特許第5721848号(P5721848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5721848-高次シランの選択的分解法 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721848
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】高次シランの選択的分解法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/107 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
   C01B33/107 Z
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-538121(P2013-538121)
(86)(22)【出願日】2011年10月24日
(65)【公表番号】特表2013-542168(P2013-542168A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】EP2011068534
(87)【国際公開番号】WO2012062560
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2013年8月8日
(31)【優先権主張番号】102010043648.8
(32)【優先日】2010年11月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】エッケハート ミュー
(72)【発明者】
【氏名】ハートヴィヒ ラウレーダー
【審査官】 廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−227577(JP,A)
【文献】 特開平10−245388(JP,A)
【文献】 特開昭52−083419(JP,A)
【文献】 特開昭59−195519(JP,A)
【文献】 特開平01−188414(JP,A)
【文献】 特開平07−081920(JP,A)
【文献】 特開平07−101713(JP,A)
【文献】 特開平08−081477(JP,A)
【文献】 特開2005−053911(JP,A)
【文献】 特開2011−026155(JP,A)
【文献】 米国特許第02709176(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第10017168(DE,A1)
【文献】 国際公開第2006/125425(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00−39/54
Science Direct
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
Sinxy (I)
で示され、Xはハロゲンであり、nは1若しくは2であり、かつxは0〜6の整数であり、かつyは0〜6の整数であり、ただし、y+x=2n+2であるモノマー及び/又はダイマーシリコン化合物を、1つのオリゴマー無機シラン、又は複数のオリゴマー無機シランを包含する混合物から、ここで、1つのオリゴマーシランは少なくとも3つの直接共有結合したケイ素原子を有し、かつ該ケイ素原子上の置換基はハロゲン、水素及び/若しくは酸素から選択されており、
− 前記オリゴマーシラン又は前記混合物をハロゲン化水素の存在下に窒素含有触媒上で反応させて前記一般式Iのシリコン化合物にすることによって製造する方法。
【請求項2】
前記オリゴマーシラン又は前記混合物が、パーハロゲンシラン、ヒドロハロゲンシラン又はハイドロジェンシランを包含することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記オリゴマーシラン又は前記混合物が、トリシリコン化合物、テトラシリコン化合物、ペンタシリコン化合物、ヘキサシリコン化合物及び/又はポリシリコン化合物にいたるまで包含することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記複数のオリゴマー無機シランが、
− 一般式II
Simab (II)
[式中、m、a及びbは、それぞれ、整数であり、かつmは3以上であり、aは0若しくは1以上であり、かつbは0若しくは1以上であり、ただし、a+b=2m+2である]の直鎖状若しくは分枝鎖状シランから、及び/又は
− 一般式III
Siopq (III)
[式中、o、p及びqは、それぞれ、整数であり、oは3以上であり、pは0若しくは1以上であり、かつqは0若しくは1以上であり、ここで、p+q=2oである]の環状、架橋した、かつ/若しくはポリマーのシランから、及び/又は
− 一般式IV
Sirst (IV)
