の値G
0で較正式によって予測された蛍光強度との一致を最適化する。すなわち、
I
meas=I
pred
=C
F*a
0+C
F*b
0*G
0/(c+G
0)
【0129】
方法2は、蛍光強度と検体濃度またはグルコースの実際の値との同時測定に基づいて、元のミカエリスメンテンパラメータ組の値に対する乗法的補正を提供する。これは、「a」および「b」パラメータに関するミカエリスメンテン式の値の新たな組を与える。
【0131】
方法2では、ミカエリスメンテン式の「a」および「b」パラメータのみが変化する。前述したように、消光剤−受容体とグルコースとの結合定数によって主に決定されるミカエリスメンテン「c」パラメータは不変である。最終的な較正式は、以下の式で与えられる。
【0132】
G=c
0*(I−a’)/(a’+b’−I)
ここで、c
0は、ミカエリスメンテン「c」パラメータの元の値であり、a’およびb’は、方法2を使用して上述した1点インビボ調節によって決定された値である。これを以下で
図15に図示し、ここでは、130mg/dLでの測定蛍光強度と予測蛍光強度の差を使用して補正因子C
Fを計算し、そこから、方法2に従って新たな「a」および「b」パラメータの値を得ることができる。
図15に示される例では、補正因子C
Fは1.2であり、a’は1.2であり、b’は4.2である。
【0133】
第3の方法(方法3)も、方法1に関して述べたのと同様に、分析的または数値的に計算されたミカエリスメンテン式パラメータの最初の組から始まる。方法2と同様に、ここでも、ミカエリスメンテンパラメータの決定とインビトロまたはインビボ用途でのセンサの使用との間で生じる蛍光強度の変化を補償するために、追加の較正ステップが必要とされる。方法3でのこのステップは、方法2で使用されるステップとは数学的に異なる。方法2と同様に、インビトロまたはインビボ環境への配置後に、センサの蛍光強度の追加測定が必要とされる。また、この時点で、同時に、かつ独立して、検体(例えばグルコース)の濃度の測定も行わなければならない。方法2と同様に、次いで、予測蛍光強度(I
pred)を、実験的に得られた測定蛍光強度I
measと比較することができる。次いで、検体の測定値G
0を、事前に決定されたミカエリスメンテンパラメータ(a
0、b
0、およびc
0)の値と関連付けて使用して、ミカエリスメンテン式に従って、検体の値での予測蛍光強度I
predを与える。すなわち、
I
pred=a
0+b
0*G
0/(c
0+G
0)
【0134】
しかし、方法3では、検体の特定の値(G0)での測定蛍光強度と予測蛍光強度の差から、加法的補正因子CAが求められる。
【0136】
これは、強度に関する新たな式を与える。
【0137】
I=C
A+I
pred
=C
A+a
0+b
0*G
0/(c
0+G
0)
=a’+b
0*G
0/(c
0+G
0)
ここで、「a」パラメータの新たな値「a’」が、以下の式によって与えられる。
【0139】
以下の
図16は、方法3を使用したミカエリスメンテン式の補正と、それに関連付けられた加法的補正とを示す。図示される例では、測定されたバックグラウンド蛍光が50%増加しているが、ミカエリスメンテン「b」および「c」パラメータは影響を及ぼされていない。方法3では、バックグラウンド蛍光の変化を反映するように較正曲線を修正するために1点インビボ調節を使用している。
【0140】
一実施形態では、0、100、および400mg/dLなど指定の値での充填済みの無菌較正溶液を使用して、方法1、2、または3によってミカエリスメンテン式パラメータの値を与えることができる。この較正は、原理的には、静脈または動脈へのセンサの挿入の直前に患者の臨床で行うことができる。較正溶液は、7.4など相応の生理学的pHレベルで生成することができる。温度制御フィードバックループを使用して、較正処置の期間にわたって、相応の安定な生理学的温度で較正溶液を維持することができる。
【0141】
第4の方法(方法4)では、ミカエリスメンテン式パラメータの初期値は、患者の臨床で臨床医によってなど、エンドユーザまたは消費者によって決定される代わりに、例えば製造中または梱包前に工場の研究室で製造業者または販売業者によって決定される。この場合、ミカエリスメンテンパラメータは、多点インサイチュ較正から決定することができ、この較正でもやはり、pHと温度の両方が注意深く制御される。したがって、ミカエリスメンテンパラメータ値の初期決定は、工場較正とみなすことができる。いくつかの実施形態では、工場較正において、既知の検体濃度の標準較正溶液を4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、またはそれよりも多く使用することができ、ミカエリスメンテンパラメータは数値的方法によって決定することができる。他の実施形態では、3つの標準較正溶液を採用する工場較正で充分なこともある。
【0142】
較正は、0〜360分の較正時間にわたって、10〜60℃で、0〜600mg/dLのグルコース濃度の較正溶液を使用して行うことができる。より好ましくは、較正溶液は、10〜360分の較正時間にわたって、30〜50℃で、0〜400gm/dLのグルコース濃度を有する。1つの好ましい実施形態では、較正は、90分間、42℃で、100mg/dL較正溶液に化学指示薬系を曝露し、その後、120分間、33℃で、100mg/dL較正溶液に化学指示薬系を曝露することを含む。他の実施形態では、較正は、異なる検体濃度および/または温度および/または曝露時間で、異なる較正溶液を含む複数のサイクルを含む。以下の
図17は、グルコースに対するGluCthセンサ応答の典型的な実験室特性からの仮説データセットを示す。例えば6時間にわたって、GluCathセンサを使用して6つの異なるグルコースレベル(50、100、150、200、300、および400mg/dL)で一連の蛍光強度測定を行った。時間、測定された蛍光強度、および独立して決定されたグルコース濃度を表2に示す。他の実施形態では、一連の蛍光強度測定を、より短い期間、例えば10〜30分にわたって行う。
【0144】
上の表2に示されるデータを使用して、工場較正での第1のステップに必要なミカエリスメンテンパラメータの値を決定することができる。これにより、以下のパラメータを有する工場較正からの初期較正式が得られる。
【0145】
G=c
FC*(I−a
FC)/(a
FC+b
FC−I)
ここで、a
FCは、ミカエリスメンテン「a」パラメータの工場較正値であり、b
FCは、ミカエリスメンテン「b」パラメータの工場較正値であり、c
FCは、ミカエリスメンテン「c」パラメータの工場較正値である。ここで示される例では、工場較正からのパラメータの値は以下のようなものである。
【0146】
a
FC=0.24
b
FC=0.4
c
FC=81.0
【0147】
方法4では、ここで、初期ミカエリスメンテンパラメータ値を与える工場較正を、上述した乗法的方法(方法2)と組み合わせる。この較正は、本質的には、測定蛍光強度と予測蛍光強度とを互いに一致させるために、補正因子C
