(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外装板の前記前面板における前記把手が形成された前記キャップが被着される側の側縁が張り出し形成される一方、前記キャップにおける前記把手を構成する前記前側の突堤の内部には、前記前面板の側縁の張り出し部が差し込まれる差込溝が形成されていることを特徴とする請求項3記載の貯蔵庫の断熱扉。
前記前側の突堤の内部には肉抜き溝が形成され、この肉抜き溝の奥側の溝壁には、相手の前側の溝壁に向けて突出した板状のリブが長さ方向に間隔を開けて形成されており、これらのリブの突出縁と前記前側の溝壁との間において、前記差込溝が形成されていることを特徴とする請求項4記載の貯蔵庫の断熱扉。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の断熱扉では、同断熱扉を開閉操作する把手を設けるに当たり、外装板の前面における側縁に沿った所定位置に取付孔を開口して、この取付孔に別途形成した把手を嵌め込む構造を採っているため、部品点数が増えることに加えて、外装板の加工や組み付けにも手間が掛かり、ひいてはコスト高に繋がるという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、部品点数の低減と構造の簡略化とを図って安価に製造し得る断熱扉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、断熱箱体からなる貯蔵庫本体の前面開口部に縦軸回りの揺動開閉可能に装着された断熱扉であって、
中央高さ位置が上下両縁に比べて手前側に膨らんだ曲面状に形成
された前面板と、この前面板の前記
上下両縁から後方に曲げ形成された側面板とを備えた金属板製の外装板と、前記外装板
の左右の側面開口にそれぞれ被着された合成樹脂製のキャップと、前記外装板の前記両側面板の後縁と前記両キャップの後縁との内側に構成される後面開口を塞いで装着された合成樹脂製の内装板と、前記外装板、前記内装板及び前記両キャップ内に発泡充填された断熱材とからなり、かつ、
前記両キャップの前面が前記外装板の前記前面板に倣った曲面状に形成されているとともに、いずれか一方の前記キャップの
側面には、同キャップの
前記前面に沿うようにして
円弧形の溝が形成されることにより把手が形成されているところに特徴を有する。
【0006】
上記構成によれば、把手をキャップに一体的に形成したから構造が簡単でかつ部品点数も削減でき、低コストで製造できる。
特に、外装板の前面板が、横軸(水平軸)を中心に持つ略円弧状の曲面状をなすいわゆる縦ラウンド形式の断熱扉が形成される。係る断熱扉では、キャップによって左右の側面が形成されるが、同キャップの
前面は、前面板の曲面状に倣って、中央高さ位置が上下両端に比べて手前側に膨らんだ曲線状に形成されている。そして、キャップ
の側面における曲線状をなす前縁に沿うようにして溝が形成されることで把手が形成される。
把手を構成する溝が、最も手を掛ける中央高さ位置が手前側に膨らんだ曲線状に形成されているから、手を掛けやすく、ひいては断熱扉の開放動作がしやすい
。
また、この種の断熱扉は、貯蔵庫の大きさや形式に応じて、横幅を種々変更して備えられることがあるが、縦ラウンド形式の断熱扉では、左右両側面に被着されるキャップを共通として、横幅が異なる種々の断熱扉に適用することができる。
【0007】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記把手を構成する前記溝が上下に開口した形態で形成されている。溝内にごみが溜まり難く、衛生的である。
(2)前記把手を構成する前記溝は、前記キャップの
前記側面における前縁に沿った位置と、同位置から後方に所定寸法離間した位置とにそれぞれ突堤が立ち上がり形成されることで形成されており、かつ、前側の前記突堤の方が後側の前記突堤よりも低い背に形成されている。手前側の突堤の方が背が低いから、溝内すなわち把手に対して手が掛けやすい。
【0008】
(3)前記外装板の前記前面板における前記把手が形成された前記キャップが被着される側の側縁が張り出し形成される一方、前記キャップにおける前記把手を構成する前記前側の突堤の内部には、前記前面板の側縁の張り出し部が差し込まれる差込溝が形成されている。
突堤の内部といったデッドスペースを利用して、キャップを外装板の側縁に深く差し込んで強固に被着することができる。
