(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
火災感知器は、火災の感知原理に基づいて、熱感知式と煙感知式に大別できる。
【0003】
熱感知式の火災感知器は、感知器本体と感知器カバーとを備えて構成されており、感知器本体は、端子盤にサーミスタを実装して構成されており、このサーミスタを使用して火災から発せられる熱を感知する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、煙感知式の火災感知器は、感知器本体と感知器カバーとを備えて構成されており、感知器本体は、端子盤、検煙部本体、防虫網、及びラビリンスを備えて構成されている。検煙部本体には、発光部と受光部が設けられており、受光部は、発光部にて発せられた光を直接受光しないように配置されている。ラビリンス内には検煙空間(チャンバー)が形成され、このチャンバーには防虫網を介して外気が流入可能であるが、チャンバーに入射した外乱光はラビリンスにより遮光されて受光部に入射することが防止される。このような構成において、チャンバーに流入した外気中に煙が存在しない場合には、発光部にて発せられた光が受光部にて受光されないが、この外気中に煙が存在する場合には、発光部にて発せられた光が煙粒子にて散乱されて受光部にて受光されるため、この受光部における受光量に基づいて煙の濃度を算定することが可能となり、この煙の濃度が一定濃度以上の場合には火災が発生したものと判断して火災検出信号を出力する(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、このような火災感知器は、信号の送受信形態に基づいて、有線式と無線式に大別される。有線式の火災感知器は、受信機に対して電線を介して接続され、この電線を介して受信機から電力供給を受けると共に、火災検出信号の送信等を行う。一方、無線式の火災感知器は、自己に内蔵した電池から電力供給を受けると共に、受信機や同一住宅内に設置された他の火災感知器との相互間において、無線にて火災検出信号の送信等を行う。このような住宅用火災警報器のうち、特に、無線式の火災警報器は、電線を施設する必要がないという利点を有するため、特に普及することが期待されている。
【0006】
この無線式の火災感知器は、無線の送受信を行うためのアンテナを備えて構成されている。このアンテナは、無線信号の波長に応じた長さで形成される必要があり、端子盤に対して直交するように配置した場合には、感知器カバーの内部に収まらないことから、感知器カバーの外部に突出するように配置されていた(例えば、特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このようにアンテナを感知器カバーの外部に突出するように配置した場合には、火災感知器の意匠性を低下させたり、無線式と有線式とで外観形状を統一できなくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、所要の長さのアンテナを感知器カバーの内部に配置することできる、火災感知器におけるアンテナの取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造は、無線通信用の回路部品が実装された端子盤と、無線通信用のアンテナと、を備えた無線式の火災感知器における、前記アンテナの取り付け構造であって、前記端子盤と平行に配置される円盤状のアンテナ支持板
と、前記端子盤、前記アンテナ支持板、及び前記アンテナを収容する感知器カバーと、を備え、前記アンテナ支持板には、前記アンテナを支持する支持部を前記端子盤とは反対側の面において当該アンテナ支持板の円弧状の外縁部に沿って設けると共に、前記アンテナの端部を挿通させる貫通孔を設け、前記アンテナ支持板の前記支持部には、前記アンテナを支持する凹部を設け、前記アンテナ支持板の前記支持部の前記凹部に支持された前記アンテナの端部を、前記貫通孔を介して前記端子盤に接続することにより、前記アンテナを前記外縁部に沿って円弧状に取り付け
、前記アンテナを、前記アンテナ支持板の前記支持部と前記感知器カバーとにより挟持した。
【0012】
また、請求項
2に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造は、請求項