Fを使用した1点インビボ調節または乗法的方法(方法2)を伴う工場較正である。ミカエリスメンテン式パラメータの最終的な組が得られ、そこから、前述したように、測定蛍光強度をグルコース値に変換する較正式が得られる。
【0148】
G=c
FC*(I−a
FC’)/(a
FC’+b
FC’−I)
ここで、ミカエリスメンテン「c
FC」パラメータを、完全に工場較正によって決定し(例えばc
FC=81.0)、ミカエリスメンテンのa
FC’およびb
FC’パラメータを、元の工場較正パラメータに適用した1点インビボ調節によって決定した。
【0149】
方法5では、上の方法4と同じ工場較正処置を使用するが、(上の方法3で説明した)加法的補正因子C
Aを使用した1点インビボ調節が、ミカエリスメンテン「a」パラメータのみを変える。測定蛍光強度の関数としてグルコースを与える、結果として得られる較正式は、以下のものである。
【0150】
G=c
FC*(I−a
FC’)/(a
FC’+b
FC−I)
ここで、ミカエリスメンテンb
FCおよびc
FCパラメータの値を、完全に工場較正によって決定し(例えばb
FC=0.40およびc
FC=81.0)、ミカエリスメンテンのa
FC’パラメータのみを、元の工場較正パラメータに適用した1点インビボ調節によって変えた。
【0151】
方法6では、同じ手順を使用して工場較正パラメータを得るが、1点調節を2回適用する。すなわち、1回目は、例えば患者の臨床で、無菌の事前充填された較正溶液中でインビトロで行い、2回目は、患者の血中グルコースの独立した測定によってインビボで行う。インビトロ調節とインビボ調節どちらにおいても、パラメータの変化は、補正因子または(上の方法2で説明した)乗法的方法を使用してa
FCとb
FCの両方に適用する。
【0152】
方法7では、方法6と同じ手順を、インビトロ1点調節とインビボ1点調節の両方と共に使用するが、加法的補正因子または(上の方法3で説明した)加法的方法を使用してa
FCのみに変化を加える。
【0153】
方法8は、ミカエリスメンテン「c」パラメータ(c
FC)の決定のため、およびミカエリスメンテン「a」および「b」パラメータ(a
FCおよびb
FC)の初期決定のために工場較正を使用するが、患者で測定された2つの異なるグルコースレベル(G1とG2)での2点インビボ較正も使用する点で、上述した方法とわずかに異なる。「c」パラメータの値が工場較正処置で決定されるので(c
FC)、それを使用して、グルコース値G
1とG
2および蛍光強度値I
1とI
2を用いた2点インビボ較正測定を使用して、「b」パラメータの値(b
0)を見出すことができる。
【0154】
b
0=(I
1−I
2)/[(G
1/(c
FC+G
1)−G
2/(c
FC+G
2)]
【0155】
次いで、最後に、「a」パラメータの値a
0を、強度測定値(I
1、I
2)の一方と、対応するグルコース値(G
1、G
2)の一方と、c
FCおよびb
0に関して上で得られた値とから決定することができる。
【0156】
a
0=I
1−(b
0+G
1)/(c
FC+G
1)
【0157】
先と同様に、ここから、反転したミカエリスメンテン式に基づく較正式が得られ、この式は、GluCathセンサシステムの測定強度の関数としてグルコースを与える。
【0158】
G=c
FC*(I−a
0)/(a
0+b
0−I)
【0159】
要約すると、上述した方法はすべて、何らかの方法で導出されるミカエリスメンテン式パラメータの値を提供して、較正式を生成する。これらの方法は、実験室内でのインビトロ実験で、臨床前に適切な動物モデルでのインビボ実験で、および臨床でタイプ1糖尿病のヒトボランティア被験者でのインビボ研究で試験されている。以下の
図18は、上述した較正法を使用したタイプ1糖尿病被験者でのヒト臨床研究からのGluCathセンサと、ABLラジオメータ血液ガス分析器を用いて行った静脈試料グルコース測定との高レベルの一致を示す。ここで使用した較正方法は、方法5、すなわち加法的補正因子CAを使用した1点インビボ調節と同じ工場較正処置であった。
【0160】
最後に、いくつかの実施形態では、製造された1つのセンサに関して決定されたミカエリスメンテンパラメータを、製造された別のセンサで正常に使用することができ、充分に正確な結果を与えることに留意されたい。例えば、2つのセンサが同様に設計され、および/または同様に製造され、および/または同じ仕様で製造される場合、2つのセンサの個別の較正が、ミカエリスメンテンパラメータに関してほぼ同一(または非常に似た)値を生み出すことができる。したがって、両方のセンサのために1組のミカエリスメンテンパラメータを採用することが効率良く、費用対効果が高く、かつ充分に正確となり得る。あるいは、選択されたいくつかのセンサを較正し、得られた値の平均を求めて、そのバッチに対する1組のミカエリスメンテンパラメータを得ることによって、センサの製造バッチ全体に関する1組のミカエリスメンテンパラメータを決定してもよい。
【0161】
(検体監視システムへの実装)
いくつかの実施形態では、検体センサを、検体モニタに機能的に接続させることができる。様々な実施形態において、検体モニタは、蛍光読取り値を検体測定値に変換すること、検体読取り値を表示すること、検体読取り値を伝送すること、検体読取り値を記憶すること、検体読取り値を比較すること、またはこれらの機能の何らかの組合せを行うことができる。キーボードまたはデータ入力サブシステムをモニタに機能的に取り付ける、またはモニタに組み込むことができる。様々なパーツは、ワイヤ、ケーブル、および/またはワイヤレス接続によって相互接続することができ、電気的技法、光学的技法、無線信号技法、または他の適切な技法を含んでよい。
【0162】
モニタは、ミカエリスメンテンパラメータ(a、bおよびc)および補正因子C
AとC
Fを含めた、1つまたは複数の較正パラメータ値を利用することができる。いくつかの実施形態では、ユーザが、または他者が、例えば1つまたは複数の値をメモリに記憶することによって、較正パラメータの値をモニタに予めロードすることができる。いくつかの実施形態では、モニタに機能的に接続された検体センサを用いて、または異なるモニタもしくは読取りデバイスに接続された検体センサを用いて、較正処置後に1つまたは複数の較正パラメータ値を入力することができる。いくつかの実施形態では、異なるモニタまたは読取りデバイスが較正のために使用されるとき、較正中に、較正に関する情報を、モニタと、検体センサに機能的に接続された異なるモニタまたは読取りデバイスとの間で直接または間接的に通信することができる。いくつかの実施形態では、モニタは、異なるデバイスを用いて、または異なる技法によって決定された検体濃度の測定に関する情報を受信し、較正中にその情報を使用することができる。いくつかの例では、例えばキーボードまたはタッチスクリーンによって手入力で、または他の人為的方法によってモニタに情報を送信することができ、あるいは検体濃度を決定する個々のデバイスと直接または間接的に通信することによって情報を送信することができ、あるいは、情報記憶媒体から値を読み取ることによって、例えば書き込み情報または印刷情報の走査、バーコードの走査、ディスク、ストリップ、RAM、フラッシュドライブなどを含めた磁気記憶媒体、光記憶媒体、またはコンピュータ記憶媒体の読取りなどによって情報を送信することができる。
