【文献】
Erdem Ogut、外3名,Poly(vinylidene fluoride)/Zinc Oxide Smart Composite Material,Proc. of SPIE [ONLINE],2007年,第6526巻,p.65260Q−1〜65260Q−10,URL,http://research.sabanciuniv.edu/5249/1/SPIE_Erdem6526_24.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固体誘電体マトリックス(11)が、熱可塑性ポリマー材料および熱硬化性ポリマー材料からなる群の中から選ばれる少なくとも1つのポリマー材料を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の材料。
前記固体誘電体マトリックス(11)が少なくとも1つの熱可塑性材料を含んでおり、前記前駆液体組成物(2)が融解状態の前記固体誘電体マトリックス(11)によって形成されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
前記固体誘電体マトリックス(11)が少なくとも1つの熱硬化性材料を含んでおり、前記前駆液体組成物(2)が、前記熱硬化性材料の組成に含まれる少なくとも1つの液体組成物によって形成されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、機械的性質に関して複合材料が無機(セラミック)強誘電体材料に対して有する優位性を示す(特に、少なくとも同等の、特により優れた柔軟性、延性および耐衝撃性がありながら、はるかに軽量であること)一方で、
− 可能な限り低い、特に20を顕著に下回る誘電率(ε)、および
− 45mV.m/N以上の圧電性能指数g
33(d
33/ε)(式中d
33は複合材料の圧電定数を示す)、および/または
− 0.7μC/K/m
2以上の焦電性能指数F(p/ε)(式中pは複合材料の焦電定数を表す)
を示す固体複合材料を提案することによって、上述の不都合に対処することを目的とする。
【0009】
本発明は、前記固体複合材料の機械的性質がほぼ保たれるように適合された低い添加率を有するかかる圧電性および/または焦電性固体複合材料を提案することを目的とする。
【0010】
本発明はまた、圧電効率および/または焦電効率が少なくとも維持される(特に高まる)ように低密度のかかる固体複合材料を提案することを目的とする。
【0011】
本発明はまた、所与の応力のもとで弾性変形を増大させ、該応力に対する圧電応答を増大させることができるように適合されたかかる圧電性固体複合材料を目的とする。
【0012】
本発明はまた、先行技術の複合材料と比べて低めの機能性添加物比率で高い圧電応答および/または焦電応答を維持する、かかる固体複合材料を目的とする。
【0013】
本発明はとりわけ、圧電性および/または焦電性有機材料と違って、該圧電性および/または焦電性材料の分極のために該有機材料の誘電破壊を引き起こす可能性のある強電場を印加する必要のない固体複合材料を目的とする。
【0014】
本発明はそこで、同種のポリマー材料に匹敵する機械的性質を有するとともに、45mV.m/N以上の圧電性能指数d
33を有する固体複合材料を提案することを目的とする。
【0015】
本発明はまた、同種の絶縁複合材料に匹敵する機械的性質を有するとともに、0.7μC/K/m
2以上の焦電性能指数Fを有する固体複合材料を提案することを目的とする。
【0016】
本発明はまた、ポリマーマトリックスと同等の柔軟性、延性、軽さおよび使い易さをほぼ有するとともに、無機機能性添加物の電気活性の性質も有する固体複合材料を提案することを目的とする。
【0017】
本発明はさらに、振動エネルギーの、とりわけ音エネルギーの熱の形による消散に関して改善された性質を有する、かかる固体複合材料を提案することを目的とする。
【0018】
本発明はそこで、有機ポリマー材料の延性、機械的強度および低い誘電率に関する性質を兼ね備えるとともに、圧電性および/または焦電性無機材料の電気活性に関する性質、特にその分極に必要な電場強度の低さを示す固体複合材料を目的とする。
【0019】
より詳細には、本発明は、電気絶縁性材料からなる(均質または複合)固体マトリックスを有し、45mV.m/N以上の圧電性能指数d
33および/または0.7μC/K/m
2以上の焦電性能指数Fを有する固体複合材料であって、本発明による固体複合材料の最終的な機械的性質が固体マトリックスの機械的性質の少なくとも90%である固体複合材料を提案することを目的とする。
【0020】
本発明はまた、45mV.m/N以上の圧電性能指数d
