(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第一実施形態>
図1〜
図8を用いて、本発明の第一実施形態に係る鉄骨部材の接合構造が適用された空間構造物について説明する。
図1は、構造物10の屋根11を構成する鉄骨構造部12の斜視図である。鉄骨構造部12は本発明の第一実施形態に係る鉄骨部材の接合構造が適用された空間構造物とされている。屋根11は上側に凸状とされたドーム状とされている。また、
図1の矢印UP方向が鉛直方向上側方向を示している。なお、本実施形態においては、後述するZ方向(法線方向)と鉛直方向(矢印UP方向)とは一致しない。
【0021】
鉄骨構造部12は、主体フレームとしての複数の鉄骨部材50が接合されることによって構成されている。そして、鉄骨部材50の軸方向(長手方向)の端部52(
図4参照)同士が接合される接合部位に、本発明の鉄骨部材の接合構造が適用されている。
本実施形態では、鉄骨部材50は軸方向と直交する断面が略H形状のH形鋼とされている。しかし、鉄骨部材50はH形鋼に限定されない。H形鋼以外の形鋼であってもよい。或いは形鋼以外の鋼材であってもよい。
【0022】
図2は、
図1の接合部位20を示す斜視図である。接合部位20は、四本の鉄骨部材50XL,50XR、50YR,50YLが平面視十字状に接合された接合部位とされている。鉄骨部材50XL,50XRはX方向に沿って配置され、鉄骨部材50YR,50Lは、Y方向に沿って配置されている。
【0023】
また、以降、X方向に沿って配置されている部材及び当該部材に設けられている部材には、「X」又は「XL,XR」を付し、Y方向に沿って配置されている部材及び当該部材に接合されている部材には符号の後に「Y」又は「YL,YR」を付す。また、Z方向に沿って配置された部材及び当該部品に設けられている部材には「Z」又は「ZU,ZL」を付す。但し、これらを区別して説明する必要がない場合は、X,XL,XR,Y,YL,YR、Z,ZU,ZL、U、Lを省略する。
【0024】
ここで、本実施形態の
図1以外の各図において、X方向とY方向とは直交し、X方向及びY方向と直交する方向がZ方向である。そして、本実施形態では、Z方向から見た場合を平面視とする。本実施形態においては、Z方向はドーム状の屋根11の法線方向と略一致し、X方向及びY方向はドーム状の屋根11の接線方向と略一致する。なお、
図1と
図2とに示すように、Z方向はドーム状の屋根11の法線方向と略一致し、鉛直方向(矢印UP)とは必ずしも一致しない。
【0025】
なお、屋根11はドーム状とされているので、正確には、各鉄骨部材50の軸方向(長手方向)は、X方向とY方向とで構成される同一平面上になく、若干であるがZ方向に傾いて配置され接合されている(各鉄骨部材50は若干ではあるがZ方向に角度をもって接合されている)。
【0026】
しかし、判りやすくするため、以降の説明は、
図2等に図示されているように、鉄骨部材50の軸方向(長手方向)は、X方向とY方向とで構成される同一平面状に配置されているものとして説明する。言い換えると、鉄骨部材50の軸方向(長手方向)は、X方向又はY方向に沿って配置され、且つ平面視十字状に配置されているものとして説明する。
また、鉄骨部材50以外のX方向及びY方向に沿って配置されているとして説明する部材及び当該部材に設けられている部材も、実際にはZ方向に傾いて配置されていてもよい。
なお、鉄骨構造部12は、X方向、Y方向、及びZ方向に沿って配置されていない部材によっても構成されている。
【0027】
図2に示すように、各鉄骨部材50の端部52(
図4も参照)はノード110を介して接合されている。本実施形態においては、ノード110は、Z方向に所定の厚みを有する平面視正八角形状のブロック体とされている。また、本実施形態においては、ノード110は、型枠などによって形成された充填空間に繊維補強モルタルQが充填され固化することによって形成されている。なお、繊維補強モルタルQは、合成繊維や鋼繊維などをモルタルに複合して補強されたモルタル材とされている。
【0028】
図2〜
図4に示すように、ノード110におけるZ方向外側の壁面二面を外周面112U,112Lとする(
図3と
図4(B)を参照)。また、ノード110におけるZ方向に沿った壁面八面を外周面114A,114B,114C,114D,114E,114F,114G、114Hとする(
図4(A)を参照)。
【0029】
図2〜