【0009】
(4)前記前側の突堤の内部には肉抜き溝が形成され、この肉抜き溝の奥側の溝壁には、相手の前側の溝壁に向けて突出した板状のリブが長さ方向に間隔を開けて形成されており、これらのリブの突出縁と前記前側の溝壁との間において、前記差込溝が形成されている。
深い差込溝を形成するために、薄くて長い金型ピンを備える必要がなく、成形金型の耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の断熱扉では、把手をキャップに一体的に形成したことにより構造が簡単でかつ部品点数も削減でき、低コストで製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1ないし
図26に基づいて説明する。この実施形態では、4ドアタイプの業務用冷蔵庫を例示している。
冷蔵庫の全体構造は、
図1に示すように、冷蔵庫本体10(以下、単に本体10という)の上面に機械室11が設けられ、本体10の底面に配された脚12によって支持されている。
本体10は、前面が開口された方形の断熱箱体からなり、この本体10の前面開口部13には十字形をなす前面枠14が装着されることで、上下左右計4個の出入口15が形成されている。上段及び下段で横並びした出入口15には、それぞれ左右一対の断熱扉20が観音開き式の開閉可能に装着されている。詳細には、各断熱扉20は、それぞれ外側の縦縁の上下両端がヒンジ19(一部図示省略)で支持され、同外側の縦縁を中心として揺動開閉可能となっている。したがって、左右の断熱扉20は左右対称形状となっている。
【0013】
続いて、断熱扉20の構造について説明する。以下には、正面視右側の断熱扉20を例に挙げて説明する。
断熱扉20は、
図2に示すように、カラー鋼板等の金属板製の外装板21と、同外装板21の左右の両側縁に嵌められるABS樹脂等の合成樹脂製のキャップ30と、後面開口に装着される同じくABS樹脂等の合成樹脂製の内装板65を組み付けることで外殻体70が構成され、この外殻体70内に発泡ウレタン樹脂等の発泡樹脂からなる断熱材75(
図23参照)が充填された構造となっている。
【0014】
外装板21は、略正方形をなす平板をプレス加工することで形成されており、
図3の右側に示すように、中央高さ位置が上下両縁に比べて手前側に膨らんだ曲面状、例えば横軸(水平軸)を中心に持つ円弧形をなすような曲面状に形成された前面板22が設けられ、この前面板22の上下両縁から、側面板23が後方に向けて直角曲げされて形成されている。上下の側面板23の基端側の角には丸みが付けられているとともに、両側面板23の先端部には折曲部24が互いに向き合うように直角曲げして形成されている。また、前面板22の左側縁には差込部25が張り出し形成されている。
ただし外装板21は、当初は、同図の左側に示すように、前面板21が平板状をなしており、後記するように、この外装板21の左右の側縁にキャップ30を嵌めることで、同図右側に示すように、前面板21が所定の曲面状に形成されるようになっている。
【0015】
次に、キャップ30について説明する。キャップ30は、上記のように曲げ形成された外装板21の右側の側面開口28Rに被着される外キャップ30Aと、左側の側面開口28Lに被着される内キャップ30Bとを備えている。
外キャップ30Aは、
図4ないし
図10に示すように、外装板21の全高に匹敵する高さ寸法を持った縦長の厚板状に形成されており、この外キャップ30Aの手前側(
図5の左側)の端縁31の表面が、外装板21における前面板22の曲面を形成するように手前側に膨らんだ曲面状に形成されている。一方、奥側の端縁32は平面状となっているが、上下両端部の所定域が少し奥側に張り出している。
【0016】
外キャップ30Aの内面では、
図7及び
図8に示すように、その曲線状をなす手前側の端縁31の全長と、奥側の端縁32の張り出した部分とが肉盛りされていて、これらの肉盛りされた端縁と、その間の上下両縁33に亘って連続した差込溝35が形成されている。この差込溝35には、上記した外装板21における前面板22から側面板23(折曲部24を含む)に亘る右側縁21Rが差し込み可能とされている。
手前側の端縁31に形成された差込溝35の内側には、比較的背の低い支持壁36Sが立てられている。一方、奥側の端縁32の張り出した部分に形成された差込溝35の内側には、比較的背の高い支持壁36Tが立てられている。
【0017】