33を有する固体複合材料であって、固体複合材料中の機能性添加物で圧電性および/または焦電性ナノ粒子による追加的な質量負荷が50%を顕著に超えない固体複合材料を提案することを目的とする。
【0021】
本発明はさらに、単純かつ低コストで、素早く使うことができ、特別な設備の必要がなく、しかも環境を保全する、かかる固体複合材料の製造方法を目的とする。
【0022】
本発明はまた、可変的な材料組成で任意の形状の部材を作製することが可能な、かかる方法を提案することを目的とする。
【0023】
したがって、本発明は、
− 固体誘電体マトリックスと、
− 固体誘電体マトリックス中に分散させた無機添加物であって、圧電性材料、焦電性材料および圧電性/焦電性材料からなる群の中から選ばれた材料によって構成される無機添加物と
を含む、ハイブリッド材料と称する圧電性および/または焦電性固体複合材料であって、前記無機添加物が、糸状ナノ粒子と称する固体ナノ粒子を含み、該固体ナノ粒子が、
・ 糸状ナノ粒子の主たる伸長方向に沿って延びる長さと、
・ 互いに直交し、かつ糸状ナノ粒子の該主たる伸長方向に対して直交する2つの横断方向に沿って延びる、直交寸法と称する2つの寸法であって、前記長さよりも短く、500nm以下である2つの寸法と、
・ 前記長さと2つの直交寸法のそれぞれとの間の、形状係数と称する2つの比であって、10以上である2つの比と
を有する材料において、
前記糸状ナノ粒子が、50%以下、特に0.5%から50%の範囲、好ましくは5%から20%の範囲、とりわけ12%前後の体積量で固体誘電体マトリックス全体に散らばっていること、および
誘電体マトリックス中に散らばった無機添加物の糸状ナノ粒子の主たる伸長方向が固体誘電体マトリックス内でほぼ等方的な分布を示すことを特徴とする材料に関する。
【0024】
本発明によるハイブリッド材料では、固体誘電体マトリックスは、有利には、有機材料(すなわち、炭素原子と炭素とは異なる原子(とりわけ水素)の間の少なくとも1つの共有結合を含む少なくとも1つの有機化合物からなる材料)の群の中から選ばれた少なくとも1つの材料によって構成できる。
【0025】
本発明によるハイブリッド材料では、固体誘電体マトリックスは好ましくは合成有機ポリマー材料からなる。
【0026】
有利には、本発明によるハイブリッド材料の固体誘電体マトリックスは、少なくとも1つのケイ素原子を含む少なくとも1つの有機化合物からなる有機材料の群の中から選ばれる材料を含む。
【0027】
有利には、本発明によるハイブリッド材料の固体誘電体マトリックスは、固体圧電性誘電体マトリックス、固体焦電性誘電体マトリックスおよび電気的に中性の固体誘電体マトリックスからなる群の中から選ばれる。
【0028】
有利には、本発明によれば、ハイブリッド材料の固体誘電体マトリックスは、マトリックス内で前記糸状ナノ粒子が該固体誘電体マトリックスの全体にわたって散らばった連続的なマトリックスである。
【0029】
有利には、本発明によるハイブリッド材料の無機添加物は、非ポリマーで、炭素を含まない金属化合物によって形成される。
【0030】
本発明によるハイブリッド材料では、糸状ナノ粒子の形状係数は、該糸状ナノ粒子の長さと、該長さに直交するその2つの寸法のうちの一方との比である。例えば、回転円筒の全体形状をなす糸状ナノ粒子に関して形状係数が100であるというときには、その長さがその平均直径のほぼ100倍であるということを意味する。いかなる場合であっても、糸状ナノ粒子は全体に長く伸びた形状をなし、その最も大きな寸法(長さ)と2つの直交寸法のそれぞれとの比は10以上である。
【0031】
発明者らは、圧電性および/または焦電性材料からなる糸状ナノ粒子によって無機添加物が形成される本発明によるハイブリッド材料であって、該糸状ナノ粒子の形状係数が高く、該糸状ナノ粒子が固体誘電体マトリックス全体に50%以下の体積量で散らばったハイブリッド材料にあっては、糸状ナノ粒子のたわみ変形を増進させ、高形状係数の圧電性および/または焦電性材料の電荷の分離を高めるとともに、該ハイブリッド材料に同じ応力を作用させたときの圧電および/または焦電効果を高めることができることを確認した。
【0032】
有利には、糸状ナノ粒子は、35%以下、特に1%から35%の範囲、好ましくは5%から30%の範囲の体積量で固体誘電体マトリックスの全体に散らばる。
【0033】
より詳細には、本発明によるハイブリッド材料は有利には以下の特徴のいずれか少なくとも1つを特徴とする。
− 糸状ナノ粒子の2つの直交寸法は50nmから500nmの範囲(特に200nm前後)である。
− 糸状ナノ粒子は、10以上(特に100以上、とりわけ250前後)の2つの形状係数を有する。
− 糸状ナノ粒子は、1μm以上、特に2μmから50μmの範囲、とりわけ10μm前後の長さを有する。
− 糸状ナノ粒子の2つの直交寸法は、糸状ナノ粒子の横断面の直径である。
