【実施例】
【0016】
図2は、製氷機Mの製氷機本体10内における上部左側に画成された製氷室11および上部右側に画成された機械室12を、製氷機筐体および冷凍機構部等を省略して概略的に示した斜視図である。製氷室11は、機械室12との境界部に位置する右側壁部13と、右側壁部13と対向して製氷室11の左側に位置する左側壁部14と、右側壁部13の後端および左側壁部14の後端に夫々連設される後壁部15と、右側壁部13の前端および左側壁部14の前端に夫々接合される前壁部16と、製氷機本体10を構成するアッパーパネル(図示省略)とにより、断熱箱体として構成されている。製氷室11には、
図3および
図4に示すように、製氷ユニットU、製氷水散水ユニットWおよび除氷水供給ユニットV等が配設される。また機械室12は、前記右側壁部13により製氷室11と区画され、製氷機本体10を構成する右サイドパネル、リアパネル、フロントパネルおよびアッパーパネル等(図示せず)により画成され、冷凍機構部を構成する圧縮機や凝縮器等が配設される。
【0017】
製氷機本体10には、製氷水タンクTを機外へ引出し可能に収容するタンク収容部17が、製氷室11の下部から該製氷室11と隣接する機械室12の下部に亘り平面視において略L字形に画成されている。タンク収容部17と機械室12とは、ポンプユニット(水供給源)Pや製氷水量検知手段等を固定した区画壁であるユニット取付部材18により完全に区分されるようになっている。
【0018】
製氷水タンクTは、
図2に示すように、タンク収容部17に整合して収容され得るサイズ・形状にされている。すなわち製氷水タンクTは、前後方向に長い形状に形成された第1タンク部T1と、第1タンク部T1から右方向へ突出した第2タンク部T2とからなり、平面視において略L字形のバケット状となっている。そして、前記ポンプユニットPが配設されたユニット取付部材18が、第2タンク部T2の上部に載置した状態で取付けられている。ポンプユニットPは、製氷水タンクT内に貯留された製氷水に浸漬されるポンプ(図示せず)と、このポンプを作動させるモータP1とを備え、ポンプには、製氷水散水ユニットWに連結させる送水管29が接続されている。
【0019】
製氷ユニットUは、
図3および
図4に示すように、基本的な構成は
図9に示した従来の製氷ユニットUと同じであり、複数基(実施例では3基)の製氷部U1が並んで配設されてユニット化されている。各製氷部U1は、垂直または略垂直な縦向き姿勢で間隔をおいて相対して配設された一対の製氷板20,20と、冷凍機構部における蒸発器を構成して両製氷板20,20の裏面に接触するよう蛇行状に配設された蒸発管21とを備えている。また各製氷部U1は、相対する両製氷板20の上端に沿うように配置され、両製氷板20,20の表側に設けた製氷面20Aに製氷水を供給する製氷水散水ユニットWの製氷水散水管41と、相対する両製氷板20,20の裏面に除氷水を供給する除氷水供給ユニットVの除氷水散水管28を備えている。従って、各製氷部U1においては、蒸発管21内に冷却された熱媒体が通過することで該蒸発管21が冷却され、この冷却された蒸発管21により各製氷板20の製氷面20Aが冷やした状態で、製氷水散水ユニットWの製氷水散水管41から散水された製氷水を該製氷面20Aに伝って流下させることで、半円形状の氷塊Sを生成し得るようになっている(
図3、
図4参照)。
【0020】
実施例の製氷水散水ユニットWは、
図1〜
図6に示すように、前記ポンプユニットPからの送水管29に連結される配水部40と、縦向きに並んで配設された3基の前記製氷部U1の各々の上部に相対して配設されると共に前記配水部40に連設され、該配水部40から供給された製氷水を相対する製氷部U1に向けて散水する3個の製氷水散水管41とを備えている。この製氷水散水ユニットWは、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の樹脂素材をブロー成形することで成形されたもので、前記配水部40および各製氷水散水管41が一体となった中空部材である。
【0021】
配水部40は、
図1〜