[式中、r、s及びtは、それぞれ、整数であり、かつrは3以上であり、sは0若しくは1以上であり、かつtは0若しくは1以上であり、ここで、s+t=rである]のポリマーシランから、かつ
はハロゲンであり、並びに前記シランの加水分解物から選択されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記Xが、塩素である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ハロゲン化水素が塩化水素であることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記一般式I Sinxy (I)の化合物中、Xが塩素であることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記一般式Iのシリコン化合物が、ヘキサクロロジシラン、ペンタクロロジシラン、ヘキサヒドロジシラン、テトラクロロシラン、トリクロロシラン、モノシラン、モノクロロシラン、ジクロロシラン又はこれらの混合物を包含することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記一般式Iのシリコン化合物が、ヘキサクロロジシラン、又はヘキサクロロジシランとテトラクロロシラン及び/若しくはトリクロロシランとの混合物であることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記窒素含有触媒が、
− アルキル官能化された第二級、第三級及び/若しくは第四級アミノ基を有するアミノ官能化された化合物として、一般式V
(Cz2z+1O)3Si(CH2dN(Cg2g+12 (V)
で示され、z、g及びdは、それぞれ、整数であり、zは1〜4であり、gは1〜10であり、かつdは1〜3であるアミノアルコキシシラン、又はその少なくとも1つの加水分解生成物及び/若しくは縮合生成物又はそれより誘導された、担体材料に化学的に結合したモノマー若しくはオリゴマーアミノシランを包含するか、又は
− 式VI又はVII
NHk3-k (VI)で示され、k=0、1若しくは2であり、ここで、Rは、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族直鎖状若しくは分枝鎖状又は脂環式又は芳香族の炭化水素に相当し、ここで、基Rは、互いに同じであるか若しくは異なっており、又は
[NHl14-l+- (VII)で示され、l=0、1、2若しくは3であり、ここで、R1は、1〜18個の炭素原子を有する脂肪族直鎖状若しくは分枝鎖状又は脂環式又は芳香族の炭化水素に相当し、ここで、基R1は、互いに同じであるか若しくは異なっており、かつZはアニオンである、前記式VI又はVIIの炭化水素置換アミンであるか、又は
− 第三級アミン基を有するジビニルベンゼン架橋ポリスチレン樹脂である
ことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記触媒が担体に化学的に固定されていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記触媒が前記一般式Vのアミノアルコキシシランであるか、又はその少なくとも1つの加水分解生成物及び/若しくは縮合生成物を包含し、かつ担体に化学的に結合していることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
オクタクロロトリシラン、デカクロロテトラシラン、ドデカクロロペンタシラン、テトラデカヘキサシラン、デカクロロシクロペンタシラン又はこれらを含有する混合物をオリゴマー無機シランとして用いることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
触媒としてジイソブチルアミノプロピルトリメトキシシラン又はその加水分解生成物及び/若しくは縮合生成物をシリケート性担体材料上で用いることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記式Iの化合物を、前記反応中若しくは分解反応中に蒸留により分離することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
共有結合形で直接互いに結合した少なくとも3つのケイ素原子を有し、かつ該ケイ素原子の置換基がハロゲン、水素及び/又は酸素から選択されているオリゴマー無機シランを分解して、モノマー及び/又はダイマーシリコン化合物を得るための、ハロゲン化水素及び窒素含有触媒の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも3つの直接共有結合したケイ素原子を有し、その置換基がハロゲン、水素及び場合により酸素から選択されているオリゴマー無機シランから、該オリゴマー無機シランをハロゲン化水素の存在下に窒素含有触媒上で反応させることによって、ハロゲン及び/又は水素を含有するモノマー及び/又はダイマーシリコン化合物を製造する方法に関する。
