(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
接続ノードにおいて前記センサに接続された少なくとも1つのワイヤを更に有し、前記被覆は、前記被覆の遠端の反対側の近端を更に含み、前記接続ノードは、前記被覆の近端から見て軸方向において遠位に位置する請求項1から3のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(i)前記コアワイヤと前記センサとの間の第1クリアランス及び(ii)前記センサと前記被覆との間の第2クリアランス内に配設されたカプセル材料を更に有する請求項1から7のいずれかに記載のガイドワイヤ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、同一の参照符号を使用して様々な図面において同一のコンポーネントを識別している添付図面を参照すれば、
図1は、位置検知ガイドワイヤを使用してもよいシステム10の概略図である。図示のシステム10は、主電子制御ユニット12(例えば、プロセッサ)を含み、主電子制御ユニット12は、様々な入出力メカニズム14と、ディスプレイ16と、任意選択の画像データベース18と、医療位置決めシステム(MPS:medical positioning system)20などの定位システムと、心電図(ECG)モニタ22と、それぞれ24
1及び24
2として表記された1つ又は複数のMPS場所センサと、それ自体がこのような1つのセンサ24
1を有するものとして例示を目的として示されている1つの且つ任意選択によっては更なる数のMPS場所センサを含むMPS対応型ガイドワイヤ26とを有する。
【0013】
入出力メカニズム14は、例えば、キーボード、マウス、タブレット、フットペダル、スイッチ、又はこれらに類似したものなどのコンピュータに基づいた制御ユニットとインターフェイスするための従来の装置を有してもよい。又、ディスプレイ16も、従来の装置を有してもよい。
【0014】
本発明による実施形態は、対象領域を撮像するステップを使用した操縦用途に使用法を見出してもよい。従って、システム10は、任意選択により、画像データベース18を含んでもよい。画像データベース18は、例えば、医療装置26の目的の部位を取り囲む対象領域及び/又は目的の部位に到達するために装置26が移動するものと想定される操縦経路に沿った複数の対象領域などの患者の身体に関係した画像情報を保存するように構成してもよい。データベース18内の画像データは、画像タイプを有してもよく、これには、(1)過去のそれぞれの個々の時点において取得された1つ又は複数の二次元のスチール画像、(2)画像取得装置からリアルタイムで取得された複数の関係する2次元画像(例えば、
図2に例示を目的として示されているものなどのX線撮像装置からの蛍光透視画像)であって、画像データベースがバッファとして機能する(ライブ蛍光透視法)、画像、及び/又は(3)シネループ(CL:cine−loop)を規定する関連付けられた2次元画像のシーケンスであって、シーケンス内のそれぞれの画像は、ECGモニタ22から得られた取得したリアルタイムECG信号に従ってシーケンスの再生を許容するのに十分な関連する少なくとも1つのECGタイミングパラメータを有する、画像と、が含まれる。以上の内容は、一例に過ぎず、且つ、その特性は、限定を意図したものではないことを理解されたい。例えば、画像データベースは、3次元の画像データを含んでもよい。画像は、例えば、X線、超音波、CT(computerized tomography)、核磁気共鳴、又はこれらに類似したものなどの現在既知の又は今後開発される任意の撮像モードによって取得してもよいことを更に理解されたい。
【0015】
MPS20は、定位システムとして機能し、且つ、従って、MPS場所センサ24
iのうちの1つ又は複数のものとの関係において位置決め(定位)データを判定し(ここで、i=1〜nである)、且つ、個々の場所読取値を出力するように、構成されている。場所読取値は、それぞれ、基準座標系との関係における位置(position)及び向き(orientation)(P&O)のうちの少なくとも1つ又は両方を含んでもよく、基準座標系は、MPS20の座標系であってもよい。例えば、P&Oは、1つ又は複数の磁界生成器又は1つ又は複数の送信機との関係における磁界内の磁界センサの位置(即ち、3つの軸X、Y、及びZにおける座標)及び向き(即ち、方位角及び仰角)として表現してもよい。
【0016】
MPS20は、磁界センサ24
iが、制御された低強度AC磁界(
図2を参照されたい)内に配設されている間に、これらのセンサから受け取った信号をキャプチャ及び処理することに基づいて基準座標系における個々の場所(即ち、P&O)を判定する。電磁的な観点において、これらのセンサは、本明細書において想定されているように、変化する磁界内に存在するコイル上に誘発される電圧を生成する。従って、センサ24
