特許第5721837号(P5721837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5721837表示装置用の光導波システム及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721837
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】表示装置用の光導波システム及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/00 20060101AFI20150430BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20150430BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20150430BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150430BHJP
【FI】
   G09F13/00 F
   G09F9/00 350Z
   F21V8/00 360
   F21V8/00 355
   F21V8/00 330
   F21Y101:02
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-527586(P2013-527586)
(86)(22)【出願日】2011年9月7日
(65)【公表番号】特表2013-545118(P2013-545118A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2011065427
(87)【国際公開番号】WO2012032072
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2013年3月11日
(31)【優先権主張番号】102010040534.5
(32)【優先日】2010年9月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シュリットマイアー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴア ザウアー
(72)【発明者】
【氏名】アルフレート ブルーンホーファー
【審査官】 櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−100671(JP,A)
【文献】 特開2008−027609(JP,A)
【文献】 実開昭56−047577(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 8/00
G09F 9/00−9/46
13/00−13/46
H01L27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置(1)用の光導波システム(20)において、
前記光導波システム(20)は一つ又は複数の光導体群(20−1,20−2,20−3,20−4,20−5,20−6)を有しており、
少なくとも一つの光導体群(20−1,20−2,20−3,20−4,20−5)は、
LED(14)の光に対して透過性の材料から成る複数の光導体(18)と、
回路基板(12)とフロントパネル(2)との間の間隔を調整し、且つ、前記フロントパネル(2)及び前記回路基板(12)を相互に固定するねじ又はボルト(35)が案内される間隔保持部(34)と、
前記光に対して非透過性の材料から製造されており、且つ、前記複数の光導体(18)をそれぞれ包囲しているケーシング(22)とを有していることを特徴とする、光導波システム(20)。
【請求項2】
前記間隔保持部(34)は前記ケーシング(22)の一部として形成されている、請求項1に記載の光導波システム(20)。
【請求項3】
前記ケーシング(22)は、前記回路基板(12)とフロントパネル(2)との間に形成されている間隙(30)において個々の前記光導体(18)をそれぞれ完全に包囲している、請求項1又は2に記載の光導波システム(20)。
【請求項4】
前記ケーシング(22)はケーシングシリンダ(24)及びウェブ(38)を形成しており、
前記ケーシングシリンダ(24)は円筒状の外周において前記光導体(18)をそれぞれ包囲しており、
前記ウェブ(38)は前記ケーシングシリンダ(24)及び前記間隔保持部(34)を相互に接続している、請求項3に記載の光導波システム(20)。
【請求項5】
前記ウェブ(38)は前記フロントパネル(2)に載置するために形成されている、請求項4に記載の光導波システム(20)。
