特許第5722023号(P5722023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722023
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】校正装置および校正方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
   A61B5/00 101M
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-285639(P2010-285639)
(22)【出願日】2010年12月22日
(65)【公開番号】特開2011-131059(P2011-131059A)
(43)【公開日】2011年7月7日
【審査請求日】2013年11月21日
(31)【優先権主張番号】12/646,242
(32)【優先日】2009年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510322649
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】ヤロン・エフラス
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
【審査官】 増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−266486(JP,A)
【文献】 特開平06−115043(JP,A)
【文献】 特開2003−116890(JP,A)
【文献】 特開平06−269391(JP,A)
【文献】 特開平11−276502(JP,A)
【文献】 特表2000−506027(JP,A)
【文献】 特開2009−090114(JP,A)
【文献】 特開2001−091433(JP,A)
【文献】 特表2007−517195(JP,A)
【文献】 特開平07−313527(JP,A)
【文献】 特表2004−523298(JP,A)
【文献】 特開2002−017752(JP,A)
【文献】 特開昭51−025390(JP,A)
【文献】 特開平10−234679(JP,A)
【文献】 特開2011−131058(JP,A)
【文献】 特表2003−525688(JP,A)
【文献】 特開平08−071086(JP,A)
【文献】 米国特許第04936310(US,A)
【文献】 米国特許第05437284(US,A)
【文献】 特表平09−510372(JP,A)
【文献】 特開2005−345215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
A61B 5/00−5/01
A61B 5/06−5/22
A61B 13/00−18/28
A61B 19/00−19/12
A61F 2/01
A61F 2/82−2/97
A61M 25/00−29/04
A61M 35/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付属品であって、プローブの遠位先端が前記付属品内のある点に対して押し付けられ、前記遠位先端にかかる圧力に応じた、前記プローブの遠位端に対する前記遠位先端の変形を示す第一測定値を生成するように、前記プローブを受容するために連結される、付属品と、
前記付属品に連結されており、前記点に対して前記遠位先端がかける機械的力の第二測定値を生成するように構成された、検知デバイスと、
前記プローブから前記第一測定値を受け取り、前記検知デバイスから前記第二測定値を受け取って、前記第一及び第二測定値に基づき、前記第一測定値の関数として前記圧力を評価するための1つ又は複数の校正係数を算出するように構成された、校正プロセッサと、を含み、
前記遠位先端が前記点に対して押し付けられた際に、前記第一測定値及び前記第二測定値は、同時に生成される、校正装置。
【請求項2】
前記付属品が、1つ又は複数の所定の角度で前記点に対して前記プローブを押し付けるよう連結され、前記校正プロセッサが前記所定の角度の関数として前記校正係数を算出するよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記付属品を覆うドームを含み、前記ドームが複数の挿入穴を有し、前記穴が前記所定の角度で前記点へ前記プローブを導くよう構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記遠位端を保持するよう構成されたレセプタクルと、前記レセプタクルに連結され、前記点に対する複数の角度で前記レセプタクルを配置するよう構成されたトラックと、前記点に対して前記遠位先端を押し付けるために前記付属品を持ち上げるよう構成されたリフトと、を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記校正プロセッサに連結され、前記所定の角度を受け取るよう構成された入力デバイスを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記付属品が円錐形のカップを