特許第5721748号(P5721748)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5721748-触媒バーナーおよびその使用方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721748
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】触媒バーナーおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/18 20060101AFI20150430BHJP
   F23D 14/62 20060101ALI20150430BHJP
   H01M 8/06 20060101ALN20150430BHJP
   H01M 8/04 20060101ALN20150430BHJP
【FI】
   F23D14/18 Z
   F23D14/62
   !H01M8/06 S
   !H01M8/06 W
   !H01M8/04 N
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-553188(P2012-553188)
(86)(22)【出願日】2010年12月4日
(65)【公表番号】特表2013-519861(P2013-519861A)
(43)【公表日】2013年5月30日
(86)【国際出願番号】EP2010007377
(87)【国際公開番号】WO2011101008
(87)【国際公開日】20110825
【審査請求日】2012年10月5日
(31)【優先権主張番号】102010008209.0
(32)【優先日】2010年2月17日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】カイ・クーへンブーフ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・マンゴールド
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト・ヒンゼンカンプ
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−165646(JP,U)
【文献】 実開昭61−154422(JP,U)
【文献】 特開2005−321188(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102008031060(DE,A1)
【文献】 特開2003−183001(JP,A)
【文献】 特開2005−276634(JP,A)
【文献】 特開2000−282857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D14/00−14/84
H01M 8/04
H01M 8/06
B01D53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒体と、該触媒体に混合気を供給するためのパイプエレメントと、該パイプエレメントと前記触媒体との間の移行部分と、を備え、回転エレメント(8)が流れる方向を向いて前記触媒体(2)の前の流路に配置されている触媒バーナーであって、
前記回転エレメント(8)が複数の案内羽根(10)を有すること
前記回転エレメント(8)が、前記パイプエレメント(3)の断面全体を占め、前記パイプエレメントの移行部分(9)側の端部に前記パイプエレメントの終点部として配置されていること
前記触媒体(2)がシリンダ形に形成されており、前記触媒体(2)の通過可能な断面に関して中央に前記回転エレメント(8)が配置されていること、
前記通過可能な断面が、前記回転エレメント(8)と前記触媒体(2)との間で扇状に拡張していること、および
前記断面の拡張部分において前記触媒体(2)と直に接している半径方向の外側に位置している壁に、液体を排出するためのガイドエレメント(11)及び/又は開口部が設けられていることを特徴とする触媒バーナー。
【請求項2】
前記パイプエレメント(3)が、流れる方向に通る取付け部品(4)によって、流れる方向を向いて前記回転エレメント(8)の前で少なくとも2つの平行な部分パイプエレメントに分割されていることを特徴とする、請求項1に記載の触媒バーナー。
【請求項3】
燃料電池の排出ガス(A)中にある燃焼可能な残留物質を熱変換するための、請求項1または2に記載の触媒バーナーの使用方法。
【請求項4】