【請求項6】
一つの光導体群(20−1,20−2,20−3,20−4,20−5)の前記複数の光導体(18)の前面(19)は、前記表示装置(1)の表示面を形成するために、一つの共通の垂直な平面内に位置しており、前記共通の垂直な平面は前記フロントパネル(2)の平面の手前又は前記フロントパネル(2)の平面内に位置している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光導波システム(20)。
【請求項7】
前記光導体(18)の材料は、前記光導体(18)の前面(19)から放出される光が外部空間全体において散乱されるように濁っているか、又は、光散乱性である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光導波システム(20)。
【請求項8】
前記ケーシング(22)と接触している前記光導体(18)の円筒状の表面は、光の屈折による損失を最小にするために高光沢研磨されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光導波システム(20)。
【請求項9】
前記間隔保持部(34)はそれぞれ、前記回路基板(12)を前記フロントパネル(2)に固定するためのねじ又はボルト(35)を収容するための貫通孔を有している、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光導波システム(20)。
【請求項10】
前記光導波システム(20)は複数の別個の光導体群(20−1,20−2,20−3,20−4,20−5,20−6)を有しており、該複数の別個の光導体群(20−1,20−2,20−3,20−4,20−5,20−6)の間隔保持部(34)は、前記フロントパネル(2)と前記回路基板(12)との間において等しい間隔を形成するために同じ長さを有しており、且つ、複数の別個の光導体群(20−1,20−2,20−3,20−4,20−5,20−6)の光導体(18)は同じ長さを有している、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光導波システム(20)。
【請求項11】
前記光導波システム(20)は六つの光導体群(20−1,20−2,20−3,20−4,20−5,20−6)を有しており、
該六つの光導体群(20−1,20−2,20−3,20−4,20−5,20−6)の内、
第1の光導体群(20−1)は押しボタン(6)の隣の表示フィールド(19)用の24個の光導体(18)を有しており、
第2の光導体群(20−2)はスライド式制御部(4)の表示フィールド(19)用の、及び/又は該スライド式制御部(4)をアクティブにするためのキー用の16個の光導体(18)を有しており、
第3の光導体群(20−3)はスライド式制御部(4)及び補完的なキー又はプッシュスイッチにおける表示フィールド(19)用の19個の光導体(18)を有しており、
第4の光導体群(20−4)は20個から30個の光導体(18)を有しており、それらの光導体の内の一部の光導体(18)は、棒状の光又は帯状の光を表示するための垂直方向の二つの列に配置されている表示フィールド(19)のために設けられており、
第5の光導体群(20−5)は5個の光導体(18)を有しており、それらの光導体の内、3個の光導体(18)は相互に密に隣接して配置されており、別の2個の光導体(18)は相互に密に隣接して配置されており、
第6の光導体群(20−6)は光導体(18)及び間隔保持部(34)を一つだけ有している、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光導波システム(20)。
【請求項12】
前記第4の光導体群(20−4)は28個の光導体(18)を有しており、それらの光導体の内、24個の光導体(18)は、棒状の光又は帯状の光を表示するための垂直方向の二つの列に配置されている表示フィールド(19)のために設けられている、請求項11に記載の光導波システム(20)。
【請求項13】
複数のLED(14)を制御するための回路基板(12)と、
ユーザが観察する表示面(19)を表すため、又は形成するためのフロントパネル(2)とを備えている、携帯可能なミキシングアンプのための表示装置(1)において、
前記複数のLED(14)は、SMD−LED(14)としてSMD技術により前記回路基板(12)上に実装されており、
前記SMD−LED(14)と前記フロントパネル(2)との間には、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光導波システム(20)が設けられており、