− 本発明によるハイブリッド材料の無機添加物は、例えば圧電性無機セラミック、焦電性セラミックおよび圧電性/焦電性セラミックからなる群の中から選ばれる材料によって形成される。
− 本発明によるハイブリッド材料の無機添加物は、BaTiO
3の化学式のチタン酸バリウム、PbZr
xTi
1−xO
3の化学式のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、Ba
xSr
1−xTiO
3、Ca
xSr
1−xTiO
3、BaTi
xZr
1−xO
3(式中、xは、ゼロであることも、1であることも、または0から1の間であることもできる実数を表す)、SrTiO
3、BaZrO
3、SrZrO
3、PbTiO
3、KNbO
3、LiNbO
3、PMN−PT(Pb/Mg/Nb−Pb/Ti)、二チタン酸バリウム(BaTi
2O
5)、ニオブ酸(NaNbO
3)などの無機セラミック(特にペロフスカイト型セラミック)の群の中から選ばれる材料によって形成される。
− ハイブリッド材料の固体誘電体マトリックスは、熱可塑性ポリマー材料および熱硬化性ポリマー材料からなる群の中から選ばれる少なくとも1つのポリマー材料を含む。
− ハイブリッド材料の固体誘電体マトリックスは、圧電材料、焦電材料および圧電/焦電材料からなる群の中から選ばれる有機ポリマー材料によって形成される。たとえば、固体誘電体マトリックスの有機ポリマー材料は、PVDF、PVDF−TrFE、フッ素化されたターポリマー(異なる3つのモノマー単位からなる共重合体)、奇数ポリアミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、偶数ポリアミド、ポリウレタン、シリコーンからなる群の中から選ばれる。
【0034】
有利には、ハイブリッド材料は、低い、特に20以下の誘電率の値と、45mV.m/N以上の圧電性能指数g
33および/または0.7μC/K/m
2以上の焦電性能指数Fと、固体誘電体マトリックスと比べてほぼ(特に90%以上まで)維持された最終的な機械的性質とを示す。
【0035】
有利には、本発明によれば、無機添加物は固体誘電体マトリックス中にほぼ均一に散らばる。無機添加物が固体誘電体マトリックス中にほぼ均一に散らばるとは、隣り合う糸状ナノ粒子を隔てる平均距離が固体誘電体マトリックスの体積全体にわたってほぼ一定であることをいう。
【0036】
有利には、本発明によれば、糸状ナノ粒子は、ナノファイバー、ナノスティック、ナノチューブからなる群の中から選ばれる。
【0037】
本発明によるハイブリッド材料の第1の変形形態では、本発明における糸状ナノ粒子はナノスティックまたはナノファイバーである。その第1の変形形態では、糸状ナノ粒子の2つの直交寸法は、糸状ナノ粒子の横断面の直径である。また、糸状ナノ粒子が帯状で、本発明による糸状ナノ粒子の2つの直交寸法がその帯状部分において幅(第1の直交寸法)と、その厚さ(第2の直交寸法)であってもよい。
【0038】
本発明によるハイブリッド材料の第2の変形形態では、本発明における糸状ナノ粒子は、100nm以下の壁厚を有する中空円筒からなるナノチューブでもよい。
【0039】
有利には、本発明によれば、糸状ナノ粒子はナノチューブであり、厚さが概ね100nm以下の該ナノチューブを形成する壁を有する。
【0040】
有利には、本発明によれば、誘電体マトリックス中に散らばった無機添加物の糸状ナノ粒子の主たる伸長方向は固体誘電体マトリックス内でほぼ等方的な分布を示す。固体誘電体マトリックス内における糸状ナノ粒子の主たる伸長方向のほぼ等方的な分布とは、糸状ナノ粒子の主たる伸長方向が、固体誘電体マトリックス内で平均して特別な向きをなすことなく、すべての方向に同じように伸びていることをいう。
【0041】
有利には、誘電体マトリックス中に散らばった糸状ナノ粒子は、固体誘電体マトリックス内でほぼ均質な分布を示す。
【0042】
さらに、発明者らは、高形状係数のナノ粒子が固体誘電体マトリックス中に50%以下の体積比率で等方的かつ均質に散らばったかかるハイブリッド材料は、要求される圧電および/または焦電効果を得るのに十分な該ナノ粒子の変形性および該ナノ粒子間の結合性を可能にすることも確認した。とりわけ、発明者らは、糸状ナノ粒子のかかる体積比率が、糸状ナノ粒子間の誘導による伝導を低い比率の該糸状ナノ粒子で可能にするのに十分な糸状ナノ粒子間の結合性を可能にするものであることを確認した。
【0043】
有利には、本発明によれば、ハイブリッド材料は、伝導性ナノファイバーを含む電気伝導性材料の、伝導性添加物と称する添加物をさらに含み、伝導性ナノファイバーは、
・ 伝導性ナノファイバーの主たる伸長方向に沿って延びる長さと、