iは、それらが配設されている1つ又は複数の磁界の1つ又は複数の特性を検出すると共にこれを示す信号を生成するように、構成されており、MPS20がこの信号を更に処理し、その個々のP&Oを取得する。センサ24
i及びこれらのセンサを内蔵した医療装置の例示用の設計特徴及び製造プロセス及び方法については、当技術分野において既知である。
【0017】
MPSセンサ24
1と、任意選択により、更なる実施形態における更なるMPSセンサとをMPS対応型医療装置26と関連付けてもよい。別のMPSセンサ、即ち、患者基準センサ(PRS:patient reference sensor)24
2(システム10内に設けられている場合)は、全体的な患者の身体運動及び/又は呼吸に伴って誘発される運動の動き補償を可能にするために、患者の身体の位置基準を提供するように構成されている。PRS24
2は、患者の胸骨柄、胸部上の安定した場所、又は相対的に位置の観点において安定した別の場所に装着してもよい。MPS場所センサ24
1と同様に、PRS24
2も、自身が配設されている磁界の1つ又は複数の特性を検出するように構成されており、MPS20は、基準座標系におけるPRSの位置及び向きを示す場所読取値(例えば、P&O読取値)を提供する。
【0018】
心電図(ECG)モニタ22は、複数のECG電極(図示されてはいない)を使用して心臓の電気タイミング信号を継続的に検出するように構成されており、ECG電極は、患者の身体の外側に外部装着してもよい。タイミング信号は、一般に、例えば、心周期の特定のフェーズに対応している。一般に、制御ユニット12は、データベース18内に保存されている予めキャプチャされた画像のシーケンス(シネループ)のECG同期再生のために、1つ又は複数のECG信号を使用してもよい。ECGモニタ22及びECG電極は、いずれも、従来のコンポーネントを有してもよい。
【0019】
図2は、相対的に大規模なシステムに、即ち、カテーテル検査室に、内蔵されたシステム10の概略図である。実施形態は、後述するカテーテル検査室環境において使用してもよいが、これは、例示を目的としたものに過ぎず、その特性は、限定を意図したものではないことを理解されたい。MPS20は、MTA(magnetic transmitter assembly)30と、場所(P&O)読取値を判定する磁気処理コア32とを含む。MTA30は、モーションボックス34として識別された予め規定された3次元空間内において、患者の胸部空洞内に又はその周辺に1つ又は複数の磁界を生成するように構成されている。上述のMPSセンサ24
iは、1つ又は複数の磁界の1つ又は複数の特性を検知するように構成されており、且つ、センサがモーションボックス34内に位置している際に、それぞれのMPSセンサ24
iは、磁気処理コア32に供給される個々の信号を生成する。処理コア32は、これらの検出された信号に応答して動作し、且つ、モーションボックス34内のそれぞれのMPSセンサ24
iごとに個別のP&O読取値を算出するように構成されている。従って、MPS20によれば、3次元空間内におけるそれぞれのセンサ24
iのリアルタイム追跡が可能である。
【0020】
画像座標系とMPS基準座標系との間の位置的関係は、(例えば、セットアップの際に確立される)システムの既知の光学磁気較正に基づいて算出してもよく、その理由は、位置決めシステム及び撮像システムは、このような環境においては、相互の関係において固定されているものと見なしてもよいためである。但し、画像データを早い時期に取得し、且つ、次いで、外部供給源(例えば、データベース18内に保存された撮像データ)からインポートする実施形態を含むその他の撮像モードを使用したその他の実施形態の場合には、MPS場所読取値を、使用されている任意の特定の画像との間において適切に調節することができるように、MPS座標系及び画像座標系を見当合わせする(registering)見当合わせステップ(registration step)を実行する必要があろう。
図11との関連において、後程、MPS20の例示用の一実施形態について更に詳細に説明することとする。
【0021】
図3は、システム10内の装置26として使用してもよいガイドワイヤ36の第1実施形態の概略図であり、内部コンポーネントを更に明瞭に示すために、被覆の一部分が取り除かれている。ガイドワイヤ36は、遠端38と、近端40とを有する。尚、ガイドワイヤを参照して使用される「遠位」とは、身体内の対象領域に向かって前進する端部を意味し、且つ、「近位」とは、身体の外側に位置し、且つ、医師によって手動で、或いは、例えば、ロボット制御によって自動的に、操作される反対側の端部を意味している。
【0022】