【0002】
半導体産業及びソーラー産業においては、高純度の多結晶シリコン化合物が用いられている。多結晶シリコンの製造に際しては、種々の部分プロセスにおいて、高沸点のオリゴマーシラン、例えば、なかでも分子中に3つ若しくは4つのケイ素原子を有するオリゴクロロシランも発生する。たしかに、これらのオリゴクロロシランは製造条件によっては高い純度を有するが、しかしながら、今日まで応用技術的に高い意義を有していなかった。
【0003】
例えば、WO2006/125425A1は、バルクシリコンをハロゲンシランから製造するための二段階の方法を開示している。第一の段階においては、有利にはハロゲンシラン、フルオロシラン又はクロロシランが、水素の存在下でプラズマ放電にさらされる。続く第二の段階においては、第一の段階から得られたポリシラン混合物が、400℃から、有利には700℃からの温度で熱分解されてシリコンが生じる。テトラクロロシランの存在下でオリゴマークロロシランを熱分解シリカへと変換することが知られている(DE102006009953A1)。
【0004】
ヘキサクロロジシランは、低温の前駆体として、例えば窒化ケイ素層(SiN)を製造するために非常に興味深い。
【0005】
本発明の課題は、オリゴクロロシランを応用技術的に利用可能にすることであるか、若しくはそれを、興味をひくシラン、殊に低分子量シランの製造のために使用することであった。本発明の課題は、そのうえ、オリゴマーシリコン化合物をモノマー及び/又はダイマーシランに変えることができる経済的な方法を提供することであった。同様に本発明の課題は、多結晶シリコンの製造又はハロゲンシランを反応させる他の方法の範囲で副生成物として生じる純粋なオリゴクロロシランをモノマー若しくはダイマーシランに分解することであった。プラズマ放電に基づく種々の方法により得られ、かつ場合により副生成物として生じる比較的高分子量のオリゴハロゲンシランも、本発明による方法において用いることができることになっている。
【0006】
課題は、独立請求項に従って解決され、有利な実施形態は従属請求項に示しており、並びに本明細書に詳細に示している。
【0007】
意想外にも、オリゴハロゲンシランを特定のプロセス条件下で低分子量ハロゲンシランに、殊にダイマー及び/又はモノマー化合物にいたるまで分解できることを突きとめた。意想外だったのは、そのうえ、プロセスが、オリゴマーハロゲンシラン、オリゴマーハロゲンハイドロジェンシランにも、オリゴマーハイドロジェンシラン、殊に一般式II、III及び/若しくはIVのシランにも適用可能であり、そして通例は一般式Iの低分子量ハロゲンハイドロジェンシラン又はハロゲンシランが得られたことであった。上で挙げたオリゴシランの分解には、意想外にも、それらを窒素含有触媒の存在下でハロゲン化水素、有利には塩化水素と接触させると十分である。分解は、室温ですでに進行しえ、その際、反応若しくは分解反応は、20〜200℃、特に有利には50〜150℃、殊に80〜120℃の温度で、かつ10mbar〜10bar、特に有利には100mbar〜2bar、殊に0.8〜1.2barの圧力で実施する。したがって、本発明の対象はまた、モノマー及び場合によりダイマーの式Iのシリコン化合物を、別個のエネルギー供給なしに、殊に熱エネルギーの供給なしに、オリゴマーシランから、好ましくは蒸留により分離することができる方法である。プロセス工学的に、触媒から反応生成物を分離できるために、触媒が原料若しくは沸騰する反応混合物より明らかに高い沸点を有し、例えば70℃より高く、より良好には90℃より高く、殊に>110℃であり、固体であるか、又は反応が不均一系触媒を用いて行われ、すなわち窒素含有触媒が担体に化学的に固定されている場合に特に有利である。
【0008】
したがって、本発明の対象は、一般式Iのモノマー及び/若しくはダイマーシリコン化合物を、少なくとも3つのケイ素原子を有し、ケイ素原子上の置換基がハロゲン及び水素から選択されているオリゴマー無機シラン又は複数のオリゴマー無機シランを包含する混合物から、該オリゴマーシラン又は該混合物をハロゲン化水素の存在下に窒素含有触媒上で反応させて一般式Iのシリコン化合物にすることによって製造する方法である。場合により、オリゴマーシランは、例えばそれが湿分と接触する場合、酸素原子を介して結合した置換基を有していてよい。
【0009】
したがって、同様に本発明の対象は、一般式I
Sinxy (I)
