(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
経皮治療システムは、経皮治療システムに含まれる活性成分を投与するために、一般的に、患者の皮膚に貼付される。投与は、皮膚及びそこに存在する血管を介する患者の血流への活性成分の拡散によって行われる。
【0003】
経皮治療システムは、通常、活性成分貯留部(depot)と、活性成分を透過しない裏打ち層と、システムの貼付前に剥離される保護フィルムとを含む。現在、マトリックスシステム及び貯留システムの2種類の基本的な種類の経皮治療システムが知られている。いわゆるマトリックスシステムでは、活性成分は、主に、自己粘着性感圧ポリマーからなるポリマーマトリックスに含まれている。活性成分の送達は、皮膚に対する濃度勾配によって制御される。いわゆる貯留システムでは、活性成分は液体、半固体又は固体の貯留部に含まれ、活性成分の送達は膜によって調節される。
【0004】
以下、パッチとも称される経皮治療システムの貼付のために、システムを皮膚に貼付する前に、パッチの保護フィルムが、まず剥離される。よりつかみやすくし、これにより、保護フィルムの剥離を容易にするために、いくつかのパッチでは、保護フィルムが、パッチの残りの部分の端を越えて突出する。他の経皮治療システムは2部分の保護フィルムを使用し、パッチが折り曲げられたときに、2部分の保護フィルムの隣接する端部が立ち上がり、これにより、活性成分を含むパッチの領域に触れることなく経皮治療システムを把持することが可能となる。パッチを皮膚に貼付する際に、指を汚す危険性を最小限に抑えるために、一般的に、まず、2部分の保護フィルムのうち1部分だけを剥離し、同時に、保護フィルムの他の部分によって被覆されている領域でパッチを持ちながら、パッチの露出部分を皮膚に貼付し、その後、保護フィルムの第2の部分を剥離することが望ましい。いくつかの経皮治療システムでは、汚染の危険性をさらに減じるために、保護フィルムの両方の部分が重なり合うように配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、実際は、特に、運動機能が乏しい人にとって、活性成分を含むパッチの領域に触れることなく経皮治療システムから保護フィルムを剥離することは難しいことが多いことがわかった。これは、特に、比較的小さな経皮治療システム(TTS)の場合である。よって、より簡便に貼付可能な経皮治療システムを提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる経皮治療システムの実施態様は、少なくとも1種類の活性成分を含む活性成分貯留部と、皮膚への貼付のために設計され、表面の少なくともいくつかの部分が粘着性である貼付面と、該貼付面を被覆し、第1の保護フィルム部分及び第2の保護フィルム部分を含む保護フィルムとを含み、前記第1の保護フィルム部分はその物理的特性の点で前記第2の保護フィルム部分とは異なる。
【0007】
貼付面は、皮膚との接触のために設けられる経皮治療システムの面として理解される。例えば、もし活性成分貯留部自体が粘着性である場合か、又はその表面全体が感圧接着剤でコーティングされている場合は、貼付面はその表面全体が粘着性であるように設計されてもよく、又は、例えば、被覆ばんそうこう又はオーバーテープを用いて、例えば、活性成分貯留部を粘着性の環の内部に封入することにより、貼付面の表面のある部分だけが粘着性であるように設計されてもよい。
【0008】
可能性のある汚染の危険性を減じるために、貼付面から離れた活性成分貯留部の後面を裏打ち層で被覆することが可能であり、裏打ち層は、好ましくは、活性成分を透過しない。
【0009】
かかる経皮治療システムの好適な実施態様では、前記異なる物理的特性には、前記保護フィルム部分の前記貼付面に面する側における異なる表面張力が含まれ、その結果として、貼付面に対する保護フィルム部分の粘着の異なる強度が達成される。
【0010】
かかる経皮治療システムのさらなる好適な実施態様では、前記異なる物理的特性には、前記保護フィルム部分の異なる厚みが含まれ、その結果として、簡単な方法で、異なる剥離性能を達成することができる。また、前記異なる物理的特性には、例えば、伸縮又は可塑などの、例えば、特定の方法により調節される前記保護フィルムの剛性がさらに含まれてもよく、それにより、異なる剥離性能が達成される。
【0011】