ガイドワイヤ36は、中央コアワイヤ42と、コアワイヤ42を収容すると共にセンサ44を受け入れるようにサイズ及び形状が構成された内部空間を規定する全般的に薄い壁を有する細長い被覆(shroud)48とを含む。センサ44と、任意選択により、センサ44を取り囲むシース46と、が内部空間に配設される。図示の実施形態においては、コアワイヤ42は、センサ44を貫通して延在している。構造的支持のために、且つ、患者の管腔を通じてガイドワイヤを導入及び操縦する際に先端部の非外傷性接触を提供するために、ガイドワイヤ36の遠位最先端部に、プラグ50が設けられている。プラグ50は、好ましくは、丸くなっており、且つ、ポリマー、接着剤、接合材料、金属、又はこの目的に適した任意のその他の相対的に滑らかな材料から製造してもよい。プラグ50は、半球の形状において示されているが、任意のその他の非外傷性の形態を有してもよい。プラグ50は、のり付け(gluing)、接合、溶接、はんだ付け、又はその他の患者にとって安全な結合方法により、コアワイヤ42、センサ44、及び被覆48のうちの1つ又は複数に結合してもよい。或いは、この代わりに、プラグ50は、被覆48の1つの形成部分であってもよい。配線54が接続ノード56においてセンサ44に結合されている。配線54は、ガイドワイヤの近端40に向かって延在し、ガイドワイヤの近端40とセンサ44との間の電気的接続を提供している。配線54は、はんだ付け又はその他の電気的接続性を有する結合方法によってセンサ44に結合してもよい。
【0023】
被覆48は、ガイドワイヤ36の挿入、除去、及び曲げの結果としてもたらされる圧縮又は引張負荷から遠位組立体の内部を保護するために、ガイドワイヤの遠端38に設けられている。従って、センサ44及び接続ノード56は、いずれも、被覆48の近端(即ち、後方)から見て、軸方向において遠位(即ち、前方)に位置している。被覆48は、プラチナ又はその他の生体適合性を有する金属又は合金などの剛性材料から製造してもよく、この結果、有利には、センサ44及び接続ノード56の周りに剛性が提供される。又、被覆48が放射線不透過性を有するようにし(例えば、プラチナ及び/又はその合金)、これにより、遠端38の蛍光透視における視認性を向上させてもよい。
【0024】
被覆48の図示の実施形態は、例示を意図したものに過ぎず、且つ、限定を意図したものと解釈してはならない。被覆48は、一定の直径の薄い壁を有するチューブとして示されているが、被覆48は、別の形状又は断面を有してもよく、これらの形状又は断面は、その軸方向の長さに沿って一定であってもよく、或いは、変化してもよく、且つ、これらは、本発明の範囲に依然として含まれる。更には、被覆48は、金属以外の材料を有してもよく、放射線不透過性を有してもよく又は有していなくてもよく、且つ、剛性の程度の変化を提供してもよい。
【0025】
曲がりの柔軟性を提供するために、被覆48の近傍にスプリング52が配置されている。スプリング52は、蛍光透視における視認性を増大させるために、プラチナなどの放射線不透過性を有する金属であってもよい。又、スプリング52は、ステンレス鋼、イリジウム、又はニッケルチタニウム合金(即ち、Nitinol)から製造してもよい。又、曲がり易さ及び蛍光透視における視認性の提供に加えて、スプリング52は、被覆48との関係において近接配置されている配線54の保護をも提供している。スプリング52の遠端は、溶接、はんだ付け、医療グレードのエポキシなどの接着剤、或いは、その他の患者にとって安全な(生体適合性を有する)結合方法により、被覆48の近端に結合してもよい。図示のように、スプリング52は、被覆48と実質的に同一の外径を有しており、且つ、従って、被覆48によって確立された外径エンベロープを維持すると共に近位方向に延在している。但し、スプリング52は、異なる形状及び/又は異なる外径を有してもよく、且つ、それらも、本発明の範囲に依然として含まれる。更には、図示の実施形態は、コイル幅、コイル間の間隔(存在する場合)、又は曲がり易さの程度について、スプリング52の構造を限定することを意図したものではない。代替実施形態においては、スプリング52は、曲がり易いポリマーチューブ又は編み込まれたプラスチックチューブであってもよい。
【0026】
図4は、実質的に
図3のライン4−4に沿って取得したガイドワイヤ36の断面図である。図示の実施形態におけるコアワイヤ42は、ガイドワイヤ36の半径方向の中心に配置されている。換言すれば、コアワイヤ42の中央長手方向軸は、実質的にガイドワイヤ36の中心軸「A」と同一であり、即ち、一致している。コアワイヤ42は、遠端部分58(
図3に最良に示されている)を有し、これは、図示の実施形態においては、ガイドワイヤの遠端38と実質的に一致しており、且つ、少なくとも、被覆48及びスプリング52の軸方向の延在と同じ程度に延在している。コアワイヤ42は、近端部分を更に含む。コアワイヤ42の遠位最端部は、被覆48の遠端と同一平面上に位置してもよく、或いは、これを過ぎて距離d