1に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造において、前記アンテナを、複数設け、前記貫通孔を、少なくとも前記アンテナと同一の数だけ複数設け、前記複数のアンテナを、前記複数の貫通孔を介して同時に取り付けた。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造によれば、アンテナ支持板の支持部に支持されたアンテナの端部を、貫通孔を介して端子盤に接続することにより、アンテナを取り付けたので、アンテナを感知器カバーの外部に突出させる必要がなくなり、火災感知器の意匠性を維持することができ、また、無線式と有線式とで外観形状を統一することが可能となる。特に、感知器カバーではなく、アンテナ支持板にアンテナを支持させることで、感知器カバーに対してアンテナを固定する必要がなくなり、火災感知器の製造が容易になる。さらに煙感知器と熱感知器のように、構造の一部が相互に異なる複数種類の感知器に対して、アンテナ支持板によってその構造の相違を吸収することで、アンテナを共通化することが可能となる。
また、アンテナ支持板を円盤状に形成すると共に、支持部を当該アンテナ支持板の外縁部に沿って設け、アンテナを、アンテナ支持板の外縁部に対応する円弧状に形成したので、アンテナ支持板の面積を有効に活用してアンテナを効率よく収容することが可能であり、また、アンテナを円弧状に形成することで、アンテナをループアンテナとして機能させて無線信号の送受信効率を高めることが可能となる。
また、アンテナを、アンテナ支持板の支持部と感知器カバーとにより挟持したので、アンテナの揺動を防止でき、アンテナを介して通信を安定して行うことが可能となる。
【0016】
また、請求項
2に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造によれば、貫通孔を、少なくともアンテナと同一の数だけ複数設け、複数のアンテナを、複数の貫通孔を介して同時に取り付けたので、複数の無線周波数に対応可能な火災感知器を容易に構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る火災感知器におけるアンテナの取り付け構造の各実施の形態を詳細に説明する。ただし、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この形態は、住宅用火災警報器として構成された無線式の煙感知器におけるアンテナの取り付け構造に関する形態である。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る無線式の煙感知器の側面図、
図2は、
図1の煙感知器の底面図、
図3は、
図2のA−A矢視断面図、
図4は、煙感知器の要部の分解斜視図である。以下では、煙感知器を天井面(図示せず)に設置した状態を基準に説明するものとし、
図1における図示上側を上方、
図1における図示下側を下方とし、
図2に示す面を底面、
図2に示す面と反対側の面を平面と称する。
【0022】
これら各図に示すように、煙感知器1は、煙感知を行うための感知器本体10と、この感知器本体10の電源となる電池21を有する電源ユニット20と、これら感知器本体10及び電源ユニット20を収容するための感知器カバー30を備えて構成されている。ただし、感知器カバー30は、特許文献1に示したものと大きさ以外は実質的に同様に構成することができ、また、電源ユニット20は、複数の電池21を着脱自在に収容するものであり、これら電池21にて供給される電力を図示しない電線を介して後述する端子盤50に供給することができる限りにおいて任意に構成することができるので、これらの説明は一部を除いて省略し、以下では、主として感知器本体10について説明する。
【0023】
感知器本体10は、検煙部40及び端子盤50を備えて構成されており、これら検煙部40と端子盤50の相互間に配置される検煙部アダプタ60を備えて構成されている。
【0024】