図4に示すように、各鉄骨部材50の端部52には、鋼板等で構成されたエンドプレート54が設けられている。なお、エンドプレート54の面外方向(板厚方向)は、鉄骨部材50の軸方向と一致する。各鉄骨部材50の端部52とエンドプレート54とは、本実施形態では溶接によって接合されている。なお、溶接以外の接合方法で接合されていてもよい。また、ノード110の外周面114Bにエンドプレート54YLが接触し、外周面114Dにエンドプレート54XLが接触し、外周面114Fにエンドプレート54YRが接触し、外周面Hにエンドプレート54XRが接触する。
【0030】
図3と
図4とに示すように、各鉄骨部材50の端部52に接合されたエンドプレート54には、複数のスタッド60が接合されている。各スタッド60の先端部には、半球状のコブ部62が形成されている。
なお、スタッドは
図3及び
図4以外の構造であってもよい。例えば、鉄筋スタッドでもよく、ノード110内側の先端には機械式定着部やコブ定着部があってもよい。
【0031】
本実施形態では、鉄骨部材50Xのエンドプレート54Xには、スタッド60XがX方向に突出するように接合されている。そして、各スタッド60Xは、Y方向に沿って列状に並び、且つその列がZ方向に間隔をあけて二つ設けられている。
同様に鉄骨部材50Yのエンドプレート54Yには、スタッド60YがY方向に突出するように接合されている。そして、各スタッド60Yは、X方向に沿って列状に並び、且つその列がZ方向に間隔をあけて二段設けられている。
なお、スタッド60は、Z方向に3段以上設けられていてもよいし、1段のみ設けられていてもよい。更に、各スタッド60は、X方向又はY方向に沿って列状に並んでいなくてもよい。また、スタッド60は各エンドプレート54に複数設けられていなくてもよく、各エンドプレート54に少なくとも一つ以上のスタッド60が設けられていればよい。
【0032】
各スタッド60は、ノード110の中に埋設され定着されている。なお、X方向に沿って対向して配置された鉄骨部材50XRのスタッド60XRのコブ部62XRと、鉄骨部材50XLのスタッド60XLのコブ部62XLと、がX方向に間隔をあけて対向して配置されている。同様に、Y方向に沿って対向して配置された鉄骨部材50YRのスタッド60YRのコブ部62YRと、鉄骨部材50YLのスタッド60YLのコブ部62YLと、がY方向に間隔をあけて対向して配置されている
【0033】
但し、スタッド60同士が干渉しないように、X方向に沿って配置された鉄骨部材50Xのスタッド60Xと、Y方向に沿って配置された鉄骨部材50Yのスタッド60Yと、でZ方向の位置を変えて設けられている。なお、干渉しないように設けられていれば、どのように設けられていてもよいが、本実施形態では、X方向のスタッド60XがZ方向外側に配置され、Y方向のスタッド60Yは、その間(Z方向内側)に配置されることで干渉しないように構成されている。
【0034】
図4に示すように、ノード110の中には、鉄筋で構成された補強筋120X,120Yが埋設されている。補強筋120Xと補強筋120Yとは、平面視格子状に配置され且つ補強筋120Xと補強筋120Yとが交差部位で接合されている。なお、
図3では補強筋120の図示は省略されている。
【0035】
図4(B)に示すように、補強筋120X,120Yが平面視格子状に配置されて接合された格子状鉄筋は、Z方向に間隔をあけて二つ配置されている。また、各補強筋120の端部は、Z方向内側に向けて湾曲され、定着されている。つまり、X方向及びY方向から見ると補強筋120は略U字形状とされている。また、各補強筋120の長さは、かぶり厚を確保するために適宜調整されている。
【0036】
つぎに、本実施形態の鉄骨部材50の接合工程について説明する。
まず、鉄骨部材50の端部52にエンドプレート54を接合し、エンドプレート54にスタッド60を接合する。鉄骨部材50を平面視十字状に配置する。各鉄骨部材50の軸線は、平面視においてノード110の中心点で交差するように配置されている。また、鉄骨部材50のスタッド60のコブ部62を所定の間隔をあけて対向して配置する。そして、補強筋120を配筋して補強筋120同士を接合する。なお、補強筋120Xと補強筋120Yとを予め接合してから配置してもよい。
【0037】
型枠(図示略)を設け、型枠の中(充填空間)に繊維補強モルタルQを充填する。このとき、エンドプレート54が型枠の一部を構成する。そして、繊維補強モルタルQが固化することでスタッド60と補強筋120とが埋設され定着したノード110が形成されると共に、鉄骨部材50の端部52がノード110を介して接合される。
【0038】
なお、構造物10(
図1参照)の建築現場外の工場で予め鉄骨部材50が接合された状態のノード110を製作して建築現場に運んでもよいし、建築現場で鉄骨部材50が接合された状態のノード110を製作してもよい。
【0039】
或いは、ドーム状の屋根11(
