(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5721807
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】航空機の乗客用シートのディバイダーユニット
(51)【国際特許分類】
B64D 11/06 20060101AFI20150430BHJP
B60N 3/00 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
B64D11/06
B60N3/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-254187(P2013-254187)
(22)【出願日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年2月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000132013
【氏名又は名称】株式会社ジャムコ
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 道人
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 正路
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−529677(JP,A)
【文献】
特表2008−520480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/06
B60N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に配置される航空機の乗客用シートの間に配置されるスライド型のディバイダーユニットであって、
シートを囲むサイドシェル上に固定されるスライドレールと、
スライドレール内に差し込まれる2つのリニアガイドに支持される板状のスライダーと、
スライドレールの前後端側にとりつけられるストッパーとを備え、
スライドレールは、上部にスリットを有する断面がCチャンネル形状の部材であり、
リニアガイドはスライドレールに差し込まれる下向きのT字形の部材であり、
少なくとも前端側ストッパーは、スライドレールの端部はスライダーの先端が乗り上げる高さであって、奥側が高くなるテーパー面を備えること、
を特徴とする航空機の乗客用シートのディバイダーユニット。
【請求項2】
ストッパーのテーパー面は凹形状の湾曲面で形成されることを特徴とする請求項1記載のディバイダーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の客室内に配置されるビジネスクラス用シート(座席)等に装備されるディバイダーと称する仕切板のユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ビジネスクラスのシートにあっては、シェルと称する囲いの内部に、リクライニングシートを収容したものを、2座席分並べて配置するものがある。
この種のシートは、隣のシートの間にスライド式のディバイダーを設けてプライバシーの向上を図っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−536390号公報
【特許文献2】特表2011−511739号公報
【特許文献3】特表2012−529677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
航空機のシートは離着陸時には、リクライニング、テーブルなどを初期の状態に戻す必要がある。ディバイダーは離着陸時には収納された状態(初期の状態)とし、使用時には前方にスライドさせてストッパーに当接させ閉めて閉空間を作る。この場合、ディバイダーは、衝突時の強度要求を満たすために剛性の高いストッパーで停止させる構造を備えるが、通常の使用時には高い剛性のストッパーとの衝突音が大きく、プライバシーの確保の上では問題となる。
【0005】
本発明の目的は上述した問題を解決する航空機のシート用のディバイダーユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成させるため、本発明の航空機の乗客用シートのディバイダーユニットは、シートを囲むサイドシェル上に固定されるスライドレールと、
スライドレール内に差し込まれる2つのリニアガイドに支持される板状のスライダーと、
スライドレールの前後端側にとりつけられるストッパーとを備え、
スライドレールは、上部にスリットを有する断面がCチャンネル形状の部材であり、
リニアガイドはスライドレールに差し込まれる下向きのT字形の部材であり、
少なくとも前端側ストッパーは、スライドレールの端部はスライダーの先端が乗り上げる高さであって、奥側が高くなるテーパー面を備えること、を特徴とする。
【0007】
また、ストッパーのテーパー面は凹形状の湾曲面で形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は以上の構成を備えることにより、ディバイダーを閉める際に、スライダーがストッパーに直接衝突せずフリクションにより衝撃を吸収し強度要求を満足する事が可能となる。また、この発明により、ディバイダーが徐々に停止するので、衝突音の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】
図3はディバイダーの全体構成を示す説明図である。
【
図4】
図4はディバイダーの全体構成を示す説明図である。
【
図6】
図6はディバイダーの作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳述する。
図1に示すように、航空機の乗客用シート1はバックシェル10,サイドシェル12に囲まれるシート本体20を有し、隣接して配置される一対の乗客用シート1の間のサイドシェル12にディバイダーユニット100が装備される。
【0011】
図2はディバイダーユニット100の部品構成を示し、サイドシェル12に固定される固定フレーム110の上面にスライドレール120が取りつけられる。スライドレール120は上部に溝が開口し、両側にフランジ部122を有するCチャンネル形のレールである。
【0012】
ディバイダー150は板状の部材であって、2個のリニアガイド170
によりスライドレール120内を摺動する。リニアガイド170は下向きのT字形状であって、両側に拡がる案内部を有し、スライドレール120のフランジ部122の内側に差し込まれる。
【0013】
スライドレール120の前端と後端には、それぞれ前端側ストッパー130,後端側ストッパー140がとりつけられる。前端側ストッパー130の上面はテーパー面132に形成され、後端側ストッパー140の上面はテーパー面142に形成される。
【0014】
図3は乗客がディバイダー150のハンドル152を把持して矢印F方向に摺動させる状態を示す。
ディバイダー150を前方に引き出すことにより、隣席との間が仕切られて、プライバシーが向上する。
【0015】
図4はディバイダー150の下部にディバイダーフレーム160が備えられる構造を示す。
板状のディバイダー150の下部にディバイダーフレーム160を取り付けることで、剛性が向上する。
【0016】
図5はディバイダー150の先端下部の詳細を示す。
ディバイダーフレーム160の下部にリニアガイド170が固定される。
【0017】
図6(a)から(c)はディバイダー150を矢印F方向に摺動してディバイダー150を閉じる作用を示す。
【0018】
ディバイダー150がスライドレール120上を摺動してディバイダーフレーム160の
フレーム先端下面部162が前端側ストッパー130に近接すると、前端側ストッパー130のテーパー面132の先端部はディバイダーフレーム160の
フレーム先端下面部162よりも低い位置に設定されているので、ディバイダーフレーム160の
フレーム先端下面部162は図の(b)に示すように、前端側ストッパー130のテーパー面132に乗り上げる。
【0019】
テーパー面132は奥に行くに従い高さ位置が増大するので、ディバイダーフレーム160は上昇しようとする。しかしながら、リニアガイド170はスライドレール120のスリット内にあって、リニアガイド170とスライドレール120のフランジ部122は干渉するので、上昇は規制される。
【0020】
そこで、ディバイダーフレーム160の
フレーム先端下面部162は前端側ストッパー130のテーパー面132との間で摩擦力により徐々に減速され、ディバイダー150の前方への移動は停止する。
【0021】
この作用により、ディバイダー150のディバイダーフレーム160と前端側ストッパー130は衝突により停止することが避けられ、ノイズの発生は防止される。
【符号の説明】
【0022】
1 航空機の乗客用シート 10 バックシェル 12 サイドシェル 20 シート本体 100 ディバイダーユニット 110 固定フレーム 120 スライドレール 122 フランジ部 130 前端側ストッパー 132 テーパー面 140 後端側ストッパー 142 テーパー面 150 ディバイダー 152 ハンドル 160 ディバイダーフレーム 162
フレーム先端下面部 170 リニアガイド
【要約】
【課題】航空機に並列に装備されるシートの間に設けられるディバイダーの改良を図る。
【解決手段】乗客用シートのディバイダーユニット100は、シートを囲むサイドシェル上に固定されるスライドレール120を有する。板状のディバイダー150はスライドレール120に差し込まれる2個のリニアガイド170を備えてスライドレール120内を摺動する。スライドレール120の先端に取り付けられるストッパー130は、テーパー面132を有し、ディバイダー150の先端はテーパー面132に乗り上げる状態で停止し、衝突音の発生は防止される。
【選択図】
図2