lだけ遠位方向に延在してもよい。コアワイヤ42は、その近端からその遠端まで直径が減少した変化する半径方向断面直径を有する曲がり易いワイヤを有してもよいが、この直径の減少は、図示されてはいない。遠端部分58においては、コアワイヤ42は、一定の直径の円形断面を有する(
図5〜
図8において最良に観察される)。コアワイヤ42は、有利には、曲げ応力、引張負荷、及び圧縮負荷をその長さにわたって分散させ、これにより、配線54などのガイドワイヤ36のその他のコンポーネント上における応力を低減する。換言すれば、(例えば、組織との接触に起因して)被覆48に印加される負荷は、先端部50を介してコアワイヤ42に伝達され、且つ、同様に、先端部50に直接印加された負荷も、コアワイヤ42を通じて同様に除去される。コアワイヤ42は、ステンレス鋼、チタニウム、又はニッケルチタニウム合金(即ち、Nitinol)などの金属、或いは、その他の生体適合性を有する材料から製造してもよい。曲げ応力をガイドワイヤ36の長さ全体にわたって十分に分散させるために、コアワイヤ42は、ガイドワイヤ36の軸方向の長さの全体にわたって延在する単一の連続したワイヤであってもよい。但し、コアワイヤ42は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2009/0192413号明細書に記述されている構造などのマルチピース構造を有してもよく、この内容は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0027】
コアワイヤ42の図示の実施形態は、例示を目的としたものに過ぎず、限定を意図したものではない。コアワイヤ42に対しては、多数の変形を実施可能であり、且つ、これらも、特許請求されている本発明の範囲及び精神に依然として含まれる。例えば、コアワイヤ42は、金属以外の材料を有してもよく、且つ、非円形断面を有してもよい。更には、コアワイヤ42は、非中空であってもよく、中空であってもよく、或いは、なんらかのその他の内部構造を有してもよい。
【0028】
図4を継続して参照すれば、センサ44が、コアワイヤ42から半径方向を外向きに配置されており、且つ、センサ44は、複数の要素を有してもよく、或いは、一体的なものであってもよい。図示の第1実施形態においては、センサ44は、中空の円筒型センサコア60と、センサの近端に設けられたリード線45
1、45
2を形成するその2つの自由端部を有するコイル62を形成するためにセンサコア60上に巻回されたワイヤとを有する。2本のリード線は、接続ノード56において配線54に電気的に接続されている。配線54及び接続ノード56は、電気絶縁層64により、コアワイヤ42から電気的に絶縁されており、電気絶縁層64は、コアワイヤ上に滑らせて装着された又は収縮させたポリマーチューブ、ポリマー又は接着剤の噴霧又は塗布層、或いは、なんらかのその他の電気絶縁構造であってもよい。センサコア60は、透磁性材料を有するチューブであってもよく、このチューブは、コアワイヤ42が貫通する中央管腔を有する。透磁性材料を有するコア60は、位置決めセンサ44を形成するコイル/コアの組合せの全体的な感度を(透磁性コアを有していない同一のコイル構成と比べた場合に)向上させる。センサコア60は、ニッケル及び鉄の合金などの透磁性材料の金属合金から製造してもよい。センサ44の近端は、被覆48によって保護されており、換言すれば、センサ44は、被覆48の近端から見て、軸方向において遠位に位置している。但し、コア60が、距離d
2だけ、被覆48の遠端を超えて遠位方向においてわずかに延在してもよいことから、対照的に、センサ44の遠端は、被覆によって規定されたエンベロープ内に完全に位置していなくてもよい。但し、センサ44の遠端は、プラグ50に結合され、且つ、これによって保護されている。任意選択により、更なる保護及び電気絶縁のために、管状のシース46をセンサ44及び接続ノード56の両方の周りに(且つ、これらを取り囲むように)設けてもよい。シース46は、ポリマー収縮チューブ又はその他の電気絶縁性構造又は材料であってもよい。
【0029】
センサ44は、コイル/コアの組立体であるものとして図示及び記述されているが、その他のタイプの位置センサを使用してもよく、且つ、それらも、本発明の精神及び範囲内に留まることを理解されたい。コイルセンサの場合には、コイルの数、それらの形状、空間的関係、コアの有無、及びこれらに類似したものにおける変化が可能である。ガイドワイヤ36上には、1つのセンサ44しか示されていないが、複数のセンサ44を、ガイドワイヤ36上において、遠端38に又はガイドワイヤ36上のその他の場所に、配置することができよう。更には、ガイドワイヤ36のその他の要素との関係における複数のセンサ位置及び向きが可能である。例えば、センサ44は、被覆48の遠端を超えて遠位方向に延在してもよく、或いは、被覆48は、センサ44の遠端を超えて遠位方向に延在してもよい。同様に、被覆48又はセンサ44のいずれかは、他方を超えて近位方向に延在してもよい。更には、ガイドワイヤ36がシステム10内において使用される装置26である一実施形態においては、センサ44は、MPSセンサ24