前記光導波システム(20)の前記光導体(18)の後ろ側の端面(28)は、前記SMD−LED(14)の手前又は前記SMD−LED(14)上に位置決めされており、
前記光導体(18)の前面(19)は、前記表示面を形成するために、前記フロントパネル(2)の手前又は前記フロントパネル内に位置決めされていることを特徴とする、表示装置(1)。
【請求項14】
前記光導体(18)は前記フロントパネル(2)における貫通部(26)又は自由空間から突出しており、
前記光導体(18)の前記前面(19)は前記フロントパネル(2)の手前又は前記フロントパネル(2)内で一つの共通の平面に位置決めされている、請求項13に記載の表示装置(1)。
【請求項15】
前記光導体群(20−1,20−2,20−3,20−4,20−5,20−6)の前記ケーシング(22)のウェブ(38)は前記フロントパネル(2)の内面に載置されている、請求項13又は14に記載の表示装置(1)。
【請求項16】
前記表示装置(1)は、表示及び操作装置(1)として形成されており、
前記回路基板(12)上に調整可能な複数のポテンショメータ(15)が設けられており、
前記ポテンショメータ(15)を調整する操作素子(3,4,5)が前記フロントパネル(2)から張り出しており、
前記フロントパネル(2)には、前記操作素子(3,4,5)と前記ポテンショメータ(15)との間の作用結合部のための開口部(32)が形成されており、
前記光導体(18)は、前記回路基板(12)と前記フロントパネル(2)との間に形成されている間隙(30)において、前記光導体群(20−1,20−2,20−3,20−4,20−5,20−6)の前記ケーシング(22)によって前記開口部(32)から遮蔽されている、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の表示装置(1)
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ライブパフォーマンス用のミキシングアンプ、特に携帯可能なミキシングアンプは一般的に、電気的な音信号、例えばマイクロフォン及び電気的又は電子的な機器からの音信号のための複数の信号入力端と、スピーカに接続するための複数の出力端とを備えている。ユーザは相応の操作素子、例えば回転ポテンショメータ、スライドポテンショメータ及びプッシュキーを介して、個々の入力チャネルを所期のように増幅し、信号整形のような別の機能並びにモノラル、シングル等の特別な機能を調整し、出力信号を出力チャネルへと出力することができる。操作素子は一般的に、表示装置と操作装置が組み合わされた装置上に取り付けられており、そのような装置は例えばミキシングアンプの前面に配置されている。
【0002】
操作素子には操作素子の状態、例えばセット又は未セットを視角化するため、また必要に応じて信号レベルを表すための表示フィールドが設けられている。表示フィールドとして特にLEDが設けられており、それらのLEDを例えばそれぞれの操作素子の隣に配置することができる。
【0003】
このために、一般的には複数のLEDがフロントパネルに取り付けられており、このフロントパネルはミキシングアンプの外側端部を形成している。フロントパネルには種々の操作素子のための穿孔乃至開口部が設けられている。LEDは相応の電気的及び電子気的なコンポーネントを備えている回路基板、例えばボードを介して制御される。回路基板は一般的にフロントパネルの裏において距離を置いて設けられているので、それにより間隙が形成される。接触接続のために、導体が回路基板から間隙を通りLEDへと案内されている。
【0004】
それらのLEDのプラスチックボディは一般的に、LEDが見える色に着色されている。それらの色は一般的に、フロントパネルの一般的な着色とは一致していないので、フロントパネル上又はその操作表面上のスイッチオフされたLEDを認識することができてしまう。
【0005】
LEDの構造の高さは製造技術的に惹起される製造公差に起因して不均一であり、LEDがフロントパネルに取り付けられる場合には、LEDが均一には位置調整されていないか、又はその前面が共通の垂直な平面を表さないので、ユーザはこの不均一を認識することができる。
【0006】
ボードとフロントパネルとの間の所望の間隔を保証するために、例えば個別の間隔保持部が複数個挿入されるので、従って、間隔保持部の取り扱いはある程度の実装の煩雑さを伴うことになる。
【0007】
製造プロセス中の安全な搬送のために、一般的には、特に導線接続部の精密度に基づき、またボードに相対的なフロントパネルの確実な固定のために特別な保全措置が必要とされる。
【0008】