検煙部40は、散乱光式の煙検出を行う部分であり、検煙部本体41、検煙部カバー42、及び防虫網43を備えて構成されている。検煙部本体41は、全体として円盤状に形成されており、検出光としての光を発光する発光手段としての発光部44(具体的には、発光ダイオード)と、当該発光部44から発せられ煙により散乱されることで生ずる散乱光を受光する受光手段としての受光部45(具体的には、フォトダイオード)とを備える。これら発光部44と受光部45は、各々の光軸が同一直線上に位置しないように配置されており、発光部44から発せられた光を受光部45で直接受光しない位置に配置されている。検煙部カバー42は、検煙部40を覆うものであって、検煙部本体41より小径の円盤状に形成されており、その検煙部本体41側の面にはラビリンス46が一体に形成されている。ラビリンス46は、その内部に検煙空間(チャンバー)を形成するもので、このチャンバーに入射した外乱光を遮光して受光部45に入射することを防止する。防虫網43は、ラビリンス46の外周を囲繞する円環状に形成され、多数の小孔(図示を省略する)を有し、外気が小孔を介してチャンバーに入ることを許容する一方で、チャンバーに虫が入ることを防止する。ただし、この検煙部40は、特許文献2における有線式の煙感知器の検煙部と共通の構造を有するものであるため、その詳細な説明は省略する。
【0025】
端子盤50は、煙感知機能を実現するための各種の電子部品を実装(電気的に接続)するための実装基板である。ここで、有線式の煙感知器に比べて、無線式の煙感知器1においては、送受信用部品等を実装する必要がある分だけ、広い実装面積が必要になることから、端子盤50が特許文献2の端子盤よりも大径化されている。実装される電子部品の具体的内容やその実装構造については、公知の無線式の煙感知器におけるものと同様であるためにその説明を省略し、ここでは、発光部44、受光部45、無線による信号の送受信を行うためのアンテナ47、及び煙感知器1の各種の状態を外部に報知するための表示部48(具体的には、発光ダイオード)を実装部品として説明する。発光部44及び受光部45は、上述のように検煙部本体41に配置され、図示しない電線を介して端子盤50に実装される。アンテナ47は、端子盤50の外形に略沿って湾曲する線状体として形成されており、後述するように検煙部アダプタ60によって支持されると共に、その端部が検煙部アダプタ60を貫通して端子盤50に至り実装される。表示部48は、2つ設けられており、これら2つの表示部48が、後述するように検煙部アダプタ60における相互に対向する位置に配置され、この検煙部アダプタ60によって支持されると共に、その端子が検煙部アダプタ60を貫通して端子盤50に至り実装される。
【0026】
検煙部アダプタ60は、有線式の煙感知器と共通化された検煙部40を、有線式の煙感知器とは異なる構造の端子盤50に対して固定可能とするための接続手段である。
図5は、検煙部アダプタ60の側面図、
図6は、検煙部アダプタ60の平面図である。
図4から
図6に示すように、概略的には、検煙部40、検煙部アダプタ60、及び端子盤50を、検煙部本体41、検煙部アダプタ60、及び端子盤50の面方向が相互に平行となる向きに配置した状態で、順次重合することにより、感知器本体10が構成されている。
【0027】
この検煙部アダプタ60は、全体的には、端子盤50とほぼ同一の径又は端子盤50より大きい径の円盤状に形成されている。ここで、光は、端子盤50の内部透過により導光されて受光部45に受光される可能性があるため、検煙部アダプタ60を上記のような径で形成することで、検煙部アダプタ60によって端子盤50を検煙部本体41に対して覆うことができ、端子盤50にて導光された光が受光部45に入射することを防止できる。
【0028】
また、検煙部アダプタ(アンテナ支持板)60は、全体的には、検煙部本体41より大きい径の円盤状に形成されており、その検煙部本体41側の面には、遮光壁61が形成されている。この遮光壁61は、検煙部アダプタ60から検煙部本体41側に向けて突出する円環状の壁体として形成されている。そして、検煙部40を検煙部アダプタ60に重合した状態においては、遮光壁61が、検煙部本体41の外縁部に当接した状態となり、この遮光壁61によって囲繞される内部空間である遮光空間62に発光部44及び受光部45が収容されるので、外部からの光が遮光空間62に入り込んで受光部45によって受光されることを防止できる。また、遮光壁61には、切り欠き部63が形成されており、発光部44及び受光部45の端子を端子盤50に接続するための図示しない電線を、当該切り欠き部63を介して遮光空間62から端子盤50に引き出すことが可能となっている。
【0029】
ここで、端子盤50にはアンテナ47が実装されており、このアンテナ47は検煙部アダプタ60を用いて取り付けられている。このアンテナ47は、無線信号の送受信を行うものであり、無線信号の所定の波長に応じた長さの金属線として形成されている。
【0030】