・ 互いに直交し、かつ伝導性ナノファイバーの主たる伸長方向に対して直交する2つの横断方向に沿って延びる直交寸法と呼ばれる2つの寸法であって、前記長さよりも短く、500nm以下である2つの寸法と、
・ 伝導性ナノファイバーの前記長さと2つの直交寸法のそれぞれとの間の、形状係数と称する2つの比であって、50以上である2つの比と
を有しており、伝導性ナノファイバーは、1%以下(特にほぼ0.5%前後)の体積量で固体誘電体マトリックス全体に散らばる。
【0044】
変形形態では、有利には、本発明によれば、本発明によるかかる圧電性/焦電性ハイブリッド材料は、以下の特徴のいずれか少なくとも1つを特徴とする。
− 伝導性ナノファイバーの2つの直交寸法は50nmから300nmの範囲(特に200nm前後)である。
− 伝導性ナノファイバーは、1μm以上、特に30μmから300μmの範囲、とりわけ50μm前後の長さを有する。
− 伝導性ナノファイバーの2つの直交寸法は、伝導性ナノファイバーの横断面の直径である。
− 伝導性ナノファイバーは、50以上(特に250前後)の2つの形状係数を有する。
− 伝導性ナノファイバーは、ナノスティックおよびナノチューブ、特にカーボンナノチューブ、からなる群の中から選ばれる。
− 伝導性ナノファイバーは、非酸化状態の金、銀、ニッケル、コバルト、銅およびそれらの合金からなる群の中から選ばれる材料によって形成される。
− 伝導性ナノファイバーは酸化されていない金属材料によって形成される。
− 体積で0.1%から1%の範囲の量の伝導性ナノファイバーを含む。
【0045】
有利には、ハイブリッド材料の伝導性ナノファイバーの量は、使う固体誘電体マトリックスにおける電気パーコレーション閾値を体積率の値で下回るように調整する。
【0046】
有利には、本発明によれば、2つの形状係数が50以上、詳細には50から5000の間、より詳細には100から1000の間、詳細かつ有利には250前後である伝導性ナノファイバーを使う。
【0047】
有利には、本発明によれば、固体誘電体マトリックスに対する伝導性ナノファイバーの質量比率は0.014%以上である。
【0048】
本発明は、本発明によるハイブリッド材料の取得方法に及ぶ。
【0049】
本発明は、ハイブリッド材料と称する固体複合材料の取得方法において、圧電性材料、焦電性材料および圧電性/焦電性材料、ならびに場合によって伝導性ナノファイバー、からなる群の中から選ばれる無機材料によって形成される糸状ナノ粒子であって、
・ 糸状ナノ粒子の主たる伸長方向に沿って延びる長さと、
・ 互いに直交し、かつ糸状ナノ粒子の該主たる伸長方向に対して直交する2つの横断方向に沿って延びる、直交寸法と称する2つの寸法であって、前記長さよりも短く、500nm以下である2つの直交寸法と、
・ 前記長さと2つの直交寸法のそれぞれとの間の、形状係数と称する2つの比であって、10以上である2つの比と
を有する糸状ナノ粒子を含む無機添加物を固体誘電体マトリックスの前駆液体組成物中に分散させ、前記ハイブリッド材料中における糸状ナノ粒子の体積量が50%以下となるように、さらに誘電体マトリックス中に散らばった無機添加物の糸状ナノ粒子の主たる伸長方向が固体誘電体マトリックス中でほぼ等方的な分布を示すようにする方法にも関する。
【0050】
有利には、本発明によれば、
− 糸状ナノ粒子、および、場合により、伝導性ナノファイバー、を液体溶媒中に分散させ、
− その分散物を前駆液体組成物に混合し、
− 液体溶剤を取り除き、さらに、
糸状ナノ粒子の分極ならびに圧電性および/または焦電性糸状ナノ粒子への変換を行えるように適合された電場内にハイブリッド材料を置く。
【0051】
ハイブリッド材料の糸状ナノ粒子に対するこの分極ステップを、糸状ナノ粒子を巨視的に圧電性および/または焦電性の性質を示す糸状ナノ粒子に変換できるように適合された、当業者に自明の手段によって行う。
【0052】
有利には、本発明によれば、固体誘電体マトリックスは少なくとも1つのポリマー材料を含んでおり、前駆液体組成物は、糸状ナノ粒子、および、場合により、伝導性ナノファイバー、の分散物の溶剤および糸状ナノ粒子の分散物の溶剤と混和可能な溶剤の中から選ばれる液体溶剤による該ポリマー材料の溶液である。有利には、前駆液体組成物は、液体溶剤による前記ポリマー材料の希釈溶液である。
【0053】
有利には、本発明によれば、固体誘電体マトリックスは少なくとも1つの熱可塑性材料を含んでおり、前駆液体組成物は融解状態の固体誘電体マトリックスによって形成される。
【0054】
有利には、前駆液体組成物は前記ポリマー材料の凝縮溶液である。
【0055】
有利には、固体誘電体マトリックスの前記液体前駆組成物中における糸状ナノ粒子を含む前記無機添加物の分散は、当業者には自ずと知れたあらゆる手段によって、特に二軸押出しによって行う。
【0056】