図3および
図5に示すように、前記3個の製氷水散水管41が並ぶ方向(左右方向)に延在し、各製氷水散水管41が連設される分配管60と、この分配管60と略平行に延在すると共に前記送水管29が連結されるバッファ管50と、バッファ管50および分配管60の夫々に連設されて両管50,60を連通する連結管70,70とを備えている。これにより配水部40では、送水管29から供給された製氷水を、先ずバッファ管50内に流入させ、このバッファ管50内を移動させて各連結管70,70へ流入させ、各連結管70,70から分配管60へ移動させた後に、各製氷水散水管41内へ供給するよう構成されている。
【0022】
バッファ管50は、
図1、
図2、
図5(a)および
図5(b)に示すように、左右方向に長い細長の円筒状に形成された中空管状部であって、その軸心が左右方向へ水平に延在するように形成されている。バッファ管50は、円筒状をなす周壁部51と、周壁部51の左縁に連設されて内面が右方を指向するように形成された左側壁部52と、該周壁部51の右縁に連設されて内面が左方を指向するように形成された右側壁部53とを有し、周壁部51は上下中央より下側に位置する下周壁部51Aおよび上側に位置する上周壁部51Bに便宜上区分されている。そして、バッファ管50の下周壁部51Aにおける左右中央には、前記ポンプユニットPのポンプに接続された送水管29の出口端部が連結される水流入部54が、垂直下方へ突出した状態で形成されており、該送水管29は略垂直に立ち上がった状態で該水流入部54に連結されるようになっている。すなわちバッファ管50は、略垂直下方から連結される送水管29の連結方向と交差するように延在している。
【0023】
分配管60は、
図1、
図2、
図5(a)および
図5(b)に示すように、左右方向に長い角筒状に形成された中空管状部であって、その軸心が左右方向へ水平に延在するように形成され、前記バッファ管50の後側上方において該バッファ管50と平行となっている。分配管60は、上壁部61、下壁部62、前壁部63および後壁部64とを有し、上壁部61、下壁部62および後壁部64は平坦状に形成され、前壁部63は両端部が緩やかに湾曲している。そして、分配管60の前壁部63における左湾曲部に隣接した部位および右湾曲部に隣接した部位には、各連結管70,70の上部が夫々連設されている。また、分配管60の後壁部64における左右両端および左右中央には、前後方向へ水平に延在する前記3個の各製氷水散水管41の前部が夫々連設されており、該分配管60の内部と各製氷水散水管41の内部とが空間的に連通している。
【0024】
図1、
図5および
図6に示すように、左右に離間した2つの連結管70,70のうち左側の連結管70は、角筒状に形成されて、その下部がバッファ管50の上周壁部51Bにおける左縁に隣接した部位に連設されると共に、上部が分配管60の前壁部63における左湾曲部に隣接した部位に連設されており、バッファ管50側から分配管60側に近づくにつれて右方および後方の夫々に傾斜した状態に形成されている。また右側の連結管70は、左側の連結管70と左右対称の角筒状に形成されて、その下部がバッファ管50の上周壁部51Bにおける右縁に隣接した部位に連設されると共に、上部が分配管60の前壁部63における右湾曲部に隣接した部位に連設されており、バッファ管50側から分配管60側に近づくにつれて左方および後方の夫々に傾斜した状態に形成されている。すなわち、左右各連結管70,70の延在方向は、バッファ管50の延在方向と交差し、かつ分配管60の延在方向とも交差している。
【0025】
そして、左右の各連結管70,70のバッファ管50との連設部分は、
図5(a)および
図5(b)に示すように、該バッファ管50の上周壁部51Bにおいて前記送水管29が連結される水流入部54と相対する部位からずれた部位に設けられている。また、左右の各連結管70,70の分配管60との連設部分は、該分配管60の後壁部64において前記各製氷水散水管41が連設される部位からずれた部位に設けられている。すなわち、左側の連結管70における分配管60との連設部分は、該分配管60における左側の製氷水散水管41と中間の製氷水散水管41との間の後壁部64に相対しており、右側の連結管70における分配管60との連設部分は、該分配管60における中間の製氷水散水管41と右側の製氷水散水管41との間の後壁部64に相対している。
