(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722012
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】液槽を有する装置
(51)【国際特許分類】
B44C 5/00 20060101AFI20150430BHJP
G09F 19/02 20060101ALI20150430BHJP
B44C 5/08 20060101ALI20150430BHJP
B65D 90/00 20060101ALN20150430BHJP
E06B 7/28 20060101ALN20150430BHJP
【FI】
B44C5/00 C
G09F19/02 P
B44C5/08 C
B44C5/08 D
!B65D90/00 H
!E06B7/28 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-266691(P2010-266691)
(22)【出願日】2010年11月30日
(65)【公開番号】特開2011-131592(P2011-131592A)
(43)【公開日】2011年7月7日
【審査請求日】2013年8月7日
(31)【優先権主張番号】特願2009-271603(P2009-271603)
(32)【優先日】2009年11月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505135380
【氏名又は名称】株式会社ラパンクリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100164415
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 翼
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 克
【審査官】
青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−157400(JP,A)
【文献】
特開平08−072498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44B 1/00−11/04
B44C 1/00− 7/08
B44D 2/00− 7/00
G09F 19/02
B65D 90/00
E06B 7/28
B44F 1/00−11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子が混入された液体を収容する板状の液槽であって、対峙する壁面と側壁とを含み、少なくとも一方の前記壁面が透光性で前記粒子の動きが見える液槽と、
前記液体および粒子を前記液槽の下部から上部に断続的または連続的に循環させる循環手段とを有し、
前記循環手段は、前記液槽の下部の粒子溜りから前記液槽の上部に延びた管路と、
前記管路の下部から搬送用の気体を上方向に向けて噴射するチューブとを含み、
前記チューブは、前記管路の内部に、前記チューブの上端が前記粒子溜りより上方向に突き出るように挿入されており、前記チューブの内部に、前記上端から上方向に突き出るように棒材が挿入されている、装置。
【請求項2】
請求項1において、前記循環手段は、前記液槽の上部の異なる場所に接続された複数の前記管路と、前記複数の管路のそれぞれに搬送用の前記気体を供給する複数の前記チューブと、前記複数のチューブのそれぞれから噴出される気体をオンオフする手段とを含む、装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記粒子溜りは、前記板状の液槽の底部に設置された山形の分離板を含み、前記管路は、前記山形の分離板の麓に接続されている、装置。
【請求項4】
粒子が混入された液体を収容する板状の液槽であって、対峙する壁面と側壁とを含み、少なくとも一方の前記壁面が透光性で前記粒子の動きが見える液槽と、
前記液体および粒子を前記液槽の下部から上部に断続的または連続的に循環させる循環手段とを有し、
前記循環手段は、前記液槽の下部の粒子溜りから前記液槽の上部に延びた管路と、
前記管路の下部から搬送用の気体を上方向に向けて噴射するチューブとを含み、
前記板状の液槽の上部に、前記板状の液槽を横断するように設けられた板状の上部材および下部材をさらに有し、
前記管路は、前記板状の液槽に対し側方から、前記液体および前記粒子を前記上部材および下部材の間に供給し、