有利には、本発明によれば、固体誘電体マトリックスは少なくとも1つの熱硬化性材料を含んでおり、前駆液体組成物は、熱硬化性材料の組成に含まれる少なくとも1つの液体組成物によって形成される。
【0057】
有利には、糸状ナノ粒子、および、場合により、伝導性ナノファイバー、を液体溶剤中に分散させ、その分散物を液体前駆組成物に混合し、液体溶剤を除去する。前記液体溶剤は、好ましくは、伝導性ナノファイバーを酸化させることがないか、または部分的に、かつ限られた形でのみ酸化させる溶剤の中から選ばれる。
【0058】
また、有利には、本発明によれば、固体誘電体マトリックスは少なくとも1つのポリマー材料を含んでおり、前駆液体組成物は、糸状ナノ粒子の分散物の溶剤および糸状ナノ粒子の分散物の溶剤と混和可能な溶剤の中から選ばれる液体溶剤による該ポリマー材料の溶液である。糸状ナノ粒子の分散物は、有利には、固体誘電体マトリックスの製造ステップの間に前記液体前駆組成物に組み入れることができる。
【0059】
さらに、有利には、本発明によれば、液体前駆組成物中の糸状ナノ粒子の分散物を超音波にかける。
【0060】
また、有利には、本発明による方法では、上述の特徴のいずれか少なくとも1つによる糸状ナノ粒子、および、場合により、伝導性ナノファイバー、を使う。
【0061】
有利には、本発明によれば、ハイブリッド材料に印加される電場の強度は1kV/mmから10kW/mmの範囲である。
【0062】
本発明は、また、構造部材の作製およびその種の支持体の表面全体またはその一部に付着した状態で支持されるフィルムの作製のためのかかるハイブリッド材料の使用にも及ぶ。
【0063】
本発明によるかかるハイブリッド材料使用することにより、特に
− 該ハイブリッド材料の表面における機械的応力の直接圧電効果による検出
− 該ハイブリッド材料の表面における温度変化の直接焦電効果による検出
が可能になる。
【0064】
本発明による1つの変形形態では、たとえば以下を目的とした用途における逆圧電効果による静的または動的な機械的波動の生成のためのセンサ/エネルギー変換器などを目的とした用途にかかるハイブリッド材料を使用する。
・ フレキシブル音響装置、および/または
・ 機械的アクチュエータ、および/または
・ 霜取り装置、および/または
・ 「防汚」装置とも呼ばれる機械的汚染防止装置
【0065】
本発明によるもう1つの変形形態では、伝導性ナノファイバーを介した局所レベルでの可聴振動波の吸収およびジュール効果による該振動波のエネルギー消散を可能とするように適合された遮音材料、特に無響材料、を目的とした用途にかかるハイブリッド材料を使用する。
【0066】
本発明は、また、前述または後述の特徴のすべてまたは一部が組み合わされることを特徴とする、複合材料、かかる複合材料の取得方法、および圧電性および/または焦電性のかかる固体複合材料の使用に関する。
【0067】
本発明のその他の目的、特徴および利点は、非限定的なものとして示す例および添付の図面を参照した以下の説明を読めば明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1に示す本発明による方法では、圧電性および/または焦電性および/または強誘電性固体材料によって形成された糸状、すなわち高形状係数の、ナノ粒子1を使う。かかる材料は、当業者であれば自明の方法により、特に蒸着により、または、たとえば、Urbanほか(2001年)、Journal of the American Chemical Society、124(7)、1186−1187に記載されるように配位配位子の存在下で化学的方法で取得する。とりわけ、多孔質膜のチャネル内における電着法による圧電性、焦電性糸状ナノ粒子のかかる製造方法について、以下の実施例1で説明する。
【0070】
固体誘電体マトリックス11の前駆溶液2中で圧電性および/または焦電性糸状ナノ粒子1の分散3を行う。この分散3は、当業者であれば自ずと明らかな手段によって、特に機械的混合または超音波による処理によって行う。とりわけ、この分散手段は、固体誘電体マトリックス11の前駆溶液2中および固体誘電体マトリックス11中に糸状ナノ粒子1の等方的な散らばりが形成されるように適合される。固体誘電体マトリックス11の前駆溶液2は、前記ポリマー溶媒による熱可塑性ポリマーの溶液でよい。
【0071】
前記液体溶媒の蒸発温度を上回る温度での液体溶媒の蒸発4によって本発明によるハイブリッド材料を形成する。固体誘電体マトリックス11中に均質かつ等方的に分散した糸状ナノ粒子1によって形成されるハイブリッド材料を得る。
【0072】
次いで、前記ハイブリッド材料のプレートの形成、前記ハイブリッド材料の薄膜の形成、または支持体14の表面をなす前記ハイブリッド材料の層の形成が可能となるように適合された前記ハイブリッド材料の成形ステップ5を、特に、得られた熱可塑性材料の熱成形により、行う。支持体14の外面は任意の形状のものであってよいが、