図1参照)を構成する鉄骨部材50の施工時にノード110を製作して鉄骨部材50を組み付けてもよい。なお、この場合、各鉄骨部材50の接合位置や接合角度を微調整することで、各鉄骨部材50の製造誤差や施工誤差等を吸収することができる。
【0040】
なお、前述した工程は一例であって、他の工程であってもよい。よって、つぎに他の接合工程及び当該工程を適用する場合の構造について、
図5を用いて説明する。
【0041】
図5(A)に示すように、ノード110の中に、予めスタッド60の外側端部には接合継手68が設けられ埋設されている。鉄骨部材50のエンドプレート54には、接合継手68に対応する位置に軸方向に貫通する貫通孔72が形成されている。
【0042】
そして、
図5(B)と
図5(C)とに示すように、鉄骨部材50のエンドプレート54をノード110に接触させて、ボルト70を接合継手68に捩じ込むことで、エンドプレート54とスタッド60(ノード110)とがボルト接合されると共に、鉄骨部材50がノード110を介して接合される。
【0043】
ここまでは、上述したように
図1の接合部位20(
図2参照)を用いて説明したが、鉄骨構造部12の他の接合部位も本発明が適用された接合構造とされている。
【0044】
例えば、
図1に示す六本の鉄骨部材50が接合部位30(
図1参照)も本発明が適用された接合構造とされている。よって、つぎに、
図1の六本の鉄骨部材50が接合された接合部位30の接合構造を、
図6と
図7とを用いて簡単に説明する。
【0045】
図6と
図7とに示すように、ノード111は、Z方向に所定の厚みを有する平面視九角形状のブロック体とされている。そして、六本の各鉄骨部材50がノード111を介して接合されている。
【0046】
各鉄骨部材50の軸線は、平面視においてノード111の中心点で交差するように配置されている。六本の鉄骨部材50の内、五本の鉄骨部材50は等角度間隔で放射状に配置されている。そして、残り一本の鉄骨部材50は、等角度間隔で配置された鉄骨部材50の内の二本の間に配置されている。
【0047】
なお、
図7では、補強筋120(
図4参照)の図示が省略されているが、実際は、各鉄骨部材50の軸方向に沿って補強筋120が配置されて埋設されている。
【0048】
つぎに本実施形態の作用及び効果について説明する。
複数(接合部位20では四本、接合部位30では六本の)の鉄骨部材50の軸方向(長手方向)の端部52に設けられたエンドプレート54から突出したスタッド60がノード110に埋設され定着することで、複数の鉄骨部材50が接合される。そして、ある鉄骨部材50からエンドプレート54とスタッド60とを介してノード110、111に応力が伝達されると共に、ノード110、111に伝達された応力が他の鉄骨部材50のエンドプレート54とスタッド60とを介して他の鉄骨部材50に伝達される。
【0049】
例えば、接合部位20の場合では、鉄骨部材50XLからエンドプレート54XLとスタッド60XLとを介してノード110に応力が伝達されると共に、ノード110に伝達された応力がエンドプレート54XR,54YL,54YRとスタッド60XR,60YL,60YRとを介して他の鉄骨部材50XR,50YL,50YRに伝達される。
【0050】
よって、複数の鉄骨部材50の端部52同士が溶接等で直接接合されていなくても、ノード110、111を介して複数の鉄骨部材50の端部52間で応力が伝達されるので、複数の鉄骨部材50の端部52の接合強度が確保される。
【0051】
また、繊維補強モルタルQが固化することによって形成されるノード110、111に各鉄骨部材50のスタッド60が埋設され定着することで鉄骨部材50が接合されている。よって、鉄骨部材50同士を溶接等で直接接合する構成と比較し、多種多様な角度をもって取り合う鉄骨部材50を容易に低コストで接合することができる。
【0052】
したがって、低コストで複数の鉄骨部材50の端部52を接合する接合強度を確保しつつ、設計の自由度を大きくすることができる。この結果、所望する自由な形態の空間構造物(本実施形態ではドーム状の屋根11)を容易に低コストで実現することができる。
【0053】
なお、ノード110、111は繊維補強モルタルQが固化することによって形成されているので、繊維補強モルタルQ以外の充填材でノード110、111が構成されている場合と比較し、ノード110、111の引張強度とじん性(靭性)とが向上する。よって、エンドプレート54からスタッド60を介してノード110、111にかかる引張応力に対する強度が大きくなる。したがって、ノード110、111が繊維補強モルタルQ以外の充填材で構成されている場合と比較し、複数の鉄骨部材50の端部52の接合強度が向上する。
【0054】