前記上部材は、前記液体および前記粒子と、前記液体および前記粒子とともに流入した搬送用の前記気体を分離し、搬送用の前記気体を上方に逃がすセパレータであり、
前記下部材は、前記液体および前記粒子が分散して流下するように前記板状の液槽の中央に向かって開口面積が大きくなった分配板であり、
さらに、前記下部材の下側から気体を前記上部材の上方に逃がすように前記下部材および上部材を接続する連通路を有する、装置。
【請求項5】
粒子が混入された液体を収容する板状の液槽であって、対峙する壁面と側壁とを含み、少なくとも一方の前記壁面が透光性で前記粒子の動きが見える液槽と、
前記液体および粒子を前記液槽の下部から上部に断続的または連続的に循環させる循環手段とを有し、
前記板状の液槽に、前記粒子を混入した前記液体が収容されており、前記粒子は非球状のガラスビーズを含む、装置。
【請求項6】
請求項5において、前記液体は帯電防止剤を含む、装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、前記板状の液槽の底部は透光性であり、
さらに、前記板状の液槽を下側から照明する照明装置を有する、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水などの液体を収容する液槽を有する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、前面に透明窓を有する筒体内を、背面に向けて下り傾斜の天板とスクリーン板と前面に向けて下り傾斜の底板とにより、落流室と還流室に区画し、スクリーン板の背面に流体受皿を、前面に該受皿に連通する流出口をそれぞれ設け、かつ底板に、該流出口により落流する流体を還流室に誘導する還流口を設け、透明窓を介して落流室内の落流を観賞するとともに、筒体を反転するだけで、還流室内の流体をその受皿に還流できるようにした落流玩具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−31261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような落流玩具は、ガラスビーズを流体とし、液体を用いずに水流をリアルに表現するものであり、たとえば、スクリーン板の前側に滝の風景画を設け、ガラスビーズの落流をミニチュアの滝に見立てるようにしたものである。そして、ガラスビーズの落流が終わると、筒体を反転してガラスビーズを受皿に戻し、再び、落流にする。
【0005】
本発明においては、ガラスビーズで水流を模倣するような玩具ではなく、ガラスビーズなどの粒子により新たな視覚効果を得て、インテリア、エクステリア、パーティション、窓など、ユーザーの感性により多種多様な物品に利用できる装置を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る装置は、粒子が混入された液体を収容する板状の液槽であって、対峙する壁面と側壁とを含み、少なくとも一方の壁面が透光性で粒子の動きが見える液槽と、液体および粒子を液槽の下部から上部に断続的または連続的に循環させる循環手段とを有するものである。板状の液槽内の空間は、対峙する壁面、たとえば、正面パネルと背面パネルとの間隔(奥行き方向)が狭く、正面パネルおよび背面パネルに沿った方向(幅方向)が広く、2次元に近い空間である。液体に混入された粒子は、板状の液槽内において、粒子の形状や重心の不均一さにより、液体内を様々な方向に揺らぎながら降下するが、板状の液槽内の空間は2次元に近いので奥行き方向の動きに対して幅方向の動きが強調され、さらに、透光性の壁面を介して、板状の液槽内の幅方向の動きが見えやすい。
【0007】
したがって、この装置を見るユーザー(鑑賞者)は、たとえば、透光性の正面パネルを介して、粒子が板状の液槽内を幅方向にゆらゆらと揺れ動いたり、ふわふわと漂ったりしながら不規則的に沈む様子を、奥行き方向の動きに対して際立たせて見ることができる。そのような粒子の動きは、まるで気泡が昇るのではなく、逆方向に、すなわち、上から降り注いでいるかのように見えることがある。
【0008】
さらに、液体および粒子は、循環手段により液槽の下部から上部に断続的または連続的に循環させられる。したがって、粒子は連続的または断続的に板状の液槽内を降下し、ユーザーは、粒子の動きを継続的に楽しむことができる。また、循環手段により、液槽内の液体または粒子が強制的に動かされるので、その動きも液槽内の粒子の動きにアクセントを与え、ユーザーは変化に富んだ粒子の動きを楽しむことができる。
【0009】
循環手段は、ポンプにより液体および粒子を循環させ