1であってもよい。磁界に基づいた位置決めシステムの環境におけるセンサ44の機能は、そのセンサが配置されている1つ又は複数の磁界の1つ又は複数の特性を検出するというものである。この観点において、当業者は、多数の変形及び構成が存在することを理解するであろう。
【0030】
図5〜
図8は、ガイドワイヤ36の様々な半径方向断面を示している。
図5は、実質的に
図3のライン5−5に沿って取得したセンサ44が配設される遠端38の一部を示している。
図6及び
図7は、接続ノード56の断面を示している。
図8は、接続ノード56から見て軸方向において近位に位置した配線54の例示用の構造を示している。
【0031】
図5を参照すれば、図示の実施形態においては、コアワイヤ42、センサコア60、コイル62、シース46、及び被覆48のそれぞれが円形断面を有している。被覆48は、コアワイヤ42を中心として半径方向において対称性を有しており、この結果、有利には、ガイドワイヤ36が可変の量及び向きのトルク及び曲がりを経験するのに伴ってホイップラッシュ効果が低減される。第1クリアランス66により、コアワイヤ42をセンサコア60から分離している。第1クリアランス66を接着剤タイプの電気絶縁性を有する医療グレードのエポキシなどのカプセル材料によって充填し、これら2つを電気的に絶縁しつつ、センサコア60をコアワイヤ42と結合してもよい。第2クリアランス68により、センサ44を被覆48から分離してもよい。使用する場合には、シース46を第2クリアランス68内に配設してもよい。又、第2クリアランス68(シース46の内側及び/又は外側の任意のクリアランスを含む)を前述のカプセル材料によって充填し、組立体を固定してもよい。一実施形態においては、ガイドワイヤ36の遠端部分の全体を同時に「ポッティング(potting)」してもよく、この場合には、上述のカプセル材料が(例えば、遠位最端部から)被覆48の内部に導入される。以上の内容は、上述のクリアランスを充填することにより、使用の際に遭遇する可能性がある環境の影響に対する保護を提供しつつ、様々なコンポーネントを1つに固定するのに有効である。
【0032】
図6は、実質的に
図3のライン6−6に沿って取得したガイドワイヤ36の断面図である。
図6は、配線54の対応するリード線に対する電気接続用のものであるコイル62の自由端部又はリード線45
1、45
2を示している。図示のように、コイルリード線45
1、45
2は、接続ノード56において、センサコア60の上方を通過している。コアワイヤ42、センサコア60、シース46、及び被覆48は、
図5に示されている相対的に遠位の断面におけるものと実質的に同一の直径及び断面を有している。この結果、有利な半径方向の対称性が維持されている。
図5におけると同様に、第1クリアランス66及び第2クリアランス68をカプセル材料によって充填し、コアワイヤ42、センサコア60、及びシース46を被覆48内において結合してもよい。
【0033】
図7は、実質的に
図3のライン7−7に沿って取得したガイドワイヤ36の断面図である。
図7は、コイルリード線45
1、45
2が接続ノード56においてコアワイヤ42の上方を通過するのに伴って配線54に対して接続するコイルリード線を更に示している。コイルリード線45
1、45
2は、これらのリード線45
1、45
2が配線ハウジング72に接近するのに伴って、
図7においては、多少互いに接近していることに留意されたい(
図8に最良に示されている)。
図5及び
図6と同様に、有利な半径方向の対称性が維持されている。センサコア60(並びに、センサコア60とコアワイヤ42との間の任意の絶縁材料)は、もはや、接続ノード56をコアワイヤ42から分離しておらず、従って、コアワイヤ42を接続ノード56から電気的に絶縁するために、絶縁層64が設けられている。コアワイヤ42と絶縁層64との間に小さな空隙が示されているが、このような空隙は、完成したガイドワイヤ36内に存在しなくてもよい。絶縁層64は、コアワイヤ42に対して緊密に固定してもよく、或いは、絶縁層64は、コアワイヤ42の周りにおいて余裕を有するように適用し、且つ、ガイドワイヤ36を構築するプロセスの一部として、緊密な固定状態となるようにしてもよい。例えば、絶縁層64は、後から加熱されると共にコアワイヤ42上に緊密に巻き付いた状態となるポリマー収縮チューブであってもよい(