また、埋設された補強筋120によってノード110、111の強度(特に引張強度)が向上する。よって、補強筋120が埋設されていない構成と比較し、複数の鉄骨部材50の端部52の接合強度が向上する。
【0055】
なお、本実施形態の接合部位20、30においては、ノード110、111にかかる圧縮方向の応力は主にエンドプレート54によって伝達され、ノード110、111にかかる引張方向の応力は主にスタッド60によって伝達される。
【0056】
また、スタッド60の長さは伝達される応力の大きさ等によって適宜調整すればよい。例えば、伝達する応力が小さい場合は、
図8に示すように、スタッド60を短くしてもよい(
図7と
図8とを比較参照)。また、補強筋120は埋設されていなくてもよい。
【0057】
なお、本実施形態では、ノード110、111は、繊維補強モルタルQで構成されていたが、これに限定されない。他の充填材であってもよい。例えば、繊維補強されたコンクリートやグラウト等の充填材でノードが形成されていてもよい。或いは、繊維補強されていないモルタル、コンクリート、グラウト等の充填材でノードが形成されていてもよい。
【0058】
なお、繊維補強されていないモルタル、コンクリート、グラウト等でノードが形成されている場合、設計上、圧縮方向の応力のみがノードにかかる接合部位(引張方向の応力は地震や風等の外乱が作用しない限りかからない接合部位)に用いることが望ましい。
【0059】
<第二実施形態>
つぎに本発明の第二実施形態に係る鉄骨部材の接合構造について、
図9を用いて説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0060】
第一実施形態では、ノード110の中には補強筋120が平面視格子状に配置されて接合されて埋設されていた。
これに対して本実施形態では、ノード110の中には、平面視同心円状に配筋された第一補強筋122と、第一補強筋122の円中心から放射状に配筋された第二補強筋124と、が接合され埋設されている。
【0061】
第一補強筋122と第二補強筋124とは、Z方向に間隔をあけて二つ組、配置されている。また、各第二補強筋124の外側の端部は、Z方向内側に向けて湾曲され、定着されている。つまり、X方向及びY方向から見ると補強筋120は略L字形状とされている。
【0062】
つぎに第二実施形態の作用及び効果について説明する。
平面視において、第一補強筋122と、該第一補強筋122の中心部から放射状に配筋された第二補強筋124と、を有するので、ノード110の平面視における強度が略均等に向上する。よって、鉄骨部材50の端部52がノード110に接合された接合位置等による接合強度の差が低減される。
【0063】
各鉄骨部材50が平面視略十字形状以外に配置された構成の接合部位、例えば、各鉄骨部材50が等角間隔で接合された接合部位30(
図1、
図5、
図6参照))や各鉄骨部材50がばらばらの角度間隔で配置された接合部位(図示略)等に適用すると好適とされる。
【0064】
<第三実施形態>
つぎに本発明の第三実施形態に係る鉄骨部材の接合構造について、
図10を用いて説明する。なお、第一実施形態及び第二実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0065】
図10に示すように、ノード110におけるZ方向に沿った壁面八面のうち、鉄骨部材50のエンドプレート54が接していない対向する外周面114Cと外周面114Gの間、及び、外周面114Aと外周面114Eとの間、を貫通するようにシース管302が埋設されている。なお、シース管302は平面視十字状に配置されると共に(
図10(A)参照)、Z方向に間隔をあけて配置されている(
図10(B)参照)。
【0066】
これらシース管302にPC鋼棒304が挿通されている。PC鋼棒304の両軸端のナット306を締め込むことによって、PC鋼棒304に緊張力が付与され、これによりノード110の外周面114Cと外周面114Gとの間、及び、外周面114Aと114Eとの間、にプレストレス(圧縮力)が付与されている。
【0067】
つぎに本実施形態の作用及び効果について説明する。
PC鋼棒304に緊張力が付与されることによって、ノード110にプレストレス(圧縮力)が付与され、この結果、ノード110にかかる引張応力に対する強度が向上する。よって、ノード110にプレストレス(圧縮力)が付与されていない構成と比較し、複数の鉄骨部材50の接合強度が向上する。
【0068】
なお、本実施形態では、緊張材として、PC鋼棒304を用いたがこれに限定されない。例えば、PC鋼線、PC鋼より線、或いは炭素繊維やビニロン繊維などの繊維材料で構成された線材であってもよい。
【0069】
<第四実施形態>
つぎに本発明の第四実施形態に係る鉄骨部材の接合構造について、