【0163】
いくつかの実施形態では、較正は、購入または調製した標準物質を用いて行うことができ、そのような規格には、既知の検体濃度を有するもの、または検体レベルに相関可能な検体センサによる応答を引き起こすものが含まれる。いくつかの実施形態では、購入または調製した標準物質は、例えばタグ、ラベル、同封物などに記録された情報を含むことができ、この情報が、モニタ、またはモニタに機能的に接続されたデバイスによって読み取られる。
【0164】
いくつかの実施形態では、モニタは、メモリに記憶された複数組の較正値を有することができる。異なる値を、異なるセンサ、異なるクラスのセンサ、異なるタイプのセンサ、および異なるタイプのディスプレイに関連付けることができ、さらに、特定の銘柄の分析器との相関または特定の方法によって行われる分析に対する相関など異なるタイプの検体読取り相関に関連付けることができる。異なる較正値間の移行は、スイッチ、ソフトスイッチ、ジャンパ、セキュアコネクタ、または他の適当な技法によって行うことができる。セキュリティプロトコルおよび/またはアクセス制限技法を利用して、過誤による較正値の変更または認可変更を防止することができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、モニタは、例えば1つの検体決定用の1つのセンサに関する専用モニタでよい。いくつかの実施形態では、モニタは、他の患者監視および/またはデータ記憶機能を含む多目的デバイスでよく、あるいは、検体監視機能を、他の条件を監視するために使用される患者監視システムに組み込むことができる。
【0166】
いくつかの実施形態では、モニタは、蛍光検体測定と共に使用するのに適したコンピュータまたはマイクロプロセッサを含むことができ、それらは、検体レベルの決定の一部としてミカエリスメンテン修正式におけるような3パラメータ検体レベル決定を利用することができる、またはさらに、上述したように検体レベルを決定するために補正因子を利用することができるソフトウェアまたはファームウェアを備える。いくつかの実施形態では、これらのパラメータの値を決定することができるモニタを利用することができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、追加のモニタ、遠隔ディスプレイを含めたディスプレイ、テレビジョン、データ入力位置、コンピュータ、PDA、電話、監視局、医局、病院など、他のデバイスを含むネットワークに監視システムを組み込むことができる。ネットワーク構築は、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、セキュアネットワーク、プライベートネットワークなどを介するものでよい。
【0168】
(特定のタイプの検体センサとの使用)
いくつかの実施形態では、本明細書で説明する較正技法および方法は、蛍光ベースの検体センサと共に利用することができ、そのようなセンサは、上述したように、例えば、アミンおよびボロン酸、亜ヒ酸、またはゲルマニウム酸の誘導体(それらの塩の誘導体を含む)に機能的に接続されたフルオロフォアを含む化学指示薬系を有するもの、およびボロン酸、亜ヒ酸、またはゲルマニウム酸の誘導体(それらの塩の誘導体を含む)に機能的に接続されたフルオロフォアを有するものである。特定の実施形態では、蛍光ベースの検体センサは、第2の検体濃度に応じて少なくとも2つの異なる型で存在するフルオロフォアを含む化学指示薬系を有することができ、例えばフルオロフォアのこれら2つの異なる型は異なる波長で蛍光する。また、センサの化学指示薬系は、第1の検体に結合する結合部分構造を含むことができ、結合部分構造は、フルオロフォアに作動可能に結合することができ、第1の検体濃度に関係付けられたフルオロフォアの見掛けの濃度の光学的な変化を引き起こす。フルオロフォアは、蛍光色素でよく、独立した化合物である蛍光色素でも、より大きな分子の一部である蛍光色素でもよい。化学指示薬系のフルオロフォアとして使用することができる例示的な材料には、HPTS−CysMAおよびHPTS−LysMAが含まれる。一実施形態では、結合部分構造は消光剤を含み、消光剤は、第1の検体に可逆に結合することができる結合領域で、蛍光色素からの蛍光を変化させる、またはなくすことができる。化学指示薬系の検体結合部分構造として使用することができる例示的な材料には、ビオロゲン、ベンジルボロン酸基を含む化合物、およびビオロゲン−ボロン酸付加物を含む化合物が含まれる。別の実施形態では、結合部分構造は、3,3’−oBBVおよびその誘導体を含む。いくつかの実施形態は、血液を含む流体中のグルコースレベルを測定することができる蛍光ベースのセンサを含む。適切なセンサとして、本願と同時係属の米国特許出願第11/671,880号、第12/027,158号、および第12/612,602号に記載されているものが挙げられ、これらの各特許文献全体を参照によって本明細書に組み込む。
【0169】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明する較正技法および方法は、上述したように寿命化学に基づく検体センサと共に利用することができる。
【0170】
(較正精度)
いくつかの実施形態では、較正の目的は、検体レベルに対して信号読取りを線形化することでよく、「正しい」または他の検体と一致すると考えられる検体測定値を得ることにはあまり重点が置かれない。経時的な相対値が対象となっている状況を含めた様々な状況において、ならびに他の理由でも、線形化は単独で役立つことができる。
【0171】
いくつかの実施形態では、較正の目的は、検体濃度の実際の値を求めること、または別のセンサ、方法、または計器によって取られた測定値と一致する検体レベル測定値を得ることであってよい。いくつかの好ましい実施形態では、較正の目的は、読取り値を線形化すること、すなわち、存在する検体または存在すると判断された検体の濃度に対してプロットしたときに直線をより良く近似する形態に読取り値を変換することでよく、および、それらを、また線形化することができる他の計器または技法からの読取り値と関係付けることでよい。いくつかの好ましい実施形態では、読取り値は、特定の範囲にわたって線形化されることができ、または線形化可能である。異なるセンサ、方法、または計器によって得られた測定値(または測定値と、正しいものとして受け入れられた数値と)の間の一致を評価する一方法は、読取り値(または読取り値と数値と)の間のパーセンテージ差を決定することであり、これは、2つの読取り値(または読取り値と数値と)の差をそれらの平均で割った値である。