で示され、Xは無関係にハロゲンであり、かつ殊にハロゲンは互いに無関係に塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素から選択されており、有利にはXは塩素であり、Hは水素であり、nは1又は2であり、かつxは0〜6の整数、すなわち0、1、2、3、4、5又は6であり、xは、好ましくは、n=1若しくはn=2において0又は1であり、yは0〜6の数であり、好ましくは、n=1若しくは5において3又は4であるか、又はn=2において6であり、ただし、(y+x)=(2n+2)であるモノマー及び/又はダイマーシリコン化合物を、1つのオリゴマー無機シラン、又は複数のオリゴマー無機シランを包含する混合物から、ここで、1つのオリゴマーシランは少なくとも3つの直接共有結合したケイ素原子、殊に少なくとも1つの・Si−Si−Si・部分を有し、かつケイ素原子上の更なる置換基はハロゲン、水素及び/又は酸素から選択されており、かつ場合により該混合物は、該複数のオリゴマーシランの加水分解物も包含し、そのためシラン又は該混合物は、付加的なSi−OH及び/又はSi−O−Si部分を有するシランも包含してよく、
− 該オリゴマーシラン又は該混合物をハロゲン化水素の存在下に窒素含有触媒上で反応させて該一般式Iのシリコン化合物にすることによって製造する方法である。
【0010】
例示的に、HCl及び窒素含有触媒の存在下でのオクタクロロトリシランの分解は、理想的には、次の反応式により表されることができる:
【化1】
【0011】
デカクロロテトラシランの分解は、後続の反応式により表されることができる:
【化2】
【0012】
オリゴマー無機シランは、好ましくは、少なくとも3つの互いに共有結合したケイ素原子を有するシランからポリマー無機シランにいたるまでのシランと解され、それらの遊離原子価は本質的に水素及び/又はハロゲンで飽和されている。ポリマー無機シランは粘靭性〜固く存在し、かつ4個より多い、好ましくは平均5〜50個、殊に9〜25個であるか、むしろ8〜20個のケイ素原子を有する。場合により、かかるシラン又はこれらのシランの混合物は、該シランの加水分解生成物及び場合により縮合生成物も包含し、そのためオリゴマー無機シラン若しくはこれらの混合物との用語は、シロキサン結合及び/又はシラノール基を有するシランとも理解される。本発明の特別な利点は、本発明による方法のためのオリゴマー無機シランについて、それが溶媒に溶解するのに何も特別に要求されないことである。好ましくは、該オリゴマーシランは、原料若しくは液状オリゴマーシランに溶解又は分散させられるべきである。このプロセス操作によって、一般に高純度の原料及び生成物を用いた処理から生じる高純度オリゴマーシランを、経済的に式Iの高純度シリコン化合物に分解することができる。煩雑な精製工程は行わないでよい。比較的靭性〜比較的固いオリゴマーシランの分解に際し該シランを加熱し、分解を開始させ、かつ/又は得られたシリコン化合物を完全に蒸留により分離することも必要であり得ることは当業者にとって自明である。基本的に、方法は連続的に又は不連続的に実施することができる。
【0013】
本発明による方法には、好ましくは、オリゴマーシランとして又は複数のオリゴマーシランを包含する混合物として、パーハロゲンシラン、ヒドロハロゲンシラン又はハイドロジェンシラン、同種の高次ハロゲンポリシラン並びに混合水素化ハロゲン化ポリシラン及び場合によりそれらの加水分解生成物及び/又はこれらの混合物が用いられる。特に有利には、本質的にパーハロゲンシランとして存在するオリゴマーシランが、それをヒドロハロゲンシラン及びハロゲンシランへと分解するために本方法で用いられる。そのうえ、オリゴマー無機シラン又は該オリゴマーシランの混合物は、好ましくは以下のオリゴマーシランを包含している:トリシリコン化合物、テトラシリコン化合物、ペンタシリコン化合物、ヘキサシリコン化合物、ヘプタシリコン化合物、オクタシリコン化合物、ノナシリコン化合物及び/又はデカシリコン化合物及び/又はより高次のポリシリコン化合物にいたるまで、それらはそれぞれ無関係にパーハロゲンシラン、ハロゲンハイドロジェンシラン化合物又はハイドロジェンシランとして存在していてよい。さらに、シランはカテナシラン(Catenasilane)、シクロシランとして、かつ/又は分枝状若しくは架橋しても存在していてよい。そのために、該シランは、ポリシリコンジハロゲン化物、ポリシリコンモノハロゲン化物として、ある一定割合の水素を有するものとしても存在していてよい。
【0014】
特に有利には、本発明による方法においては、オクタクロロトリシラン、デカクロロテトラシラン、ドデカクロロペンタシラン、テトラデカヘキサシラン、デカクロロシクロペンタシラン又はこれらを含有する混合物がオリゴマー無機シランとして用いられることができる。
【0015】
特に有利には、オリゴマー無機シランは、一般式II
Simab (II)
[式中、m、a及びbは、それぞれ無関係に整数であり、かつmは3以上であり、殊にm=3〜100、有利にはm=3〜50、特に有利にはm=3、4、5、6、7、8、9、10、選択的に有利にはm=3〜25、好ましくはm=3〜20であり、aは0又は1以上であり、かつbは0又は1以上であり、ただし、a+b=2m+2であり、有利な実施形態においてa=0であるか、又は水素は4質量%以下〜2質量%以下でシラン中に存在する]の直鎖状若しくは分枝鎖状シランから、及び/又は