また、外キャップ30Aの内面における奥側の端縁32に沿って、上記した支持壁36Tと同じ高さを持った受け壁37が立ち上がり形成されている。この受け壁37の裏面が、内装板65における正面視で右側の周縁68が当接可能な受け面38となっている。
この受け面38は、詳しくは後記するように、外装板21の右側縁21Rが差込溝35が差し込まれた場合において、奥縁側の差込溝35に差し込まれた折曲部24の外面と、ほぼ面一になるようになっている。
【0018】
内キャップ30Bは、
図11ないし
図17に示すように、外キャップ30Aと同様に外装板21の全高に匹敵する高さ寸法を持った縦長に形成され、大まかには、右側面に開口した浅皿状の本体部40の左側面側に把手50が形成された構造である。
より詳細には、本体部40の左側面には、
図13及び
図14に示すように、本体部40の前面壁に沿うようにして前突堤46が形成されており、本体部40の前面壁の外面と前突堤46の手前側の端面とは面一となっていて、本体部40と前突堤46とに亘る手前側の端縁41の表面は、外装板21における前面板22の曲面を形成するように手前側に膨らんだ曲面状に形成されている。前突堤46の裏面は、平面ではあるが裾広がりのテーパ状となっている。
【0019】
本体部40の左側面における奥縁側には、上記した前突堤46よりも背の高い後突堤47が形成されている。この後突堤47の奥側の端面は、本体部40の奥面壁の外面と面一でかつ平面状であり(奥側の端縁42)、一方、後突堤47の手前側の面は、平面ではあるが裾広がりのテーパ状となっている。
上記した前後の突堤46,47の間には、底部に向けて幅狭となった溝48が形成され、これによって、開閉操作用の把手50が形成されている。
図13に示すように、把手50を構成する溝48は上下に開口しており、また手前側の溝壁48Aの突出端が切除された形態を採っている。
【0020】
上記のように把手50を構成する前突堤46の内部では、
図14に示すように、その手前側の領域において、本体部40の底面から連通した形態で肉抜きされて中空とされている。同中空溝52は、外装板21の前面板22に倣って手前側に膨らんだ曲線状に形成されている。中空溝52の手前側の溝壁52Bは、本体部40の前面壁の内面と面一となっている。後突堤47の内部にも、本体部40の底面から連通した形態で肉抜きされた中空溝53が形成されている。
【0021】
前突堤46内に形成された中空溝52の奥側の溝壁52Aには、
図15にも示すように、複数の挟持板55が長さ方向に沿って所定間隔を開けて突出形成されている。挟持板55には、背の低い低挟持板55Sと、背の高い高挟持板55Tとがあり、低挟持板55Sは、その中空溝52の手前側の溝壁52Bと対向する前縁が、同溝壁52Bとの間に所定間隔を開けた形態において、中空溝52の開口縁の少し下の位置まで形成されている。同低挟持板55Sの立ち上がり縁は、ガイド用に円弧状に形成されている。
一方の高挟持板55Tは、上記した中空溝52の手前側の溝壁52Bと対向する前縁が、同溝壁52Bとの間に上記と同間隔を開けた形態において、本体部40の開口縁を少し超えた位置まで形成されている。
【0022】
図15に示すように、高挟持板55Tは低挟持板55Sの間において適宜の本数置きに配されており、この例では、中央高さ位置の方が上下両端部と比べて、配設の密度が高くなっている。
これらの挟持板55T,55Sの突出縁と、中空溝52における前側の溝壁52Bとの間において、外装板21の前面板22の左側縁に張り出し形成された差込部25が差し込まれるところの、実質的に深い差込溝57Aが形成されている。
【0023】
また、内キャップ30Bの本体部40における上下両端部の内面では、手前側の端縁41における上記した深い差込溝57Aの上下に続く部分から上下両端縁43、さらには奥側の端縁42の上下両端部に亘って、相対的に浅い差込溝57Bが形成されている。この差込溝57Bには、外装板21における前面板22の上下両端の幅狭部から側面板23(折曲部24を含む)に亘る左側縁21Lが差し込み可能とされている。この浅い差込溝57Bの内側には、支持壁58が立てられている。
【0024】
内キャップ30Bにおける本体部40の奥面壁から後突堤47に亘る奥縁42の表面には、
図14及び
図16に示すように、上下両端の一部を除いたほぼ全高に亘って、凹部60が段差状に形成されており、この凹部60の段差面が、内装板65における正面視で左側の周縁68が当接可能な受け面61となっている。