追加の燃料(B)が、前記排出ガス(A)に供給されることを特徴とする、請求項に記載の触媒バーナーの使用方法。
【請求項5】
高温のガスが、前記触媒バーナー(1)後にタービン内で膨張することを特徴とする、請求項又はに記載の触媒バーナーの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に詳しく定義されている種類の触媒による燃焼装置である触媒バーナーに関する。さらに、本発明は、そのような触媒バーナーの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
触媒バーナーは、裸火なしで、燃焼可能な基本材料を変換するために使用することができる。例えば、燃料電池システムの分野から、排出ガス内の残留水素を燃焼させるための触媒バーナー、及び/又は熱エネルギーを生成するために水素又はその他の燃料を適切に燃焼させる触媒バーナーが知られている。この種の触媒バーナーは一般的に触媒体を有しており、この触媒体は、例えば多孔質又はハニカム構造の材料として、又はペレットなどのフィリングとして形成されている。この触媒体に使用される材料には、少なくとも部分的に触媒作用のある物質、例えば白金、パラジウムなどが用いられる。このような触媒バーナーによって、使用されている基本材料を完全に変換するためには(このことは、特に排出ガス内などの不適切な残留物を燃焼する場合に触媒バーナーを用いる主な目的の1つである)、適切な大きさの触媒バーナーを提供して、燃焼させる混合気内の燃焼可能物質を全て変換できるようにすることが必要である。このことは、相応の大きさの取付けスペースと、それに伴って比較的大きな触媒体を必要とする。通常は触媒として使用される材料、例えば白金は非常に高価であることから、そのような大きい触媒体は、常に高額なコストとも結びついている。
【0003】
使用される触媒体の長さは、この場合、特に、この触媒体に流れる混合気の等分配と関係がある。この等分配が改善されると、使用されている通過可能な触媒体の断面において均等な変換が適切に行われ、このことによって、この触媒体をより短く、従ってより小さく、低コストに実施することが可能となる。この観点において、特許文献1から知られているように、排出ガス流を均等に分配するため、流れの方向に通る取付け部品がエグゾーストパイプ内にガイドプレートとして設けられ、スペースの理由によりしばしばエグゾーストパイプを曲げる必要性が生じても、この取付け部品により、エグゾーストパイプの断面全体にわたって排出ガス流を比較的均等に分配することが確実なものになる。混合気を触媒体の部分に送るパイプエレメントが曲がっている場合は、この構造により改善を行うことができるが、それでも、これらのパイプエレメントでは、触媒体の長さを短縮できるほど、通過可能な触媒体の断面の均等な流れを生み出すことはできない。
【0004】
特許文献2の形態におけるその他の一般的な従来技術から、従来技術において一般的であるようなリングノズルを介して追加の燃料を流し込むのではなく、非常に複雑な構造を作り出す触媒バーナーが知られており、この場合、流れるガスと配合された燃料とを非常によく混ぜ合わせるために、流れる方向が何度も変えられる。次に、この混合気は相応に混合された状態で、触媒体の部分に流れ込む。しかし、この場合も、非常によい混合状態が達成されるだけで、この構造によって、触媒体の均等な流れを実現することはできない。さらに、非常に小さく、繊細な構成部品が多いことから、この構造は極めて複雑になり、触媒体の前の混合部分が極めて高コストになる。
【0005】
その他の一般的な従来技術には、特許文献3がある。この特許文献では、ガスの混合装置が説明されており、この装置の中には回転エレメントがセットされており、この回転エレメントの部分に個別に流れ込む2本のガス流が互いに混合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008031060号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0096204号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0172547号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の課題は、構成部品に関して最小の経費により、単純かつコンパクトな構造で、できる限り均質な触媒体の流れを可能にし、それによって触媒体の全長を短縮することができる触媒バーナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に基づき、この課題は、請求項1の特徴とする部分に記載された構成によって解決される。本発明に基づく触媒バーナーのその他の有利な実施形態は、従属請求項に示されている。本発明に基づく触媒バーナーの特に好ましい使用は、請求項7に示されている。本発明の有利な発展形態は、従属請求項に示されている。
