特許第5721908号(P5721908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5721908平地造船及び陸海積載用のゼロトルク自動修正油圧押動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5721908
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】平地造船及び陸海積載用のゼロトルク自動修正油圧押動装置
(51)【国際特許分類】
   B63C 3/08 20060101AFI20150430BHJP
   B63B 9/06 20060101ALI20150430BHJP
   B66F 19/00 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   B63C3/08
   B63B9/06 M
   B66F19/00 T
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-520497(P2014-520497)
(86)(22)【出願日】2012年9月18日
(65)【公表番号】特表2014-524866(P2014-524866A)
(43)【公表日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】CN2012001280
(87)【国際公開番号】WO2013106976
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2014年1月21日
(31)【優先権主張番号】201210014452.6
(32)【優先日】2012年1月17日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513324321
【氏名又は名称】大連理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】林 焔
(72)【発明者】
【氏名】陳 明
(72)【発明者】
【氏名】于 雁雲
(72)【発明者】
【氏名】紀 卓尚
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−085509(JP,U)
【文献】 実開昭51−097999(JP,U)
【文献】 特開昭61−241260(JP,A)
【文献】 特開昭54−077995(JP,A)
【文献】 特開昭60−135396(JP,A)
【文献】 米国特許第04030699(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 9/06,
B63C 3/02−3/12
B66F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下船台(1)に1つの上滑走板(10)が設けられ、油圧押動装置を用いて上滑走板(10)を下船台(1)上で移動させる平地造船及び陸海積載用のゼロトルク自動修正油圧押動装置において、
前記油圧押動装置は、1つの油圧ステーション(6)、後台(7)、前台(9)、持ち上げ機構、自動修正機構及びゼロトルク押動機構を含み、前記油圧ステーション(6)と後台(7)は共に1つの後台プラットホーム(17)に配置され、前記前台(9)は接続フランジ(10a)を介して上滑走板(10)に固定接続され、
前記ゼロトルク押動機構は油圧シリンダー(8)を2つ用い、油圧シリンダー(8)の一端は第3ピン軸(8b)を介して後台(7)にヒンジ接続され、他端は第2ピン軸(8a)を介して前台(9)にヒンジ接続され、
前記自動修正機構は、自動修正制御レバー(11)を1つと、修正位置決め片(12)を2つ用い、自動修正制御レバー(11)の一端は前台(9)に固定接続され、他端は後台(7)に固定されている2つの修正位置決め片(12)の間に挟まれており、
前記持ち上げ機構は爪(5)を2つ、爪軸(13)を1つ、ガイド部材(3)を2つ、及び2列の等距離に配置されたストッパー(2)を用い、爪軸(13)はじゃま板(18)と後台(7)に近接する前ラウンド片(14)との間に設けられ、爪(5)は爪軸(13)の両端に覆設され、各爪(5)の中央部は、ストッパー(2)に跨るガイド部材(3)に第1ピン軸(3a)を介してヒンジ接続され、
油圧シリンダー(8)がリフトアップすると、爪(5)はストッパー(2)を把持し、油圧シリンダー(8)は上滑走板(10)押動しつつ前進し、油圧シリンダー(8)が収縮すると、後台プラットホーム(17)が前方に移動し、爪軸(13)は、爪(5)が次のストッパー(2)を把持して次の移動を開始するまで、爪(5)とガイド部材(3)とを、ストッパー(2)に近接しながら前方に移動するよう従動させる、ことを特徴とする平地造船及び陸海積載用のゼロトルク自動修正油圧押動装置。
【請求項2】
前記ガイド部材(3)はストッパー(2)の両側に配置されるプレートから構成され、ガイド部材(3)には第1ピン軸(3a)用の1つの長ピン軸孔が設けられることを特徴とする請求項1に記載の平地造船及び陸海積載用のゼロトルク自動修正油圧押動装置。
【請求項3】