【0026】
従って、実施例の製氷水散水ユニットWにおける配水部40では、
図5(a)および
図5(b)に示すように、ポンプユニットPにより送水管29を介して圧送された製氷水を、水流入部54と上下方向(送水管29の連結方向)で相対する上周壁部51Bの左右方向の中間部位に一端衝突させた後に、バッファ管50内を軸方向両側へ適宜分岐して移動させることで、該バッファ管50内で製氷水を減速、減勢させ得るよう構成されている。また配水部40では、バッファ管50内を左方向へ移動した製氷水を、該バッファ管50の左側壁部52に衝突させて更に減速、減勢した状態で左側の連結管70内へ移動させると共に、該左側の連結管70内を上方へ移動させて分配管60の後壁部64に向かうようにすることで、該製氷水が該分配管60内から左側の製氷水散水管41および中間の製氷水散水管41へ安定的に供給されるように構成されている。更に配水部40では、バッファ管50内を右方向へ移動した製氷水を、該バッファ管50の右側壁部53に衝突させて更に減速、減勢した状態で右側の連結管70内へ移動させると共に、該右側の連結管70内を上方へ移動させて分配管60の後壁部64に向かうようにすることで、該製氷水が該分配管60内から中間の製氷水散水管41および右側の製氷水散水管41へ安定的に供給されるように構成されている。
【0027】
前記左側の製氷水散水管41、中間の製氷水散水管41および右側の製氷水散水管41は、
図1〜
図3に示すように何れも同じ構成となっており、同一部位には同一符号を付して説明する。各製氷水散水管41は、製氷部U1の前後方向の長さに合わせて前後方向へ長尺な角筒状に形成され、上壁部42、下壁部43および左右の側壁部44,44からなり、上壁部42および下壁部43は後方へ水平に延在していると共に、左右の側壁部44,44は平行に延在している。下壁部43の左右方向の中央には、前後方向へ延在する溝状の嵌凹部45が形成され、該嵌凹部45を挟んだ左右両側には、前後方向へ所要間隔毎に離間して複数の散水孔46が形成されている。各散水孔46は、
図3および
図4に示すように、対応する製氷部U1における各製氷板20,20の製氷面20Aに対応して設けられている。
【0028】
また、下壁部43における各散水孔46を囲む部位には、
図1、
図5〜
図7に示すように、下方へ突出した円形ボス状の凸部47が形成されており、各散水孔46は対応する凸部47の下面中央に開口している。従って、散水孔46の出口開口が、下壁部43の外面より下方へ突出しているため、該散水孔46から流出した製氷水は、凸部47の下面から製氷板20に迅速に落下するようになり、該製氷水が下壁部43の外面に伝って後方へ移動することが防止されるようになっている。
【0029】
前述のように構成された製氷水散水ユニットWを備えた実施例の製氷機Mでは、製氷ユニットUでの除氷運転時に、各製氷部U1の製氷板20の裏側へ除氷水供給ユニットVを介して外部から水道水が除氷水として供給され、供給された水道水は製氷水タンクTに回収されて製氷運転時の製氷水として貯留される。そして、ポンプユニットPのモータP1を作動させることで、ポンプから吐出された製氷水タンクT内の製氷水が、送水管29を介して製氷水散水ユニットWに向けて圧送される。
【0030】
製氷水散水ユニットWにおける配水部40では、
図5(a)および
図5(b)に示すように、ポンプユニットPから送水管29を介して圧送された製氷水が、バッファ管50内の上周壁部51Bに衝突して左右に分かれることで、このバッファ管50内において該製氷水が1次的に減速、減勢される。そして、バッファ管50内を左方向へ移動した製氷水は、該バッファ管50の左側壁部52に衝突した後に左側の連結管70内へ移動することで、2次的に減速、減勢されて分配管60内へ安定した状態で移動する。一方、バッファ管50内を右方向へ移動した製氷水は、該バッファ管50の右側壁部53に衝突した後に右側の連結管70内へ移動することで、2次的に減速、減勢されて分配管60内へ安定した状態で移動する。そして、左右の各連結管70を介してポンプの影響を殆ど受けない安定した状態で分配管60内へ移動した製氷水は、左側の製氷水散水管41、中間の製氷水散水管41および右側の製氷水散水管41の夫々へ均等に分配される。これにより各製氷水散水管41では、各散水孔46から製氷水が均等に注出するようになる。