【0009】
本発明に基づき、流路には、回転エレメントが、流れる方向を向いて触媒体の前に配置されている。非常に有利な発展形態によれば、そのような回転エレメントは複数の案内羽根によって形成することができ、流れる方向に関して最小の取付けスペースで、触媒体における燃焼ガス分配及び混合気の速度プロファイルの両方が、様々な負荷ケースにおいて明らかに均質化される。このことは、流れのシミュレーションによって明確に示された。この回転エレメントが特に複数の案内羽根によって形成されている場合、触媒体前の混合気の流れが半径方向の動きによって扇形に広げられ、非常に均等かつ均質な流れが触媒体において生み出される。これによって、使用されている触媒体の面全体にわたり、混合気が非常に均質な速度プロファイルで分配される。従って、触媒体又はこの中にある触媒作用のある物質を最適に利用することができ、触媒体の必要な取付けスペースに関して、ここでは特に必要な取付け長さに関して最小化することができる。これによって、非常にコンパクトな構造が生まれ、さらにこの構造は、一般的には非常に高価な触媒作用のある物質を明らかに節約することができる。
【0010】
本発明に基づく構造の特に適切かつ有利な発展形態によれば、触媒体がシリンダ形に形成されており、触媒体の通過可能な断面に関して中央に回転エレメントが配置されている。この場合、シリンダ形の触媒体には、この触媒体をパイプエレメント又はパイプラインの一部に組み込んで形成できるという利点がある。この場合、回転エレメントの中央配置により、シリンダ形に形成された触媒体の通過可能な断面にわたって、流れる混合気を最適に分配することが可能になり、この断面は丸い断面として形成されている。
【0011】
本発明に基づく触媒バーナーの特に有利な実施形態では、さらに、回転エレメントがパイプエレメントの断面全体を占め、パイプエレメントの移行部分側の端部に配置されている。この実施形態によれば、通過可能な断面全体をこの回転エレメントが占めているため、混合気全体が回転エレメントの回転運動の中に取り込まれ、半径方向に向きが変えられる。これによって混合気の流れを最大まで扇形に広げることができる。移行部分及び触媒体に向けられているパイプエレメント部分の配置により、非常に簡単な構造が生じる。というのも、この回転エレメントは、パイプエレメントの終点部として、移行部分とパイプエレメントとの間に取り付けられるからである。
【0012】
本発明に基づく触媒バーナーのもう1つの非常に適切かつ有利な実施形態では、さらに、回転エレメントと触媒体との間の通過可能な断面が拡張されている。この拡張は、特に移行部分で行うことができ、通常は、漏斗のような形で実施することができるため、比較的大きい触媒体の通過断面に均等な流れを生じさせることが可能となる。さらに、断面の拡張により、同じ流量において混合気の速度が低下するため、流れの速度及び触媒体の部分における混合気の滞留時間を長くすることができる。このことは、触媒体部分の寸法及び触媒作用のある物質の量を減少させることになる。それでも、触媒体の断面全体において非常に均等なガスの分配が行われるように、この場合、拡張されている通過可能な断面部分において、すでに度々言及したように、回転エレメントによって混合気の流れが扇形に広げられる。
【0013】
本発明に基づく触媒バーナーの非常に有利な実施形態では、さらに、断面の拡張部分において半径方向の外側に位置している壁に、液体を排出するためのガイドエレメント及び/又は開口部が設けられている。触媒体の部分に発生して、一部の作用面を湿らせることによってガスの変換を阻害する液体を、混合気が必要に応じてガイドすることができる。しかし、ガス流が半径方向に扇形に広がることにより、この液体にも回転が与えられ、この液体は回転を伴って断面の拡張部分を通過する。これによって、場合によっては一緒に送られる液滴が、遠心力によって外側へ放り出され、拡張断面の壁の部分に集まる。ここには、該当するガイドエレメント及び/又は開口部を設けることができ、集まった液体をそこから排出することができる。例えば、触媒体前の壁の中に該当する溝を取り付け、その中に液体を集め、その液体を断面の拡張部分から排出するようにすることができる。
【0014】