図11を用いて説明する。なお、第一実施形態〜第三実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0070】
図11に示すように、各鉄骨部材50XL,50XRの端部52XL,XRに接合されたエンドプレート54XL,XRには、ノード110に埋設され定着するウェブプレート402XL,XRが接合されている。ウェブプレート402は、Y方向を面外方向(板厚方向)としてX方向に沿って配置されている。
【0071】
ウェブプレート402には、面外方向外側(Y方向外側)に突出する複数のスタッド404が接合されている。
【0072】
なお、本実施形態では、補強筋120(
図4参照)は埋設されていない。また、
図11(C),(D)では、エンドプレート54に接合されたスタッド60の図示は省略されている。
【0073】
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
Y方向に沿って配置された鉄骨部材50Yからのノード110への応力の伝達及びノード110から鉄骨部材50Yへの応力の伝達は第一実施形態と同様である。
【0074】
X方向に沿って配置された鉄骨部材50Xの軸方向(長手方向)の端部52からエンドプレート54X、スタッド60X、及びスタッド404Xを有するウェブプレート402Xを介して、ノード110に応力が伝達される。また、ノード110に伝達された応力がX方向に配置された鉄骨部材50Xのエンドプレート54X、スタッド60X、及びスタッド404Xを有するウェブプレート402Xを介して、鉄骨部材50Xに伝達される。
したがって、スタッド404Xを有するウェブプレート402Xが設けられていない構造と比較し、複数の鉄骨部材50の接合強度が向上する。
【0075】
なお、本実施形態では、X方向に沿って配置された鉄骨部材50Xにのみウェブプレート402を接合したがこれに限定されない。Y方向に沿って配置された鉄骨部材50Yにウェブプレート402を接合してもよい。また、補強筋120(
図4参照)をノード110の中に埋設してもよい。
【0076】
<第五実施形態>
つぎに本発明の第五実施形態に係る鉄骨部材の接合構造について、
図12を用いて説明する。なお、第一実施形態〜第四実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0077】
ウェブプレート402には、Y方向に貫通する貫通孔406が形成されている。そして、貫通孔406に繊維補強モルタルQが入り込み固化することで、繊維補強モルタルQで構成されたコッター408が形成される。なお、
図12(C),(D)では、エンドプレート54に接合されたスタッド60の図示は省略されている。
【0078】
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
Y方向に沿って配置された鉄骨部材50Yからのノード110への応力の伝達及びノード110から鉄骨部材50Yへの応力の伝達は第一実施形態と同様である。
【0079】
X方向に沿って配置された鉄骨部材50Xの軸方向(長手方向)の端部52からエンドプレート54X、スタッド60X、及びウェブプレート402Xのコッター408Xを介してノード110に応力が伝達される。また、ノード110に伝達された応力がX方向に配置された鉄骨部材50Xのエンドプレート54X、スタッド60X、及びウェブプレート402Xのコッター408Xを介して鉄骨部材50Xに伝達される。
したがって、コッター408が形成されるウェブプレート402Xが設けられていない構造と比較し、複数の鉄骨部材50の接合強度が向上する。
【0080】
なお、本実施形態では、X方向に沿って配置された鉄骨部材50Xにのみウェブプレート402を接合したがこれに限定されない。Y方向に沿って配置された鉄骨部材50Yに接合してもよい。
【0081】
また、
図12の(C)−2に示すように、貫通孔406に補強筋409を挿通してもよい。そして、補強筋409を挿通させることで、応力伝達性能が更に向上し、その結果、複数の鉄骨部材50の接合強度が更に向上する。
【0082】
<第六実施形態>
つぎに本発明の第六実施形態に係る鉄骨部材の接合構造について、
図13と
図14とを用いて説明する。なお、第一実施形態〜第五実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0083】
ノード110におけるZ方向外側の外周面112U,112L(
図3と
図4(B)を参照)に接触するように補強プレート512が設けられている。つまり、補強プレート512ZUと補強プレート512ZLとは、ノード110を間に挟んでZ方向に対向して配置されている(