【0031】
前述のように構成された実施例の製氷水散水ユニットWでは、バッファ管50の延在方向が、水流入部54に接続された送水管29の連結方向と交差する方向となっているから、バッファ管50内においての製氷水の1次的な減速、減勢を図ることができる。また、左側の連結管70の延在方向および右側の連結管70の延在方向がバッファ管50の延在方向と交差していると共に、左側の連結管70および右側の連結管70のバッファ管50に対する連設位置が該バッファ管50に対する送水管29の連結位置とずれているので、該送水管29から圧送された製氷水が各連結管70,70へそのまま移動することが回避され、製氷水がバッファ管50から各連結管70,70へ移動する際にも、該製氷水の減速、減勢が図られる。更に、左側の連結管70の延在方向および右側の連結管70の延在方向が分配管60の延在方向と交差していると共に、左側の連結管70および右側の連結管70の分配管60に対する連結位置が該分配管60に対する各製氷水散水管41の連結位置からずれているので、該連結管70,70から分配管60へ移動した製氷水がそのまま各製氷水散水管41へ移動することも回避され、製氷水は各連結管70,70から分配管60へ移動する際にも更に安定化が図られる。
【0032】
従って、製氷水散水ユニットWの配水部40が、送水管29が連結されるバッファ管50と、各製氷水散水管41が連設される分配管60と、バッファ管50および分配管60に夫々連設される連結管70,70とを備えたことにより、ポンプユニットPにより圧送された製氷水を、各製氷水散水管41への供給前に十分に減速、減勢させて安定した状態とすることができるから、該製氷水を各製氷水散水管41へ均一かつ安定して供給することを可能とする。これにより、製氷ユニットUの各製氷部U1に対して適切に製氷水が供給されるから、該製氷ユニットUにおける氷塊Sの生成の安定化および効率化を図り得る。
【0033】
また、実施例の製氷水散水ユニットWでは、連結管70,70の配設数がポンプユニットPに接続された1本の送水管29よりも多い2本とし、各製氷水散水管41の配設数が連結管70,70より多い3個に構成したので、ポンプユニットPから供給された製氷水が、配水部40内をスムーズに移動して各製氷水散水管41へ均等に供給されるようにすることができる。
【0034】
更に、実施例の製氷水散水ユニットWでは、配水部40および各製氷水散水管41が合成樹脂製の一体成形部材として構成されるから、配水部40におけるバッファ管50と各連結管70,70との連設部分および各連結管70,70と分配管60との連設部分や、分配管60と各製氷水散水管41との連設部分等から製氷水が漏れ出ることを好適に防止することができる。しかも、配水部40および各製氷水散水管41が一体成形されているので、部品点数を減らすことができると共に組立作業工数を減らすことができ、軽量化や製造コスト低減が可能である。
【0035】
(変更例)
(1)実施例では、3個の製氷水散水管41を備えた製氷水散水ユニットWを例示したが、製氷水散水管41の配設数はこれに限定されず、製氷ユニットUの製氷部U1の配設数に応じて2個または4個以上であってもよい。なお、製氷水散水管41の配設数が4個の場合は、前記連結管70の配設数は3個としてもよい。
(2)配水部40におけるバッファ管50は、円筒形状に限らず角筒形状であってもよく、分配管60は角筒形状に限らず円筒形状であってもよい。
(3)水供給源は、ポンプユニットPに限定されず、外部水道源であってもよい。
(4)実施例では流下式の製氷機を例示したが、製氷機は流下式に限定されるものではない。