る。循環手段は、液槽の下部の粒子溜りから液槽の上部に延びた管路と、管路の下部から搬送用の気体を上方向に向けて噴射するチューブとを
含む。気体を用いた搬送方法は、簡易な構成で、粒子を含む流体を搬送するのに適した方法である。
【0010】
チューブは、管路の内部に、チューブの上端が粒子溜りより上方向に突き出るように挿入されており、チューブの内部に、上端から上方向に突き出るように棒材が挿入されて
いる。チューブの上端が粒子溜りより上方向に突き出るように設けることにより、循環手段を断続的に稼働させる際に管路を降下した粒子によりチューブが閉塞することを抑制しやすい。さらに、チューブの内部に、チューブの上端から上方向に突き出るように棒材を挿入することにより、チューブの上端の直径と棒材の直径との差により、チューブの上端から搬送用の気体が噴出する隙間のサイズを粒子の直径より小さくすることができ、チューブに粒子が入り込むことを抑制できる。また、棒材により管路内に所定の形状でチューブを伸ばすことができる。
【0011】
循環手段は、液槽の上部の異なる場所に接続された複数の管路と、複数の管路のそれぞれに搬送用の気体を供給する複数のチューブと、複数のチューブのそれぞれから噴出される気体をオンオフする手段とを含むことが望ましい。複数の管路を介して粒子を液槽内の異なる場所から流入させ、さらに、それぞれの管路を介して流入する粒子を個別に制御することにより、板状の液槽内を、さらに様々なパターンで降下する粒子の様子を楽しむことができる。
【0012】
板状の液槽の下部の粒子溜りは、板状の液槽の底部に設置された山形の分離板を含み、管路は、山形の分離板の麓に接続されていることが望ましい。板状の液槽を降下した粒子は、分離板により分離板の麓に蓄積され、管路により効率的に循環できる。管路が2つ設けられている場合には、三角形の山形の分離板を設け、それぞれの管路を分離板の異なる麓に接続することができる。
【0013】
この装置は、板状の液槽の上部に、板状の液槽を横断するように設けられた板状の上部材および下部材をさらに
有する。管路は、板状の液槽に対し側方から、液体および粒子を上部材および下部材の間に供給することが望ましい。上部材は、液体および粒子と、液体および粒子とともに流入した搬送用の気体を分離し、搬送用の気体を上方に逃がすセパレータとして機能する。下部材は、液体および粒子が分散して流下するように板状の液槽の中央に向かって開口面積が大きくなった分配板として機能する。さらに、この装置は、下部材の下側から気体を上部材の上方に逃がすように下部材および上部材を接続する連通路を有することが望ましい。下部材の下側に気泡が溜まり、流入する液体により液槽内に気泡が引き込まれたり、粒子の素直な落下を妨げたりすることを抑制できる。また、連通路は下部材と上部材とを機械的に接続する機能も含む。
【0014】
板状の液槽の底部は透光性であり、板状の液槽を下側から照明する照明装置をさらに有することが望ましい。板状の液槽を降下する粒子を下側から照明できるので、粒子の動きをさらに浮き出させ、粒子が落ちる様子をいっそう楽しむことができる。
【0015】
板状の液槽の典型的なものは左右方向(幅方向)よりも上下方向が長い、細長い板状のものである。粒子が落下する時間を確保できるので、粒子が様々に動きながら沈む様子を鑑賞できる。
【0016】
本発明の装置は、板状の液槽に液体および粒子が入るものであればよい。また、本発明は液体および粒子が板状の液槽に入ったものも含む。粒子の一形態は非球状のガラスビーズである。また、液体は帯電防止剤を含むことが望ましい。液体に含まれる気泡が静電気により液槽の内面に付着するのを抑制でき、粒子の動きがさらに見やすい装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る装置の概要を示す斜視図。
【
図2】
図1に示した装置のA−A、B−B部分を省略して示す斜視図。
【
図3】
図1に示した装置のA−A、B−B部分を省略して示す正面図。
【
図4】
図1に示した装置の左右方向のIV−IV断面図(
図2のIV−IV断面)。
【
図5】
図1に示した装置の上下方向のV−V断面図(
図4のV−V断面)。
【
図6】
図1に示した装置の上下方向のVI−VI断面図(
図5のVI−VI断面)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に、本発明に係る装置の外観を斜視図により示している。装置1は、上下方向に延びた縦長で板状の水槽(液槽)10と、水槽10の左右の側壁に沿って上下にそれぞれ延びた左右の管路51と、水槽10を支持するように水槽10の下部に取り付けられたベース100とを備えている。