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記付属品が、温度制御された液体中に前記プローブを保持する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記検知デバイスがロードセルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記校正プロセッサが、前記プローブに連結されたメモリに前記校正係数を保存するよう構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記メモリが、電子的に消去可能なプログラマブルな読み取り専用メモリEPROMを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
遠位先端を有するプローブを付属品に挿入することと、前記遠位先端を前記付属品のある点に対して押し付けることにより、前記遠位先端にかかった圧力に応じて前記プローブの遠位端に対する前記遠位先端の変形を起こすことと、
前記変形を示す第一測定値を前記プローブから受け取ることと、
前記点に対して前記遠位先端がかけた機械的力を示す第二測定値を、前記付属品に連結された検知デバイスから受け取ることと、
前記第一及び第二測定値に基づき、前記第一測定値の関数として前記圧力を評価するための1つ又は複数の校正係数を算出することと、を含み、
前記遠位先端が前記点に対して押し付けられた際に、前記第一測定値及び前記第二測定値は、同時に生成される、校正方法。
【請求項12】
前記プローブを挿入することが、1つ又は複数の所定の角度で前記点に対して前記プローブを押し付けることを含み、前記校正係数を算出することが、前記角度の関数として前記校正係数を算出することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プローブを挿入することが、前記付属品を覆うドームの複数の挿入穴の1つに前記プローブを配置することを含み、これにより前記プローブが前記所定の角度で前記点へと導かれる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プローブを挿入することが、トラックに連結されたレセプタクル内に前記プローブを保持し、これにより前記点に対する複数の角度のうち1つで前記レセプタクルを配置することと、前記付属品を持ち上げることにより前記点に対して前記遠位先端を押し付けることと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記付属品が円錐形のカップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記付属品が、温度制御された液体中に前記プローブを保持する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記検知デバイスがロードセルを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記プローブに連結されたメモリ内に前記校正係数を保存することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記メモリがEPROMを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね侵襲性プローブに関連し、具体的には侵襲性プローブ内の圧力センサの校正に関連する。
【背景技術】
【0002】
広範な医療手技には、センサ、管、カテーテル、分注器具、及びインプラント等の物体を、体内に配置することが含まれる。位置検知システムは、このような物体を追跡するために開発されている。磁気的位置検知は、当該技術分野において既知の方法の1つである。磁気的位置検知においては、典型的に、磁場発生器が患者の体外の既知の位置に配置される。プローブの遠位端にある磁場センサがこの磁場に対して電気信号を発生し、この信号が処理されることにより、プローブ遠位端の位置座標が決定される。これらの方法及びシステムは、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、PCT国際特許公開第WO 1996/005768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455 A1号、同第2003/0120150 A1号及び同第2004/0068178 A1号に記述されており、これらは参考として全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