この受け面61は、外装板21の左側縁21Lが差込溝57Bが差し込まれた場合において、奥縁側の差込溝57Bに差し込まれた折曲部24の外面と、ほぼ面一になるようになっている。
【0025】
内装板65は、
図2及び
図18に示すように、上記した外装板21よりも一回り小さい略正方形状に形成されている。内装板65の裏面には、周縁から所定寸法内側に入った位置において、パッキン(図示せず)を装着するためのパッキン装着溝66が、略正方形をなすように周設されている。パッキン装着溝66に装着されたパッキンは、当該断熱扉20が閉扉された場合に、対応する出入口15の口縁部に当たって密閉するように機能する。
また、内装板65の裏面におけるパッキン装着溝66の内側には、さらに一回り小さい略正方形状をなして突壁67が立ち上がり形成されている。この突壁67は、同じく断熱扉20が閉扉された場合に、対応する出入口15の周面の内側に進入し、庫内冷気と外気との熱交換を抑制するように機能する。
【0026】
そして、上記の内装板65の裏面におけるパッキン装着溝66の外側の4辺の周縁68が、外装板21の上下の折曲部24と、内外のキャップ30A,30Bの受け面38,61に当接する当接縁となっている。
また、内装板65の中央部には、後記するように発泡充填された断熱材75との結合力を高める等を目的として、複数本の縦溝69が形成されている。
【0027】
図21に示すように、断熱扉20の右側の縦縁の上下両端部には、出入口15の口縁に設けられたヒンジ19のピンを嵌めるヒンジカラー26が装着されるようになっている。
そのため、
図2に示すように、外装板21の上下の側面板23における右端側には、略チャンネル側をなす補強板27が内嵌されてねじ等で固定され、同補強板27に開口された取付孔に対し、側面板23の右端に形成された挿通孔を通してヒンジカラー26が嵌合されて取り付けられるようになっている。
なお、正面視左側の断熱扉20は、上記とは左右対称形状である。
【0028】
続いて、断熱扉20の製造工程の一例を説明する。
まず、外装板21における上下の側面板23の右端には、補強板27を介してヒンジカラー26が嵌着される。
次に、外装板21の右側と左側の側面開口28R,28Lに対し、外キャップ30Aと内キャップ30Bとがそれぞれ被着される。
詳細には、外キャップ30Aについては、曲線状をなす手前側の端縁31の全長から上下両縁33、さらには奥側の端縁32の上下両端の所定域に亘って連続して形成された差込溝35に対し、外装板21における前面板22から側面板23(折曲部24を含む)に亘る右側縁21Rが差し込まれて保持される(
図23参照)。
【0029】
一方、内キャップ30Bについては、
図26に参照して示すように、曲線状の手前側の端縁41に沿うように設けられた中空溝52の手前側の溝壁52Bと、両挟持板55S,55Lとの間に構成された実質的な深い差込溝57Aに対して、外装板21の前面板22の左側縁21Lに形成された差込部25が差し込まれ、さらには、外装板21の前面板22の左側縁21Lにおける差込部25の内側の部分から、側面板23(折曲部24を含む)の左側縁21Lに亘る部分が、上記した深い差込溝57Aの手前側の領域から、上下両縁43並びに奥側の端縁42の上下両端の所定域に亘って連続して形成された浅い差込溝57Bに差し込まれて保持される。
【0030】
このように外装板21の左右の両側面開口28L,28Rに内外のキャップ30B,30Aが被着されると、中間外殻体71が形成される。この中間外殻体71は、
図18に参照して示すように、後面のほぼ全面に対して方形の開口72が形成された薄肉の箱体状に形成される。この中間外殻体71における後面開口72の周縁は、上下両縁が、外装板21の上下の側面板23の折曲部24により、また左右両縁が、各キャップ30A,30Bの奥縁側に設けられた受け面38,61によって形成されている。折曲部24並びに受け面38,61は面一に配される。
【0031】
上記のように組み付けられた中間外殻体71は、
図18に示すように、発泡用治具の下型上に水平姿勢で載置され、同中間外殻体71内に液状の発泡樹脂が注入される。そののち、内装板65が中間外殻体71の後面開口72を塞いで被せられ、詳細には、内装板65の上下の周縁68が、後面開口72の上下両縁(折曲部24)に、内装板65の左右の周縁68がキャップ30A,30Bの受け面38,61にそれぞれ当てられた状態で、上型によって押し付けられる。これにより外殻体70が形成される一方、同外殻体70内で断熱材75が発泡充填され、