さらなる有利な実施態様では、前記異なる物理的特性には、前記保護フィルムの少なくとも前記貼付面に面する側における異なる表面構造が含まれ、その結果として、互いに異なる寸法の接触表面と、それに関連して、異なる粘着力が生じる。かかる実施態様の具体的な構成では、保護フィルム部分の前記表面構造は、エンボス構造によって形成される。他の実施態様では、保護フィルム部分の前記表面構造は、その表面の粗さによって形成される。
【0012】
いくつかの実施態様では、前記異なる物理的特性には、有利には、異なる材料からの前記保護フィルム部分の形成が含まれ、それにより、異なる粘着特性と、異なる剥離性能とがともに達成される。
【0013】
いくつかの実施態様では、前記第1の保護フィルム部分及び/又は前記第2の保護フィルム部分は、前記貼付面に面した側にコーティングを有してもよく、保護フィルム部分を貼付面に異なる強度で貼着できるように、1つ又は複数のコーティングが設計される。
【0014】
より持ちやすくするために、好適な実施態様では、前記2つの保護フィルム部分は、貼付面から離れたそれらの表面の配色の点で異なり、それにより、より剥離しやすい保護フィルム部分が視覚的に容易に識別可能となる。
【0015】
本発明のさらなる特徴が、特許請求の範囲及び添付の図面とともに、以下の実施態様の記載から明らかになるであろう。本発明は記載された実施態様のうちの実施態様に限定されるものではないが、添付の特許請求の範囲により決定されることに留意されたい。特に、本発明による実施態様では、以下で述べる実施態様に関連して記載される特徴が、例示される以外の多くの実施態様及び実施態様の組み合わせで理解される。本発明のいくつかの実施態様の以下の説明では、添付の図面について説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面では、特定の実施態様に関係なく、機能的に同等又は類似の特徴に対して同一又は類似の符号が使用される。
【0018】
図1の断面略図は、保護フィルムの改善された剥離性を有する経皮治療システム10を示す。
図2は、
図1に対応する構造を有するパッチ10の種々の実施態様の底面略図a)からf)を示す。
【0019】
図1及び
図2に示されるパッチ10は、活性成分を透過しない膜によって形成される裏打ち層12を含む。裏打ち層12は、裏打ち層12の下に配置された活性成分貯留部11の裏側を被覆する。活性成分貯留部の裏打ち層12から離れた側では、活性成分貯留部11は、2つの保護フィルム部分14a及び14bによって形成される保護フィルム14で被覆される。活性成分貯留部11からの保護フィルム部分14a及び14bの剥離を容易にするために、2つの保護フィルム部分は、以下でより詳細に記載されるような異なる物理的特性を有する。
【0020】
示される実施態様では、2つの保護フィルム部分14a及び14bは、それらの端部のうちの一方で、互いに直ぐ隣接し、それにより、それらが共に幅b及び長さlの閉じた表面を形成する。保護フィルム14は、当然のことながら、長方形以外の形状も有することができる。患者の皮膚へのパッチ10の貼付のために、2つの保護フィルム部分14a及び14bが活性成分貯留部11から剥離され、保護フィルム14がなく、活性成分貯留部11及び裏打ち層12によって形成される積層体13の皮膚側の表面が、皮膚に貼付される。
【0021】
図1及び
図2に示されるパッチ10では、積層体13の横方向の寸法、すなわち、層順序に対して横方向の寸法は、通常、対象の積層体13を被覆する保護フィルム14の寸法と比較してより小さく、積層体13は保護フィルムの端部内に完全に配置される。よって、保護フィルム14は積層体13により被覆されない端部領域を有し、積層体13の活性成分含有部分に触れる危険性なく、保護フィルム14を剥離するために、端部領域で保護フィルム14を把持することができる。貼付のために、かかるパッチのより簡便に剥離可能な保護フィルム部分がまず剥離され、その後、積層体13の露出した皮膚側の領域が貼付部位に貼付され、システムが他方の保護フィルム部分の領域でつかまれる。その後、第2の保護フィルム部分を被覆されていない端部領域で把持することができ、そのままか、又はパッチを折り曲げることにより、第2の保護フィルム部が引き剥がされ、その結果として、積層体の表面全体が皮膚上に位置することとなる。
【0022】
保護フィルム14の改善された剥離性を有する経皮治療システム10のさらなる実施態様が、
図3及び
図4に図示される。
図1及び