プローブを体内に配置するとき、プローブの遠位先端を身体組織に直接接触させることが望ましい場合がある。この接触は、例えば、遠位先端と身体組織との間の接触圧力を測定することによって、確かめることができる。米国特許出願公開第第2007/0100332号及び同第2009/0093806号(これらの開示は参考として本明細書に組み込まれる)は、カテーテルに埋め込まれた力センサを使用してカテーテルの遠位先端と体腔内組織との間の接触圧力を測定する方法を記述している。カテーテルの遠位先端は、バネのような弾力性の部材によってカテーテル挿入管の遠位端に連結しており、これが心臓内組織に対して押し付けられるときに遠位先端にかかる力に応じて変形する。カテーテル内の磁気位置センサは、挿入管の遠位先端に対する、遠位端のたわみ(位置と向き)を検知する。挿入管に対する遠位先端の動きが、弾力性の部材の変形を示し、これにより圧力の示度が得られる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの実施形態は、付属品、検知デバイス及び校正プロセッサを含む校正装置を提供する。この付属品は、プローブの遠位先端が付属品内のある点に対して押し付けられ、その遠位先端にかかる圧力に応じた、プローブの遠位端に対する遠位先端の変形を示す第一測定値を生成する。検知デバイスはこの付属品に連結されており、その点に対して遠位先端がかける機械的力の第二測定値を生成するように構成される。校正プロセッサは、プローブから第一測定値を受け取り、検知デバイスから第二測定値を受け取って、この第一及び第二測定値に基づき、第一測定値の関数として圧力を評価するための1つ又は複数の校正係数を算出するように構成される。
【0005】
幾つかの実施形態では、この付属品は、1つ又は複数の所定の角度でその点に対してプローブを押し付けるように連結され、校正プロセッサは所定の角度の関数として校正係数を算出するように構成される。この装置には、付属品を覆うドームが含まれてもよく、このドームは複数の挿入穴を有し、これらの穴は所定の角度でその点へプローブを導くように構成される。別の方法としては、この装置には、遠位端を保持するように構成されたレセプタクルが含まれ得、このレセプタクルにトラックが連結され、その点に対する複数の角度でレセプタクルを配置するよう構成され、その点に対して遠位先端を押し付けるために付属品を持ち上げるように構成されたリフトが含まれ得る。この装置には、校正プロセッサに連結され、所定の角度を受容するように構成された入力デバイスが含まれ得る。
【0006】
別の実施形態では、付属品には円錐形状のカップが含まれる。更に別の実施形態では、この付属品は、温度管理された液体の中にプローブを保持する。また別の実施形態では、検知デバイスにはロードセルが含まれる。1つの実施形態では、校正プロセッサは、プローブに連結されたメモリに校正係数を保存するように構成される。このメモリには、電子的に消去可能なプログラマブルな読み取り専用メモリ(EPROM)が含まれ得る。
【0007】
本発明の1つの実施形態に従い、遠位先端を有するプローブを付属品に挿入することと、その遠位先端を付属品のある点に対して押し付けることにより、その遠位先端にかかった圧力に応じてプローブの遠位端に対する遠位先端の変形を起こすことと、その変形を示す第一測定値をプローブから受け取ることと、その点に対して遠位先端がかけた機械的力を示す第二測定値を、付属品に連結された検知デバイスから受け取ることと、その第一及び第二測定値に基づき、その第一測定値の関数として圧力を評価するための1つ又は複数の校正係数を算出することと、を含む、校正方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下、本開示は、単に例示を目的として、添付の図面を参照しながら本明細書にて説明される。
図1】本発明の1つの実施形態による、感圧性カテーテルの校正システムの概略描画図。
図2】本発明の1つの実施形態による、感圧性カテーテルを校正する方法を図解するフローチャート。
図3】本発明の1つの実施形態による、感圧性カテーテルの校正システムのグラフィカル・ユーザー・インタフェースの概略描画表示。
図4】本発明の別の実施形態による、感圧性カテーテルの校正システムの概略描画図。
図5】本発明の1つの実施形態による、心臓内組織に接触した感圧性カテーテル遠位先端を示す、基本的な詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一部の侵襲性プローブは、プローブと体内組織との間の接触圧力を測定するための圧力センサを含む。例えば、心臓カテーテルの遠位先端には圧力センサが含まれることがあり、心臓内組織上に対して、この遠位先端がかける圧力に応じて変形する。カテーテル内の位置センサがこの遠位先端のたわみを測定し、これにより接触圧力の示度が得られる。しかしながら、多くの実際的場合において、実際の接触圧力と位置センサの読み取り値との間の関係は、カテーテル1本1本で異なる。
【0010】
正確な圧力測定を得るため、本発明の実施形態は、圧力センサを備えたプローブ(例えば、カテーテル)の校正のための方法及びシステムを提供する。幾つかの実施形態では、校正装置には、カテーテルを特定の角度で受容するための付属品と、その付属品の所定の点に対してカテーテルがかける機械的力を測定するための検知デバイス(例えば、ロードセル)とが含まれる。カテーテルがこの付属品内に所定の角度で挿入され、所定の点に対して押し付けられるとき、カテーテルは遠位先端の変形(例えば、たわみ)の測定値を生成し、検知デバイスは力測定値を生成する。
【0011】
幾つかの実施形態では、校正プロセッサがカテーテルからたわみ測定値を受け取り、検知デバイスから力測定値を受け取り、カテーテルがかける圧力をたわみ測定値の関数として評価するための校正係数を算出する。