図2および
図3に示す実施形態では、支持体14の外面は平らである。
【0073】
次いで、2つの電極をなす2つの電気伝導性プレート10、13を貼付6によってハイブリッド材料の主たる2つの面に接するようにハイブリッド材料に装着し、その2つの電極の間に固体複合材料の分極7が可能となるように適合された電位差を加える。この2つの電極10、13は、また、直接圧電効果または直接焦電効果で固体複合物質からの電気エネルギー移動が可能となるように適合される。この2つの電極10、13は、逆圧電効果におけるハイブリッド材料への電気エネルギー移動のためにも適合される。
【0074】
図示されていない変形形態では、固体誘導体マトリックス11の前駆溶液2は、熱硬化性固体誘電体マトリックス11の重合に必要な成分のうちの一方だけで構成されるものであることも可能である。その場合には、固体誘電体マトリックス11の形成は、前記ハイブリッド材料の成形ステップ5に先立って、熱硬化性固体誘電体マトリックス11の重合に必要なもう一方の成分を後から追加することによって得られる。
図2に示す本発明によるハイブリッド材料は、熱硬化性固体誘電体マトリックス11中に均質かつ等方的に分布した高形状係数のチタン酸バリウムの圧電性および/または焦電性糸状ナノ粒子12を含む。チタン酸バリウムの糸状ナノ粒子12は、ほぼ10μm前後の平均長、ほぼ200nm前後の平均直径および50前後の形状係数を有する。
【0075】
直接圧電または逆圧電用途および直接焦電用途のための本発明によるハイブリッド材料の使用では、ハイブリッド材料は、あらかじめ伝導性電極13を被覆した柔軟なポリマー基板14との間に電気接点を形成する。圧電性および/または焦電性ハイブリッド材料は、また、前記ポリマー基板14に貼り付ける粒子の形で使用することもできる。
【0076】
図3に示す本発明によるハイブリッド材料は、熱硬化性固体誘電体マトリックス11中に均質かつ等方的に分布した高形状係数のチタン酸バリウムの圧電性および/または焦電性糸状ナノ粒子12と電気伝導性ナノ粒子15とを含む。電気伝導性ナノ粒子15は、伝導性ナノ粒子、伝導性ナノファイバーまたはカーボンナノチューブの中から選ばれる。電気伝導性ナノ粒子15の比率は、使う固体誘電体マトリックス11における電気パーコレーション閾値(それを超えると、電気伝導性ナノ粒子15が誘電体マトリックス11中で電気伝導性連続体を形成する値)を体積率の値で下回るように調整される。熱可塑性マトリックス11で作製されるハイブリッド材料は、固体基板上に熱成形される。熱硬化性マトリックス11で作製されるハイブリッド材料は、対象面にあらかじめメタライズされた固体基板に重合される。
【0077】
ハイブリッド材料の機能性添加物が圧電性および/または焦電性糸状ナノ粒子12と電気伝導性ナノ粒子15とで構成される場合は、基板に加えられた振動は圧電性ハイブリッド材料中に伝播する。機械的波動は高形状係数の圧電性糸状ナノ粒子12を介して電気エネルギーに変換され、それによって発生した電荷は電気伝導性ナノ粒子15によって排出される。こうして、機械的伝播波動および基板の振動は、チタン酸バリウムの高形状係数ナノ粒子の逆圧電効果による変換を通して緩和される。
【実施例1】
【0078】
チタン酸バリウムの高形状係数ナノファイバーの調製
厚さが50μmで、孔隙率が200nmであるアルミナ製濾膜(PAA、Porus Anodised Alumina、Whatmann、参照番号6809−5022または6809−5002)の細孔内でチタン酸バリウムの水溶液の電着を行って、BaTiO
3製ナノファイバーを合成する。酢酸バリウム(参照番号255912、Sigma−Aldrich、Lyon、France)3gとチタンイソプロポキシド(参照番号377996、Sigma−Aldrich、Lyon、France)3.3gをエチレングリコール(参照番号324558、Sigma−Aldrich、Lyon、France)3.27mLおよび水2Lの存在下で氷酢酸(参照番号A9967、Sigma−Aldrich、Lyon、France)20.16mLに溶かしてチタン酸バリウムのゾルを作る。調製されたゾルの最終pHは5である。チタン酸バリウムのゾルの中に濾膜を入れ、濾膜の主な面の1つが、銀の電導層で予め覆われたアルミニウム板の表面との防水接触面を形成し、電着装置の陰極を形成する。装置の陽極は、濾膜の反対側の面に対向して延び、チタン酸バリウムのゾルに浸かる純金属、例えば、金または白金の糸によって形成される。
【0079】