【0019】
板状の水槽10は、透明なアクリル製であり、対峙するように配置された正面パネル11および背面パネル12と、これらの正面パネル11および背面パネル12を接続する右側面パネル13および左側面パネル14とを含む。正面パネル11および背面パネル12は、板状の水槽10の主な面積を占める壁面を構成し、右側面パネル13および左側面パネル14は、板状の水槽10の側壁を構成している。板状の水槽10は、正面パネル11と背面パネル12との間隔(前後方向の長さ、奥行き)が、右側面パネル13と左側面パネル14との間隔(左右方向の長さ、幅)よりも狭く、幅よりも上下方向が長い、縦長の筒(角筒)である。この装置1においては、板状の水槽10の内部に液体(典型的には水)30を収容でき、この液体30に粒子(典型的には砂あるいはガラスビーズ)20を混入できる。このため、この装置1を見るユーザー(鑑賞者)は、粒子20が落ちる様子を、透光性の正面パネル11および/または背面パネル12を通して見て、楽しめるようになっている。
【0020】
水などを貯留した透明な容器の底部から気泡を発生させて、容器の底部から浮かび上がる気泡の動きを鑑賞するディスプレイ装置が知られているが、気泡が容器の底部に降り注ぐ様子を表現することはそれほど容易ではない。この装置1は、板状の水槽10に粒子20が混入された液体30を収容し、管路51を含む循環手段50により液体30および粒子20を水槽10の下部10bから上部10tに断続的または連続的に循環させる。板状の水槽10内の空間は、対峙する正面パネル11と背面パネル12との間隔(奥行き方向)が狭く、正面パネル11および背面パネル12に沿った方向(幅方向)が広く、2次元に近い空間である。液体30に混入された粒子20は、板状の水槽10内において、液体30内を、粒子20の形状や重心の不均一さにより、たとえば破線21により示すように様々な方向に揺らぎながら降下する。板状の水槽10内の空間は2次元に近いので奥行き方向の動きに対して幅方向の動きが強調される。さらに、透光性の壁面である正面パネル11および背面パネル12を介して、板状の水槽10内の幅方向の粒子20の動きが見えやすい。
【0021】
したがって、この装置1を見るユーザーは、たとえば、透光性の正面パネル11を介して、粒子20が板状の水槽10内を幅方向にゆらゆらと揺れ動いたり、ふわふわと漂ったりしながら不規則的に沈む様子を、奥行き方向の動きに対して際立たせて見ることができる。そのような粒子20の動きは、まるで気泡が昇るのではなく、逆方向に、すなわち、気泡が上から降り注いでいるかのように見える。したがって、ユーザーは、この装置1により、容器の底部から浮かび上がる気泡の動きの代わりに、気泡が上から降り注ぐような様子を鑑賞し、楽しむことができる。
【0022】
さらに、液体30および粒子20を、循環手段50の管路51により水槽10の下部10bから上部10tに断続的または連続的に循環させることができる。したがって、粒子20は、連続的または断続的に板状の水槽10内を降下する。このため、粒子20は、水槽10を循環し、ユーザーは、粒子20が降り注ぐ様子を継続的に楽しむことができる。また、この装置1においては、循環手段50により、水槽10の中の水(液体)30および粒子20が強制的に動かされるので、その動きも水槽10内の粒子20の動きにアクセントを与えることができる。このため、この装置1を見るユーザーは、変化に富んだ粒子20の動きを楽しむことができる。
【0023】
また、ベース100には水槽10を下側から照明する照明装置101が収納されている。このため、水槽10の中の水30および粒子20は、下から光109が当たり、光109は、アクリル製の正面パネル11、背面パネル12、右側面パネル13および左側面パネル14に反射されて板状の水槽10の上方に導かれる。したがって、水槽10を上から下にゆらゆらと落下する粒子20に光が当たり、ユーザーは光り輝く粒子20の動きを楽しんだり、粒子20により反射された光の動きを楽しんだりすることができる。たとえば、部屋の照明を暗くして、粒子20に反射された光を部屋の壁に映して動きを楽しむことも可能である。
【0024】