【0012】
幾つかの実施形態では、校正は、カテーテルと付属品内の点との間のさまざまな係合角度について実施される。幾つかの実施形態では、校正係数は、カテーテルに接続される不揮発性メモリに保存される。カテーテルを後で医療用システムに利用するときに、カテーテル遠位先端が体内組織に対してかける実際の圧力は、この校正係数を用いて、たわみ測定値から高い精度で導くことができる。
【0013】
図1は、本発明の1つの実施形態による、感圧性カテーテルの校正システム10の図である。システム10は、校正ユニット52に連結された校正装置12を含む。下記に述べる実施形態では、システム10はプローブ42を校正するために使用され、このプローブは、本実施例においては心臓内又は他の臓器内の治療及び/又は診断目的のカテーテルである。
【0014】
プローブ42は遠位端14を含み、その遠位先端16が接合部18を介して遠位端に接続されている。遠位端14及び遠位先端16は両方とも、柔軟な絶縁材料22で覆われている。接合部18の領域も同様に、柔軟な絶縁材料で覆われる。この柔軟な絶縁材料は、柔軟な絶縁材料22と同じか、又は接合部のスムーズな屈曲と圧縮を可能にするために特別に適合させた材料であってもよい(カテーテルの内部構造を露出させるために、この材料は図1では切り取られている)。遠位先端16は典型的には、遠位端14に比べて、比較的剛性がある。
【0015】
遠位先端16は弾力性部材20によって遠位端14に連結されている。図1では、この弾力性部材はコイルバネの形状を有しているが、この目的で他のタイプの弾力性構成要素を代わりに使用することもできる。弾力性部材20は、遠位先端にかかる力に応じて、先端16と遠位端14との間の、限定的な範囲での相対的な動きを可能にする。
【0016】
遠位先端16は磁気位置センサ24を含む。センサ24は1つ又は複数の小型コイルを含んでもよく、典型的には異なる軸方向に沿った向きの複数のコイルを含み得る。遠位端14には、弾力性部材20の近くに小型の磁場発生器26が含まれる。典型的には、磁場発生器26はコイルを含み、これは校正ユニット52からカテーテルを通って運ばれる電流によって駆動される。別の方法としては、位置センサ24は別のタイプの磁気センサ(位置変換器として作用する電極)、又は他のタイプの位置変換器(例えば、インピーダンス系若しくは超音波位置センサ)を含み得る。図1には単一の位置センサを備えたプローブが示されているが、本発明の実施形態は、2つ以上の位置センサを備えたプローブを利用することができる。
【0017】
磁場発生器26によって生成された磁場は、センサ24中のコイルに、磁気発生器の駆動周波数の電気信号を発生させる。この信号の振幅は、遠位端14に対する遠位先端16の位置及び向きに依存して変化する。校正ユニット52内の校正プロセッサ46は、これらの信号を処理し、遠位端14に対する遠位先端の、軸方向変位と角たわみの程度を測定決定する。(コイルが生成する磁場の軸対称性のため、磁場発生器26内で単一のコイルを使用する場合は、たわみの程度だけを検知することができ、たわみの方向は検知されない。所望により、磁場発生器26には2つ以上のコイルを含めることができ、この場合は同様にたわみの方向を決定し得る。)変位及びたわみの程度は、ベクトル加算によって組み合わされ、遠位端14に対する遠位先端16の動きの合計大きさを得ることができる。
【0018】
遠位端14に対する遠位先端16の相対的な動きは、弾力性部材20の変形の測定値をもたらす。よって、磁場発生器26とセンサ24の組み合わせが、圧力検知システムとして働く。変位とたわみを組み合わせた検知により、遠位先端16への圧力が真正面からかかっているのか、それとも斜めにかかっているのかにかかわらず、この圧力検知システムは圧力を正確に示す。この種のプローブ及び位置センサの更なる詳細は、前述の米国特許出願公開第2009/0093806号及び同第2009/0138007号に記述されている。
【0019】
プローブ42は更に、例えば、電子的に消去可能なプログラマブルな読み取り専用メモリ(EPROM)などの不揮発性メモリ44を含み、これが校正中に計算された算出係数を保存する。上述のように、カテーテルを後で医療用システムに利用するときに、カテーテル遠位先端が体内組織に対してかける実際の圧力は、メモリ44に保存されている校正係数を用いて、たわみ測定値から高い精度で導くことができる。
【0020】
校正装置12は、校正されるプローブを受容するように構成された付属品28を含む。図1の実施形態では、付属品28は、上部36及び基部40を有するカップ(例えば、円錐形状のカップ)を含む。本実施例では、上部36は基部40よりも広い。別の実施形態では、その他の任意の好適な機械的構成を有する付属品を使用することもできる。
【0021】
付属品28は温度制御された液体34を含むことができ、これは典型的な人体体温に維持される(例えば、サーモスタット及び加熱エレメントを使用する)。この技法を使用して、体内のプローブ作動温度にきわめて近い温度で、プローブ42の校正手順が実施される。プローブの構成要素の弾力性又はその他の機械的特性は、温度によって大きく変動することがあるため、この温度制御は重要であり得る。例えば、接合部18にはニッケルチタン合金(NiTi又はニチノール)製バネ及びプラスチック製外側カバー(すなわち絶縁材料22)などの構成要素が含まれることがあり、これらの弾力性は液体34の温度で変化する。