− 一般式III
Siopq (III)、好ましくは[SiX2oとして
[式中、o、p及びqは、それぞれ無関係に整数であり、oは3以上であり、殊にo=3〜100、有利にはo=5〜50、特に有利にはo=3、4、5、6、7、8、9、10、選択的に有利にはo=3〜25、好ましくはo=3〜20であり;pは0又は1以上であり、かつqは0又は1以上であり、ここで、p+q=2oであり、有利な実施形態においてp=0であるか、又は水素は4質量%以下〜2質量%以下でシラン中に存在する]の環状、架橋した、かつ/又はポリマーのシランから、及び/又は
− 一般式IV
Sirst (IV)、好ましくは[SiX]rとして
[式中、r、s及びtは、それぞれ無関係に整数であり、かつrは3以上であり、殊にr=3〜100、有利にはr=6〜50、特に有利にはr=6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、選択的に有利にはr=6〜25、好ましくはr=6〜20であり;sは0又は1以上であり、かつtは0又は1以上であり、ここで、s+t=rであり、有利な実施形態においてs=0であるか、又は水素は4質量%以下〜2質量%以下でシラン中に存在する]のポリマーシランから、かつ
− それぞれ無関係に式II、III及び/又はIVにおいて、Xはハロゲン、例えば塩素、臭素、フッ素、ヨウ素であり;殊に塩素及び/又は臭素、有利には塩素であり、かつ該オリゴマーシランは場合により式III、IV及び/又はIVのシランの加水分解物も包含する。本発明によれば、Xは塩素である。
【0016】
本発明による方法に従って、一般式Iで示され、n=1又は2であり、かつ特に有利にはXは塩素であるSinxy (I)のシリコン化合物が得られ、ここで、特に有利にはn=1の場合、テトラクロロシランはx=0、トリクロロシランはx=1、ジクロロシランはx=2、モノクロロシランはx=3である。n=2において、有利にはヘキサクロロジシランはx=0かつy=6並びにペンタクロロジシランはx=1及びy=5であり、しかし、これらの有利な、主としてモノマーの化合物のほかに、ヘキサクロロジシラン、ペンタクロロヒドロジシラン又はテトラクロロジヒドロジシランを包含する更なるダイマーシラン又はモノマー及びダイマー化合物の混合物も製造されることができる。加えて、臭素化されたモノマー及び/若しくはダイマーシラン又は相応してヨウ素化若しくはフッ素化された並びに混合ハロゲン化されたシランも製造されることができる。これらは、例えばヘキサブロモジシラン、ヘキサヨードジシラン、ヘキサフルオロジシラン、テトラブロモシラン、トリブロモシラン、ジブロモシラン、テトラヨードシラン、トリヨードシラン、ジヨードシラン、テトラフルオロシラン、トリフルオロシラン及び/又はジフルオロシランであり、これらのシランは相応する臭素化、ヨウ素化若しくはフッ素化されたオリゴマーシランから分解によって得られることができる。
【0017】
一般に、一般式Iのシリコン化合物は、パーハロゲンシラン、ハロゲンハイドロジェンシラン化合物、ハイドロジェンシラン並びに混合ハロゲン化シランも包含してよい。これらは、例えばヘキサヒドロジシラン、モノシラン又はこれらを含有する混合物であってもよい。同様にシリコン化合物は、ヘキサブロモジシラン、ペンタブロモヒドロジシラン、テトラブロモジヒドロジシラン又はこれらを含有する混合物を包含してよい。
【0018】
本発明によれば、一般式Iのシリコン化合物として、ヘキサンクロロジシラン、又はヘキサクロロジシランとテトラクロロシラン及び/又はトリクロロシラン及び場合によりジクロロシランとの混合物が得られる。同様に場合により製造されたモノクロロシラン及び/又はモノシランは、場合によりジクロロシランと特別な条件下で縮合されている。通例、それらは、発生するハロゲン化水素、例えばHClと、その沸点に基づき、反応混合物から又は冷却されていないか若しくは僅かに冷却された(好ましくは0〜−20℃)生成物受器から一緒に搬出される。
【0019】
本方法において用いられるハロゲン化水素は、一般にHCl、HBr、HF、HI又はこれらのハロゲン化水素の少なくとも2つを包含する混合物を包含してよい。特に有利には、オリゴマーハロゲンシランの置換に相応しいハロゲン化水素が方法において用いられる。オリゴマークロロシランの分解に際しては、好ましくはHClが用いられる。ハロゲン化水素は、オリゴマーシランに導入されることができる。そのために、それは現場で製造、それに蒸発かつ導入されるか、又は直接ガラス瓶から取り出される。特に有利には、ハロゲン化水素は高純度であり、かつ分解生成物の汚染に関与しない。
【0020】