このアンテナ47の取り付け構造について、さらに詳細に説明する。検煙部アダプタ60における遮光壁61より外側の部分(以下、鍔部)67には、複数の支持ステー68が形成されている。
図7には、支持ステー68周辺の拡大底面図を示す。この支持ステー68は、アンテナ47を支持するための支持部であり、鍔部67の複数位置に形成されている。ここで、アンテナ47は、検煙部アダプタ60における鍔部67の外縁部に対応する円弧状に形成されており、一方、複数の支持ステー68の各々の端部近傍位置におけるアンテナ47に対応する各位置には、凹部68aが形成されている。従って、これら複数の支持ステー68の凹部68aにより、アンテナ47を支持することができる(なお、
図7において、アンテナ47の支持前の状態を想像線で示す)。
【0031】
また、検煙部アダプタ60の鍔部67には、複数の貫通孔69a、69bが形成されている。このうち、貫通孔69aは、表示部48の端子を挿通させるためのものであり、このように端子を貫通孔69aに挿通させた状態で、当該端子を端子盤50に半田にて固定することで、表示部48を端子盤50に実装することができる。なお、このように実装された表示部48は、感知器カバー30に形成された貫通孔31を介して外部に露出するように配置される。また、貫通孔69bは、アンテナ47の端部を挿通させるためのものであり、このように端部を貫通孔69bに挿通させた状態で、当該端部を端子盤50に半田にて固定することで、アンテナ47を端子盤50に実装することができる。
【0032】
ここでは、アンテナ47を一つのみ示しているのに対して、貫通孔69bは2つ設けられている。これは、煙感知器1が設置される国や地域の法令等に適合させる等のため、2つの無線周波数で通信を行う可能性を想定しているためであり、2つの無線周波数に対応した2つのアンテナ47を同時に又はいずれか一方を選択的に実装することが可能となっている。すなわち、これらの2つのアンテナ47の合計長さが、検煙部アダプタ60の鍔部67の外周長以下となる範囲において、これら2つのアンテナ47の各々の長さを任意に決定し、これら2つのアンテナ47のうち、一方のアンテナ47を一方の貫通孔69bを介して実装すると同時に、他方のアンテナ47を他方の貫通孔69bを介して(当該他方の貫通孔69bから出て、鍔部67の外周を当該一方のアンテナ47とは逆方向に周るように)実装することができる。
【0033】
次に、
図1から
図3に示す感知器カバー30の要部について説明する。この感知器カバー30は、外気流入部32とカバー本体部33を、樹脂成型により一体に形成して構成されている。外気流入部32は、検煙部40を収容するものであり、複数のリブの相互間に形成された複数の外気流入口34を有し、この外気流入口34を介して外気を検煙部40に導入することができる。また、カバー本体部33は、電源ユニット20、端子盤50、及び検煙部アダプタ60を収容する。
【0034】
ここで、カバー本体部33には、挟持突部35が形成されている。
図8は、
図3のB領域周辺の拡大断面図である。この挟持突部35は、カバー本体部33の内面から検煙部アダプタ60に向けて突出するように、当該カバー本体部33と一体に形成されたものであって、アンテナ47に対応する円弧状に形成されている。そして、感知器カバー30に感知器本体10を収容した状態において、アンテナ47が支持ステー68と挟持突部35とによって挟持され、アンテナ47の揺動が防止されるため、アンテナ47を介して通信を安定して行うことが可能となる。ただし、ここで「挟持」とは、挟持突部35がアンテナ47に直接接触する状態のみに限定されるものではなく、挟持突部35がアンテナ47に他の部材を介して間接的に接触している場合や、挟持突部35とアンテナ47との相互間に当該アンテナ47の線径以下の隙間を形成している場合を含む。
【0035】
次に、煙感知器1の製造方法について説明する。まず、検煙部本体41を、検煙部アダプタ60を介して端子盤50に対して実装する。この実装は、具体的には、検煙部本体41、検煙部アダプタ60、及び端子盤50を、相互に重合する。そして、重合の際に、発光部44及び受光部45の端子を端子盤50に接続するための図示しない電線を、切り欠き部63を介して遮光空間62から端子盤50に引き出し、この電線を端子盤50に半田にて接続する。また、表示部48の端子を、貫通孔69aに挿通して端子盤50に通し、端子盤50に半田にて接続する。さらに、アンテナ47を支持ステー68の凹部68aに載置し、このアンテナ47の端部を、貫通孔69bに挿通して端子盤50に通し、端子盤50に半田にて接続する。その後、このように組み立てた感知器本体10を感知器カバー30に収容することにより、アンテナ47を支持ステー68と挟持突部35とによって挟持させる。これにて煙感知器1の製造が終了する。