図19ないし
図26に示すように、内装板65が後面開口72を塞いで密着された状態の断熱扉20が形成される。
正面視左側の断熱扉20も、上記したと同様の手順で製造される。
【0032】
上記のように製造された断熱扉20は、内装板65の裏面に周設されたパッキン装着溝66にパッキンが装着されたのち、右側の断熱扉20については、右側の縦縁の上下両端部に設けられたヒンジカラー26に、対応する右側の出入口15の右側縁に配されたヒンジ19のピンを嵌め、左側の断熱扉20については、左側の縦縁の上下両端部に設けられたヒンジカラー26に、対応する左側の出入口15の左側縁に配されたヒンジ19のピンを嵌めることにより、観音開き式の開閉可能に装着される。左右一対の断熱扉20が閉扉した状態では、両断熱扉20の把手50が隣接して対向した状態となる。
閉扉状態では、断熱扉20の裏面の周縁に沿って装着されたパッキンが、対応する出入口15の口縁部に密着することで同出入口15を密閉する。
開扉する場合は、各断熱扉20の内側の側縁に設けられた把手50に手を掛けて、手前側に引けばよい。
【0033】
以上のように本実施形態の断熱扉20では、外装板21の前面板22が、横軸(水平軸)を中心に持つ円弧形をなす縦ラウンド形式の断熱扉20として形成され、このような断熱扉20では左右の側面がキャップ30A,30Bで形成されることになる。ここで、当該断熱扉20を開閉操作する把手50を、内側の側縁に位置するキャップ30Bに対して一体的に形成したから、構造が簡単でかつ部品点数も削減でき、もって低コストで製造することができる。
【0034】
把手50は具体的には、手前側に膨らんだキャップ30Bの前縁41に沿って前突堤46を、同位置から後方に所定寸法離間した位置に後突堤47をそれぞれ立ち上がり形成して、両突堤46,47の間に上下に開口した溝48を形成することで形成されている。
把手50を構成する溝48が、最も手を掛ける中央高さ位置が手前側に膨らんだ円弧形に形成されているから、手を掛けやすく、ひいては断熱扉20の開放動作がしやすい。また、把手50を構成する溝48が上下に開口しているから、溝48内にごみが溜まり難く、衛生的である。
さらに、前突堤46の方が後突堤47よりも背を低くして形成されているから、溝48内すなわち把手50に対して手が掛けやすい。
【0035】
なお、この種の断熱扉20は、冷蔵庫の大きさや扉配設の形式等に応じて、横幅を種々変更して備えられることがあるが、縦ラウンド形式の断熱扉20では、左右両側面に被着されるキャップ30A,30Bを共通として、横幅が異なる種々の断熱扉20に適用することができる。
【0036】
また、内キャップ30Bを被着する部分の構造において、前突堤46の内部といったデッドスペースを利用して、外装板21の前面板22の側縁に張り出し形成した差込部25を深く差し込む差込溝57Aを形成したから、内キャップ30Bを強固に被着することができる。
さらに、上記のような深い差込溝57Aを形成するに当たり、前突堤46の内部に中空溝52を形成する一方、この中空溝52の奥側の溝壁52Aに、相手の前側の溝壁52Bに向けて突出した挟持板55S,55Lを間隔を開けて形成し、これらの挟持板55S,55Lの突出縁と前側の溝壁52Bとの間において深い差込溝57Aを形成しているから、深い差込溝57Aを形成するために薄くて長い金型ピンを備える必要が無く、成形金型の耐久性を向上させる上で有効である。
【0037】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図27ないし
図29によって説明する。
この実施形態では、横ラウンド形式の断熱扉80を例示している。4枚の断熱扉80は、共通の構成部品によって構成されており、
図27に示すように、カラー鋼板等の金属板製の外装板81と、同外装板81の上下両縁に嵌められるABS樹脂等の合成樹脂製のキャップ85と、後面開口に装着される同じくABS樹脂等の合成樹脂製の内装板92を組み付けることで外殻体95が構成され、この外殻体95内に発泡ウレタン樹脂等の発泡樹脂からなる断熱材(図示せず)が充填された構造となっている。
【0038】
外装板81は、幅方向の中央部が左右両側縁に比べて手前側に膨らんだ曲面状、例えば縦軸(垂直軸)を中心に持つ円弧形をなすような曲面状に形成された前面板82が設けられ、この前面板82の左右両縁から、側面板83が後方に向けて直角曲げされて形成されている。左右の側面板83の基端側の角には丸みが付けられているとともに、両側面板83の先端部には折曲部84が互いに向き合うように直角曲げして形成されている。