【0022】
カテーテル42と付属品28との間の係合角度を制御するため、オペレータ(図示なし)は、付属品28を覆っているドーム30の複数の挿入穴38の1つにカテーテルを挿入する。挿入穴のそれぞれが、カテーテルを異なる角度で受容し得る。挿入穴は、遠位先端16を導き、付属品28の所定の点に対してこれを押し付けるように構成される。図1に示す構成では、挿入穴38は、遠位先端16を基部40に対して押し付けるよう導く。
【0023】
付属品28及びドーム30に加え、校正装置12は基部40に連結されたロードセル32を含む。このロードセルは、遠位先端が基部40に対してかける下向きの機械的力を測定する。図1に示すシステムはロードセル32を用いて下向きの力を測定しているが、システム10は、他の好適な任意のタイプのセンサを使用して下向きの力を測定することができ、そのようなセンサはここにおいて、本発明の趣旨及び範囲内にあると見なされる。
【0024】
ロードセル32及びプローブ42の両方とも、好適なインタフェース(例えば、ケーブル及びコネクタ)を介して校正ユニット52に接続されている。校正ユニット52は、校正プロセッサ46、メモリ48、ディスプレイ54、及び入力デバイス50(例えば、キーボード)を含む。プロセッサ46は典型的に、位置センサ24及びロードセル32からの信号を受け取るため、並びに校正ユニット52の他の校正要素を制御するための、好適なフロントエンド及びインタフェース回路を備えた、一般用のコンピュータを含む。プロセッサ46は、本明細書に記述されている機能を実行するよう、ソフトウェアにプログラムすることができる。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを通じて電子的形態でプロセッサ46にダウンロードされ得る。もしくは、ソフトウェアは、光学的、磁気的、又は電子的記録媒体などの実体のある媒体により提供され得る。別の方法として、プロセッサ46の機能の一部分又は全部を、専用又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素により実行することもできる。
【0025】
図2は、本発明の1つの実施形態による、感圧性カテーテルを校正する方法を図解するフローチャートである。プローブ42を校正するために、オペレータはカテーテルを挿入穴38の1つに挿入し(工程60)、基部40に対して遠位先端16を押し付ける(工程62)。付属品28及びドーム30の形状が、校正にどの挿入穴を使用しても遠位先端16が基部40(すなわち付属品の同じ点)に確実に押し付けられるようにするのに役立つ。典型的には、各挿入穴は基部40に対してカテーテルの係合の異なる角度を画定する。
【0026】
遠位先端16を基部40に対して押し付けることにより、カテーテル42は接合部18位置で曲がり、これにより遠位先端がたわむ。遠位先端16内にある位置センサ24は、遠位端14に対する遠位先端のたわみを示す信号を出力する。同時に、ロードセル32は、基部40に対して遠位先端16がかけた下向きの機械的力を示す測定値を出力する。たわみ測定と下向きの力の測定の両方が校正ユニット52に送信され、ここでオペレータはキーボード50を介して、この校正工程の係合角度を入力する。
【0027】
幾つかの実施形態では、挿入穴38はそれぞれの識別情報でラベル付けされる。校正プロセス中に、オペレータは、使用している挿入穴の識別情報を、入力デバイス50を介して校正ユニット52に入力する。別の実施形態では、ドーム30にはもう1つの近接センサが含まれていてもよく、これにより自動的に、カテーテルが挿入された挿入穴を検出することができる。オペレータがカテーテル42を挿入穴の1つに挿入したとき、この近接センサが校正ユニット52に電気信号を送り、プロセッサ46がこの電気信号を分析して、どの挿入穴が使用されたかが判定する。例えば、光学センサ又はホール効果センサなど、任意の好適なタイプの近接センサを使用することができる。
【0028】
校正ユニット52は、プローブ中のセンサ24からのたわみ測定値を受け取り(工程64)、ロードセル32から下向きの力の測定値を受け取り(工程66)、及びオペレータから係合角度を受け取る。これら3つの入力に基づき、プロセッサ46は、プローブ42のたわみ測定値を校正するための校正係数を計算する(工程68)。所定の係合角度で、ロードセル32からの力ベクトルに対する、位置センサ24からの位置測定値をマッピングすることにより、校正係数は、位置センサ測定値に基づき遠位先端16にかかる力を決定する。換言すれば、所定の校正係数は、所定の係合角度について、先端16のたわみ測定値を実際の圧力読み取り値に変換する。
【0029】
より多くの校正ポイントが望ましい場合(工程70)、この方法は上記の工程60に戻る。又は、プロセッサ46は校正マトリックスをプローブのメモリ44に保存し(工程72)、この方法は終了する。幾つかの実施形態では、オペレータは、プローブに対していろいろな強さの圧力をかけることにより、所定の係合角度(所定の挿入穴38)について複数のデータポイントを採取することができる。