前記爪軸(13)と前ラウンド片(14)とが接触する下部には1つの下圧片(15)が設けられ、上部には1つの上圧片(16)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の平地造船及び陸海積載用のゼロトルク自動修正油圧押動装置。
【請求項4】
前記自動修正制御レバー(11)の両側には、前台(9)に固定接続される斜め支持レバー(11a)が1つずつ設けられることを特徴とする請求項1に記載の平地造船及び陸海積載用のゼロトルク自動修正油圧押動装置。
【請求項5】
前記ストッパー(2)は下船台(1)に固定設置されるとともに、爪(5)の位置に対応していることを特徴とする請求項1に記載の平地造船及び陸海積載用のゼロトルク自動修正油圧押動装置。
【請求項6】
前記後台プラットホーム(17)の下方両側にはコロ(4)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の平地造船及び陸海積載用のゼロトルク自動修正油圧押動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平地造船及び陸海積載等の技術工程に用いられ、船舶及び海洋工事の技術分野に属する、平地造船及び陸海積載用のゼロトルク自動修正油圧押動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平地造船システムでは、船舶、海洋工事設備、又は大型構造物を移動させる必要がある。現在では、主にレールや船台(slipway)による移動方式があり、レールがカートで移動させるのに対し、船台では滑走板によって移動させる。いずれの移動方式も牽引動力系統を具備する必要があり、牽引動力系統は引っ張り式と押動式に分けられる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、船台移動システムにもレール移動システムにも応用可能で、構造がシンプルであり、工事への適用性に優れ、安全で信頼性が高く、メンテナンスに便利であり、従来の業務環境を変えることがなく、造船所での生産手順や工程にも影響しない、平地造船及び陸海積載用のゼロトルク自動修正油圧押動装置を提供する。
【0004】
本発明は、以下の技術方案を用いる。すなわち、下船台に1つの上滑走板が設けられ、油圧押動装置を用いて上滑走板を下船台上で移動させる平地造船及び陸海積載用のゼロトルク自動修正油圧押動装置において、 前記油圧押動装置は、1つの油圧ステーション、後台、前台、持ち上げ機構、自動修正機構及びゼロトルク機構を含み、前記油圧ステーションと後台は共に1つの後台プラットホームに配置され、前記前台は接続フランジを介して上滑走板と固定接続され、前記ゼロトルク押動機構は油圧シリンダーを2つ用い、油圧シリンダーの一端は第3ピン軸を介して後台にヒンジ接続され、他端は第2ピン軸を介して前台にヒンジ接続され、前記自動修正機構は、自動修正制御レバーを1つと、修正位置決め片を2つ用い、自動修正制御レバーの一端は前台に固定接続され、他端は後台に固定されている2つの修正位置決め片の間に挟まれており、前記持ち上げ機構は爪を2つ、爪軸を1つ、ガイド部材を2つ、及び2列の等距離に配置されたストッパーを用い、爪軸はじゃま板と後台に近接する前ラウンド片との間に設けられ、爪は爪軸の両端に覆設され、各爪の中央部は、ストッパーに跨るガイド部材に第1ピン軸を介してヒンジ接続され、油圧シリンダーがリフトアップすると、爪はストッパーを把持し、油圧シリンダーは上滑走板を押動しつつ前進し、油圧シリンダーが収縮すると、後台プラットホームが前方に移動し、爪軸は、爪が次のストッパーを把持して次の移動を開始するまで、爪とガイド部材とを、ストッパーに近接しながら前方に移動するよう従動させる、ことを特徴とする。
【0005】
前記ガイド部材は、ストッパーの両側に配置されるプレートから構成され、ガイド部材には第1ピン軸用の1つの長ピン軸孔が設けられる。
【0006】
前記爪軸と前ラウンド片とが接触する下部には1つの下圧片が設けられ、上部には1つの上圧片が設けられる。
【0007】
前記自動修正制御レバーの両側には、前台に固定接続される斜め支持レバーが1つずつ設けられている。
【0008】
前記ストッパーは下船台に固定して設置されるとともに、爪の位置に対応している。
【0009】
前記後台プラットホームの下方両側にはコロが設けられている。
【0010】
本発明は、以下の有益な効果を奏する。このような油圧押動装置は、1つの油圧ステーション、後台、前台、持ち上げ機構、自動修正機構及びゼロトルク押動機構を含む。ゼロトルク押動機構は油圧シリンダーを2つ用い、油圧シリンダーの一端は後台にヒンジ接続され、他端は前台にヒンジ接続されており、自動修正機構と持ち上げ機構によって全押動動作過程が完遂される。当該油圧押動装置は、船台移動システムにもレール移動システムにも応用可能で、構造がシンプルであり、工事への適用性に優れ、安全で信頼性が高く、メンテナンスに便利であり、従来の業務環境を変えることがなく、造船所での生産手順や工程にも影響しない。よって、大型であったり、容積トン数が大きかったり、外形が複雑な設備又は構造物を、段階的に、正確で制御可能に、且つ速やかに移動させることができる。従って、造船における生産能力が向上し、製造サイクルが短縮化されるとともに、大型構造物の進水経路が増加し、大型構造物の進水における安全性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、油圧押動装置の構造を示す正面図である。