【0172】
いくつかの実施形態では、一致または精度は、特定の範囲内の読取り値で、その範囲外の読取り値よりも望ましい。生理学的パラメータに関して、読取り値に関する所望の範囲は、そのパラメータに関する正常の読取り値付近の範囲とすることができるが、「正常」の値は、個々に、状況によって、また時間と共に、若干異なる傾向がある。検体センサに関する較正は非常に広い範囲にわたって行うことができるが、較正は、より限られた範囲にわたって行うこともでき、例えば、正常値または目標値の約5%、10%、25%、50%、100%、200%、400%、または約600%の範囲内の標準較正溶液を選択することによって行うこともできる。
【0173】
(血糖コントロール−Van Den Bergheの研究)
数日から数週間にわたって集中治療室(本明細書では以後ICUとも表す)で様々な主な外傷または疾患に関して治療を受けている患者において、特定のタイプの多発性神経障害が生じる。「重症疾患多発性神経障害」(本明細書では以後CIPNPとも呼ぶ)として知られているこの多発性神経障害は、全身性炎症反応症候群(SIRS)を有する患者の約70%で発症する(Zochodne D Wら(1987年)「Polyneuropathy associated with critical illness: a complication of sepsis and multiple organ failure」、Brain、第110巻:819〜842頁);(Leijten FSSおよびDe Weerdt A W(1994年)「Critical illness polyneuropathy: a review of the literature,definition and pathophysiology」、Clinical Neurology and Neurosurgery、第96巻:10〜19頁)。しかし、臨床上の徴候がないことが多く、世界中の多くのICUで潜在的な問題となっている。それにもかかわらず、このことは、人工呼吸器からの患者の離脱を難しくする原因となることがよくあり、また、急性疾患の治療および治癒後のリハビリテーションで問題を引き起こすため、重要な臨床単位(clinical entity)である。
【0174】
CIPNPが充分に重度のものであるとき、これにより四肢脱力および腱反射の低下が生じる。それに続いて感覚障害が生じるが、ICU患者において検査することは難しい。診断を確立するには電気生理学的検査(EMG)が必要である(Webb A R、Shapiro M J、Singer M、Suter P M編「Oxford Textbook of Critical Care」、Oxford Medical Publications、Oxford UK;490〜495頁でのBolton C F.「Acute Weakness」(1999年))。この検査は、最初に運動神経線維、次いで感覚神経線維の初期軸索変性を示す。横隔神経もしばしば関連する。急性および慢性の除神経が、この症状の筋生検で確認されている。根本的な症状(敗血症またはSIRS)を成功裏に治療することができる場合、CIPNPからの回復および/またはその予防を期待することができる。これは、中度の症例では数週間、より重度の症例では数ヶ月で起こり得る。換言すれば、CIPNPを発症すると、離脱およびリハビリテーションが数週間または数ヶ月遅れる可能性がある。
【0175】
このタイプの神経障害の病態生理学は分かっていない(Bolton C F(1996年)「Sepsis and the systemic inflammatory response syndrome: neuromuscular manifestations」、Crit Care Med.、第24巻:1408〜1416頁)。これは、敗血症およびそのメディエータに直接関連していると推測されている。実際、敗血症において放出されるサイトカインは、ヒスタミンのような特性を有し、微小血管透過性を高めることがある。結果的に生じる神経内浮腫が低酸素症を誘発することがあり、重大なエネルギー欠損をもたらし、それにより一次軸索変性をもたらし得る。あるいは、サイトカインがニューロンに対して直接的な細胞毒性を有することがあることが示唆されている。微小循環の乱れに寄与する因子は、神経筋遮断剤およびステロイドの使用である。さらに、毒性およびCIPNPを誘発するアミノグリコシドの役割が示唆されている。しかし、これらのメカニズムのいずれについても、CIPNPの病原に関する真の要因の統計的な証拠は依然として存在しない。
【0176】
重症疾患多発性神経障害は、3人の異なる研究者(カナダの研究者1名、アメリカの研究者1名、フランスの研究者1名)が1985年に初めて報告したが、現在に至るまで、重症疾患多発性神経障害を予防または阻止するための効果的な治療法は存在しない。
【0177】
今日まで、特に重症疾患患者の治療実施の現行標準は、良好な臨床ICU診療環境下で、血中グルコースレベルを250mg/dL以上に高めることであった。この寛大な態度の理由は、高レベルの血中グルコースは適応ストレス応答の一部であり、したがって、極端に上昇しない限りは治療の必要はないという考え方にある(Mizock B A.、Am J Med 1995年;第98巻:75〜84頁)。また、ストレス中の相対低血糖が、免疫系および治癒に潜在的に有害であるとも考えられている(Mizock B A.、Am J Med、1995年;第98巻:75〜84頁)。
【0178】
前向き臨床研究では、Van Den Berghe(米国特許出願公開第2002/0107178号)が、入院以降、集中インスリン治療を使用したより厳密な代謝によってCIPNPの発症を減少させることができるという仮説を試験した。2000年2月2日〜4月25日の間に400人の患者を研究対象とした。患者を、以下の2つのインスリン(Novo NordiskのActrapid H M NovoLet)治療スケジュールの一方に無作為に割り振った。
【0179】
(1)血中グルコースが>230mg/dL(13mmol/L)であるときにのみインスリン注入を1U/時間の投与量で開始し、上記レベル未満[180〜200mg/dL(10.3〜11.2mmol/L)]で血中グルコースを保つように、0.5〜1U/時間の増分で増やしながら用量設定した(2〜4時間の血中グルコースレベル制御)。血中グルコースレベルが180mg/dLに達したとき、インスリン注入を停止する。
【0180】
(2)血中グルコースが>120mg/dL(6.8mmol/L)であるときに、インスリン注入を2U/時間の投与量で開始し、血中グルコースレベルを正常に保つのに適した増分で、すなわち上記レベル未満[80〜110mg/dL(4.6〜6.1mmol/L)]に保つのに適した増分で増やしながら用量設定した(2〜4時間の血中グルコースレベル制御)。毎時の最大インスリン投与量は、1時間当たり60Uに設定する。血中グルコースレベルが80mg/dLに達したとき、インスリン注入が減少されて最終的には止められ、再び正常レベルに達する。残留胃内容物の特定のために経腸経管栄養補給を遮断している間、インスリン注入は、カロリー摂取の減少に比例して減少する。