本発明に基づく触媒バーナーの有利な発展形態では、さらに、パイプエレメントが、流れる方向に通る取付け部品によって、流れる方向を向いて回転エレメントの前で少なくとも2つの平行な部分パイプエレメントに分割されている。パイプエレメントのこの取付けは、冒頭で述べた従来技術で説明したように、特に、回転エレメントの部分に混合気を送るパイプエレメントが曲がっている場合に使用し、回転エレメントを通る流れを均等化することによって、最終的には扇形に広げられる流れも明らかにより均質に形成することができる。パイプエレメントを少なくとも2つの平行な部分パイプエレメントに分割する、流れる方向に通るこの種の取付け部品が使用されない場合、曲折したパイプエレメントによって、回転エレメントを通る不均一な流れが生じるおそれがあり、結果的に、この流れが、同様に不均一な触媒体の流れを生じるであろう。
【0015】
上述した実施形態のいずれかにおける、本発明に基づく触媒バーナーの特に好ましい使用は、この場合、燃料電池の排出ガス中にある燃焼可能な残留物質の熱変換に用いることである。本発明に基づく触媒バーナーの特に好ましいこの使用により、燃料電池の排出ガス中にある燃焼可能な残留物質(通常は水素を有している)の熱変換が可能となる。水素を周辺環境に排出してはならないという事実により、引火性又は爆発性のある混合気を燃料電池システムから流出させないために、燃料電池の排出ガス中にある燃焼可能な残留物の完全な変換には特に高い要求を課す必要がある。従って、すべての作動状況においてこのことを確実かつ高い信頼性をもって保証するためには、大きな触媒体が必要である。しかし、本発明に基づく触媒バーナーの構造により、すでに何度も言及したように、触媒体の寸法を縮小することができる。特に、燃料電池での使用においては、このことが重要な役割を演じる。というのも、取付けスペースと経費とに関して最小化されたこの触媒バーナーによって、排出ガス中の燃焼可能な全ての残留物を確実かつ高い信頼性をもって、完全に変換することができるからである。一般的な従来技術から知られているように、燃料電池又はそれを装備している燃料電池システムが、さらに、電気的駆動力を提供するために車両に使用される場合、長期的には燃料電池車両によって確実に達成される経費の節約と、自動車における一般的な部品数とによって、触媒バーナーの部分において経費と原料とを明らかに節約することが可能となる。
【0016】
もう1つの非常に適切かつ有利な使用形態では、さらに、追加の燃料が排出ガスに送られるようになっている。すなわち、燃料電池システムでは、燃料電池のために、水素含有ガスを発生させる基本材料が混合気に供給されるか、又は水素を使用する燃料電池の作動中にこの水素が混合気に供給されると考えられる。この場合、この供給は、例えば冒頭に述べた従来技術から知られているリングノズルによって行うことがでる。次に、この混合気は、パイプエレメント及び必要に応じてこれを通る取付け部品を介して回転エレメントに送られ、通常、燃料電池のカソード領域から出る排出エア流及び場合により燃料電池のアノード領域から出る水素含有の残留ガスである既存の混合気と一緒に混ぜ合わせることができる。全体として、燃料を比較的大量に含む混合気が生じ、触媒バーナーの熱エネルギーがその他の使用目的に必要となる場合は、このエネルギーを十分に供給することができる。
【0017】
触媒バーナーのこの使用における特に適切かつ有利な発展形態では、高温の排出ガスが触媒バーナー後にタービン内で膨張するようになっている。燃料電池システムから出る排出ガスの圧力エネルギーと熱エネルギーとを再利用するこのようなタービンは、同様に一般的な従来技術から知られている。この場合、タービンは、直接又は間接的に、燃料電池に送られる処理空気用のコンプレッサに接続することができる。タービン及び/又はコンプレッサを、さらに電動機に連結することも考えられる。すなわち、エレクトリックターボチャージャ(Electric Turbo Charger)又はETCとも呼ばれる構造が生まれる。この構造の場合、燃料電池部分から出る残留エネルギーは触媒バーナーによって利用され、タービンを介して利用可能な機械的エネルギーに転換することができる。次に、このエネルギーは、少なくとも部分的に、処理空気用のコンプレッサを駆動する。必要とされた出力が場合により残っているときは、電動機によってモーター駆動に供給される。コンプレッサが必要とするよりも多くの出力がタービンによって提供される場合、この出力を電力に変換するために、この電動機をジェネレータとしても利用することができる。従って、触媒バーナーの部分に燃料を追加的に注入して、一時的に非常に高温のガスを発生させることにより、車両の極めて動的な作動も実現可能となり、例えば燃料電池が電力を全く供給できないか、又は十分に供給できない場合には、ジェネレータとしての電動機によって車両を駆動するための追加電力が提供できるように、この高温のガスがタービンを介して多くのエネルギーを提供する。