【0036】
(効果)
このように実施の形態1によれば、検煙部アダプタ60の支持ステー68に支持されたアンテナ47の端部を、貫通孔69bを介して端子盤50に接続することにより、アンテナ47を取り付けたので、アンテナ47を感知器カバー30の外部に突出させる必要がなくなり、煙感知器1の意匠性を維持することができ、また、無線式と有線式とで外観形状を統一することが可能となる。特に、感知器カバー30ではなく、検煙部アダプタ60にアンテナを支持させることで、感知器カバー30に対してアンテナ47を固定する必要がなくなり、煙感知器1の製造が容易になる。
【0037】
また、検煙部アダプタ60を円盤状に形成すると共に、支持ステー68を当該検煙部アダプタ60の外縁部に沿って設け、アンテナ47を、検煙部アダプタ60の外縁部に対応する円弧状に形成したので、検煙部アダプタ60の面積を有効に活用してアンテナ47を効率よく収容することが可能であり、また、アンテナ47を円弧状に形成することで、アンテナ47をループアンテナとして機能させて無線信号の送受信効率を高めることが可能となる。
【0038】
また、貫通孔69bを、少なくともアンテナ47と同一の数だけ複数設け、複数のアンテナ47を、複数の貫通孔69bを介して同時に取り付け可能としたので、複数の無線周波数に対応可能な煙感知器1を容易に構成することができる。
【0039】
また、アンテナ47を、検煙部アダプタ60の支持ステー68と感知器カバー30とにより挟持したので、アンテナ47の揺動を防止でき、アンテナ47を介して通信を安定して行うことが可能となる。
【0040】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、住宅用火災警報器として構成された無線式の熱感知器におけるアンテナの取り付け構造に関する形態である。ただし、実施の形態2における構成は、特記する部分を除いて、実施の形態1における構成と同一であり、実施の形態1で使用した符号を必要に応じて付することにより、その説明を省略する。
【0041】
図9は、本実施の形態に係る無線式の熱感知器の側面図、
図10は、
図9の熱感知器の底面図、
図11は、
図10のC−C矢視断面図である。以下では、熱感知器100を天井面(図示せず)に設置した状態を基準に説明するものとし、
図9における図示上側を上方、
図9における図示下側を下方とし、
図10に示す面を底面、
図10に示す面と反対側の面を平面と称する。
【0042】
これら各図に示すように、熱感知器100は、熱感知を行うための感知器本体110と、この感知器本体110の電源となる電池21を有する電源ユニット20と、これら感知器本体110及び電源ユニット20を収容するための感知器カバー120を備えて構成されている。ただし、感知器カバー120は、特許文献1に示したものと大きさ以外は実質的に同様に構成することができ、また、電源ユニット20は、複数の電池21を着脱自在に収容するものであり、これら電池21にて供給される電力を図示しない電線を介して後述する端子盤130に供給することができる限りにおいて任意に構成することができるので、これらの説明は一部を除いて省略し、以下では、主として感知器本体110について説明する。
【0043】
感知器本体110は、端子盤130及びアンテナ支持板140を備えて構成されている。
図12は、端子盤130とアンテナ支持板140の斜視図、
図13は、端子盤130とアンテナ支持板140の分解斜視図、
図14は、端子盤130とアンテナ支持板140の断面図である。
【0044】
端子盤130は、熱感知機能を実現するための各種の電子部品を実装(電気的に接続)するための実装基板である。ここで、実装される電子部品の具体的内容やその実装構造については、公知の無線式の熱感知器におけるものと同様であるためにその説明を省略し、ここでは、サーミスタ131、無線による信号の送受信を行うためのアンテナ47、及び熱感知器100の各種の状態を外部に報知するための表示部48(具体的には、発光ダイオード)を実装部品として説明する。サーミスタ131は、端子盤130の中心位置において当該端子盤130に直交するように取り付けられている。アンテナ47は、端子盤130の外形に略沿って湾曲する線状体として形成されており、後述するようにアンテナ支持板140によって支持されると共に、その端部がアンテナ支持板140を貫通して端子盤130に至り実装される。表示部48は、2つ設けられており、これら2つの表示部48が、後述するようにアンテナ支持板140における相互に対向する位置に配置され、このアンテナ支持板140によって支持されると共に、その端子がアンテナ支持板140を貫通して端子盤130に至り実装される。