特許文献1には、種々のチャネルを有する入力/出力インタフェースを備えている、音楽用のミキシングコンソールが開示されている。このミキシングコンソールにおいては、所望の情報を表示するためのディスプレイ又は表示フィールドが設けられている。更に、ユーザが押すことのできるボタン内には、ボタンのアクティブな状態を表示するために光源が配置されている。
【0009】
押しボタン内に光源をそのように取り付けることによって、確かにユーザにとっては直接的で視覚的な対応付け及び迅速な認識が実現されるが、しかしながら光源の接触接続部は調節時に機械的な負荷に晒されるので、それにより例えば接触接続部の破損、また同様の問題が発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO 2007/110576 A1
【発明の概要】
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、LEDが回路基板、例えばボード上に取り付けられており、従って表示フィールドが形成されているフロントパネルからは距離を置いて設けられている。光はLEDから光導体を介して表示フィールドへと案内される。
【0012】
これによって既に幾つかの利点が達成される。つまり本発明によれば、回路基板にLEDを結線させて実装すること、もしくはLEDと回路基板との間に導線を案内することは省略される。従って、比較的高い機械的な安定性、特に、携帯可能なミキシングアンプの震動に対する安定性も達成される。また本発明によれば、LEDを結線によって実装すること、又はそのようにしてLEDを取り付ける作業ステップは欠陥が生じやすくコストが掛かることが分かるが、このことは、回路基板にLEDを取り付け、LEDからフロントパネルへと光を案内することによって驚く程簡単なやり方で回避することができる。
【0013】
LEDを特にSMD−LEDとして、即ちSMD(表面実装デバイス)技術により回路基板上に直接的に固定することができる。SMD実装は技術的に複雑ではなく、またフロントパネルに対するLEDの実質的に一定の間隔を保証する。本発明によれば、光導体がLEDに直接的に載置されずに、その後ろ側の端面がLEDの少し手前に配置されていることによって、LEDの製造技術的な公差及び回路基板上のLEDの実装の製造技術的な公差は重要ではなくなる。
【0014】
従って、本発明によれば、LEDとフロントパネルとの間には同じ長さの光導体を配置することができ、それにより光導体を規格化することができ、また廉価に製造することができる。光導体の前面又は表面は有利にはフロントパネルの開口部を貫通して突出しており、それにより光導体の前面を直接的に外側に向けられている表示フィールドとして認識することができる。
【0015】
これによって複数の利点が達成される。つまり、光導体内での光の損失が少ない。それどころか、意図的に、光導体に対して僅かではあるがある程度濁っているか又は濁らされている材料を選択することができ、これによって光の案内は過度に指向性には行われず、従って光は光導体の前面から指向性の光放射として照射されない。つまり僅かな濁りによって、比較的大きな空間角度領域にわたる均一な放射特性をフロントパネルの外側の外部空間において達成することができる。その種の僅かな濁りは輝度にとっては問題にならず、フロントパネルに直接的にLEDが取り付けられる場合よりも色調が抑えられた均一な外観を実現する。
【0016】
本発明によれば、光導体は一つ又は複数の光導体群に統合されている。少なくとも一つの光導体群は複数の光導体を有しており、それらの光導体は共通のケーシングによって一緒に保持されているか、又は相互に接続されている。つまり、複数の光導体を少数の光導体群に統合することができ、従って、光導体の位置決め及び案内を高い精度で行ないつつ実装を簡略化することができる。
【0017】
ケーシングは有利には補完的に、妨害的な光が光導体の(有利には円筒状の)側壁を介して回路基板とフロントパネルとの間の間隙に漏れ出ることを阻止するためにも使用される。つまり、このためにケーシングの材料が有利にはLEDの光に対しても十分に非透過性である。
【0018】
本発明が基礎とする着想は、フロントパネルに種々の操作素子のための穿孔乃至開口部が形成されており、間隙に到達した光が場合によってはそれらの開口部を介して漏れ出て、それにより認識される恐れがあるということである。従って、妨害的に作用するバックライトとしての微光をそれらの開口部において認識できる可能性があるが、このことは本発明により回避される。
【0019】