【0030】
校正マトリックスを保存するため、プロセッサ46は、計算された係数に基づいて、メモリ44に分析計算を保存することができる。別の方法としては、プロセッサ46は、測定間を補間した照合表をメモリ44に保存することができる。幾つかの実施形態では、プロセッサ46は2つの組み合わせ(例えば、領域によって選択された係数など)をメモリ44に保存することができる。
【0031】
図3は、本発明の1つの実施形態による、カテーテル42の校正を管理するために操作される、グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)80の概略図である。この実施形態では、ディスプレイ54がオペレータに対してGU I80を提供する。オペレータは、校正するカテーテルの識別情報(例えば、シリアル番号)を、入力デバイス50を使用してテキストボックス82に入力する。GUI 80は、挿入穴38の図表表示を含んだマップ84を提示する。マップ上の各挿入穴は、校正手順中の状態を示すようカラーコーディングされる。例えば、この実施形態において、現在校正手順に使用されている挿入穴は黒であり、前に使用した挿入穴は灰色であり、使用したことのない挿入穴は白色である。図2の工程70に戻ると、校正ポイントの追加が望ましい場合、ユーザーは「Next」(次へ)ボタン86を押して、校正に使用する次の挿入穴を特定する。
【0032】
GUI 80は、例えば、カテーテルにかけられる標的圧力と実際の圧力をそれぞれ表示するためのテキストボックス87及び88など、追加の項目又は機能を含み得る。画面左側のバー89は、実際の圧力を示す。図3に示すGUIは、純粋に例示のために選択されたものであり、他の任意の好適なGUIも使用することができる。
【0033】
図4は、本発明の別の実施形態による、カテーテル42の校正システム90の模式的な描画図である。システム90では、レセプタクル92が遠位端14を保持し、遠位先端16が接合部18の位置で露出した状態になっている。レセプタクル92の近位端は、トラック94に連結されている。トラック94はアーチ形状であり、接合部98を介してスタンド96に連結されている。接合部98は、スタンド内でトラック94が回転するのを可能にしている。トラック94に沿ってレセプタクル92を配置し、トラックを回転させることにより、カップ28に対して遠位先端16をさまざまな係合角度で押し付けることが可能になっている。遠位先端16をたわませるには(すなわち、トラック90は回転だけに制限された動きを有し、レセプタクル92の行程はトラックに制限されているので)、リフト100がカップ28及びロードセル32を持ち上げ、遠位先端16に対してカップを押し付ける。ロードセル(図示なし)は、このリフトに連結され、カップによってカテーテル先端にかかる圧力を測定する。図4の校正セットアップを使用する場合、校正ユニット52は上記図1のセットアップでの動作と同様に動作する。
【0034】
図5は、本発明の1つの実施形態による、心臓112内の組織110に接触した遠位先端16を示す、基本的な詳細図である。この実施例において、先端16は電極114を含む。心臓内電気的マッピングなどの幾つかの電子生理学的診断及び治療手順において、電極114と組織110との間の力のレベルを適切に維持することが重要である。医療専門家(図示なし)が遠位先端16を心臓内組織110に対して押し付けると、カテーテルが接合部18で屈曲する。遠位先端と組織との間に良好な電極接触を確保するためには、十分な力が必要である。電気的接触が悪いと、不正確な読み取り値が生じることがある。一方、過剰な力をかけると組織が変形し、マップを歪ませることがある。
【0035】
先端16が組織110に押し付けられると、センサ24は、遠位端14に対する先端16のたわみを示す測定値を生成する。医療用撮像システム(例えば、マッピングシステムなど(図示なし))は、プローブのメモリ44に保存されている校正係数を用いて、この測定値を正確な圧力読み取り値に変換する。このようにして、本発明の実施形態を用いた侵襲性プローブの校正により、医療専門家はプローブが組織に対してかける力を正確に制御することができる。
【0036】
以下の請求項における全ての手段又は工程、更には機能要素に対応する構造、材料、行為、及び等価物は、特に請求されるように、任意の構造、材料、又はその他請求された要素と組み合わせて機能を行うための行為を含むことを目的とする。本開示の説明は、実例及び説明の目的で提示しているが、包括的であること、又は本開示で開示される形状に限定されることを意図しない。本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの改変や変更が当業者にとって明らかであろう。これらの実施形態は、本開示の原理及び実際的な用途を最も良く説明し、様々な変更形態を伴う様々な実施形態について、他の当業者が本開示を理解することを可能にするために選択され、説明されたものであり、企図される特定の使用に適したものである。
【0037】