陰極と陽極の間に5Vの電圧を加え、初期電流強度がおよそ150μAとなるようにする。こうして、多孔質膜の細孔内にチタン酸バリウムのゾルを付着させる。電着ステップ後、大気中で600°C前後の温度でチタン酸バリウムのナノファイバーの焼鈍熱処理ステップを行って、セラミックナノファイバーを形成する。
【0080】
濃度48g/Lのソーダ水溶液内で処理することによって多孔質膜を溶解させる。15分間処理すると、チタン酸バリウムの高形状係数セラミックナノファイバーはアルカリ溶液中に放出される。ナノファイバーをアルカリ溶液から分離し、N,N−ジメチルアセトアミド(CH3−CO−N(CH
2)
2、参照番号D5511、Sigma−Aldrich、Lyon、France)などの有機溶剤中で洗浄し、保存する。このチタン酸バリウムのセラミックナノファイバーは、200nm前後の平均直径および50μm前後の平均長を有し、長さ対直径比(形状係数)はほぼ250に近い。
【実施例2】
【0081】
チタン酸バリウムの高形状係数ナノチューブの調製
実施例1に記載したとおりのBaTiO
3のゾルを調製する。そのBaTiO
3ゾルを、厚さ50μm、孔隙率200nmのアルミナ製濾膜(PAA)の主たる表面の1つに付着させ、該濾膜の細孔下面のコーティング層が形成されるようにする。多孔質膜を100°Cの温度で乾燥させ、次いで大気中で600°C前後の温度でBaTiO
3のナノチューブの焼鈍熱処理ステップを行う。多孔質膜のアルカリアタックを行い、次いで実施例1に記載したように洗浄して、N,N−ジメチルアセトアミドなどの有機溶剤によるBaTiO
3のナノチューブの懸濁液が形成されるようにする。
【実施例3】
【0082】
ポリアミド11の熱可塑性誘電体マトリックス中に分散したBaTiO
3ナノファイバーによって形成される圧電性および/または焦電性ハイブリッド複合材料の調製
実施例1に記載したとおりの、25の形状係数を有するBaTiO
3ナノファイバー250mgをN,N−ジメチルアセトアミド20mL中に分散させる。この分散物を、ほぼ20kHz前後の周波数の超音波浴内で分散出力を500W前後として分散処理にかける。一方、ポリアミド11(PA11、Rilsan(登録商標)ポリアミド11、ARKEMA、USA)250mgをN,N−ジメチルアセトアミド20mL中に可溶化する。混合物を超音波処理によって均質化する。N,N−ジメチルアセトアミドの蒸発および高温熱成形の後、ポリアミド11マトリックス中のBaTiO
3ナノファイバーの添加が体積比12%である厚さ150μmのハイブリッド複合フィルムを得る。
【0083】
変形形態では、そのハイブリッド複合材料のフィルムは、粒子の形で室温で基板表面に付着させるか、さもなければ、電気伝導性基板の表面に熱処理によって形成される。
【0084】
得られたハイブリッド複合材料のフィルムの主たる2つの面のそれぞれに電極を取り付け、温度100°Cで30分間、強度3kV/mmの電場を印加することによってハイブリッド複合材料を分極処理にかける。
【0085】
5近傍の誘電率、0.7μC/K/m
2以上の焦電性能指数Fの値および45mV.m/N以上の圧電性能指数g
33の値を示しながらも、ポリアミド11マトリックスの機械的延性をほぼ保つ、本発明によるハイブリッド複合材料を得る。
【0086】
固体複合材の表面に機械的な圧縮またはねじり応力を加えると、固体複合材料の巨視的双極子に変化を生じる。したがって、これらの材料は、衝撃もしくは変形センサとして、または機械エネルギーから電気エネルギーへの変換システムで、使用することができる。
【0087】
本発明によるハイブリッド固体複合材料の表面に温度変化を加えると、該固体複合材料の巨視的双極子に変化を生じる。したがって、これらの材料は、有利には、熱センサとして、または熱エネルギーから電気エネルギーへの変換システムで、使用することができる。
【0088】
本発明によるハイブリッド固体複合材料の主たる2つの面に直流または交流電圧を加えると、該材料の変形を生じ、表面応力が発生する。従って、これらの材料は、有利には、電気エネルギーから機械エネルギーへの変換器として使用することができる。
【実施例4】
【0089】
ポリウレタンの熱硬化性マトリックス中のBaTiO
3ナノファイバーから形成される圧電性および/または焦電性ハイブリッド固体複合材料の調製
実施例1に記載したとおりの、25の形状係数を有するセラミック(BaTiO
3)ナノファイバー132mgをアクリル樹脂(Mapaero、Pamiers、France)100mg中に分散させる。アクリル樹脂中のセラミックナノファイバーの懸濁液を500Wの出力で50kHzの周波数の超音波にかける。イソシアネート(Mapaero、Pamiers、France)32mgを懸濁液に加える。その混合物を超音波のもとで均質化する。次いで、その溶液を電気伝導性基板に付着させる。重合の後、厚さが100μmで、体積比12%の添加物を含有する圧電性および焦電性のハイブリッド固体複合フィルムを得る。