このために、光導体を適切なケーシング、特にケーシングシリンダ乃至光導体シリンダによって包囲することができ、それらシリンダは例えば摩擦結合によって、又は素材結合によって光導体を固定的に収容する。製造のために、光導体はケーシングに注入されるか、光導体及びケーシングが別個に製造されて、続けて光導体が射出成形部として製造されたケーシングに圧入される。
【0020】
更に本発明によれば、フロントパネルと回路基板との間の間隔を調整するために、間隔保持部が設けられている。間隔保持部は光導体と接続されているので、それにより小型の構造素子群が形成される。特別有利な実施の形態によれば、間隔保持部はケーシングの一部として形成されており、それによりケーシングは間隔保持部、光導体を包囲するケーシングシリンダ及び接続のために使用されるウェブ乃至接続領域と共にワンピースで形成される。従って非常に廉価な構造が実現される。更には、非常に簡単で確実な実装が実現される。このために、例えば複数の光導体群がフロントパネルに配置され、続けて回路基板をこのユニットに配置して固定することができる。この場合、間隔保持部を回路基板用のセンタリング補助部として使用することができる。従って、LEDの手前における光導体の正確な位置決めが保証されている。
【0021】
光導体がケーシングと固定的に接続されていることによって、LED並びにフロントパネルに対する光導体の正確な固定、特に適切な位置が実現される。
【0022】
本発明による光導波システムは特に複数の別個の光導体群を有することができる。本発明による光導波システムの正確な形成を、LEDによって照明すべき個々の表示フィールドの位置及び相対的な配置に依存させることができる。一般的には、表示フィールドを、例えばそれぞれの操作素子の隣において、また、ライトバー又は点列によって信号強度を表示するために、ミキシングアンプの全面全体にわたり分散させることができるので、複数の別個の光導体群を使用することができる。
【0023】
別個の複数の光導体群を使用することによって、確かに取り扱いや処理が差し当たり若干増えることになるが、しかしながらそれによって、付加的な手段又は装置をフロントパネルの裏に取り付けるための自由構造を実現することができる。更には、これによってケーシング材料を節約することができる。
【0024】
複数のLEDを個別に結線することに比べて、光導波システムの使用は明確な簡略化を実現する。SMDプロセスでのLEDの実装は規格化されている。つまり、ボードにはいずれにせよ別のコンポーネントが実装されるので、SMD−LEDをこの実装に組み込むことができる。続けて、小型のユニットとしての光導体群を載置し、またフロントパネル及びボードをその間に配置されている光導体群と共に統合し、例えばねじによって固定することができる。光導体群を挿入するという実装ステップは、従来の実装に比べて付加的なステップを意味するものではない。何故ならば、いずれにせよ複数のスペーサ乃至間隔保持部が異なる位置において必要とされており、また本発明によれば僅か数個の光導体群を使用するに過ぎないからである。つまり本発明によれば、迅速で簡単且つ確実な実装が実現される。
【0025】
光導体を包囲する非透過性のケーシングを使用することにより、種々の光導体を相互に隣接させて配置することができる。つまり例えば、5mm以下の間隔で光導体を相互に密に隣接させて配置すると光の伝播乃至「ジャンプ」が生じる可能性があり、これによって不適切な表示が行なわれる恐れがある。このことは、光導体を包囲する非透過性のケーシングによって確実に回避される。
【0026】
基本的に、一つ又は複数の光導体群が光導体を一つだけ有していることが考えられ、この場合には光導体が少なくとも一つの間隔保持部と組み合わされている。
【0027】
光導体に対して透明又は未着色のプラスチック材料を使用することによって、光導体の前面によって形成される表示面はLEDのスイッチオフの状態において無色である。このことは、着色されたプラスチック材料内に注型されているLEDがフロントパネルの領域内に設けられており、有利には、LEDがこのフロントパネルを貫通して前方へと突出している場合の従来の外観に比べて、無色であり、従って視覚的に快適な外観が実現される。
【0028】
本発明によれば、光導体の前面における非常に均一な外観を達成することができる。何故ならば、フロントパネルの手前における光導体の精確な位置を、フロントパネルにLEDを直接的に取り付ける場合よりも正確に調整することができるので、それにより均一な高さが生じる。
【0029】
光の屈折による損失を可能な限り少なくするために、ケーシングと接触している光導体の円筒状の表面を例えば高光沢研磨することができるか、又は必要に応じてコーティングを施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明による表示及び操作装置の前面の斜視図を示す。