図14(B)参照)。
【0084】
また、補強プレート512の内面には、Z方向に突出しノード110に埋設され定着するスタッド514が接合されている。
【0085】
ノード110におけるZ方向に沿った壁面八面を構成する外周面における鉄骨部材50が接合されていない(エンドプレート54が接触していない)外周面114A,114C,114E,114Gには、シート524A,524C,524E,524Gが設けられている。なお、本実施形態では、シート524は炭素繊維で構成されたシートとされている。なお、以降、各シートを区別する必要がない場合はシート524と記す。
【0086】
シート524のZ方向両端は、Z方向に間隔をあけて配置された補強プレート512に接合されている。別の言い方をすると、二枚の補強プレート512が対向して配置され、対向配置された補強プレート512間がノード110の外周面に沿って設けられたシート524よって連結されている。また、補強プレート512とシート524がノード110の外周面を拘束する。
【0087】
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
各鉄骨部材50からエンドプレート54とスタッド60とを介してノード110に伝達された応力が、スタッド514から補強プレート512に伝達される。よって、各鉄骨部材50からノード110に伝達された応力の一部を補強プレート512が受ける(負担する)ので、その分ノード110の応力負担が軽減される。
【0088】
更に、補強プレート512とシート524がノード110の外周面を拘束している。よって、ノード110に伝達された応力によってノード110の外周面が膨出する方向に変形しようとしても、補強プレート512とシート524によってノード110の外周面の変形が抑制されるので、ノード110の強度が向上する。
【0089】
したがって、補強プレート512とシート524とを有しない構造と比較し、複数の鉄骨部材50の接合強度が向上する。
【0090】
なお、本実施形態では、対向配置された補強プレート512間がシート524よって連結されていたが、これに限定されない。例えば、シートでなく、鋼製等のプレートで連結されていてもよい。また、
図14に二点破線(想像線)で図示しているように、ノード110に埋設された支柱部材530で補強プレート512間が連結されていてもよい。なお、支柱部材530でのみ補強プレート512が連結されている構成であっても、補強プレート512によってノード110の外周面を拘束し外周面の変形を抑制する効果を有する。
【0091】
また、補強プレート512の替わりにシート状の部材でノード110の外周面を覆うようにしてもよい。
【0092】
要は、ノード110の外側から、ノード110の外周面の変形を抑制する抑制手段を有する構成であれば、ノード110の強度が向上し、複数の鉄骨部材50の接合強度が向上する。
なお、補強プレート512同士が連結されていない構成であってもよい。このように補強プレート512同士が連結されていない構成の場合は、ノード110の外周面の変形を抑制する抑制効果は小さくなるが、各鉄骨部材50からノード110に伝達された応力の一部を補強プレート512が受ける(負担する)効果は、連結された構造と略同程度の効果を有する。
【0093】
<その他>
前述したように、上記実施形態では、鉄骨部材50の軸方向(長手方向)は、X方向とY方向とで構成される同一平面状に配置されているとして説明したが、
図1に示すように屋根11はドーム状とされているので、正確には、各鉄骨部材50の軸方向(長手方向)は、若干傾いて配置されZ方向に角度をもって接合されている(各鉄骨部材50同一平面状に配置されていない)。つまり、実際には各鉄骨部材50が3次元的に接合されている。しかし、鉄骨部材がZ方向に角度を持つことなくX方向とY方向とで構成される同一平面状に配置された(鉄骨部材が2次元的に接合された)接合部位にも、本発明を適用することができる。
【0094】
なお、
図15に示すように、
図6に示す接合部位30に、更に鉄骨部材51がZ方向に大きく角度を持って3次元的に配置され接合された接合部位40にも本発明を適用することができる。
【0095】
また、図示は省略するが、鉄骨部材がノードの中心から略放射状に配置されているような構成の場合等、補強筋をノードの中に球形状に配置して埋設させる構造とすると、鉄骨部材の接合位置による接合強度の差が低減される。
【0096】
また、図示は省略するが、固定部に複数の鉄骨部材が平行又は略平行に接合された構成にも本発明を適用することができる。
【0097】
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。