添付した特許請求の範囲では、本開示の趣旨及び範囲内に該当する全てのかかる特徴及び利点を含むものとする。当業者であれば多くの改変及び変更を容易に思いつくため、本開示は、本明細書に記載される、限定された数の実施形態に限定することを意図しない。したがって、当然のことながら、本開示の趣旨及び範囲内に該当する、好適な全ての変化、改変、及び等価物が使用可能である。
【0038】
〔実施の態様〕
(1) 付属品であって、プローブの遠位先端が前記付属品内のある点に対して押し付けられ、前記遠位先端にかかる圧力に応じた、前記プローブの遠位端に対する前記遠位先端の変形を示す第一測定値を生成するように、前記プローブを受容するために連結される、付属品と、
前記付属品に連結されており、前記点に対して前記遠位先端がかける機械的力の第二測定値を生成するように構成された、検知デバイスと、
前記プローブから前記第一測定値を受け取り、前記検知デバイスから前記第二測定値を受け取って、前記第一及び第二測定値に基づき、前記第一測定値の関数として前記圧力を評価するための1つ又は複数の校正係数を算出するように構成された、校正プロセッサと、を含む、校正装置。
(2) 前記付属品が、1つ又は複数の所定の角度で前記点に対して前記プローブを押し付けるよう連結され、前記校正プロセッサが前記所定の角度の関数として前記校正係数を算出するよう構成される、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記付属品を覆うドームを含み、前記ドームが複数の挿入穴を有し、前記穴が前記所定の角度で前記点へ前記プローブを導くよう構成される、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記遠位端を保持するよう構成されたレセプタクルと、前記レセプタクルに連結され、前記点に対する複数の角度で前記レセプタクルを配置するよう構成されたトラックと、前記点に対して前記遠位先端を押し付けるために前記付属品を持ち上げるよう構成されたリフトと、を含む、実施態様2に記載の装置。
(5) 前記校正プロセッサに連結され、前記所定の角度を受け取るよう構成された入力デバイスを含む、実施態様2に記載の装置。
(6) 前記付属品が円錐形のカップを含む、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記付属品が、温度制御された液体中に前記プローブを保持する、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記検知デバイスがロードセルを含む、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記校正プロセッサが、前記プローブに連結されたメモリに前記校正係数を保存するよう構成されている、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記メモリが、電子的に消去可能なプログラマブルな読み取り専用メモリEPROMを含む、実施態様9に記載の装置。
【0039】
(11) 遠位先端を有するプローブを付属品に挿入することと、前記遠位先端を前記付属品のある点に対して押し付けることにより、前記遠位先端にかかった圧力に応じて前記プローブの遠位端に対する前記遠位先端の変形を起こすことと、
前記変形を示す第一測定値を前記プローブから受け取ることと、
前記点に対して前記遠位先端がかけた機械的力を示す第二測定値を、前記付属品に連結された検知デバイスから受け取ることと、
前記第一及び第二測定値に基づき、前記第一測定値の関数として前記圧力を評価するための1つ又は複数の校正係数を算出することと、を含む、校正方法。
(12) 前記プローブを挿入することが、1つ又は複数の所定の角度で前記点に対して前記プローブを押し付けることを含み、前記校正係数を算出することが、前記角度の関数として前記校正係数を算出することを含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記プローブを挿入することが、前記付属品を覆うドームの複数の挿入穴の1つに前記プローブを配置することを含み、これにより前記プローブが前記所定の角度で前記点へと導かれる、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記プローブを挿入することが、トラックに連結されたレセプタクル内に前記プローブを保持し、これにより前記点に対する複数の角度のうち1つで前記レセプタクルを配置することと、前記付属品を持ち上げることにより前記点に対して前記遠位先端を押し付けることと、を含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記付属品が円錐形のカップを含む、実施態様11に記載の方法。
(16) 前記付属品が、温度制御された液体中に前記プローブを保持する、実施態様11に記載の方法。
(17) 前記検知デバイスがロードセルを含む、実施態様11に記載の方法。
(18) 前記プローブに連結されたメモリ内に前記校正係数を保存することを含む、実施態様11に記載の方法。
(19) 前記メモリがEPROMを含む、実施態様18に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5