図2に対応する構成に対して、この実施態様では、2つの保護フィルム部分が、部分的に重なり合う。かかる実施態様は、活性成分貯留部11が低温流動性の傾向を有し、端から端に配置された保護フィルム部分の間から漏出する可能性があるシステム10において好適である。
【0023】
経皮治療システム10の積層体13及び保護フィルム14の形状及び寸法は、
図1ないし
図4に示される実施態様に限定されない。実際に、図示される円形、楕円形及び長方形の形状の他には、保護フィルム14が積層体13の皮膚側の表面を完全に被覆する条件で、具体的には、環状形状、星型形状又は波形の端部を有する形状も使用可能であるように、特定の経皮治療システムの使用目的に応じて、形状及び寸法が自由に選択できる。また、積層体13及び保護フィルム14が同一の寸法であってもよく、これにより、保護フィルムは積層体の1つの端部又は複数の端部を越えて突出しない。
【0024】
経皮治療システム10は、マトリックスシステム及び貯留システムの両方の形式とすることが可能である。マトリックス又は貯留部によって形成される活性成分貯留部は、活性成分を透過しない裏打ち層12によって片側が被覆されるか、又はかかる層によって側面も囲まれる。活性成分貯留部の、その面から離れた貼付面が、患者の皮膚との接触を達成するために使用される。貼付面は粘着性であり、これは活性成分貯留部自体が粘着性であるか、皮膚側に自己粘着性の層が設けられるか、又は粘着性の端部によって囲まれると理解される。
【0025】
マトリックスシステムの形式の場合は、活性成分貯留部11は、好ましくは、活性成分を含有し、感圧接着剤をベースとするマトリックスを含む。(メタ)クリラートと、ポリビニルエーテルと、ポリイソブチレンと、ポリイソプレンゴムと、スチレン−ブタジエンコポリマー又はスチレン−ブタジエン−スチレンコポリマーと、シリコーンとのホモポリマー及びコポリマーなどの経皮治療システムに従来使用されたあらゆる適当な材料が、マトリックスを形成するのに適する。(メタ)クリラートコポリマーのうち、例えば、アルキルアクリラート及び/又はアルキルメタクリラートと、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、アクリロニトリル及び/又は酢酸ビニルなどのさらなる不飽和モノマーとのコポリマーが挙げられる。原理上は、例えば、さらに、皮膚への粘着性を向上させるために、当然のことながら、自己粘着性マトリックスシステムの皮膚側に、さらなる粘着層を設けることも可能である。代替として又はさらに、マトリックスを被覆し、皮膚側に感圧接着剤を設けた、従来、オーバーテープと称される被覆層を使用することができる。
【0026】
経皮治療システム10が貯留システムの形式の場合は、活性成分は、通常、液体又はゲルに含まれ、活性成分貯留部は皮膚側に膜を有し、これにより活性成分の皮膚への送達が制御される。貯留システムでは、保護フィルムを積層体13の皮膚側の表面に粘着可能にし、パッチを皮膚に固定可能とするために、積層体13の皮膚側の表面は、好ましくは、感圧接着剤でコーティングされる。代替として又はさらに、ここに、貯留部を被覆し、皮膚側に感圧接着剤を設けた被覆層を使用することも可能であり、被覆層は粘着性の端部内に貯留部を封入する。
【0027】
本明細書において、コンタクト接着剤とも称される感圧接着剤は、材料表面と接触すると、そこに付着する粘着剤として理解される。かかる粘着性化合物の界面特性は、材料の表面と、粘着剤の表面との間の界面での表面張力とも称される界面張力によって決定される。粘着結合の形成は、材料の表面を粘着剤で湿らせる必要があり、その目的のために、粘着剤の界面張力が材料の表面の界面張力と比較してより高くなってはいけない。そのときのみ、材料の表面への粘着剤の吸着力がそれ自体への吸着力と比較してより高くなり、それにより、粘着剤が材料の表面に流動可能となる。
【0028】
コンタクト接着剤に貼付された保護フィルムの剥離性は、フィルムを剥離するのに必要とされる分離力と、有効性とによって決定され、有効性により分離力を加えることができる。剥離に必要とされる分離力は粘着性化合物の粘着力とともに増加するため、分離力は粘着剤による保護フィルムの濡れによって実質的に決定されるのに対して、加えた分離力の有効性は保護フィルムの物理的特性によって決定され、有効性は保護フィルムの剥離時に加えられる張力の分離力への変換に作用するため、表面張力とは異なる。保護フィルムの材料の柔軟性及び弾性が、特に、張力の分離力への変換に重要である。
【0029】