【0181】
(3)それと共に、入院日には20%グルコース注入液を使用し、2日目以降は、標準化された栄養補給スケジュールを使用することによって患者の栄養補給を行った。標準化された栄養補給スケジュールは、通常のカロリー摂取(25〜35カロリー/kgBW/24時間)と、完全な非経口栄養補給、非経口栄養補給/経腸栄養補給の組合せ、または完全な経腸栄養補給からのバランスの取れた組成(脂質として20%〜40%の非タンパク質カロリー、および1〜2g/kgBW/24時間のタンパク質)とからなり、栄養補給の投与経路は、早期の経腸栄養補給の実現性についての主治医の判断に依存する。栄養補給法を含めたすべての他の治療は、ICUで現在適用されている規定に従った。
【0182】
除外基準は、年齢<18才、妊娠、および入院時に挿間法治療を受けていないことであった。
【0183】
7日後に患者が依然としてICUで治療を受けていたときには、CIPNPの有無に関するスクリーニングのために、毎週のEMG検査を行った。EMGは、常に同一の電気生理学の専門家が解釈した。患者の症状以外の要因(例えば病棟のベッドが空いているか否か)によって決まることもあるICU滞在を正確に査定するために、「ICU滞在の終了」は、主治医が患者を「退出可能な状態(ready for discharge)」とみなした日と定義した。
【0184】
計83人の患者が、少なくとも1週間ICUで治療を終え、CIPNPの有無に関してEMGによるスクリーニングを受けた。「集中インスリンスケジュール」に無作為に割り振られたグループでは、38人の患者が7日を超えて滞在し、「制限インスリンスケジュール」に無作為に割り振られたグループでは、45人の患者が7日を超えて滞在した。集中インスリングループの38人の長期滞在ICU患者のうち15人(すなわち長期滞在者の39%)が、ICU滞在中の任意の時点でCIPNPに関して陽性のEMGを示し、一方、制限インスリングループの45人中では30人であった(すなわち67%)(カイ自乗でP=0.01)。集中インスリングループでは、患者当たりのCIPNPに関する陽性EMGの平均+SD数は、0.9±1.8(中央値は0)であった。それに対し、制限インスリングループでは1.8±2.1(中央値は1)であった(Mann−Whitney U試験でP=0.0015)。
【0185】
集中インスリングループの長期滞在患者は、ICU滞在中にCIPNPがない期間が2.1±1.8週であった。それに対し、制限インスリングループでは1.1±1.2週であった(Studentの独立t検定でP=0.004)。
【0186】
ICU死亡率は、2つの治療グループ間で検出可能な差異はなかった(P=0.4)。
【0187】
Van Den Bergheは、この研究から、集中インスリン治療による厳密な代謝制御と、通常の限度内に血中グルコースレベルを留めることにより、CIPNPの発症を大幅に減少させ、この問題を生じる患者においてCIPNPがない期間を延ばすことができることが実証されたと結論付けた。これが、ICU患者において頻繁に起こるこの重要な問題に対する予防戦略を指し示した最初の研究であった。EMGで判明したCIPNPの存在が、ICUサポートの必要性を増やし、リハビリテーションに必要な時間を延ばすことが示されたため、この治療は、ICUサポートの必要性を減らし、リハビリテーション期間をより短くし、これは大きなコスト削減を反映することができる。
【0188】
また、Van Den Bergheは、前向きの、無作為化された、制御された研究を行った。集中治療室(ICU)に入院している、人工呼吸器を使用するすべての成人患者が対象となった。別の試行に参加した5人の患者、およびICU入院時に瀕死の、または蘇生処置拒否指示された9人の患者のみを除外した。入院時、集中治療中にインスリンを継続的に注入することによる血糖値の厳密な正常化(4.5〜6.1mmol/L)、すなわち「集中インスリンスケジュール」(IIS)か、または血中グルコースが12mmol/Lを超えるときにインスリン投与が開始される現在使用されている「制限インスリンスケジュール」(RIS)かに患者を無作為に割り振った。後者の場合には、血糖値は10〜12mmol/Lにクランプする。中間安全性分析によって死亡率の差異が明らかとなり、倫理的な理由によってこの研究は終了した。
【0189】
計1548人の患者を対象とし、IISグループに765人、RISグループに783人を割り振り、割り振り時点ではほぼ同数であった。IISは、ICU死亡率を43%(P=0.005)減少させた[RISグループでの63件の死亡例に対して、IISグループでは35件;ICU死亡のすべてのベースライン一変量予測因子に関して補正されたIISに関する死亡オッズ比は0.52(0.33〜0.82)、P=0.004であった]。院内死亡率は34%(P=0.01)減少した。死亡率減少は、排他的に長期滞在ICU患者で生じ、これは、敗血症による多臓器不全に起因する死亡の予防によるものであった。また、IISは、血流感染、腎不全、貧血、および重症疾患多発性神経障害の発症を減少させ、ならびに、透析または血液濾過、赤血球輸血、長期の人工呼吸器サポート、および集中治療の必要性を減少させた。臨床研究のさらなる詳細は、米国特許出願公開第2002/0107178号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0190】
Van Den Bergheによれば、外来インスリンを用いた厳密な代謝制御が罹患率および死亡率を実質的に減少させるため、重症疾患中のグルコース代謝の乱れは「順応性があり、利益を伴う」ものではないことを、このデータは示唆している。
【0191】
Van Den Berghe研究での主要評価項目は、集中治療中のあらゆる原因による死亡であった。副次評価項目は、院内死亡率、長期の集中治療依存性の発生、およびICU再入院の必要性、人工呼吸器サポートを含む重要臓器系サポートの必要性、腎代替療法(連続的または断続的な血液濾過もしくは透析)、変力剤または昇圧剤サポート、重症疾患多発性神経障害の発症、炎症の程度、血流感染の発生、ならびに抗生物質の使用、輸血の必要性、および高ビリルビン血症の発症であった。さらに、集中治療時のリソースの使用を累積TISSスコアによって分析した。一般病棟でのベッドの空きなど患者に関係しない要因によってしばしば影響を及ぼされるICU滞在の期間を正確にかつ客観的に査定するために、患者は、重要臓器系サポートの必要がなくなり、通常の経腸でカロリー必要分の少なくとも3分の2を摂取したとき、またはそれよりも早期に実際に病棟に送られたときに、「ICUから退出可能」と定義することができる。