図7には、製造プロセスの加熱ステップの以前の余裕を有する状態として示されている)。第3クリアランス70により、コアワイヤ42(並びに、絶縁層64)を被覆48から分離している。第1クリアランス66及び第2クリアランス68と同様に、第3クリアランス70をエポキシ又はその他のポッティング材料などのカプセル材料によって充填し、コアワイヤ42、絶縁層64、接続ノード56、シース46、及び被覆48の1つ又は複数を結合してもよい。
【0034】
図8は、実質的に
図3のライン8−8に沿って取得したガイドワイヤ36の断面図である。
図8は、接続ノード56から見て軸方向において近位に位置した配線54を示している。配線54は、センサ44から近端40に電気信号を転送する能力を有するワイヤを含む2導体ツイストペア(TP:twisted−pair)であってもよい。配線54のワイヤは、例えば、10〜25μmなどの数十マイクロメートルのレベルの太さを有してもよい。この代わりに、配線54は、同軸ケーブル、フラットフレックスケーブル、又は少なくとも1本のワイヤを含むその他の機能的に同等の配線を有してもよい。配線54は、第3クリアランス70内に配設されたハウジング72内に封入されている。
図5〜
図7と同様に、有利な半径方向の対称性が維持されている。カプセル材料を第3クリアランス70内に配設し、組立体を結束してもよい。
【0035】
ガイドワイヤ36は、2ステッププロセスによって構築してもよい。まず、コアワイヤ42、センサ44、配線54、及び接続ノード56をシース46の内部においてポッティングしてもよい。次いで、シース46内に閉じ込められた組立体を被覆48の内部においてポッティングし、且つ、プラグ50に対して結合してもよい。シース46をガイドワイヤ36から省略した場合には、単一ステップにおいて、コアワイヤ42、センサ44、配線54、及び接続ノード56を被覆48の内部においてポッティングし、且つ、プラグ50に対して結合してもよい。
【0036】
ガイドワイヤ36の図示の実施形態は、多数の利点を提供する。コアワイヤ42は、ガイドワイヤ36の挿入、除去、及び曲がりによって生成される引張及び圧縮負荷を吸収すると共に分散させる。例えば、外側シースに印加された負荷は、プラグ50を介してコアワイヤ36に伝達され、且つ、同様に、プラグ50に直接的に印加された負荷も、コアワイヤ36に伝達される。又、被覆に印加された負荷のなんらかの成分も、スプリング52を通じて除去されるが、強調しておくべき点は、これらの負荷が、印加応力の影響を最も受けやすいコンポーネントであるセンサ44又はセンサコイル/配線接続ノード56上における大きな応力を結果的にもたらさないという点である。つまり、配線54が、ガイドワイヤ36の遠端内の任意の単一の地点において大きな引張及び圧縮負荷又は曲げ応力に晒されることがなく、この結果、センサ44の信頼性の高い機能が保証される。被覆48は、センサ44及び接続ノード56を曲げ応力から保護し、且つ、流体及びその他の異物がガイドワイヤの遠端38の内部に進入することを防止する。又、プラグ50も、センサ44及び接続ノード56内における異物の侵入及び曲げ応力に対する保護を提供している。被覆48、プラグ50、及びコアワイヤ42によって提供される保護及び構造的支持に起因し、センサ44をガイドワイヤ36の遠位先端部に非常に近接した状態において配置することが可能であり、これにより、空間的位置決め及び方向付けが最も有用な場所において提供される。又、ガイドワイヤ36の長さに沿って複数のセンサ44を提供してもよく、これにより、その他の利点を犠牲にすることなしに、空間的位置決め及び向き情報が増強される。更には、遠端38の半径方向における対称性は、トルクに伴って誘発されるホイップラッシュの尤度を低減する。
【0037】
図9は、第2ガイドワイヤ実施形態74の断面図である。ガイドワイヤ74の遠端は、ガイドワイヤ74が被覆を欠いていることを除いて、ガイドワイヤ36の遠端38と実質的に同一である。その代わり、管状のスプリング76が、プラグまで延在しており、且つ、プラグ50に対して結合されてもよい。コアワイヤ42、センサ44、シース46(設けられている場合)、及び接続ノード56は、いずれも、スプリング76の内部において1つにポッティングしてもよい。スプリング76は、蛍光透視における視認性を向上させるために、プラチナなどの放射線不透過性材料を有してもよい。
【0038】
図10は、第3ガイドワイヤ実施形態78の断面図である。ガイドワイヤ78の遠端の内部は、ガイドワイヤ36の遠端38と実質的に同一である。但し、ガイドワイヤ78は、被覆を欠いており、且つ、その代わりに、その遠端がコーティング80によってカバーされている。コーティング80は、プラグ50から近位方向に延在することによってセンサ44、配線54、及びスプリング52をカバーするポリマー層を有してもよい。コーティング80は、被覆48(
図3)及びスプリング76(