粒子20は、比重が水30よりも若干大きい程度の物質であることが望ましい。粒子20は、比重が大きすぎると落下速度が速くなりすぎ、比重が小さすぎると動きが鈍くなる。粒子20の典型的なものは砂またはガラスビーズであり、非球状のガラスビーズが最も好ましい。粒径が0.5〜2.0mm程度のガラスビーズ20が好ましく、たとえば、NPO法人素材探検隊製のガラスビーズSS(粒径0.85〜1.18mm)、ガラスビーズS(粒径1.4〜2.0mm)を挙げることができる。非球状のガラスビーズ20は、重心が偏っており、液体30から不規則な抵抗を受けやすい。このため、ガラスビーズ20が水槽10の上部10tから下部10bに沈む際に、不規則で変化に富んだ動きをしやすく、水槽10の内部を降下する動きが規則的で単調なものとなることを抑制できる。
【0025】
さらに、ガラスビーズ20は透光性であり、下からの照明光109を反射したり屈折したりする機能を持つ。そして、非球状のガラスビーズ20は、光を様々な方向に反射したり、内部で屈折させたりすることにより、プリズムのように様々な色を含む光を周囲に放出することがある。このため、ユーザーは、水槽10内を落ちる粒子20の動きだけではなく、粒子20の光り輝く様子や、粒子20の色が変わる様子を見て楽しむことができる。したがって、装置1により、水槽10内を、様々な表情で、泡が光を運び降り注ぐというイメージを具現化できる。
【0026】
照明装置101は、多色のLEDを用い、多色の光を適当な順番および組み合わせで照明するものであってもよい。一方、ハロゲンビームなどを用いて白色光109を照射すると、シンプルな照明により水槽10およびその中のガラスビーズ20を光り輝かすことができ、さらに、白色光の中で、ガラスビーズ20の微妙なランダムな色の変化を浮き上がらせることが可能である。したがって、シンプルな光の中の繊細な色の変化を含む、ランダムな粒子20の動きを楽しむことができる。
【0027】
さらに、板状の水槽10は、湾曲した面がほとんどないのでガラスビーズ20の輪郭がはっきりと見えやすく、ガラスビーズ20の動きを見やすい。さらに、板状の水槽10を含む装置1は、ガラスビーズ20の動きを楽しむだけではなく、パーティション、壁面の装飾、サンシェードなどとして用いることが可能であり、インテリアおよびエクステリアとして利用できる。また、光109がガラスビーズ20により周囲に散乱されるので、水槽10を含む装置1は通路などの照明としても利用できる。
【0028】
図2に板状の水槽10の構成を、ベース100を透かした斜視図で示している。また、
図3に板状の水槽10の構成を、ベース100を透かした正面図で示している。さらに、
図4に板状の水槽10の構成を拡大断面図により示している。なお、これらの図では、板状の水槽10の上下に連続した部分を一部カットして示している。
【0029】
この装置1は、水槽10の右側面パネル13および左側面パネル14にそれぞれ沿って配置された左右の透明な管路51を含む。左右の管路51は、直径が水槽10の奥行きと同じ程度あるいはそれより小さく、それぞれ水槽10に対し側方から、水槽10の下部10bおよび上部10tに連通している。
【0030】
図4に示すように、左右の管路51の中間部51mは、水槽10から外側へ突き出た透明なアクリル製のストッパー19mにより固定されている。このため、透明な管路51は、透明な右側面パネル13および左側面パネル14に近く、透明な水槽10と一体になっている。この装置1においては、水槽10の正面パネル11および背面パネル12を、左右の管路51を覆うように延ばし、水槽10と管路51との一体感を強調し、水槽10と管路51とを含めて一枚の板を感じさせるような装置にすることも可能である。
【0031】
水槽10の下部10bは、水槽10内を落下した粒子20の溜り場(粒子溜り)16となっている。粒子溜り16は、山形に加工された透明な分離板16aを含む。左右の管路51は、山形の分離板16aの両方(左右)の麓16bに当たるところに接続されている。水槽10内を落下した粒子(ガラスビーズ)20は、山形の分離板16aにより左右の麓16bに振り分けられ、左右にほぼ均等に集められる。したがって、粒子(ガラスビーズ)20は、透明な山形の分離板16aの中央部分にはほとんど蓄積しない。このため、下側の照明装置101からの光109は、分離板16aを透過して効率よく水槽10の内部に導かれる。分離板16aの斜度はたとえば30度である。分離板16aの麓16bに溜まったガラスビーズ20は、下方からの光109の一部を透過し、一部を屈折または散乱させる。したがって、ベース100により覆われた板状の水槽10の下部10bは照明により明るく照らされるとともに、微妙な色合いの光が漏れ出るようになり、この水槽10のアクセントとなっている。
【0032】
この装置1においては、ガラスビーズ20の溜り場16をベース100で覆わずにユーザーが見られるようにしてもよい。また、分離板16aは、中央がとがった三角形に限らず、管路51が一方にのみ設けられている装置であれば、片傾斜の三角形であってもよい。