本発明による方法の更なる特徴によれば、式Iの化合物又は式Iの複数の化合物は、好ましくは反応若しくは分解反応中に蒸留により分離され、殊にオリゴマーシランから分離される。低分子量種を留去することによって、反応平衡が持続的に妨げられ、そしてこれらの化合物の形成が好ましくは促進される。特に有利には、式Iの化合物は凝縮され、さらに有利には、式Iの異なる化合物が分別凝縮される。
【0021】
さらに、本発明による方法においては、好ましくは窒素含有触媒として、有機基で官能化された、アミノ官能化された触媒、殊にアミノアルキル官能化触媒が用いられ、これは好ましくは、加えてポリマーであり、かつ担体材料に化学的に固定されている。選択的に、固体不溶性かつ/又は高沸点の窒素含有化合物も触媒として用いられることができる。担体材料として、一般に、アミノ官能化触媒が結合することのできる反応性基を持つ全ての材料が考慮に入れられる。好ましくは、担体材料は、成形体の形態で、例えば球状、ロッド状又は粒状で存在する。
【0022】
特に有利な窒素含有触媒は、以下の及び/又はそれらより加水分解及び/又は縮合によって誘導された窒素含有触媒、例えば特に有利には、
− アルキル官能化された第二級、第三級及び/若しくは第四級アミノ基を有するアミノ官能化された化合物、殊に一般式V
(Cz2z+1O)3Si(CH2dN(Cg2g+12 (V)
で示され、zは1〜4であり、gは1〜10であり、かつdは1〜3であるアミノアルコキシシラン又は特に有利にはその少なくとも1つの加水分解生成物及び/又は縮合生成物又はそれより誘導された、担体材料に化学的に結合したモノマー若しくはオリゴマーアミノシラン、特に有利には、式V中で、z=1〜4、殊に無関係に1若しくは2、無関係にd=3若しくは2かつg=1〜18であるもの、又は
− 式VI又はVII
NHk3-k (VI)で示され、k=0、1若しくは2であり、ここで、Rは、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族直鎖状若しくは分枝鎖状又は脂環式又は芳香族の炭化水素に相当し、ここで、基Rは、互いに同じであるか若しくは異なっており、好ましくは、Rは少なくとも2個の炭素原子を有し、又は
[NHl14-l+- (VII)で示され、l=0、1、2若しくは3であり、ここで、R1は、1〜18個の炭素原子を有する脂肪族直鎖状若しくは分枝鎖状又は脂環式又は芳香族の炭化水素に相当し、ここで、基R1は、互いに同じであるか若しくは異なっており、かつZはアニオン、好ましくはハロゲン化物イオンであり、好ましくは、R1は少なくとも2個の炭素原子を有する、前記式VI又はVIIの炭化水素置換アミン、又は
− 第三級アミン基を有するジビニルベンゼン架橋ポリスチレン樹脂
である。
【0023】
特に有利には、触媒には、一般式Vのアミノアルコキシシラン又は加水分解及び/若しくは縮合によって得られた触媒が包含され、これは担体に化学的に固定されており、好ましくは担体に共有結合しており、殊にシリケート性担体に固定されている。本発明によれば、触媒はジイソブチルアミノプロピルトリメトキシシラン又はその加水分解生成物及び/若しくは縮合生成物であり、かつシリケート性担体材料上で用いられる。そのうえ、全ての触媒は本発明による方法において水不含で又は本質的に水不含で用いられる。それゆえ、触媒はその使用前に本方法において注意深く、それを分解又は失活させないように乾燥される。
【0024】
式Vの本発明による触媒又はその加水分解生成物及び/若しくは縮合生成物は、好ましくは以下の添え字を有する:zは無関係に1、2、3若しくは4、gは無関係に1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10、かつdは無関係に1、2若しくは3、又はそれより誘導された、担体材料に化学的に結合したモノマー若しくはオリゴマーアミノシラン。ここで、式Vの基−(Cg2g+1)は、無関係にn−アルキル、イソアルキル及び/又はt−アルキル基であってもよい。一般式Vの特に有利な化合物並びにそれより誘導された、殊に担体材料に化学的に結合したアミノシランは、以下の基:z=1、d=3及びg=1;z=2、d=3、g=1;z=1、d=3、g=2;z=2、d=3、g=2;z=1、d=3及びg=8;z=2、d=3、g=8;z=1、d=3、g=4;z=2、d=3、g=4;z=1、d=3、g=8;z=2、d=3、g=8から選択されている。
【0025】