【0045】
アンテナ支持板140は、端子盤130に平行に重合されるものであり、全体的には、端子盤130とほぼ同一の径の円盤状に形成されている。このアンテナ支持板140の中央位置には、サーミスタ131を挿通させるための貫通孔141が形成されており、この貫通孔141から挿通させたサーミスタ131の基部に対して、樹脂142をシーリングすることで、サーミスタ131が密閉状に強固に固定される。
【0046】
ここで、端子盤130にはアンテナ47が実装されており、このアンテナ47はアンテナ支持板140を用いて取り付けられている。このアンテナ支持板140の外側の部分(以下、鍔部)143には、複数の支持ステー68が形成されている。ここで、アンテナ47は、アンテナ支持板140における鍔部143の外縁部に対応する円弧状に形成されており、一方、複数の支持ステー68の各々の端部近傍位置におけるアンテナ47に対応する各位置には、凹部68aが形成されている。従って、これら複数の支持ステー68の凹部68aにより、実施の形態1と同様に、アンテナ47を支持することができる。また、アンテナ支持板140の鍔部143には、複数の貫通孔144a、144bが形成されており、実施の形態1と同様に、貫通孔144aを介して表示部48を端子盤130に実装することができると共に、貫通孔144bを介してアンテナ47を端子盤130に実装することができる。ここでは、貫通孔144bが2つ設けられているので、2つの無線周波数に対応した2つのアンテナ47を同時に又はいずれか一方を選択的に実装することが可能となっている。
【0047】
特に、端子盤130は、実施の形態1における煙感知器1の端子盤130との間において、実装する部品の一部を除き、外形やアンテナ47の取り付け位置等が共通化されており、また、アンテナ47も、実施の形態1における煙感知器1との間において共通化されている。従って、煙感知器1と熱感知器100の相互間において、その構造の相違(特に、火災感知構造の相違)を検煙部アダプタ60とアンテナ支持板140によって吸収することで、アンテナ47を共通化することが可能となる。
【0048】
次に、
図9から
図11に示す感知器カバー120の要部について説明する。感知器カバー120について説明する。この感知器カバー120は、外気流入部121とカバー本体部122を、樹脂成型により一体に形成して構成されている。外気流入部121は、サーミスタ131を収容するものであり、複数のリブの相互間に形成された複数の外気流入口123を有し、これらの外気流入口123を介して外気をサーミスタ131に導入することができる。また、カバー本体部122は、電源ユニット20、端子盤130、及びアンテナ支持板140を収容する。このカバー本体部122には、実施の形態1と同様に、挟持突部35が形成されており、感知器カバー120に感知器本体110を収容した状態において、アンテナ47が支持ステー68と挟持突部35とによって挟持され、アンテナ47の揺動が防止される。
【0049】
(効果)
このように実施の形態2によれば、アンテナ支持板140の支持ステー68に支持されたアンテナ47の端部を、貫通孔144bを介して端子盤130に接続することにより、アンテナ47を取り付けたので、アンテナ47を感知器カバー120の外部に突出させる必要がなくなり、熱感知器100の意匠性を維持することができ、また、無線式と有線式とで外観形状を統一することが可能となる。特に、感知器カバー120ではなく、アンテナ支持板140にアンテナ47を支持させることで、感知器カバー120に対してアンテナ47を固定する必要がなくなり、熱感知器100の製造が容易になる。
【0050】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0051】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0052】
(感知器について)