【0192】
Van Den Bergheは、無作為でほぼ同数の、RISグループに783人、IISグループに765人の、1548人の患者に関わる別の研究を報告しており、IIS患者はRIS患者に比べてわずかに年齢が高く肥満傾向があった。患者の13.2%に糖尿病の病歴があり、4.6%は皮下インスリン注射で治療しており、8.6%は経口抗糖尿病治療を受けていた。ICU入院時、患者の74.6%は、一晩絶食基準値(≧6.1mmol/L)に比べて通常よりも高い血糖値を示し、56%は、絶食糖尿病しきい値(≧7mmol/L)よりも高い血中グルコースレベルであった。しかし、11.7%だけは、非絶食糖尿病範囲(≧11mmol/L)の入院時血糖値を示した。既知の糖尿病患者の19.6%しかICU入院時に血中グルコースレベル≧11mmol/Lを示さなかったため、ICU入院時の非絶食「糖尿病」血糖値は糖尿病の病歴とはよく相関しなかった。ICU入院前に診断された糖尿病と、入院時の高血糖症の発症に関して、2つの研究グループは同等であった。
【0193】
患者当たりの非タンパク質カロリーの平均および最大量(ICU滞在の初日と最終日は含まない)は、それぞれ19±7kCal/kg/24時間、および24±10kCal/kg/24時間であった。食餌性窒素の平均および最大量は、それぞれ0.14±0.06gN/kg/24時間、および0.19±0.08gN/kg/24時間であった。栄養補給法の日々の量および構成は、2つのグループで同等であった。
【0194】
IISグループでは、患者の99%が外来インスリンを必要とし、ICU滞在の期間全体にわたって継続して必要であった。血糖値は、5.8±1.0mmol/Lの平均朝レベルで良く制御された。IIS患者の0.1%だけは、48時間以内に血中グルコースレベルが6.1mmol/L未満に下がらず、48%は、治療開始後、一度も6.1mmol/Lを超えず、17%のみが、時として8.4mmol/Lを超えるピークを示した。RISグループでの平均朝血糖値は、8.5±1.8mmol/Lであった。RIS患者の39%のみが実際にインスリンを摂取し、9.6±1.8mmol/Lの平均朝血糖値を示したのに対し、インスリンを必要としなかったRIS患者では7.8±1.4mmol/Lであった。
【0195】
IIS治療を受けた39人の患者において、血糖値が一過的に2.3mmol/L未満に下がり、一方、RISグループでは6人の患者であった。そのような低血糖が生じた場合には常に迅速に是正され、血行動態の悪化またはてんかんのような重大な症状は決して誘発しなかった。
【0196】
IISグループにおいて、集中治療中に35人の患者(4.6%)が死亡し、それに対しRISグループでは63人(8.1%)(P=0.005)であった。相対リスク減少率(RRR)は43%であった。集中治療中の救命のための「治療必要数」(NNT)は29であった。IISによるICU死亡率に対する影響は、最初の24時間のAPACHE IIおよびTISSスコアとは無関係だった。また、介入の影響は、心臓手術後の患者でも、他のタイプの重症疾患を患っている患者でも同様であった。インスリンを実際に摂取したRIS患者でのICU死亡率は12.4%であるのに対し、12mmol/L未満の血糖値を保つためにインスリンを必要としなかった患者では5.2%であった(P=0.0003)。
【0197】
長期滞在ICU患者での死亡率の差について仮説を立てたので、Van Den Bergheのグループは、≦5日のICU滞在日数の患者と、>5日の滞在日数の患者とでの影響を予備的に分析した。≦5日の滞在日数の患者における最初の24時間のAPACHE IIスコアは中央値9(IQR6〜12)であり、患者のうちの75%が心臓手術後の患者であった。>5日の滞在日数の患者における最初の24時間のAPACHE IIの中央値は12(8〜15)であり、68%が、非心臓手術タイプの重症疾患を患っていた。>5日のICU滞在の患者の数は、IISグループ(27%)とRISグループ(31%)で統計的に差はなかった(P=0.1)。≦5日の滞在日数の患者の死亡率は、IISグループとRISグループで同様だった。したがって、IISによるICU死亡率の減少は、長期重症疾患コホートで選択的に生じ、絶対リスク減少および相対リスク減少がそれぞれ9.6%および47%であった。治療を受けた長期滞在患者11人につき1人の命が救われた。
【0198】
ICU死亡率に関する入院時リスク因子はすべて、一変量分析を使用して決定された。これらのリスク因子は、最初の24時間のAPACHE IIスコア、年齢、非心臓手術タイプの重症疾患、三次医療機関、悪性腫瘍の病歴、および入院時血中グルコースレベル≧11mmol/Lを含んでいた。その後、これらの因子を、無作為に割り振られたインスリンスケジュールと共に多変量ロジスティック回帰モデルに入力した。これによって、死亡率に関する独立したリスク因子は、最初の24時間のAPACHE IIスコア、年齢、非心臓手術タイプの重症疾患、三次医療機関、およびインスリン治療スケジュールであることが示された。ICU死亡の他のベースライン一変量予測因子に関して補正されたIISに関する死亡オッズ比は0.52であった(95%信頼区間、0.33〜0.82)。集中治療中の死因の分析から、IISが、死後検査で実証された敗血症性病巣による多臓器不全からの死亡の危険を特に減少したことが分かった。
【0199】
また、IISは、全体の院内死亡率を10.8%から7.1%に顕著に減少した(P=0.01)。相対リスク減少は34%であった。ここでも、この利益は、長期重症疾患コホートに限定された。
【0200】
IISはICU滞在の期間を短縮し、その一方で、院内滞在は2つの研究グループ間で検出可能な差はなかった。ICU再入院率は2.1%であり、どちらのグループでも同様であった。IISグループでは、RISグループに比べて長期の人工呼吸器サポートおよび腎代替療法を必要とする患者が顕著に少なく、一方、変圧または昇圧剤サポートの必要性は同じであった。腎代替療法とは独立に、腎機能パラメータは、RISグループにおいてより乱れていた。高ビリルビン血症の発症は、IISグループにおいて顕著に少なかった。
【0201】
血流感染は46%減少した。さらに、IISグループでは、炎症のマーカーはあまり阻害されず、抗生物質の長期使用(>10日)もあまり必要なかった。後者は、菌血症に対する効果に大きく起因するものであった(菌血症患者の75%が、>10日にわたって抗生物質で治療され、一方、菌血症でない患者では10%だった;P<0.0001)。死亡率は、菌血症RIS患者(29.5%;P=0.067)に比べて菌血症IIS患者(12.5%)で低い傾向があった。インスリンまたは抗生物質以外のICU薬物の使用では、2つのグループ間で差はなかった。
【0202】