剥離のために、保護フィルム部分は、一般に、その端部領域の1つで把持され、その後、把持される保護フィルム部分によって被覆される積層体の領域の上から、把持された領域が引き剥がされる。保護フィルム部分が硬ければ硬いほど、保護フィルム部分の得られる曲げ半径はより大きくなり、保護フィルム部分が柔らかければ柔らかいほど、保護フィルム部分の得られる曲げ半径はより小さくなる。本明細書において、柔軟性は、その表面のうちの1つに垂直に作用する力の結果として曲がる材料の特性と理解される。保護フィルム部分の剥離時の曲げ半径が小さければ小さいほど、すでに剥離された保護フィルム部分の領域から、粘着剤にまだ粘着している領域への移行時に、粘着剤と保護フィルムとの間の界面に対して垂直方向の力の成分はより大きくなる。この成分は界面での粘着を剥がすのに重要であるので、より柔らかい保護フィルム部分は、より硬い保護フィルム部分と比較して、より簡便に感圧接着剤から剥離することができる。よって、異なる剥離性の保護フィルム部分によって形成される保護フィルムを有する経皮治療システムのいくつかの実施態様は、異なる剛性又は、反対に、異なる柔軟性の少なくとも2つの保護フィルム部分を有する。
【0030】
異なる柔軟性又は剛性の保護フィルム部分を形成するのに可能な方法は、異なる材料を用いて2つの保護フィルム部分を製造することである。適当な保護フィルムの材料は、例えば、必要に応じて、HDPEなどのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニル又はポリウレタンの積層体の形態である。適当な保護フィルムは、例えば、3Mから商標スコッチパック(登録商標)(スコッチパック(登録商標)1020、1022、9736、9742、9744、9755など)で、シリコナトゥーレから例えばシルテン又はシルファンの名称で、三菱から商標ホスタファン(登録商標)(例えば、GN、RD)で、又はロパレックス社からFL2000の名称で入手可能である。
【0031】
材料の選択の他に、保護フィルム部分の柔軟性及び剛性は、その厚みによって影響されることもあるので、いくつかの実施態様では、保護フィルム部分のうち一方14aのフィルムの厚みが、保護フィルム部分の他方14bの厚みとは異なる。当然、保護フィルム部分は、フィルムの材料の点及びフィルムの厚みの点の両方の点で異なっていてもよい。保護フィルム部分の剥離性を損なわないために、保護フィルム部分が顕著な弾性を有さないように、すなわち、保護フィルム部分の剥離に必要とされる力によって保護フィルム部分が著しく伸縮しないように、材料及び厚みが選択されるべきである。厚みは、材料の特性に基づき、適当に選択することができ、例えば、第1の保護フィルム部分については、10ないし70μmの範囲、第2の保護フィルム部分については、75ないし150μmの範囲として規定することができる。
【0032】
保護フィルム部分14a又は14bの剥離性にとって重要な第2の要因は、経皮治療システム10の粘着性表面へのその粘着力である。これは、粘着性表面と接触する保護フィルム部分の表面の表面張力によって影響される。よって、経皮治療システム10のいくつかの実施態様では、保護フィルム部分14a及び14bは、積層体13への貼付のために設けられたそれらの接触表面での表面張力の点で異なる。接触表面の表面張力は、シリコーン、フルオロポリマー又はフルオロシリコーンコーティングによって減じることができ、コーティング15の選択は、積層体の貼付面すなわち皮膚側で使用される粘着剤に合致させる。
図5aの断面斜視図は、接触表面全体がコーティングされたフィルム材料14#によって形成される保護フィルム部分14a又は14bを示す。接触表面でのより低い表面張力を有する保護フィルム部分は、積層体13へのより低い粘着性を有するため、その剥離のために、より小さな分離力しか必要としない。
【0033】
より低い表面張力を有するコーティングは、特定の保護フィルム部分の積層体側の表面全体を被覆する必要はない。積層体13への保護フィルム部分のより低い粘着力を達成するためには、保護フィルム部分の接触表面、すなわち、コンタクト接着剤を被覆するために使用される表面領域をコーティングすればよい。より大きいパッチの場合、より低い表面張力を有するコーティングが、接触表面の一部の領域に限定されてもよく、一部の領域は、保護フィルム部分の剥離時に、最初に、引き剥がされる領域によって形成される。
【0034】
さらなる構成では、2つの保護フィルム部分のうち少なくとも1つ14a又は14bは、異なる表面張力を有する2つのコーティングを有し、コーティングのうちの一方は各保護フィルム部分の積層体側の面の表面の一部をパターン状に被覆する。