上述の各実施の形態では、住宅用火災警報器である有線式の煙感知器と無線式の煙感知器における検煙部40の共通化を図る例について説明したが、住宅用火災警報器以外の煙感知器に適用してもよい。また、上述の各実施の形態で説明したものとは異なる火災感知構造を有する火災感知器に適用することができ、例えば、セラミック素子を熱感知素子として用いた熱感知器100に適用してもよい。
【0053】
(アンテナの数について)
アンテナ47の数は、3つ以上としてもよく、この場合には、検煙部アダプタ60の鍔部67に3つ以上の貫通孔69bを設けたり、アンテナ支持板140の鍔部143に3つ以上の貫通孔144bを設ければよい。すなわち、アンテナ47を複数設け、貫通孔69b、144bを、少なくともアンテナ47と同一の数だけ複数設けることで、複数のアンテナ47を、複数の貫通孔69b、144bを介して同時に取り付けるようにしてもよい。
(付記)
第1の付記1に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造は、無線通信用の回路部品が実装された端子盤と、無線通信用のアンテナと、を備えた無線式の火災感知器における、前記アンテナの取り付け構造であって、前記端子盤と平行に配置される盤状のアンテナ支持板を備え、前記アンテナ支持板には、前記端子盤とは反対側の面に前記アンテナを支持する支持部を設けると共に、前記アンテナの端部を挿通させる貫通孔を設け、前記アンテナ支持板の前記支持部に支持された前記アンテナの端部を、前記貫通孔を介して前記端子盤に接続することにより、前記アンテナを取り付けた。
また、
第1の付記2に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造は、
第1の付記1に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造において、前記アンテナ支持板を円盤状に形成すると共に、前記支持部を当該アンテナ支持板の外縁部に沿って設け、前記アンテナを、前記アンテナ支持板の外縁部に対応する円弧状に形成した。
また、
第1の付記3に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造は、
第1の付記1又は2に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造において、前記アンテナを、複数設け、前記貫通孔を、少なくとも前記アンテナと同一の数だけ複数設け、前記複数のアンテナを、前記複数の貫通孔を介して同時に取り付けた。
また、
第1の付記4に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造は、
第1の付記1から3のいずれか一項に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造において、前記端子盤、前記アンテナ支持板、及び前記アンテナを収容する感知器カバーを備え、前記アンテナを、アンテナ支持板の前記支持部と前記感知器カバーとにより挟持した。
また、第2の付記1の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造は、無線通信用の回路部品が実装された端子盤と、無線通信用のアンテナと、を備えた無線式の火災感知器における、前記アンテナの取り付け構造であって、前記端子盤と平行に配置される円盤状のアンテナ支持板を備え、前記アンテナ支持板には、前記アンテナを支持する支持部を前記端子盤とは反対側の面において当該アンテナ支持板の円弧状の外縁部に沿って設けると共に、前記アンテナの端部を挿通させる貫通孔を設け、前記アンテナ支持板の前記支持部には、前記アンテナを支持する凹部を設け、前記アンテナ支持板の前記支持部の前記凹部に支持された前記アンテナの端部を、前記貫通孔を介して前記端子盤に接続することにより、前記アンテナを前記外縁部に沿って円弧状に取り付けた。
また、第2の付記2の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造は、第2の付記1に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造において、前記アンテナを、複数設け、前記貫通孔を、少なくとも前記アンテナと同一の数だけ複数設け、前記複数のアンテナを、前記複数の貫通孔を介して同時に取り付けた。