1週間を超えてICUに滞在した患者を、毎週、重症疾患多発性神経障害に関してスクリーニングした。第1に、ICU滞在に対する効果により、スクリーニングされたIIS患者はより少なかった。第2に、スクリーニングされたIISグループの患者のうち陽性EMGを示した患者は、RISグループに比べて少なかった。スクリーニングされた患者のうち、1人の患者で重症疾患多発性神経障害を防止するためのNNTは4であった。さらに、IISグループにおいて、毎週のスクリーニングで繰り返し陽性EMGを示した患者の割合がより少ないことによって示されるように、重症疾患多発性神経障害はより迅速に解消した。
【0203】
アミノグリコシドおよび糖質コルチコイドの使用が、一変量分析による重症疾患多発性神経障害の決定因子であった。しかし、他の一変量予測因子と共に多変量ロジスティック回帰モデルに入力される場合、重症疾患多発性神経障害の独立した決定因子として、制限インスリンスケジュール[すなわち2.6(1.6〜4.2);P=0.0002]、>3日での昇圧剤治療[すなわち2.5(1.4〜4.2);P=0.001]、血流感染の罹患[すなわち2.3(1.3〜4.1);P=0.006]、および腎代替療法の受容[すなわち1.9(1.0〜3.8);P=0.05]のみが残った。
【0204】
どちらの研究グループにおいても、重症疾患多発性神経障害の危険性を、患者当たりの実際の平均血糖値の関数として評価した場合、正の線形相関が得られた。
【0205】
IIS患者での赤血球輸送の量は、RIS患者の半分にすぎなかった。このことは、RIS患者ではヘモグロビンおよびヘマトクリットがより低レベルであることによって示されたために、RIS患者でのより自由な輸送計画によるものではなかった。
【0206】
累積TISSスコアは、患者当たりおよびICU滞在当たりの、治療介入回数の指標である。メジアン累積TISSスコアは、選択的に長期滞在患者で20%減少した。研究の最終日での同等のTISSスコア[両方の研究グループで中央値30(26〜38)]を鑑みれば、この差は、長期滞在ICU患者当たり20%のコスト削減を反映する。
【0207】
集中治療依存の重症疾患患者に関するこの大規模な前向きの、無作為化され、制御された研究において、インスリンで6.1mmol/L未満に厳密に血糖コントロールすることで、ICU死亡率を43%、院内死亡率を34%減少させた。また、厳密な代謝制御は、血流感染、腎不全、貧血、重症疾患多発性神経障害、および障害のある重要臓器系の長期サポートの必要性を防止することによって、罹患率を実質的に改善した。これらの顕著な利益は、根本の疾患のタイプおよび重度には無関係であった。
【0208】
罹患率に対する有益な効果は、集中治療でのいくつかの重要な問題のリスクを減らすものと要約することができる。そのような問題には、重大な感染の罹患、およびそれに伴う炎症反応を確認すること、腎不全、胆汁鬱滞、貧血、重症疾患多発性神経障害、および筋力低下の発症が含まれる。これらの問題は集中治療を引き続き必要とし、そのような集中治療は、長期の重症疾患の高い死亡率に鑑みれば徒労に終わることも多い。
【0209】
結論として、集中治療中の厳密な血糖コントロールが罹患率および死亡率を大幅に減少させるため、重症疾患患者でのグルコース代謝の乱れが「順応性があり、利益を伴う」ものではないことを、このデータは示唆する。
【0210】
(血糖コントロールを実現するための血管内平衡センサの使用)
上述したVan Den Bergheのデータおよび結論、ならびにFurnaryらによる先行文献(例えばZerrら、Ann Thorac Surg、1997年、第63巻:356〜361頁参照)は、厳密な血糖コントロールが、合併症を顕著に減らし、ICU滞在を短縮し、転帰を改善することができることを示唆している。残念ながら、このような顕著な利益にもかかわらず、依然として、血中グルコースレベルが250mg/dL以上まで上昇してから介入することが、許容範囲内の臨床ICU診療と考えられている。医療スタッフおよびICUスタッフが、例えば約80〜110mg/dlの好ましい目標濃度内で重症疾患患者の血中グルコースを厳密に調整することを試みたがらない理由は複数ある。第1に、高レベルの血中グルコースは適応ストレス応答の一部であることがあり、ストレス中の低い血中グルコースレベルは、場合によっては免疫系および治癒に有害であると考える医師がいる(Mizock B A.、Am J Med、1995年;第98巻:75〜84頁)。実際には、インスリン投与後の血中グルコース濃度の変化の速度および方向(上昇または下降)の継続的なグルコース監視および信頼できる指標がないとき、ICUスタッフはインスリンによって誘発される急性の低血糖の危険よりも、誤って相対高血糖を許容する傾向がある。前述のことを鑑みて、本出願人は、正確で継続的なグルコース監視が可能な血管内グルコースセンサの使用によって、重症疾患ICU患者の厳密な血糖コントロールの臨床上の利益を促進して高めることができるとみなした(ここで、該センサは、血中グルコースの変化の速度および方向を表示することができるモニタに動作可能に結合される)。本明細書で開示するセンサ較正法は、これらの血管内グルコースセンサが、臨床医療決定を下すICUスタッフが信頼するのに充分な精度でグルコース濃度および/またはグルコース活動を測定できるようにする役割をする。さらに、上述した1点較正法(典型的には先に因子較正が行われる)は、これらのグルコースセンサを適切に較正するのに時間をかけることをICUスタッフが思いとどまらないほど、充分に簡便である。
【0211】
したがって、1つの好ましい実施形態によれば、血糖コントロールを必要とする患者、好ましくは集中治療室内で治療を受ける患者において、血糖コントロールを達成するための方法が開示され、ここで、該血糖コントロールは、少なくとも1つの重症疾患多発性神経障害または他の合併症の発症および/または重度を減少するのに充分なものである。本方法は、患者の血管内に平衡グルコースセンサを配備するステップと、センサをモニタに動作可能に結合するステップであって、モニタが、血中グルコース濃度ならびに血中グルコース濃度の変化の速度および方向を表示し、任意選択で、血中グルコース濃度および/または変化の速度および方向が所定の範囲外に変わったときにアラーム信号を発生するステップと、血中グルコース濃度が所定の範囲外に変わったときに血中グルコース調整剤を投与するステップとを含み、ここで、該血中グルコース調整剤は、所定の濃度範囲内に血中グルコース濃度を戻す、および/または上昇もしくは下降の傾向を反行し、それによって血糖コントロールを達成するのに充分な量で投与される。所定の濃度範囲は、約60〜約180mg/dlのグルコースでよく、より好ましくは約60〜約130mg/dlのグルコース、さらに好ましくは約80〜約110mg/dlでよい。血中グルコース調整剤は、グルコース、あるいはインスリンまたはインスリン類似体もしくは誘導体、あるいは他の血糖降下剤、あるいは血中グルコースを調整する任意の既知の薬剤または組合せでよい。
【0212】
図19Aおよび