図2図2は、油圧押動装置の構造を示す平面図である。
図3図3は、図1のA−A断面図である。
図4図4は、図3のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の構造について更に述べる。
【0013】
図1,2,3,4は、油圧押動装置の構造を示す図である。図中、船台移動システムに対し、油圧押動装置は下船台1上に載置され、下船台1は地盤に固定接続され、上滑走板10は並進運動する物体(船舶や海洋構造物)に接続され、油圧押動装置を用いて上滑走板10を下船台1上で移動させる。油圧押動装置は、1つの油圧ステーション6、後台7、前台9、持ち上げ機構、自動修正機構及びゼロトルク押動機構を含み、油圧ステーション6と後台7は共に1つの後台プラットホーム17に配置され、後台プラットホーム17の下方両側にはコロ4が3つずつ設けられ、前台9は接続フランジ10aを介して上滑走板10に固定接続される。
【0014】
ゼロトルク押動機構は油圧シリンダー8を2つ用い、油圧シリンダー8の一端は第3ピン軸8bを介して後台7にヒンジ接続され、他端は第2ピン軸8aを介して前台9にヒンジ接続される。ゼロトルク機構の設計は、爪軸13と押動機構の間の力の作用点と、油圧シリンダー8と押動機構の間の力の作用点と、爪5とストッパー2の間の力の作用点が共線となることがポイントである。爪軸13と前ラウンド片14の接触面の母線は、上記3つの作用点の接続線に対し垂直である。
【0015】
自動修正機構は、自動修正制御レバー11を1つと、修正位置決め片12を2つ用い、自動修正制御レバー11の一端は前台9に固定接続され、他端は後台7に固定されている2つの修正位置決め片12の間に挟まれている。自動修正制御レバー11の両側には、前台9に固定接続される斜め支持レバー11aが1つずつ設けられている。上滑走板10に小角度の変位が生じた場合、前台9と上滑走板10とは固定接続されているため、前台9も一定角度変位することから、自動修正制御レバー11の変位が招来され、自動修正制御レバー11の変位によって修正位置決め片12が変動し、これに伴って押動装置にも変位が生じる。押動時には小角度の偏移が生じるため、爪5によって一方を把持し他方を解放することで、上滑走板10の側に抵抗可能となり、これによって上滑走板10の小角度の偏移を元に戻し、修正作用を奏することができる。
【0016】
持ち上げ機構は爪5を2つ、爪軸13を1つ、ガイド部材3を2つ、及び2列の等距離に配置されたストッパー2を用い、爪軸13はじゃま板18と後台7に近接する前ラウンド片14との間に設けられる。ストッパー2は下船台1に固定設置されるとともに、爪5の位置に対応している。爪軸13と前ラウンド片14とが接触する下部には1の下圧片15が設けられ、上部には1の上圧片16が設けられる。爪5は爪軸13の両端に覆設され、爪ブッシュ13aで固定されている。各爪5の中央部は、ストッパー2に跨るガイド部材3に第1ピン軸3aを介してヒンジ接続され、ガイド部材3はストッパー2の両側に配置されるプレートで構成され、ガイド部材3には、第1ピン軸3a用の1つの長ピン軸孔が設けられている。爪のフック前方下端面はストッパー2の後方上端面に対応し、且つ頂角がないため、爪5をストッパー2上で前方にスムーズに移動させることができる。爪のフック後端面はストッパー2の前端面と緊密に係合し、爪5の後向への移動を防ぐことができる。ガイド部材3には1つの特殊な長ピン軸孔が開設され、当該長ピン軸孔によってガイド部材3と爪5を共に前後方向に連動させることが可能となり、上下方向には爪5のみを上下運動可能とし、ガイド部材3は連動不可能とする。つまり、ガイド部材3が前後運動のみ可能であるのに対し、爪5は上下前後に運動可能である。これにより、爪5をストッパー2の配置方向に運動させることができる。
【0017】
油圧シリンダー8がリフトアップすると、爪5はストッパー2を把持し、油圧シリンダー8は上滑走板10を押動しつつ前進する。油圧シリンダー8が収縮すると、前台9は重荷重が加わっている上滑走板10に固定されているため、後台プラットホーム17と液圧装置が前方に移動し、爪軸13が爪5を従動させ、爪5は爪5上の第1ピン軸3aと共にガイド部材3に抵抗しつつ前方へ移動し、ガイド部材3は公差範囲内でストッパー2に近接しながら前進する。爪5の先端がストッパー2に接触すると、爪5はストッパー2の上面に沿って上方に移動しながら前方に移動し、爪5は第1ピン軸3aと共にガイド部材3に開設されている長ピン軸孔において上方に移動しながら、ガイド部材3に抵抗して前方に移動する。爪5がストッパー2を通過すると、爪5は第1ピン軸3aと共にガイド部材に開設されている長ピン軸孔に沿って降下する。油圧シリンダー8が再びリフトアップすると、上述の押動過程が繰り返される。
【符号の説明】
【0018】
1 下船台
2 ストッパー
ガイド部材
3a 第1ピン軸
4 コロ
5 爪
6 油圧ステーション
7 後台
8 油圧シリンダー
8a 第2ピン軸
8b 第3ピン軸
9 前台
10 上滑走板
10a 接続フランジ
11 自動修正制御レバー
11a 斜め支持レバー
12 修正位置決め片
13 爪軸
13a 爪ブッシュ
14 前ラウンド片
15 下圧片
16 上圧片
17 後台プラットホーム
18 じゃま板

図1
図2
図3
図4