図2】第4の光導体群の領域における、図1の表示及び操作装置の断面図を示す。
図3】操作装置の領域における断面図を示す。
図4】光導波システムの六つの光導体群の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1及び図2に示されている表示及び操作装置1は、非透過性のプラスチック材料又は金属から成るフロントパネル2を有しており、このフロントパネル2には複数の操作素子3,4,5,6が設けられている。それらの操作素子として特に、回転ポテンショメータ用の回転つまみ3、スライドポテンショメータ4及び5並びに押しボタン6が考えられる。表示及び操作装置1は、ライブパフォーマンス用のサウンドミキシング及びサウンド増幅のための携帯可能な電子的なミキシングアンプの一部である。更には、フロントパネル2の外側に、例えば、種々のチャネルを接続するための接続ジャック9を備えている別のプレート8を設けることもできる。ミキシングアンプは種々の音源、例えばマイクロフォン並びに電気的な機器及び電気音響的な機器の電気的な音信号を受信し、ユーザが操作素子3,4,5及び6を介して設定したユーザセッティングに応じて種々の出力チャネルに出力することができる。それらの出力チャネルにはスピーカを直接的に接続することができる。
【0032】
表示及び操作装置1は回路支持体12としてボード12を有しており、このボード12はフロントパネル2の裏側で、そのフロントパネル2に平行に距離を置いて設けられている。従って、フロントパネル2とボード12との間には間隙30が形成される。
【0033】
図2及び図3によれば、ボード12上には複数のSMD−LED14が取り付けられている。即ち、複数のLED14がSMD技術でボード12の表面に固定及び接触接続されている。更には、ボード12上には、例えば回転ポテンショメータ15並びに別の電気的なコンポーネント及び別の電子的なコンポーネント、特にSMD−LED14を制御するためのコンポーネントも実装されている。
【0034】
LED14の手前に光導体18が位置決めされており、それら光導体18の後ろ側の端面28はLED14に対して短い間隔を有しており、また光導体18の前面19はフロントパネル2の領域における表示面として使用される。光導体18の前面19の内の幾つかは、図1からも見て取れるように、それぞれの機能の状態「セット−未セット」を表示するために押しボタン6の隣に配置されており、種々の入力チャネルに関して種々の機能が実現される。更には、表示面19は例えばスライド式制御部4及び5、並びに回転つまみ3にも設けられている。
【0035】
光導体18は本発明による光導波システム20の一部として形成されており、この光導波システム20は図4において、六つの光導体群20−1,20−2,20−3,20−4,20−5及び20−6によって表されている。本発明によれば、光導波システム20もしくは個々の光導体群20−1から20−6は、ボード12の前面とフロントパネル2との間に配置されている。個々の光導体群20−1から20−6は異なる数の光導体18を有しており、更には、フロントパネル2における表示面19の相応の配置構成を要求するような、光導体18相互の異なる幾何学的配置乃至相対的な配置構成を有している。ここで、光導体群20−1から20−5はそれぞれ複数の光導体18を有しており、これに対し光導体群20−6は単一の光導体18しか有していない。光導体群20−4は20個から30個、例えば28個の光導体18を有しており、それらの光導体18の内の一部、例えば24個の光導体18は、棒状の光又は帯状の光を表示するための垂直方向の二つの列に配置されている表示フィールド19のために設けられている。
【0036】
全体の光導体群20−1から20−6はそれぞれケーシング22を有しており、以下では分かりやすくするために、種々のケーシング22を区別しない。つまり、以下では複数の光導体18を有している光導体群20−1から20−5を先ず詳細に説明する。ケーシング22はそれぞれ、LED14の光に対して非透過性のプラスチック材料から製造されており、またそれぞれが一つの光導体18を包囲しており、且つ、固定的にその光導体18を収容している複数のケーシングシリンダ24を有している。光導体18は例えばケーシング22内に注入されており、それにより光導体の円筒状の外面はケーシング22の非透過性のプラスチック材料によって覆われる。ケーシング22の一部として形成されている円筒状のケーシングシリンダ24は、ボード12とフロントパネル2との間の間隙30において光導体18を完全に包囲しており、それにより光は漏れず、特に、回転つまみ3から回転ポテンショメータ15へと延びる回転軸のためにフロントパネル2内に形成されている開口部32を通過して間隙30から光が漏れ出る可能性はない。