図9)と同様に、センサ44及び接続ノード56を周方向において完全に取り囲んでいる。コーティング80は、有利には、ガイドワイヤ80の遠端を封止し、これにより、この遠端を水密にしており、且つ、コーティング80は、親水性又は疎水性であってよい。又、コーティング80は、ペースメーカー及びその他の埋植可能な装置リード線の供給などのいくつかの用途において有利である滑らかな連続した表面をも生成している。
【0039】
図11は、先程引用した米国特許第7,386,339号明細書を参照して観察した際にMPS108として表記されているMPS20の例示用の一実施形態の概略ブロックダイアグラムであり、且つ、以下、その各部分を再掲するが、これは、少なくとも部分的に、イスラエルのハイファ(Haifa)に所在するMediGuide Ltd.によって市販され、且つ、現在は、St. Jude Medical, Inc.によって所有されているgMPS(商標)医療位置決めシステムについて全般的に記述している。例えば、「MEDICAL POSITIONING SYSTEM」という名称の米国特許第6,233,476号明細書を参照することによっても観察されるように、変形が可能であることを理解されたい。この内容も、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。別の例示用の磁界に基づいたMPSは、Biosense Webster社から市販され、且つ、例えば、「Intrabody Measurement」という名称の米国特許第6,498,944号明細書及び「Medical Diagnosis, Treatment and Imaging Systems」という名称の米国特許第6,788,967号明細書に全般的に図示及び記述されているCart(商標)システムであり、これらの明細書は、いずれも、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。従って、以下の説明は、例示を目的としたものに過ぎず、且つ、その特性は、限定を意図したものではない。
【0040】
MPSシステム110は、場所及び向きプロセッサ150と、送信機インターフェイス152と、複数のルックアップテーブルユニット154
1、154
2、及び154
3と、複数のデジタル/アナログコンバータ(DAC)156
1、156
2、及び156
3と、増幅器158と、送信機160と、複数のMPSセンサ162
1、162
2、162
3、及び162
Nと、複数のアナログ/デジタルコンバータ(ADC)164
1、164
2、164
3、及び164
Nと、センサインターフェイス166とを含む。
【0041】
送信機インターフェイス152は、場所及び向きプロセッサ150と、ルックアップテーブルユニット154
1、154
2、及び154
3と、に接続されている。DACユニット156
1、156
2、及び156
3は、ルックアップテーブルユニット154
1、154
2、及び154
3のうちの個々のものと、増幅器158と、に接続されている。増幅器158は、送信機160に更に接続されている。又、送信機160は、TXとマーキングされている。MPSセンサ162
1、162
2、162
3、及び162
Nは、それぞれ、RX
1、RX
2、RX
3、及びRX
Nと更にマーキングされている。アナログ/デジタルコンバータ(ADC)164
1、164
2、164
3、及び164
Nは、それぞれ、センサ162
1、162
2、162
3、及び162
Nと、センサインターフェイス166と、に接続されている。センサインターフェイス166は、場所及び向きプロセッサ150に対して更に接続されている。
【0042】
ルックアップユニット154
1、154
2、及び154
3のそれぞれは、数字の循環シーケンスを生成し、且つ、この数字の循環シーケンスを個々のDACユニット156
1、156
2、及び156
3に供給し、次いで、個々のDACが、この数字の循環シーケンスを個々のアナログ信号に変換する。アナログ信号のそれぞれは、異なる空間軸を表している。この例においては、ルックアップテーブル154
1及びDACユニット156
1は、X軸用の信号を生成し、ルックアップテーブル154
2及びDACユニット156
2は、Y軸用の信号を生成し、且つ、ルックアップテーブル154
3及びDACユニット156
3は、Z軸用の信号を生成している。
【0043】
DACユニット156
1、156
2、及び156
3は、それぞれの個々のアナログ信号を増幅器158に供給し、増幅器158は、これらの信号を増幅し、且つ、増幅された信号を送信機160に供給する。送信機160は、複数軸電界を供給し、この複数軸電界は、MPSセンサ162
1、162
2、162
3、及び162
Nによって検出することができる。MPSセンサ162
1、162
2、162
3、及び162
Nのそれぞれは、電界を検出し、個々の電気アナログ信号を生成し、且つ、この電気アナログ信号を、接続されている個々のADCユニット164