図19Bを参照すると、医療ICUおよび外科ICUでの典型的な血中グルコース濃度が示されており、これらのデータは、MaderらのDiabetes Technology Meeting、San Francisco、CA(2007年)によるものである。網掛けしたラインが、目標血中グルコース範囲(80〜110mg/dl)を示す。太線が、計算された平均値を示し、多くの線は、一人一人の患者からのものである。明らかに、血中グルコースが経時的に大幅に変化しており、これらの患者集団で厳密な血糖コントロールを実現する試みには大きな課題がある。
【0213】
図20Aおよび
図20Bを参照すると、時間経過における、インビトロでの循環血液ループ中に注入されたグルコースを用いたグルコース決定の結果を、1つの好ましい実施形態による連続グルコースセンサ(−GluCath)と、血中グルコース測定の至適基準であるYellow Springs Instrumentのグルコースオキシダーゼ実験室分析器(●YSI)とに関して比較する。この実験で使用したGluCath平衡蛍光グルコースセンサは、HPTS−triCysMA色素および3,3’−oBBV消光剤を含んでいた。
図20Aは、50〜400mg/dlの範囲内で循環するグルコースの変化と共に、8時間の過程を示す。
図20Bは、10mg/dlボーラスの2時間ごとの添加の拡大図である。このデータは、平衡蛍光グルコースセンサが、YSI実験室分析器と同じ精度での血中グルコースの継続的な監視を提供することを示す。
図20Bでの拡大図は、非常に低レベルの血中グルコース(50〜100mg/dl)でさえ迅速で正確な感知をすることを示す。そのような低い範囲での正確な検出は、他の検出デバイスで達成するのは非常に難しかったため、これは驚くべきことである。100mg/dl未満での正確で信頼できる血中グルコース感知がなかったため、グルコース濃度が低くなりすぎるという重大な臨床上の危険があったので、目標血中グルコースレベルを維持するICUでの試みが妨げられていた。
【0214】
図21Aおよび
図21Bを参照すると、Bland−Altmanプロットは、インビボ血中グルコース監視に関して、実験室基準と指先穿刺POC(
図21A)またはGluCath留置平衡蛍光グルコースセンサ(
図21B)との差を示す。
図21Aは、臨床化学物質系と比較して、標準の指先穿刺試験を使用した血中グルコース検出の結果を示す。95%信頼限界は、2.1mg/dlのバイアスで、−22.7〜28.4mg/dlで変化する。100mg/dl未満の読取り値がごくわずかしか見られないことは注目に値する。
図21Bは、ヒツジの血管内に配備されたGluCath連続平衡蛍光グルコースセンサを使用する血中グルコース検出の、YSI実験室分析器と比べた結果を示す。差がはるかに狭く、95%信頼限界は−11.7〜14.1mg/dlであり、バイアスはわずか1.2mg/dlである。100mg/dl未満のデータ点がより多く存在する。
【実施例】
【0215】
<実施例1>
65才の男性が、開心術後に集中治療室に入院する。落ち着いた後、GluCath光ファイバセンサを血管内に配備した。センサは、光ファイバセンサの遠位領域に沿って配設されたヒドロゲル中に固定された、3,3’−oBBV消光剤に作動可能に結合されたHPTS−tri−CysMA色素を含む。センサの近位端を、光源およびプログラム可能なモニタに結合し、モニタは、継続的なリアルタイムのグルコース濃度、ならびに血中グルコースレベルの変化の速度および方向を表示するように適合されている。モニタは、血中グルコースが目標範囲外(80mg/dl未満または110mg/dl超)になったときにアラームを発生するようにプログラムされている。血中グルコース傾向の速度および方向ならびに血中グルコース濃度の継続的な読取りにより、介入が必要かどうかをICUスタッフが判断できるようになる。センサがオンラインになるとすぐに、モニタ上で300mg/dlの血中グルコース濃度が読み取れ、これが上昇する。ICU看護師は、目標範囲内に血中グルコースレベルを減少させるように計算された投与量でインスリンを投与する。数分以内に、血中グルコースが下がり始める。内科医は、グルコースの低下が速すぎ、目標下限濃度80mg/dlを下回らないか注意する。2時間以内に、血中グルコース濃度は100mg/dlになって安定する。数時間の日常治療後、血中グルコース濃度が上昇し始める。グルコース濃度が110mg/dlを超えたとき、モニタ上のアラームが、グルコースレベルの上昇をICUスタッフに警告する。ICU看護師は、プログラムされた範囲まで血中グルコースを減少させるのに充分な量のインスリンを投与する。ICUスタッフは、ICU内での次の7日間、患者の血中グルコース濃度の制御を維持することができる。回復はスムーズであり、重症疾患多発性神経障害または他の合併症は観察されない。
【0216】
<実施例2>
蛍光ベースの感知システムを備えるグルコースセンサを、治験審査委員会(Institutional Review Board)によって承認された8時間の外来患者に対するフィージビリティスタディで評価した。タイプ1糖尿病の5人の被験者に対して、肘前窩で末梢静脈内にグルコースセンサを配置した。センサ挿入は、22Ga針および引込み式カニューレを使用して行った。1つのセンサは挿入プロセス中に損傷し、任意の有用なデータをもたらすことができなかった。
【0217】
他の4つのセンサからのデータを1分間隔で取り、対側の腕での静脈試料からの15分ごとの病院および実験室血中グルコース測定値と比較した。センサ挿入の30分以内に成された1点インビボ調節を伴う温度補正された工場較正を使用して、データの後ろ向き分析を行った。グルコースセンサからの結果を、Radiometer ABL 805 Flex血液ガス分析器(BGA)、Yellow Springs Instrument(YSI)分析器2300 StatPlus、およびLifeScan SureStep Flexx Proで行った測定と比較した。
【0218】
グルコースセンサは、実験室基準測定(Radiometer ABL BGA)に比べて、特に低血糖範囲内で、非常に高精度であることが判明した。Radiometer ABL BGA値に対するGluCathからの結果の比較により、GluCathの精度がISO−15197での性能標準を満たすことが見出された。すなわち、≦75mg/dLのすべての値の100%(30/30)が、基準値の±15mg/dL以内にあり(表3A参照)、>75mg/dLのすべての点の96.8%(90/93)が基準測定値の±20%であった(表3B参照)。平均絶対相対差(MARD)は7.70%であった(表4および
図22参照)。ISO−15197 Bland−Altmanプロットの下での平均バイアスは、−5.50mg/dLであった(
図23参照)。
【0219】
【表3】
【0220】
【表4】
【0221】
【表5】
【0222】
これは、蛍光グルコースセンサのヒト被験者に対する初めての使用例の1つである。本センサは、実験室基準測定に比べて、特に低血糖範囲内で高精度であることが見出された。