【0090】
電気伝導性基板と反対側のハイブリッド固体複合フィルムの主たる面に電極を取り付け、該ハイブリッド固体複合材に温度100°Cで30分間、3kV/mmの電場を印加する。そうすることで、分極により、5近傍の誘電率、0.7μC/K/m
2以上の焦電性能指数Fおよび45mV.m/N以上の圧電性能指数g
33を有するハイブリッド固体複合材料を得る。
【0091】
実施例3および実施例4に記載の本発明によるハイブリッド固体複合材料の特徴との比較のため、先行技術の電気活性材料の説明例として指摘すると、チタン酸バリウムのセラミックは、焦電性能指数Fの値で0.15μC/K/m
2を、圧電性能指数g
33の値で15mV.m/Nを示す。このようなチタン酸バリウムの強誘電体セラミックは機械的もろさが大きい。
【0092】
ハイブリッド固体複合材料の表面に機械的応力を加えると、固体複合材料の巨視的双極子に変化を生じる。従って、これらの材料は、衝撃もしくは変形センサとして、または機械エネルギーから電気エネルギーへの変換システムで、使用することができる。
【0093】
ハイブリッド固体複合材料の表面に温度変化を加えると、該材料の巨視的双極子に変化を生じる。したがって、このような材料は、有利には、熱センサとして、または熱エネルギーから電気エネルギーへの変換システムで、使用することができる。
【実施例5】
【0094】
ポリマーマトリックス中に分散させた高形状係数の圧電ナノファイバーによって形成される複合材によるフレキシブル音響装置の製作
本発明によるハイブリッド材料を実施例3に従って製造する。熱可塑性ポリアミド11マトリックスで作製されたハイブリッド材料を、厚さ70μm、寸法1m×1mの柔軟ポリマー(ポリエチレン)基板上に熱成形する。
【0095】
基板上に被着したハイブリッド材料の電気インピーダンスは、ハイブリッド材料の電気インピーダンスが電圧発生器の電気インピーダンスに適合するように該材料の層厚およびハイブリッド材料の付着面積を変化させることにより、調整することが可能である。
【0096】
本発明によるハイブリッド固体複合材料の主たる2つの面に5Vの電圧と500Hzから20kHzの範囲の可変周波数を加える。電場の作用によるハイブリッド固体複合材料および基板の変形は、加えられた電場の周波数に等しい周波数の応力であって、可聴音を発生する応力を音響装置の表面に生じる。
【0097】
このフレキシブル音響装置は、固体複合マトリックスおよびポリマー基板の延性が保たれること、ならびにそのシステムの電力消費量が少ないことによって、従来型の電磁式バッフル板の使用の1つの代わりとなる。
【実施例6】
【0098】
熱硬化性ポリウレタンマトリックス中に分散させた高形状係数の圧電ナノファイバーによって形成されるハイブリッド材料によるフレキシブル音響装置の製作
本発明によるハイブリッド固体複合材料を実施例4に従って製造する。熱硬化性ポリウレタンマトリックスで作製されたハイブリッド固体複合材料を、その重合のため、該ハイブリッド固体複合材料被着用の表面があらかじめメタライズされた厚さ70μm、寸法1m×1mのポリエチレン製フレキシブル基板に被着する。実施例5に記載したとおりの方法により、本発明による音響装置を得る。
【実施例7】
【0099】
熱可塑性ポリアミドマトリックス中のNaNbO
3のナノファイバーによって形成される圧電性および/または焦電性ハイブリッド固体複合材料の調製
ニオブ酸ナトリウム1gを10mMの濃度の水酸化ナトリウム60mLに溶解させ、得られた溶液を容量が25mLのオートクレーブ内で180°Cの温度で8時間処理することによって、ニオブ酸ナトリウムNaNbO
3のナノファイバーを合成する。30以上の形状係数と斜方晶型の非中心対称結晶構造とを有する糸状ナノ粒子(ナノファイバー)を得る。
【0100】
NaNbO
3のナノファイバー100mgとN,N−ジメチルアセトアミド20mLを混合する。得られた懸濁液を、500W前後の分散出力で超音波(20kHz前後の周波数)処理にかける。一方、200mgのポリアミド11をN,N−ジメチルアセトアミド20mL中に可溶化する。NaNbO
3のナノファイバーを含んだ溶液とポリアミド11の溶液を混合し、得られた混合物を超音波のもとで均質化する。N,N−ジメチルアセトアミドを蒸発させる。30μmから1mmの範囲の厚さの複合フィルムが形成されるように固体複合材料の高温熱成形ステップを行う。誘導体マトリックス中の無機相の体積率は10%である。
【0101】
複合フィルムの主たる面のそれぞれに電気伝導性電極を取り付け、10kV/mmの電場を130°Cの温度で10分間印加する。−100°Cから+180°Cまでの温度範囲で圧電性および/または焦電性の性質を示す圧電性および/または焦電性複合フィルムを得る。