【0033】
左右の管路51の下端51bは、分離板16aの麓16bに沿い、さらに大きな角度で水槽10の中央に向けて開くように斜めにカットされている。水槽10の麓16bに溜まる粒子20は、下端51bを通って管路51の内部に自然に入り、水槽10の中の水30とともに、管路51を通って水槽10の上部10tに効率よく供給される。
【0034】
左右の管路51の下端51bには、さらに、搬送用の空気(気体)61を供給するためのほぼ透明なチューブ55がそれぞれ挿入されている。それぞれのチューブ55は、それぞれ制御バルブ(弁)68を介して、ベース100に収納されたコンプレッサー(空気源)60に接続されている。チューブ55は、山形の分離板16aを貫通し、貫通箇所でシールされているとともに、背面パネル12の下端に設けられた円形の孔17を介してベース100に導かれている。したがって、水槽10をベース100に設置するとチューブ55は基本的に見えない。また、チューブ55が透明な管路51に現れる部分も透明または半透明であり、水槽10の透過的なデザインが維持されるようになっている。
【0035】
ベース100の内部には、制御弁68と、それぞれの制御弁68の開閉を制御するコントローラ69とが収納されている。搬送用の空気61は、コントローラ69に予めプログラムされたタイミングで、それぞれの制御弁68が同時に、または個別に開閉され、チューブ55からそれぞれの管路51に供給される。チューブ55は、それぞれの管路51の内部に沿って、管路51の下端51bから上端51tに向かって伸びている。このため、チューブ55の上端55aから搬送用の空気61を上方に向かって放出(噴出)することにより、管路51を下端51bから上端51tへ向かう流れ(水流)31を形成することができる。したがって、管路51の下端51bから水槽10の内部の水30を吸って水槽10の上部10tへ供給し、水槽10の水30を下側から上側へ循環させることができる。さらに、管路51の下端51bが粒子溜り16に達しているので、水30とともに粒子20が吸い上げられ、管路51を搬送用の空気61および水流31とともに上方へ向かって流れて水槽10の上部10tから水槽10の内部へ放出される。
【0036】
チューブ55は、管路51の内部を分離板16aの山頂よりも十分に上部まで延びており、麓16bに溜まった粒子20によりチューブ55の上端55aが埋まらないようになっている。さらに、チューブ55の内部には、チューブ55よりも剛性の高い棒材、典型的にはステンレススチール製の針金56が挿入されており、針金56の先端がチューブ55の上端(噴出口)55aよりも上に突き出ている。さらに、チューブ55の内径と、針金56の外径とは、それらの差が粒子20の粒径よりも若干小さくなるように選択されており、針金56をチューブ55に挿入することにより、管路51を沈降する粒子20がチューブ55に入り込み、チューブ55を詰まらせないようにしている。さらに、針金56は、ゴムなどの柔軟なチューブ55の形状を安定させ、チューブ55の上端55aが管路51に沿って常に上部を向き、搬送用の空気61が上方に向いて安定して噴出されるようにしている。
【0037】
したがって、この装置1は、搬送用の空気61を供給することにより、管路51の内部に水流(上昇水流)31を安定して形成することができる循環手段50を備えており、粒子20を、水槽10内を断続的または連続的に循環させ、粒子20が水槽10の内部を沈む様子を繰り返し鑑賞し続けることができる。
【0038】
板状の水槽10の上部10tには、上昇水流31により管路51を通して水槽10の内部に流入された液体(水)30および粒子20と、搬送用の空気61とを分離し、搬送用の空気61を逃がすための機構80が収納されている。
図4および
図6に示すように、この機構80は、板状の水槽10を横断するように設けられた板状の上部材81および下部材82を含む。左右の管路51は、板状の水槽10に対し側方から、水30および粒子20を、搬送用の空気61とともに上部材81および下部材82の間に供給する。上部材81は、液体(水)30および粒子20と、搬送用の空気61とを分離し、搬送用の空気61を上方に逃がすセパレータとして機能する。分離された搬送用の空気61は、水槽10の上端を覆うカバー15に設けられた排気口15aから外部に放出される。
【0039】