【0018】
本発明に基づく触媒バーナーの有利なその他の実施形態は、引き続き図を用いて詳しく説明される実施例に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に基づく触媒バーナーの基本的な断面図である。
図2】本発明に基づく回転エレメントを上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、触媒バーナー1の基本的な断面図が示されている。この触媒バーナーは、主として、触媒体2及びパイプエレメント3からなり、このパイプエレメントは、燃焼可能な、又は変換可能な基本材料を有する混合気を触媒体2に送る。基本材料は、例えば、燃料電池のカソード領域とアノード領域から出る排出ガスに含まれる物質、すなわち、特に残留酸素及び残留水素であり得る。しかし、基本的には、その他の燃焼可能な物質、例えば炭化水素なども考えられる。ここに示されている実施例においては曲げられた状態に実施されているパイプエレメント3が、流れる方向に通る取付け部品4を有しており、パイプエレメント3が曲がっている場合でも、この取付け部品によって、パイプエレメントの曲折後に、流れる混合気をパイプエレメント3の断面に均等に分配することが確実に行われる。矢印Aに従って流れる混合気は、例えば、燃料電池のカソード領域とアノード領域から出る排出ガスAの混合物であり得る。すでに燃焼可能なこの混合気には、その他に、リングノズル5から燃料Bを追加的に供給することができる。この燃料Bは、リングスペース6からパイプエレメント3の周辺に配分されている開口部7を介して燃料Bが混合気に注入されるように、周知のリングノズル5によって混合気Aの中に入れられる。燃料Bがオプションで供給されている混合気Aは、次に、パイプエレメント3を通り、取付け部品4によって均等にパイプエレメント3の曲折部を通されて、回転エレメント8の部分に流れ、そこから移行部分9を通って触媒体2に流れる。
【0021】
この場合、回転エレメント8は、図2でも分かるように、複数の案内羽根10によって形成され、回転エレメント8を通って流れる混合気Aの方向が半径方向に変化するようになっている。このことにより、混合気Aは扇形に広げられ、移行部分9において拡張する断面を通って、極めて均質かつ均等に触媒体2の通過可能な面にわたって分配されることができる。回転エレメント8は、この場合、非常に小型で、単純に形成されているため、低コストで製造することができる。流れのシミュレーションでは、この単純かつ効果的な回転エレメント8により、触媒体2のガス分配及び速度プロファイルの両方とも、様々な負荷ケースにおいて明らかに均等化できることを確認することができた。従って、使用可能な触媒体2又は触媒体2に使用されている通過可能な断面を混合気が理想的に流れ、断面が最適に利用される。従って、触媒体2を極めて小さく、効果的に形成することができる。このことは、取付けスペースと経費とに関して、並びに触媒作用のある必要な材料に関して、重要な利点である。
【0022】
混合気の流れに液滴の形で液体があると、この液体が触媒体2の少なくとも一部の面を湿らせ、触媒作用を奪ってしまう可能性がある。このことを防止できるようにするため、移行部分9の壁部分、例えば、この壁が触媒体2と直に接している壁部分に、該当するガイドエレメント11及び/又は開口部をオプションで設けることができる。回転エレメント8によって触媒体2の断面に扇状に広げられる混合気の流れの中では、液滴が遠心力によって外側へ放り出される。このことによって、移行部分9の壁部分では、ガイドエレメント11及び必要応じて排出開口部(ここでは図示されていない)によって、非常に効率的に液体が分離され、触媒バーナー1の部分から液体を排出することができる。
【0023】
全体として、非常に単純かつコストの低い手段を使って、使用されている触媒体2の断面を通過する流れを最善なものにすることができ、流れる方向に対して非常に短く、安い経費でできる触媒体2の構造を可能にする、非常に効率的かつコンパクトな構造が生じる。
【符号の説明】
【0024】
1 触媒バーナー
2 触媒体
3 パイプエレメント
4 取付け部品
5 リングノズル
6 リングスペース
7 開口部
8 回転エレメント
9 移行部分
10 案内羽根
11 ガイドエレメント
A 排出ガス、混合気
B 燃料
図1-2】