【0037】
光導体18の両端面19及び28はそれぞれ露出されており、前面19は例えばフロントパネル2から僅かに突出しているか、又はフロントパネル2の開口部26を貫通して挿入されており、それにより前面19は、特に図3から見て取れるように、共通の垂直の平面から僅かに張り出している。光導体18の後方の端面28は有利には、LED14の僅かに手前に位置決めされている。
【0038】
光導体群20−1から20−6は更に間隔保持部34を有しており、それらの間隔保持部34はボード12及びフロントパネル2の裏面に載置されており、また間隙30の幅、即ちボード12とフロントパネル2との間の距離を規定している。有利には補完的に、ねじ又はボルト35が円筒状に形成されている間隔保持部34を通るように配置されており、例えばボード12の裏面ではナット36によって締められており、それにより、一方では間隔が調整され、他方ではフロントパネル2におけるボード12の堅い固定が達成される。
【0039】
個々の光導体群20−1から20−6のケーシングシリンダ24及び間隔保持部34は、複数のウェブ38から成る接続フレームを介して、それぞれ重なり合って相互に接続されており、またそれらのウェブ38は実質的に矩形のパターンを形成している。最も小さい光導体群20−6では、単一の間隔保持部34と単一のケーシングシリンダ24との間にウェブ38が一つだけ設けられている。別の光導体群20−1から20−5では複数のウェブ38が設けられており、それらのウェブは異なる形状及び異なる経過を有するように形成されている。図2によれば、ウェブ38はフロントパネル2の内面と接触しており、それにより、フロントパネル2におけるケーシング22の平坦な載置面が形成され、従ってこの載置面は、LED14の手前且つフロントパネル2上における光導体18の確実で安定した揺動しない、間隔保持部34及びそのボルト35によって機械的に固定された配置及び位置決めを保証する。基本的に、ケーシングシリンダ24も既にある程度の間隔保持機能を有することができる。何故ならば、ケーシングシリンダ24を側方においてボード12上のLED14の隣に載置することができるからである。しかしながら本発明によれば、LED14の外側において間隔保持機能を達成し、特に相応のプリバイアスを用いる機械的な固定をLED14の領域において行なわないために、別の間隔保持部34を付加的に取り付けることは有利とみなされる。
【0040】
個々の光導体群20−1から20−6を、特に、非透過性のプラスチック材料から成る射出成形部として形成することができ、従って廉価に製造することができる。基本的に、六つの光導体群20−1から20−6がやはりウェブ38によって相互に接続されており、従って一つの共通の光導体群を表していることも考えられる。しかしながら、フロントパネル2の本発明による配置及び構成においては、その種の複数の光導体群20−1から20−6の使用が有利である。
【0041】
以上のことから、動作時にはSMD−LED14が発光し、その光が、載置面として使用される前面19まで延びている光導体18へと送出される。前面19は有利には、図示されているように、フロントパネル2の少し手前に設けられており、これによりフロントパネル2側からの視認性は高まっている。フロントパネル2側から、又は、斜めから観察した際のこの視認性を高めるために、光導体18を僅かに濁った材料又は拡散散乱性の材料から形成することができ、それにより、光導体18の前面19から放出される光は高い輝度で前面に配向されて放射されるのではなく、比較的大きい角度分布でもって均一に外部空間へと放出される。
【0042】
光の屈折による損失を可能な限り少なくするために、ケーシング22乃至ケーシングシリンダ24と接触している光導体18の円筒状の表面は有利には高光沢研磨されている。
【0043】
更に、ケーシング22又はケーシングシリンダ24は個々の光導体18間の光のジャンプも阻止する。特に、二つの表示面が密に隣接して配置されている場合、従ってその光導体18が密に隣接して配置されている場合には、遮蔽効果が生じずにその種のジャンプや伝播が起こり得る。これによって、場合によっては不正確な表示が行なわれる可能性がある。本発明によるケーシングシリンダ24の使用によって、その種のジャンプを効果的に阻止することができる。
【0044】
LED14がスイッチオフされた状態においては、光導体18の透明なプラスチック材料又は僅かに濁ったプラスチック材料に基づき前面19は無色であるか、又は無色に見える。特に個々のLEDを識別することはできない。
図1
図2
図3
図4