下部材82は、液体(水)30および粒子20が幅方向に分散して水槽10内を流下するように、板状の水槽10の中央に向かって開口面積が大きくなった分配板として機能する。さらに、この装置1は、下部材82の下側から気体を上部材81の上方に逃がすように下部材82および上部材81を接続する連通路(パイプ)83を有する。この装置1においては、下部材82の下側に気泡62が溜まると、流入する水30により気泡62が引き込まれたり、粒子20の素直な落下を妨げたりする可能性があり、パイプ83を設けることにより気泡62の発生を防止できる。さらに、パイプ83は、上部材81よりも上方に突き出るように延びている。このため、上部材81の上側に水30の膜が形成されていても、気泡62が引き込まれることを防止でき、気体を上部材81の上方に逃がしやすい。さらに、パイプ83の上部開口83aは、パイプ83の先端(上端)面の表面張力を軽減するために斜めにカットされている。また、このパイプ83は、下部材82と上部材81とを機械的に接続する機能も含む。
【0040】
図7に、機構80を抜き出して示している。
図8に上部材81を抜き出して示し、
図9に下部材82を抜き出して示している。セパレータとして機能する上部材81は、上方向から見ると、横長のIの字型の形状をしている。したがって、上部材81を水槽10に設置すると正面パネル11および背面パネル12との間に長方形状の第1の開口部81aが形成される。管路51から水槽10の上部10tに供給された水30、粒子20および空気61の混合流体は、上部材81に衝突し、分離された搬送用の空気61が開口部81aを通って上方へ逃げる。
【0041】
下部材82は、上方向から見ると、横長の長方形状の部材で、中央に向けてテーパー状に細くなっている。したがって、下部材82を水槽10に設置すると、正面パネル11および背面パネル12との間に中央に向けて開口面積が大きくなった第2の開口部82aが形成される。水槽10の端(側面)から流入し、上部材81により分離された水30および粒子20は、下部材82が邪魔板となり、水槽10の端にだけ落下するのではなく、水槽10の中央部分まで導かれる。したがって、水槽10の上部10tの幅方向に沿ってほぼ均等に水30および粒子20が水槽10の内部に流入する。また、上部材81および下部材82には、パイプ(連通路)83を接続するための孔81bおよび82bがそれぞれ設けられている。
【0042】
このように、この装置1においては、管路51を含む循環手段50により粒子20が水槽10内を循環し、粒子20が水槽10内を沈下あるいは降下する様子を見て、楽しむことができる。また、粒子20は、正面パネル11および背面パネル12に沿って降下するので、ユーザーを楽しませるだけではなく、正面パネル11および背面パネル12の内面に付着する気泡を除去(セルフクリーニング)することができ、粒子20の動きがさらに見やすい装置1を提供できる。
【0043】
水槽10に収容される水30には、さらに、微量の帯電防止剤を含めることにより、水槽10の内面、特に正面パネル11および背面パネル12の内面に気泡が付着するのを抑制できる。帯電防止剤は、少量の界面活性剤を含む水溶液が有効であり、たとえば、タキロン株式会社製のコートロン(商標)を水量6リットルに対して80cc混ぜて曝気し、アルコール分を蒸発させたものを使用できる。
【0044】
水槽10のサイズの一例は、液体30を収容する内部の左右方向の断面が15cm×2cmの長方形であり、上下方向の長さが170〜180cmである。管路51のサイズの一例は、左右方向の断面が直径1.5cmの円形であり、上下方向の長さが170〜180cmである。正面パネル11、背面パネル12、右側面パネル13および左側面パネル14は、厚さが5mmの透明なアクリル製である。管路51は、厚さが1mm〜2mmの透明なガラス製である。また、ベース100のサイズの一例は、左右方向の断面が30cm×40cmの長方形であり、上下方向の長さが30cmである。
【0045】
上記の各値は一例であり、水槽10、管路51の数やサイズは上記に限定されない。さらに、装置1は、複数の水槽10と複数の管路51とにより構成してもよい。また、正面パネル11、背面パネル12、右側面パネル13および左側面パネル14を形成する材料も透明あるいは透光性を有していればアクリル板に限定されず、ガラス板であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 装置、 10 水槽、 11 正面パネル、 12 背面パネル
13 右側面パネル、 14 左側面パネル、 16 粒子溜り(溜り場)
20 粒子(ガラスビーズ)、 30 液体(水)、 31 水流(上昇水流)
50 循環手段、 51 管路、 55 チューブ、 61 搬送用の空気
100 ベース、 101 照明装置