また、第2の付記3に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造は、第2の付記1又は2に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造において、前記端子盤、前記アンテナ支持板、及び前記アンテナを収容する感知器カバーを備え、前記アンテナを、アンテナ支持板の前記支持部と前記感知器カバーとにより挟持した。
(付記の効果)
第1の付記1に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造によれば、アンテナ支持板の支持部に支持されたアンテナの端部を、貫通孔を介して端子盤に接続することにより、アンテナを取り付けたので、アンテナを感知器カバーの外部に突出させる必要がなくなり、火災感知器の意匠性を維持することができ、また、無線式と有線式とで外観形状を統一することが可能となる。特に、感知器カバーではなく、アンテナ支持板にアンテナを支持させることで、感知器カバーに対してアンテナを固定する必要がなくなり、火災感知器の製造が容易になる。さらに煙感知器と熱感知器のように、構造の一部が相互に異なる複数種類の感知器に対して、アンテナ支持板によってその構造の相違を吸収することで、アンテナを共通化することが可能となる。
また、
第1の付記2に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造によれば、アンテナ支持板を円盤状に形成すると共に、支持部を当該アンテナ支持板の外縁部に沿って設け、アンテナを、アンテナ支持板の外縁部に対応する円弧状に形成したので、アンテナ支持板の面積を有効に活用してアンテナを効率よく収容することが可能であり、また、アンテナを円弧状に形成することで、アンテナをループアンテナとして機能させて無線信号の送受信効率を高めることが可能となる。
また、
第1の付記3に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造によれば、貫通孔を、少なくともアンテナと同一の数だけ複数設け、複数のアンテナを、複数の貫通孔を介して同時に取り付けたので、複数の無線周波数に対応可能な火災感知器を容易に構成することができる。
また、
第1の付記4に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造によれば、アンテナを、アンテナ支持板の支持部と感知器カバーとにより挟持したので、アンテナの揺動を防止でき、アンテナを介して通信を安定して行うことが可能となる。
第2の付記1に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造によれば、アンテナ支持板の支持部に支持されたアンテナの端部を、貫通孔を介して端子盤に接続することにより、アンテナを取り付けたので、アンテナを感知器カバーの外部に突出させる必要がなくなり、火災感知器の意匠性を維持することができ、また、無線式と有線式とで外観形状を統一することが可能となる。特に、感知器カバーではなく、アンテナ支持板にアンテナを支持させることで、感知器カバーに対してアンテナを固定する必要がなくなり、火災感知器の製造が容易になる。さらに煙感知器と熱感知器のように、構造の一部が相互に異なる複数種類の感知器に対して、アンテナ支持板によってその構造の相違を吸収することで、アンテナを共通化することが可能となる。
また、アンテナ支持板を円盤状に形成すると共に、支持部を当該アンテナ支持板の外縁部に沿って設け、アンテナを、アンテナ支持板の外縁部に対応する円弧状に形成したので、アンテナ支持板の面積を有効に活用してアンテナを効率よく収容することが可能であり、また、アンテナを円弧状に形成することで、アンテナをループアンテナとして機能させて無線信号の送受信効率を高めることが可能となる。
また、第2の付記2に記載の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造によれば、貫通孔を、少なくともアンテナと同一の数だけ複数設け、複数のアンテナを、複数の貫通孔を介して同時に取り付けたので、複数の無線周波数に対応可能な火災感知器を容易に構成することができる。
また、第2の付記3の火災感知器におけるアンテナの取り付け構造によれば、アンテナを、アンテナ支持板の支持部と感知器カバーとにより挟持したので、アンテナの揺動を防止でき、アンテナを介して通信を安定して行うことが可能となる。