図5bに図示されるように、保護フィルム部分の表面全体に、予め塗布されるコーティング15上に、このパターン化されたコーティング16を配置することができるか、又は
図5cに図示されるように、同様にパターン化された第1のコーティング15によって被覆されない保護フィルムの基材の表面領域をこのパターン化されたコーティング16で被覆することができる。後者の場合、2つのコーティング15及び16のパターンは、図示されるように、それらが重なり合うのではなく、むしろ互いに補い合うように構成することができる。
【0035】
上述の実施態様のさらなる構成では、保護フィルム部分のうち一方の積層体側の表面の濡れ性は、表面が積層体13に貼付される前に、表面を感圧接着剤と接触させ、その後、表面を感圧接着剤から再度引き離すことにより減少する。剥離時に、粘着剤の残留物が保護フィルム部分に残り、粘着剤の残留物により、それらの箇所での保護フィルム部分の局所的な表面張力が決定される。保護フィルム部分の積層体側の表面の表面張力と比較して、より低い表面張力のコンタクト接着剤を用いるとき、これにより、積層体13の皮膚側への保護フィルム部分の粘着力を減じることができる。また、この方法は、コーティングを施された保護フィルム部分14a及び14bの場合にも使用することができ、これにより、粘着剤の残留物が特にコーティング上の孔を充填する。
【0036】
前記表面張力の他に、積層体13への保護フィルム部分14a及び14bの粘着力は、保護フィルム部分の接触側の被覆表面に対する接触表面の比によっても決定される。本明細書において、接触表面はコンタクト接着剤によって濡れている保護フィルム部分の表面として理解され、被覆表面は保護フィルム部分によって被覆される粘着剤の表面として理解される。よって、さらなる実施態様において、積層体13への保護フィルム部分の粘着力の低下は、保護フィルム部分14a及び/又は14bの一方又は両方の3次元構造により達成される。それに応じて構成された保護フィルム14の例が、
図6の断面図に概略的に示される。保護フィルム部分14a及び14bは、例えば、エンボス加工によって形成されるくぼみ14
*を有する。くぼみには、一般的には、保護フィルムによって被覆される積層体13のコンタクト接着剤が充填されておらず、それにより、くぼみの底部は粘着剤で濡れていない。保護フィルム部分14a及び14bがどちらも3次元構造を有する場合、2つの保護フィルム部分のうち一方は、感圧接着剤との接触のために設けられた接触表面14"が、他方と比較してより小さくなる。
【0037】
低温流動性の傾向を有するコンタクト接着剤の場合、保護フィルム部分のくぼみが充填され、それにより、構造化された表面がより大きな濡れ表面をもたらすことができる。当業者は、システムによる所望の方法で、被覆表面に対する接触表面の比率を調節することができる。
【0038】
これは、例えば、2つの保護フィルム部分のうち一方のくぼみの横方向の寸法が、他方のくぼみの横方向の寸法と比較してより大きいことによって達成可能である。
【0039】
また、被覆表面と比較してより小さな接触表面14"は、保護フィルム部分14a又は14bの接触面14’の粗さによっても達成することができる。十分に粗い表面の場合、低温流動性の傾向を有さない粘着剤と、フィルム材料との間の接触は、フィルム材料の「頂部」でのみ達成される。この場合、谷底部は、粘着剤によって濡れていない。改善された剥離性を有する保護フィルム14を形成するために、2つの表面が異なるトポグラフィー、例えば、滑らかな表面と、粗い表面とを有するフィルム材料を使用することができ、2つの保護フィルム部分14a及び14bはそれぞれ、異なる側で感圧接着剤に貼付される。かかるフィルム材料の例は、三菱ポリエステルフィルム製のPETフィルム、ホスタファン(登録商標)RD及びRD26HCが挙げられる。低温流動性の傾向を有する粘着剤の場合、保護フィルム部分の接触側が粗ければ粗いほど、濡れ表面がより大きくなり、これによって、粘着力をより強くすることができる。
【0040】
また、これは、同様に、2つ以上の保護フィルム部分を有する保護フィルム14の使用時にも適用される。また、既に先に述べたように、上述の方法を接触表面の一部の領域に限定することもでき、これは、一部の領域が、積層体13からの剥離時に、最初に引き剥がされる保護フィルム部分の領域を形成する場合である。
【0041】