モノマー及び/又はダイマーシリコン化合物若しくはシランの製造にも本発明による使用においても更なる有利には使用可能な触媒は、アミン、アンモニウム塩、アミノシラン、アミノシロキサン並びに担持されたアミノシラン、アミノシロキサンであってよい。並びに、アニオンZがハロゲン化物イオン、例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンに相当するか;又は硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン若しくはプロピオン酸イオンに相当する式VIIのアミンであってもよい。さらに、N−メチル−2−ピロリドン、メチルイミダゾール、テトラメチル尿素、テトラメチルグアニジン、トリメチルシリルイミダゾール、ベンゾチアゾール、N,N−ジメチルアセトアミドが触媒として使用されることができる。そのうえ、前述の触媒の混合物も用いられることができる。さらに、触媒としてイオン交換体も、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン−コポリマーの直接アミノメチル化によって製造される、第三級アミン基を有するジビニルベンゼン架橋ポリスチレン尿素を基礎とする触媒の形態で(DE10057521A1)、ジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレンからの骨格にアミノ基若しくはアルキレンアミノ基、例えばジメチルアミノ基を持つ固体(DE10061680A1、DE10017168A1)、第三級アミノ基若しくは第四級アンモニウム基を有するアニオン交換性樹脂を基礎とする触媒(DE3311650A1)、アミン官能化された無機担体(DE3711444A1)又はDE3925357に記載のオルガノポリシロキサン触媒、例えばN[(CH23SiO3/23が用いられることができる。さらに、有利にはシラン、シロキサン及び担持されたシラン、DE3711444に記載のシロキサン、特にはDE102007059170.7に記載のシロキサンが用いられる。前述の特許文献は参照をもって完全に引用したものとし、また触媒に関する内容を本書類の内容とする。
【0026】
本方法の実施のために、特に有利には、触媒として、アルキル官能化された第二級アミノ基、第三級アミノ及び/若しくは第四級アミノ基を有するアミノ官能化された芳香族ポリマーも用いられることができる。アルキル基は、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状であってよく、有利なのはメチル又はエチルである。本発明によれば、アミノ官能化されたジビニルベンゼン−スチレン−コポリマー、すなわちジビニルベンゼン架橋ポリスチレン樹脂を用いてよく、ここで、ジアルキルアミノメチル官能化されたジビニルベンゼン−スチレン−コポリマー又はトリアルキルアミノメチル官能化されたジビニルベンゼン−スチレン−コポリマーの群からものが特に有利であり(殊にアルキルは、メチル若しくはエチルである)、有利なのはジメチル−若しくはトリメチルアミノメチル官能化されたコポリマーである。ジメチルアミノ官能化されたジビニルベンゼン架橋型の多孔性ポリスチレン樹脂のほかに、第四級アミノ基及び同時に場合により第三級アミノ基で官能化されたジビニルベンゼン架橋型の更に別の多孔性ポリスチレン樹脂も無機シランの処理のために用いられることができる。
【0027】
本発明による方法のために特に適していると判明したのは、前駆触媒として第三級アミノ基を有するジビニルベンゼン架橋ポリスチレン樹脂、例えばAmberlyst(R)A21−樹脂のポリマー主鎖にジメチルアミノメチレン基を有するジビニルベンゼン架橋ポリスチレン樹脂を基礎とするイオン交換樹脂である。Amberlyst(R)A21は弱塩基性アニオン交換樹脂であり、これは遊離塩基として、かつ約0.49〜0.69mmの平均直径及び全質量を基準として54〜60質量%までの含水率を有する球状体で取得されることができる。表面積は約25m2/gであり、かつ平均孔径は400オングストロームである。触媒として使用するために、前駆触媒は、本質的に水不含の触媒として用いることができるように、注意深く真空下で高すぎない温度にて、好ましくは175℃以下で、より良好には130℃以下又はそれより低い温度にて慎重に処理されなければならない。更なる有利な選択態様によれば、担体材料は、二酸化ケイ素を包含する成形体を包含する。二酸化ケイ素を包含する成形体とは、殊に顆粒、ペレット、球状のSiO2成形体、ラシヒリング、篩板又は押出物又は連続鋳造物又は任意の形態のボディと解される。特に有利には、担体材料は、SiO2成形体、さらに有利には球状物から成る。さらに有利な担体材料は、無機材料、有機材料、例えばポリマー、又は複合材料である。
【0028】
同様に本発明の対象は、少なくとも3つの直接共有結合したケイ素原子、殊に・Si−Si−Si・部分を持つシランを有し、かつケイ素原子の置換基がハロゲン、水素及び/又は酸素から選択されているオリゴマー無機シランを分解して、殊に、好ましくは一般式Iに相当するモノマー及び/又はダイマーシリコン化合物にするための、ハロゲン化水素及び窒素含有触媒の使用である。オリゴマーシランは、場合により僅かにそれの加水分解生成物も包含してよく、それから分解に供給されることができる。それゆえ、モノマーシランはヒドロキシ基も有してよい。
【0029】
本発明を、以下で図に示した実施例を手がかりにして詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】モノマー及びダイマーシリコン化合物を製造するための装置