1、164
2、164
3、及び164
Nに供給する。ADCユニット164
1、164
2、164
3、及び164
Nのそれぞれは、供給されたアナログ信号をデジタル化し、その結果を数字のシーケンスに変換し、且つ、そのシーケンスをセンサインターフェイス166に供給し、次いで、センサインターフェイスが、そのシーケンスを場所及び向きプロセッサ150に供給する。場所及び向きプロセッサ150は、受け取った数字のシーケンスを分析し、これにより、MPSセンサ162
1、162
2、162
3、及び162
Nのそれぞれの場所及び向きを判定する。場所及び向きプロセッサ150は、歪イベントを更に判定し、且つ、相応して、ルックアップテーブル154
1、154
2、及び154
3を更新する。
【0044】
上述のシステム10、特に、主電子制御ユニット12は、本明細書に記述されている機能に従ってすべてが稼働する関連するメモリ内に保存された予めプログラムされた命令を実行する能力を有する当技術分野において既知の従来の処理装置を含んでもよいことを理解されたい。このような電子制御ユニットは、更には、任意のソフトウェアを保存してもよく、且つ、同時に、動的に生成されたデータ及び/又は信号の保存及び処理を許容してもよいように、ROMとRAMの両方、即ち、不揮発性及び揮発性(変更可能な)メモリの組合せを有するタイプであってもよい。
また、本明細書に記載の技術は、下記の(1)〜(7)に記載の技術を含んでいてもよい。
(1)遠端部分と、近端部分とを有するコアワイヤであって、前記遠端部分は、遠位先端部を有する、コアワイヤと、
前記コアワイヤの前記遠端部分の周りに配設された細長い被覆であって、遠端と、近端とを有する被覆と、
前記ガイドワイヤの非外傷性遠位先端部を生成するために、前記コアワイヤの前記遠端部分と結合されると共に前記被覆の前記遠端と結合されるプラグと、
前記被覆の前記近端に近接して前記コアワイヤの前記遠端部分の周りに配設された管状スプリングであって、圧縮及び引張負荷を支持するように構成されるスプリングと、
を有するガイドワイヤ。
(2)前記スプリングは、前記被覆の前記近端に結合される上記(1)に記載のガイドワイヤ。
(3)前記スプリングは、
のり付け、
接合、
溶接、及び
はんだ付け、
のうちの少なくとも1つによって前記被覆の前記近端に結合される上記(2)に記載のガイドワイヤ。
(4)前記スプリングの外径は、前記被覆の外径と実質的に等しい上記(1)から(3)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(5)第1軸を有するガイドワイヤであって、
近端部分と、遠端部分と、第2軸とを有するコアワイヤであって、前記第2軸は、前記第1軸と実質的に一致する、コアワイヤと、
前記コアワイヤの周りに配設された細長い保護構造体であって、遠端を有する細長い保護構造体と、
前記コアワイヤの前記遠端部分及び前記細長い保護構造体の前記遠端と結合されたプラグであって、前記プラグは、遠位非外傷性先端部分を有し、前記コアワイヤと前記細長い保護構造体との間の内部空間は、センサを受け入れるように構成される、プラグと、
を有するガイドワイヤ。
(6)前記細長い保護構造体は、管状のスプリングである上記(5)に記載のガイドワイヤ。
(7)前記コアワイヤの周りに配設された管状スプリングを更に有し、前記細長い保護構造体は、ポリマーコーティングである上記(5)に記載のガイドワイヤ。
【0045】
以上、本発明の多数の実施形態について特定レベルの具体性を伴って説明したが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱することなしに、開示されている実施形態に対して多数の変更を実施することができよう。すべての方向に関する参照(例えば、プラス、マイナス、上部、下部、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、最上部、最下部、上方、下方、垂直、水平、時計回り、及び反時計回り)は、本発明の読者の理解を支援するべく識別を目的として使用されているものに過ぎず、且つ、特に、本発明の位置、向き、又は使用に関する限定を生成するものではない。結合に関する参照(例えば、装着された、結合された、接続された、及びこれらに類似したもの)は、広く解釈することを要し、且つ、要素の接続と要素間の相対的な運動の間に中間部材を含んでもよい。従って、結合に関する参照は、必ずしも、2つの要素が、直接的に、且つ、相互に固定された関係において、接続されることを示唆するものではない。上述の説明に含まれている又は添付の図面に示されているすべての内容は、限定ではなく、例示を目的としたものに過ぎないものと解釈されたい。添付の請求項に規定されている本発明の精神を逸脱することなしに、詳細及び構造における変更を実施してもよい。