保護フィルム部分の剥離性を測定するために、公知の試験方法を使用することができる。例えば、DIN EN 1939などの対応するDIN規格による粘着力の測定を実施することができる。分離力は、例えば、FTM3及び4などのFINAT(感圧・感熱性接着紙製造及び加工業者国際連盟(Federation international des fabricants et transformateurs d’adhesifs et thermocollants sur papiers et autres supports))試験を用いて、測定することができる。保護フィルムの剥離性の改善は、主に、保護フィルム部分の剥離性の相対的な差異によって達成され、加えられる分離力よりも確実に小さいので、測定が両方の保護フィルム部分に対して同じ方法で実施されるという条件で、粘着力又は分離力を測定するための従来の異なる方法を使用することも可能である。
【0042】
いくつかの実施態様では、保護フィルム部分の互いに異なる粘着力又は分離力を達成するための上述の異なる方法は、当然のことながら、互いに組み合わせることができるとともに、張力の分離力への変換の異なる効率を達成するための上述の方法と組み合わせることができる。
【0043】
より簡便に剥離可能な保護フィルム部分の識別を容易にするために、その保護フィルム部分は、例えば、一般的には、積層体13の貼付面から離れたその可視表面の特定の配色によって、色の点で、好ましくはその他の1つ又は複数の保護フィルム部分と区別される。異なる配色を実現するために、着色されたフィルム材料又は印刷されたフィルム材料を使用することができる。また、最初に剥離される保護フィルム部分は、適当な標示用タブ又は把持用タブによって、認識可能とすることもできる。
【0044】
2つの実施例が以下に記載され、これらの実施例では、保護フィルム14は異なる物理的特性を有する2つの保護フィルム部分14a及び14bによって形成される。
【0045】
異なる保護フィルム部分の剥離特性を調べるために、粘着性のアクリラート−酢酸ビニルコポリマーのマトリックスを含む経皮治療システムが作製された。各経皮治療システム(TTS)が、表面にコーティングされた2つの異なる保護フィルム部分14a及び14bのいずれとも組み合わせて提供された。第1の保護フィルム部分(14a)は、コーティングされた表面で、マトリックスの粘着性表面の一部分にまず貼付された。その後、第2の保護フィルム部分(14b)が、第1の保護フィルム部分(14a)と重なり合うように、マトリックスの粘着性表面の覆われていない部分に貼付された。ここでも、第2の保護フィルム部分(14b)のコーティングを施された側が、マトリックスの粘着性表面に対向した。
【0046】
第1の保護フィルム部分として、ロパレックス社からFL2000/50μmの名称で市販されている、50μmの厚みを有するシリコーンコーティングされたポリエステルフィルム又は3Mからスコッチパック(登録商標)9755の名称で市販されている、74μmの厚みを有するフルオロポリマーコーティングされたポリエステルフィルムを使用した。第2の保護フィルム部分として、ロパレックス社からFL2000/100μmの名称で市販されている、100μmの厚みを有するシリコーンコーティングされたポリエステルフィルム又は3Mからスコッチパック(登録商標)1020の名称で市販されている、74μmの厚みを有するフルオロポリマーコーティングされたポリエステルフィルムを使用した。
【0047】
経皮治療システム(TTS)は、室温で2日間貯蔵された。この平衡時間の後、個々の保護フィルム部分(14a,14b)の剥離力が引張試験機(EZテスト,島津,ドイツ)により測定され、剥離力は保護フィルム部分を粘着性マトリックスから引き剥がすのに必要な力である。本事例において、具体的な剥離角度は90°であり、剥離速度は300±30mm/分である。保護フィルム部分が上向きになるように、試料ブロックの滑らかな表面に試験試料が固定された。測定値は、試料幅25mmに標準化され、評価され、3又は2回の測定(スコッチパック(登録商標)1020)の平均値で表された。結果を以下の表にまとめる。
【0049】
表から、同じコーティングであるが、保護フィルム材料の異なる厚みでは、異なる剥離力が得られることが明らかである。同じ厚みであるが、異なる表面コーティングを有する保護フィルムについても同じことが当てはまる。
【0050】
記載される発明は、運動能力が乏しい人であっても、体の領域又は物体の望ましくない汚染の危険性を伴わずに、パッチを皮膚に簡便に貼り付けることができる、保護フィルムの改善された剥離性を有する経皮治療システムを可能にする。