【実施例】
【0031】
実施例1:オクタクロロトリシランの分解
実施:135gのNaClを、HClの製造のために、滴下漏斗及び排気管を備えた1Lの三ツ口フラスコに初めに装入し(反応容器1)、そして270mlの濃H2SO4を滴下漏斗に注入した。撹拌装置、ガス導入管及び還流冷却装置を備えた2Lの三ツ口フラスコ(反応容器3)に、指示薬(フェノールフタレイン)を混ぜたナトリウムメトキシド溶液(30%)を初めに装入した。このフラスコを、反応全体を通して氷冷した。ガス導入管、温度計、排気管及び留出液受器を有するカラムヘッドを備えた250mlの四ツ口フラスコに、下記の触媒球24gを初めに装入し、そしてオクタクロロトリシランを含有する混合物72.5g(組成はGCの表を参照されたい)を加えた。
【0032】
図1に示す通り、反応フラスコ(2)を油浴により90℃に加熱し、そして硫酸を塩化ナトリウムに滴下した。滴下速度は、試験期間全体を通して、約3l/hの一定のHClの流れとなるように調整した。ガス状塩化水素をガス導入管によりフラスコの下部で、以下の合成手法に則って製造した触媒小球に通した。ガス流を、還流冷却装置を介して中和のために、冷却されたナトリウムメトキシド溶液に導入した。20分の反応期間後、反応フラスコ中で還流が始まり、そして液体を留出液受器に溜めた。2時間の反応期間後、試験を中断した。受器には6.8gの留出液が集まった。受器中の留出液、反応フラスコ中に残留した液体(残液)及び出発材料のGC試験(表1)を実施した。
【0033】
【表1】
【0034】
オクタクロロトリシランを、適した触媒の存在下でHClを用いてトリクロロシランと四塩化ケイ素とに分解することができる。反応は、中間体として安定な中間生成物のヘキサクロロジシランを介して行われる。
【0035】
実施例2:デカクロロテトラシランの分解
実施:210gのNaClを、HClの製造のために、滴下漏斗及び排気管を備えた1Lの三ツ口フラスコに初めに装入し(反応容器1)、そして420mlの濃H2SO4を滴下漏斗に注入した。撹拌装置、ガス導入管及び還流冷却装置を備えた2Lの三ツ口フラスコ(反応容器3)に、指示薬(フェノールフタレイン)を混ぜたナトリウムメトキシド溶液(30%)を初めに装入した。このフラスコを、反応全体を通して氷冷した。ガス導入管、温度計、セプタム、排気管及び留出液受器を有するカラムヘッドを備えた250mlの四ツ口フラスコに、以下の合成手法に則って製造した下記の触媒球24gを初めに装入し、そしてデカクロロテトラシランを含有する混合物96.6g(組成はGCの表を参照されたい)を加えた。図1に示すような反応フラスコ(2)を油浴により、まず85℃に、1時間後に95℃に加熱し、そして硫酸を塩化ナトリウムに滴下した。滴下速度は、試験期間全体を通して、約2.5l/hの一定のHClの流れとなるように調整した。ガス状塩化水素をガス導入管によりフラスコの下部で触媒小球に通した。ガス流を、還流冷却装置を介して中和のために、冷却されたナトリウムメトキシド溶液に導入した。2時間の反応期間後、反応フラスコ中で非常に弱い還流が始まった。約3時間からゆっくりと液体が留出し、かつ留出液受器に溜めた。4時間の反応期間後、試験を中断した。受器には6.0gの留出液が集まった。1、2及び4時間の反応期間後、セプタムを介してサンプルを反応フラスコから取り出した(残液1〜3)。受器中の留出液、反応フラスコからのサンプル及び出発材料のGC試験(表2)を実施した。
【0036】
【表2】
*残液1〜3においては、メインシグナル間で、同様に分解反応中に形成される部分的に水素化されたクロロシランオリゴマー種に起因する微量のシグナルが現れる。それによって100%までの誤差が説明される。
**ヘキサクロロジシランを、HClによる長い連続的なストリッピングに基づき、明らかに高い沸点にも関わらず相応して受器中に溜めた。
【0037】
デカクロロテトラトリシランを、適した触媒の存在下でHClを用いてトリクロロシランと四塩化ケイ素とに分解することができる。反応は、中間体として安定な中間生成物のオクタクロロトリシラン及びヘキサクロロジシランを介して行われる。
【0038】
担持された触媒の製造:
600gの含水エタノール(H2O含有率=5%)及び54gの3−ジイソブチルアミノプロピルトリメトキシシランに、300gの触媒担体(SiO2球、φ約5mm)を初めに装入した。反応混合物を123〜128℃の油浴温度で5時間加熱した。冷却後、上澄み液体を吸引し、球を600gの無水エタノールで洗浄した。1時間後、液体を再び吸引した。球を305〜35mbarの圧力及び110〜119℃の浴温度で1時間、事前に乾燥し、引き続き<1mbarで9.5時間乾燥した。
【符号の説明】
【0039】
1 反応容器
2 反応フラスコ
3 捕集フラスコ、HClの導入
4 滴下漏斗
5 HClの流量計(ロータメーター)
6 冷却装置
7 留出液受器
8 冷却装置
図1