外装板81の前面板82は、上記実施形態1と同様に、当所は平板状であって、上下両縁にキャップ85が嵌められることで、上記した曲面状に形成される。
【0039】
キャップ85は、外装板81の全幅に匹敵する長さ寸法を持った横長の浅皿を伏せたような形状に形成されており、キャップ85の手前側の端面が、外装板81における前面板82の曲面を形成するように手前側に膨らんだ曲面状に形成されている。
キャップ85の内面には、外装板81の上縁または下縁が差し込み可能な差込溝86が形成されている。また、キャップ85の左右両端部には、補強板88を介してヒンジカラー87が嵌着可能とされている。
一方のキャップ85Aの外面には、
図28に示すように、その幅方向の中央部において、横長の溝89が凹み形成され、これによって把手90が形成されている。この把手90を構成する溝89における手前側の溝壁89Aは、手前側に膨らんだ円弧形に形成されている。
なお、内装板92については、実施形態1に示した内装板65と同様な構造であるから、同一機能を有する部位には同一符号を付して説明は省略する。
【0040】
断熱扉80の製造は以下のように行われる。4枚の断熱扉80のうち右上に配される断熱扉80は、把手90を設けた側のキャップ85Aが下側に配され、両キャップ85,85Aの右側にヒンジカラー87が嵌着されたのち、上下のキャップ85,85Aが外装板81の上下の側面開口82Aに被着されることで中間外殻体が形成され、同中間外殻体内に液状の発泡樹脂を注入するとともに、中間外殻体の後面開口に内装板92を塞いで装着することによって、
図29に示すように、把手90が下面側に開口した断熱扉80が形成される。
【0041】
右下の断熱扉80では、上記とは逆に、把手90を設けたキャップ85を上面に被着した形態で形成される。
また、左側の上下の断熱扉80については、ヒンジカラー87がキャップ85,85Aの左端部に嵌着された形態において、上記と同様にして形成される。
【0042】
実施形態2に例示したいわゆる横ラウンド形式の断熱扉80においても、当該断熱扉80を開閉操作する把手90を、いずれか一方のキャップ85Aに対して一体的に形成したから、構造が簡単でかつ部品点数も削減でき、もって低コストで製造することができる。
【0043】
同じく把手90を構成する溝89が、最も手を掛ける幅方向の中央部が手前側に膨らんだ円弧形に形成されているから、手を掛けやすく、ひいては断熱扉80の開放動作がしやすい。また、上側に配される断熱扉80では、把手90を構成する溝89が下向きに開口していて、溝89内にごみが溜まり難く、一方、下側に配される断熱扉80では、把手90を構成する溝89が上向きに開口してはいるものの、同溝89の直上が上側の断熱扉80で覆われているから、同じく溝89内にごみが溜まり難く、衛生的である。
【0044】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、外装板の前面板を手前側に膨らんだ曲面形状とするのに、全高若しくは全幅に亘って一定の曲率半径を持った円弧形に形成した場合を例示したが、中央部と両端部とで曲率半径を変える等、曲面形状自体は任意に選定し得る。
(2)上記実施形態では、外装板の前面板について、初めは平板状のものを、両側縁にキャップを嵌めることで曲面状に形成する場合を例示したが、プレス成形時から曲面状に形成するようにしてもよい。
(3)実施形態1において、把手を形成するためにキャップに形成された前後の突堤の高さについては、同一高さあるいは後側の方が低い等、任意に設定できる。
(4)実施形態1において、把手を形成するための溝は上下に開口していなくてもよく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0045】
(5)逆に実施形態2において、把手を形成するための溝が左右に開口していてもよい。
(6)断熱扉の製造手順は上記実施形態に例示したものに限らず、例えば、外装板、キャップ及び内装板を予め組み付けて外殻体を形成し、その後に外殻体内に断熱材を発泡充填するようにしてもよい。
(7)本発明は、上記実施形態に例示した冷蔵庫に限らず、冷凍庫、冷凍冷蔵庫等の冷却貯蔵庫、さらには温蔵庫等も含めた貯蔵庫全般に装着された断熱扉について広く適用することができる。